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法律家等4団体が和歌山県議会議長・各会派に共同申入書を送付(憲法改正促進意見書採択を阻止するために)

 今晩(2014年9月24日)配信した「メルマガ金原No.1858を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
法律家等4団体が和歌山県議会議長・各会派に共同申入書を送付(憲法改正進意見書採択を阻止するために)
 
 私が、現在開会中の和歌山県議会総務委員会に、「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」を採択することを求める請願(日本会議和歌山が提出)が付託されていることを知ったのは9月18日のことであり、この事態を県民に広く知ってもらうため、緊急にその日のメルマガ&ブログに取り上げました。
 
 
 そこでは、「来る9月22日(月)に総務委員会で審議される予定」と書きましたが、同日中の採決は行われず、明日9月25日(木)午前10時過ぎから再会される総務委員会において、おそらく採決されるのではないかと観測されています。
 
 総務委員会委員である高田よしかず議員(日本共産党)のブログに、22日の総務委員会について、以下のような記述がありました。
 
がんばれ!高田よしかず 2014年9月22日
常任委員会での審査

(抜粋引用開始)
(略)
 総務委員会には憲法改正の意見書を求める請願が付託されており、その審議の状況が
注目されています。今日の委員会審議にも採択に反対する方々が傍聴にかけつけてくださり励まされました。なお、請願の採決は25日の10時すぎに再開予定の総務委員会に持ち越されました。
(引用終わり)
 
 なお、この間、県地評(和歌山県地方労働組合評議会)の呼びかけにより(だと思うのですが、私は県地評の杉勝則さんから教えてもらいました)、県議会総務委員会に、拙速に採択することのないよう求める要請書が多くの団体から送られており(総務委員会に委員を出している自民党県議団と共産党県議団宛)、私が18日に県地評に電話して確認した段階で、約30の団体から要請書が送られているということでしたので、本日(24日)までにさらに増えているだろうと思います。
 また、労働組合や民主団体だけではなく、この事態を憂慮した個人からも要請書が送られ
ているやに聞いています。
 
 
 さて、18日に第一報をお知らせした後、私がどうしていたかと言うと・・・。
 とにかく、この問題に当然関心を持つべき団体で私が関与しているところには情報提供を
行い、県議会各会派に対する申入書の提出を提案しました。そして、経緯は省略しますが、最終的に本日(9月25日)、9条ネットわかやま、憲法9条を守る和歌山弁護士の会、自由法曹団和歌山支部、青年法律家協会和歌山支部の4団体が共同申入れを行うことと
なり、急遽「申入書」が作成され、本日午後5時過ぎに、
  和歌山県議会議長(議会事務局)
  自由民主党和歌山県議団
  改新クラブ
  日本共産党和歌山県議団
  公明党和歌山県議団
宛にFAXで送信して執行されました。
 「申入書」のPDFファイルはこちらです。
 
 以下に、「申入書」の全文を引用します。
 
(引用開始)
                               2014年(平成26年)9月24日
 
和歌山県議会 議長 坂 本   登 様
自由民主党和歌山県議団 御中
改新クラブ 御中
日本共産党和歌山県議団 御中
公明党和歌山県議団 御中
 
                 9条ネットわかやま
                   世話人代表  花 田 惠 子
                       同    藤 井 幹 雄
                 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
                   代表世話人  豊 田 泰 史
                       同    藤 井 幹 雄
                       同    山 﨑 和 友 
                 自由法曹団和歌山支部
                    支 部 長  由 良 登 信
                 青年法律家協会和歌山支部
                    支 部 長  岡    正 人  
 
                【申入書 送信元】
                 〒640-8142
                 和歌山市三番丁6番地 関西電電ビル4階
                  TEL:073-427-0852
                  FAX:073-427-0853
                      弁護士  金 原 徹 雄
 
        「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」提出を求める請願
                   についての申入書
 
 日頃、和歌山県民の福利厚生、県勢の発展等にご尽力いただき、まことにありがとうござます。
 
 私たち4団体は、平和的生存権を始め、日本国憲法が国民に保障した基本的人権の擁
護を念願とし、様々な活動を行ってまいりました。
 ところが、現在開会中の和歌山県議会9月定例会において、標題の請願(以下「本請願」
といいます)が受理され、総務委員会に付託されたことを知りました。本請願がそのまま採択され、本会議において和歌山県議会が請願の趣旨に沿った意見書(地方自治法99条)を議決するようなことがあれば、由々しき事態を招くことになると考え、本請願を拙速に採択することなく、伝えられるような内容の「意見書」を議決されぬよう、共同して申し入れます。
 
 私たちが、本請願に反対する理由は以下のとおりです。
 
 本請願は、「我が国を取り巻く東アジア情勢は、中国の軍拡による尖閣諸島への軍事的脅威の増大、北朝鮮による核ミサイル開発によって緊迫化しており、一刻の猶予も許されない事態に直面して」おり、「国内では家庭、教育、環境などの問題や、大規模災害等への対応が求められるようになっている」ので、「国権の最高機関として、国民から国政を付託されている国会は、国民に対して憲法規定の是非を自らが判断する国民投票の機会を一刻も早く与える責務がある」と結論付けています。
 しかしながら、このような理由が、国会が憲法改正発議(憲法96条1項)を「しなければなら
ない」理由になるとは到底考えられません。
 前段の国際環境悪化論は、何の根拠も示さぬ決めつけに過ぎず、よしんばそのような情勢が
あったとしても、憲法を具体的にどのように改正することによってどのように国際環境が改善する
のかという論証を抜きにした改正発議などあり得ぬ以上、全く意味をなしません。
 後段の理由としてあげられた「家庭、教育、環境、大規模災害対応」についても、そもそも、
現在の対応が不十分なのかどうか、仮に不十分な点があるのなら「法律改正」で対応できるのではないかという議論が欠落しており、どうして「憲法改正」の理由となるのか全く理解できませ
ん。
 本請願が結論として主張する、国会は「国民に対して憲法規定の是非を自らが判断する国
民投票の機会を一刻も早く与える責務がある」についても、没論理の極みです。
 日本国憲法96条は、具体的個別の条項を修正する必要がある場合に、国会による改正
発議、国民投票による承認という手続を経た上で、「この憲法と一体を成すものとして」(憲法96条2項)公布すべきこととされていることから明らかなとおり、戦後改正を行っていないからとか、各種世論調査で改正に賛成の意見が一定数あるからなどという理由で、「憲法規定の是非を自らが判断する国民投票の機会」を与えるための改正発議など想定しておらず、あり得ないこ
とです。
 また、本請願は、地方自治法99条に基づく意見書の提出を求めるものですが、同条は、「普地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」と規定しているに過ぎず、地方公共団体憲法改正に関与することがあるとしても、投票手続等の事務的な領域に限定されており、何故、本請願が求めるような意見書が、「当該普通地方公共団体の公益に関する事件」ということになるのか理解できません。
 さらに、私たちが最も重要だと考えるのは、憲法99条が定める憲法尊重擁護義務を、地方議会の議員の皆さんがしっかりと理解し、実践してくださっているのかどうかということです。「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」という憲法99条の規定は、言うまでもないことですが、地方議会の議員にも適用されます(そもそも、地方議会議員の身分自体、究極的には日本国憲法によって根拠付けられているのですから)。
 本請願を採択し、本請願が求める意見書を議決するということは、明確に憲法99条に違反する行為であると私たちは確信します。
 和歌山県議会の議員の皆さまが、県民からの負託に応え、憲法尊重擁護義務を遵守して、
適切な判断をされることを信じ、共同して本申入書を提出致します。
                                              以 上
(引用終わり)
 
 私たち4団体(私は自由法曹団の団員ではありませんが)の言いたいことは、とりあえず上記「申入書」に書き込んだとおりです。
 ただ、あまりにも時間がなく、衆智を集めて練り上げるというプロセスがとれませんでしたので、起
案者(あえて誰とは言いませんが)の「怒り」がにじみ出ている部分があるかもしれませんが、まあ、やむ
を得ないところでしょうか。
 
 ちなみに、設立の経緯もあり、9条ネットわかやまと憲法9条を守る和歌山弁護士の会が共同
企画を実施することは過去何度もありましたが、自由法曹団和歌山支部や青年法律家協会
和歌山支部との「共同」というのは、おそらく初めてのことであるはずです。
 弁護士以外の人から見れば、別にどうということでもないでしょうが、和歌山では結構画期的
だったりするのです。もっとも、真に「画期的」と評価されるのは、ここに「和歌山弁護士会」が加わった時でしょうが、これはなかなか。
 
 会期末(26日)まであと2日。
 まだまだ圧倒的に多数の県民がこの事態に気がついていません。情報「拡散」へのご協力を
何卒よろしくお願いします。
 
(付記)
 9月22日に、総務委員会委員宛に要請書を提出し、そのまま総務委員会を傍聴した県地
評の杉勝則さんから同日にいただいたメールによると、「なお、総務委員会の傍聴希望者は、朝9時40分くらいまでに県庁北別館2階(入口のフロアが2階です)、県議会事務局議事課に『総務委員会の傍聴に来ました』と告げて手続きをお願いします(ちなみに本会議は手続きなしで自由に出入りできます)」とのことですので、明日25日の総務委員会傍聴を希望される方は、各自で手続をお願いします。 
 

(付録)
『一台のリヤカーが立ち向かう』 作詞・作曲・
演奏:中川五郎