読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「大阪宣言2013(9条世界会議in関西・会議宣言)」を読む

 今晩(2013年10月18日)配信した「メルマガ金原No.1516」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「大阪宣言2013(9条世界会議in関西・会議宣言)」を読む
 
 去る10月14日(月・祝)、大阪市中央体育館で開催された「9条世界会議・関西2013」において採択された「大阪宣言2013(9条世界会議in関西・会議宣言)」をご紹介します。
 
(引用開始)
      「9条世界会議in関西・会議宣言」(大阪宣言2013)
 
 2013年10月14日、ここ水の都大阪に集う数千人の参加者は、世界各地から参集した多数のゲストとともに、世界平和への貢献を話し合った。参加者らは、2008年5月の9条世界会議が採択した「戦争を廃絶するための9条世界宣言」を踏まえ、今日の日本および世界の情勢に鑑みて、以下の諸原則を、確信をもって世界の人々に呼びかける。
 
 私たちは、安倍政権下で進行している日本の右傾化を深く憂慮している。それは、戦争の真実を伝え反省を述べる言論に対する攻撃、それらを教育現場から追放しようとする動き、さらにはくり返されるヘイト・スピーチの扇動などに象徴されている。安倍政権が「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」である基本的人権を踏みに
じる方向での憲法改悪を企てていることは、この延長線上にある。
 安倍政権による憲法9条改定の動きは、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が
起きることのないようにすることを決意し、……恒久の平和を念願し、……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という決意にもとづいて、「戦
争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を世界に向かって誓ったことをないがしろにするものである。私たちはこれに強く抗議し、9条がもつ世界史的な意味を改めて強く、かつ、深く知る重要な機会をもった。
 
 私たちは、1999年、ハーグで開かれた世界市民平和会議において、ノーベル平和賞(1984年)を受けたツツ司教が「人類は愚かだ。地域紛争は絶えない。しかし、人類は素晴らしい。数千年続いた奴隷制を廃止し、アパルトヘイトをなくした。だから、人類は必ず戦争を廃止することができる。」と呼びかけた言葉を深く、噛みしめる。日
本国憲法9条は、戦争放棄を宣言したことにおいて今日の国際法の精神に合致するのみならず、戦力の不保持を定め交戦権を否認したことにおいて国連憲章よりも一歩先をいく平和条項である。これは、今日の世界の中でまさに必要とされている。私たちは、この先進的な平和条項を破棄してしまうような憲法改定はもちろん、その意味を骨抜きにしてしまうような解釈改憲の動きにも、強く反対する。
 
 私たちは、イラク、アフガニスタンでの戦争に反対し、さらにシリアに対する戦争に断固反対する。私たちは、人間の尊厳と基本的な権利を求めて立ち上がったアラブの人々の勇気に学びたい。世界中に蔓延する暴力と戦争の連鎖を断ち切らなければならない。
 
 私たちはまた、筆舌に尽くしがたい被爆の被害を受けながら、核兵器の廃止を世界に呼びかけ続けている広島・長崎の被爆者に励まされている。いままた私たちは、福島で原発災害による被害に苦しむ住民の人々を支えていく。そして、軍事的抑圧の続く沖縄の人々や、日本による侵略と植民地支配によって苦しめられてきたアジア太平洋地域のすべての人々に対して、日本による帝国的支配の終焉と共に生まれた憲法9条の理念の下で、寄り添うものである。
 
 日本の憲法9条を地域レベルで生かし、東アジアに軍拡競争ではなく平和共同体を作り出さなければならない。私たちは、領土の争いを優先する人たちに、もっと大切な平和の創造に力を振り向けることを強く求める。私たちは、軍備の拡大をめざす人たちに、欠乏と貧困、疫病と旱魃からの自由を優先するように訴える。私たちは、今なお世代を超えて被害に苦しむ枯葉剤エージェント・オレンジ)や地雷、劣化ウラン弾、その他非人道的な戦争の手段による被害者に対して、一日も早い賠償と救済の実現に向けて力を合わせる。
 
 私たちは、世界の一人ひとりの人が、自分らしく生きることができるよう、資源と智慧と能力を傾けて、人権と平和が保障される世界を実現するよう、いっそう強い絆をつくることを願う。私たちは、日本国憲法前文がうたう「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という希望を共有し、恐怖と欠乏から免かれ平和のうちに生きる権利が、国際連合において「平和への権利」として宣言されることを願って、今、ここ大阪の地において、大阪宣言2013を採択する。
 
 

    Global Article 9 Conference in Kansai Conference Declaration

              (Osaka Declaration 2013)

 

On October 14, 2013 in Osaka, thousands of participants, joined by guest speakers from all over the world, to discuss how they can contribute to world peace, and to make a determined call to the people of the world. Building on the Global Article 9 Declaration to Abolish War adopted at the Global Article 9 Conference in May 2008, and in light of the current situation in Japan and internationally, we declare the following principles.

 

We are deeply concerned by Japan's leaning towards the right under the current Abe Shinzo administration, symbolised by attacks against speech expressing regret over the truth of Japan's aggressive wartime history, moves to remove these facts from the classroom, and recent incitements of hate speech. The Abe administration's moves for constitutional revision are an extension of this, threatening to trample on fundamental human rights, which, according to Article 97 of the Japanese Constitution. are "fruits of the age-old struggle of man to be free."

Based on the determination expressed in the Constitution's preamble to "never again be visited with the horrors of war through the action of government... desire peace for all time... trust in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world .. [and] recognize that all peoples of the world have the right to live in peace, free from fear and want," we strongly oppose attempts made by the Abe administration to revise Japan's promise to the world to renounce war, refrain from maintaining military potential, and renounce the right to belligerancy.This conference was an important opportunity to firmly and profoundly reconfirm that Article 9 is of significance in world history.

 

We also deeply recall the words of Nobel Peace Prize Laureate (1984) Bishop Desmond Tutu, delivered in a call during The Hague Appeal for Peace International Civil Society Conference in 1999: “Human beings are awful. But we’ve also learned that human beings are wonderful. We, the People, have helped to end the vicious system of Apartheid... We, the People, have helped to end slavery... If we are determined, we have the capacity to end war."

 

Article 9 of the Japanese Constitution is not only in accord withthe spirit of contemporary international law for its renunciation of war; it is also a peace clause which goes a step further than the United Nations Charter in its declaration not to maintain war potential nor recognize the right to belligerency of the state. This is indeed what is needed in the world today. We are therefore strongly opposed to constitutional revision which would remove this progressive peace clause, or any reinterpretation which would undermine it.

 

We remain adamantly opposed to the Iraq war, the war in Afghanistan, and furthermore to waging a war on Syria. We must break through the cycle of war and violence which is proliferating throughout the world today. We want to learn from the courage of the people of the Middle East who stood up for the fundamental rights and dignity of humanity. We are also encouraged by the survivors of Hiroshima and Nagasaki who, despite enduring indescribable suffering, continue to call upon the world to abolish nuclear weapons. We pledge to support the people of Fukushima who continue to suffer as a result of the nuclear power plant disaster. And we stand shoulder to shoulder with the people of Okinawa where

military oppression continues, and with the people of all over the Asia-Pacific who suffered from the Japanese agression and colonialism, all in the spirit of Article 9, which emerged at the fall of the Japanese empire.

 

We must now utilise Article 9 on the regional level, in order to promote the creation of a regional peace mechanism in East Asia to replace an arms race and then current tensions. We strongly urge those who prioritise territorial conflict to divert their efforts toward the much more important mission to create peace. We appeal to those who aim to expand armaments to give priority to freedom from poverty and want, drought and disease. We join forces for the realization of relief and compensation as soon as possible for victims of depleted uranium munitions, land mines, Agent Orange/dioxin, and other inhumane weapons and tools of war, whose effects even today continue to be passed from generation to generation.

 

We hope to create ever stronger bonds so that each and every individual can live freely, and so that resources, wisdom and ability can be directed toward guaranteeing human rights and peace. We share the hope that Article 9 of the Japanese Constitution can, as stated in its preamble, “occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth.”Furthermore, hoping that the right to live in peace, free from fear and want will be declared by the United Nations as the 'right to peace', we adopt the Osaka Declaration 2013, here in the city of Osaka.

(引用終わり)

 
 宣言の冒頭で言及されている2008年「9条世界会議」で採択された「戦争を廃するための9条世界宣言」をここで想起しておきましょう。
 日本語版
 英語版
 
 この「9条世界宣言(2008)」の中で、「私たちは、日本政府が以下のことに取り組むことを奨励します」として以下の3箇条が提言されていました。
 
(引用開始)
1.日本国憲法9条の精神を、世界に共有される遺産として尊重し、保護し、さらに活性化しつつ、国際平和メカニズムとしての潜在力を実行に移すこと。
2.軍事化の道を歩まず、東北アジアにおける不安定な平和を危機に陥れるような行
動をとらないこと。
3.世界各地における持続可能な開発のための人間の安全保障に注力するとともに、
ミレニアム開発目標の達成という経済大国としての責任を果たすことによって、国際社会で主導的な役割を果たすこと。
(引用終わり)
 
 3項はともかくとして、1項と2項については暗澹とせざるを得ませんね。
 そして、「9条世界宣言(2008)」は、その末尾において、「9」項目の決意を表明していました。
 
(引用開始)
     私たち市民社会は、以下のことに取り組むことを誓約します。
1.9条の主要な原則の維持・拡大を地球規模で促進していくことに真剣に取り組み、
平和の文化を普及していくこと。
2.政治的、市民的、経済的、文化的なあらゆる人権の普遍性と不可分性を認め、
あらゆる人権が実現するための必須条件として、平和のうちに生きる権利を公式に認めるよう求めること。
3.平和、人権、人道援助、軍縮、環境、持続可能な開発といった異なるセクター間
の協力を強めることで能力を高め、効果的なネットワークを築くこと。地元、地域、世界レベルでの市民社会の参加をより拡大するために、政府、国家機関、国際機関との定期的な連絡チャンネルを設置すること。
4.南アフリカの真実和解委員会の経験に学びつつ、過去から学び、紛争予防としての
和解の取り組みをすすめること。
5.人々が、調停、合意形成、非暴力的社会変革といった平和創造の技術をすべて
のレベルにおいて身につけることができるよう、公的および民間の平和教育システムを支持すること。
6.不公平を生み環境を破壊し紛争を助長するようなグローバル経済の力の集中に対
抗して、平和、開発、環境に投資し、公正で非軍事的な経済をつくり出すこと。
7.兵器の生産と貿易に反対してこれらを監視し、企業の社会的責任の責任規範のな
かに平和を位置づけるよう呼びかけること。
8.以上の提言、および、「21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ」(1999
年)、GPPACの世界および地域提言(2005年)、「バンクーバー平和アピール」(2006年)、「暴力のない世界に向けたノーベル平和賞憲章」(2007年)などのさまざまな平和文書に盛り込まれた提言を、実行に移すこと。
9.9条世界会議の成果を発展させつつ、「戦争廃絶のためのグローバル9条キャンペー
ン」によるフォローアップ・メカニズムを創設すること。
(引用終わり)
 
 「戦争を廃するための9条世界宣言(2008)」が、「9条」の精神を地球規模にげていこうという気宇壮大な「明るさ」に満ちていたのに対し、「大阪宣言2013」から受ける印象は、まず何よりも「切迫感」です。それが、「安倍政権下で進行している日本の右傾化」によるものであることは言うまでもありませんが、他方、「世界中に蔓延する暴力と戦争の連鎖」を断ち切ることができない世界の現実からも目を逸らしてはなりません。

 

 「大阪宣言2013」を糧として、「平和を愛する諸国民」と連帯して、日本国憲法の精神を、日本で、アジアで、世界で実現していくために一歩でも前進できるように力を尽くすことを1人1人が決意を新たにすることが求められているのだと思います。