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共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3

 今晩(2017年2月28日)配信した「メルマガ金原No.2737」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3

 私が講師を頼まれている3月3日の学習会までいよいよあと3日となりました。我ながら「大丈夫なの
か?」と心配ですが、何度も書いていますが、参加者には、『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』(2017年1月発行/頒価200円)という、分かりやすくてためになる64頁の冊子が漏れなく進呈されますので、要領を得ない講師の話に首をひねりながら帰宅したとしても、この冊子を熟読すれば、共謀罪の問題点のあらましが分かること請け合いですので、是非ご来場ください。
 
日時 2017年3月3日(金)18:30~20:30
場所 和歌山市勤労者総合センター(ふくふくセンター)6階文化ホール
     和歌山市西汀丁34 TEL:073-433-1800
演題 “共謀罪”とは何か?・その狙いとは
講師 金原徹雄(弁護士・憲法9条を守る和歌山弁護士の会 前事務局長)
主催 和歌山県平和フォーラム、戦争をさせない和歌山委員会、部落解放同盟和歌山県連合会
 
 今日は、学習会の講師を引き受けたのを機に始めた共謀罪シリーズの第8回として、「共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介のvol.3をお届けします。ちなみに、vol.1は2月21日に、vol.2は2月24日に配信しています。
 
(その1 ニュースの部)
東京新聞 2017年2月28日 07時00分
テロ準備罪に「テロ」表記なし 「共謀罪」創設の改正案を全文入手

(抜粋引用開始)
 政府が創設を検討している「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の全容が二十七日、関係者への取材で明らかになった。政府はテロ対策を強調し呼称を「テロ等準備罪」に変更したが、法案には「テロ」の文言が全くないことが判明。捜査機関の裁量によって解釈が拡大され、内心の処罰につながる恐れや一般市民も対象になる余地も残しており、共謀罪の本質的な懸念は変わっていない。(山田祐
一郎)
 本紙が入手した法案全文によると、処罰されるのは「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」で、「計画罪」と呼ぶべきものとなっている。政府が与党に説明するために作成した資料では、対象とする二百七十七の犯罪を「テロの実行」「薬物」など五つに分類していたが、本紙が入手した法案全文には「テロ」の文言はなく、分類もされていなかった。特定秘密保護法で規定されているよう
テロリズムの定義もなかった。
 法案は、共同の目的が犯罪の実行にある「組織的犯罪集団」の活動として、その実行組織によって行われる犯罪を二人以上で計画した者を処罰対象としている。計画に参加した者の誰かが資金や物品の手配、関係場所の下見、「その他」の実行準備行為をしたときに処罰すると規定。また「(犯罪)実行に着手す
る前に自首した者は、その刑を減軽し、または免除する」との規定もある。
 政府はこれまでの国会答弁で「合意に加えて、準備行為がなければ逮捕令状は出ないように立法する」などと説明してきた。しかし、条文は「実行準備行為をしたときに」処罰するという規定になっており、
合意したメンバーの誰かが準備行為をしなければ逮捕できないとは読み取れない。
 準備行為がなければ起訴はできないが、計画や合意の疑いがある段階で逮捕や家宅捜索ができる可能性が残ることになる。合意の段階で捜査できるのは、本質的には内心の処罰につながる共謀罪と変わらない

 「組織的犯罪集団」は政府統一見解では、普通の団体が性質を変えた場合にも認定される可能性がある。団体の性質が変わったかどうかを判断するのは主に捜査機関。その裁量次第で市民団体や労働組合など
が処罰対象となる余地がある。
(引用終わり)
 
東京新聞 2017年2月28日 朝刊
「共謀罪」創設の改正案入手 罪の絞り込み根拠示さず

(抜粋引用開始)
 本紙が全文を入手した、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案は、過去に国会提出された「共謀罪」法案と比べ、処罰対象となる罪を六百十五から二百七十七に絞った。従来とは違う法案として理解を得る狙いだが、政府は過去、六百超の罪を対象としなければ国際組織犯罪防止条約を批准できないと説
明していた。過去との整合性や、絞り込みの基準は不明確なままだ。(大杉はるか)
 「共謀罪」法案は、政府が二〇〇三年、〇四年、〇五年と三回、国会提出。与党も〇六年に政府案を二
回修正した「再修正案」を提出している(いずれも廃案)。
 政府が今国会で提出・成立を目指す法案を〇三年の政府提出法案と比べると、処罰対象者や処罰対象となる行為は、一定程度絞り込まれた。しかし、〇六年の与党再修正案と比べた場合、処罰対象者は同じ「組織的犯罪集団」。対象行為を巡っても、政府は今回「準備行為があって初めて処罰対象とする」と説明しているが、〇六年の時点で与党再修正案は「犯罪の実行に必要な準備その他の行為」を対象としており
、大きく変わってない。
 対象とすべき罪について政府は当時「六百以上」と言って譲らなかったが、今回は一転して半分以下に。政府は「条約定義で、組織的犯罪集団とした場合、関与が想定されるもの」などと与党側に説明したが
、条文上に明確な規定はない。
 また、自民党は〇七年、法務部会小委員会で「共謀罪」法案をまとめており、そこでは対象犯罪を百四
十五程度まで絞り込んだ。今回の二百七十七よりさらに少ない。
 政府の「転換」については、野党だけでなく与党内からも疑問の声が上がっている。自民党法務部会のメンバーは「今まで絞り込めないといって、今回絞り込めることになった明確な根拠がまだ分かりにくい
」と指摘している
(引用終わり)
 
NHK NEWS WEB 2月28日 18時18分
テロ等準備罪新設の法案 政府が原案を提示

(抜粋引用開始)
 政府は、自民・公明両党に対し、重大な犯罪の実行で合意した場合の処罰を可能にする共謀罪の構成要
件を厳しくして、テロ等準備罪を新設する法案の原案を示しました。
 自民・公明両党の会合で示された、組織犯罪処罰法の改正案の原案は、一定の犯罪の実行を目的とする組織的犯罪集団が、重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが、資金または物品の手配、関係場所の下見、その他の、犯罪を実行するための準備行為を行った場合などに、テロ等準備罪として処罰すると定
めています。
 このうち、組織的犯罪集団には、テロ組織や暴力団、薬物密売組織などが含まれるとしています。
 また、処罰対象となる重大な犯罪は、組織的な殺人やハイジャックなど、テロの実行に関連する110の犯罪に加え、覚醒剤大麻の輸出入といった、薬物に関する30程度の犯罪など、組織的犯罪集団が関
与することが現実的に想定される、合わせて277としています。
 さらに、罰則については、死刑や、10年を超える懲役や禁錮が科せられる犯罪を計画した場合、5年
以下の懲役か禁錮とするなどとしています。
 自民党の法務部会では、「過去に自民党政権が提出した共謀罪を設ける法案から、対象犯罪が大幅に減った理由を示すべきだ」、「組織的犯罪集団の定義がはっきりしない」などと、政府に対し、国民の理解
を得るため、さらに説明を尽くすよう求める意見が相次ぎました。
 また、公明党の政調全体会議では、「現行の法律のままでも国際組織犯罪防止条約は批准できるのではないか」という質問が出されたのに対し、政府側は「現行法では無理がある」として新たな法整備が必要
だと説明しました。
 政府・自民党は、3月10日に法案を閣議決定したい考えですが、公明党は、閣議決定の時期にこだわ
らず、党内で十分議論したいとしていて、今後、調整が行われる見通しです。
(引用終わり)
 
 各メディアとも、改正案の全文を入手したというのであれば、その条文自体を掲載してくてれれば良いのにと思いますけどね。
 「まだ閣議決定までに修正される可能性があるので、条文の形では報道しないように」という官邸の指示があり、各社がそれに従っているという可能性もありますが、もしもそうだとすると、それ自体おかし
いですけどね。
 もっとも、連立与党に説明したということなので、自民党公明党の個々の議員から条文を入手したメディア(特に大手でないところ)がネットで公開するかもしれません。3月3日までに是非それを読んでみたいものです。
 
(その2 動画の部)
100219山下幸夫さん講演「共謀罪が通るとどうなるの」(2時間10分)

※2月19日に「ユニコムプラザさがみはら」で講演する山下幸夫弁護士(日弁連共謀罪法案対策本部事務局長)は、平成元年(1989年)に弁護士登録した司法修習41期、つまり私の同期ですね。講演は3分~1時間14分ですが、その後は、映画批評家前田有一氏と山下弁護士によるトークタイムとなります。
 
(その3 声明の部)
法律家6団体による「憲法違反の共謀罪創設に強く反対する共同声明」

(引用開始)
憲法違反の共謀罪創設に強く反対する共同声明
 
2017年2月27日
 
共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 社会文化法律センター  代表理事 宮 里 邦 雄
 自由法曹団  団長 荒 井 新 二
 青年法律家協会弁護士学者合同部会  議長 原   和 良
 日本国際法律家協会  会長 大 熊 政 一
 日本民主法律家協会  理事長 森   英 樹
 日本労働弁護団  会長 徳 住 賢 治
 
 安倍政権は,過去3度世論の強い批判により廃案となった共謀罪法案を,「テロ等準備罪」と呼ぶなどの粉飾を施し,4たび国会に提出しようとしているが,私たち法律家は,以下の理由により,同法案の国会提出に強く反対する。
 
 共謀罪は,「犯罪についての話し合い」があったとみなされただけで,独立の犯罪の成立を認め,処罰しようとするものであり,国家刑罰権の著しい強化を狙うものである。
 国家刑罰権は,国家権力が強制的に国民の生命・自由を奪うものであるから,努めて謙抑的に行使されねばならず,また,何が犯罪であり何が犯罪でないかが法律により明確に定められなければならない(罪刑法定主義)。このような近代刑法の大原則に基づき,我が国の刑事法体系では,犯罪は既遂処罰を原則とし,例外的に一部の犯罪について未遂や予備を処罰対象とし,意思や内心は処罰の対象としていない(行為原則・侵害原則)。ところが共謀罪は,予備にも達しない,極めてあいまいな「話し合い」があったと国家権力が認めた時点で犯罪が成立し,そのあと何もしなくても、仮に犯罪を断念したとしても処罰の対象とする点で,恣意的な権力行使を著しく容易にし,市民の内心の自由,正当な言論・表現を侵害し,適正手続原則に違反する危険が極めて高い。したがって、共謀罪法案は憲法19条,21条,31条に違
反する法案である。
 政府は,提出を検討中の法案は,話し合いだけでなく「準備行為」も要件とし,処罰対象を「組織的犯罪集団」に限るから一般市民は対象とならないなどと弁明してきた。しかし,過去の国会答弁では銀行でお金を下すという何ら危険でない行為も「準備行為」にあたるとし(2006年),先日法務省は,もともと正当な活動をしていたと認められる団体も,その目的が「犯罪を実行することにある団体」に一変したと認められる場合には「組織的犯罪集団」に当たるとの見解を公表した(2月16日)。すなわち,初めて「座り込みをしよう」と話し合った市民団体は,それだけで組織的威力業務妨害罪を目的とする組織的犯罪集団とみなされる可能性がある。さらに言えば,提出される法案では,2人以上が話し合いをした
だけで「集団」とされる可能性も高い。
 まさに一般市民の活動が狙い撃ちされる危険が極めて高い法案である。
 
 政府は,共謀罪法案は「テロ防止」目的の法案であり,「テロ防止」を目的とする国際組織犯罪防止条約を批准するために共謀罪を成立させることが不可欠であるなどと述べるが,これは二重三重に国民を騙すものである。
 まず国際組織犯罪防止条約は「テロ防止」目的の条約ではない。同条約は,「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」(5条)のマフィアなどの越境的犯罪集団の犯罪を防止するための条約である。そのことは,国連の立法ガイドで「目標が純粋に非物質的利益にあるテロリストグループや暴動グループは原則として組織的な犯罪集団に含まれない」と明記されていることからも明らかである(2
6項)。
 また,共謀罪を創設しなくても同条約は批准できる。同条約中には長期4年以上の犯罪についての共謀罪又は参加罪の立法を義務付けているかのような文言があるが,国連の立法ガイドは「共謀罪や参加罪などの法的概念を持たない国においては,これらの概念を強制することなく,組織的犯罪集団に対する実効
的な措置をとることも条約上認められる」(51項)と明記しているのである。
 そもそも我が国は,ハイジャック防止条約,シージャック防止条約等,テロ防止のための国連の主要13条約をすでに批准して国内法化も完了しており,これらに加え「テロ」を検挙・処罰するための法律も多数整備されており,「テロ防止」のためには現行法で十分である。また,「テロ」は単独で行われる場合もあるが,共謀罪は単独犯には適用できない。「テロ」と無縁の多くの犯罪について共謀罪を制定する
という的外れの対策で,「テロ防止」ができると考えることの方が危険である。
 市民の「テロ」に対する不安に便乗して共謀罪成立を強行することは許されるものではない。
 
 政府はこれまで,長期4年以上のあらゆる犯罪(676と言われている)についての共謀罪を創設しなければ条約を批准できないとしてきたが,国民の強い批判を受け,対象犯罪を277とする方針をとったと伝えられている。
 しかし対象犯罪を277に絞っても,これだけの数の犯罪について当局が2人以上の「話し合い」とわ
ずかな「準備行為」があると認めれば関係者を一網打尽にできる共謀罪の危険性は、戦前に猛威を振るった治安維持法をはるかに上回るものである。また,長期4年以上の全犯罪を対象としなくても条約の批准が可能だというならば,政府のこれまでの議論の前提は崩れており,共謀罪を成立させなくても国内法は整備済みであるとして、条約を批准できるはずである。
 政府の説明は完全に破綻している。それにもかかわらず政府が共謀罪の成立に固執する目的は,「テロ防止」や「条約の批准」以外の,市民の監視,市民運動などの弾圧にあるとしか考えられない。
 
 2016年5月,刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立し,盗聴法(通信傍受法)の対象犯罪の大幅な拡大と手続の緩和,他人の犯罪を証言することにより自己の犯罪を免れることができる司法取引の導入など,捜査権限が格段に拡大強化された。
 共謀罪の犯罪構成要件は「話し合い」であるから,電話やメールなどによる「話し合い」を立証しなければ強制捜査も公判維持も不可能である。従って,仮に共謀罪が成立したならば,情報収集目的で市民を監視する警察活動がますます強化され,その中で別件盗聴も行われ,盗聴法の対象犯罪に共謀罪を含める法改正や,部屋に盗聴器を仕掛ける「会話傍受」の法制化も企てられるであろう。現に法務大臣は,共謀罪を通信傍受の対象とすることは将来の検討課題だと認めている。司法取引・密告により「共謀」を立証
することも行われるようになり,共謀罪の冤罪事件が大量に発生する危険性も現実味を帯びている。
 4度目の共謀罪法案について,政府は過去3度の法案より要件を厳格にするなどと言うが,新設され強化された捜査手段とあいまって,むしろ過去の法案よりも人権侵害の危険性は飛躍的に高まっている。
 
 戦争への道を突き進み,憲法9条の改悪を企む安倍政権は,これに対抗する巨大な市民・野党の共同の運動が生まれたことに脅威を感じ,運動の弾圧を狙い,批准予定の国連条約が目的としていない「テロ防止」など嘘に嘘を重ねて共謀罪を強行に成立させようとしている。共謀罪はまさに現代の治安維持法である。この認識の下に,私たち法律家は広範な市民と手を携え,共謀罪の成立を阻む闘いに全力を尽くす決意である。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介

2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演

一からわかる共謀罪(表)一からわかる共謀罪(裏)共謀罪(金原)チラシ