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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(4)「新たな米中関係と日本の安全保障」~いよいよ本編(その1)

 今晩(2015年3月8日)配信した「メルマガ金原No.2023」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(4)「新たな米中関係と日本の安全保障」~いよいよ本編(その1)

 昨年末(2014年12月23日)、「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称「自衛隊を活かす会)」主催による第4回シンポジウム「護憲」を超えて④「新たな米中関係と日本の安全保障」のIWJによる中継動画(サンプル)をご紹介しつつ、いずれ公式サイトに文字起こしがアップされるまでの「つなぎ」と言うことで、「~今回はまず予告編」という副題を付けておきました。
 さらに、シンポジウムの登壇者であった小原凡司氏と植木千可子氏の以前の講演動画を「補遺」としてご紹介するなど、いやが上にも期待を高めて(?)きました。
 そして、年もあらたまった2月10日、いよいよ公式サイトに文字起こしが掲載されましたので、満を持して「本編」を掲載しようと思ったのですが、当日の発言のうち、植木千可子さんと伊勢﨑賢治さんのセクションの文字起こしが未掲載であったため、「全部揃ってからにしよう」ということで、いったん「お蔵入り」ということにしました。

 それからほぼ1か月、昨日(3月7日)になってようやく第4回シンポの報告が更新されたのですが、今度は植木千可子さんの部分だけが追加され、あいかわらず伊勢﨑さんの発言部分の文字起こしは未掲載のままであり、全ての文字起こしが掲載されてからアップされることになっている動画も、当然ながら未掲載です。
 さてどうしよう?と迷ったのですが、いつになったら完全版がアップされるのか分かりませんので、とりあえず「本編(その1)」ということでご紹介し、伊勢﨑賢治さんの発言部分と全体の動画は、掲載され次第、「本編(その2)」としてご紹介することにします。
 まず、当日の登壇者の皆さんと発言テーマを最初にご紹介しておきます。
 
「米中関係と日本の安全保障」
 植木千可子氏(早稲田大学国際学術院教授。専門は国際関係論、安全保障論)
「中国の対日政策」
 小原凡司氏(東京財団研究員。元海上自衛隊第21航空隊司令・中国防衛駐在官
「中国・インド関係の現状から日本防衛のための教訓を汲む」
 伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授)
「積極的平和主義に抗して 反安倍ドクトリン」
 加藤朗氏(桜美林大学教授)
質疑応答と討論
 司会・柳澤協二氏(元内閣官房副長官補) 
 
 今のところ、シンポ全編の動画については、IWJに会員登録してそのアーカイブを視聴するしかありませんので、そのサンプル動画を埋め込んでおきます。これで、当日の雰囲気をつかんでいただけると思います。
 
 
サンプル動画

 
IWJ会員登録

 それでは、シンポジウムの模様の文字起こし(その1)をご紹介します。
 今回のメインゲストである植木千可子氏、小原凡司氏のお話は、先般「補遺」でご紹介したところからお分かりのように、非常に専門的でありつつ筋道の通った分かりやすいお話であり、興味が尽きないものです。
 従って、その一部だけを抜粋してご紹介する訳にもいかないと考えましたので、引用はしていません。いずれもリンク先でお読みください。
 代わって(と言う訳でもありませんが)、「自衛隊を活かす会」呼びかけ人である加藤朗さんの発言を引用しました。これも、一部を抜粋するのは困難でしたが、幸い要領よく短くまとめて発言されていますので、全文引用しました。
 この短い発言の中には、様々に思考を展開させられる種が仕込まれています。その内の1つ、「憲法改正は、「国体護持」を降伏条件にしたポツダム宣言に反します。」については、“平和主義と天皇制”~「戦後レジーム」の本質を復習する/2014年8月30日」というメルマガ(ブログ)を書かせてもらっています。
 他にも、じっくりと考えてみたいテーマがいくつもありそうです。
 
2014年12月23日(火・祝)午後1時45分?4時45分
千代田区立日比谷図書文化館・大ホール
主催:自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称:自衛隊を活かす会)
 
(引用開始)
 これまで、中国やアメリカなどの話が出てきました。では日本はどう対処すべきかについて、「積極的に平和主義に抗して~反安倍ドクトリン」というテーマでお話します。
 日本はもはやアジア随一の大国ではないという認識を皆さんはお持ちでしょうか。軍事、経済におけるアジアの大国は中国です。技術をはじめ、いかなる分野においても日本は既に大国ではありません。日清戦争以来110年経ちましたが、ついに日中の立場は逆転しました。
 吉田ドクトリンはそういう意味で破綻しています。「軽武装、経済優先」の前提条件である冷戦は既に終わっているという前提に立って、吉田ドクトリンに変わる新たなドクトリンは何かということを考えなければいけないと思います。つまり、これからいかに「軽武装」を継続するかということです。どう考えても中国との軍備競争に勝てるはずがありません。もう経済力ではとても太刀打ちができない。経済力で太刀打ちができないということは、軍事力においてもほぼダメだということです。
 それに対する安倍さんの答えがいわゆる「積極的平和主義」です。私はこれを安倍ドクトリンと名づけています。これはこれまで以上に対米依存を高めていくという方法です。
 そして、もうひとつの答えは中韓との友好関係を促進するという方法です。この2つの方法のどちらかで軽武装をやっていくしかないだろうと思っています。その中身についてもう少し詳しくお話します。
 「積極的平和主義」で対米依存を高めるということですけれども、集団的自衛権行使の容認、防衛装備移転三原則、秘密保護法施行など、これまで安倍首相がとってきた様々な安全保障政策というのは、対米従属強化、日米同盟強化と一般には言われていますが、ひょっとすると対米抱き込み、アメリカと死なばもろともという自爆戦略、日本がアメリカを抱き込んで、万が一中国と何かがあったら、アメリカを巻き込んでやるぞという戦略なのかなとも思います。
 しかし、安部首相が元々思っていたのはそのような戦略ではなかったはずです。それは憲法改正であったり、靖国参拝戦後レジームからの脱却でした。ところが安倍ドクトリンと戦後レジームからの脱却は矛盾をするわけです。この矛盾に今、安倍政権が取り組もうとしています。でも一体どのようにこの矛盾を止揚するのか、大きな問題だと思います。
 一方で「軽武装」になるために中韓との間でなんとか協力関係を促進しなければならない。しかし、中国は「国恥」、韓国は「恨」という日本に対する歴史認識問題をいかに解消するかという大きな問題を日本は抱えています。
 私の「新吉田ドクトリン」というべきものは、安倍ドクトリンに対抗するかたちで考えています。我々がまだ失っていないブランドで唯一のものが平和大国です。この平和大国のブランドをいかに堅持していくかということが重要だと思います。
 そのためには、靖国参拝憲法改正を封印すること。慰安婦問題での明確な政府の謝罪です。謝罪は今もしているということですけれども、さらに繰り返し謝罪せざるをえないだろうと思います。そして、自衛隊専守防衛に徹するということであります。
 まず、対米戦略については自立です。憲法9条は安倍首相の思いとは別に、対米自立の切り札になるということです。つまりアメリカが何か言ってきても、日本は憲法9条があるがゆえに、限界があるということを言い続けることができる。これはある意味ではアメリカに対する大きな交渉カードになっていますし、これからもなるだろうと思います。
 対中国戦略についてです。最近、ワン・チョンというアメリカで教鞭をとっている中国出身の学者が「中国の歴史認識はどう作られたか」という本を出しました。その中で、多くの中国人にとって恥辱の一世紀の最大の恥辱は、かつての中国の朝貢国であり、従属国家だった日本に対する敗戦だと書いています。日本は従属国家であり、朝貢国であると見られているわけですね。
 それを踏まえた上で言えば、靖国参拝は日中平和条約の全体に反するものです。侵略の責任は「軍国主義者」にあるとの日中平和条約のフィクションを否定することになる靖国参拝を首相がするのはやはり控えるべきだと思います。
 憲法改正は、「国体護持」を降伏条件にしたポツダム宣言に反します。日本は「国体護持」だけを条件にして、後は全て何でも言うことを聞きますと言ったはずです。その結果、現在の平和憲法が作られた。それを否定するということは、ポツダム体制、サンフランシスコ講和条約を否定することになると思います。
 対韓国戦略です。「恨」に対してどう対応するかということです。依然として日本国内では強制連行の問題が慰安婦問題の本質のように思われていますが、慰安婦問題は現在の意味での人権問題です。強制連行問題ではありません。その本質は、人身売買と奴隷労働の問題です。このことがアメリカでも強調されています。軍が慰安所を管理した以上、日本政府に責任があると私は思います。
 したがって、潔く、とにかく潔く謝るしかない。謝った上で、韓国政府も慰安所を作っていたわけですから、同じようなことをした韓国政府にも「韓国も同じことをやっているだろう」と言っていく。とにかく我々が範を示して、あっさりと国家の責任を認めるということを韓国側に示す必要があるだろうと思います。
 最終的には、中国の「朝貢国」による集団安全保障体制の構築です。日本が協力してかつての中国の朝貢国によって集団安全保障体制を構築し、中国が強力な武力を行使できないような体制を築いていく必要があるだろうと思っています。
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログから)
(「自衛隊を活かす会」呼びかけ人から学ぶ シリーズ)
2014年6月14日
「自衛隊を活かす会」呼びかけ人から学ぶ(1)加藤朗さんの「憲法9条部隊」構想
 
(「自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ シリーズ)
2014年7月4日
「自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(1)「自衛隊の可能性・国際貢献の現場から」
2015年1月13日
2015年1月14日
2015年1月15日