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和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

 2019年10月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3430を転載します。

和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

[この記事は、昨日、Facebook第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載した文章に大幅な補訂を加えて再掲するものです。]

 去る9月27日に閉会した和歌山県議会9月定例会は、最終日に「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」を賛成多数で採択しました。
 決議は、以下のような内容でした。

(引用開始)
                                          和議第10号
             統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)
 特定複合観光施設、いわゆる統合型リゾート(以下「IR」という。)は、成長戦略の一つとして、我が国の観光立国政策に貢献するとともに、和歌山県における新たな産業の創出や観光振興、地域振興、雇用の拡大、財政の改善、さらには人口減少の抑制など、将来の本県の発展に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
 また、こうした経済的・社会的効果を発現させることにより、日本におけるIR導入の成功例として、本県の存在感を全国に示す絶好の機会となるものである。
 よって、和歌山県議会は、本県が目指すIR誘致の取組を支持するとともに、特定複合観光施設区域の一つに選ばれるよう、地元の合意形成に向けた誘致機運の醸成を図るなど、IRの誘致活動を積極的に推進する。
 以上、決議する。
   令和元年9月27日
                  和歌山県議会
                  (提 出 者)
                   総務委員会委員長 川畑 哲哉
(引用終わり)

 平成28年に成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「IR推進法」「カジノ推進法」)で使われている「特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」(同法1条)というような謳い文句をベースに、「人工減少の抑制」「本県の存在感を全国に示す」など、県民の心をくすぐる(?)と起案者が考えたご当地用フレーズをまぶせば、まあこんなものになるのでしょう。

 ところで、「賛成多数」での採択と書きましたが、和歌山県議会議員は全部で42人であり、その会派別構成は以下のとおりとなっています。

自由民主党県議団 27人
改新クラブ 5人
日本共産党県議団 4人
公明党県議団 3人
無所属の会 2人
日本維新の会 1人

 無所属の会のことはよく知りませんが、改新クラブは完全な寄り合い所帯で、対立が激しい決議、意見書の採決では、意見が割れることも珍しくありません。

 ところで、和歌山県議会では、個々の議員の議案に対する賛否は公開していませんが(これは早急に改善すべきでしょう~電子投票システムを導入する予算がないのだろうか?)、会派ごとの賛否の状況は公表しています。
 そこで、「令和元年9月定例会における議案等に対する各会派の賛否の状況」を調べてみました。
 それによると、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」についての会派別の賛否は以下のとおりでした。

(賛成)
自由民主党県議団
公明党県議団
無所属の会
改新クラブの一部
(反対)
日本共産党県議団(奥村規子、高田由一、楠本文郎、杉山俊雄各議員)
日本維新の会(林隆一議員)
改新クラブの一部

 案の定、改新クラブの意見は割れたのですが、同クラブの5人の賛否をどうすれば確認できるのか?
 知り合いの県議会議員に直接尋ねるという方法もあるでしょうが、誰でもできる方法をご紹介しましょう。
 まず、基本的に採決は、全会一致の場合には(事前に事務局が調査するらしい)「議長:ご異議ございませんか?」「議場:異議なし」で済まし、賛否が別れる場合には、賛成者に起立を求める方法で行うようですから、誰が立ったのか、誰が座ったままだったのかを映像で確認すれば良いのです。
 採決の模様は、県議会ホームページの「本会議中継・録画」というコーナーで視聴することができます。
 今回のIR誘致決議については、以下の方法で録画が視聴できます。

和歌山県議会 インターネット中継
  ↓
録画中継
  ↓
令和元年度
  ↓
9月定例会
  ↓
9月27日(金) ※52分12秒

 以上の最終日の録画のうち、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」については、43分~48分で、日本共産党県議団の奥村規子議員による反対討論が行われています。映像を注意深く視ていると、討論終了後の48分11秒あたりで、奥村議員に拍手する議員が5人確認できます(結局、その5人と奥村議員が反対することになるのですが)。

 その直後の48分55秒~49分09秒あたりで採決が行われ、賛成の議員は起立し、反対の議員は座ったままなのですが、反対した議員が誰かを調べるためには、県議会ホームページの中の「本会議場議席図」をご覧ください。
 私はこの議席図をプリントアウトした上で、中継録画の映像との照合を行いました。こう書くと面倒そうですが、何しろ反対者は少ないですからね。たった6人でした。
 結局、この議案の採決に際して座ったままだったのは、奥村規子議員の演説に拍手を送った5人に、奥村議員自身を加えた6人だけだったことが映像で確認できます。
 あらためて、その6人の議員を賞賛するために、以下にその氏名を掲載します。

日本共産党県議団
 奥村規子さん、高田由一さん、楠本文郎さん、杉山俊雄さん
日本維新の会
 林隆一さん
改新クラブの一部
 谷口和樹さん

 なお、「和歌山カジノに反対する海南の会」さんのFacebookに、ネット中継された採決の模様を静止画にしたものがアップされていましたので、議長席から見て右側の部分だけですが借用して掲載させていただきました。こちら側に、反対した議員6人全員が写っています。

 余談ながら、日本維新の会の林隆一議員がなぜ反対したのか?理由が知りたいと思い、同議員のTwitterFacebookを閲覧してみましたが、よく分かりませんでした。可能性としては、①カジノそのものに反対、②大坂維新の会が推進する大阪・夢洲へのカジノ誘致に対する援護射撃、③その他、などが考えられますが、はて?

 和歌山市議会議員当時、林さんの市民図書館問題について市当局を厳しく追及する姿勢には注目していたものですが。

 それにしても、と私が想起するのは、2014年9月定例会で和歌山県議会が採択した「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の賛否状況です。この時は、意見書を発出して欲しいという請願を採択するかどうかと、意見書そのものの採択で賛否を使い分けた議員(公明党など)がいたりしてややこしかったのですが、少なくとも請願採択に反対した議員が7人いました(以下のとおり)。

(引用開始)
賛成 自民党公明党全員・改新クラブの一部(長坂隆司・片桐章浩)
反対 共産党全員(雑賀光夫・高田由一・松坂英樹・奥村規子)
     改新クラブの一部(藤本眞利子・浦口高典・谷口和樹)
(引用終わり)

 それがカジノについては、維新の会を含めても反対「6人」ですからね。やれやれ・・・。
 和歌山県民の中で、カジノ誘致に賛成という者が36/42(86%)もいるとは到底思えませんが、議会の現状はこのとおりです。
 それにしても、今回賛成した議員は、4月の統一地方選で、本当に「カジノは誘致すべき」と県民に訴えて当選したのだろうか?

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