wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』(福島大学 放射線副読本研究会)

 「メルマガ金原」アーカイブス・シリーズとして、2012年3月27日に配信したNo.887「『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』(福島大学 放射線副読本研究会)」をご紹介します。「~“減思力”を防ぎ、判断力・批判力を育むために~」という副題が示すように、文部科学省が全国の学校(小・中・高用の3種類があります)に配布した「放射線」に関する副読本を批判的に読み解く能力を身につけさせようとして、福島大学の後藤忍准教授が中心となって作成したものです。子どもたちだけではなく、われわれ大人にとっても有用な冊子だと思います。
 
『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』(福島大学 放射線副読本究会)
 
 「福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)」という団体があります。
   公式サイト http://fukugenken.e-contents.biz/index
   公式ブログ http://fukugenken.seesaa.net/
 設立の趣旨について、公式サイトには、「このウェブサイトは、福島第一原子力発電所の事故について学際的に議論し、大学当局や県あるいは政府に対して安全策を講じるように提言するために、福島大学の複数教員からなる学部を越えた横断的な組織活動のために作成されました」とあります。
(追記)もっとも、ブログでも、最も新しい更新が2012年3月1日なので、最近の活動がどうなっているのかはよく分かりません。
 
 これまでも、メンバー有志による
  「福島県知事宛 要望書」(2011年6月6日付)
 (おそらくメンバー外の方も含めた)福島大学教員有志による
  「放射線影響に関する健康管理調査についての緊急声明」(2011年7月3日)
を公表するなど、活発な活動を続けており、福島で学究として研究活動を行う者としての責任を果たそうとされている多くの「准教授」の存在に心を打たれたものでした。
 
 そのFGFのメンバーの1人である福島大学共生システム理工学類准教授である後藤忍氏が著作・編集された『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本~“減思力”を防ぎ、判断力・批判力を育むために~』という20頁の小冊子が、「福島大学 放射線副読本研究会」名義で刊行され(2012年3月)、後藤忍研究室のWEBサイトにPDFファイルが掲載され、無料でダウンロードできるようになっていました。
 
 福島大学サイトの中の後藤忍准教授の紹介ページは以下のとおり。
 
 本書の「はじめに」にあるとおり、この小冊子は、昨年10月に文部科学省があらたに作成した放射線に関する新副読本(小学校児童用『放射線について考えてみよう』、学校生徒用『知ることから始めよう放射線のいろいろ』、高等学校生徒用『知っておきたい放射線のこと』)、及び旧副読本を、批判的に読み解く力をつけるための「副読本」として執筆されたものです。
 「はじめに」の末尾の部分を引用します。
(抜粋引用開始)
 私たち,福島大学放射線副読本研究会のメンバーは,学問に携わる者として,また,発事故によって被ばくした生活者として,このような不確実な問題に対する科学的・倫理的態度と論理を分かりやすく提示したいと考え,この副読本をまとめました。今回読本では,国の旧副読本・新副読本における記述や推進派の見解を積極的に
ことでバランスに配慮しながら,そこに見られる問題点を指摘することで,判断力や批力を育むことができるように工夫をしました。もちろん,この副読本も,批判的に読んでいただいて結構です。
 この本の内容が,より多くの子ども達や放射能汚染に苦しむ方々,そして,広く一般の市民のみなさまにとって,放射線と被ばくの問題を考えていくための一助となれば幸いです。
(引用終わり)
 
 比較対照するため、文部科学省の新旧「副読本」もご紹介しておきます。
 
 まず、昨年10月に公表された(11月に一部改訂)「新副読本」3種類と教師用解書です。
 
 「旧副読本」については、既に文科省サイトからは削除されていますので、民間サイトに保存されているものを探す必要がありますが、一例として、富山大学の林衛准教のサイトから検索できます。
 
 後藤准教授らによる『副読本』が、私たちにとっても非常に有益な冊子なのではなかということは一読して直感しましたが、念のため、信頼する山崎知行医師にも読んでいただいたところ、「これはお勧めと考えます。福島医大は大変な牙城ですが(でも個人的には異論を持つ医師も少ないですが居ます)、福島大学は『大学』をやってますね。うれしいです」というご意見を頂戴しました。
 1人でも多くの方にお読みいただきたく、周りの方にもお薦めいただければ幸いです。