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安倍晋三首相による「私は立法府の長」発言4事例+番外「立法府の私」1事例を再確認する~2007年5月11日~2018年11月2日

 2018年11月3日配信(予定)のメルマガ金原No.3320を転載します。
 
安倍晋三首相による「私は立法府の長」発言4事例+番外「立法府の私」1事例を再確認する~2007年5月11日~2018年11月2日
 
 昨日(11月2日)の衆議院予算委員会における審議の中でのささやかなエピソードをご紹介しておきます。
 私がこのエピソードを、裏付けとなる衆議院インターネット審議中継の書き起こしとともにブログに掲載しておこうと考えた問題意識については、後に説明させていただきます。
 
 まず、このエピソードを短く伝えた報道記事を3本ご紹介しておきます。
 
毎日新聞 2018年11月2日 20時29分(最終更新 11月3日 10時28分)
衆院予算委 安倍首相また「私は立法府の長」 議場嘆声
(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、「私が今ここに立っているのは、『立法府の長』として立っているわけだ」と答弁し、直後に「行政府の長」と言い直した。首相が国会で自身を「立法府の長」と言い間違えるのは2007年5月、16年4、5月に続き少なくとも4回目。今回は議場の「あー」という嘆声で気付いてすぐに訂正した。
 国民民主党奥野総一郎氏が、消費増税とセットで行うはずの国会議員定数削減が進んでいないと指摘。言い間違えた後、首相は「失礼、すいません、行政府の長として立っており、立法府議員定数について少ない方がいいと言ってはいけない」と述べた。
(略)
(引用終わり)
 
しんぶん赤旗 2018年11月3日(土)
3度「立法府の長」発言 安倍氏の無理解極まる
(引用開始)
 「ここに立法府の長として立っている」。安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、自身を「立法府の長」だとする間違った発言をし、与野党議員から失笑を買いました。
 問題の発言は、国民民主党奥野総一郎氏が国会議員の定数削減への取り組みをただしたさいの答弁。直後に「行政府の長」と訂正し、謝罪しました。
 安倍首相が国会で「立法府の長」だと述べたのは、2007年5月と16年5月の答弁に続く3度目です。
 安倍氏は今回、答弁を訂正する際に、「行政府の長」として「立法府の議員の定数について、私が少ないほうがいいと言うのはあってはならないのだろう」と表明しました。
 ところが、安倍氏は今国会での所信表明演説(10月24日)では、衆参両院の憲法審査会で各党が改憲案を示して議論することは「私たち国会議員の責任」だと主張し、「行政府の長」として国会に改憲の大号令をかけました。
 「行政府の長」として、議員定数への言及が「あってはならない」というなら、改憲案審議を立法府=国会に促すこともあってはならないはずです。憲法三権分立原則への安倍氏の無理解ぶりを示しています。
(引用終わり)
 
朝日新聞(大阪本社) 2018年11月3日 朝刊 13版 4面
首相また「私は立法府の長」
(抜粋引用開始)
(略)
 首相は2016年5月の衆院予算委員会でも「私は立法府の長」と答弁。同月の参院予算委でも「立法府の私」と答えた。
(引用終わり)  
 
 上記3紙が、全て先例として指摘している2016年5月の「私は立法府の長」発言というのは、2016年5月16日開催の第190回国会(常会)衆議院予算委員会における山尾志桜里議員(民進党・無所属クラブ)からの質問に対し、「私は立法府立法府の長であります。」と答えたことを指しており、これは相当に大きな話題となりましたので、ご記憶の方も多いことでしょう。
 けれども、各紙が指摘している先例はそれだけではありません。今回も含めて時系列順に「私は立法府の長」発言を並べると以下のようになります。
 
1 2007年5月(毎日が指摘)
2 2016年4月(毎日が指摘)
3 2016年5月(毎日、赤旗、朝日が指摘)
(番外)2016年5月「立法府の私」(朝日が指摘)    
4 2018年11月(今回の発言)
 
 上記の1、2、3、(番外)の4事例については、私も2年前のブログでフォローしていました。
 
2016年5月19日
内閣総理大臣である私は立法府の長?」~会議録と動画で振り返る安倍晋三首相の【4事例】
2016年6月9日
「私は立法府立法府の長」は「私は行政府の長」と書き換えられた~国会会議録を考える
 
 (番外)を含めた「私は立法府の長」発言5事例の年月日等のデータを一覧にしてみましょう。
 
第1事例
2007年5月11日
第166回国会(常会)参議院日本国憲法に関する調査特別委員会
簗瀬進委員(民主党)からの質問に答えて
 
第2事例
2016年4月18日
第190回国会(常会)衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会
下地幹郎委員(おおさか維新の会)からの質問に答えて
 
第3事例
2016年5月16日
第190回国会(常会)衆議院予算委員会
山尾志桜里委員(民進党・無所属クラブ)からの質問に答えて
 
(番外)事例~「立法府の私」
2016年5月17日
第190回国会(常会)参議院予算委員会
福山哲郎委員(民進党新緑風会)からの質問に答えて
 
第4事例
2018年11月2日
第197回国会(臨時会)衆議院予算委員会
奥野総一郎委員(国民民主党・無所属クラブ)からの質問に答えて
 
 以上からお分かりのとおり、安倍晋三首相による「私は立法府の長」という発言は、「少なくとも4回目」という毎日新聞の記載が正しく、しんぶん赤旗の「3度目です」というのは、2016年4月事例のカウント漏れです。ちなみに、赤旗の記事後半、所信信表明演説での改憲への言及との矛盾を指摘した部分は素晴らしい着眼だと思います。
 
 過去2回ブログで取り上げてはいるのですが、最新事例が加わったのを機に、(番外)編を含めた5事例をまとめてご紹介しておきましょう。
 その際、安倍首相の発言を「何によって」確認したかというと、
 
第1事例 2007年5月11日 参議院
 ⇒参議院会議録
第2事例 2016年4月18日 衆議院
 ⇒衆議院インターネット審議中継、衆議院会議録
第3事例 2016年5月16日 衆議院
 ⇒衆議院インターネット審議中継、衆議院会議録
(番外)事例 2016年5月17日 参議院
 ⇒参議院インターネット審議中継(現在は削除)、参議院会議録
第4事例 2018年11月2日 衆議院
 ⇒衆議院インターネット審議中継
 
となります。
 実は、衆議院インターネット審議中継は、「公開期間は、第174回国会(常会)より継続して公開しています。」(FAQ)ということで、2010年1月召集の常会(第174回国会)以降の動画は全て視聴できますが、
参議院インターネット審議中継は、「視聴できるのは、各国会ごとに、会期終了日から1年が経過した日までです。」という非常に短期間だけの公開にとどまっており、これは至急、衆議院と同様に永年公開継続すべきです。
 以下にご紹介しますが、「私は立法府の長」発言が、安易に「私は行政府の長」と会議録で書き換えられており、これが、衆議院であれば、まだしも動画と対照して書き換えの経過を検証できますが、参議院のようにあっという間に動画が削除されてしまえば、この検証作業自体が不可能になってしまいます。
 実際、上記第3事例も、いまや動画で確認することができませんので、公開当時、私が文字起こししたものをそのまま転載しています。
 昨日の第4事例は、幸い(?)衆議院でしたので、1年で動画が削除されることはありませんが、多くの方に情報を共有していただくためにも、書き起こしておくことは重要であると考え、以下にご紹介することとした次第です。
 
 それでは、安倍首相「私は立法府の長」発言4事例プラス番外「立法府の私」を一挙紹介します。
 今回は、昨日の最新事例を先頭に、順次過去に遡って配列します。
 
【第4事例/平成30年(2018年)11月2日】
第197回国会(臨時会)衆議院予算委員会
奥野総一郎議員(国民民主党・無所属クラブ)からの質問に答えて
衆議院インターネット審議中継]
安倍晋三内閣総理大臣 そこで、しかし、その時代には1議席もですね、削減することができなかった訳でございますが、我々は15議席ですね、15議席これは削減した訳でございます。で、そこでですね、そこでそれが多々益々便宜(?)なのか、削減する議員の定数が多ければ多いほどいいのかという議論もですね、真剣にしなければいけないわけでございまして。私は、まさに今ここに立っているのはですね、立法府の長としてここに立っているわけでございます。(議場ざわめく)その上・・・失礼しました。あの、行政府の長として、行政府の長として立っているわけでありますから、ええ、あの、行政府の長として立っているわけでありますから、立法府の議員のですね、定数ということについて、私が「少ない方がいい」ということがあってはならないんだろうと、こう思うわけでありまして、立法府のことにつきましては、まさにこれはしっかりとですね、議員の定数のあり方については、これは議会の根幹に、議会政治の根幹にかかわることでありますから、重要な課題であり、各党、各会派において、真摯に行われるべきものであろうと、こう思うわけであります。
 
【番外/平成28年(2016年)5月17日】
第190回国会(常会)参議院予算委員会
福山哲郎委員(民進党新緑風会)からの質問に答えて
参議院インターネット審議中継(既に削除済み)からの書き起こし]
福山哲郎委員(民進党新緑風会) 事務総長にお伺いします。この議事録が10月に掲載された時に、特別委員会の委員長ならびに委員は、理事は存在しましたか。
中村剛参議院事務総長 昨年の通常国会は9月27日に閉会してございますので、当日、9月17日の会議録が出た時点では、特別委員会は存在しておりません。
福山哲郎委員 総理は国会の判断だと言われましたが、国会の委員長も理事も存在してないんですよ。じゃあ、誰が判断してるんですかね、これ。誰が判断してるんですかね。総理、どうお考えですか。
安倍晋三内閣総理大臣 議院の事務局がお答えしていることについて、私は、立法府の私としてはお答えのしようがないわけであります。
参議院会議録]
福山哲郎君 事務総長にお伺いします。
 この議事録が十月に掲載されたときに、特別委員会の委員長並びに委員は、理事は存在しましたか。
○事務総長(中村剛君) 昨年の通常国会は九月二十七日に閉会してございますので、当日、九月十七日の会議録が出た時点では特別委員会は存在しておりません。
福山哲郎君 つまり、国会の判断だと、総理は国会の判断だと言われましたが、国会の委員長も理事も存在していないんですよ。
 じゃ、誰が判断しているんですかね、これ。誰が判断しているんですかね。総理、どうお考えですか。
内閣総理大臣安倍晋三君) 院の事務局がお答えをしていることについて、私は、立法府の、私としてはお答えのしようがないわけであります。
※金原注 この会議録の書きぶりは、一見すると発言通りと思われるかもしれませんが、「立法府の」と「私としては」の間の「、」がくせ者です。素直に読めば、何かここに間合いがあったという感じを受けるでしょうが、私の記憶によれば、「立法府の私としては」は一気に発言され、間合いなどなかったのですけどね。動画が削除されてしまうと、こういう点の検証ができなくなってしまうのです。
 仕方がないので、2016年6月9日に書いた私のブログの該当箇所を再掲しておきます。
「さらに、もっと微妙というか巧妙なのが【事例4】(注:上記【番外】のこと)です。会議録では「立法府の、私としては」と間に「、」が入っています。この「、」は、誰がどういう意図で挿入したのでしょうか。速記官が作成したもともとの原稿(速報)に「、」はあったのでしょうか?(あるわけないと思いますけどね)
 皆さんも動画を視聴して確認いただきたいのですが、何度聞いても、安倍首相は、「立法府の私としては」とよどみなく一続きの流れで発言していますよね。誰が考えても、「立法府の私」であって、「立法府の」「、」「私」ではないですよ。
 後世、何も知らない人が会議録のこの部分を読めば、首相は、「立法府の(ことについては)、私としてはお答えのしようがない」と答えたのかな(括弧内をつい省略して)と勘違いしかねません。これは巧妙というより悪質です。」
 
【第3事例/平成28年(2016年)5月16日】
第190回国会(常会)衆議院予算委員会
山尾志桜里委員(民進党・無所属クラブ)からの質問に答えて
衆議院インターネット審議中継]
山尾志桜里委員(民進党・無所属クラブ) ・・・この社会が求めている待機児童問題、保育士さんの給料をどうするのかという問題、議論をこの国会で、しっかり与野党前向きにできるんですよ。この場で是非、「一歩でも前に進めよう」「対案を議論すべきだ」とおっしゃることできないんですか。
安倍晋三内閣総理大臣 ええ、山尾委員はですね、議会の運営ということについて、少し勉強していただいた方がいいと思います。議会についてはですね、私は立法府立法府の長であります。国会は、国権の最高機関として、その誇りをもってですね、いわば立法府とは、行政府とはですね、別の権威として、どのように審議をしていくかということについては、各党、各会派において、議論をしているわけでございます。
衆議院会議録]
○山尾委員 ・・・社会が求めているこの待機児童問題、保育士さんの給与をどうするのかという問題、議論をこの国会でしっかり与野党が前向きにできるんですよ。この場でぜひ、一歩でも前に進めよう、対案を議論するべきだとおっしゃることはできないんですか。
安倍内閣総理大臣 山尾委員は、議会の運営ということについて少し勉強していただいた方がいいかもわかりません。
 議会については、私は行政府の長であります。国会は国権の最高機関としてその誇りを持って、いわば行政府とは別の権威として、どのように審議をしていくかということについては、各党各会派において議論をしているわけでございます。
※金原注 「私は立法府立法府の長であります。」という発言は、きれいに「私は行政府の長であります。」と修正されました。こういう「改竄」を阻止しようとすすれば、質問者において、その直後に「総理は、自分が『立法府の長』だと信じているのですか?」
という質問をするしかないのでしょうかね。こうしておけば、首相発言の書き換えをしてしまうと、後の質問者の質問まで削除しなければならなくなり、質問者が納得するはずないですからね(【事例1】を参照願います)。
 
【第2事例/平成28年(2016年)4月18日】
第190回国会(常会)衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会
下地幹郎委員(おおさか維新の会)からの質問に答えて
衆議院インターネット審議中継]
安倍晋三内閣総理大臣 ・・・議員歳費につきましては、これはまさに、これはまあ、国会、国会議員の、これはいわば権利につく話、関わる話でございますから、まあ、立法府の長である私がですね、それについてコメントすることは差し控えさせていただきたい。是非・・・(議場がざわめき、「行政府、行政府」と注意する者あり)あっ、行政府だ、失礼、ちょっと。あの、行政府の歳費の削減でございますが・・・。
衆議院会議録]
安倍内閣総理大臣 ・・・議員歳費につきましては、これはまさに国会議員のいわば権利にかかわる話でございますから、行政府の長である私はそれについてコメントすることは差し控えさせていただきたい。
※金原注 事例がこれ1つだけであったなら、「うっかりミスでしょう」ということで見過ごしてもらえたかもしれないのですがね。
 
【第1事例/平成19年(2007年)5月11日】
第166回国会(常会)参議院日本国憲法に関する調査特別委員会
簗瀬進委員(民主党)からの質問に答えて
参議院会議録]
簗瀬進君(民主党) 国民とともに議論をすると、そういう総理にお言葉がございました。私は、まあ私がどう評価しようと、それは国民がよく分かっていると思うんですよ。
 何しろ今日、先ほどの理事会で、残念ながら私たちは本日審議を終局するということで合意をせざるを得ませんでした。この週後半はずっと私たちが何を求めたかといえば、正に国民とともに議論をする、それが制度的にしっかりと表れたものとして何があるかといえば、これは公聴会じゃないですか。地方公聴会は六回やりました。しかし、前日連絡をして翌日公述人を選ぶような、そういう地方公聴会と、官報に掲載をして五日間国民の皆さんに対してしっかりと議論をする、意見を述べる、そういう機会を保障する中央公聴会とは、委員派遣の実質の地方公聴会は全く違うんです。その中央公聴会を私たち何度も求めましたけれども、結局自民党公明党はそれを受けてくれませんでした。
 正にそれは総理が、総裁として、自民党の総裁として国民とともに議論をするとおっしゃったその言葉と全く矛盾する対応を現場がしている。これどう思うんですか。
内閣総理大臣安倍晋三君) それは、正に参議院のこの委員会の運営は委員会にお任せをいたしておりますから、私が立法府の長として何か物を申し上げるのは、むしろそれは介入になるのではないかと、このように思います。
簗瀬進君 先ほど憲法尊重擁護義務の話がございましたけれども、総理大臣として現在の憲法を尊重し擁護をすると、これは憲法にちゃんと明記されている。しかも、三権分立というものがあります。国権の最高機関として定められているのは国会である。そして、その国権の最高機関と分立する形で立法府のほかに内閣があり司法があって三権が成り立っているんです。あなたはそういう意味では行政府の長であります。
 正にそういう意味では、行政府の長として、内閣の例えば審議の在り方に対する外部的な様々な注文というのは絶対にこれ抑制すべきじゃないですか。正に、審議促進を様々にさせるような、そういう圧力を国会やら自民党に対して掛けてくるということは、これは絶対に避けるべきじゃないですか。それを延々とおやりになって今日まで来ているんじゃないんですか。正にそういう意味では、総理のこの国会に対する様々な総理としての圧力というようなものは行政府の立法府に対する容喙であり、立憲主義に違反する憲法違反の態度だと私は思いますが、いかがですか。
※金原注 簗瀬進議員が直ちに切り返したので、「私が立法府の長」を「私が行政府の長」と書き換えることができなかったのでしょう。
 
 以上で、安倍首相「私は立法府の長」発言4事例プラス番外「立法府の私」の一挙紹介を終わります。
 この問題に関連して、上述したとおり、会議録のあり方や、参議院インターネット審議中継の動画保存期間1年間を衆議院と同様に永年保存とすべきなど、重要な論点に気がつくのですが、間もなく在任6年にもなろうとする内閣総理大臣が、「私は立法府の長」という観念にとりつかれている(?)ことも大問題です。
 これは、単に「教養」とか「能力」とかいう問題を超えているという気がします。
 そういう観点からすると、昨日の衆議院予算委員会で、安倍首相が言い間違いに気がつき、訂正発言をした際、これみよがしに「あーあー」という不規則発言(?)をした野党議員は、問題の本質が分かっていない。満場が息をのみ、「恐怖の沈黙」をもって対峙すべき場面だった、というのが私の感想です。