今晩(2016年2月6日)配信した「メルマガ金原No.2358」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
立憲デモクラシーの会・公開シンポジウム「緊急事態条項は必要か」を視聴する
昨日(2月5日)午後6時半から、東京の全電通労働会館多目的ホールにおいて、立憲デモクラシーの会主催による公開シンポジウム「緊急事態条項は必要か」が開かれました。
立憲デモクラシー講座についても、ずっと撮影・公開を続けているUPLAN(三輪祐児さん)が、今回も動画をアップしてくださっていますので、ご紹介します。
1分~ 主催者挨拶 共同代表・山口二郎氏(法政大学教授・政治学)
3分~ 基調講演「緊急事態条項の無用性などについて」
長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)
25分~ パネル・ディスカッション
司会:杉田敦氏(法政大学教授・政治学)
パネリスト:
長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)
石川健治氏(東京大学教授・憲法学)
28分~ カール・シュミットの委任独裁と主権独裁(石川)
38分~ ワイマール憲法48条(大統領緊急権)の評価(長谷部)
44分~ 憲法制定権力という概念を“復活”させたシュミット(石川)
48分~ 戦後ドイツにおける「緊急事態」の受け止め方(石川)
64分~ 大日本帝国憲法下における緊急事態条項と戦後の評価(長谷部)
66分~ 「例外」のノーマル化(石川)
75分~ 3.11と緊急事態(長谷部)
83分~ 「備えあれば憂いなし」には注意(石川)
87分~ 外側から見た戦後ドイツ(長谷部)
92分~ 日本の憲法に緊急事態条項が含まれていなかったことの意義(石川)
102分~ 同上(長谷部)
3分~ 基調講演「緊急事態条項の無用性などについて」
長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)
25分~ パネル・ディスカッション
司会:杉田敦氏(法政大学教授・政治学)
パネリスト:
長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)
石川健治氏(東京大学教授・憲法学)
28分~ カール・シュミットの委任独裁と主権独裁(石川)
38分~ ワイマール憲法48条(大統領緊急権)の評価(長谷部)
44分~ 憲法制定権力という概念を“復活”させたシュミット(石川)
48分~ 戦後ドイツにおける「緊急事態」の受け止め方(石川)
64分~ 大日本帝国憲法下における緊急事態条項と戦後の評価(長谷部)
66分~ 「例外」のノーマル化(石川)
75分~ 3.11と緊急事態(長谷部)
83分~ 「備えあれば憂いなし」には注意(石川)
87分~ 外側から見た戦後ドイツ(長谷部)
92分~ 日本の憲法に緊急事態条項が含まれていなかったことの意義(石川)
102分~ 同上(長谷部)
(引用開始)
2015年11月13日夜、パリ同時多発テロ事件の発生を受け、フランスではテロのような緊急事態に対処するための条項が憲法に盛り込まれているからこそ、対テロ作戦に機動的に対応できる一方、日本国憲法にはこうした規定がないために、「テロとの戦い」における欠陥となっていると解説する報道や主張が、日本ではなされている。
折しも、2015年11月10日に安倍晋三首相は参議院予算委員会の閉会中審査で、大規模災害や外国からの侵攻に対処するために、権力分立を一時停止して政府に権限を集中させ、国民の基本権に特殊な制限を加えることを眼目とする緊急事態条項を盛り込む憲法改正に優先的に取り組む姿勢を打ち出しており、パリ同時多発テロ事件が今後の憲法改正論議に大きな影響を与える可能性は否定できない。
はたして、日本において緊急事態条項を憲法に盛り込む必要性はあるのか、そして、安保法制の成立によって、法制度上はこれまで以上に深い関与が可能となった「対テロ戦争」に対して、私たちがとるべき姿勢とは何なのか、いまあらためて考えたい。
はせべ・やすお 憲法学者。早稲田大学大学院法務研究科教授。立憲デモクラシーの会呼びかけ人。1956年生まれ。著書に『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書) 『憲法とは何か』(岩波新書) など多数。近著に『安倍流改憲にNOを!』(共著、岩波書店) 『安保法制の何が問題か』(共編著、岩波書店) など。
(引用終わり)
2015年11月13日夜、パリ同時多発テロ事件の発生を受け、フランスではテロのような緊急事態に対処するための条項が憲法に盛り込まれているからこそ、対テロ作戦に機動的に対応できる一方、日本国憲法にはこうした規定がないために、「テロとの戦い」における欠陥となっていると解説する報道や主張が、日本ではなされている。
折しも、2015年11月10日に安倍晋三首相は参議院予算委員会の閉会中審査で、大規模災害や外国からの侵攻に対処するために、権力分立を一時停止して政府に権限を集中させ、国民の基本権に特殊な制限を加えることを眼目とする緊急事態条項を盛り込む憲法改正に優先的に取り組む姿勢を打ち出しており、パリ同時多発テロ事件が今後の憲法改正論議に大きな影響を与える可能性は否定できない。
はたして、日本において緊急事態条項を憲法に盛り込む必要性はあるのか、そして、安保法制の成立によって、法制度上はこれまで以上に深い関与が可能となった「対テロ戦争」に対して、私たちがとるべき姿勢とは何なのか、いまあらためて考えたい。
はせべ・やすお 憲法学者。早稲田大学大学院法務研究科教授。立憲デモクラシーの会呼びかけ人。1956年生まれ。著書に『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書) 『憲法とは何か』(岩波新書) など多数。近著に『安倍流改憲にNOを!』(共著、岩波書店) 『安保法制の何が問題か』(共編著、岩波書店) など。
(引用終わり)
昨日のシンポジウムの基調講演(というより基調報告と言った方が良いような)での長谷部教授の主張の主眼は、その演題や「世界」掲載論考のタイトルからもうかがえるように、緊急事態条項を憲法に規定する必要性がない(にもかかわらず弊害や危険が大きい)というところにあります。
従って、長谷部教授の短い講演部分だけなら「分かりやすくてよく分かった」と思っていただけるかと思うのですが、石川健治教授が加わり、杉田敦教授が司会を務めるパネルディスカッションに入ると、とたんに難しくなります。
もちろん、一般聴衆に公開するシンポジウムであり、大学で講義しているのではないことは、3人の先生方とも意識していないことはないと思うのですが、あえてかみ砕いて分かりやすくしたり、ましてやそのためにレベルを落としたりするつもりは毛頭ない様子であり、聴講する方にも、それなりの予備知識や理解力が求められます。これは、司会(コーディネーター)を務めた杉田敦教授のドライブの仕方によるところが大きいと思いました。とは言え、注意深く聴講すれば、理解できないことはありません。頑張って視聴しましょう。
従って、長谷部教授の短い講演部分だけなら「分かりやすくてよく分かった」と思っていただけるかと思うのですが、石川健治教授が加わり、杉田敦教授が司会を務めるパネルディスカッションに入ると、とたんに難しくなります。
もちろん、一般聴衆に公開するシンポジウムであり、大学で講義しているのではないことは、3人の先生方とも意識していないことはないと思うのですが、あえてかみ砕いて分かりやすくしたり、ましてやそのためにレベルを落としたりするつもりは毛頭ない様子であり、聴講する方にも、それなりの予備知識や理解力が求められます。これは、司会(コーディネーター)を務めた杉田敦教授のドライブの仕方によるところが大きいと思いました。とは言え、注意深く聴講すれば、理解できないことはありません。頑張って視聴しましょう。
(参考サイト)
海渡雄一弁護士がその論考「自民党改憲案緊急事態条項はナチスの1933授権法と1938国家総動員法の再来だ!-緊急事態条項は、国会の自殺につながりかねない-」の参考文献で紹介された資料の内、インターネット環境で容易に読めるものをご紹介しておきます。
・国立国会図書館調査及び立法考査局『主要国における緊急事態への対処:総合調査報告書』2003年
・衆議院憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会『「非常事態と憲法」に関する基礎的資料』2003年
・衆憲資第87号 「『緊急事態』に関する資料」 平成25年5月 衆議院憲法審査会事務局
海渡雄一弁護士がその論考「自民党改憲案緊急事態条項はナチスの1933授権法と1938国家総動員法の再来だ!-緊急事態条項は、国会の自殺につながりかねない-」の参考文献で紹介された資料の内、インターネット環境で容易に読めるものをご紹介しておきます。
・国立国会図書館調査及び立法考査局『主要国における緊急事態への対処:総合調査報告書』2003年
・衆議院憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会『「非常事態と憲法」に関する基礎的資料』2003年
・衆憲資第87号 「『緊急事態』に関する資料」 平成25年5月 衆議院憲法審査会事務局
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年11月4日
「立憲デモクラシーの会」による安保法制“今日までそして明日から”
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
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2016年1月25日
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