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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

翁長雄志知事が公有水面埋立承認取消記者会見で語ったこと

 今晩(2015年10月14日)配信した「メルマガ金原No.2243」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
翁長雄志知事が公有水面埋立承認取消記者会見で語ったこと

 昨日(10月13日)午前10時から、沖縄県庁において、翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事が
臨時記者会見を開き、普天間飛行場代替施設建設事業に係る名護市辺野古沖の公有水面埋立承認を取り消したことを発表しました。
 この問題については、考えなければならない様々な論点がありますが、それを逐一検討する余裕もないため、とりあえず、昨日行われた翁長知事による記者会見を伝える動画と記事をご紹介しておきます。これは全ての日本人が「我がこと」として視聴すべきだと思います。
 動画については何種類かアップされていますが、以下には沖縄県の公式チャンネルと地元紙(琉球新報沖縄タイムス)が撮影した動画をご紹介します。
 
沖縄県公式チャンネル
翁長知事臨時記者会見(平成27年10月13日)

 
琉球新報
翁長知事辺野古取消会見
 
沖縄タイムス公式動画チャンネル
翁長知事 辺野古埋め立て承認取り消し会見(録画)
 

 記者会見における翁長知事の発言については、地元2紙に文字起こししたものが掲載されていますので、リンクしておきます。
 
 
 
 以上の会見の内、翁長知事による冒頭発現(コメントの読み上げ)については、沖縄県公式ホームページに掲載されたコメント本文を引用します。
 そして、質疑応答の中で私がとりわけ感銘を受けた終わりの方の質疑応答の部分を、沖縄タイムス+から引用しつつ、動画で確認しながら、実際の発言により近づけるために若干の訂正を行いました。
 
承認取消しについての知事コメント
(引用開始)
 本日、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認を取り消しました。
 県は、去る 7 月 16 日、埋立承認の法律的な瑕疵を検証する第三者委員会の検証結果報告を受け、関係
部局において内容等を精査したところ、承認には、取り消しうべき瑕疵があるものと認められたことから
、承認取消しに向けた意見聴取及び聴聞の手続を行ったところです。
 聴聞手続において、沖縄防衛局長から、陳述書が提出されたところですが、聴聞の主宰者からの調書、
報告書の内容についても十分に参酌して、予定される不利益処分について検討しました。
 その結果、承認取消しが相当であると判断し、本日付けで、沖縄防衛局長に対し、公有水面埋立承認取
消通知書を発出したところです。
 今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。
                平成27年10月13日
                沖縄県知事 翁長 雄志
(引用終わり)
 
質疑応答から抜粋引用開始/沖縄県公式チャンネルの26分~)
(記者)沖縄タイムスの〇〇と申します。知事が移設を阻止するための手段を講じるとするとですね、必
ず東京で出てくる話題がありまして、これで移設が進まなくなる、固定化だ、この責任は翁長県知事にあると、必ずこういう言葉が喧伝(けんでん)されます。責任論とかですね、責任の所在について知事はどういうふうにお考えでしょうか。
(翁長知事)私は、まさしくですね、それが日本の政治の堕落だと言っているんですよね。私に外交権があるわけじゃあるまいしね。それから、沖縄県知事は当選をしたら、内政といいますか、教育や福祉や環境は捨てておいて、年中ですね、上京してですね、他の市町村や知事にですね、「頼むから受けてちょうだいよ」と、「沖縄はこんなに大変なんだよ」と言ってですね、言って歩くのが沖縄県知事の責務になる
のかどうかですね。
 こういったことを踏まえて考えますとね、日本側の政府の方からこういう話をされるというのは、まさしく日本の政治の堕落である上に、なおかつ自分の意思でですね、日本の政治を動かしているのかどうかということでさえですね、日本政府には試されている。日米地位協定も含めて、日米安保も含めて、こういったいろんな基地の提供というものについてですね、日本政府が本当に自主的に物事を判断しながら、アジアのリーダーになろうとしているのか、世界のリーダーになろうとしているのか。あるいは日米安保というものが、自由と平等と人権と民主主義というものをですね、共通して持っている国々が連帯をするようなですね、そういったものを作り上げようとしているわけですから、自国の県民にさえ、そういったようなことについてですね、出来ないような政府がですね、私は日米安保、もっと品格のあるものにしてもらいたいというふうに思っているので、大変残念なことであります。私も日本国民の一人としてですね、本当にその意味からすると品格のある民主主義国家としての成熟した日本になって初めて、アジア、世
界に日本がですね、飛び出て行ける。
 そして、沖縄の役割も、日本とアジアのですね、懸け橋として、アジアの中心にある沖縄の特性を生か
してですね、そういったような意味でも、平和の緩衝地帯というようなことも数十年後には考えながらですね、沖縄の未来を語りたいにもかかわらず、ただの領土として、基地の要塞(ようさい)としてしか見ないようなものの中でですね、アジアの展開があるのかどうか、日本の展開があるのかどうかというようなことは、今のような、沖縄がこれを邪魔するからですね、出来ないんだというような姑息(こそく)な、あれだけの権力を持ってですね、姑息なですね、そういった言葉を流すというのはね、私からすると、やはり日本の政治のね、堕落だと言わざるを得ないと思いますね。
(引用終わり)
 
 翁長知事のかねてからの持論ではありますが、沖縄が妨害するから普天間が固定化されるという言説に対する知事の怒りの大きさがひしひしと感じられます。このような無責任な言説が中央政府から語られることを「日本の政治の堕落」と指弾する翁長知事は、さらに、「自分の意思でですね、日本の政治を動かしているのかどうかということでさえですね、日本政府には試されている」と、日本政府に当事者能力がない(そういう意味ですよね)ということを、これまでしかるべき立場にある者は、知ってはいても公言することを控えてきた「不都合な真実」を、主張することをためらわなくなったということでしょう。翁長知事による米国を訪問しての各方面への働きかけや、ジュネーブで開かれた国連人権理事会でのステートメントの発表、サイドイベントでのスピーチなど、いずれも上記の認識(日本政府に当事者能力などない)を踏まえた行動であることは、分かる人には説明するまでもないことでしたが、ここまで言わなければ分からない人が多いと、知事も業を煮やしたのでしょうか。
 また、沖縄の「自由と平等と人権と民主主義」を踏みにじる者に、そのような価値を語る資格などないということを、日本政府に突きつけていることは誰にでも分かりますが、実はこれは、米国政府に対しても突きつけられている言葉だと私は受け取りました。
 
 なお、この翁長知事の記者会見での発言を理解するために是非読んでいただきたい第三者委員会による「検証結果報告書」と、昨日付で沖縄防衛局に発出された「公有水面埋立承認取消通知書」が沖縄県の公式ホームページに掲載されていますのでご紹介しておきます。いずれも長いものですが、時間をみつけて是非読んでいただければと思います。
 
 
 
公有水面埋立承認取消通知書(PDF:1,022KB)
2015年10月13日 沖縄県知事から沖縄防衛局宛

(抜粋引用開始)
 公有水面埋立法(大正10年法律第57号。以下「法」という。)第42条第3項により準用される法
第4条第1項の規定に基づき、次のとおり法第42条第1項による承認を取り消します。
1 処分の内容
 貴殿が受けた普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認(平成25年12月27日付け沖
縄県指令土第1321号・同農第1721号)は、これを取り消す。
2 取消処分の理由
 別紙のとおり
(教示)
 この決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、沖縄県を被告として(訴訟におい
沖縄県を代表する者は、沖縄県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(この決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内であっても、この決定の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。
(引用終わり)
 
 なお、上記「取消通知書」の別紙「取消処分の理由」は詳細にわたるため、概要版を探したのですが見つけられなかったため、しんぶん赤旗に掲載された「要旨」をご紹介しておきます。
 
 あと、昨日からの動きの中で特に注目すべきものとして、日本弁護士連合会が昨日公表した会長声明を全文ご紹介しておきます。所管は日弁連公害対策・環境保全委員会だそうですが、即日会長声明を出すところまでこぎつけたのですから、よく頑張ってくれたと思います。
 
普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立ての承認の取消しに関する会長声明
(引用開始)
 本日、沖縄県知事は、前知事が2013年12月27日に行った普天間飛行場代替施設建設事業(以下「本事業」という。)に係る公有水面埋立ての承認(以下「本件承認」という。)を、公有水面埋立法第4条第1項の承認要件を充足していない瑕疵があるとともに、取消しの公益的必要性が高いことを理由と
して、取り消した。
 本事業で埋立ての対象となっていた辺野古崎・大浦湾は、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類かつ天然記念物であるジュゴン絶滅危惧種を含む多数の貴重な水生生物や渡り鳥の生息地として、豊かな自然環境・生態系を保持してきた。当連合会は、2000年7月14日、「ジュゴン保護に関する要望書」を発表し、国などに対し、ジュゴンの絶滅の危機を回避するに足る有効適切な保護措置を早急に策定、実施す
るよう求めた。
 また、当連合会は、2013年11月21日に、「普天間飛行場代替施設建設事業に基づく公有水面埋立てに関する意見書」を発表し、国に対し「普天間飛行場代替施設建設事業」に係る公有水面埋立ての承認申請の撤回を、沖縄県知事に対し同申請に対して承認すべきでないことをそれぞれ求めるなどした。その理由は、この海域は沖縄県により策定された「自然環境の保全に関する指針」において自然環境を厳正に保全すべき場所に当たり、この海域を埋め立てることは国土利用上適正合理的とはいえず(公有水面埋立法第4条第1項第1号)、環境影響評価書で示された環境保全措置等では自然環境の保全を図ることは
不可能であるなど(同第2号)、同法に定める要件を欠いているというものである。
 そして、沖縄県知事が2015年1月26日に設けた「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会」(以下「第三者委員会」という。)においても、本件承認について、公有水面埋立法第4条第1項第1号及び同条第2号の要件などを欠き、法律的な瑕疵があるとの報告が
出されるに至った(2015年7月16日付け検証結果報告書)。
 以上のとおり、本件承認には、法律的な瑕疵が存在し、瑕疵の程度も重大であることから、瑕疵のない法的状態を回復する必要性が高く、他方、本件承認から本件承認の取消しまでの期間が2年足らずであり、国がいまだ本体工事に着手していない状況であることからすれば、本日の沖縄県知事による本件承認の
取消しは、法的に許容されるものである。
 当連合会は、国に対し、沖縄県知事の承認取消しという判断を尊重するよう求める。
  2015年(平成27年)10月13日
    日本弁護士連合会      
    会長 村 越   進 
(引用終わり)
 
 そして、今日(10月14日)の動きとして、予想されたことではありますが、沖縄防衛局が国土交通大臣に対する審査請求と執行停止の申立てを行いました。そもそも、国が行政不服審査法に基づいて救済を求める資格があるのか?ということからして疑問ですが、既に辺野古については、農林水産大臣に同様の決定をさせて味をしめていますので、当然この手でくるでしょう。予想通りの国の動きですから、これを迎え撃つ沖縄県側はどういう対応を用意しているのでしょうか。
 
沖縄タイムス+ 2015年10月14日 11:50
辺野古承認取り消し:沖縄防衛局が効力停止申し立て 国交省に審査請求

(引用開始)
【東京】沖縄防衛局は14日午前、名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の判断は「違法」として、行政不服審査法に基づき、公有水面埋立法を所管する国土交通相へ取り消し無効の審査を請求し、裁決が出るまで暫定的に取り消しの効力を止める執行停止の申立書
を提出した。国交省は受理した。
 14日午前11時25分ごろ、防衛局の職員3人が同法を所管する国交省の水管理・国土保全局を訪ね
、担当職員へ申立書を手渡した。
 これを受け国交省は県に対し22日までに執行停止申し立てへの意見書、11月16日までに審査請求
への弁明書を提出するよう求める文書を14日付で送付する。
(引用終わり)
 
(参考サイト)
 2015年9月21日、翁長知事が国連欧州本部で開かれたサイドイベントで講演した際のスピーチ原稿
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)   
2015年6月22日
日本記者クラブの会見詳録で考える「戦後70年」「安保法制」そして「沖縄」
2015年8月5日
辺野古工事1ヶ月中断の間にやるべきこと~少なくとも検証結果報告書は読んでおこう

2015年9月15日
政治家としての力量が試される時~翁長雄志沖縄県知事による辺野古沖埋立承認取消し手続開始
2015年9月22日
翁長雄志沖縄県知事が国連人権理事会で読み上げた声明を読む
2015年9月26日
質問に誠実に答える政治指導者が日本政府にも欲しい~9/24日本外国特派員協会での翁長雄志沖縄県知事の会見動画を視聴して
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)