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「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」に賛同、支持の声を結集してください

 今晩(2015年2月9日)配信した「メルマガ金原No.1996」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」に賛同、支持の声を結集してください

 本日(2月9日)午後5時から、参議院議員会館において、「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」を発表するための記者会見が行われました。
 出席されたのは以下の方々でした(敬称略)。
 
今井一(いまいはじめ)さん
マッド・アマノさん
小林節(こばやしせつ)さん
古賀茂明(こがしげあき)さん
雨宮処凛(あまみやかりん)さん
おしどりマコさん
大芝健太郎(おおしばけんたろう)さん
 
 そもそもこの声明を発表することになった経緯については、2月2日に急遽アップされた公式サイト「翼賛体制構築に抗する声」の第1号記事をお読みください。
 
2015年2月2日月曜日
翼賛体制構築に抗するという「声明」を
(引用開始)
ISIL による、湯川遥菜さん、後藤健二さんの惨殺。
本当に残念な結末となりました。
この間、テレビ局から野党の党首までもが、政府・安倍批判を「自粛」する動きに出ましたが、きわめて
よろしくない流れに入っています。
報道ステーションで政権批判をした古賀茂明さんらが各個撃破の的になっていますが、ここは他番組のキャスター、コメンテーターをはじめ、作家、映画監督、俳優など、言論・表現に携わる人々すべてに、「誰が、どの党が政権を握っていようが、政権への批判や異議申し立てを自粛するようなことをしてはなら
ない、続ける…」旨の意思表示、宣言をしようと呼びかける必要がある。私はそう考ています。
そこで、賛同者を募り、「声明」を発してはどうかと、想田和弘さんらと相談しました。
※添付の「声明」(案)は、想田和弘さんが中心となって考えたものです。御一読ください。
「自粛という名の翼賛体制構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」(案)
・「呼びかけ人」「発起人」の類は設けないことにしました。みなさん「賛同人」という位置付けです。
・記者会見は2月9日月曜日の17時~18時、参議院議員会館B104号室
(引用終わり)
 
 以上の文章の「私」というのは今井一さんのことだと思います。
 とにかく「何とかしなければ」「黙っていることはできない」という思いから走り出した動きですから、「走りながら考える」ということにならざるを得ず、実際、「言論人、報道人、表現者」という呼びかけ対象の内、特に「表現者」とはどういう人を指すのかが明確でなく、呼びかけに応えて「賛同人」に応募しても良いのだろうか?と悩んだ人も多かったと思います。
 実は、私自身もその1人であったのですが、「声明」起草の中心を担った想田和弘さんがFacebook「「表現者」とは、FBやツイッターのみで活動されている方でも、ご自分を表現者と考える方はみなさんを含みます。」と書かれていたことに勇気づけられ、早い段階で賛同のメールを送ったため(当初はメールでの受付でした)、基本的に到着順で記載されている「賛同人リスト」の40番目位に私の名前が載っています。

 ただしその後、インターネットで意思表示できるフォームを作った際、事態を整理するために、
翼賛体制構築に抗するという「声明」への賛同署名フォーム
と、
【支持者用】翼賛体制構築に抗するという「声明」への署名フォーム
に分けられました。
 後者は、「言論人、報道人、表現者ではないが、この動きを支持し、応援するという方はこちらのフォーマットに記入してください。※名前は掲載しません」とされています。
 ただし、このように整理をした現在でも、相変わらず「表現者」とは何か?という定義はなされていません。たしかに、「できないよね」とは思います。
 
 なお、記者会見で今井さんが読み上げた「声明」(確定稿)を聞きながら、事前に発表されていた「声明」(案)と比較したのですが、細かな言い間違い(読み落とし?)と思われる箇所を除けば、2箇所で「理屈」→「理由」という言い替えがなされていました。ただし、どう考えてもその2箇所をそのように修正しなければならないとは思えず、今井さんの読み間違いという可能性も払拭できませんので、とりあえず以下には案(草稿)をそのまま掲載した上で、今井さんが「理由」と読み替えた箇所は括弧書きで示すことにしました。
 
(引用開始)
                     
翼賛体制の構築に抗する
                 言論人、報道人、表現者の声明
 

 私たちは、[ISIL]と称する組織・集団による卑劣極まりない邦人人質惨殺事件を強く非難し、抗議す
るものである。また、この憎しみと暴力の連鎖の帰結として起きた事件が、さらなる憎しみや暴力の引き
金となることを恐れている。
 同時に、事件発生以来、現政権の施策・行動を批判することを自粛する空気が国会議員、マスメディア
から日本社会までをも支配しつつあることに、重大な危惧を覚えざるを得ない。
「人命尊重を第一に考えるなら、政権の足を引っ張るような行為はしてはならない」
「いま政権を批判すれば、テロリストを利するだけ」
「このような非常時には国民一丸となって政権を支えるべき」
 そのような理屈で、政権批判を非難する声も聞こえる。
 だが、こうした理屈には重大な問題が潜んでいる。
 まず、実際の日本政府の行動や施策が、必ずしも人質の解放に寄与するものとは限らず、人質の命を危
うくすることすらあり得るということだ。であるならば、政府の行動や施策は、主権者や国会議員(立法府)やマスメディアによって常に監視・精査・検証され、批判されるべき事があれば批判されるのは当然
の事であろう。
 また、「非常時」であることを理由に政権批判を自粛すべきだという理屈(理由)を認めてしまうなら
原発事故や大震災などを含めあらゆる「非常時」に政権批判をすることができなくなってしまう。たとえば、日本が他国と交戦状態に入ったときなどにも、「今、政権を批判すれば、敵を利するだけ」「非常時には国民一丸となって政権を支えるべき」という理屈(理由)を認めざ
るを得なくなり、結果的に「翼賛体制」の構築に寄与することになるだろう。
 しかし、そうなってしまっては、他国を侵略し日本を焼け野原にした戦時体制とまったく同じではない
か? 70数年前もこうして「物言えぬ空気」が作られ、私たちの国は破滅へ向かったのではなかったか? 
 実際、テレビで政権批判をすると、発言者や局に対してネットなどを通じて「糾弾」の動きが起こり、
現場の人々に圧力がかかっている。
 問題なのは、政権批判を自粛ないし非難する人々に、自らがすでに「翼賛体制」の一部になりつつある
との自覚が薄いようにみえることである。彼らは自らの行動を「常識的」で「大人」の対応だと信じているようだが、本当にそうであろうか?私たちは、今こそ想像力を働かせ、歴史を振り返り、過去と未来に
照らし合わせて自らの行動を検証し直す必要があるのではないだろうか?
 日本国憲法第21条には、次のように記されている。
 「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」
 日本国憲法第12条には、次のようにも記されている。
 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」
 私たちは、この日本国憲法の精神を支持し尊重する。そしてこの精神は、「非常時」であるときにこそ
、手厚く守られ尊重されなければならないと考えている。
 なぜなら「非常時」にこそ、問題の解決のためには、様々な発想や見方、考え方が必要とされるからで
ある。
 私たち言論・表現活動に携わる者は、政権批判の「自粛」という悪しき流れに身をゆだねず、この流れ
を堰き止めようと考える。誰が、どの党が政権を担おうと、自身の良心にのみ従い、批判すべきだと感じ
、考えることがあれば、今後も、臆さずに書き、話し、描くことを宣言する。
                                2015年2月9日
(引用終わり)
 
 今日の記者会見を中継したところは複数あったようですが、以下にはOurPlanet-TVの3分割の映像をご紹介します。
 
翼賛体制構築に抗する記者会見 01

 冒頭~ 今井一さん
 18分~ マッド・アマノさん
 23分~ 小林節さん
 
翼賛体制構築に抗する記者会見 02

 冒頭~ 古賀茂明さん
 7分~ 雨宮処凛さん
 11分~ おしどりマコさん
 13分~ 大芝健太郎さん
 16分~ 今井一さん
 20分~ 質疑応答
 
翼賛体制構築に抗する記者会見 03

 冒頭~質疑応答
 
 OurPlanet-TVから、1本にまとめた動画が再アップされましたので、それも埋め込んでおきます。なお、【ノーカット版】とされていますが、見やすく編集されていますし、質疑応答部分は収録されていません。

【ノーカット版】翼賛体制構築に抗する記者会見

 冒頭~ 今井一さん
 17分~ マッド・アマノさん
 21分~ 小林節さん
 
 23分~ 古賀茂明さん
 31分~ 雨宮処凛さん
 34分~ おしどりマコさん
 37分~ 大芝健太郎さん
 
 また、別動画(UPLAN)も1つご紹介しておきます。 

20150209 UPLAN【記者会見】翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明


 私のように、友人知人200数十人にささやかなメルマガを送り、それをブログにアップしても、毎日せいぜい100数十人程度の閲覧者があるだけという「表現者」であっても、世上に蔓延する息苦しい空気を感じない訳にはいきません。
 ましてや、「言論」「報道」の最前線にいる方々は、耐えがたい状況に日々直面されているのではないかと推測します。
 そのような中で、「声を上げない訳にはいかない」と立ち上がった今井さん、想田さん、古賀さんらの「声明」(案)には心から勇気づけられました。
 私自身のまことに小さな「声」であっても、「賛同人」として名前を連ねることに何ほどかの効果はあると信じ、賛同のメールを送ったのでした。
 私にとって、「何もしない」という選択肢は、今という今こそ「あり得ない」と思っています。
 1人でも多くの方々が、この「声明」の「賛同人」あるいは「支持者」としての意思表示を行って欲しいと切望します。