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6/17小林節慶應義塾大学教授記者会見(日本記者クラブ)

 今晩(2013年7月3日)配信した「メルマガ金原No.1407」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
6/17小林節慶應義塾大学教授記者会見(日本記者クラブ
 
 私のメルマガ&ブログで小林節(こばやし・せつ)慶應義塾大学教授の発言を紹介するのは、今年で何回目になるでしょうかね。
 「もういいか」と思わないでもないのですが、いったん視聴を始めるとぐいぐいと引つけられます。最近、小林教授のファンになった方も多いのではないでしょうか。
 今回ご紹介するのは、6月17日に小林教授が日本記者クラブに招かれて行っ記者会見の模様です。
 
「憲法96条改正問題」 小林 節 慶應大学教授 (1時間37分34秒)
 
 「JC(青年会議所)」を「自民党の子会社」と評されたところでは、あまりに「言得て妙」なので笑ってしまいました(青年会議所は、自民党改憲案と「そっくりな」憲案を発表しています)。
 もっとも、質疑応答に入ってからの「9条」や「集団的自衛権」の議論になると、「都合の悪い部分をスルーしているだろう!」と突っ込みたくなりますがね(もっとも、それは改憲派であろうが護憲派であろうが同じことかもしれませんが)。
 小林節教授に限りませんが、誰の言説であろうと、無批判に受容する愚(「鵜呑み」とも言いますね)を排し、自ら「とるべきところ」と「批判すべきところ」を峻別できる見識を持ちたいものです。
 
 最後に、日本記者クラブサイトに掲載された記者会見のリポートを2つご紹介します。
 
(リポート1)
小林節・慶応大学教授が会見し、改憲論議の問題点を指摘した。憲法が何であるかを理解しないまま議論がすすめられてきたことが、最大の問点という。かつて神によって選ばれた王による統治が行われていた時代には、対に判断を誤るはずのない王の権力を制限することは考えられていなかった。代のように本来的に不完全な人間が国家を運営する以上、言葉で権力をしばることが必要で、その役割を果たすのが憲法だ、と。その点、自民党の憲法観は、しばる相手を間違えるなど、怪しいとした。96条先行改正については、3分の2から2分の1への発議要件緩和は、憲を国民から遠ざけ、権力側に引き寄せるものにしてしまう、と述べた。
司会 日本記者クラブ委員 瀬口晴義(東京新聞
 
(リポート2/日本記者クラブ会報2013年7月号に掲載)
護憲的改憲派 自民党を一刀両断
とても楽しそうだったと書くと「自分は真剣に話していたんだ」と怒られるかもしない。とはいえ、世間に親しまれているとはいえない憲法論議を伸び伸びと語るさまは、見ていて思わず「○○屋」などと声を掛けたくなる風情だった。これが勢いなのだろう。人呼んで「96条の先行改正を止めた男」。学界でそれりの地位を得た泰斗が学者生活の晩年になって論争の最前線に出張る例はさほどない。「警察に守ってもらっている」と自嘲しつつ、高支持率の安倍政権にけんかを売ったことへの誇りを感じさせた。目新しい学説を唱えたわけではない。「立憲主義」。憲法は権力から国民をるためにあるというのは学界では多数説である。ただ、国が国民を縛るのが憲法だと思っている自民党の保守派をやゆするの「国はいつから国民のストーカーになったんだ!」と一喝する学者はこの国にはあまりいない。「法は道徳に踏み込まず」。これは憲法どころかあらゆる法体系に通じる常識が、ここでも「ローマ時代から分かっている!」と自民党を一刀両断してみせた。自称、護憲的改憲派だけあって話の振れ幅は大きい。改憲論議をタブー視ない安倍首相を持ち上げたかと思いきや、「方向が間違っている」と落とす。「憲法は不磨の大典ではない」「9条の改正は国民投票で通るのではないか」と改憲の勧めをする一方で、「改悪は許されない」と基本的人権にタガをはめようとする保守派をここでも厳しく批判した。自民党が昨年まとめた憲法改正草案は、議席を減らした中でも当選した保守派が主導したものであり、議席が増えた今の自民党では圧倒的な支持を得ていないという見立てが正しいのか。オール安倍派体制などといわれる自民党の先行きをよく見守りたい。
日本経済新聞政治部編集委員兼論説委員 大石 格
 

 

(参考サイト)
自民党「日本国憲法委改正草案 Q&A」(後半に改正草案と現行憲法対照表が載っています)
※これは2012年版ですが、JCは過去何度か草案(試案)を発表しており、孫引きになるのですが、「日本国は、(略)八百万の神が宿るとする自然との共生をはかり、万世一系の天皇を君主として仰ぎ、君民一体として成り立ってきた悠久の歴史と伝統を有する類まれな国家である」などという前文を提案したこともあり、「JCが自民党に似ている」のではなく、「自民党がJC化した」というのが正しいのだろうと思います。
 そうすると、小林教授のひそみにならって言えば、「子会社の役員が親会社の役員に成り上がり、子会社時代の商売のやり方を親会社でもやってみることにした」ということでしょうか。