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鵜飼信成著・石川健治解説『憲法』(岩波文庫白版)を買ってきた

 2022年6月19日配信(予定)の「メルマガ金原No.3520」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

鵜飼信成著・石川健治解説『憲法』(岩波文庫白版)を買ってきた

 文庫に解説は付きものとはいえ、全484ページの本のうち、解説部分が389~484頁の96ページと、全体のほぼ2割を占めるというのは珍しいでしょう。
 もっとも、古典作品などの場合、注釈や書誌部分を含めた解説の方が、本文よりも分量が多いということも珍しくありませんが、昨日(6月18日)私がたまたま書店で見かけて購入してきたこの文庫本の場合、元本の初版が刊行されたのは1956年のことですからね。
 その文庫本というのは、
  書名:憲法 
  著者:鵜飼信成(うがい・のぶしげ/1906~1987)
  解説:石川健治(いしかわ・けんじ/東京大学教授)
    岩波文庫(1260円+税)
    2022年6月15日 第1刷発行
です。

憲法 (岩波文庫 白 35-1)

鵜飼 信成

岩波書店

2022-06-17

 
 東京大学社会科学研究所長、国際基督教大学学長、成蹊大学教授、日本学士院会員などを歴任した、憲法行政法の研究者・鵜飼信成氏については、私自身、名前に聞き覚えはあるものの、その著書を読んだことはない高名な学者のお一人というに過ぎませんでしたが、たまたま立ち寄った書店の文庫コーナーでふとこの本を見かけて手に取ったところ、
  これはひとつの奇跡である。
  ―石川健治東京大学教授/本書解説者)
という帯の惹句に目が引き寄せられてしまい、ぱらぱらとページを繰ってみたところ、元本が1956年に岩波全書の1冊として刊行されたこと、石川教授による解説が100ページ近くもあるということが分かり、即決で購入しました。

 実は、石川教授が解説を担当された文庫本としては、2016年6月に講談社学術文庫から刊行された佐々木惣一著「立憲非立憲」を購入し、とにもかくにも一読したことがありましたので、石川教授解説本の購入は2度目ということになります。そういえば、「立憲非立憲」も充実した解説でした。

 何を言うにも、まだ、著者「はしがき」と、解説の冒頭8ページを読んだだけなので、本書自体についての感想を書くわけにはいきません。
 ただ、石川教授による解説の冒頭部分の一部を引用することにより(帯の惹句もこの部分からとられていました)、「本書を読んでみたい」という意欲を1人でも多くの方と共有できればと思います。

(解説-389頁-から引用開始)
浩瀚な専門書とは趣を異にし、之を圧縮して一小冊子内に最も平易に且つ興味深く叙述することを本旨となし、しかも飽くまでも学究的なることをその特色とし」(金原注:岩波茂雄「岩波全書発刊に際して」より)た憲法書としては、本書が空前のものであることを本稿執筆者は疑わない。本書には、鋭い先見性をもって未来の憲法学に挑戦する趣があり、規格化された教科書には見られない精神の躍動がある。しかも、それに触発される読書公衆が実在していたからこそ、本書は、初型を維持したまま三〇年間にわたって読まれ続けた。著者の才気を縦横に展開することを許容した岩波全書という器と、五〇歳を迎えた著者自身の学問的充実と、読書する公衆という共鳴板との相乗積として産み出された、これはひとつの奇跡である。
(引用終わり)

 前述のとおり、私はまだ著者「はしがき」と解説の冒頭8ページ分を読んだだけですが、それでも本書を読み進めるためには、元本に著者によって付された詳細な脚注部分も絶対に飛ばさず読み込まねばならないということは分かりました。

 憲法制定以来、最大の転機となるかもしれない時期が迫っている今こそ、読むに値する碩学の書ではないかと思います(実際に読み終えた後でまた感想を書ければと思います)。