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「ベアテさんを偲ぶ会」での娘さん・ニコルさんのスピーチと映画『ベアテの贈りもの』上映(in和歌山市)

 今晩(2013年4月23日)配信した「メルマガ金原No.1334」を転載します。
 
「ベアテさんを偲ぶ会」での娘さん・ニコルさんのスピーチと映画『ベアテの贈りもの』上映(in和歌山市)
 
 昨年(2012年)12月30日、GHQ民政局の最年少スタッフとして、日本国憲法草案の起草に関わり、女性の人権条項を盛り込むべく努力されたベアテ・シロタ・ゴードンさんがニューヨークの自宅でお亡くなりになったことは、私のメルマガとブログでもお伝えしました。
 
 そして、去る3月30日(土)、東京で「ベアテさんを偲ぶ会」が開かれ、映画『ベテの贈りもの』上映と併せ、来日されたベアテさんの娘さんであるニコル・A・ゴードンさんがスピーチをされました。
 そして、「九条の会」メルマガ第162号にそのスピーチの日本語訳が掲載されました。
 
 非常に感動的なスピーチなので、是非その全文を読んでいただたいと思いますが、以下に、特に私が感銘を受けた部分を抜粋してご紹介します。
 
(抜粋引用開始)
(前略)
 30年以上の間、ベアテは自分の役割について公には話しませんでした。 極秘事項でしたし、当時の自分が若く、弁護士の資格も持たない女性だったことで憲法に傷がついてはいけないと恐れたからでした。私は、いま58歳で、弁護士です。プロとして、また娘として大きなプライドをもってこう言います。約40年の専門的な経験をへた今でも、私には母のような素晴らしい仕事はできませんでした。母は律の学位以上の大切なものを持っていました。それは日本を深く知り、愛し、日本に必要な事を正確に表現できる経験と感性です。
(中略)
 仕事に熱心なベアテにとって退職はつらいことでした。しかし幸運なことにちょうど其の頃、母の憲法への関わりが日本で広く知られるようになりました。
 こうして退職の後、急に、愛する日本を頻繁に訪れる新しいキャリアが母に始ま
ったのです。これは母にとって新しい人生ともいうべきもので、母は日本にとって大事な事にまた関われるのをとても喜んでいました。多くの方に乞われて日本憲法制定の歴史について講演し、憲法の、特に女性の権利、人権と平和の条項を守るように熱心に訴えました。講演の観客が多ければ多いほど、母は嬉しがりました。日本語と英語で本が出版され、母についてのドキュメンタリーができ、芝居ができました。こうして人前にでる一つひとつの機会を母は喜びました。
(中略)
 12月の初め、朝日新聞から日本の憲法についてのインタビューの依頼がありました。初めはいつというはっきりした指定なしの依頼でしたが、ベアテは憲法を変えたいという動きが日本にあることに敏感でした。母は勿論、平和憲法は変えるべきものではなく、他の国の憲法の模範である、と思っていました。そして母は自分が死につつある事を知っていました。それゆえにこの機会に、広い読者にメッセージがしっかり伝わる新聞紙上で、日本の憲法を支持するという考えを、自分の最後の強い意見として言う決意をしたのです。
(中略)
 母は新聞社からの二つの質問への答えを口述で私に書き取らせ、それを電話で記者に読めるようにしました。それはもし弱りすぎていて自分で答えられない時のための用意です。其の夜、タイプ、印刷した文章を母に渡しました。翌朝母がベッドに横になってそれを推敲しているのを見て、私は驚きました。ベッドから出られず日々弱くなっていく母を見ていたので、その時期に母にこんな力が残っているとは思えなかったからです。 
(中略)
 恐れていたとおり、木曜日には母はもう起き上がろうともしませんでした。インタビューは午後に予定されていたのですが、母は私に、朝のうちに新聞社に電話してくれるよう頼みました。それは体力が落ちて、話せなくなるのでは、という危惧からでした。母は最後の力を振り絞って、日本憲法を守るためにもう一度、とインタビューに臨んだのです。ベアテは日本で平和のために活動している方達を力づけたいと望んでいました。
 そして10日後に母は亡くなりました。
 日本憲法によって日本人を守るために、自分はできるだけの事をした、と自覚
しながら母は死んでいきました。彼女の最後の仕事はこうして終わったのです。
(中略)
 みなさま、母の遺志と残したものを大事にして下さり、ありがとうございます。日本の人々が世代を超えて長い間日本憲法を守っていけるように、皆様は、きっとこれからも若い人たちに日本の歴史と、日本の女性の歴史を伝えて下さるでしょう。
(中略)
 私はベアテの灰を一部、日本に持ってきました。生前、母の心と精神がいつもそうであったように、母の一部は日本に、富士山の見えるところに眠ります。 Arigatou gozaimashita. (ありがとうございました)
(引用終わり)
 
 なお、映画『ベアテの贈りもの』を和歌山市で上映すべく準備中の女性たちのグループがあります。
 チラシなどはまだ出来ていないようですが、現時点で決定済みの情報を取り急ぎお知らせしますので、参加可能な方は、是非日程をご予定ください。
 
日時 2013年6月4日(火) 3回上映
     第1回 11:00~
     第2回 14:00~
     第3回 18:30~
会場 和歌山市あいあいセンター 6階ホール
     和歌山市小人町29番地
参加協力券
 パンフレット(700円)付き 1,500円(限定30人様)
  ※当日のパンフレット販売はありません。
 一般券(前売・当日とも)
  大人 1,000円
  学生   500円
  高校生・中学生・小学生 無料    
上映作品
 映画『ベアテの贈りもの/The Gift from Beate』
   2004年製作/92分/監督・脚本:藤原智子
 2008年開催「9条世界会議」記録DVDより抜粋
   ~ベアテ・シロタ・ゴードンさんの講演 約15分 
お問い合わせ先:ベアテの贈りものをみる会
 TEL&FAX.073-453-6046(中村)
 TEL.090-2119-9494(国重)
 kayon.bluepools@gmail.com (ナカサト)
 
(参考サイト)
ベアテさん&藤原監督インタビュー(シネマジャーナル)
「ベアテ・シロタさん 憲法草案について語る」(1993年)