今晩(2013年1月16日)配信した「メルマガ金原No.1235」を転載します。
品川正治さんから力を貰おう!
国際開発センター会長、日本興亜損保(株)相談役(元社長、会長)の品川正治(しながわ・まさじ)さんは、経済同友会終身幹事にして革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)代表世話人でもあるという、非常にユニークな立場におられる方ですが、そのお話を伺えば、これが少しも不自然なこととは思えず、自らの信念に忠実に身を処せばこうなる、ということが納得されます。
1924年生まれの品川さんは、旧制第三高等学校在学中に召集されて中国の最前線に送られて負傷したという戦争経験を持っておられます。
そして、敗戦の翌年に復員し、日本に着いた復員船の中で、日本国憲法草案を掲載した日本の新聞を読んだ時の感動を忘れず、現在まで護憲の立場から積極的な発言を続けてこられています。
講演活動にも熱心で、和歌山市でも、去る2007年6月2日、「戦争・人間・憲法九条」と題した講演を行われ(九条の会・わかやま、憲法9条を守る和歌山弁護士の会共催)、立錐の余地もなく詰めかけた聴衆に深い感銘を与えられました。
実は、私自身、この講演会の司会を務め、深く感動した講演内容を1人でも多くの方に知ってもらいたいという熱意にかられ、今となっては自分でも信じられないのですが、1人で講演全部の文字起こしをやり遂げたのです。
この講演録については、共催団体である九条の会・わかやま事務局の皆さんにも手伝っていただいて推敲し、最終的には講演者である品川正治さんご本人による校正をあおぎ、確定版を九条の会・わかやまのWEBサイトに掲載することができました(ちなみに小見出しも私が付けました)。
品川さんが和歌山で講演されたのは、第一次安倍晋三内閣当時のことでしたが、憲法にとって、6年前とは比較にならないほどの危機的状況の中で第二次安倍内閣が再登場した今こそ、品川さんの揺らがぬ信念を再確認して自らの力とするため、その講演録を読み直してみようと思った次第です。
そして、未読の方には是非とも一字一句味わってお読みいただきたいのです。
なお、上記和歌山講演と近接した2007年7月18日に明治学院大学国際平和研究所で行われた講演のダイジェストが You Tube にアップされています。
これにより、品川さんの人柄や語り口を知っていただくことができます。
その1(9分34秒)
その2(9分58秒)
その3(8分33秒)
その4(8分47秒)
最後に、品川正治さんの和歌山での講演の中の「日本国憲法草案との出会い」の部分を引用します。何度読んでも感動します。この憲法が、当時の日本人にどのように受け止められたのかについての貴重な証言です。
(引用開始)
ところで、私たちは、その収容所からは、翌年の5月1日、山口県の仙崎という港に復員した訳です。船は、もっと早くに着いておりました。しかし、私たちの部隊はもともと山陰の部隊でその山陰に着いた訳ですから、遠くの人を先に上陸させ、私たちは2日間ほど懐かしい本土を眺めながら上陸は許されなかった。しかし、その船内で、全部隊に新聞が配られたのです。新聞といっても、今日出たとかっていう新聞じゃないです。民家からかき集めてきた古い新聞なんです。「日本国憲法草案」が発表された日の新聞なんです。その新聞を全部隊に配られました。「お前たちはこれから帰る、国に帰るんだ。この国の憲法草案、こういう形で発表されておる。どういう国になるか、それを十分知った上で国に帰れ」そういう趣旨で配られた訳なんです。
新聞を見た途端に全員泣きました。あの憲法前文、今の憲法の前文が、「前の文」ですね、前文から9条まで読んで、皆泣きました。我々の生き方は、それしかないと思っておったけども、よもや国家が憲法で戦争放棄を明確にする、国の交戦権を認めないっていう、そこまで書いてくれたか、これなら生きていける、これなら中国の人たちにも贖罪の気持ちを表せる、亡くなった戦友の魂に対しても、「こういう国になるんだ」っていうことを我々言えるようになる、そういうのが私自身の憲法、現憲法に接した一番最初の日なんです。その思いだけは、私自身、それこそ忘れることができません。
新聞を見た途端に全員泣きました。あの憲法前文、今の憲法の前文が、「前の文」ですね、前文から9条まで読んで、皆泣きました。我々の生き方は、それしかないと思っておったけども、よもや国家が憲法で戦争放棄を明確にする、国の交戦権を認めないっていう、そこまで書いてくれたか、これなら生きていける、これなら中国の人たちにも贖罪の気持ちを表せる、亡くなった戦友の魂に対しても、「こういう国になるんだ」っていうことを我々言えるようになる、そういうのが私自身の憲法、現憲法に接した一番最初の日なんです。その思いだけは、私自身、それこそ忘れることができません。
(引用終わり)