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志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)講演「安保法制違憲訴訟における平和的生存権・人格権」と『虚空(そら)の名前』など3曲の演奏を聴く

 2018年12月20日配信(予定)のメルマガ金原No.3367を転載します。
 
志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)講演「安保法制違憲訴訟における平和的生存権・人格権」と『虚空(そら)の名前』など3曲の演奏を聴く
 
 以前は、「日本に2人しかいない『歌う憲法学者』のお1人」という風にご紹介していた志田陽子(しだ・ようこ)先生(武蔵野美術大学教授)ですが、いまや、志田先生の「歌でつなぐ憲法の話」は、全国各地で大好評をもって迎えられ、現地の状況に応じて、様々なヴァリエーションでの展開を見せているようです。
 
 私がブログでご紹介した、2017年10月と2018年5月に東京都大田区で2度にわたって開催された「楽しく聴いて知るコンサート」は、沼館千佳子さんが伴奏ピアニストを務められ、志田先生の中学・高校時代の同級生であるジャズシンガー石川真奈美さんが共演するという実に本格的なものでした。
 
 このような豪華共演者にサポートされた演奏は、地方での講演会や、大学の施設を使用した研究会などでは現実的ではないからでしょうが、事前に収録された映像と音楽(歌入りヴァージョンとカラオケ・ヴァージョンがあるようです)を用意され、講演の内容に沿った曲を何曲か歌われるパターンもあるようなのです。
 
 そのような「地方ヴァージョン」の講演会の動画を見つけましたので、ご紹介しようと思います。
 それは、今年の10月22日、福岡大学を会場として、「平和を愛する福岡大学人の会」と「九州歴史科学研究会」が主催した第8回講演討論会「憲法に託された平和的生存権-歌・映像から考える夢と今-」です。
 以下にその動画をご紹介していますが、「講演討論会」の内、志田先生の「講演」部分がアップされています。冒頭から47分頃までが講演で(パワポに書かれた講演タイトルは「安保法制違憲訴訟における平和的生存権・人格権」というものでした)、最後に3曲、映像付きの録音をバックに志田先生が歌われています(『Danny Boy』、『虚空(そら)の名前』、『ハナミズキ』)。
 
 講演の中でも説明されているとおり、志田先生は、東京地裁に提訴された安保法制違憲訴訟(差止訴訟の方)の原告本人でもあり、また、学者として意見書も書かれています。
 そのようなお立場から、安保法制違憲訴訟の原告が主張の根拠とする平和的生存権・人格権の具体的内容を、分かりやすくかみくだいて説明してくださっています。最後の方は、時間が押してきたからでしょうが、かなり駆け足になっていますけれど。
 安保法制違憲訴訟に関心を持たれている方にも、またそうでない方にも、是非視聴していただければと思います。
 
憲法に託された平和的生存権 -歌・映像から考える夢と今- 講演:志田陽子(武蔵野美術大学 教授)(1時間07分)
冒頭~
「安保法制違憲訴訟における平和的生存権・人格権」
 美大の教職憲法教員が原告になった理由
 南スーダンへの自衛隊派遣と平和的生存権・人格権の侵害
 このような困惑状況が生じた原因
 訴えの具体性と多様性
6分~
1 人格権の諸相
2 本訴訟の訴えと人格権の諸相
(1)生命権・生命的人格権・平穏生活権
 ①大阪空港訴訟(大阪高等裁判所昭和50年11月27日判決)
 ②大飯原発差止め訴訟第一審判決(福井地方裁判所平成26年5月21日)
 ③有害物質による汚染のおそれなど
 ④生命・健康・生活に直結する平穏生活権
(2)内面的な生活利益と「内心の静謐」
   民法上の「人格権」と憲法13条との一体性
 ①日照、騒音などの問題を要素とする内面的な生活利益
 ②「内心の静謐」を内実とする生活利益
(3)加害者となりたくない者の平和的生存権と人格権
22分~
3 安保違憲訴訟に見る平和的生存権と人格権の理論的発展の芽
(1)生命権・生命的人格権・平穏的生活権
 ①現地の自衛官自身の生命の危険
 ②戦争体験者の恐怖感、PTSD
 ③職業ジャーナリスト、NGO活動従事者などが被る危険
 ④一般市民が有する恐怖感
 ⑤海外渡航中、海外渡航を常とする日本人
(2)内面的な生活利益と「内心の静謐」
(3)加害者となりたくない者の良心=平和的生存権と人格権
 ①「良心の自由」、「平和的生存権」、「人格権」
 ②他国人および自国の自衛官に対する憂慮
(4)家族にとっての人格権侵害
(5)人格的自律と社会的信頼関係
 ①人格的自律
 ②職業上とくに必要な信頼関係と職業遂行の自由
(6)社会的弱者にとっての平和的生存権・人格権の特殊な重要性
 ①外国人が抱く特殊な恐れ
 ②女性、児童が抱く特殊な恐れ
4 軍事以外の貢献を果たしているか-「人間の安全保障」から見た貢献は
さいごに
この問題を市民とともに考えるための音楽動画コンテンツを作成しました。音楽と写真で、しめくくります。
49分~『Danny Boy』
54分~『虚空(そら)の名前』(作詞作曲:志田陽子)
1時間01分~『ハナミズキ
 
 ところで、このような生伴奏なし(画像・音声データを再生)パターンの講演会で使われた動画が、志田陽子先生のオフィシャルサイトで紹介されていました。
 それは、今年の5月3日、上智大学四谷キャンパス・ソフィアタワー101大教室で開かれた「全国憲法研究会主催 憲法記念講演会」で、志田先生が「「憲法と「夢」――人々が憲法に託してきたもの」と題して講演された際に「使用した歌唱つき資料の一部」です。
 ここでは、詳細なスライドをバックに、『Over the rainbow』、『Danny Boy』、『虚空(そら)の名前』の3曲が流れます。
 こちらも是非視聴していただければと思います。 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/志田陽子氏関連)
2016年8月21日
響け!歌声 自由のために 歌と映画と憲法と~予告8/28志田陽子教授(武蔵野美術大学憲法学)がおくる歌と講演(平和を育てる大泉9条の会)
2017年6月9日
九条の会・小平12周年の集い」(星美智子さんの歌と志田陽子さんの講演)を視聴する
2018年7月11日
志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)が歌い、語る「楽しく聴いて知るコンサート」を視聴しましょう