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安倍内閣は「憲法99条は内閣総理大臣が憲法改正を主張することを禁止する趣旨のものではない」と断定した

 今晩(2017年2月18日)配信した「メルマガ金原No.2727」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安倍内閣は「憲法99条は内閣総理大臣憲法改正を主張することを禁止する趣旨のものではない」と断定した

 私が憲法問題についての学習会講師を頼まれるようになったのは、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の2代目事務局長となった2006年1月以降のことですから、もう10年以上が経っていますが、その中で、「立憲主義」をどう説明したものかということについては試行錯誤の連続でした。
 その10年間の紆余曲折の末にたどりついた現在の説明の見本を、(長くなりますが)末尾に掲載しておきます。これは、2016年6月15日(水)、「憲法をまもりくらしに活かす田辺・西牟婁会議」主催の学習会用に書いたレジュメからの抜粋です(自民党「日本国憲法改正草案」批判レジュメ~2016年参院選直前ヴァージョン)。
 そこに書きましたように、日本国憲法「第10章 最高法規」を構成する第97条~第99条は、緊密な論理的つながりをもって、我が国が「立憲主義」の原理に立つことを宣明した諸規定であり、公務員の憲法尊重擁護義務を定めた第99条は、単なる訓示規定にとどまるようなものではなく、日本国憲法の骨格をなす重要条文の1つなのです。
 
日本国憲法(昭和二十一年十一月三日憲法)
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
 
 その「国務大臣」全体を首長として統括する内閣総理大臣が、国会における施政方針演説で、「憲法施行七十年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる七十年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか。」(2017年1月20日・第193回国会・衆議院本会議における安倍晋三内閣総理大臣の施政方針演説より)と国会議員に呼びかけることは、三権分立立憲主義、何より日本国憲法第99条によって課された憲法尊重擁護義務に違反するのではないのか?ということは当然いだかれる疑問です。
 
 そして、今国会で、この点を直截に質す質問主意書を提出した議員がいるということを、マガジン9に南部義典さんが連載している「立憲政治の道しるべ 第112回 憲法改正論議の呼びかけは、憲法違反ではない」異例の政府答弁書を読む」を読んで知りました。
 
 その議員とは、逢坂誠二衆議院議員民進党・無所属クラブ)です。
 逢坂議員の質問主意書(2回行われています)と、それに対する内閣の答弁書を以下に全文ご紹介しようと思いますが、まずその前に、南部義典さんが、安倍首相による改憲呼びかけ演説をどう評価しているかをご紹介しておきましょう。私も全く同感です。
 
(抜粋引用開始)
 内閣総理大臣は、国会の慣例によって毎年1月に召集される通常国会の冒頭、その1年の取り組み方針を政策項目ごとに述べます。これを施政方針演説といいます。施政方針演説は、召集の日に行われること
が多く、衆議院参議院それぞれの本会議場で、同一の演説内容で行われます。
 安倍総理はこれまで6回、施政方針演説を行っています。過去の演説を改めて検証してみると、2013年を
除く計5回、憲法改正に関して言及しています。
 2013年、「言及なし」が一度だけあります。この年は、7月に参議院議員選挙が控えていたため、いわゆる「安倍(的保守)色」を封印して、安全運転の政権運営を以て、選挙の勝利を導こうとした思惑があったと言われています(⇒選挙の結果、自由民主党は31議席増となり、歴史的大勝を収めました)。しかし
、翌2014年以降になると態度が一変し、その後一貫して、憲法改正論議を堂々と呼びかけているのです。
 何より着目すべきは、ことし(2017年)の発言です。「憲法審査会」という衆議院参議院の常設機関を直接、名指ししているからです。内閣総理大臣憲法上、行政権を司る内閣の首長であることは間違いありませんが(66条1項)、立法権を司る国会、つまり衆議院参議院の運営等に関して、内閣、内閣総理大臣には何の権限も認めていません(権力分立の原則)。「憲法審査会」をどのように運営していくかは
専ら、各議院の裁量に属する事項です。
 憲法改正に対する安倍総理の執着心は、すべての議員が知るところであり、特段珍しくもないというのが率直な受け止めかも知れません。しかし、憲法改正論議の呼びかけは、年々自制が利かなくなり、露骨さを増してきています。今や、一人の政治家としての意見の表明を超えた「悪しき容喙(ようかい)=口
出し」であり、国会の権限を侵害する(憲法違反)に至っているというのが私の認識です。
(引用終わり)
 
 それでは、以下に、逢坂誠二衆議院議員民進党・無所属クラブ)による質問主意書とそれに対する内閣答弁書を引用します。
 
平成二十九年一月二十三日提出 質問第一六号
内閣総理大臣が国会に対して憲法改正の議論を促すことのできる根拠に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二

(引用開始)
 安倍総理は、平成二十九年一月二十日の第百九十三回国会の施政方針演説の中で、「憲法施行七十年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる七十年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」(「本発言」という。)と述べ、憲法改正に関する国会議論を促すような発言を行っているが、この発言に限らない一般論として、内閣総理大臣憲法及び国会の関係に関して疑義があるので、以下質問す
る。
一 内閣総理大臣が、国会に対してどのような根拠によって憲法改正に関する議論を促す権限を有してい
るのか。根拠法とともに、その権限を持つ理由について具体的に示されたい。
二 内閣総理大臣は、行政府の長であり、何らかの国会の議論のあり方を促すのは、三権分立の観点から
適切ではないと思われるが、政府はどのような見解を持っているのか。具体的に示されたい。
三 本発言は、内閣総理大臣としての安倍晋三氏の立場で行われたのか。あるいは、平成二十八年十月五日の参議院予算委員会でいうところの「自民党の総裁の立場としては、既にこの憲法改正草案が、これは谷垣総裁当時に自民党で議論を重ねた末取りまとめられたわけでございますが、自民党に対しましては総裁として、この草案の下にまとまってしっかりと憲法審査会において議論してもらいたいということは話をしております」と表明しているところの、自民党総裁である安倍晋三氏の立場で行われたのか。政府の
見解を示されたい。
四 安倍総理は、平成二十八年十月五日の参議院予算委員会で、「憲法審査会はなぜつくられたかということでございますが、まさに憲法を審議する場において、これはつくられたわけでございます。私は、ここに立っておりますのは、行政府の長として、今回政府として提出をした補正予算、そして、あるいはまたこの補正予算に関わる法案等々についてここで答弁をする義務を果たしていくわけでございまして、憲法につきましてはまさに国会において議論をしていく、衆議院参議院で発議をする、責任と誇りを持って発議をされる」と答弁しているが、行政府の長である内閣総理大臣が本発言で「憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と促すことは、「衆議院参議院で発議をする、責任と誇り」を傷つ
け、「行政府の長として」「答弁をする義務を果たすこと」に反しないか。政府の見解を示されたい。
五 憲法は、国家権力の監視と抑制を行う規範であり、改正発議は議会がその自由意思で「責任と誇りをもって発議」するべきものであり、行政府の長である内閣総理大臣が議論を促すべきものではない。憲法は国家権力の濫用を縛るものであり、縛られる対象である行政府の長が自らその内閣総理大臣としての施政方針演説の中で規範の改変を促すことは、明らかに則を越え、三権分立に反するものであると考えるが
、政府の見解を示されたい。
 右質問する。
(引用終わり)
 
平成二十九年一月三十一日受領 答弁第一六号
内閣衆質一九三第一六号 平成二十九年一月三十一日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議員逢坂誠二君提出内閣総理大臣が国会に対して憲法改正の議論を促すことのできる根拠に関する
質問に対する答弁書

(引用開始)
一及び二について
 御指摘の「憲法改正に関する議論を促す権限」及び「何らかの国会の議論のあり方を促す」の意味する
ところが必ずしも明らかではないが、内閣総理大臣は、憲法第六十三条の規定に基づき議院に出席することができ、また、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十条の規定に基づき、内閣総理大臣が議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告した上で行うものとされてい
る。
 議院の会議又は委員会において、憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣が、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼び掛けることは禁じられているものではなく、三権分立の趣旨に反するものではないと考えている

三から五までについて
 御指摘の「内閣総理大臣が本発言で「憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と促すことは、「衆議院参議院で発議をする、責任と誇り」を傷つけ、「行政府の長として」「答弁する義務を果たすこと」に反しないか」及び「規範の改変を促す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の施政方針演説は安倍内閣総理大臣が行ったものであり、一及び二についてでお答えしたとおり、議院の会議又は委員会において、憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣が、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼び掛けることは禁じられているものではなく、三権分立の趣旨に反するものではないと考えている

(引用終わり)
 
 質問されたことにまともに答えずにはぐらかすというのは安倍晋三首相の得意の答弁パターンですが、この質問主意書に対する答弁も全く同断です。
 この点については、南部義典さんがマガジン9に書かれた批判を引用しておきましょう。
 
(抜粋引用開始)
 国会議員の中から指名された内閣総理大臣が(憲法67条1項)、衆議院参議院の要求に応じて委員会等に出席し、答弁している限りでの話であるから(同63条)、憲法上問題はない。これが、答弁書に示され
た、内閣の言い分です。
 しかし、逢坂議員の質問とは、論点がズレてしまっていて、きわめて不明瞭です。そもそも、63条、67条1項は、権力分立に関する総括的な規定ではありません。それぞれ、国務大臣等の議院出席・答弁義務、内閣総理大臣の指名議決の件を定めているにすぎず、国会と内閣の関係性を解くための一般法理を導くことはできないのです。どう寝転んでも、63条、67条1項の解釈から、内閣総理大臣衆議院参議院の委員
会、本会議で憲法改正論議の呼びかけを行うことの「合憲性」は引き出せません。
 仮に、この「論理」を用いるならば、「各地の高等裁判所は、一票の較差問題に関して、違憲無効判決を下すべきではない」「沖縄県辺野古の埋め立て承認を取り消した件につき、処分を撤回するよう、裁判所は毅然と判断すべきである」といった意見を、裁判所に対して呼びかけることも憲法上問題ないとい
うことになってしまうでしょう。
(引用開始)

 南部さんが「仮に」以降で書かれたことは、本来であれば、実際に起こるはずのない事例ですが、「安倍政権ならやりかねない」と思いませんか?
 この答弁に納得できない逢坂誠二議員は、再度の質問主意書を提出しました。
 
平成二十九年二月一日提出 質問第四三号
内閣総理大臣が国会に対して憲法改正の議論を促すことのできる根拠に関する再質問主意書
提出者 逢坂誠二

(引用開始)
 先般提出した「内閣総理大臣が国会に対して憲法改正の議論を促すことのできる根拠に関する質問主意書」(質問第一六号)に対する答弁書(内閣衆質一九三第一六号。以下「答弁書」という。)の内容に疑
義があるので、以下質問する。
一 平成二十九年一月二十日の第百九十三回国会の施政方針演説における安倍総理の発言は、答弁書でいう「国会に対して議論を呼び掛ける」のではなく、さらに踏み込んだ「憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と行政府の長である内閣総理大臣立法府に対して憲法改正に関する議論を促す
ものであると受け止めているが、この点、政府はどのような認識を持っているのか。見解を示されたい。
二 答弁書でいう「国会に対して議論を呼び掛けることは禁じられているものではなく、三権分立の趣旨に反するものではないと考えている」ということの意味は、安倍総理の当該発言には何ら政治的な拘束力はなく、「政治上の見解」の「説明を行」ったに過ぎず、一定の効果を持つ政治意思の表明ではなかった
と理解して良いか。
三 二に関連して、安倍総理の当該発言は「国会議員の中から指名された内閣総理大臣」の発言であること、「三権分立の趣旨に反するものではない」ことが答弁書で明示されており、一定の政治上の効果を国
会に与えることを意図しているものではないのか。見解を示されたい。
四 日本国憲法第九十九条「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」との規定によって、総理大臣には日本国憲法を遵守し尊重する義務がある
と認識しているが、政府の見解を明らかにされたい。
五 総理大臣が憲法改正を主張するのは、日本国憲法第九十九条の規定に反すると思われるが、政府の見
解を示されたい。
六 総理大臣が国会に対して、単に憲法に関する議論を促すのではなく、憲法の改正についての議論を促
すことは、日本国憲法第九十九条の義務に反すると思われるが、政府の見解を示されたい。
 右質問する。
(引用終わり)
 
(引用開始)
一について
 御指摘の「さらに踏み込んだ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の発言は、先の
答弁書(平成二十九年一月三十一日内閣衆質一九三第一六号。以下「前回答弁書」という。)一及び二に
ついてでお答えしたとおり、国会に対して議論を呼び掛けたものと認識している。
二及び三について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。いずれにしても政府としては、前回答弁書一及び二についてでお答えしたとおり、議院の会議又は委員会において、憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣が、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼び掛けることは禁じられているものではな
いと認識している。
四から六までについて
 政府としては、憲法第九十九条は、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のもの
ではないと考えている。
(引用終わり)
 
 この再度の質問趣旨書に対する内閣答弁で最も重要な部分は、質問と照らし合わせて考えると、「憲法第九十九条は、(内閣総理大臣が)憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではない」と言い切ったことにあると言うべきでしょう。
 この答弁書の作成には、当然内閣法制局が関与しているはずですが、集団的自衛権行使を容認して以降、「毒を食らわば皿までも」という投げやりな心境なのでしょうかね。
 2015年9月15日の中央公聴会で濱田邦夫元最高裁判事が「今は亡き内閣法制局」と発言した時には、「そこまで言わなくても」と思ったものでしたが、今となってはまことに的確な評言であったと感じ入るばかりです。
 
(参考レジュメ)
2016年6月15日(水) 西牟婁教育会館にて
憲法をまもりくらしに活かす田辺・西牟婁会議
「自民党改憲案を斬る~いま主権者がなすべきこと~」用レジュメ
から
(抜粋引用開始)
5 憲法は誰が守るべきものか(立憲主義とは何か)
 問題続出の自民党改憲案の中でも、とりわけ重大な肝となる条文は、樋口陽一先生、小林節先生が語られているとおり、現行13条「すべて国民は、個人として尊重される。」が「全て国民は、人として尊重される。」に変更され、「個人」が消滅していることでしょう。
 この点については後ほど触れられればと思いますが、以下には、2012年4月27日に自民党改憲案が発表された後、私自身が自民党ホームページに掲載された改憲案をざっと通読した時に最も衝撃を受けた条文「102条1項 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」を中心に、やや詳細に自民党改憲案の反立憲主義ぶりをご紹介しようと思います。
 
 さて、この改憲案を最初の前文から読み始めた人は、「なんて義務規定が多いんだ」と思われるでしょう。ざっと目に付く規定を抜き出してみます。
 
3条2項 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
9条の3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確
保しなければならない。
12条後文 国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常
に公益及び公の秩序に反してはならない。
19条の2 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。
21条2項 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びに
それを目的として結社をすることは、認められない。
24条1項後文 家族は、互いに助け合わなければならない。
25条の2 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
28条2項前文 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項
に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。
92条2項 住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に
分担する義務を負う。
99条3項 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条そ
の他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
102条1項 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
 
 この一々にコメントを付すことも可能ですが、それをやり出すときりがありません。ただ、12条後文は、まず日本語になっていません。改憲派は、現行憲法が翻訳憲法であって日本語としておかしいと批判しますが、十分意味は伝わります。これに対し、自民党改憲案の12条後文はそもそも文法的に成り立ちません。
 
 それはそれとして、私は、この自民党改憲案を、発表されてから遅くとも6日以内には読んでいます。なぜはっきりそう言えるかと言うと、2012年5月3日に配信した「メルマガ金原」で「憲法記念日に考える(立憲主義ということ)」という記事を書いているからです。
  ブログに転載した前編
  ブログに転載した後編
 それは、改憲案102条1項「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」を読んだ衝撃によって一気に書き上げたものでした。
 私が言わんとしたのはこういうことです。やや長くなりますが、この部分が今日のお話のポイントなので、我慢してお付き合いください。
 
 現行の日本国憲法は、97条から99条までの3箇条で「第10章 最高法規」という章を設けています。引用してみます。
 
第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するそ
の他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
 
 「第1章 天皇」「第2章 戦争の放棄」「第3章 国民の権利及び義務」「第4章 国会」「第5章 内閣」「第6章 司法」「第7章 財政」「第8章 地方自治」「第9章 改正」までは、どういうことが規定されているのか、章の標題だけからでも、ある程度は推測がつくと思いますが、「最高法規」という第10章の標題を読んだだけで何らかのイメージがわく人がどれほどいるでしょうか?実際に3箇条の条文を読んでみたらどうでしょう?
 「どうやら憲法が一番偉い規定であって、他の法律などは憲法に違反すると効力がないということを定めたのかな」位のことは(98条にそう書いてあるのですから)誰でも分かると思いますが、最高法規性を定めた98条と、その前後の97条、99条との関係、何故この3箇条で一つの章をわざわざ設けているのか、ということは少し説明を加える必要があります。
 実は、今日のお話は、この第10章の意義とこれをなきものにしようとしている自民党改憲案の対比を説明すれば、ほぼそれで尽きると言ってもよい位なのです(というか、他にも重要な論点はあるのですが、多分お話している時間がありません)。
 私自身、日本国憲法の条文を初めて通読したのは、大学の1回生として教養課程の「憲法」を受講した時だったから相当昔のことですが、その時は、「第10章 最高法規」の本当の意義は全然分かっていませんでした。
 学生時代の私が何より疑問に思ったのは97条でした。基本的人権の重要性を強調するのであれば、「第3章 国民の権利及び義務」の最初の方に置けば良いし、実際、第3章には既に以下のような条文が置かれています。

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権
、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
 
 大学に入ったばかりの私には97条の存在意義が理解できず、「11条や12条と無駄に重複しているのではないか」などと考えていたものです。97条や99条の重要性を理解するまで、相当時間がかかったように記憶しています。
 ここで、97条及び99条の意義を理解するためのこれ以上ない「反面教師」として、自民党改憲案「第11章 最高法規」を読んでおきましょう。
 
現行の第97条 → 全文削除
憲法の最高法規性等)
第101条 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関する
その他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
憲法尊重擁護義務)
第102条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
 
 どこをどう変えようとしているのかを確認しましょう。
 97条はどうなったか?「全面削除」です。これについて、自民党「Q&A(増補版)」は、「我が党の憲法改正草案では、基本的人権の本質について定める現行憲法 97条を削除しましたが、これは、現行憲法 11 条と内容的に重複していると考えたために削除したものであり、「人権が生まれながらにして当然に有するものである」ことを否定したものではありません。」としています。
 けれども、そらなら何故11条ではなく97条の方を削除したのかについては一言も触れられていません。
 現行98条は、ほぼそのまま101条となっていますが、現行99条の憲法尊重擁護義務はどうなったか?
 まず、現行規定にはなかった「国民」の憲法尊重義務なるものが102条1項として規定されています。
 102条2項には、現行の99条からあえて「天皇又は摂政」を削除した上で、公務員の憲法擁護義務を残しています。
 
 ここで、「立憲主義」とは何かを考えるために、迂遠なようではありますが、日本で最初の近代的「憲法」として制定された「大日本帝国憲法」を振り返っておきたいと思います。
 1888年(明治21年)6月22日(大日本帝国憲法公布の約8か月前)、憲法草案を審議していた枢密院において、議長である伊藤博文が述べた以下の発言は非常に著名なものです。
 
「そもそも、憲法を創設するの精神は、第一君権を制限し、第二臣民の権利を保護するにあり。ゆえに、もし憲法において臣民の権利を列記せず、ただ責任のみを記載せば、憲法を設くるの必要なし」(原文は旧字・カタカナ・句読点なしなので、読みやすくしました)
 
 そして、大日本帝国憲法「第2章 臣民権利義務」の中で、臣民に直接義務を課す規定は、兵役の義務(20条)と納税の義務(21条)を定めた2箇条だけにとどめられていました。
 伊藤博文が正しく指摘しているように、そもそもなぜ憲法を定めるかと言えば、それは国民の権利・自由を保障する(臣民の権利を保護する)ためであって、そのために国家権力に制限を加える(君権を制限し)必要があるからです。つまり、「憲法を守らなければならない」という規範の名宛人は国家であって国民ではない、というのが大原則なのであって、これが「立憲主義」の本質です。
伊藤博文の発言の淵源の1つが、1789年~大日本帝国憲法発布のちょうど100年前~フランス人権宣言(人及び市民の権利の宣言)16条「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は、憲法をもつものでない。」(岩波文庫「人権宣言集」の訳による)にあることは言うまでもありません。
 
 ここまで書けば、現行憲法の「第10章 最高法規」において、憲法の形式的最高法規性を明示した98条に先立ち、基本的人権の不可侵性を強調した97条がなぜその直前に置かれねばならなかったかが理解されるでしょう。
 97条は、憲法が最高法規でなければならないその根拠を明示した規定なのです。
 そして、99条の憲法尊重擁護義務に列挙された「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員」は、正に最高法規である憲法規範の名宛人である国家を実際に運営する主体であるがゆえに、明示的に「憲法尊重擁護義務」が課せられているのです。
 以上のとおり、97条-98条-99条という第10章の3箇条は、非常に論理的なつながりをもって
構成されており、最も根本的な憲法の基本原理である「立憲主義」を明らかにした章なのです。
 
 さて、自民党改憲案です。
 97条が全面削除されることにより、伊藤博文の言う「臣民の権利を保護する」という憲法の最も重要な目的が消えてなくなっています。
 98条の形式的最高法規性はそのまま残っていますが、現行の第10章において、真に重要な規定は97条と99条であり、98条はこれらの条文の存在理由を論理的に明らかにするために必要であったため、97条と99条の間に置かれた規定です。
 考えてもみましょう。憲法が形式的に法律等の規範より上位にあるなどということは、規定があろうが
なかろうが「当たり前」でしょう?
 そしてとどめは99条です。自民党は新102条で、あろうことか国民の憲法尊重義務をまず規定しました。
 実はこの規定に限らず、先に列挙したとおり、自民党改憲案には国民に義務を課す規定が目白押しです。数え方にもよりますが、新たな義務規定が少なくとも10箇所はあります。
 自民党改憲案は、国際標準で言えば「憲法」の名に値しません。
 もちろん、世界には様々な国家があり、それぞれ憲法を持っているのですから、伊藤博文が述べたような意味での「立憲主義」に立脚した憲法ばかりではなく、国民の自由・権利よりも「公益や公の秩序」を重しとする全体主義国家の憲法もあるでしょう(特定のファミリーが三代にわたって強権的に国民を支配している国も近隣にありますしね)。
 しかし、そのような「立憲主義」に立脚しない「憲法」は、「近代的意義の憲法」とは言いません。自
民党は、「立憲主義」を捨て去ることによって、日本を全体主義国家にしようと提唱していると言わざるを得ません。
(引用終わり)
 

森友学園への不明朗な国有地払下げを追及した宮本岳志衆議院議員(日本共産党)の質疑(テキスト)を読む(付・自由法曹団記者会見)

 今晩(2017年2月17日)配信した「メルマガ金原No.2726」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
森友学園への不明朗な国有地払下げを追及した宮本岳志衆議院議員日本共産党)の質疑(テキスト)を読む(付・自由法曹団記者会見)

 財務省近畿財務局が、大阪府豊中市内の国有地を学校法人森友学園に異常な廉価で売却したのではないか?という第一報を朝日新聞が報じたのは2月9日のことでした。
 
 
 この第一報では、「財務局が森友学園に売った土地の東側にも、国有地(9492平方メートル)があった。財務局が10年に公共随契で豊中市に売ったが、価格は約14億2300万円。森友学園への売却額の約10倍とみられる。ここは公園として整備された。」という部分が最も注目されたと思われます。
 この時点では、近畿財務局は売却金額を公表しておらず、隣地との売却価格の著しい落差に目が行ったのも無理はありません。
 
 しかし、近畿財務局が価格の公表に転じたものの、疑惑は深まるばかりという状況であり、朝日新聞以外の大手メディアによる報道も見られるようになりました。まだ一切報じていない大手新聞やTVもあるようですが、共産党民進党が国会で重点的に追及することになれば、いつまでも頬被りという訳にはいかなくなるでしょう。実際、NHKも今日になってようやくニュースで取り上げたようです。
 
東京新聞-共同通信 2017年2月15日 20時44分
小学校建設の国有地問題、解明へ 売却の真相、弁護士団体が表明

(引用開始)
 大阪府豊中市で私立小学校建設を計画する学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)に、評価額の14%で払い下げた国有地の売却額を国が非開示にした問題で、弁護士団体「自由法曹団」が15日、大阪市内で記者会見し、「売却経緯の真相を解明したい」と表明した。
 会見で村山晃弁護士は、「売り払う過程に不自然な点が多い」と強調。国が地下のごみ撤去に8億円余りかかると見積もり、評価額9億5600万円から差し引いたことについて「費用の算定根拠が示されていない」などと疑問を示した。
 小学校は4月開校予定で、名誉校長は安倍晋三首相の夫人昭恵さん。
(引用終わり)
 
毎日新聞 2017年02月16日 22時08分
国有地:格安の謎…査定9億円、学校法人へ1億円で売却

(抜粋引用開始)
 国が売却した土地(約8770平方メートル)は豊中市野田町にある。取得したのは、大阪市淀川区で幼稚園を運営する学校法人「森友学園」で、今春、小学校が開校する。名誉校長には安倍晋三首相の妻昭恵さんが就くといい、注目度は更に高まった。
 元々、この地区は近くにある伊丹空港の騒音対策区域だったため、国土交通省大阪航空局が土地を買い進めてきた。航空機の性能が上がり、1989年に区域解除されたことに伴って区画整理が始まり、一つに集約された広い土地が生まれた。
 国はこの土地が不要になり、大阪航空局の依頼を受けた近畿財務局が2013年に売却先を公募。森友学園が手を挙げた。
 森友学園は15年5月、土地を借り受ける契約を結び、校舎建設に着手。ただ、地中からガラス片や木くずなどのごみが見つかった。学園側は「国に撤去を任せると時間がかかる」との理由で土地の購入を希望し、近畿財務局は昨年6月に随意契約で売却した。
 ここで問題になったのが、近畿財務局がとった売却額の非開示の措置。国の通達により公表が原則だが、学園側が地下ごみの風評被害を懸念し、開示に同意しなかった。これを問題視した豊中市議が、開示を求めて大阪地裁に提訴した。
 提訴から2日後、学園側が開示に同意し、売却額は1億3400万円と判明した。学園は「公表しないことで、不当に安く取得したと誤解を受ける恐れがある」と考えたという。
 ただ、開示だけで事態は収束しなかった。近畿財務局から依頼を受けた不動産鑑定士は、土地を9億5600万円と評価したことが明らかになり、売却額との開きに注目が集まった。財務省によると、大阪航空局は地下に埋まったごみの撤去・処分費を約8億円とはじき出しており、これが差額の根拠となったという。
(引用終わり)
 
NHK NEWS WEB 2月17日 18時38分
鑑定価格より低く売却の国有地 財務省は適正価格と説明

(抜粋引用開始)
 大阪・豊中市にあった国有地が、学校法人に鑑定価格より低く売却されたことをめぐり、財務省衆議院予算委員会で、土地で発見された大量のゴミの撤去費用として8億円余りを差し引いたもので、適正な価格だったと説明しました。
 この問題は、大阪・豊中市にあったおよそ8800平方メートルの国有地を、国が去年、大阪・淀川区の学校法人「森友学園」に、鑑定価格よりも低く売却したものです。
 これについて、17日の衆議院予算委員会財務省の佐川宣寿理財局長は、学園側に貸し付けていた国有地に小学校を建設中、地中から大量のゴミが発見され、学園側が1年後のことし4月に開校が迫る中、ゴミを撤去する意向を示したと説明しました。そして佐川理財局長は、鑑定価格の9億5600万円から8億円余りをゴミの撤去費用などとして差し引き、1億3400万円で売却したとしたうえで、「適正な価格で売り渡した」と述べました。
 一方、民進党側は「不動産鑑定の評価額より値下げされたのはなぜなのか。学校設置の認可とも関連したのではないか」と指摘しました。
 これに対し、安倍総理大臣は「妻の昭恵が小学校の名誉校長になっていることは承知している。私や妻が、この認可あるいは国有地払い下げに、事務所も含めて、一切関わっていないということは明確にさせていただきたい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「私や妻が関係しているということなれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない」と述べました。
(引用終わり)
 
 今日は、IWJの記事を2本、テキストと動画をご紹介したいと思います。
 1つは、一昨日(2月15日)の衆議院財務委員会における宮本岳志議員(日本共産党)による質疑のテキストです。
 いずれ、正式な会議録が衆議院のホームページにアップされると思いますが、これはおそらく会議録確定前の速記録(未定稿)でしょう。
 ざっと通読しましたが、日本共産党の調査能力の高さに感心しましたね。この質疑の模様は衆議院インターネット審議中継で見られますし、そこから切り取ったYouTube動画もありますが(1つ紹介します)、これまで朝日新聞の第一報を読んだだけで憤慨していた人に、是非このテキストを熟読して欲しいですね。動画も併せて視聴されると良いとは思いますが、私としてはテキストをまずお読みになることをお勧めします。
 非常によく出来たミステリーを読む醍醐味に近い、と言っては不謹慎でしょうが、どこに問題の所在があったのかという目の付け所が非常に的確であると思いますし、私としても非常に参考になりました。
 今日(2月17日)の衆議院予算委員会でもこの問題が取り上げられたようであり、さらに新しい疑惑が出てきているかもしれませんが、15日の宮本岳志議員(と日本共産党タクスフォース)によって明らかにされた点を出発点とし、これを多くの国民の共通認識にする努力をしなければならないと思います(ということで、私もメルマガ&ブログで取り上げたのですが)。
 
IWJ 【国会ハイライト】国有地が9割引の1億3000万円で払い下げ!次々と明らかになる「森友学園」をめぐる国ぐるみの疑惑!共産党・宮本岳志議員の追及を全文掲載!「極右学校法人の闇」第2弾! 2017.2.17
 
「森友学園」国有地払い下げ問題 国会で追及へ! 宮本岳志(共産)2/15 衆院財務金融委員会(32分40秒)

 
 なお、上記の宮本議員による質疑をより良く理解するために、以下の文書は目を通しておかれた方が良いと思います。
 
大阪府私立学校審議会 平成27年1月30日答申
大私審第15号 小学校の設置について(答申)

(抜粋引用開始)
 平成26年12月9日け私第2826号で諮問のあった事項については、平成27年1月27日開催の大阪府私立学校審議会臨時会において、下記のとおり結論を得たので答申します。
                    記
第4号議案  瑞穂の國記念小學院の設置の件
 慎重審議の結果、上記の件について以下の条件を附して認可適当と認める。
 小学校建設に係る工事請負契約の締結状況、寄附金の受入れ状況、詳細なカリキュラム及び入学志願者の出願状況等、開校に向けた進捗状況を、次回以降の当審議会定例会において報告すること。
(引用終わり)
 
国有財産近畿地方審議会 第123回(平成27年2月10日) 議事録
(抜粋引用開始)
【藪野委員(弁護士(藪野・藤田法律事務所))】 売買予約契約を予め結んでおかれるということだったのですが、価格ですね。通常は、価格をフィックスして、予約完結権を行使したときに、それで売買が成立するということになるかと思うのですが、今回違いますね。
 先ほどその年度ごとに相続税路線価格を示して協議するというお話もありましたけれども、価格の設定はどのようにされているんですか。
【立川管財部次長】 これは一般的に不動産鑑定士に評価をお願いしてそれを使うと。それを買い受けが可能となった時期にタイムリーに鑑定評価に出しまして、その有効期限内に買っていただくという形でやらせていただこうと思っています。
 ですから、売買予約契約書には時価で買いましょうと、借地権も見ませんというふうなことを特約で盛り込んでいるところでございます。
(略)
【平井委員(㈱読売新聞大阪本社編集局 管理部長)】 今回の件は、当審議会よりもむしろ私学審で議論があり、たぶんその議論の決着が着いたから今回の審議会に持ち込まれたのだと思います。その上でまず、この少子化の中で、「私立の小学校を作るのでその運営主体に土地を売却する」ということですが、私学の小学校経営というのは本当に大丈夫なのでしょうか。それから、10年間まず借地として貸して、その後に時価で売るとのことですが、今後10年間の地価の推移がどうなるか、また、今後10年で私立の小学校の経営環境というのはそれほど改善しないと思われますが、いざ、売却する段になって、地価が上がっていて、買い手が「その価格では買えません」と言い出すリスクはないのでしょうか。
【立川管財部次長】 リスクはあるといいますか、一般的に同様の事案全てに当てはまることだと思うのですけれども、リスクは一定程度あるのだというふうに思っています。
(略)
【角野委員(関西学院大学総合政策学部教授)】 今の件の確認ですけども、だいたい学校法人の背景というのは普通の企業会計とは全然違っていまして、かなりリスクヘッジがかかっているということは理解しているのです。それでも、今のお話で10年の期限で、10年経ったときに売買契約が結べない、恐らく在学生の利益のためには引き続き、その定借期間を延長せざるを得ないということが見えていると思うのですけどね。その上で、なおかつさらに経営が行き詰まったときには、想定されるのはまず募集停止にして、その上で現在そのときに在学中の児童が卒業するまでは面倒見ますと。そのお金はちゃんと内部留保させられているはずなのですよね。
 ということで、そこまでの安全はきっと私学審議会でチェックされているとは思いますが、その上で10年経って定借延長します。しかし、さらに経営が改善される見込みがなくて募集停止になりましたというような最悪の際には、こういう土地は定借の期間をあるところで打ち切って国に戻すというような流れになるのでしょうか。
【立川管財部次長】 そうですね。事業用定期借地契約の中に、我々、先ほども説明しましたが、用途指定制度を特約として盛り込んでおりまして、まず入り口ではきちんと期日までに小学校が実際にできるかどうかというところでまず、もしできなければ事業予定者とはいえ、その時点でできないのであればもう打ち切りますよと。土地を更地にして返してくださいよということを義務付けています。
(略)
【今井委員(奈良女子大学 名誉教授)】 先ほどから出ているご意見のとおり、そういうふうに考えますけれども、私学審でどのくらい短期間の間に認可されるのかというのが、まずかなり条件が付いているのは少し気になるところではあります。
【立川管財部次長】 私学審の附帯条件、あくまでといいますか、答申は認可適当ということで、いずれ要件が整えば認可をするというふうなことで答申がなされておりまして、それをより現実的なものにするために、森友学園に対して一定のことをしなさいと、それを私学審のほうでグリップするので定例的に報告をしなさいと、進行管理をするというふうなことで、認可に向けての条件でございますので、この条件を淡々と履行していけば学校もできますし寄附も来るでしょうしと。工事契約なども今、収支計算に盛り込んでいる請負代金の金額でやっていくんだということを、一つ一つつぶしていくということの趣旨を踏まえて、こういった附帯条件ということとされておりますので、我々もそういった条件が履行された上で認可を得られることを前提として処理を今、進めていこうというふうに考えておりまして、こういった形で諮問させていただいているところなのでございますけれども、今の段階でそういったことが確定的にできないというふうなことでもあれば、そもそもこうやって諮問すらしませんし、こういった申請自体もあり得ないと思うのですけれども、一応こういったことをきちんと履行することということで先方から申請を受けて、進めるということでやってきておりますので、ここはスタートするべきなのだろうというふうに考えているところでございます。
(略)
【中野会長(京阪神ビルディング㈱代表取締役社長(元三井住友銀行副会長))】 いろんなご意見が出る中で、基本的にやっぱり安定的なところにお貸しをして、かつ購入してもらうということが国有財産は前提ですよね。学校法人ですから悪いわけではありませんが。したがって、附帯条件が付いて認可適当というのは条件が満たされて認可適当になりますので、それが満たされるという前提の中でこの審議会としては了というような形でまとめていったらどうかと思うのですが、そういう形でよろしゅうございますか。私学審議会において、附帯条件が極めて明確に付いていますので、こういう前提の中で進めさせていただくということでよろしゅうございますか。(「はい」の声あり
それでは、そういうことでご了承いただいということで。
(引用終わり)
 
 もう1つのIWJの記事は、宮本議員が国会で国を追及していた同じ2月15日、自由法曹団大阪支部と京都支部の弁護士が、豊中市の現地調査を行った後、大阪地裁本館1階記者室で行った記者会見の動画です。全編(40分14秒)視聴しましたが、少なくとも私には非常に有益でした。
 私は、この自由法曹団の記者会見動画を視聴してから宮本岳志議員の質疑のテキストを読みましたので、それでよりよく理解できたのかもしれません。
 もちろん、「売買予約」とか「予約完結権の行使」とかの法律用語が出てきますので、民法の基礎知識の有無で理解度に差が出るのはある程度致し方ないとは思いますが、それでも、記者会見の動画を視聴し、それから宮本議員の質疑をテキストで読むというのが、一番のお勧めの方法です。
 

関西ローカルだけど見て欲しい!~2/26『消去される自主避難者(仮)』(MBSドキュメンタリー映像'17)付・2/10「ちちんぷいぷい」も良かった

 今晩(2017年2月16日)配信した「メルマガ金原No.2725」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
関西ローカルだけど見て欲しい!~2/26『消去される自主避難者(仮)』(MBSドキュメンタリー映像'17)付・2/10「ちちんぷいぷい」も良かった

 「関西ローカルでの放送であることがまことに残念な」と多くの視聴者が口にする大阪・毎日放送MBSドキュメンタリー映像(今年は「'17」が最後に付きます)は、原則として、毎月最終日曜日の24時50分~25時50分に放送されます。
 先月(1月29日)放送された『沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~』(ディレクター:斉加尚代さん)も素晴らしい作品でしたが、今月(26日)放送される番組も見逃せません。
 
2017年2月26日(日)24時50分~25時50分(27日・0時50分~)
毎日放送 MBSドキュメンタリー映像'17
『消去される自主避難者(仮)』

東日本大震災とそれにともなう原発事故からまもなくまる6年。この3月末で、国が設定した避難指示区域外から避難している“自主避難者”への住宅無償提供が終了する。これにより自主避難者は「帰還」か「定住」かの選択を、否応なく迫られる。国や福島県は、避難指示区域外は放射線量も低く、「避難する状況にない」とするが、本当にそうなのか。「このままでは避難者が消去され、原発事故がなかったことにされてしまう」・・・被災地から日本各地に離散した自主避難者を訪ね、早期の避難終了へのさまざまな思いと、制度の問題点について考える。」
 
 この番組についての紹介は、今のところ以上で全てですが、今後、「取材ディレクターより」が追加掲載されることもありますので、気がついたら(ブログ版だけですが)補充紹介しようと思います。
 
 ところで、もしかしたら上記番組のための取材ソースを利用してだったかもしれないのですが(多分そうでしょう)、同じMBS毎日放送)が、月曜日から金曜日までの毎日、13:55~17:50という時間枠で放送している「ちちんぷいぷい」という情報番組の中の「石田ジャーナル」というコーナーで、去る2月10日(金)、「故郷に帰るか、それとも・・・きょうのテーマは原発事故による避難者の話」という特集が放送されました。
 ・・・と書いたものの、毎日放送が昼間から夕方にかけて、何と4時間近い長時間の情報番組を放送しているなどとは全然知らず、もちろん見たこともありませんでした。このことは、森松明希子さんが
Facebook自主避難者仲間の田中里子さんが上記番組の放送内容をFBでレポートした文章をシェアしていたので気がついたのです。
 そして、田中里子さんのレポートを読み始めてから、私自身、「そういえば田中さんともFacebook友達になっていた!」ことを思い出したのでした。
 その田中里子さんのFacebookでのレポートは、まもなく「東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)」ブログに転載されており、サンドリ代表の森松さんも、FBで「各種mlでも情報拡散、お願いしますm(._.)m」と書かれていましたので、私のブログに全文転載しても差し支えないでしょう(田中さんのFBでの元記事も公開設定だったし)。
 
【3.11避難者のレポート】MBS ちちんぷいぷい「原発自主避難者住宅支援問題」(2017年2月10日・毎日放送を見て)
(引用開始)
昨日、たまたまTVをつけたら、MBSの「ちちんぷいぷい」という情報番組だった。
そこで特集されてたのが、原発自主避難者。
今年3月で打ち切られる住宅支援問題を絡めた話。(ちちんぷいぷい動画
なかなかの良質な内容だったと思うので、一日遅れですが紹介します(長いです)。
 
まず、映されたのが2011年12月に文科省が計測した航空モニタリングでのセシウム134と137の土壌沈着量のマップ。
これを見せながら、『放射線管理区域』にしなければならないようなレベルの醜い汚染が福島だけでなく、他の県――――宮城、茨城、栃木、群馬、千葉、東京などにも広がっている、と。
 
おお!これは。。。決して関東方面では報道されないことじゃないか。
 
私、東京→三島→大阪の避難者だけど、三島にいたときも聞かなかったな。

ここで、『放射線管理区域』の説明が入る。
「例えば、レントゲン室。飲食も禁止。寝ることも禁止。子どもは立ち入り禁止の場所です」と。
「でも政府から避難指示が出たのはこの地域のみ。」と赤く塗られた地域を指す。
これは原発から20km以内の場所、また年間20ミリシーベルトを超える地域。
 
ここ以外の地域でも。。。お子さん、いてはったら。。。。逃げるでしょ?(一同、大きく頷く)
でもそうした人たちは自主避難者にされてしまうんです。」
 
「居ても寝てもあかん場所やのに!?」という声が入る。
 
その住宅支援が今年3月で終了する事が決まっており、
避難者達は『帰還』か『定住』かの苦渋の選択を迫られている。
 
ここで入ったのが茨城と福島から大阪に自主避難されているお二人のインタビュー。
避難に伴う苦しい暮らしぶりが伝わってくる。
 
「困ってます、本当に。。。」
「避難した時と状況は変わらない。とてもじゃないけど戻れる気持ちにはなれない。」と答える避難者の
女性。
 
住宅は誰にとっても暮らしの基盤だ。それをもとに仕事が決まり、学校生活が始まり、生活のためのネットワークが築かれていくのに。
 
避難者が住宅支援の延長を求めても、頑なに退け、寄り添う気を全く見せない国と福島県
 
大阪府大阪市も「災害救助法の適用が終了する中、
独自の被災者支援の実施は予定しておりません。」
という紋切り型の返答を繰り返すばかり、全く呆れる。
 
避難者女性の悲痛な訴え、
「じゃあ、私たちはどこに訴えたら寄り添った制度に変えていただけるようにお願いできるんですかね?

これには、あの人達、どう答えたのだろう。。。
 
そのあと、住宅支援に関する井戸謙一弁護士のコメント。
原発事故は長期にわたって被曝が続きます。自然災害を想定した災害救助法の枠組みで住宅支援をする
のは問題です。」
原発を推進してきた国は責任を取っていません。加害者として被災者の住居を確保する責任から新たな
制度を立ち上げる必要があったと思います。」
 
本当にそうだ、原子力惨禍は普通のいわゆる自然災害とは違うってのは誰でもわかることなんじゃないの
一度汚染された土地は長い年月をかけても元に戻らない。これまで体験したことのない桁外れの被害を生
んだ、あるいは今も進行形で生んでいる『人災』なのに。
なのに、加害者である国はどうして新しい法律を作って被害者住民を救済しようとしないんだ?
 
「とにかく、今、国は戻したくってしょうがないんです。除染したって言ってますけどね、山や細かい所まではしてない。避難者の人たちが自宅に戻って実際に測っても『むっちゃ高いやん』ってことがあったりする。」
(こういう説明ってメディアであまり聞かなかった気がするから意外だった。原発イジメはどこも取り上
げたけど、実際問題、なぜ帰れないのか、避難元の汚染&除染の事態はどうなのか、は触れてなかったよ
うに思う。これ、ちゃんと言ってくれないと、自分のワガママで帰らない人、っていう誤解は解けないよね。)

何が何でも帰還させたい国と自治体。
彼らが返答にもならない返答を繰り返すのを聞いてて、先日、日テレの深夜番組でおしどりマコさんが話
してた言葉が頭をよぎった。
とある専門家が言ってたという驚愕の言葉。
「世界で既に50基の原発を作ることが決まっている。今までは原発は事故を起こさない、というセール
トークをしていたが、福島で原発事故が起こってしまった以上、住民たちが除染し、住み続けることが出来る、事故が起こっても大丈夫、というモデルケースをつくっていくことが重要。」というもの。
はぁ!?人の命を賭しても作りたいモデルケースって何なんだ。。。もはや憤りを通り越して、こういう
ことを真面目に考え付く人たちと交わし合える言葉って私達にはあるんだろうか、と思ってしまう。
ま、自分なりにやれることをやっていくしかない、っていつもこれで終わるんだけど。

最後に、自主避難者の問題を分かり易く、丁寧に説明し、かつ事実を歪曲することなく伝えてくださった
この番組に感謝したい。
その中でも紹介してたけど、自主避難者にフォーカスし、取材した番組が今月放送されるそうで。
絶対見ないとねって思う。
皆さんもぜひ!
(東京→三島→大阪・田中里子 20170211)
 
2月26日(日)深夜0時50分~ MBS『映像’17 消去される自主避難者』(関西地区のみ放送)
(引用終わり)  
 
 なお、この約17分のコーナーでは、何人かのコメンテーターというかレギュラー出演者というかが、石田英司さんの解説に肯いたり、間(あい)の手を入れたりするのですが、その中で最も適切で納得のできる発言をしていたのは桂吉弥さんでしたね(なぜ私がそう言えるかはあえて書かない方が良いでしょうけど)。
 
(付記)
 ところで、サンドリ・ブログを閲覧していると、「『3.11避難者の声~当事者自身がアーカイブ~』表紙決定しました!東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream 通称:サンドリ」という、ほぼ写真だけの記事が目につきました。
『3.11避難者の声~当事者自身がアーカイブ~』(サンドリ)表紙 代表の森松さんがにこやかに微笑み、「チラ見せ!」「絶賛準備中」という吹き出しがついた写真から分かることは、サンドリが発行する避難者の声を集めた新しい冊子が発行間近ということですね。そういえば、この前大阪で森松さんに会った時にそんな話が出ていたような。
 と思ったら、原発賠償関西訴訟弁護団のMLに、Y弁護士から、「東日本大震災避難者の会Thanks & Dream(サンドリ)が新冊子「3.11避難者の声」を発行しました。(略)避難者の生の声が詰まっています。私の事務所に多数お預かりしています。」という投稿が。つまりもう出来上がったのですね。
 Y弁護士からは、「一部につき〇〇〇円のカンパをお願いします。これが、サンドリの活動に活かされ
ていきます。」と要請されていますが、これは弁護団メンバーに対してなので、サンドリ自体が一般に頒布する場合にどうするかは、公式ブログでの発表をお待ちください。

詳報・内容確定!“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)

 今晩(2017年2月15日)配信した「メルマガ金原No.2724」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
詳報・内容確定!“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)

 以下のとおり、昨年12月に「速報」を、先月(1月)末に「続報」をお届けした“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)の正式チラシがようやく届きましたので、予告通り「詳報」をお伝えします。
 ただし、「詳報」だからこれまでで一番詳しい記事になるということではなく、より正確に言えば、最終的に決定した内容をお伝えするということですから、「確報」とでもした方が適切なのかもしれません。
 
 
 それでは、早速、チラシ記載情報をご紹介します。
 ただし、チラシの表面と裏面には、重複箇所も結構ありますので、私の責任で適当にシャッフルして整理したハイブリッド版をお送りします。オリジナルのチラシは、PDFファイルでご確認ください。
 
チラシ記載情報から引用開始)
フクシマを忘れない!
原発ゼロへ
和歌山アクション2017
 
2017年3月12日(日)10:00~15:00
和歌山城西の丸広場
 
参加無料
小雨決行
 
内容盛りだくさん!
ミニSLが走るよ!
 
主催 「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」実行委員会
連絡先 実行委員会事務局 
 TEL:073-436-3520 FAX:073-436-3554 
 E-mail:w-gezero@naxnet.or.jp
実行委員(会構成)団体
楠見子連れ9条の会、原水爆禁止和歌山県協議会、原発をゼロにする和歌山県民の会、憲法を生かす会和歌山、子どもたちの未来と被ばくを考える会、原発を止めよう和歌山市民の会
  
 
「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」は、原発ゼロ、再稼働反対をアピールするつどいです。どなたでも参加できます。気軽にお寄りください。
 
全体集会 10:00~11:00
・オープニング
  バンド演奏:紀州五十五万石
・実行委員会挨拶
・福島からの報告
  元双葉高校教員 松本佳充(よしみつ)さん
  3.11原発事故当時、双葉高校に勤務。(自宅は帰宅困難区域)
・集会アピール
 
アピールパレード 11:10~12:10
パレードコース
西の丸広場→砂の丸広場横→追廻門→県庁前交差点→(左折して三年坂通り)→屋形町交差点(この交差点角に関西電力和歌山支店がある)→(左折して屋形通り)→三木町交差点→(左折してけやき大通り)→西の丸広場
たいこ、コスプレ、ぬいぐるみなど、大歓迎です。プラカードや横断幕など用意して参加いただければうれしいです。
 
ブース企画 12:00~14:30
・模擬店 飲食物など
・展示(福島原発被災地パネル)
・子ども向けブース(プラバン、エコカルタ、絵本の読み聞かせなど)
★ミニSLが走ります
 
ステージ企画 12:30~14:45
・紀北農芸高校(和太鼓)
・円香(まどか)(歌うたい・アーティスト)
・子どもたちの未来と被ばくを考える会(コント)
・ナツオ(ウクレレ弾き語り)
・実行委員団体(1分間アピール)
 
県内の3.11関連企画
●那賀●「フクシマを忘れない原発ゼロ那賀2017」 原発再稼働反対スタンディング
 3月12日(日)10:00~10:30 岩出市紀の川市
●西牟婁●「フクシマを忘れない!原発ゼロ紀南アクション」 パレード
 3月11日(土)16:20 田辺市
(引用終わり) 
 
 以下、アトランダムにいくつか補足説明をしておきます。
 
〇全体集会のオープニングを飾るユニット「紀州五十五万石」の演奏に初めて接したのは、2015年3月8日に開催された“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2015”でのことでした(あの時は、ただの「五十五万石」といったと思うけど、いつから「紀州」がついたのだろう?)。リードボーカルの歌舞さんを支える男性2人は、実名を公表しているかどうか未確認のため、お名前を紹介するのは控えます(みんな知ってるでしょうけど)。
CIMG3221 おそらくこのユニットでの最新の演奏が2月12日(日)にポポロハスマーケット和歌山市中ぶらくり丁)で行われたようで、12時からのステージ出演者に「紀州五十五万石」の名前が見えます。
 ところで、3月12日のオープニングで紀州五十五万石が歌う曲が何か?ということは(他の出演者もそうですが)チラシには何も書かれていませんので、当日のお楽しみなのですが、本メルマガ(ブログ)の読者にだけそっと(でもないか)お知らせすると、スリーマイル島原発事故発生の半年後、1979年9月に開かれた“NO NUKES コンサート”のテーマ曲としてジョン・ホールが作った“Power”を日本語詞で歌うのではないかという噂を耳にしました。当たるも八卦当たらぬも八卦ということで、お楽しみに。
 
〇全体集会のメインゲストは、3.11当時、福島県立双葉高校で教員をされていた松本佳充(まつもと・よしみつ)さんです。浪江町のご自宅は帰還困難区域と指定されています。私たち実行委員が会議の際に読ませてもらった資料の中に、松本さんが書かれた「迷犬タロの物語」という一文がありました。福島県立高等学校教職員組合女性部が編集した『福島から伝えたいこと 第3集 希望は闘いの中に』に収録されています。
 長年共に暮らしてきた犬(雑種のタロ)を、3.11原発事故による避難指示によって心ならずも置き去りにして大量被ばくさせてしまったこと、一時帰宅して生き延びていたタロと2度にわたって再会できたものの、避難先に連れて行けるか分からず、車で立ち去る松本さんをどこまでも走って追いかけてきたタロの姿、3たび一時帰宅したものの行方が分からなくなっていたタロと埼玉県の動物保護団体の施設で奇跡的に再会し、再び一緒に暮らせるようになったこと、しかし、やがて元気をなくして病死したタロ。たんたんとした叙述であり、ことさら原発事故を呪うような表現はありませんが、かえって胸に迫るものがあります。
 その冊子の表紙が掲載されたサイトがありましたが、その表紙に描かれた絵は、松本さんの「迷犬タロの物語」をモチーフにして描かれたのではないかと思います。
 今年の“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”のチラシのために奥野亮平さんが描いてくれた原発イランウータンが犬と一緒にいるイラストも、「迷犬タロの物語」にインスパイアされての図柄だと推測します。
 
〇今年は、2013年以来4年ぶりに、ミニSLが西の丸広場にやって来ます。4年前の写真を掲載した私のブログ(「福島を忘れない!原発ゼロ 和歌山3・10フェスティバル」写真集)をご覧ください。
 2013年もミニ蒸気機関車がやって来る!と宣伝し、たしか原発イランウータンもSLにまたがっていたと思います。たしかにミニSLは西の丸広場にやって来たのですが、私のブログの写真のとおり、実際に子どもたちを乗せて喜ばせてくれたのはミニ新幹線でした。ミニSLが動かなかったのは、何らかの技術上の問題があったためと聞いています。
 そして今年2017年、万全の準備の上、再びミニSLがやって来ます。ここでは、今度こそ無事西の丸広場をミニSLが疾走することを祈りつつ、愛好者のメッカ、ミニトレインパークを走るミニSLの勇姿を、小谷英治さんのYouTubeチャンネルからご紹介します(ここに映っているミニSLがやって来るという訳ではないでしょうが?)。

 
〇今年のステージ企画では、新趣向として、子どもたちの未来と被ばくを考える会によるコントが上演されます。同会共同代表の松永久視子さん(司会も担当されます)の話によると、ごく短時間のコントのようなのですが、中身については見てのお楽しみとさせていただきます。
 
〇ステージ企画には、紀北工芸高校の皆さんによる和太鼓演奏もあるというのが楽しみですね。なお、円香(まどか)さんとナツオさんについては、「続報」で詳しくご紹介しましたので、そちらをご参照ください。
 
〇全体集会終了後のアピールパレード、やはり関電前を通らない訳にはいかないだろうということで、今年も和歌山城周辺の大回りコース(約1時間)で行います。是非多くの方のご参加をお願いします。
 

(付録)
紀北農芸高校和太鼓部 『鼓風
華』
 
紀北農芸高校和太鼓部 『農芸流れ太鼓』
 

※第46回和歌山県高等学校総合文化祭邦楽部門発表会より

フクシマを忘れない!2017(表)フクシマを忘れない!2017(裏) 

司法に安保法制の違憲を訴える意義(10)~東京地裁「女の会」訴訟(第1回口頭弁論)における原告・原告代理人による意見陳述

 今晩(2017年2月14日)配信した「メルマガ金原No.2723」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
司法に安保法制の違憲を訴える意義(10)~東京地裁「女の会」訴訟(第1回口頭弁論)における原告・原告代理人による意見陳述

 2016年8月15日、全国の女性106人が原告となり、違憲な安保法制の制定によって被った損害の賠償を求め、東京地方裁判所に国家賠償請求訴訟を提起しました。いわゆる「女の会」訴訟です。
 その第1回口頭弁論が、去る2月10日(金)午後3時から、東京地方裁判所103号法廷で開かれました。当日は、原告代理人2名(中野麻美、角田由紀子両弁護士)と原告2名(池田恵理子さん、高里鈴代さん)による意見陳述が行われましたが、その陳述用原稿を本メルマガ(ブログ)に転載するご許可をいただきましたのでご紹介します。是非1人でも多くの方にお読みいただきたいと思います。
 
 ご案内のとおり、東京地裁には、既に「安保法制違憲訴訟の会」による差止訴訟と国賠訴訟が提起(2016年4月26日提訴)されており、その他にも、全国各地で多くの違憲訴訟が提起されています。もちろん、それらの訴訟には数多くの女性が参加されています。
 それにもかかわらず、何故女性だけの訴訟提起が必要だったのか?について、疑問を持たれる方がおられるかもしれません。
 幸い、第1回口頭弁論前に発行された「違憲訴訟の会ニュース 第3号(2017年1月25日発行)」に、安保法違憲訴訟「女の会」事務局・亀永能布子さんによる文章が掲載されていましたので、その一部を引用させていただきます。
 
女たちの安保法制違憲訴訟 2 月10日、第1回口頭弁論 
傍聴へのご支援をお願いします

(抜粋引用開始)
(略)
 
私たちが女性たちだけで違憲訴訟を起こした理由の一端が、この裁判長の態度に示されています。国の違憲・違法な新安保法制の制定・施行によって、憲法に保障された私たちの権利が侵害されました。その権利とは、憲法制定権・平和的生存権・人格権ですが、特に、私たちの裁判では、法の成立過程でも、法の内容においても、女性の代表権が奪われ、女性の権利が侵害されたと訴えています。
 女性にとって、戦争は特別な影響と被害をもたらします。戦争は女性の身体と性を道具にします。戦時性暴力(日本軍「慰安婦」制度)や、今なお世界の戦争で支配の手段として行われている女性への集団レイプ、米軍基地周辺で繰り返される女性に対する性暴力犯罪や殺人事件。女性に対する暴力は、戦争・軍隊と一体化してその装置として組み込まれています。それだけではありません。戦時体制への国民の動員は、過去に経験したように、性別役割分業と家父長制による女性支配を強めます。しかし、国会では、女性にかかわる問題は一切審議されませんでした。唯一、女性と子どもが登場したのは、安倍首相が、アメリカの軍艦に女性と子どもが乗っているフリップを使って、「日本の女性と子どもを守るために自衛隊が米艦船を護衛しなければならない」と、強弁した時だけです。これは嘘で、アメリカの軍艦が他国の民間人を乗せて救護することはありえません。安倍首相は、戦争加担を正当化するために、女性と子どもを利用したのです。
 「女・子どもを守るために」という論理は、たとえば、沖縄戦で起きた悲惨な「集団自決」が「生きて米軍の捕虜になれば女は強かんされ殺される」と住民を脅し、「玉砕」に追い込んだ構造と同じものであることを思い起こさねばなりません。
 また、私たちはこの裁判で、「武力による紛争解決モデル」が社会的に承認されることによって暴力と差別が蔓延し、平和と民主主義、基本的人権の尊重という憲法で守られた生活の土台が掘り崩されていくことも訴えていきます。みなさまのご支援と、第1回口頭弁論の傍聴をよろしくお願いします。

(引用終わり)
 
 私がこれに付け加えることはありません。ただ、引用部分の冒頭で「この裁判長の態度」と述べられた内容を知りたい方は、リンク先で原文をお読みください。裁判官も口が滑るということはあるでしょうが、それも元来の心掛けが自然に発露するものですからね。
 もっとも、報告集会冒頭での中野麻美弁護士の報告によると、事前協議から第1回弁論までの間に裁判長が交代したようです(事前協議での不適切発言が交代の原因か否かは不明です)。
 なお、その中野弁護士の報告で語られた(法廷でも陳述された)キャッチフレーズ「平和なくして男女平等なし 男女平等なくして平和なし」が端的にこの訴訟の意義を語っていることを申し添えます。
 
 当日、裁判終了後に行われた記者会見と報告集会の模様については、UPLANによって動画がアップされていますのでご紹介します。
 
20170210 UPLAN【記者会見・報告集会】女たちの安保法制違憲訴訟(1時間32分)

冒頭~ 開廷前の東京地裁前街頭宣伝
5分~ 第1回口頭弁論終了後の記者会見

 6分~ 中野麻美弁護士
 9分~ 原告・池田恵理子さん(元NHKディレクター)
 14分~ 原告・高里鈴代さん(元那覇市議会議員)
17分~ 角田由紀子弁護士
 19分~ 経過報告
 20分~ 質疑応答
32分~ 報告集会
 33分~ 第1回口頭弁論の報告 中野麻美弁護士
 44分~ 原告・福島瑞穂さん(弁護士、参議院議員
 47分~ 原告・池田恵理子さん
 54分~ 原告・高里鈴代さん
 1時間07分~ 角田由紀子弁護士
 1時間14分~ 全国の訴訟の取組から 杉浦ひとみ弁護士
 1時間22分~ 質疑応答
 

原告ら代理人 弁護士 中野麻美
 
1「平和なくして男女平等なし」「男女平等なくして平和なし」
 これは、女性の参政権と地位向上に尽力した市川房枝が先の戦争から得た教訓です。
 日本国憲法は、個人の尊厳のうえに差別のない社会を実現することを国家の使命とし、軍隊をもたず戦争を放棄することを誓いました。この憲法をもったことは、原告らの誇りであり、粉骨砕身、差別や暴力のなかから人生を切り開き、行動する支えになってきたものでした。
 
2 戦争は人間を目的化・道具化・序列化します。個人こそ社会の主人公であって、自由にして平等であるという基本原理にたったときには、戦争は放棄されるべきです。また、戦争と軍隊は、女性の性を道具として支配の対象にしてきました。憲法が男女平等の本質的かつ普遍的な権利を保障する以上、戦争放棄条項も永久普遍の原理として守られるべきものです。
 
3 私たちがこの訴訟で問題にしている安全保障法制は、その制定過程から重大な憲法違反を重ねるものでした。
 憲法学者のほとんど全員が憲法違反だというのに、政府は、これまでの解釈をクーデタのように変えてこの法律を国会に上程し、武力による紛争解決を法的に承認してしまいました。
 世論が注目する国会などの場面では、何度も「女性と子どもを護る」というフリップを用いて武力行使の必要性を説明し、家父長制と戦争の正当性を繰り返し人々にイメージさせました。
 世界各地で、女性に対する性暴力・性虐待が戦争の手段にされたくさんの人たちを傷つけています。日本軍性奴隷制や米軍による性暴力がいまだに女性たちを傷つけていて、戦争は終わっていないのです。そして、戦争の正当化が日常の生活における女性に対する暴力や差別を強化することが告発されてきました。
 安全保障法制は、生活のあらゆる場面において女性の権利を脅かします。
 それなのに、これらのことは何一つとして議論・検討されないまま、この法律は強行採決されました。いったい、どうしてそれが「積極的安全保障」に資するもので、「国民の人権を守る」ことになるのか、国際紛争への軍事介入や日本の軍事化は女性たちの人権を侵害するものではないのか、私たちはきちんとした説明を受けていないのです。
 にもかかわらず数を頼んでこの法律を強行採決するのは、デモクラシーの理念の否定であると同時に、女性たちの政治的権利を否定するものです。
 
4 立法やその制定過程が憲法に違反し、正当性もなく、民主的代表制を完全に無視して制定されたとき、そのような法律は廃止されるべきであり、この国と社会の主人公としてその効力を認めるわけにはいきません。立法府と異なる立場からそれを判断するのが裁判所に与えられた使命です。裁判の公開の原則のもとに立法過程をすべて明らかにし、検証しなければならず、私たちにはそれを求める権利があります。
 被告国は、私たちの主張は、単なる不安や危惧を抽象的に述べるにとどまるものであるから国賠法上の要件を満たさないといっています。そして、安保法制の違法性を裏付ける重要な事実について、「認否に値しない」として回答を拒否しています。このような姿勢は、国民から信託を受けた政府の対応としても、訴訟当事者としても許されるべきではありません。
 
5 原告ら各人の権利侵害はそれぞれ多様です。そして、政府や国会議員の違法行為は、既に原告らそれぞれの権利利益を現実に侵害しています。被告国には、このような訴訟態度を直ちに撤回してきちんと認否反論して証拠を提出するよう求めます。また裁判所には、違憲審査権を行使するにふさわしく、訴訟指揮権を行使されるよう強く求めるものです。
                                        以上
 

 
 私は1950年、大空襲で多数の犠牲者を出した東京・江東区に生まれ育ち、高校時代にはベトナム戦争での惨たらしい戦場報道に接して戦争は絶対嫌だと思ってきました。中国に出征した父に戦争体験を聞いても、住民虐殺や強かんには沈黙するだけだったので、「加害兵士の娘である私」を自覚するようにもなりました。1973年にNHKのディレクターになってからは、大空襲や原爆、中国残留孤児など、戦争体験を語り継ぐ番組を数多く作りました。「慰安婦」の番組も1991年から96年までに8本は作りましたが、97年以降は企画が全く通らなくなり、一市民として「慰安婦」被害者や元兵士の証言を記録する活動を始めました。「慰安婦」制度を裁いた2000年の女性国際戦犯法廷には主催団体の一員として取り組み、2010年にNHKを定年退職した後は、日本で唯一の「慰安婦」資料館、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)の館長となって今に至っています。
 こうした経験から、憲法改正をライフワークと公言する安倍晋三首相が、日本を「普通に戦争ができる国」にしようと強行した安保法制の制定・施行を許すことができません。首相はこの20年余り、「慰安婦」の記録と記憶を抹殺しようと躍起になってきました。これは、戦争と性暴力をなくすために勇気をふるって凄惨な被害体験を語ってくれた女性たちを再び傷つけるものです。
 
●日本軍は戦争中、アジア各地に慰安所を作りましたが、そのきっかけは日本兵の強かんが頻発した南京大虐殺でした。慰安所は強かん防止と性病予防のため中国各地に設置され、戦域が東南アジアに広がると、現地女性を拉致・監禁・輪かんする「強かん所」も増え続けました。しかし厳しい報道規制によって慰安所の存在は国民には知らされず、敗戦直前には戦犯裁判を恐れた軍上層部が関連文書を焼却させました。兵士たちは「慰安婦」を“戦場の売春婦”と思い込まされ、加害の意識はありませんでした。
 「慰安婦」制度が性奴隷制であり、女性への人権侵害で重大な戦争犯罪だと知られるようになったのは、1991年に韓国の金学順さんが名乗り出てからです。彼女は日本政府が「慰安婦は民間業者が連れ歩いた」と答弁したことに憤り、立ちあがりました。それを機に、韓国、フィリピン、中国、台湾、オランダなど各国の女性が名乗り出て、日本政府に謝罪と賠償を求める裁判を起こしました。これら10件の裁判は最高裁で原告敗訴となりましたが、8件の裁判では事実認定がされています。また審理過程で綿密な聞き取りや資料発掘が行われ、「慰安婦」制度の実態と全貌がわかってきました。
 この事実は国際社会に大きな衝撃を与えます。旧ユーゴやルワンダでの集団強かんが問題となった時代です。1993年の国連の世界人権会議は「女性に対する暴力は人権侵害」と決議し、国連総会では「女性への暴力撤廃宣言」を採択しました。
 対応を迫られた日本政府は「慰安婦」調査を行い、93年には河野官房長官が「慰安婦」の強制を認めてお詫びと反省を発表しました。しかし政府は「法的責任はない」と「賠償」は行わず、国民からの募金で「女性のためのアジア平和国民基金」を推進したので、被害女性からは批判や受け取り拒否が起こりました。
 
●こうした国内外の動きに危機感をつのらせたのが、歴史修正主義の政治家やメディアでした。彼らは「慰安婦」を“戦場の売春婦”として、90年代後半から激しいバッシングに乗り出します。1997年度版の中学歴史教科書の全てに「慰安婦」が記述されたために教科書会社への攻撃が始まり、やがて教科書から「慰安婦」は削除され、2012年度版では遂にゼロになってしまいました。
 報道現場でも、90年代後半から「慰安婦」報道を抑える動きが強まりました。2000年の「女性法廷」を取り上げたNHKの番組が政治介入による改竄が暴露されて、その一端が明るみに出ました。「女性法廷」は右翼の猛攻撃を受けながら開催されましたが、各国から被害女性64人が参加し、海外メディアは95社、200名が取材に訪れて世界中に報じ、今では現代史に残る出来事となっています。ところが国内での報道は低調で、とりわけNHKが放送した「女性法廷」の番組は異常でした。法廷の起訴状も判決も主催団体もカットされ、出演者のコメントは脈絡なく編集され、「女性法廷」を否定するトーンになっていたのです。あまりのことに主催団体はNHKや制作会社を提訴したところ、その審理中にNHK職員の内部告発によって、安倍晋三官房副長官(当時)ら自民党の政治家たちの介入で、放送直前に番組が改竄されたことが明らかになりました。東京高裁では政治による番組改竄を認めて原告は勝訴、被告NHKらに200万円の賠償支払いを命じました。この事件は報道への政治介入が克明に暴かれた、放送史上稀にみる事件になりました。
 
●ここまで徹底して「慰安婦」がなきものにされるのは何故か。安倍首相は1993年に国会議員になってから一貫して、あの戦争は「アジア解放の正しい戦争」だったと言っています。しかし女性たちを性奴隷にした「慰安婦」制度は明らかな戦争犯罪であり、「正しい戦争」とは相いれません。そこで「慰安婦」は民間業者が連れ歩いたもので、日本軍に責任はなかったことにしたい…つまり日本軍が犯した加害事実に向き合う勇気がないのです。
 安倍首相は第1次安倍政権の時から「慰安婦の強制の証拠はない」と主張し続け、メディアは政権に同調して「慰安婦」を否定するか、報道を自粛してタブー扱いしてきました。2015年12月末に日韓両政府が「慰安婦」問題は「最終的・不可逆的解決」に達したとする日韓「合意」を発表し、日本のメディアの多くが「一件落着」と報じ、大方の世論もそう受け止めました。ところが、韓国の被害女性も世論も日本とは真逆で、日韓両政府への批判を強めており、この落差は大きくなるばかりです。このような日本国内の世論形成は、安倍首相たちが20年余りかけて「慰安婦」の報道と教育を管理・統制してきた結果だと言えましょう。
 昨年5月末には日本を含むアジア8ヵ国の民間団体がユネスコの世界記憶遺産に「日本軍『慰安婦』の声」の登録を共同申請しました。右派のメディアや日本政府はこの登録を阻止しようと、官「民」一体で取り組んでいます。日本の登録団体の中心にいるwamへの攻撃は激化し、爆破予告の脅迫状まで送られてきました。こうした不穏な動きは、安保法制下での出来事です。「慰安婦」問題を訴える輩は”敵“として攻撃してもいいのだ…と思う者たちがうごめき出したのです。
 
●安保法案をめぐる国会審議では、「慰安婦」制度に関する国連の勧告も、南スーダンアフガニスタンイラクなど紛争下での戦時性暴力についても、何ひとつ取り上げませんでした。私に参考人として意見を述べたり、公聴会で発言する機会を与えてほしかったと痛切に思います。国会審議で戦争遂行の装置だった「慰安婦」問題を議論できず、法案を廃案にできなかったことは、日本人としての戦後責任を果たせなかったという点で、慚愧の念に堪えません。「慰安婦」問題の真の解決を目指してきた被害女性や国内外の女たちの努力を無にすることだからです。
 私はジャーナリストとしての仕事も、「慰安婦」支援や資料館の運営に取り組んできたこれまでの人生も全て否定されたような衝撃と苦痛に襲われています。安保法制は、加害国だった日本がやってはならないことなのです。戦争と性暴力のない世界を築くためにも、違憲である安保法制を何としても廃止しなければなりません。
                                        以上
 

原告 高里鈴代
 
1 5歳で終戦を迎え、台湾から宮古島へ、そして那覇
 私は、現在76歳です。1940年に台湾で生まれました。父は東京農大卒業と同時に、台湾総督府農林省に勤務しました。私の家族は、米軍の爆撃を避けて防空壕で終戦を迎え、終戦の混乱の中をかいくぐって郷里の沖縄・宮古島に引き揚げてきました。そのとき私は5歳でした。
 私が小学校4年生の2学期に父の転職で那覇市に移りました。家庭の経済は、宮古島でそうであったように、那覇でも厳しく、母親の着物は下駄の鼻緒となって売られました。
 
2 フィリッピン留学が私の人生を決めた
 私は沖縄の短大卒業後、フィリッピン・マニラにあるハリス・メモリアル・大学へ留学しました。そこでの2年間が私の生き方を方向づけました。
 第1は、アジア・太平洋戦争で日本軍がフィリッピンの人々への残忍な戦争行為をした事実とそれが犠牲者に深い痛みをもたらしていたことを、現地の人々の口から繰り返し聞いて知ったことでした。
 もう1つは、クリスマス休暇で訪ねた友人の住んでいる町が、実は米軍基地の町であったことの衝撃でした。友人の町は、沖縄のコザに来ているのかと錯覚するほど、沖縄の基地の街そのものの姿でした。その街は、アジア最大の米海軍スービック基地のオロンガポ市でした。沖縄に基地があるのではなく、基地の一部に沖縄があると強く実感しました。
 
3 売春防止法の制定が遅れた背景
 本土では、1956年に売春防止法が制定されていたのですが、沖縄にはありませんでした。1967年に、本土で売防法制定のために奔走していた矯風会の高橋喜久江さんが、沖縄での売防法成立の遅れを調査するために、来沖されました。私は高橋さんに同行し、沖縄の現状を学びました。立法院議会へ再三の立法要請がなされても、法律が成立しなかったのには2つ理由がありました。
 第1は、もし、売防法が成立したら、米軍兵士たちの暴力のはけ口は、かつてのようにまた地域社会に戻って来るのではないかという恐れが、議員たち及び地域社会の中に強くあったということでした。軍事支配を背景に、そこでは圧倒的なむき出しの暴力が日常的に存在していたのです。日本の敗戦により、沖縄の女性の身体は米軍兵士たちに文字通り踏み荒らされ続けてきたのです。米兵の容赦ない暴力から一般の人が逃れるために、沖縄に集娼地区が作られたのです。これが廃止されると、それ以前のように米兵が民家に踏み込んだり、歩いている女性を掴まえたりして手当たり次第に強姦をするようになるという心配でした。
 もう一つは、売防法が成立すると、女性たちが米兵から日々稼ぐドルはどこへ行ってしまうのかという心配でした。当時の沖縄の女性たちは、厳しい強制管理売春の中で生きて、沖縄経済を支えるドルをかせいでいたのです。私は、この女性の状況と彼女たちの心身をむさぼりつくすとでもいうしかない売買春の実態に触れて、女性の人権侵害であると強く思いました。
 
4 ベトナムの狂気は基地の街で
 そのような状況の中で、施行は2年後の復帰時として、1970年には売防法が成立しましたが、その同じ日にもうひとつの決議があります。それは当時前原高校3年の女子生徒がレイプの被害から逃れるために抵抗し体中をナイフで切られ重傷を負う事件を受けてのものです。沖縄は米兵からの暴力を防ぐための集娼地帯のはずだったのですが、実際はそういうものを越えて暴力が起こり続けていたわけです。70年の売防法制定日には、この女子高校生の被害に対する抗議声明が出されたのです。
 ベトナム戦争中、米兵は沖縄から出撃し、休暇になれば沖縄に戻ってきました。ベトナムに送られれば命の保障はないことを米兵たちは知っていましたし、殺戮の現場から戻ってきた兵隊は荒れており、売春女性たちが彼らの不安や怒りなどの受け皿とされていました。
 私は高橋さんに同行しての見聞で、沖縄の女性の問題に深く関わりたいと考え、その後は、まず、売春に関する新聞資料の収集を始め、売防法の問題に関心を持つようになっていきました。
 
5 婦人相談員に
 私は、婦人相談員の仕事を知って勉強をし直して、1977年4月、東京都婦人相談センターの電話相談員第一号に採用され、女性が女性であるが故に受ける暴力、理不尽な差別扱いなどの相談に携わるようになりました。1981年4月に沖縄へ帰り、1年間、うるま婦人寮(婦人保護施設)でボランティアの後、那覇市の婦人相談員として1982年から7年間働きました。
 
6 那覇市議会での活動
 私は、1989年、那覇市議会議員へ立候補し当選しました。以後、市議会議員を4期務めました。婦人相談員としての仕事は、女性を人権の回復へ支援する意義ある仕事だと思っていましたが、婦人相談員の仕事と司法の限界を思い知らされ、社会の性差別意識を変えたいという思いから選挙に出ることを決意し、女性たちと共に当選を勝ち取ったのです。
 
7 北京女性会議へ
 日本への復帰後も米軍の削減はなく、米軍の演習による事故・事件は続き、女性に対する暴力も後を絶ちませんでした。1995年、国連の世界女性会議(北京会議)への参加準備の中で、沖縄は直接の紛争状態の中にあるのではないけれども、戦後から50年にわたり、大規模の米軍が駐留し、人権侵害、生命の危機、暴力が起こり続けており、「長期軍隊駐留下における性暴力」を戦争犯罪として捉えるべきではないかと、「軍隊・その構造的暴力と女性」のワークショップを北京会議の一角で開きました。
 
8 北京会議の最中に3米兵による少女強姦事件が起こった
 北京会議のさなか、1995年9月に起こった3米兵による少女強姦事件は、復帰後の米軍人の特徴を現した事件です。事件に抗議する県民大会には、沖縄の人々の積年の怒り、痛み、そしてこれ以上の人権侵害を許さないと8万5千人の県民が結集しました。
 この県民大会の会場で、私は、女性たちと一緒に立ち上げた「強姦救援センター・沖縄、REICO」を10月25日に開設するとのチラシを配り続けていました。性暴力相談活動は、今も継続しています。
 同時にその県民大会直後に結成されたのが、女性たちによる「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」です。早速に政府に対して、日米地位協定を北京行動綱領(日本政府は署名しています)の精神に則して改正することを求めました。
 
9 私が原告になった理由・私の被害
 私は、沖縄で米兵による女性の人権侵害をつぶさに近距離でみてきました。沖縄は71年間軍隊の支配下にあります。
 婦人相談員として、あるいは那覇市市議会議員として、常に女性たちの苦しい現実に寄り添い、解決に力を尽くしてきました。沖縄ではいまも毎日軍隊との共存を強いられているのです。軍隊が女性にとってどのようなものであるかを身に沁みて知りました。
 軍隊の本質は、家父長制に基づく力による支配を強行する組織です。沖縄では特に、米軍人の女性に対するレイプ、絞殺事件は、9ケ月の乳児から5歳の幼児を含めあらゆる年齢に及んでおり、ベトナム戦当時には、年間2~4人の女性が絞殺されました。
 沖縄の戦後71年を軍隊の女性への性暴力、殺害などを通して振り返る中で、その人権侵害性を声を大にして訴えます。軍隊の駐留によってもたらされる暴力、それによって傷つき、苦しむ女性たちの存在、その回復支援に取り組んできた者として、訴えます。
 私は、少しでも性差別のない、暴力のない社会を作ろうと働いてきました。沈黙を強いられている女性たちと共に、暴力の元凶である米軍の撤退、削減を求め、声を上げてきました。しかし、安保法制法は、その全く真逆なところにあり、私の、私たちの声を完全にかき消すものです。戦後71年経って、再び振り出しに押し戻されたような屈辱感と怒りを強く感じます。私は、安保法制法の撤回を求めます。
                                        以上
 

原告ら代理人 弁護士 角田由紀子
 
1 戦争被害の現在性
 日本において、戦争が一般の人々に与えた被害の悲惨な事実は、アジア・太平洋戦争の時期を通じて、多くの人々の体験の中に刻印されています。女性や子どもはその被害の中心にありましたが、今日に至るも被害は癒されることなく、人々の心身の深いところで存在し続けております。今回の安全保障法制は、それらの深い傷を呼び起し、再体験を迫るものです。安全保障法制の制定過程そのものが、女性の存在を無視し、女性の声に一度たりとも耳を傾けることなく、文字通り、暴力的なものでした。その内容と制定過程に直面して、原告たちは、深い苦痛と不安に曝されています。その苦痛や不安は、漠たるものではなく、現実に女性たちの心身に深い打撃を与えるものです。
 
2 戦争と女性の性的被害について
 戦争がその本質において、女性への性的加害行為を伴うものであることは、過去世界中の様々な戦争で、十二分に証明されております。そのことは、沖縄では戦争中に始まり敗戦後から今日まで、常に現在進行形であり、どれだけ多くの女性が命を奪われ、人としての尊厳を奪われたかを、特に注目しなければなりません。この事実は、私たちに戦争と女性の関係の本質をはっきりと示すものです。
 日本軍「性奴隷制」の問題の真摯な解決を置き去りにした政権による安全保障法制に、原告たちは「安全保障」という言葉とは裏腹に極めて大きな危険を感じております。安全保障法制は、次の戦争を確実に準備するものとして、目に見える形であるいは見えない形で、既に女性たちの生活の安全を脅かしております。原告たちの多くは、女性への性暴力を含む暴力と闘ってきております。この社会を女性や子どもなど権力を持たない人々にとってできるだけ安全なものにしたいと、日々努力をしてきました。それが、戦争という究極の暴力を肯定する法制がとられたことで、これまでの努力が根こそぎ否定されてしまいました。それは、そのことに力を尽くしてきた原告たちの生き方そのものの否定であります。原告たちの努力を支えてきた根幹にあるのは、日本国憲法です。
 憲法の平和主義、個人の尊重などを明確に否定する今回の法制は、原告たちから将来への希望を奪い、打ちのめしました。言うまでもないことですが、女性への暴力の加害者の多くは、男性であり、男性のそのような暴力にいわば「お墨付き」を与えるのが、今回の法制です。その法制は、昨年3月29日に施行され、昨年11月から南スーダンに派遣されている自衛隊には、武力行使を容認する新任務が与えられました。南スーダンでは、性暴力が頻繁に起きていることは、新聞等で報道されており、国民の多くが知っております。このことは、国内での女性の安全に大きく悪影響を与えるものといわざるを得ません。
 いかに近代化された戦争であっても、戦争はそれに従事する人間を必要とします。かつての戦争の時代に国を挙げて「産めよ増やせよ」がとなえられ、その実現が強要されました。病弱な女性が子どもを産むことに耐えられず、堕胎をした例がありましたが、その女性は堕胎罪で逮捕されました。堕胎罪は、今でも刑法に規定されており、戦争に向かう社会が、女性の性にどのように敵対的であるかの例です。少子化対策という言葉でさまざまに行われている政策は、「産めよ増やせよ」政策と無関係ではありません。
 
3 個人としての女性の否定
 戦争とそれに伴う戦時性暴力の基盤になっているのは、日常生活の隅々までを支配している家父長制です。今日では「家父長制」という言葉が使われることは少なくなりましたが、社会の仕組みとしてのそれは生き続けております。
 家父長制の仕組みがむき出しであった社会において、憲法は女性に人間解放をもたらしました。戦争肯定社会は、憲法が女性にもたらした個人としての権利を否定するものです。多くの原告たちは、憲法13条、14条及び24条等によって保障された人権をしっかりと手にして戦後の人生を築いてきました。戦前には閉ざされていた多くの場所で女性たちは、羽ばたいてきたのです。もちろん、彼女たちの生き方の骨格は憲法です。しかし、安全保障法制は、それらを否定するものです。原告たちが体験させられた苦痛や恐怖や不安は、彼女たちが生きることの根幹にかかわるものです。
 ある原告は、教育者や研究者として、憲法に導かれて新しい社会を作ることに尽力してきました。ある原告は、政治家として国会等で奮闘してきましたが、安保法制法は、女性政治家からその本来の活動の場を奪い、大きな被害を与えました。ジャーナリストや公務員等の原告たちも、その自由な活動を制約されたり、不本意な活動を強制される危機に瀕しており、これらの原告たちが具体的に受けた苦痛に対して、被告が損害賠償をするべきであります。原告たちが現に被っている被害及び損害が正当に償われるべきです。そのために、司法が憲法によって付与されている責務を果たさねばなりません。
 私は原告の女性たちが、既に被っている被害について、その一部を指摘しました。詳細は、今後原告本人尋問等で立証する予定です。 
                                        以上
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2016年9月3日
東京・安保法制違憲訴訟(国賠請求)が始まりました(2016年9月2日)
※過去の安保法制違憲訴訟関連のブログ記事にリンクしています。
2016年9月6日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(1)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年9月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(2)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年10月4日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(3)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年10月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(4)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述

2016年12月9日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(5)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告代理人による意見陳述

2016年12月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(6)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告による意見陳述

2017年1月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(7)~寺井一弘弁護士(長崎国賠訴訟)と吉岡康祐弁護士(岡山国賠訴訟)の第1回口頭弁論における意見陳述

2017年1月7日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(8)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年1月8日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(9)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告(田中煕巳さんと小倉志郎さん)による意見陳述


(付録)
「女の平和」1.17国会ヒューマンチェーンのテーマ~弱いものいじめをするな
  

予告・田中優氏講演会「健全な農地と地球環境を未来につなぐ~奇跡の黒い土「テラ・プレタ」をヒントに」2/22@和歌山市

 今晩(2017年月13日)配信した「メルマガ金原No.2722」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
予告・田中優氏講演会「健全な農地と地球環境を未来につなぐ~奇跡の黒い土「テラ・プレタ」をヒントに」2/22@和歌山市

 巻末リストのとおり、メルマガ(ブログ)でたびたび取り上げてきた田中優さんですが、何故かかけ違って一度も直接お話を伺ったことがなかったのですが、来週、ようやくその講演をうかがえるようです。
 来る2月22日(水)、JR和歌山駅前のJAビル2階「和(なごみ)ホール」において、NPO法人和歌山有機認証協会が総会を開いた後の午後7時から、田中優さんの講演会が開かれるとのご案内(チラシ同封)が、共催団体の1つであるNPO法人わかやま環境ネットワークから届きました。
 聴講するためには事前申込が必要なので、早速、申込先である和歌山有機認証協会に電話して参加を申し込みましたが、まだ申込み可能ということでしたので、今日のメルマガ(ブログ)でご案内することとしました。
 
 田中優さんは、チラシ記載の紹介文に書かれているとおり、様々な分野で活躍されていますが、巻末リストのとおり、私はそのうちの、電力会社に頼らない「オフグリッド生活」の実践者・先駆者としての田中優さんに特に注目してきました。
 22日の講演のテーマは、「健全な農地と地球環境を未来につなぐ~奇跡の黒い土「テラ・プレタ」をヒントに」というもので、「オフグリッド」とは直接の関係はありません。何しろ、和歌山有機認証協会の総会終了後に行う講演会ですからね。
 けれども、「健全な農地」も「オフグリッド」も、地球環境という大きなくくりの中ではもちろん密接な関連がある訳で、多くの方に参加をお勧めしたい講演会です。
 以下に、チラシ記載情報を転記します。

チラシ文字情報から引用開始)
チラシ表面-
~健全な農地と地球環境を未来につなぐ~
奇跡の黒い土
「テラ・プレタ」をヒントに
 
講師 田中 優
    環境・経済・平和をキーワードに活動する実践的リーダー
 
日時 2017年2月22日(水)19:00~21:00
場所 JAビル2F 和(なごみ)ホールAB
    (JR和歌山駅徒歩2分:和歌山市美園町5-1-1)
参加費 無料
申込 要事前申込
    和歌山有機認証協会
TEL 073-499-4736
FAX 073-499-4735
Mail 
woca@vaw.ne.jp
 
奇跡の黒い土「テラ・プレタ」
それは、遙か昔南米アマゾン流域で作物を作っていた痕跡。近年、各分野において、古いモノから新しいコトが発見される事例が相次いでいますが、「テラ・プレタ」もそのひとつ。
多くの農家さんの関心事である「理想の土づくり」と、現代を生きるわたしたち全員に関わる「地球温暖化」、この2つの課題解決になる大きなヒントがあるようです。
 
主催:NPO法人 和歌山有機認証協会・NPO法人 わかやま環境ネットワーク(WeNET)・和歌山県地球温暖化防止活動推進センター
協力:サスティナブルライフスタイル研究会ofわかやま(SLOW)・NPO法人 市民の力わかやま・サ行研究所
 
チラシ裏面-
持続可能な社会を目指したい人、
農家さん、炭焼き職人さん、地主さん
山主さん、食・農・環境関連の行政さん、
温暖化防止活動推進員さん、お越しください。
 
講演会後の懇親会
予約が必要となります。お名前、ご連絡先を明記のうえ、下記までお送りください。場所は、和歌山駅東口近くです。定員20名(〆切は、定員に達し次第)
FAX  073-499-4735
e-mail
 
woca@vaw.ne.jp
 
18:15より同会場にて、第18回 和歌山有機認証協会通常総会を開催します。OPEN形式ですので、どなたでもお気楽にご来場ください。
 
田中優さんプロフィール
1957年東京都生まれ。
地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。2012年末に岡山に移住。
2013年5月、自宅では電力会社との電線をカットし電力会社に頼らない太陽パネルと独立電源システムの生活、「オフグリッド生活」を始めた。
現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「ap bank」監事、「一般社団法人 天然住宅」共同代表、「自エネ組」相談役を務める。横浜市立大学恵泉女学園大学の非常勤講師。
公式HP 田中優の持続する志
http://www.tanakayu.com/
 
著書
『未来のあたりまえシリーズ1-電気は自給があたりまえオフグリッドで原発のいらない暮らしへ-』合同出版、『放射能下の日本で暮らすには?食の安全対策から、がれき処理問題まで』筑摩書房、『子どもたちの未来を創るエネルギー』子どもの未来社、『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』岩崎書店、『地宝論』子どもの未来社、『原発に頼らない社会へ』武田ランダムハウス、『幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア』河出書房新社、『環境教育 善意の落とし穴』大月書店、『おカネが変われば世界が変わる』コモンズ、『今すぐ考えよう地球温暖化1~3』岩崎書店、子ども向け→『世界から貧しさをなくす30の方法』合同出版、『おカネで世界を変える30の方法』合同出版、『天然住宅から社会を変える30の方法』合同出版、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか』扶桑社新書、『戦争って環境問題と関係ないと思ってた』岩波書店、『非戦』幻冬舎(以上、共著含む)
ほか多数!!
 
田中優さんのスゴイところ!
データ収集力
高い分析力
豊かな発想力
発想を形にする行動力
ネットワーク構築力
聴く人に希望を与える滑らかな話術
幅広い人に分かり易く伝える文章力
 
会員随時募集しています!
主催者連絡先
NPO法人 和歌山有機認証協会
 〒641-0014 和歌山市毛見996-2
 TEL:073-499-4736
e-mail:
woca@vaw.ne.jp
NPO法人 わかやま環境ネットワーク
和歌山県地球温暖化防止活動推進センター) 
 〒641-0014 和歌山市毛見996-2
 TEL:073-499-4734
e-mail:
wenet@vaw.ne.jp
(引用終わり)
 
 なお、私のところに封書で届いた講演会の案内文書には、主催3団体(といっても、事務所は同じところにありますが)の紹介文が掲載されていましたので、ご参考までに、これも転記します。
 
(引用開始)
~主催団体について~
NPO法人 和歌山有機認証協会(理事長:小林民憲)
 エネルギーと食料の地域自給をめざして活動していた市民団体「和歌山環境ネットワーク」(現・わかやま環境ネットワーク(WeNET)の前身)を母胎として、2000年1月設立、JAS法改定を県内農業の発展に生かそうと、同年10月、登録認定機関として農林水産大臣の認可を受け、以来、認証事業を通じて生産と消費を信頼という絆で結ぶ活動を続けてきた。
 〒641-0014 和歌山市毛見996-2
 TEL:073-499-4736 FAX:073-499-4735
 URL:
http://woca.jpn.org/w/
 
NPO法人 わかやま環境ネットワーク(代表理事:中島敦司)
 地球規模の環境危機を乗り越えるため、エネルギーと食料を自給できる地域作りをめざし1998年設立。2005年7月NPO法人格取得、同年9月和歌山県地球温暖化防止活動推進センター指定。現在約60の団体や企業が参加し、地球温暖化生物多様性、循環型社会、環境保全型農業など、環境全般に関する地域の協働の軸として活動している。
 〒641-0014 和歌山市毛見996-2
 TEL:073-499-4734 FAX:073-499-4735
 URL:
http://wenet.info/
 
和歌山県地球温暖化防止活動推進センター
 地域内で地球温暖化対策に関する普及啓発を行うこと等により地球温暖化の防止に寄与する活動の促進を図ることを目的に、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年10月9日法律第117号・温対法)第24条に基づき地道府県知事等が、地域内で1団体を指定する。和歌山県は2005年7月にNPOわかやま環境ネットワークを指定。
(引用終わり)
 
 ところで、講演会のテーマである「テラ・プレタ」って何?という方が(私を含めて)大半であろうと思いますが、田中優さんの無料メルマガの記事が優さんのブログに転載されていましたので、その一部をご紹介しておきます。
 なお、さらに詳しい情報は、「田中優有料・活動支援版メルマガ」に掲載されているそうです。
 
田中優の持続する志(ブログ) 2017年2月10日
『荒野の知性』~アマゾン奇跡の黒い土「テラ・プレタ」~(2016.11.29発行 田中優無料メルマガより)
(抜粋引用開始)
■奇跡の「テラ・プレタ(黒い土)」
 ところがそのアマゾンに、「テラプレタ(黒い土)」と呼ばれる不思議な土が見つかった。最初は日系移民ぐらいしか注目しなかったものだが、連作障害を起こさず、何度も豊かな作物を収穫でき、過酷な熱帯の条件の中でも劣化していかない土なのだ。この「奇跡の土」は一体何なのか。
 西暦2002年になって、ある研究者が発表した。「テラプレタは人が作り出したもので、6000年、あるいはもっと以前から作られていたものだ」と。それは大きな衝撃だった。アマゾンの過酷な気象の中で、誰も手入れしないままに数千年の時を経て、未だに豊かな養分を維持していたのだ。
 そのテラプレタは、ゴミ捨て場のようなものだったと考える人もいる。土に200度程度の低温で焼いた未熟な炭と、炭を作るときに取れる木酢液を混ぜ、骨や陶器の破片、排泄物などが混ぜられたものだったからだ。しかしその考えもまた、かつて住んでいたアマゾンの人々を見くびった考えかもしれない。今、同様の土を作ろうと実験されているが成功しないのだ。大地から養分を集めて、維持される土を作るのは簡単ではない上、数千年も耐えるかどうかは年数を経ないと実証できないからだ。
 しかも驚かされるのはテラプレタの分布する広さだ。集めるとイギリス二つ分、フランス一国分の面積に匹敵するのだ。これだけの広さがあれば多くの人を養い、都市を形成するほどの収穫量も得られる。今では「エルドラドは実在したかもしれない」と考えられている。あまりにも多くの陶器片や埋蔵物は、点在する集落で使うには多すぎるのだ。
(略)
 ところがテラプレタの炭素吸収量は、これまで考えられていた「炭素吸収農法」よりけた外れに大きいのだ。実にその5倍から20倍も吸収できる。もし炭素源が足りるなら、たった1年で解決できてしまうのだ。
 そもそも炭は、人間が作ることのできる唯一の化石燃料だ。木材の8割の炭素を炭の中に固定し、燃やさない限りそのまま固定することができる。多孔質の空隙は微生物のマンションとなり、微生物は土壌から溶け出した微量元素を貯め混んでいく。
 そのおかげで長年経っても肥沃さが失われないのだと考えられている。この炭の技術では日本は群を抜いている。しかしその日本の技術もまた洗練されすぎたのかもしれない。白炭と呼ばれる高温で焼いた炭と、黒炭と呼ばれる中温の炭はあるが、200度という低温で焼く「半生の炭」などはない。
 私たちは、そろそろ「科学技術が高度に発達した現在が最も優れている」と思い込みを捨ててはどうだろうか。「科学の知性」はさまざまなものの説明には役立し、それぞれの原因を調べるには必要不可欠だ。しかし、それが新たなものを作るわけではない。新たな方策はいつも長年の「経験知」が作り上げている。
 これを荒野の知性と呼んだとすると、今新たに生まれつつある方策は荒野の知性が作っているではないか。
 第七の栄養素と呼ばれる「ファイトケミカル」にしても、ずっと生活の中に生かされてきた調理法はそれを活かしきっている方法だし、「乳酸菌」と呼ばれるまでもなく漬物などたくさんの利用がなされてきた。
 私たちの「科学的慢心」は、もう捨てたらどうだろうか。新たな知性は荒野から生まれる。それを学ぶことで、もしかしたら地球人は温暖化防止の方策を得られるかもしれない。しかしそれは科学が見出したものではない。荒野の知性を科学が説明したに過ぎないのだ。
-☆---★-より詳しくは田中優有料・活動支援版メルマガをご覧ください。-☆---★

(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年2月24日
再生可能エネルギー固定価格買取制度と「オフグリッド」生活

2013年7月28日
「女性自身」のレポートと映像で知る田中優さんの“オフグリッド生活”
2013年10月5日

木村俊雄氏が語る“メルトダウンの真実“、田中優氏と語る“エネルギーの自給自足”
2014年6月22日
田中優さんが先導する“静かな革命”
2014年10月12日
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の曲がり角から考える「オフグリッド生活」~田中優さん宅取材動画を視る
2014年12月20日 
「日刊SPA!」で読む“オフグリッド生活”の新展開
2016年4月10日
電力自由化とオフグリッドの未来~田中優さんの無料メルマガを読む

田中優・奇跡の黒い土(表)田中優・奇跡の黒い土(裏) 

和歌山・演劇大学リーディング公演『空の村号』(3月4日・5日@和歌の浦アート・キューブ/演出・加納朋之)のご案内

 今晩(2017年2月12日)配信した「メルマガ金原No.2721」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
和歌山・演劇大学リーディング公演『空の村号』(3月4日・5日@和歌の浦アート・キューブ/演出・加納朋之)のご案内
 
 今年の和歌山「演劇大学」公演を知らせるチラシを偶然入手しました。正直言って、私は演劇の良き鑑賞者では全然ありませんし、「演劇大学」の発表公演を観たことも一度もありません。
 それにもかかわらず、偶然貰った1枚のチラシをじっくりと読み通し、その上、メルマガ(ブログ)で紹介までしようと思い立ったのは、劇の内容に引かれてのことに違いありません。
 興味深いテーマを取り上げているということが、その劇の質を保証するものでないことは言うまでもありませんが、何かしらのインスピレーションに導かれるまま、この「空の村号」リーディング公演をご紹介することとしました。
 このお知らせをきっかけに鑑賞し、「素晴らしかった」と言ってくださる方が1人でもおられれば良いのですが。
 
 以下に、チラシ記載情報を転記してご紹介しますが、その前に1つだけ補足を。
 それは「リーディング公演って何だ?」ということについてです。何より、私自身がそういう疑問を抱いてネット検索を試みたところ、「リーディング=朗読」と説明するサイトもあれば(Wikipediaほか)、明確に違うと主張するサイトもあったりします。以下には、後者の立場で「リーディング公演」を説明したブログに2つほどリンクしておきます。
 
 
チラシ文字情報から引用開始)
チラシ表面-
演劇大学 リーディング公演

脚本・篠原久美子 構成/演出・加納朋之(文学座) 制作・佐藤尚子(青年劇場)
出演・和歌山演劇大学受講生
 
平成29年
3月4日(土)14:00開演 / 17:00開演
3月5日(日)11:00開演 / 14:00開演
 
会場:和歌の浦アート・キューブ キューブA 地図
 
空の村号
 
この村の一番高い山の上に鯉のぼりの旗を掲げて、
  この村が、村ごと空に浮かび上がって、
 放射能も汚染もなにも届かない、どこかの青い青い空を、
どこまでも飛んでいく絵が見えた。
          宇宙海賊船・空の村号だ!

一般/1,500円
小中高生/1,000円
全席自由(当日各200円増)
(開場は開演の30分前です)
 
主催/公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団・和歌山市芸術創造発信フェスティバル実行委員会
後援/(株)テレビ和歌山・(株)和歌山放送ニュース和歌山(株)・(株)和歌山リビング新聞社・(株)和歌山新報社・(有)アガサス
 
チラシ裏面-
演劇大学 リーディング公演
 
空の村号
 
福島の美しい山里に暮らす酪農一家の長男、空(そら)は小学5年生。
畑仕事や牛の世話にいまいち気乗りしないアニメ好きの少年は、将来、映画監督になることを夢想している。そんな空のことを暖かく見守る家族や村の人たち。
のどかな当たり前の日常がいつまでも続くはずだった。けれどあの日。
2011年3月11日午後2時46分、東日本を未曾有の激震が襲った。
原発事故による目に見えない放射能汚染のために変わっていく村や家族を前にして、
空はホームビデオで映画を撮ることを思い立つ。タイトルは「宇宙海賊船・空号の冒険」。現実に抗うかのように「本当のことはひとつもない」夢と希望に溢れたファンタジーを作ろうとするのだが・・・。
時が経てばまるで何も無かったかのようにいろんなことが忘れられていく。
けれど、決して忘れてはいけないこともあるのだ。
子どもたちの目を通して描かれる、可笑しくて切ない物語。
子どもから大人まであらゆる世代の方に楽しんでいただける作品です。
 
脚本・篠原久美子
構成/演出・加納朋之(文学座
製作・佐藤尚子(青年劇場)
演出協力・岡崎義章(劇団ノスタルジア
宣伝美術・北出千佳(劇団ノスタルジア
 
出演
 今西 勇、宇都宮喜久子、熊本 緑、小切伊知子、杉末紀代美、對馬亜矢子、中西裕子、堀  颯、宮本英和、山下夢乃、岡崎義章、川崎ゆかり
特別出演
 加納朋之
ピアノ演奏
 川瀬名帆子
 
演劇大学とは
和歌山における演劇文化のレベル向上を目的として、東京からプロの演出家、俳優を招き、地域の学生や社会人を対象に演劇の基礎を学ぶワークショップを開催しています。
平成19年から始まったこの散り組みは今年で10年目を迎え、その成果を発表する公演は好評をいただいています。
9作品目となる今回は、初のリーディング公演にチャレンジします。ご期待ください。
 
ACCESS
バス 和歌山市駅かJR和歌山駅より「新和歌浦」行き「不老橋」下車
お車のお客様は、方男波公園有料駐車場をご利用ください(1日400円)
 
入場券販売場所
和歌山市民会館  073-432-1212
和歌の浦アート・キューブ  073-445-1188
中央コミュニティ・センター  073-402-2678
河南コミュニティ・センター  073-477-6522
河西コミュニティ・センター  073-480-1171
河北コミュニティ・センター  073-480-3610
東部コミュニティ・センター  073-475-0020
北コミュニティ・センター  073-464-3031
 
お問い合わせ:和歌山市民会館和歌山市芸術創造発信フェスティバル実行委員会【演劇大学】係 TEL:073-432-1212
引用終わり)
 
 最後に、「空の村号」の練習風景が2つ(2013年・大阪公演、2016年・川崎市公演)YouTubeにアップされていましたのでご紹介します。
 
空の村号練習風景20130428(大阪・2分50秒)

0903空の村号練習風景(川崎・0分48秒)


空の村号(表)空の村号(裏)
 

杉尾秀哉参議院議員と中野晃一氏が語る長野の闘いと野党共闘の今後(2017年2月7日@東京)

 今晩(2017年2月11日)配信した「メルマガ金原No.2720」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
杉尾秀哉参議院議員と中野晃一氏が語る長野の闘いと野党共闘の今後(2017年2月7日@東京)

 ちょうど1週間前の2月4日(土)、参議院議員森ゆうこ氏(自由党)を和歌山にお招きし、昨年の「新潟選挙でのたたかい」を熱く語っていただいたばかりですが、今日は、2月7日(火)に、マスコミ
9条の会と日本ジャーナリスト会議が共催した「現代の「市民革命」でアベ政治のペテンにとどめを。」(※チラシに、昨年の参議院長野県選挙区で野党統一候補として見事議席を勝ち取った元TBSニュースキャスターの杉尾秀哉さん(民進党)がゲストとして招かれ、「長野でのたたかい」について語っておられる動画(2種類)がありましたので、これをご紹介することとしました。
 
自由メディアFmATVch 現代の「市民革命」で安アベ政治のペテンにとどめを(2時間06分)

3分~ 杉尾秀哉氏(参議院議員、元TBSニュースキャスター)
56分~ 中野晃一氏(上智大学教授)vs杉尾秀哉氏
 57分~ 中野晃一氏
 1時間22分~ 中野氏と杉尾氏の対談
 
20170207 UPLAN 杉尾秀哉・中野晃一「現代の市民革命でアベ政治のペテンにとどめを」(2時間07分)
 

 第2部では、「市民連合」呼びかけ人である中野晃一さんから、まず25分ほど、「野党共闘」に至る道程が回顧されており、この部分は頭の整理に役立ちます。そして、第2部の後半、中野さんと杉尾さん
から、それぞれ今後の展望が語られます。
 これを視聴する人たちは、それぞれ自分の地元の状況に引き直しながら、肯いたり、これは無理だなとつぶやいたり、色々あるでしょうが、参考となることが多い動画だと思います。
 
 最後にお知らせを(主に和歌山の方にですが)一つ。
 今回ご紹介した企画に出演されていた中野晃一さんを、青年法律家協会和歌山支部が、今年の「憲法記念の夕」の講師としてお招きすることになりました。4月28日(金)午後6時から、和歌山県民文化会館小ホール(入場無料)です。是非、今から日程をご予定ください。
 

海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する

 今晩(2017年2月10日)配信した「メルマガ金原No.2719」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する

 共謀罪シリーズ、昨日1日休んで今日お送りするのが第4回となります。今日は、海渡雄一弁護士(日本弁護士連合会共謀罪対策本部副本部長)によるレクチャー動画(お相手はパートナーの福島みずほ参議院議員・弁護士)とパワポ資料をご紹介します。
 これは、今年の1月8日、福島みずほさんのFacebookタイムラインで配信されたライブ動画とその時使われた資料です。動画では、海渡弁護士の解説に合わせて福島みずほさんが、紙芝居さながら、1枚1枚カメラの前で資料をめくっていますが、後日、資料をPDFファイルにしたものがネットにアップされています

 以下に、2本に分かれた動画と併せ、資料の中からその項目(一部は本文も)を抜き出して転記してお
きますので、視聴の参考にしてください。
 ただし、残念ながら音声レベルがいささか低いため、聴き取りにくいと思いますが、資料のPDFファイルにざっと目を通した上で視聴すれば、ほぼ聴き取れるだろうと思いますし、この資料「テロ等組織犯罪準備罪と名を変えた共謀罪法案の国会提出に反対する!」自体、共謀罪早分かりレジュメとなっていますので、大いに活用できるだろうと思います。
 
政府は2017年通常国会に法案提出を予定している
1.共謀罪法案の危険性
共謀罪法案とは
2003年旧政府案の定めていた共謀罪の成立要件
共謀が処罰されることの意味
日本の刑法の原則
重大犯罪すべての共謀罪処罰は国内法の原則に反するとしていた政府
イギリス・アメリカの共謀罪
我々はなぜ共謀罪に反対してきたのか
・伝統的に犯罪とは,人の生命,身体,財産などの法益が侵害され,被害が発生することと考えられてきた。そして,法益の侵害又はその危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動するというシステムが,
近代的で自由主義的な刑事司法制度の基本であるとされてきた。
・刑事法が「悪い意思」を処罰するのではなく,法益侵害の現実的危険性がある「行為」を処罰する法益
保護主義に基づくものである。
・犯罪構成要件に当たるような行為をしない限り、人は処罰されることはない。犯罪構成要件は、国家が
刑事司法を通じて市民社会に介入するときの境界線を画すものといえる。
・人は,様々な悪い考えを心に抱き,口にもすることがあるかもしれない。しかし,大多数の人は,自ら
の良心や倫理感から,これを実行に移すことはなく,悪いことを考えとしても、実行しなければ処罰しな
いことが、社会の健全な秩序となってきた。
犯罪の手前で思いとどまり引き返してくる黄金の橋を焼き捨ててよいのか
・我が国の刑事法体系では,実行に着手した犯罪であっても,自らの意思で中止すれば,中止未遂として
刑を減免してきたし,犯罪実行の着手前に放棄された犯罪の意図は,原則として犯罪とはみなされなかっ
たのである。
・1999年1月の国連条約起草会合に日本政府が提出した提案ペーパーには,次のように述べていた。「5.(前略)このように,すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しない。さらに,我々の法制度は具体的な犯罪への関与と無関係に,一定の犯罪集団への参加そのものを犯
罪化する如何なる規定も持っていない。」(A/AC.254/5/Add.3)。
・ところが,条約起草後に政府が策定した政府案では,長期4年以上の刑を定める600以上の犯罪について共謀罪を新設するものとなった。この中には,組織犯罪との関連が疑わしく,未遂犯も処罰対象とな
っていない犯罪が数多く含まれている。
盗聴捜査の大幅な拡大を招く危険
・人と人とが犯罪を遂行する合意をしたかどうかや,その合意の内容が実際に犯罪に向けられたものか,
実行を伴わない口先だけのものかどうかの判断は,犯罪の実行が着手されていない段階では,事柄の性質か
らして極めて困難である。
・そして,検挙しようとする捜査機関の恣意的な判断を容れる余地がある。また,共謀罪は人と人との意思の合致によって成立する。したがって,その捜査は,会話,電話,メールなど人の意思を表明する手段を収集することとなる。そのため,捜査機関の恣意的な検挙が行われたり,日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視したりするような捜査がなされるようになる可能性があり,市民の人権に及ぼす影響が
計り知れないものがある。
・既に産経新聞は8月31日の「主張」において、「(共謀罪)法案の創設だけでは効力を十分に発揮することはできない。刑事司法改革で導入された司法取引や対象罪種が拡大された通信傍受の対象にも共謀
罪を加えるべきだ。テロを防ぐための、あらゆる手立てを検討してほしい。」とまで述べている。
監視する者は支配者 監視される者は被支配者 その関係は権力関係
密告を奨励する 自首の必要的減免も復活
 
隣組は戦争に非協力的な者を密告し、排除するシステムでもあった
秘密保護法には既に共謀罪が導入されている
国会議員の選挙事務所が警察の監視下に
・2016年7月の参議院選挙で、大分の野党統一候補社民党党首の選挙拠点である平和運動センター
事務所の出入りを監視するため、警察が監視カメラを設置していたことが判明。
・ 実行警官らは書類送検されたが、建造物侵入容疑。
・警察は選挙違反の摘発目的としているが、与党の選挙事務所には、このような監視はなされておらず、合理的な説明といえない。このような捜査手法は不適切としつつ、指示した警察官などの処分も見送られ
ている。
監視社会と民主主義
・政府は、憲法の改正を国会に提起しようとしている。
・既に安全保障法制が制定され、国際紛争が武力紛争化する危険性が高まっている。
・秘密保護法によって、武力行使の根拠となる政府の情報が秘密とされ、メディア・市民による表現の自
由が制約されている。
共謀罪や盗聴捜査の拡大は監視社会を生み出し、市民は萎縮し、内部告発も困難となる。
・市民が、国の内実を知ることができず、監視を恐れて沈黙する社会では、民主主義は崩壊してしまう。
どんな行為が取り締まりの対象に?
こんな行為まで処罰が可能に
2.条約批准のために共謀罪制定は不可欠なのか?
条約批准前に国内法をどこまで整備するか
テロと組織犯罪を防ぐには
条約は各国の国内法原則の尊重を認めている
日本の組織犯罪対策とテロ対策
秘密保護法×共謀罪×盗聴拡大は民主主義の死
・秘密保護法と共謀罪、そして盗聴の拡大は、セットとなって、監視社会をもたらし、市民の知る権利を
侵害して、ひいては、民主主義的な政治プロセスの崩壊を招きかねない。
・政府は、10年前に成立させられなかった修正案よりも、さらに後退した法案を出してこようとしてい
る。私たちは、共謀罪法案の国会への提出に強く反対しなければならない。
 
 
(参考冊子)
 上記の海渡弁護士作成資料の冒頭で紹介されている48ページの小冊子『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』(2017年1月発行/頒価200円)が、今日の午前中に、私の事務所に
1冊届いていました。
 届けてくださったのは、3月3日(金)午後6時30分から、和歌山市勤労者総合センター6階文化ホールで開かれる学習会「共謀罪とは何か?その狙いとは」(主催:和歌山県平和フォーラム、戦争をさせない和歌山委員会)の講師を私に依頼するという大胆な(!?)決断をしたFさんでした。ありがとうご
ざいました。
 ところで、3月3日の学習会ではこの冊子を参加者に配ってくれるということなので、「これでレジュメを書かずにすむ」と私は一安心しているのです。それというのも、上記冊子の4頁~11頁に、海渡雄一さんが書かれた「共謀罪って何?自由を奪う監視社会の到来」という論考が掲載されているからで、いわば、これがレジュメのようなものなので、私がこれに上塗りするような拙いレジュメを書いても仕方がないでしょ
うから(と、一応今のところは考えています)。
 ところで、私は、この『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』という冊子では、海渡弁護士の論考と並んで、その奥書にも注目しました。特にそこに記載された「■編集・発行」者の表記
にです。書き写してみます。
 
一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる  頒価200円
■編集・発行
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会(平和フォーラム 新聞労連 ほか)
解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(許すな!憲法改悪・市民連絡会 憲法会議)
盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会 日本国民救援会
■連絡先
日本消費者連盟
 
 編集・発行に名前を連ねた団体の枠組というのは、安保法制に反対する「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の共謀罪版のようなものですよね?ということは、共謀罪反対の闘いでも、総がかり行動での共闘の経験や成果が活かされようとしているのだと勇気づけられたのです(後述の1月20日院内集会もこの流れですね)。
 ということで、私が何を言いたいかというと、3月3日の学習会に、平和フォーラム系の労組員の方た
ちだけではなく、様々な立場の方にご参加いただけると嬉しいなということです(『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』も貰えるようだし)。
 
(参考動画)
 今日のメインは海渡雄一弁護士による共謀罪についてのレクチャー動画のご紹介ですが、福島みずほさんとの掛け合いは面白くてためになるとはいえ、もう少し音声レベルの聴き取りやすい動画を見たいですよね?ということで探してみました。
 
20170118 UPLAN「共謀罪」なんていらない?!これってホントに「テロ対策」?(58分)

※1月18日に行われた『「共謀罪」なんていらない?!これってホントにテロ対策?』(合同出版/2016年12月刊)の出版記念イベントの動画であり、海渡弁護士は共著者の1人として
発言しています(10分~16分)。
 
 
20170120 UPLAN 秘密保護法、戦争法と一体 話し合うことが罪になる共謀罪の国会提出を許さない院内集会(2時間14分)

※1月20日に行われた「秘密保護法・戦争法と一体「話し合うことが罪になる共謀罪」新設に反対する
院内集会」の中継動画です。海渡雄一弁護士のミニ講演「平成の治安維持法共謀罪法案の国会提出に反対しよう!」は1時間04分~1時間32分ですが、その前に、平岡秀夫法務大臣(弁護士)による「共謀罪(テロ等準備罪)の問題点」という演題によるミニ講演が行われています(11分~41分)。

「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(042~045)~YouTubeトラブルは解決していないけれど

 今晩(2017年2月9日)配信した「メルマガ金原No.2718」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(042~045)~YouTubeトラブルは解決していないけれど

 「ラジオフォーラム」の事実上の後継番組として、昨年の4月からスタートした「自由なラジオ LIGHT 
UP!」のアーカイブYouTubeポッドキャストPODCAST)の両方で聴取することができるということで、これまでアーカイが3~4回分たまったところでご紹介してきました。
 ところが、今年に入って、「YouTubeアーカイブが開けない!」というトラブル発生。やがて、「jiyunaradio funclu」という新アカウントで順次古い番組も再アップされましたので、私も、過去のメルマガ(ブログ)で配信した紹介記事を、YouTubeへのリンクをやり直した上
で、順次再配信し始めたのです。
 しかし、何ということか、またしても、この再アップされたアーカイブを聴くためにYouTubeを開けようとしても、真っ黒な画面に「この動画は再生できません。申し訳ありません。」という無情な文字が出て
くるだけになってしまいました。
 そのうち、また復旧するかと思ってチェックしているのですが、「第39回 選挙戦から撤退した前新潟県知事の英断 原子力ムラの圧力と地元新聞社の『総合的判断』とは?」以降のアーカイブだけは何とかYouTubeで聴けますが、第1回~第38回のアーカイブを視聴しようとすれば、ポッドキャストPODCAST)で聴くしかないようです。iTunesをダウンロードした上で「関連付け」などの作業を行えば、無料でアーカイブを聴くことができますが、若い人には何でもなくても、そういう作業は苦手という人もいるだろ
うなあ。
 ということで、YouTubeで全てのアーカイブを再び聴けるようになることを願いつつ、とりあえず今日は、未紹介の第42回~第45回の4本をご紹介します。
 

「ヒップホップグループのMCという異色の経歴をもつ松戸市議会議員のDELIさんに、3.11以降、政
治そして音楽にかけた思いをたっぷりと伺いました。
 メジャーレーベルからCDデビューもしているDELIさんですが、東日本大震災福島第一原発が爆
発してから、意識がどんどんと変わっていったといいます。きっかけとなったのは、地元千葉県松戸市に、南相馬の人たちが避難してきたこと。その中にDJ仲間の親御さんもいて、その仲間の誘いで原発5キロ圏内近くまで、ガイガーカウンターをもって放射線量を測りに行ったことがありました。その結果、場所によっては、南相馬より地元松戸の方が線量が高い場所もあることを知ったといいます。他人事ではない、自分たちの問題なんだと気づかされたのだといいます。
 まずは、被ばく被害を真っ先に受ける子どもたちを守らなければならないと、SNSなどを駆使して仲
間を募り、札幌など安全な場所に子どもたちを逃がす運動「オペレーション・コドモタチ」を立ち上げます。
 これが原点となって、ひとりのミュージシャンが世の中を変えようと動きはじめます。松戸市議会議員へも「脱被ばく、脱カスタマー」だけをスローガンに出馬し、見事当選。脱カスタマーとは、他人事でいるな、ヒーローは待っていても来ない、ひとりひとりが主人公にならなければならないというお考えだそうです。「ミュージシャンだからとか、わかってないとか馬鹿にするならすればいいけど、俺の考えに投票して当選させた人たちがいる。それを馬鹿にするな!」という主張は、民主主義の的を射ているといえ
ますね。拍手です。
 そして、今、松戸市議会議員として精力的に活動しながら、「プラネット・ロック」という政治団体を立ち上げて、さらに人々の「無関心」と闘っておられます。「俺みたいなのが立ち上がらなければならない世の中なんだなと思って、気が付いてくれればいい」と自虐的に表現されていましたが、強面のヒップ
ホッパーの心は、熱く、限りなく愛に満ちていました。どうぞお聞き逃しなく!!
DELIさん公式ホームページ
 
http://www.planetrock.jp/
■LIGHT?UPジャーナル:廃炉が決まった「もんじゅ」と高速炉の行方
「今回は大阪のスタジオから、新聞うずみ火の矢野宏が、京都大学原子炉実験所研究員の今中哲二さんに廃炉が決まった「もんじゅ」と、さらに研究が進むという高速炉の行方について伺いました。こちらもたいへんわかりやすい解説です。どうぞお楽しみに!」
 

「2015年9月19日の安保法制強行採決から早1年4ヶ月。当時、抗議行動の波は全国各地に広がり、学生団体
SEALDs(シールズ)などが一躍注目を集めました。そんな反対行動の中心になった団体のひとつに、子どもを持つお母さんたちの会がいたことをご存知でしょうか?安保関連法に反対するママの会(通称ママの会)。今回は、この会の発起人である西郷南海子さんをゲストに迎え、ママたちが安保法反対に立ち上がった理由、経緯から、今後、市民が政治を変えるためにはどのような方法が適切だと考えるかなどについ
て、ジャーナリストの西谷文和がインタビューします。
※お知らせ:西郷南海子さんと絵本作家浜田桂子さんの共著「だれのこどももころさせない」が3月に刊行
されます。是非、チェックしてみて下さい。」
LIGHT?UPジャーナル:小出裕章さん電話インタビューat LOFT9 Shibuya
「昨年末12月29日に東京渋谷の「LOFT9 Shibuya」で、当番組のイベントが開催されました(市民のための自由なラジオ“Light Up!”大忘年会)。今回の「Light-Upジャーナル」は、会場から小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所)に電話インタビューを行った模様をお届けします。舞台上の進行は、今西憲之。出演はパーソナリティの木内みどり、おしどりマコ・ケン、ゲストは、山本太郎参議院議員、映画監督で弁護士の河合弘之さん、元東京電力社員の蓮池透さんでした。」
ニュースの歩き方:西谷文和・12月のイラク取材報告
「昨年12月、入国拒否によりイラク取材を断念した西谷文和が改めて入国に成功。IS掃討作戦が展開され
たモスルの街を取材しました。現地は名目上ISからの奪還はすでに成功し解放されていますが、街はゴーストタウンのまま。未だに住民の帰還は叶っていません。なぜ帰れないのか。モスルの現状について解説
します。」
※金原注 「イラクの子どもを救う会」ブログに掲載された昨年12月25日付の西谷文和さんのレポー
「前線へ」を是非お読みください。
 

「1995年7月22日、大阪市東住吉区の住宅の建物に組み込まれたシャッター付き駐車場で火災が発生。住人
である内縁の夫、母親、長男は脱出して助かるも、駐車場に隣接する浴室で入浴中だった長女が焼死しま
した。
 母親と内縁の夫が死亡した長女に1500万円の生命保険をかけていたことなどから、警察はこれを保険金詐取目的の殺人との疑いを持ち逮捕。取り調べの末に自供を得たとして起訴。最高裁まで争うも、内縁の夫と母親には無期懲役という判決が下りました。しかしこれは、取調べの際に拷問による自白の強要があったとして、二人は無罪を主張。多くの支援者にも支えられて、昨年再審が認められ仮釈放。そして昨年8
月10日に無罪を勝ち取りました。
 今回は、この「東住吉放火冤罪事件」の被害者のひとりである青木惠子さんをゲストに迎え、なぜこの事件が起こったのか?再審無罪までの道のりはどのようなものだったのか? 問題の警察取調べとは実際
にどのようなものだったのか?などについて今西憲之が聞きます。」
■Light-Upジャーナル:「柏崎刈羽原発 新潟知事、東電に表明」について
「昨年12月には、泉田裕彦新潟県知事をゲストにお招きしたばかりですが、今回も引き続き、東京電力柏崎刈羽原発に関連した話題をお届けします。1月5日、新潟県米山隆一知事は、県庁で東京電力のトップと面会し、福島第一原発事故の原因究明など県独自の検証を最優先する考えを伝えました。今回はこの「柏崎刈羽原発再稼働より3つの検証」を巡って、小出裕章さんが解説します。」
 

「今回のお客様は、インドネシアパプア州で株式会社オルター・トレード・ジャパンの現地駐在員とし
てお仕事をされている津留歴子さんです。世界で2番目に大きな島、赤道直下にあるニューギニア島。その西半分が、インドネシア領パプアです。日本とほぼ同じ面積ですが、人口約400万人といますから人口密度はとても低い、自然豊かなところです。
 1885年にニューギニア島は、オランダ、ドイツ、イギリス領に分割され、西側がオランダ領となったのですが、戦時中は日本が占領していた歴史もあるところ。その後1969年にインドネシアに併合されました。
そこに住む先住民の血を引くパプアの人たちは、まつ毛が長く褐色の肌、ちりぢりの髪と、とても特徴的です。「パプア」はマレー語で「縮れ毛」を意味する「プア・プア」から来ているといいます。そんなパプアに昨年、パーソナリティ・木内みどりが訪れたときに出会ったのが津留歴子さんです。自然への畏敬の念を忘れず、現地に生きる人々の日々の営みを大切にしながら、カカオ農園などでの生産活動を後押しする活動をされています。
 手つかずの自然も多く残るこの島は、農作物の宝庫。放っておいてもどんどん育つという環境の中で、人々は欲にまみれることもなく、素朴で穏やかな心をつないで暮らしています。都留さんは、現地の人々との交流の中で、良質なチョコレートの原料となるパプアのカカオを、日本をはじめとする世界に紹介しています。アメリカのボストンで暮らし、グリーンカードまでもっていた津留さんが、なぜ保証された将
来を捨てて現地NGOに加わったのか?
 そこまで津留さんを魅きつけたものとは?高度に成長したとされる先進国の文明の中に生きる私たちが、もはや望んでも手に入らない本当の「豊かさ」がそこにはあるといいます。番組で紹介したチョコレー
ト「パラダイス・パプア」を口にすれば、その素朴な味が、あなたに何かを伝えてくれることでしょう。
 http://altertrade.jp/cacao
LIGHT-UPジャーナル:私たちはどんな心構えで「情報」と向き合うべきか
落合恵子さんにお電話をおつなぎします。今回のテーマは、落合さんはどうやって情報をとっているのか?です。ご自宅では新聞2紙をとり、外出先ではその他の新聞もチェックするという落合さん。情報があふれる今、私たちはどんな心構えで情報と向き合うべきなのでしょう?資本と報道が深いつながりがある日本のメディアだからこそ、流されてはいけない。騙されてはいけない。自分自身でしっかりと社会を見つめなければ。そんなことを改めて考えさせられるインタビューとなりました。」
 

(付録)
『スナメリ泳ぐ海』 作詞・作曲:笠松美奈 
演奏:なつおmeets南風
 
※2015年9月23日ライブ@ララ・ロカレ
※参考ブログ「『スナメリ泳ぐ海』から世界を見たら」(弁護士・金原徹雄のブログ)