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「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど

 今晩(2016年11月21日)配信した「メルマガ金原No.2637」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど

 今日は、去る11月18日(金)、「立憲デモクラシーの会」が主催する「立憲デモクラシー講座」に
初登場した木村草太首都大学東京教授(憲法学)の講演動画をご紹介しようと考えていました。しかも、予告されていた演題が「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」という、一見して、いや、よく考えてみてもやはり「突飛」なものであり、皆さんも「是非視聴したい」と思われるでしょう?
 私も、過去の「立憲デモクラシー講座」は、全てUPLANの動画で視聴し、メルマガ(ブログ)でもご紹介して拡散に努めてきたところであり、今回の「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」についても、19日(土)にUPLANのYouTubeチャンネルで確認したところ、ちゃんとこれまで通りアップされていましたので、(
その日は視聴する時間がありませんでしたが)安心して今日に回して取り上げることにしたものです。
 ところが、今夜、確認してみたところ、問題の動画がない!そこで、UPLAN主宰者である三輪祐児さんのFacebookを確認したところ、「木村草太氏ご本人からの申し出により、映像は非公開といたしました」「非公開の理由は、もともと主催者から木村氏への了解に手違いがあったことによるもの」ということでし
た。
 うーん、まことに残念。たしかに、木村さんの講演動画というのは、昨年行われたごくわずかの例外を除き、ほとんどアップされていません。ようやく見つけたと思ったら、木村さんが連載を持っている沖縄
タイムス主催の講演会であったり、同じく主催者であるヒューマン・ライツ・ナウ自身の動画アカウントによるアップであったりという「特別の事情」が推測されるものだけでした。
 けれども、見られないということになると、いよいよ気になりませんか?(私は気になります)
 そこで、仕方がないので、辺野古問題についてのこれまでの木村さんの主張などを参考に、今回の講演の内容を推測するための資料を集めてご紹介することにしました。
 
【木村草太氏の辺野古問題についての発言】
 10月29日(土)に和歌山市で行われた講演会(主催:和歌山県保険医協会)でも木村さんが言及されていたかねてからの主張、すなわち、米軍のための新基地建設は、地方自治体の権限を大きく制約するものであって、法律事項である(憲法92条)とともに、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」(憲法95条)に他ならず、住民投票で過半数の賛成を要するが、そのような手続を践んでいない辺野古基地建設は違憲であるという説を公にした論考及び講演動画をここでもご紹介しておきます。
 
木村草太氏講演会 「沖縄で憲法を考える」(音声)
 

 もう1つ、本年9月の福岡高裁那覇支部判決についての所感を木村さんがビデオニュース・ドットコム
で語った映像もご紹介しておきます(やっぱり日本の裁判所は安保では不条理に踏み込めなかった)。
 
 
辺野古訴訟は今どうなっているのか?】
 翁長知事の公有水面埋立承認取り消しに始まる一連の訴訟は、相当に複雑な経過をたどっていま
すが、とりあえず、最近の私のメルマガ(ブログ)で取り上げた記事をご紹介しておきます。
 
2016年3月4日
沖縄県と国との和解条項(2016年3月4日・福岡高裁那覇支部)を読んで考えた

2016年9月18日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「骨子」をとりあえず読む
2016年9月19日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「判決要旨」をじっくりと読む
 
【「泣いた赤鬼」ってどんな話?】
 ウイキペディアによると、「『泣いた赤鬼』(ないたあかおに)は、浜田廣介作の児童文学である。浜
田の代表作で、学校教科書にも採用された。初出は『おにのさうだん』の表題で1933年『カシコイ小学二年生』8月号から連載。初版は1935年7月に刊行された『ひろすけひらかな童話』岡村書店に所収。」であり、浜田廣介氏の没年は1973年ということなので、まだ著者の死後50年間という著作権保護期間切れていません。
 そこで、ウイキペディアから「あらすじ」を引用しておきます。
 
(引用開始)
 とある山の中に、一人の赤鬼が住んでいた。赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと思っていた。そこで、「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸か
してございます」という立て札を書き、家の前に立てておいた。
 しかし、人間たちは疑い、誰一人として赤鬼の家に遊びに来ることはなかった。赤鬼は非常に悲しみ、
信用してもらえないことを悔しがり、終いには腹を立て、せっかく立てた立て札を引き抜いてしまった。
 一人悲しみに暮れていた頃、友達の青鬼が赤鬼の元を訪れる。赤鬼の話を聞いた青鬼はあることを考えた。それは、「青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちにも赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう」という策であった。これでは青鬼
に申し訳ないと思う赤鬼だったが、青鬼は強引に赤鬼を連れ、人間達が住む村へと向かうのだった。
 そしてついに作戦は実行された。青鬼が村の子供達を襲い、赤鬼が懸命に防ぎ助ける。作戦は成功し、おかげで赤鬼は人間と仲良くなり、村人達は赤鬼の家に遊びに来るようになった。人間の友達が出来た赤
鬼は毎日毎日遊び続け、充実した毎日を送る。
 だが、赤鬼には一つ気になることがあった。それは、親友である青鬼があれから一度も遊びに来ないことであった。今村人と仲良く暮らせているのは青鬼のおかげであるので、赤鬼は近況報告もかねて青鬼の
家を訪ねることにした。しかし、青鬼の家の戸は固く締まっており、戸の脇に貼り紙が貼ってあった。
 それは「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。ぼくはどこまでも君の友達です」という青
鬼からの置手紙であった。
 赤鬼は黙ってそれを2度も3度も読み上げ、涙を流した。その後、赤鬼が青鬼と再会することはなかった

(引用終わり)
 
【三輪祐児さん(UPLAN)の意見】
 当初、動画をアップしたUPLANの三輪祐児さんは、Facebookに以下のような投稿をされています。しかも、コメント欄への書き込みによると、「私の見解については木村氏からも好意的に評価されるコメントを
いただいています。」ということです。
 その三輪さんの見解というのは以下のようなものです。
 
(引用開始)
木村草太さま
タイムパラドックスは解決できます
 タイムマシンは超光速を前提にしていますから、問題は量子論の解釈で解決できます。私の場合でした
シュレディンガーの猫仮説を導入します。箱の中の猫は確率論的に生きていて同時に死んでいるように
、物語の中のA氏とB氏も生きていて同時に死んでいますから、パラドックスは発生しません。
 この状態は箱の蓋を開くことによって壊れます。木村さんはA氏とB氏の存在と物語を知ったわけですから、その瞬間に物語の箱の蓋は開いたわけです。それまで箱の中の存在を知らなかった私も、木村さんからこの話を伺った瞬間に箱の蓋を開いてしまいました。すなわち生きていて同時に死んでいる状態で幸せに物語を紡いでいたA氏とB氏の自由を奪い、生きているかそれとも死んでいるかを選択せよと詰め寄って永遠に逃れようのないパラドクスに陥れた犯人はまず蓋を開いた木村さんであり、次に私であったわ
けです。
●赤鬼くんの苦悩は解決できます
 適当な時が経過し、村人たちとの信頼が十分醸成された段階において自叙伝「泣いた赤鬼」を出版すれば村人もわかってくれます。全国的ベストセラーになるでしょうから、どこかで青鬼くんも見つかるでしょうから、戻ってきてもらって仲良く暮らします。したがって最良の解決方法は、赤鬼くんがUPLAN
に相談に来てくれることです。
(引用終わり)
 
 11月18日に行われた「立憲デモクラシー講座」第Ⅱ期第2回「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」の内容を推測する手がかりとして、私が提供できるのはとりあえず以上のようなところです。
 少しは推測がつきましたか?「赤鬼」「青鬼」「村人たち」という主要な配役に、辺野古訴訟当事者及びその周辺の関係者がどう割り振られているのか、正直、とんと見当がつきません。三輪さんの文章を読
んでも、さらに謎は深まるばかりです。
 そのうち、ネットでも、講演を聴いて感想をアップしてくれる人も出てくるでしょうけどね。それまでの間、上にご紹介した資料を基に、あれこれ考えていただくことが、辺野古訴訟への理解を深める一
番の近道かもしれません。そうか、だから木村草太さんは動画のアップを断ったのか(そんなことないか)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「立憲デモクラシー」関係)
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年1月31日
杉田敦法政大学教授による「憲法9条の削除・改訂は必要か」~1/29立憲デモクラシー講座 第5回)
2016年3月28日
立憲デモクラシー講座第6回(3/4三浦まり上智大学教授)と第7回(3/18齋藤純一早稲田大学教授)のご紹
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項)
2016年4月25日
立憲デモクラシー講座第9回(4/22)「表現の自由の危機と改憲問題」(阪口正二郎一橋大学教授)」のご紹介(付・3/2「放送規制問題に関する見解」全文)
2016年5月15日
立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
2016年6月16日
立憲デモクラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介
2016年10月22日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」スタート~第1回・白藤博行専修大学教授「辺野古争訟から考える立憲地方自治」(10/21)のご紹介
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「木村草太氏」関係)
2014年7月22日
「閣議決定」についての木村草太氏の見解に耳を傾ける(ビデオニュース・ドットコム)
2014年10月28日
7月1日閣議決定についての木村草太氏の解釈には無理がある
2015年4月1日
木村草太氏の那覇市での講演動画の視聴をお勧めします(3/31)
2015年5月25日
「哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義」(國分功一郎氏&木村草太氏)を読む
2015年6月13日
あらためて「存立危機事態」の解釈を問う~木村草太説と公明党(北側一雄氏)の認識

2016年3月31日
開催予告5/14「憲法という希望~対談:木村草太×国谷裕子」(大阪弁護士会)
2016年9月1日
7.1閣議決定についての木村草太説を振り返り 10.29木村草太氏講演会(和歌山県保険医協会)に期待す
2016年10月29日
10月29日の冒険~『法華経』、『標的の村』、木村草太氏講演会