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「和大(和歌山大学)で考える安保法案」シンポジウム(8/29)で話したこと

 今晩(2015年8月29日)配信した「メルマガ金原No.2196」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「和大(和歌山大学)で考える安保法案」シンポジウム(8/29)で話したこと

 今日(8月29日)午後2時から、私の地元・和歌山市栄谷にある和歌山大学で、2週間余り前の8月13日(夜)に結成され、翌14日に「声明」を発表した「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」の初めての対外的企画、「和大で考える安保法案」シンポジウムが開催され(基礎教育棟G-103教室)、参加してきました。
 
 シンポの構成は、①講演「集団的自衛権(とPKO)基本のキホン」(講師:内田みどり教育学部教授、有志の会よびかけ人)、②「100大学有志共同行動(8/26)」参加報告(越野章史教育学部准教授、有志の会事務局長)、③リレートーク(卒業生、教職員など8人)というもので、いずれもとても充実していたと思います。
 第1部の講演を担当した内田先生は、パワーポイントを準備しただけではなく、普段の講義でも書いたことのない(?)読み上げ原稿まで書いておられるという力の入れようで、短い時間の中で、非常に示唆に富むお話が伺えたと思います。私にとっては、特にコンゴPKOとルワンダとの関係など、まさに「奇々怪々」なお話は、もっとじっくりと時間をかけてお聴きしたいと思いました。もっとも、集団的自衛権にもPKOにも、ほとんど予備知識のない人が聴いてよく分かる話だったかと問われれば、「それはどうかな」とは思いますが、実際、学問的正確性を失わずに話そうとすると、30分や40分で「一から解き明かす」のは無理ですよね。
 内田先生のあとは、事務局長の越野先生からの「100大学有志共同行動」参加報告をはさみ、最後は和歌山大学関係者(卒業生、院生、現役教員、事務職員、元教員)によるリレートークが行われました。
 沖縄県名護市にある大学を経て和歌山大学の大学院(教育学研究科)に在籍中の院生の決意や、よびかけ人である山﨑由可里先生(教育学部教授・障害児教育学)による最も大規模に障害者を生み出すのが戦争というお話など、どなたのお話も非常に含蓄深く、有益でした。

 そのようなリレートークの最終話者に私が指名されたのは明らかに役不足であり、今後の「安保法案」反対に向けた和歌山での取り組みについて話して欲しいというご依頼の趣旨にどれだけ沿えたかは疑問ですが、指定された5分をかなり超過しながら、お話させていただきました。
 以下に、私のスピーチの内容を、できるだけ思い出して再現しておきます。ただし、録音していた訳でもありませんし、行事のチラシなどに目をやりながらお話したものの、読み損なった部分は正確な内容に置き換えていますから、発言したとおりの再現でないことは言うまでもありません。
 強いて言えば、「このように話せれば良かった」という事後的スピーチ原稿のようなものとご理解ください。
 

「和大で考える安保法案」シンポジウムでのスピーチ再現原稿
 
 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました弁護士の金原と申します。
 私は、「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」の結成に心から敬意を表し、感謝するためにこの席にやってきました。
 本当にありがとうございます。

 私たちが「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」を結成したのが2005年、ちょうど10年前のことでした。そしてこの10年間、「和歌山大学はいつ立ち上がるんだ?」と思い続けてきました。そして、憲法がまさにこれ以上ない危機に直面した今、ついに待望の「和歌山大学有志の会」が立ち上げられたという訳です。
 
 ところで、私は比較的早い段階で、「有志の会」に賛同署名のメールを送りました。そして間もなく、柏原卓先生の手によって「有志の会」ホームページが立ち上げられると、早速、「よびかけ人と賛同者の名簿」を閲覧してみました。
 賛同者は、「教職員(退職者含む)」、「学生・卒業生(院生・院修了生含む)」、それから「その他」の3つのカテゴリーに分類されていて、私は、最初「その他」のところで自分の名前を探したのですが見当たらず、越野先生や柏原先生が忘れてしまったのかと思ったのですが、ふと上の方の「学生・卒業生」の欄に目をやったところ、その中に、私の名前が「附属中学卒業生・弁護士」という肩書付きで掲載されていて驚きました。そういえば、賛同のメールを送って間もなく、事務局の越野先生から、「肩書は『附属中学卒業生・弁護士』でいいですか?」というメールが届いていたことを思い出しました。
 法律家としての目で見ると、和歌山大学卒業生に附属中学卒業生を含むという解釈は、相当に無理のある拡大解釈ですが、志に免じてご容赦いただければと思います。

 それから、「和歌山大学有志の会」との関係をもう一つご紹介すると、「有志の会」よびかけ人の先生方の教え子もたくさん賛同者となり、今日もこの場に来ておられるのではないかと思うのですが、私自身、大阪市立大学の出身であるものの、実はよびかけ人の先生方の講義を受講した教え子でもあるのです。
 私は、7年前から放送大学教養学部)の現役学生なのですが、私のすぐ前にスピーチされた藤本清二郎先生の「日本近世史」という講義(面接授業)を先日和歌山学習センターで受講させていただいたばかりですし、今日、基調講演をされた内田みどり先生についても、平成21年(2009年)第2学期に「入門比較政治学」という講義(面接授業)を受講させていただき、1単位取得しているのです。もちろん、内田先生は憶えておられないでしょうが。
 
 さて、いささか前置きが長くなり過ぎました。主催者からは、「安保法案」廃案に向けた和歌山県内での様々な取り組みについて話して欲しいということでした。私がそのようなお話をする適任者ということでは全然ありませんが、私も関与している、あるいは耳に入っている情報を、少しでもお伝えできればと思います。

 まず、今日8月29日は、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が呼びかけた「「安保法案」反対!わかやま10,000人アクション」の初日にあたります。シンポのはじめにご紹介がありましたように、今日のこのシンポジウムが、その「わかやま10,000人アクション」の皮切りの1つであり、この会場以外でも、御坊のロマンシティ前では署名行動が取り組まれ、那智勝浦でも夕刻にプラスター宣伝が行われると聞いています。
 このアクションは、今日から9月14日までの間、県内各地において、目的を共通にした様々な取組を連携して波状的に行い、安保法案を廃案に追い込むための世論喚起を目指そうというものです。
 
注)全て「「安保法案」反対!わかやま10,000人アクション」の協賛企画という訳ではありませんが、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」事務局が8月28日時点で集約した「安保法案」廃案に向けた県内の取組予定の一覧をご紹介しておきます。
 その他、「県内の取り組み」について、常に最新の情報を掲載してくださっている「九条の会・わかやま」ホームページにも注目してください。
 
 そして、明日8月30日(日)です。
 中央では、これまでの歴史的経緯から、なかなか共同の取り組みができなかった各組織が、それでは現下の危機に対処できないという共通認識から、「戦争させない、9条壊すな!総がかり行動実行委員会」というプラットフォームを今年の早春に立ち上げました。そしてその「総がかり行動実行委員会」が呼びかける最大規模の共同行動が、まさに明日実施されようとしている「戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動」です。
 国会を10万人で取り囲むため、和歌山からも多くの人が東京を目指していると聞いています。また、和歌山においても、「全国100万人大行動」の呼びかけに応え、様々な場所で、デモ行進、プラスターを使ったスタンディングアピールなどが予定されています。おそらく県下全体では、少なくとも20箇所ほどの場所で「安保法案」廃案を訴える行動が取り組まれるはずです。
 
注)「全国100万人大行動」に呼応した企画のうち、和歌山市で開催される企画の概要及びチラシの内容を、「九条の会・わかやま」ホームページからご紹介しておきます。
戦争法案廃案!アベ政治を許すな!8・30和歌山行動
2015年8月30日(日)10:00/和歌山市役所前<集合>
デモ行進】市役所前~けやき大通り~JR和歌山駅
主催:和歌山県平和フォーラム・戦争をさせない和歌山委員会
問合せ:和歌山県平和フォーラム 
和歌山市久右衛門丁24-1 自治労会館3階 Tel.073-425-4180
<チラシ>
●安全保障関連法案=戦争法案の廃案をめざす一斉行動を 全国100万人行動のよびかけに応えよう
2015年8月30日(日)10時(一部10時30分、16時、17時)
和歌山市内各地域の人目につきやすい場所での一斉宣伝行動
主催:戦争法案反対! 安倍政権退陣! 和歌山市アクション実行委員会
和歌山市湊通り丁南1丁目1-3 和歌山地区労内 TEL 073-436-3578
<チラシ>
 
 私個人としては、午前10時に和歌山市役所前に集合し、JR和歌山駅前を目指すデモ行進に参加する予定です。
 そして、午後は地元にとって返し、午後4時から、和歌山大学からもほど遠からぬパームシティー前で行われる街頭宣伝行動に参加しようと思っています(主催:戦争はいやや河西の会/連絡先(松田073-451-1004、加藤073-459-1346)。こちらも、街宣後にデモ行進(パレード)が予定されています(パームシティ前→和歌山ろうさい病院前/小雨決行)。
 私としても、1日のうちに2度もデモに参加するのは生まれて初めてです。
 ちなみに、どちらもSEALDsのようなラップのリズムに乗ったデモにはなりそうもありませんが、是非多くの方にご参加いただければと思いますし、デモに限らず、参加可能な場所でアピール行動が行われている場に共に立っていただくだけでも力になります。是非「歴史の目撃者」となってください。
 
 それ以降も、様々な取り組みが予定されていますが、和歌山弁護士会の企画をご紹介しておきます。
 それは、9月7日(月)の5時(もしくは5時30分)から、県内5箇所(和歌山市橋本市海南市田辺市新宮市)において、和歌山弁護士会所属の弁護士が一斉に街頭演説を行い、地元の方もリレートークに参加していただくというものです。
 和歌山弁護士会としては、去る7月12日に和歌山城西の丸広場を会場として、「憲法違反の「安保法制」に反対する7・12和歌山大集会&パレード」を開催し、多くの市民・団体のご協力のおかげで、会場を満員にする2500人もの方々に結集していただくことができたのですが、協力団体と同様、弁護士会憲法委員会)もこれで予算を使い果たしました。再び大規模集会を行うのではなく、各地に少人数(3人ずつ)の弁護士を派遣して一斉街頭演説を行うという企画となったのは、そういう事情もあるようです。
 
注)5箇所の開始時刻、実施場所、責任者(弁護士)は以下のとおりです。
午後5時00分~ 橋本市 橋本市役所前 山﨑和友弁護士
午後5時30分~ 和歌山市 JR和歌山駅前 小野原聡史弁護士
午後5時30分~ 海南市 JR海南駅前 畑純一弁護士
午後5時00分~ 田辺市 オークワパビリオンシティ前 由良登信弁護士
午後5時00分~ 新宮市 JR新宮駅前 芝野友樹弁護士
 参加と協力をお願いする弁護士会からの依頼文です。
 依頼文にも書かれていますが、それぞれの場所で、日弁連特製の「安保法案」反対うちわが配られます(先着順)。
 
 なお、こちらは和歌山弁護士会や「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の企画ではありませんが、弁護士会による県下一斉街頭演説が行われる9月7日、朝日新聞毎日新聞、読売新聞の各和歌山版に、「安保法案」が憲法違反であることを訴える全3段の意見広告を、和歌山弁護士会に所属する弁護士有志で出そうと計画しています。結構費用がかかるので、果たしてどれだけの弁護士が賛同してくれるか、15人の呼びかけ人の1人としてややドキドキしています。
 是非、同日の紙面にご注目ください。
 
 そして、「わかやま10,000人アクション」の最終日は9月14日に設定されています。
 この日には、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が、毎月呼びかけて実施している「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」が行われる予定です(通算第15回/正午和歌山市役所前集合、12時20分スタート)。
 奇しくもこの日は、安保関連法案が衆議院本会議で強行可決され、参議院に送られた7月16日から60日目にあたる9月13日の翌日であり、つまり憲法59条の60日ルールにより、衆議院での再議決が可能となる初日となります。
 そして、再議決をするまでもなく、与党が参議院での強行採決に踏み切るXデーが、9月11日(金)、あるいは14日(月)ではないかという観測が出回り始めていることもご存知かと思います。
 しかし、私たちは、今はやり抜くしかありません。
 その上で、もしも法案が通ってしまったら?
 私たちの憲法が保障する価値を守る、1人1人の尊厳を守るための闘いに切れ目があってはなりません。「切れ目のない」というのは、日米ガイドラインで多用された政権側のキャッチコピーに成り下がってしまっていますが、私たちは、この言葉を私たちの手に取り戻さなければなりません。
 その根拠は?もちろん、日本国憲法第12条です。

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」
 
 共に頑張りましょう。ありがとうございました。