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『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』を読んで活用しよう!

 今晩(2013年12月19日)配信した「メルマガ金原No.1578」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
 
『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』を読んで活用しよう!
 
 これまでも、本メルマガ(ブログ)で特定の書籍を取り上げてご紹介したことは何度かありましたが、いずれも自分が読んだ上で、「皆さんにも是非読んでもらいたい」と考えて取り上げたものばかりでした。
 
 ところが、今日ご紹介する書籍『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』(梓澤和幸、岩上安身、澤藤藤一郎共著/現代書館/2013年12月20日刊)は、私自身入手したばかりであり、まだ3人の共著者による「まえがき」(岩上氏)と「あとがきにかえて」(梓澤氏、澤藤氏)こそ読んだものの、それ以外の部分はつまみ食い的に何カ所か目を通しただけにもかかわらず、皆さんに是非購入してお読みいただきたいとお薦めしようというのですから、我ながら大胆極まりないという気もします。
 
 岩上安身(いわかみ・やすみ)さんの「まえがき」から、この書籍の成り立ちを説明した部分を引用します。
 
(抜粋引用開始)
 旧知の梓澤和幸弁護士に、私の主宰するIWJの中継配信番組の一つとして、自民党改憲草案の徹底的な読み解きをお願いできないか、とご相談したところ、同期の澤藤統一郎弁護士にも加わってもらってやろう、という話になった。逐条で日本国憲法と対照しつつ自民党の改憲案を読み進めていった結果、我々3人の逐条憲鼎談の番組は、約半年間にわたり、12回を数え、計25時間におよんだ。
(引用終わり)
 
 そして、この12回の鼎談の文字起こしに手を加え、さらに詳細な注や参考資料の引用などを加えて本書が成った、ということのようです。
 
 そのIWJの中継アーカイブは、サポート会員限定配信となっていますが(年間3万円以上の会費を払う人がサポート会員)、可能な方は是非サポート会員に登録の上、書籍版と映像版の双方を活用して、理解を深めていただきたいと思います。
 
※IWJ会員登録→ http://iwj.co.jp/join/
 
2012/12/12 自民党の憲法改正案についての鼎談
※この回のみ平山茂樹さんが聞き手となっています。
2012/12/28 自民党の憲法改正案についての鼎談 第2弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/46966
2013/01/25 自民党の憲法改正案についての鼎談 第3弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/55018
2013/03/12 憲法96条の改正は、憲法総改正の第1歩 ~自民党憲法改
正案についての鼎談 第4弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/67033
2013/03/27 教育の内容を決めるのは国家ではない ?自民党の憲法改正
案についての鼎談 第5弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/70640
2013/04/09 「在特会ヘイトスピーチは侮辱罪の連打。被害者でなくとも、
誰でも刑事告発できる」―自民党の憲法改正案についての鼎談 第6弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/73257
2013/05/02 「加害者の側が人間じゃなくなる」 梓澤弁護士、改憲草案第
36条に怒りと涙の訴え ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第7弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/77025
2013/05/09 「一見して良い条文に騙されてはいけない」 ~自民党の憲法
改正案についての鼎談 第8弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/77866
2013/05/15「少なくとも2000万人を殺戮した日本が、アジアの一員として生
きていけるのは、『二度と戦争をしない』という誓いを立てているからだ。これをしてはいけない」~自民党の憲法改正案についての鼎談(ていだん)第9弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/78997
2013/05/20 「取り消せ!」「謝れ!」「辞めろ!」澤藤弁護士、橋下市長
を批判 ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第10弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/80063
2013/05/28 「人権に対する国際秩序を否定するのが橋下市長」 ~自民
党の憲法改正案についての鼎談 第11弾
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/82026
2013/06/10 「民主主義と人権の停止」 自民党改憲案について、澤藤・梓
澤両弁護士が危機感を示す ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第12
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/84119
2013/06/18 自民党の憲法改正案を総括 「現行憲法の精神をすべて覆す
もの」 ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第13弾
 
 鼎談者の1人である澤藤統一郎(さわふじ・とういちろう)さんのブログ「澤藤統一郎の憲法日記」に、『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』が、その発売日に取り上げられてした。
 何故この本のタイトルが『前夜』なのか?を説明して余すところがありません。是非お読みいただければと思います。
 
2013年12月12日 「前夜-日本国憲法と自民党改憲案を読み解く」本日発売。
(抜粋引用開始)
 「前夜」という書名の提案があったときには、少し大袈裟じゃないかなとの印象をもた。前夜とは、「改憲」の前夜でもあり、再びの開戦の前夜であり、あるいは現行法の理念が投げ捨てられた「軍国主義国家」「全体主義国家」成立の前夜との味であろう。既に、「Point of No Return」(後戻り不能点)一歩手前の状況にあることの警告の意が込められている。いま、そこまで行っているのかなとの思いはあった。
 しかし、一番熱心な読者である編集者が、この書物を通じてそのような危機感を持ったというのであれば、「前夜」というタイトルもふさわしいのだろうと、承諾した。
(略)
 
 ところが、その後の特定秘密保護法審議の状況はいったい何ということだ。紛れもなく「前夜」にふさわしいのではないか。あっという間に、状況がこの書名に追いついてしまった。戦前、議会制民主々義の危機は、軍国主義の進展と裏腹だった。この18臨時国会の55日は、議員がその職責を放棄した過程だった。しかも、広範な国民の良識ある声に、敢えて背を向けてのことである。これは、ただ事ではない。
 
(略)
 また、安倍内閣が来週初めて「国家安全保障戦略」(NSS)を決定する。明らかな、「米国とともに戦争できる国」づくりの第一歩。防衛大綱・中期防も、今後はNSS指針とすることになる。貫かれるのは、「積極的平和主義」。集団的自衛権の行使や、多国籍軍への参加、「海兵隊」機能の強化、敵基地先制攻撃などが示唆されている。「武器輸出三原則」撤廃、愛国心の盛り込み、過剰な中国敵視が問題視されている。
 
 「前夜」は大袈裟ではないか、そんな印象をもった私の感性が鈍いのだ。特定秘密保護法は明らかな軍事立法である。石破の論理なら、国家の安全保障はすべてに優先する。これから先、国家安全保障基本法を中核とする諸軍事立法の予定が、目白押しである。民主々義も人権も平和も極めて危うい。「前夜」はけっして的外でも誇張でもない。この時代に、警鐘を鳴らし続けなくてはならない。「前夜」のを伏してお願い申し上げる。 
(引用終わり)
 本文だけで333頁にのぼるこの本は、1日や2日で読了できるものではありません。鼎談ですから、一般的な論文よりも読みやすいかもしれませんが、詳細な注(ページ数圧縮のためか字が小さい!)も含め、内容をしっかりと理解するのは、実はそほど容易なことではありません。さらに、内容から言って決して高価ではないとは思うものの、2500円(+税)という価格設定は、購入をためらわせる要素になるかもしません。
 しかし、それでも私はこの本を「是非お読みいただきたい」と強く薦めたいと思います。
 以前に比べれば、安倍晋三政権の目指す国家像がかなり知られるようになってきたとは言うものの、まだまだ国民の広い層の共通認識になっているという状態にはほど遠いと言わざるを得ません。
 近所のおじちゃん、おばちゃん、親戚のおじいちゃん、おばあちゃん、それに何よりも、私たちの身近にいる若者たちに、「この国の将来が危ない」「今立ち上がらなければ取り返しがつかない」ということをどれだけ理解してもらえるか、しかも「可能な限り速やかに」ということが喫緊の課題である今、彼らの「企み」「本性」を余すところなく暴露する自民党「日本国憲法改正草案」の正体を、日本国憲法と対比して徹底的に解明する本書の登場は、まさに「時宜に適った」ものと言うべきです。
 個人として読むだけではなく、地域、職場、サークルなど様々なところで本書をキストとした学習会を行うことが望まれます。
 そのような学習会のチューターとして来て欲しいというご要望があれば、これに応じられる弁護士9条の会も各地にありますし(多分あるでしょうね?少なくとも和歌山は「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」があります)、もしも無ければ自由法曹団や青年法律家協会の支部に相談するという方法もあります。また、アスワカ(明日の自由を守る若手弁護士の会)も積極的に講師を派遣する態勢を整えつつあるようです。
 
 最後に、鼎談者の1人である梓澤和幸(あずさわ・かずゆき)弁護士の「あとがきにかえて」の末尾の文章を引用したいと思います。
 この文章に込められた梓澤さんの「願い」を届ける務めは、私たち1人1人も負ねばならないのだという思いをかみしめながら。
 
(抜粋引用開始)
 鼎談を終えるにあたり、本書を、高校3年か大学1年に在学するか、新しい職場生き、または自宅で呻吟する18歳の君と、青春のただなかにあって深い悩みを持ちながら、手さぐりで、生きる道を模索していた18歳の私に捧げることを許していただきたい。
 熱い心の君に。

 

(引用終わり)