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開戦記念日(12/8)に日本の未来を見すえる人々~「日隅一雄・情報流通促進基金 設立2周年記念シンポジウム」&「日本ペンクラブ声明」

 今晩(2014年12月14日)配信した「メルマガ金原No.1939」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
開戦記念日(12/8)に日本の未来を見すえる人々~「日隅一雄・情報流通促進基金 設立2周年記念シンポジウム」&「日本ペンクラブ声明」

 太平洋戦争が始まった「開戦記念日」である12月8日、「日隅一雄(ひずみかずお)・情報流通促進基金」が、NPJとの共催により、「朝日新聞バッシングと戦争への道─開戦記念日に考える 日隅一雄・情報流通促進基金 設立2周年記念シンポジウム」を開催し、その映像が公開されています。
 
 登壇者は以下の方々でした。 
【基調講演】
 原寿雄氏(元共同通信編集主幹)
【パネリスト】
 金平茂紀氏(TVジャーナリスト TBS『報道特集』キャスター)
 倉澤治雄氏(ジャーナリスト、元日本テレビ解説主幹)
【コーディネーター】
 梓澤和幸氏(弁護士・情報流通促進基金理事・NPJ代表)
 
 朝日バッシングを考えるということは、単に一新聞社の危機というにとどまらず、メディア全体の危機、民主主義の根底が掘り崩されようとしている危機、そして、国民1人1人の平和的生存権が否定されようとしている危機を考えるということに他なりません。
 あえてこのシンポジウムを「開戦記念日」に開催した主催者の意図が、「激しい朝日新聞バッシングの中、私たちが次の戦争を未然に防ぐために、いま、どのような営みを紡いでいくことが求められているのだろうか」というところにあったことを踏まえ、是非1人でも多くの方に視聴し、ともに考えていただければと思います。
 
NPJ 朝日新聞バッシングと戦争への道─開戦記念日に考える─

 
 なお、このシンポの模様はUPLANによっても別動画がアップされており、実は音声レベルはこちらの方がかなり聞きやすいと思います。
 
20141209 UPLAN 日隅一雄・情報流通促進基金2周年記念シンポ 「朝日新聞バッシングと戦争への道―開戦記念日に考える」
 

 また同じ12月8日、日本ペンクラブが、あえて「開戦記念日」に「声明」を発表したことも、共通の危機感・問題意識からであろうと思います。
 こちらの「声明」も是非お読みください。しっかりと練り上げられた素晴らしい文章だと思います。
 
 
 いま、近年のこの国の様子を静かに顧みるとき、世の中がぐらりと傾いてくるような気分に襲われることはないだろうか。この重苦しい気配はどこから生じているのか。
 
 一九四一(昭和十六)年十二月八日、七十三年前のこの日、日本は太平洋戦争に突入した。その十年前からつづく日中間の戦争が泥沼化するなか、国際的孤立は深まり、景気は冷え込み、民心も鬱屈した。そのあげくの開戦はつかの間、閉塞感を打ち破るかのような幻想をあたえたが、それこそ近隣諸国の人々をも不幸に陥れて突き進んだ大破局への道であった。
 あの時代、政治権力と軍部は一体化し、経済界もアカデミズムもマスメディアも翼賛体制の下に組み敷かれた。日本ペンクラブも、その間、いっさいの自由な言論・表現活動を封じられ、文筆家としての生命を奪われた歴史を持つ。
 
 権力の野放図な振る舞いに歯止めをかける仕組みを、社会の土台に据えなければならない(主権在民立憲主義三権分立)。
 戦争は絶対にしてはいけない(平和主義)。
 一人ひとりの尊厳と人権は十分に尊重されるべきだ(基本的人権)。
 私たちの戦後は、こうした基本的原則に基づいて始まったはずであった。
 
 しかし、惨憺たる歴史の反省から再出発した日本は、近年、大きく変質しようとしている。
 政府は、特定秘密保護法によって、軍事・諜報情報も不都合な情報も恣意的に隠しおおせるようになった。集団的自衛権の発動によって、世界のどこででも武力の行使と戦争を行える態勢を整えようとしている。また、あの過酷な原発事故にも関わらず、原発推進を再び国策として掲げ、再稼働を急いでいる。
 これらが、かつての強権的な国家、絶対の国策の再来でないとしたら、いったい何だというのか。この先に目指されているのは、日本国憲法の根幹にある主権在民・平和主義・基本的人権等の精神の簒奪と否定であろう。それは、この社会を、国家を前面に押し立て、個々人の生命の安全や人権を二の次にし、戦争も辞さない世の中につくり替えていくことに他ならない。
 これら差し迫った事態が、日本の現在に重苦しさをもたらしている。
 
 これまで長い間、戦争の記憶は終戦記念日と結びつけられ、語られてきた。玉砕・空襲・原爆・飢餓・抑留等々の悲惨な戦争体験から学ぶことは、いまも少なくない。だが、今日の事態はそれにもまして、こうした悲惨さをもたらした元凶にまで遡り、現在の動きと重ね合わせて見ることを私たちに促している。
 私たちは十二月八日を忘れない。その失敗から得た痛切な教訓こそ、日本の現在を歴史のながれのなかで見定め、未来を見通す決定的な手がかりとなる、と信ずるからである。
 
   二〇一四年十二月八日
 
一般社団法人日本ペンクラブ

 会長   
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