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「秘密保護法」「集団的自衛権」「共謀罪」~ただの三題噺ではありません(10/30大阪弁護士会主催の市民集会から)

今晩(2014年11月13日)配信した「メルマガ金原No.1908」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「秘密保護法」「集団的自衛権」「共謀罪」~ただの三題噺ではありません(10/30大弁護士会主催の市民集会から)
 
 ご存知の方もおられるでしょうが、弁護士法1条は以下のように定めています。
 
弁護士法(昭和二十四年六月十日法律第二百五号)
 
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO205.html
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度
の改善に努力しなければならない。
 
 どうでしょうか?格好つけ過ぎと思われるでしょうか?
 私も弁護士になりたてのころは、基本的人権の擁護にしても、社会正義の実現にしても、あ
る種の「建前」あるいは「お題目」という面もあるのではないか、などとやや斜に構えて思わないでもありませんでした。
 しかし、弁護士登録してから四半世紀が過ぎ去った今振り返ってみると、「手前味噌」のそし
りを覚悟して言えば、個々の弁護士は結構真面目に弁護士法1条の(使命)を自覚しているのではないかと思えるようになりました。
 そうとでも考えなければ、あれだけ多くの弁護士が、一文の得にもならない弁護士会活動に
あそこまで精力をつぎ込むはずはないですからね(もちろん、そうではない弁護士がいることも知っていますけれど)。
 
 弁護士法1条が定める(使命)の実践は、何も弁護士会活動に限られたことではなく、各弁
護士が受任した個別事件の処理を通して実現することももちろん求められているのですが、受任事件を離れた公益活動として実践することも多く、その場合、弁護士会の果たす役割の比重は非常に大きいものがあります。
 
 日本弁護士連合会のホームページ、そのトップページをご覧ください。
 
http://www.nichibenren.or.jp/
 その真ん中に「日弁連が取り組む重要課題」と題して、以下の6つのバナーが設けられていま
す。
取調べの可視化を
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/recordings.html
行政との新しい関係
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/civil/new_relationship.html
司法修習生給費の実現を
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/training/kiyuuhiseiizi.html
共謀罪に反対します!
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/complicity.html
憲法を考える
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/constitution_issue.html
秘密保護法の廃止を求めます
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret.html
  
 以上がまさに日弁連が最重要と位置付けて取り組んでいるテーマです。「行政との新しい関
係」と「司法修習生給費の実現を」はやや性格が異なるかもしれませんが、残る4つのテーマは、まさに「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」のために全力をあげているのであって、その目的を達成できたからといって、弁護士の収入が増えるというようなものではありませんからね。
 私は、そのような弁護士会のあり方に誇りを持ってきましたし、今後ともそのような弁護士会あって欲しいと願っているのですが、はたしてどうでしょうかね?不安な要素も多々あるのですが。
 
 ところで、日本弁護士連合会(日弁連)の下、全国には52の弁護士会があり(北海道に4会、東京に3会、あとは各府県に1つずつ)、それぞれ多くの委員会を設置して様々な活動を行っているのですが、日弁連が最重要課題と位置付けたテーマについては、個別に各弁護士会に対して、市民集会やシンポジウムの開催、街頭宣伝や地元選出国会議員への要請行動などが強く(依頼)されることがあります。
 多くの場合、日弁連事務総長名で各弁護士会会長宛に「・・・・・について(ご依頼)」という文書
が届きます。すると、各地弁護士会の執行部は、多くの場合、当該弁護士会に数ある委員会の内、当該テーマを所管する(と考えられる)委員会に対して付託して検討を要請するということになります。
 たとえば、集団的自衛権行使容認反対のための具体的な企画に早急に取り組んで欲しい
というような要請であれば憲法委員会に、という具合です。
 
 私ごとではありますが、今年度、ひょんなことから和歌山弁護士会憲法委員会の委員長になってしまったため、4月以降、集団的自衛権行使容認に反対するため、会長声明(2本)を起案したり(私が書いた訳ではなく委員会として)、駅前で街頭宣伝行動を行って日弁連集団的自衛権反対ティッシュを配ったり、伊藤真弁護士を招いて市民集会を開催したりという活動を行ってきたのは、和歌山弁護士会として是非やらねばと考えたからであることは言うまでもありませんが、日弁連からの強い要請に沿うという側面があったことも事実です。
 
 ところで、他会では別の委員会の所管になっているところもあると思うのですが、和歌山弁護
士会では、秘密保護法も(秘密保全法と言っていた時代以来)憲法委員会が所管しており、主担当は刑事問題対策委員会に引き取ってもらった(押し付けた?)ものの、副担当ではあるのが共謀罪ということで、和歌山程度の小さな弁護士会で、この3大課題の全部に十全な対応をとることなど不可能だし、年度後半どうしたものか?と思案していたところ、去る10月30日、お隣の大阪弁護士会で以下のような市民集会が開かれるという案内が届き、正直驚きました。「この手があったのか!」ということで。
 
(チラシより引用開始)
民集会「日本はどこに向かうのか?~秘密保護法・集団的自衛権共謀罪を考える~」
 http://www.osakaben.or.jp/event/2014/2014_1030.pdf
日 時 2014年 10月 30日(木) 午後6時30分~午後8時30分
会 場 大阪市中央公会堂 大集会室
【特別ゲスト】社会風刺コント集団 ザ・ニュースペーパー
       福本ヒデさん、山本点心さん
 秘密保護法は、運用基準等が閣議決定され、今年の12月12日までには施行されます。し
かし、秘密保護法では、違法な秘密指定を禁じたり罰したりする規定がありません。
 チェック体制も不十分なため、政府による不当な情報隠しを止めることができません。そのた
め、政府が限定的にしか行使しないと主張している集団的自衛権についても、どのような場面で行使されたのかが秘密指定されてしまえば、本当に限定的な場面だったのかを私たちは知ることができません。
 私たちは何も知らされないまま戦争に巻き込まれるかもしれないのです。
 また、秘密保護法ではこれまでにない共謀罪が規定されています。これは、実際に秘密を漏
えいする前の段階であっても、話し合っただけで処罰するという内容です。これでは、政府の違法な秘密指定を世間に公表しようと話し合っただけで、処罰されかねません。
 政府は、秘密保護法だけではなく、話し合っただけで処罰する共謀罪を新たに制定しようと
しています。今の政府の動きは、秘密保護法で私たちの目と耳をふさぎ、共謀罪で口をふさいで、私たちが知らないままに集団的自衛権を行使して戦争をしようとしているのでしょうか。
 私たちは、まず政府の違法な情報隠しを止めるため、秘密保護法を廃止することが求められ
ています。 
(引用終わり)
 
 たしかに、秘密保護法、集団的自衛権共謀罪は一連の流れであって、密接な関係があることはつとに指摘されていましたので、こういう「市民集会」はもちろん「あり」だと思いますが、やはり「大阪」でなければ思いつかないのでは、という気もします。
 
 私もまだじっくり視聴する時間がとれていないのですが、IWJ大阪による中継録画が公開されています(ただし、ザ・ニュースペーパーの出演シーンは撮影禁止です)。
 是非、これからの和歌山弁護士会での企画の参考に拝見したいと思っています。もっとも、こ
のような見方がごく特殊であることは言うまでもありませんが、一般市民の方にとっても、ザ・ニュースペーパーのコントは見られませんが、弁護士からの報告や各団体からの挨拶だけでも、視聴する値打ちは十分にあると思います。
 
2014/10/30 【大阪】市民集会「日本はどこに向かうのか?~秘密保護法・集団的自衛権・共謀罪を考える~」(動画)
 
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/197246
大阪弁護士会からの報告)
 7分~ 秘密保護法について
 19分~ 集団的自衛権について
 30分~ 共謀罪について
(各団体から)
42分~ 民主党森山浩行氏)
 46分~ 社民党服部良一氏)
 52分~ 日本共産党(辰巳孝太郎氏)
 57分~ 大阪平和人権センター
 1時間01分~ 大阪憲法会議
 1時間07分~ メッセージ披露
   上野千鶴子氏、内田樹氏、西山太吉
大阪弁護士会秘密保護法対策本部)
 1時間10分~ 決議文採択