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ジュゴンを守る、ジュゴンが守る

 今晩(2014年8月26日)配信した「メルマガ金原No.1829」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
ジュゴンを守る、ジュゴンが守る
 
 米国のサンフランシスコ連邦地裁に通称「ジュゴン訴訟」が係属していることをご存知でしょ
うか?
 この訴訟に新たな動きがあったことが報じられています。
 
(引用開始)
 餌場に向かおうとしていたのだろうか。特徴ある胴体と尾ひれ。海面に浮かび上がるその姿
は、何かを訴えているようにも見える。
 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古への新基地建設で沖縄防衛局は18日、
キャンプ・シュワブ沖のボーリング調査を本格的に開始した。
 その前日だった。国の天然記念物ジュゴンとみられる生物が辺野古の東方約5キロの沖
合で目視された。共同通信の記者がヘリコプターで上空から確認した。専門家は「ジュゴン
に間違いないだろう」と話している。
 最近になって、ジュゴンが餌を求め頻繁に辺野古海域を利用していることが分かった。市
民グループ「北限のジュゴン調査チーム・ザン」の調査で、今年5月から7月のわずか2カ月足らずの間に「ジュゴン・トレンチ」と呼ばれるジュゴンの食痕(しょくこん)が埋め立て予定海
域で110本以上も見つかったのだ。
 日米の環境保護団体が米国の文化財保護法(NHPA)に基づき同国で起こした「沖縄
ジュゴン訴訟」で、新基地建設の差し止めを求める追加申し立てが受理され、再開されることになった。米サンフランシスコ連邦地裁は、2008年の中間判決で、米国防総省に対し、
NHPAに沿ってジュゴンへの悪影響を考慮する措置を取るよう命令していた。
 同時期に起きたこれらの事柄から導き出されるのは、当然埋め立ての中止である。政府
ジュゴン保護に向け、十分に時間をかけた科学的な再調査を行うべきである。
 防衛省は環境影響評価(アセスメント)で、ジュゴンの食痕が少なかった05年から08年
までのデータに基づき、ジュゴンがこの海域を利用する可能性は小さいと結論づけた。しかし、09年以降、ジュゴンが同海域を利用する頻度が増えている。特に今年見つかった多数の食痕について防衛省はどう説明するのか。「埋め立てありき」の環境アセスのずさんさが露呈した
と言わざるを得ない。
(略)
 環境省は沖縄のジュゴンを絶滅の恐れが極めて高い「絶滅危惧1A類」に指定している。
同省はまた、ジュゴンが生息する辺野古沖などを生物学的な観点から「重要海域」として選
定した。
 10年に名古屋市で開かれた生物多様性条約締約国会議では、「脆弱(ぜいじゃく)な生
態系への悪影響を最小化する」「絶滅危惧種の絶滅・減少を防止する」などの行動計画が採択された。現在、辺野古の海で進められている埋め立て工事は、これと相反するものであ
り、続行すれば国際社会からの批判は免れない。
(引用終わり)
 
 この問題を神保哲生さんと宮台真司さんが分かりやすく語り合っている映像があります。
 
 
(番組案内引用開始)
 米軍の普天間基地移設先として予定されている名護市辺野古の建設予定地の沿岸に
生息するジュゴンを保護するため、日米の環境保護団体らが米国防総省に基地建設の中止を求めていた裁判で、サンフランシスコ連邦地裁は原告側の再提訴を受理する決定を8
月15日までに下していたことが、このたび明らかになった。
 今後審理が行われる過程で、サンフランシスコ連邦地裁がジュゴンへの保護策が不十分
と判断した場合、国防総省に対して十分な保護策が取られるまで事実上の工事の差し止
めを命ずる可能性がある。
 実際に基地を建設するのは日本政府だが、国防総省に対して事実上の工事の差し止め
命令が出た場合、辺野古の埋め立て滑走路が接岸することになるキャンプ・シュワブが使え
なくなるため、実質的に工事差し止めの効果を持つ可能性があるという。
 ジュゴン訴訟は2008年1月の中間判決で、米文化財保護法(NHPA)違反を認定し、米
国防総省に対し、ジュゴンへの悪影響に対応する措置を取り、これを報告するよう命じていた。今年4月に国防総省が判決で命じられた報告書を原告側に通知したが、原告側は報告書が原告側との十分な協議なく作成されたため無効であると主張し、今回の再提訴に踏み切
ったという。
 早ければ半年以内に判決が出る見通しだという。
 辺野古の基地建設工事を止める可能性があるジュゴン訴訟について、ジャーナリストの神
保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
(引用終わり)
 
 参考までに、上記映像の冒頭で神保さんが紹介しているクリップボードの記載内容を転記しておきます。
 
       ジュゴン訴訟
1996年 4月 日米普天間基地移設を合意
1999年11月 県が移設候補地に辺野古を決定
2008年 1月 サンフランシスコ連邦地裁が米文化財保護法(NHPA)違反を認定。
ジュゴンへの悪影響を考慮する措置」を米国防総省に命令
2014年 4月 米国防総省ジュゴン保護策の「報告書」を原告側に通知
2014年 7月 日本自然保護協会が建設予定海域で2ヶ月110ヶ所のジュゴン
海藻の食痕を報告
2014年 8月 原告が再提訴し、受理される
 
 沖縄タイムスが指摘する「防衛省は環境影響評価(アセスメント)で、ジュゴンの食痕が少なかった05年から08年までのデータに基づき、ジュゴンがこの海域を利用する可能性は小さいと結論づけた」との関連で言えば、確かに、近年、ジュゴン辺野古沖にやって来る頻度が高まっていることは間違いなく、同社説が指摘している8月17日の共同通信記者による目視以外にも、7月3日には琉球朝日放送が、8月22日には日本テレビが、それぞれ鮮明なジュゴンの泳ぐ姿の撮影に成功しています。
 
(記事引用開始)
 ヘリコプターの大矢記者は「けさも多くの作業船が出ているキャンプシュワブから、およそ10キ
ロほどの距離に、ジュゴンの姿が確認できます。太陽の光をさんさんと浴びながら、気持ちよさそうに泳いでいます。青く澄み渡ったやんばるの海に、真っ白なジュゴンが現れました」とリポート
しました。
 この一帯でジュゴンの食み跡調査を続けている、「北限のジュゴン調査チームZAN」の鈴木
雅子代表は、工事着手というタイミングでの発見について、「私たちが常に食み跡の調査をしている嘉陽という場所でテリトリーで餌を食んでる成体の雄だと思うんですね」「今現在確認されている地域個体群がみんな力を合わせて、自分たちはここで生きているんだよ、一緒に生きようよということを、人間に伝えてるんじゃないかと私はすごくありがたく感じてますね」と話してい
ました。
(引用終わり)
 
(記事引用開始)
 日本テレビのカメラが22日、絶滅危惧種ジュゴンの姿をとらえた。
 沖縄県名護市辺野古沖で、22日午後1時半頃、日本テレビのカメラがジュゴンの映像
を撮影した。ジュゴン絶滅危惧種に指定されていて、映像を見た三重県鳥羽水族館若井嘉人副館長によると、大人のジュゴンとみられるという。泳いでいるジュゴンの映像はめず
らしいという。
 辺野古沖はアメリカ軍普天間基地の移設先とされ、移設に向けたボーリング調査が始まっ
ている。基地の移設が辺野古沖の生態系に影響を及ぼすのではという声も出ている。
(引用終わり)
 
 日本政府(安倍自民公明連立政権)による辺野古沖での工事強行に符節を合わせるよ
うに、ジュゴンが頻繁に辺野古沖に現れるようになったのは「偶然」なのでしょうか?それとも何らかの「天意」が示されているのでしょうか?あるいは、鈴木雅子さんが言うように、ジュゴン
我々に「一緒に生きようよ」と訴えかけているのでしょうか。
 私たちがジュゴンを守ろうとしているように、ジュゴン辺野古の海を守ろうとしてくれているのかもしれま
せん。