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柳澤協二さんの覚悟~1/10名護市でのシンポにて(辺野古をめぐる言葉に耳を澄まそう 3)

 今晩(2014年1月11日)配信した「メルマガ金原No.1602」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
柳澤協二さんの覚悟~1/10名護市でのシンポにて(辺野古をめぐる言葉に耳を澄まそう 3)
 
 昨日(1月10日)の夜、沖縄県名護市民会館大ホールにおいて、新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」が開かれ、期待通り、立ち見も出る満員の聴衆が詰めかけました。
 開催趣旨や登壇されたパネリストの経歴等については、主催者公式サイト及び私のブログの告知記事をご参照ください。
 
新外交イニシアティブ(ND)公式サイトより シンポジウム開催案内
 
弁護士・金原徹雄のブログより 
急告・1/10 シンポ@名護市「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考る」(新外交イニシアティブ)
 
 このシンポジウムの模様は、昨日から沖縄入りした岩上安身さんが自らスタッフとともに取材し、IWJ沖縄チャンネル1によって完全中継されました。
 そして、私は今日の午後、3時間に及ぶ中継映像を「完全視聴」しました。
 IWJのアーカイブは、基本的に「期間限定配信」ですが、多分、今回の名護市長選挙関連の映像は、少なくとも、1月19日の投開票日までは誰でも無料視聴できるように開放してくれるのではないかと思います。岩上さんの侠気(おとこぎ)から考えて、多分間違いないでしょう。
 皆さん、この機会に是非IWJへの会員登録をご検討ください。
 
IWJ アーカイブ映像 2014/01/10
【名護市長選】辺野古移設を巡り名護市内でシンポジウム
稲嶺氏「移設強行なら、抵抗の先頭に」~新外交イニシアティブ(ND)シンポ
ジウム「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」
 
 以下に、視聴のための目安時間を記載しておきます。
 
冒頭~ 岩上安身さんによる猿田佐世さん及び伊波洋一さんへの短いインタビュ
37分~ シンポジウム開始(猿田佐世ND事務局長)
42分~ 基調講演(柳澤協二ND理事)
(内容骨子)
 普天間問題の本質
 解決を困難にしてきた要因
 歴史的経緯
 普天間移設の経緯
 アメリカの本音
 海兵隊は沖縄に必要か?
 沖縄の将来を誰が決めるのか?
1時間17分~ ビデオメッセージ(マイク・モチヅキND理事)
1時間22分~ パネルディスカッション
(パネリスト)
稲嶺進氏(名護市長)
仲里利信氏(元沖縄県議会議長、元自民党沖縄県本部顧問)
前泊博盛氏(沖縄国際大学教授、前琉球新報論説委員長)
柳澤協二氏(元内閣官房副長官補(安全保障担当))
(コーディネーター)
猿田佐世氏(ND事務局長、弁護士)
2時間40分~ シンポジウム終了後の岩上休身氏によるぶらさがりインタビュー  
 
 シンポジウムの中身自体については、IWJの中継映像を直接ご覧いただきたいのですが、以下には、今回のシンポジウムを緊急開催することを提案し、基調講演を行った柳澤協二さんの、講演冒頭の発言、及びシンポ終了後の岩上安身さんによるインタビューの一部を書き起こしましたので、是非お読みいただければと思います。
 防衛官僚として勤め上げ、現在でも防衛省系のNPO法人「国際地政学研究所」( http://www.igij.org/ )の理事長という立場にある柳澤さんは、これまでも自由にご自分の信念に基づく発言をしてこられたように私たちには見えるのですが、やはりそれなりの葛藤はあったことでしょうし、特に、今回の辺野古をめぐる問題についてのご自身の行動については、「どんな不利益があっても、やるべきだと信じたことをやるしない」という覚悟が、映像を通じてひしひしと伝わってきました。
 私が文字起こしまでして、柳澤さんの発言を知っていただきたいと思ったのも、以上のような感銘を受けたことによります。
 なお、文字起こしに際しては、読みやすいように一部修正を施した部分がありますので、是非映像も併せてご覧ください。
 
(基調講演冒頭での柳澤協二さんの発言/IWJ映像の42分~50分)
 私、今ここでご紹介いただいたような経歴で、私が官邸でお仕えした小泉総理の息子さんが昨日、さっき街歩いてたら、進次郎さんが昨日、こちらにお見えになったそうなんですが、私どもは、それほどのビッグネームでもキャラでもないんですけれども、さっき歩きながら考えてたんですがね。「ちょっと待て」と。「俺は一体何でこんなとこまで来ちゃったんだろうかな?」なんてことを考えながら。
 というのは、今でも、私の真面目な後輩たちがこの問題にそれなりに一所懸命取り組んでいるわけであります。私も、世が世であれば、という言い方は変ですが、こうしてここに来るのは、皆さんに伏して「受け容れてください」とお願いするのが本来の仕事であったわけであります。そうであるにもかかわらず、「何でこんなことを今、考えるようになっちゃったのかな?」ということなんですけれども。
 この秋の臨時国会の中で、日本版NSCの法案を審議している時に、私、衆議院の委員会に参考人として呼ばれて、そこで意見を申し上げたんですけど。
 私自身の経験からいっても、政府といっても、人間には必ず間違いってものがあるんですと、そういうことを謙虚に反省する、そういう感性がなければ、あるいは、人の意見にきちんと耳を傾ける、そういう感性がなければ、どんな制度を作ったって、国はうまくいきませんということを、わたしは申し上げてきたのであります。
 もう40年近く防衛官僚として勤務して、辞めてから4年、5年位になりますけども、やはりそうであるが故に、であるが故に、防衛官僚として身につけた軍事専門的な知識、あるいは官邸で身につけさせていただいたいろんな政策決定のプロセス、そういうものをどうやって世の中に還元していくのか、どういうものを使って、もっと違う見方ができるんじゃないのかと。
 自分のやってきたことも、私は自信をもって申し上げますが、決して100点満点ではなかった。色々間違いもあったわけですから、そういうものはそういうものとして、なぜどこで間違えたのかということをしっかりと反省をしながら、それをまた世に戻していかないと、国はいつまで経ったって、賢くなれないというのが私の信念でありまして。そういう観点で、昨年も色々、集団的自衛権問題を中心に、政府にたてつくことを、いろんな言論活動をやらせていただいておったわけでありますけれども。
 今回もそういう延長線上で・・・、これは私は自分の判断の甘さを自己批判したんすけれど、もう少し知事は県民のこれだけの声がある中で、県民の声を代表する立場の政治家として、もっと頑張ってくれるんじゃないかという期待感を持っていたんであります。
 私は、この問題の一番のポイントは、色々な取引の条件は、それはその政治交渉の中であり得ると思うんだけれど、「5年以内の普天間の利用停止」というのが、ここが一番の肝だと思ったんですね。ところが、ここについて、新聞によればですよ、政府は抑止力を理由にして、明確な回答をしなかったということなんであります。
 であるにもかかわらず・・・、それはまあ、知事もご苦労されたんだと思うんだけれど、あの喜び様は一体何なんだと、苦渋の色が見えないところが、私ども、非常に気になったんですね。
 こういうことになってしまうと、日本の文化の悪いところですけど、もう済んだことだからという風なことになって、そして、政府は返還を、普天間返還を出来るだけ早くやると言ってるんだから、名護市が反対すれば、それが邪魔ものになるんじゃないかというような形で、県民の意思が分断されていってしまうという、そういう心配を私は個人的にして、何とかこれは、私が出来ることをしなければいけないという思いで、今日のシンポジウムを開かせていただいたわけであります。
 案外そういう心配は、この(満員になった会場の)状況を見ると、杞憂なのかもしれないと思うんですが、まあそういう立場で、時間もあんまり私が使い切るわけにいきませんので、私なりの認識を申し上げて、もう皆さんよくご存知のことが多いと思いますが、東京から、そして防衛官僚を長年勤めてきた人間が、どういう目で~あっ、こんな人間はほとんどいません、はっきり言って。すごく私は防衛省から見れば奇人変人だと思いますが~だけどこういう見方もあるということをご承知おきいただければという思いでお話をさせていただきます。
 
(シンポジウム終了後の岩上安身さんと柳澤協二さんの立ち話から/IWJ映像2時間49分~2時間53分)
岩上 お疲れ様でした。柳澤先生、我々のカメラずーっと中継しておりましてですね。空港で、今日ばったり羽田空港でお会いしましたけれど、今日のこのシンポジウムに臨む覚悟いたいなことをポロっと仰ってたじゃないですか。「これで防衛省とも本当に縁が切れちゃったな」と仰ってましたけど、その位、「しかし言うべきことを言わなければ」と仰った。どういう気持ちで今回のこのイベントに臨まれたんですか?
柳澤 本当にその何ていうか、知事の埋立申請承認を聞いて、やっぱり何とかしないかんなと思ったということですね。こういうこと言えば、防衛省の後輩の皆さんが迷惑するだろうということが分かってるだけにね。だけどこれは、やっぱり(防衛省OB?)であるが故に、私が言わなきゃ、やっぱりいけないだろうという思いですね。
岩上 この大変短い期間で、このイベントをやろうというのは、猿田さんが考えたというより、柳澤さんのイニシアティブだったという風に仰ってたんですけど。
柳澤 何かステートメントをというお話があったんで、猿田さんから。ステートメントよりも、本当にこれで名護の反対の声がね、かえって沖縄全体で浮いちゃって、分断されちゃうようなことが一番心配さよねということで、むしろステートメントよりは、成功するかどうか分からんけど、選挙始まる前に名護に行こうという話を。
岩上 今日、2階席も超満員でしたよ。立見もいました。
柳澤 猿田さんの、あのやっぱり中年女性って言ったら怒るかな?あの行動力の凄さですね。驚きました。それからやっぱり、このテーマにかけるここの(名護の)人たちの思いですね、やっぱり。これは、生半可な思いじゃお付き合いできないね、とても。
岩上 今日は最後のところでですね、「逆に私が宿題をいただいた」という風に仰ってました。「こちらへ来て、ステートメントを出すんだという位のつもりだったのに、逆に色々と教えられた」と仰ってましたが、何を感じられて、また、それを、何を届けようと、中央とかで・・・。
柳澤 すごく皆さんの感覚は分かるつもりなんだけれど、じゃあこの言葉でこのままね、このまま東京の安保専門家に言ったって通じないわけ。それをね、どう戦略的な言葉にもっともらしく置き換えて翻訳して、しかもこの思いをそのまま伝えることが出来るかっていうことですね。そういうことを考えてかないと、生きた戦略論にならないな、という思いで聞かしていただいた。そんなつもりでさっき申し上げたんですけどね。
 
(参考サイト)
IWJアーカイブ映像
2014/01/11 【沖縄】岩上安身による稲嶺進名護市長インタビュー
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/119326
 シンポジウムの中でも触れられていましたが、今日(1月11日)の午後4時から、岩上休身さんによる稲嶺進名護市長へのインタビューが行われ、アーカイブ映像が視聴できます(51分)。