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柳澤協二氏が語る安全保障の“リアリズム”(10/17立憲フォーラム主催講演会)

 今晩(2013年10月19日)配信した「メルマガ金原No.1517」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
柳澤協二氏が語る安全保障の“リアリズム”(10/17立憲フォーラム主催講演会)
 
 小泉純一郎安倍晋三(第一次)、福田康夫麻生太郎という4人の総理大臣ので内閣官房副長官補(危機管理、安全保障担当)を務め、自衛隊のイラク派遣実務などを担当した柳澤協二(やなぎさわきょうじ)氏は、現在、特定非営利活動人・国際地政学研究所の理事長を務めておられます。
 
 公式サイトのトップページには、研究所の目的が以下のように紹介されています。
 
(引用開始)
国際地政学研究所は、シンクタンクとして、地政学的視座をもって我が国の主権の維持、国益の確保、国民の生命財産の保護を保障する国家戦略確立のために必要な各種の調査、研究を活性化し、国内外にわたる多岐多様な情報交換および人的交流を伴う有益な議論の推進により、その成果を広く国民および国際社会に発信し、国家戦略の構築に不可欠な「濃密な知的財産」の蓄積・普及・提供に寄与することを目的とします。
(引用終わり)
 
 研究所の役員を紹介したページを見てみると、理事長の柳澤さん以外の副理事長・理事は、3人とも元幹部自衛官(陸上、航空、海上自衛隊出身者が各1名)、自民党、民主党みんなの党から顧問を迎えている(石破茂自民党幹事長も名前を連ねている!)という、防衛省・自衛隊ラインのNPOであることは一目瞭然なのです
が、その公式サイトに、「デモクラTV『柳澤協二のリベラルな防衛戦略考』」の映像がめ込まれているのを見ると、「ミスマッチ」ではないだろうか?といらぬ心配をついしてしまうことになります。何しろ政治の世界では、「リベラル」はれっきとした絶滅危惧種ですからね。
 
デモクラTV 2013 08 26 柳澤協二のリベラルな防衛戦略考
第1回・「尖閣」の価値(17分04秒)
 
 その柳澤協二さんが、去る(2013年)10月17日、衆議院第2議員会館で開かれ超党派議員連盟「立憲フォーラム」が主催する「集団的自衛権に反対する連続講演会 第1回」の講師として招かれました。
 IWJによって中継され、期間限定で配信されています。間もなく「会員限定配信」になると思いますので、大至急視聴されることをお勧めします(もっとお勧めしたいのは、IWJに会員登録していただくことですが:後述)。
 
2013/10/17 「声高な抑止力」相手国を刺激するだけ。元内閣官房副長官補・柳澤協二氏が安倍政権の安全保障戦略に注文(1時間15分44秒)
 
 柳澤さんによるプレゼンテーションが約40分、その後の質疑応答が約20分ですが、その発言の1つ1つに、長い防衛官僚としての実務経験を踏まえながら、さらに「自省」と「誇り」をも兼ね備えた、非常に納得できる「見識」が反映されています。
 是非とも、1人でも多くの方に視聴していただきたい映像です。
 
 なお、「明日の自由を守る若手弁護士の会」Facebookに、内容の要約が掲載されています。
 
 「アメリカが日本に集団的自衛権の行使を認めるように要求してきたことなどのに、一体、誰のための集団的自衛権なのか?」とか「年間5兆円もの予算をいただいて、ソ連からの限定攻撃を“独力で”1か月は持ちこたえられることを目標に基盤的防衛力を整備してきたはずの自衛隊が、米国に助けてもらわねば、“独力で尖閣jを守れないなどと、どの口で言うのか」、あるいは「イラクは(自衛隊にとって)一番厳しい環境の中での任務だったが、あれ以上、どこで何をしろと言うのか。あれ以上のことはやるべきではないし、あれ以上やったら必ず犠牲者が出る。その覚悟があって『口だけ抑止派』の人は(集団的自衛権の行使を)言っているのか」とか、「侵略戦争の定義が分からない者が、(密接な関係を有する)よその国を助けに行く時に、その国が(侵略されたかどうかが分からないのだから)助けに行けないはずなのだが」などなど、納得せざるを得ない発言の連続ですが、IWJ映像の48分から49分にかけての以下の発言は絶対に聴いていただきたいと思いす。それはこういう発言です(文字起こしします)。
 
「外務官僚は、どっちかっていうと、みんな集団的自衛権論者なんですね。これはだから、彼らは外交の背景になる力が欲しいっていう・・・ちょっとそれは単純過ぎやせんかと思うんですけども。我々はどっちかというと、自衛隊も含めて、本当にいざとなれば、隊員の命がかかる訳ですから、本当に国にとってどれだけ、なぜ必要なんだっていうことが、最終的に納得できないと、昔のように、靖国に祀られりゃいいっていう話ではないのでね。そういうところが、何なんだろう、それはエモーションなのかもしらんけれど、それも一つのリアリズムだと思うんですね」
 
 抽象的な「国益」を持ち上げることではなく、自衛隊員1人1人の命の重さを自らの身に引き受けることこそが「リアリズム」だという「防衛官僚としての気概」を見た思いです。
 安全保障を語るに際し、最低限必要な「リアリズム」とは何かについて、非常に示唆に富む講演であると思います。
 
(IWJからの緊急のアピール)
 上記の映像も配信してくれているIWJから緊急のアピールが届いています。私のところに岩上安身さんからメールが届いたのは定額会員だからだと思いますので、全文引用は避けますが、ポイントとなる部分のみ紹介します。
 
(岩上安身さんからの2013年10月13日付訴え・抜粋引用開始)
 この秋、IWJは、大きな存続の危機に直面しています。
 2013年1月初頭に会員数が5000人に達しましたが、それ以後、毎月、5000
人を割り込んでは元へ戻す繰り返しが続き、8月15日に4563人に割り込んでから以後、5000人台を回復していません。残念ながら、年内の目標として掲げた会員数1万人という目標は、達成が厳しい見通しになりました。
 会員数が足踏み状態を続けながらも、配信規模を維持するため、第三期は
岩上安身個人の資金をIWJに貸し付ける形で継続してきましたが、それも限界です。8月までで、IWJの手元の余裕資金はほとんど底を尽いてしまいました。私自身も、1000万円以上の資金をIWJに注ぎ込み、もはや私個人の預貯金も底を尽きました。
(略)
 会員数の伸び悩みは、IWJが直面している「成長の壁」です。これは次なるステ
ップのための試練の踊り場かもしれませんし、または、我々の限界、あるいは日本におけるインターネット報道メディアの限界なのかもしれません。まだその答えは出ていません。
 あるいは、民意を無視しての原発再稼働、TPPの交渉参加強行、そして昨年末の衆議院選挙、そしてこの度の参議院選挙の結果に、つくづく落胆し、政治への関心をなくてしまったり、現実から一時的であれ目を背けたくなった方々が急
増したためかもしれません。そうであれば事態はより深刻です。
(略)
 そうなると残る方法は取材件数、配信本数を制限し、その分、人件費をカット
していく方法です。これは「このままだと配信本数の規模を縮小せざるを得ません」と、度々ツイッターその他で申し上げてきた通りの方法です。
 IWJしか報じていない報道、テーマもずいぶんあり、配信規模の縮小は忸怩た
る思いですが、蓄えが底を尽き、手から口という状態になった今、一刻の猶予もありません。収支が改善されるまでは、2割~3割の配信規模の縮小はやむを得ないと思っています。
 ここで皆様にもう一度お願いです。
 私自身をはじめ、スタッフ一同、もう一度初心に帰り、気を引き締めて努力し続
けていきたいと思っております。
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が欠かせません。どうか、IWJへ寄付・カンパによるご支援もお願いします。仮に収入が増えれば、その分は活動費・人件費に回し、配信規模の回復、そしてさらなる拡大とコンテンツの充実に振り向けたいと思います。どうぞご支援をよろしくお願いします。
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岩上安身 拝
(引用終わり)