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関西電力が日置川(和歌山県白浜町)の原発立地事務所を閉鎖(2020年6月30日)

 2020年7月7日配信(予定)のメルマガ金原No.3471を転載します。

関西電力が日置川(和歌山県白浜町)の原発立地事務所を閉鎖(2020年6月30日)

 和歌山県の旧日置川町(ひきがわちょう)は、関西電力による原子力発電所立地計画が進められた県内の複数候補地の1つであり、推進、反対に町を二分する過酷な状況が長期間続いた末、反対派の町長が当選するに到り、とりあえず原発建設は阻止されました。
 しかし、計画が頓挫した後も、関西電力は入手済みの日置川町(その後の合併により白浜町)の土地を手放さず、現地事務所も閉鎖せずに職員を常駐させ続けていることから、「使用済核燃料の中間貯蔵施設建設を狙っているのでは?」ということが、長く取り沙汰されてきました。

 そして、その「噂」が具体的な「懸念」に転化したのは2017年11月のことでした。同月23日、関西電力の岩根社長が福井県知事に対し、使用済核燃料中間貯蔵施設の県外立地について「2018年には具体的な計画地点を示す」と表明したのですが、これは、知事が大飯原発3・4号再稼働同意にあたり「できるだけ(中間貯蔵施設の県外立地を)具体化してほしい。関電は再稼働にあたって答えを示す必要がある」と求めたことに応じたものでした。
 これにより、一気に日置川町と合併した白浜町に注目が集まることになり、関西電力の関連会社が新たな土地を買い入れていることなども広く知られる事態となりました。

 これ以降、パンダと温泉の町・白浜に核のゴミはいらない、という運動が盛り上がり、県内、県外の諸団体からの要請や地元住民による反対運動のための団体結成が相次ぎ、このため、当初腰が定まらないと見られていた井澗誠(いたに・まこと)町長も、2018年9月定例会の冒頭で、「使用済み核燃料の中間貯蔵施設につきましては、(略)受け入れることは考えておりませんし、仮に将来的に事業者等から申し入れがあったとしても、受入の協議を行う考えはありません」と表明するに至りました。
 そして、翌2019年12月18日、白浜町議会は、放射性物質の受け入れを拒否することなどを内容とする「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」を全会一致で可決しました。
 ここで、同条例の第7条をあらためてご紹介しておきます。

(引用開始)
第7条(環境の整備等) 町は、全ての町民、観光旅行者等が安心して、安全かつ快適に生活又は滞在することができる環境の整備に努め、安心・安全なまちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項を認めないものとする。
2 前項に規定する安心・安全なまちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 廃棄物、土砂等の不適正な処分等を町内において行うこと。
(2) 放射性物質原子力発電所など原子力関連施設の核燃料並びにこれらから生ずる使用済燃料及び放射性廃棄物をいう。)の町内への持込み、及びこれらを貯蔵又は処分する施設を町内に建設すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、この条例の目的達成を阻害すること。
(引用終わり)

 私も、この問題については、巻末リンク一覧のとおり、かなり熱心に本ブログでフォローしてきましたが、上記条例の制定によって「一段落」と感じ、以来、忘れるともなく忘れていました。

 ところが、昨日(7月6日)、私も登録している某MLで、「核のゴミはいらん日置川の会」が公表した「関西電力(2020年6月30日)日置川原発立地事務所 閉める!」という文章が紹介されていました。
 関西電力が、長らく職員を常駐させて維持してきた現地事務所が6月30日をもって閉鎖されたというニュースで、一つの時代を画す動きだと思い、上記の文章を(同会のご了解を得て)全文転載させていただくことにしました。
  もっとも、関西電力がプレスリリースを発表するような話題ではなく、メディアでこれを報じたところも(ネット検索した限りでは)見当たりませんでしたので、「裏取り」は出来ていません。ただ、この情報を送ってくださったのが冷水喜久夫さん(脱原発わかやま、核のゴミはいらん日置川の会)、それを紹介してくださったのが松浦雅代さん(子どもたちの未来と被ばくを考える会)ということで、「裏取り」できていなくても、十分信頼に値すると判断したものです。

 大きな動きには違いありませんが、冷水さんも書かれているように、原発立地事務所(関西電力がそう名乗っていた訳ではありません~「日置川サービスルーム」とか言うのでしたっけ?自信はありませんが)が閉鎖されたとしても、「これからも気を抜くことなく反対運動を続けていかなければならない」でしょう。

 以下に、「核のゴミはいらん日置川の会」の文章を全文引用しますが、基本的に文章に手は入れていません。和歌山弁護士会の広報委員会委員として、「会報」校正歴30年以上のキャリアを誇る(?)私としては、どんな文章を読んでも校正したくてうずうずするのですけどね。
 なお、本文の中に「核のゴミはいらん白浜・日置川の会」というい団体名が出てきますが、おそらく「核のゴミはいらん日置川の会」と「核のゴミはいらん白浜の会」という2つの団体をまとめて表記したのではないかと推測します。

(引用開始)
      関西電力(2020年6月30日)日置川原発立地事務所 閉める! 

 1978年(昭和53年)頃から関西電力は日置川原発立地をめざして、白浜町(旧日置川町)に事務所を設置し、40年余り関西電力に就職や関連会社への就職斡旋や招待旅行、また病人を大阪の関西電力病院に連れていくなど、色々と手を変え品を替えして町民に取り入ってきました。
 ここ10年程は、町内の民泊活動を「地域貢献」として支援するなどして、多い時には7~8名の職員を常駐して活動を展開してきました。
 事務所閉鎖の表向きの理由は「耐震性がないので閉める」としているが、建物は壊さずにそのまま残すということです。
 最近の関西電力は、「原発不正マネー事件」関電役員の不正行為などの社会的信用は地に落ちており、年々高くなる原発コストや重大事故を起こせば、数十兆円の費用がかかることが分かったのに国は見直しを示めしていません。
 使用済み核燃料中間貯蔵施設問題は、2017年(平成29年)11月に福井県知事が関電社長と対談し、大飯原発3・4号機の再稼働を認める代わりに、使用済み核燃料の貯蔵施設を県外に設置することを条件に認める約束をしました。
 当初は2018年(平成30年)に候補地を決め、2020年(令和2年)に工事を開始し2030年から稼働させると発表していたのを、候補地決定を2020年までに延長しました。
 このことに対して私たちは、2018年7月に「核のゴミはいらん白浜・日置川の会」を結成して講演会や学習会、請願活動や町長交渉など、また町議会毎に仲間の議員が一般質問して条例制定運動を求めて来ました。
 ようやく2019年12月18日白浜町で「核のゴミ拒否条例」が全会一致で可決されました。条例は「安全・安心なまちづくり推進条例」という名称となっており、まちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項は認めない。と規定されている中に、「原子力発電所の核燃料、使用済み燃料などを町内に持ち込むことや、それらを貯蔵、処分する施設の建設を認めない」としています。
 この条例を読めば、核燃料や放射性廃棄物の持ち込みや貯蔵が一切できなくなることは、はっきりしています。

 この条例が制定された日の夕方、マスコミの取材に応じた関西電力は「将来の立地地点として地元情勢を鑑みながら、地道に取り組んでいく。今後も地元の情勢をふまえて適切に対処したい」と私たちの気持ちを逆なでするような談話を発表しました。
 2020年6月30日で関西電力は日置川事務所を閉めたとしても、白浜町の日置川地区に62haの広大な土地があり、地元の意思とは関係なく今後も工作活動を続けていくということなので、私たちはこれからも気を抜くことなく反対運動を続けていかなければならないと考えています。

   2020年7月1日
                         核のゴミはいらん日置川の会
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/白浜町・中間貯蔵施設関連)
2018年1月8日 
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内 
2018年2月3日 
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!」(講師:小山英之美浜の会代表)が和歌山市でも開催されます(2/18あいあいセンター) 
2018年2月4日 
吉原毅氏を招いて/「原発ゼロ法案」と「核のゴミ」を考える~白浜に核のゴミ(中間貯蔵施設)は来るのか!?~(2/23田辺ビッグ・ユー)のご案内 
2018年2月25日 
白浜町長に県内8団体が要望書を提出~使用済核燃料の中間貯蔵施設は受け入れないとの意思の表明を求める(2018年2月23日) 
2018年2月26日 
パンダの町・白浜町は関西電力の中間貯蔵施設を受け入れるのか?~白浜町議会2017年12月定例会会議録を読む 
2018年4月17日 
白浜町長への要望書「(略)白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう使用済核燃料の「中間貯蔵施設」は受け入れないとの意思をあらかじめはっきりと表明してください」を読む 
2018年7月31日 
「核のゴミはいらん日置川の会」が結成されました~松浦雅代さんからの報告 
2018年9月8日 
白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日) 
2018年10月15日 
白浜町議会(2018年9月6日)で使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを表明した井澗(いたに)誠町長の発言全文(書き起こし) 
2019年12月19日 
白浜町議会が放射性物質の受け入れを拒否する「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」を可決(2019年12月18日)