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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

映画『ザ・思いやり』上映会(9/10)ほか~年内 和歌山市での憲法問題への取組

映画 行事
 今晩(2016年8月26日)配信した「メルマガ金原No.2550」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
映画『ザ・思いやり』上映会(9/10)ほか~年内 和歌山市での憲法問題への取組

 しばらくは行事案内などの情報提供に徹しようかと思いながら、メルマガ毎日配信&ブログ毎日更新を続けている私です(詳しくは作日配信の「放送予告9/3『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』(ETV特集)~歴史修正主義に惑わされないために」の冒頭部分をご参照ください)。
 
 今日は、9月10日(土)開催のドキュメンタリー映画上映会のチラシが手元に届いたのを機に(それにしても届くのが遅くないだろうか?)、その上映会を告知するのと併せて、今、私の耳に入っている、9月以降当面の憲法問題を中心とした取組をまとめてご紹介することにしました。ただ、ご紹介できるのは、今のところ私の住む和歌山市で開催される企画だけであることをお断りします。
 
 まずは、9月10日の映画上映会です。今日、私の事務所に届いたチラシ記載情報を以下に転記します。
 
チラシ情報から引用開始)
ドキュメンタリー映画
ザ・思いやり
一人のアメリカ人が、米軍への“オモイヤリヨサン”の疑問に挑む!!
和歌山で上映!!
 
2016年9月10日(土)
午前の部/10:00~上映
午後の部/14:00~上映
(開場はそれぞれ30分前)

和歌山市男女共生推進センター(あいあいセンター)6Fホール
 
和歌山市小人町29番地

上映協力金 500円(前売り・当日券とも)
 高校生以下、障がい者、75歳以上 無料

主催 安保県民会議・県革新懇・県平和委員会
お問合せ:073-488-7355(里崎)
 
 日本の経済が困難な状況の中で、なぜ日本人がここまでアメリカ軍を思いやらなければならないのでしょうか?
 アメリカとの条約においては一切義務付けられていない「思いやり予算」は、1978年から始まり、
日本人が自ら働いて支払っている税金から在日米軍へ6兆円以上が投入されてきました。
 米兵一人当たり年間1500万円という膨大な額は、ほとんどがアメリカ軍人の贅沢な生活を支援する
ために使われているのです。
 この映画では、「思いやり予算」の不条理さと矛盾を様々な視点から鋭く、そしてユーモアたっぷりに日本人に問いかけていきます。
 
監督・編集/リラン・バクレー
日本/カラー/88分/2015年
 公式サイト
 
https://zaomoiyari.com/
撮影/高尾 徹、ヘンリー・バクレー
音楽/ダレン・チルトン
美術製作/岡田久幸、村永 泰
字幕協力/堀 純司
出演/松元ヒロ(コメディアン)、山口洋子思いやり予算を被災地の支援へ!)、呉東正彦(弁護士)、
前泊博盛(沖縄国際大学教授)ほか
「ザ・思いやり」事務局/平沢清一、佐藤 契
(Eメール/
zaomoiyari@hotmail.co.jp
 
リラン・バクレー監督プロフィール Leland Buckley(1964年生まれアメリカ・テキサス州出身) 
1980年、高校1年で初めて来日し埼玉でホームステイ。歴史を専攻し高校社会科の教員資格を取得。アメリカで大学院修了後、日本の大学院で文部省の大学院研究員として日本文学を専攻。1995年に天野文子氏の広島原爆日記を英訳し、原爆投下50年に、天野氏と数人でアメリカ各地を訪問し、テレビ、ラジオ番組等で原爆禁止をアピール。他に申立人、地産地消、食料やエネルギー自足に興味を持って活動。英会話スクール経営。青山学院大学で英語講師。神奈川県在住。
 
『ザ・思いやり』予告編(4分17秒)

(引用終わり)
 
 この映画上映会を私のFacebookタイムラインに投稿したところ、反応は上々です(「託児、、、ないやろなぁー。」と言いつつ、シェアしてくれた二児のママもいましたよ、里崎さん)。
 
 さて、以下は『ザ・思いやり』上映会以降の和歌山市での主な取組予定です。関心のある企画については、早めに日程をご予定ください。
 
2016年9月12日(月)
第27回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
正午 和歌山市役所前集合
12:20 スタート(約15分の行程で京橋プロムナードまで)
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 
2016年9月19日(月・祝)(和歌山城西の丸広場)
安保法制廃止を目指す集会とデモ行進
続報をお待ちください(実施するかどうかを含めて検討中)
 
2016年9月29日(木)18:00~19:20(プラザホープ2F多目的室)
憲法学習会「日本会議のすべて~安倍政権を支える草の根「改憲」のうごき~」(仮題)
講師 俵 義文氏(子どもと教科書全国ネット21 事務局長)
主催 憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議(073-432-6355 高校会館内)
    憲法九条を守るわかやま県民の会(073-436-3520 県地評内)
 
2016年9月30日(金)18:30~(和歌山ビッグ愛1F大ホール)
憲法講演会「立憲主義と民主主義を回復するために」
講師 長谷部恭男氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)
主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士連合会
入場無料・予約不要
連絡先 073-422-4580(和歌山弁護士会
 
2016年10月15日(土)(プラザホープ) 
和歌山市9条センター(憲法9条を守る和歌山市共同センター)秋の憲法学習会
続報をお待ちください。
 
2016年10月17日(月)
第28回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ

正午 和歌山市役所前集合
12:20 スタート(約15分の行程で京橋プロムナードまで)
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 
2016年10月22日(土)14:00~(和歌山市中央コミセン多目的ホール
講演会「参院選後の改憲の動きと私たちの課題」
講師 金原徹雄(弁護士)
主催 憲法を生かす会 和歌山
共催 原発を止めよう和歌山市民の会
入場無料・予約不要
連絡先 090-5465-3105(西郷)
 
2016年10月29日(土)16:00~(プラザホープ4Fホール)
和歌山県保険医協会 第39回定期総会 記念講演
「テレビが伝えない憲法のはなし」今起きていることを、憲法学者はどのように捉えるか
講師 木村草太氏(首都大学東京 都市教養学部法学系 教授)
主催 和歌山県保険医協会
参加費無料
連絡先 073-436-3766(和歌山県保険医協会)
 
2016年11月3日(木・祝)14:00~(和歌山市河北コミセン2F多目的ホール
「第13回 憲法フェスタ 9条をまんなかに~えがこう平和への道~」
第1部 親子バンド「クロウフィールド」ライブ
第2部 憲法漫談「これがアベさんの本音だ」
      演者 コバヤンこと小林康二氏(お笑い集団「笑工房」代表)
※午前中から「映像の部屋」「展示の部屋」「リサイクルひろば」「ヒロシマナガサキ 原爆と人間」写真展など多彩な企画を用意します。
チラシ 
主催 守ろう9条 紀の川 市民の会
入場無料・予約不要
連絡先 073-462-0539(原)
 
2016年11月9日(水)
第29回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
正午 和歌山市役所前集合
12:20 スタート(約15分の行程で京橋プロムナードまで)
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 
2016年11月12日(土)午後(和歌山市河西コミセン)
前田佳世コンサート
続報をお待ちください。
 
2016年12月8日(木)
第30回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
正午 和歌山市役所前集合
12:20 スタート(約15分の行程で京橋プロムナードまで)
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 
 この秋は、おそらく和歌山初登場と思われる長谷部恭男教授(早稲田大学)と木村草太教授(首都大学東京)という憲法学界のビッグネーム(主に、長谷部先生は学界での業績により、木村先生はマスメディアでの活躍により、という趣旨ですが)が相次いで講演されます。ちなみに、「憲法を生かす会 和歌山」から頼まれて気安く講演を引き受けた私としては、よもや長谷部先生と木村先生の講演会にはさまれた日程で講演しなければならなくなるとは夢にも思っていませんでした。やれやれ。

映画『ザ・思いやり』チラシ 

放送予告9/3『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』(ETV特集)~歴史修正主義に惑わされないために

報道 社会
 今晩(2016年8月25日)配信した「メルマガ金原No.2549」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告9/3『関東大震災朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』(ETV特集)~歴史修正主義に惑わされないために

 2011年3月28日の創刊以来続けてきた「メルマガ毎日配信」の記録は、今年6月22日公示、7月10日投開票の第24回参議院議員通常選挙期間中、野党統一候補であるゆら登信さんを応援する(つまり「選挙運動」となる)記事を書くため、途絶えることを余儀なくされました。3年前の参院選から、インターネット選挙運動は自由になったものの、電子メールによる選挙運動は一定の場合を除いて禁止されているため、選挙期間中に選挙運動にあたる記事を書く時は、メルマガはお休みし、ブログだけ更新するということにしたためです。
 
 そして、7月11日以降、メルマガを「毎日配信」し、直ちにそれをブログに転載して「毎日更新」する従来のペースに戻ったのですが、いささか戻りきらないことがあります。それは、端的に言って、自分の意見を前面に押し出したメルマガ(ブログ)を書こうという意欲の減退です。
 選挙が終わってからというもの、行事案内、番組放送予告、動画紹介、本の紹介などが従来にもまして目立つようになったとお感じの方もおられるでしょう。その他、追悼文も2本書きましたけど。
 選挙が終わってから既に1ヶ月半が経過しましたが、直後に書いた「投票日当日の自民党などによる新聞広告は憲法改正国民投票運動の前触れか?」(2016年7月11日)は別として、それなりに時間をかけて書いたものはあっても、自分の意見を強く打ち出した記事はほとんど書いていませんからね。
 
 もちろん、私がメルマガ(ブログ)で取り上げた報道番組、講演会、本、動画などは、「取り上げて皆さんに紹介する価値がある」という「私の意見」に基づいて選択しているのですから、間接的には意見の発表をしているようなものですけど。
 はたして、単なる「応援演説疲れ」によるペースの乱れが収まりきっていないだけか、それとも意識の変化によるものか、我ながら判断に迷うところです。

 実際、「天皇生前退位問題」など、資料集めのための記事は2本書きましたが、以前であれば絶対に書いたであろう「自分の意見」は、いまだに書けておらず、いつ書けるという見通しも立ちません。
 ・・・というような、愚痴ともボヤキともつかない述懐はこれ位にしておきます。
 
 今日も来週末に放送されるドキュメンタリー番組のご紹介です。
 
NHK Eテレ 
本放送 2016年9月3日(土)午後11時00分~午前0時00分
再放送 2016年9月10日(土)午前0時00分~1時00分(金曜深夜)
ETV特集『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』
(番組案内から引用開始)
1923年の関東大震災。混乱のなか流言が広がり、多くの朝鮮人が殺害された。悲劇はなぜ起きたのか。中央防災会議は2009年に国の機関として初めて事件を分析、報告書にまとめた。それによると軍や警察、新聞も一時は流言の伝達に関与していた。また裁判記録の研究が進み、自警団などが殺害に至った経緯も明らかになってきた。番組では、司法省の一次資料や民間の聞き取り調査などをもとに事件の社会的背景を探っていく。
(引用終わり)
 
 上でも引用されている中央防災会議の報告書は、インターネットでも公開されています。
 
内閣府 防災情報のページ
災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成20年3月
1923 関東大震災【第2編】

(抜粋引用開始)
はじめに
 1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災は、首都圏に死者10万人、住居焼失者200万人を超える日本の地震災害史上最大の被害をもたらした。地震によって発生した火災が被害を拡大し、広い範囲での交通機関、上水道、電力、通信、橋梁など社会資本の機能喪失が人々の生活を脅かし、流言による殺傷事件も生じるなど、今なお関東大震災以外に参照すべき事例がない事象も多く、災害教訓として重要である。本編では、震災発生直後の人々の対応を扱う。
第1章 消防と医療
第2章 国の対応
第3章 地域の対応
第4章 混乱による被害の拡大
 関東大震災時には横浜などで略奪事件が生じたほか、朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた。流言は地震前の新聞報道をはじめとする住民の予備知識や断片的に得られる情報を背景に、流言現象に一般的に見られる「意味づけの暴走」として生じた。3日までは軍隊や警察も流言に巻き込まれ、また増幅した。
 
第1節 流言蜚語と都市
 第2節 殺傷事件の発生
 コラム6 「天災日記」に見る流言蜚語と戒厳令
 コラム7 「河井清方日記」に見る余震と流言
 コラム8 殺傷事件の検証
第5章 関東大震災の応急対応における教訓
(引用終わり)
 
 このような調査結果や多くの証拠に目もくれず、「朝鮮人虐殺などなかった」と主張する歴史修正主義者はいるもので、特にネットの世界では大きな顔をして跋扈していると言っても過言ではありません。
 とりあえず、そのようなトンデモ主張に対する反論を整理したサイトを1つだけご紹介しておきます。
 
 
 なお、上記サイトでもリンクされていますが、2003年8月、日弁連関東大震災に関わる人権救済申立事件について、国に「勧告」を行う前提となった「関東大震災人権救済申立事件調査報告書」を読むことができます。ただし、日弁連サイトではなく、調査に関わった一弁護士のサイトに掲載されたもののようです(梓澤和幸弁護士だと思いますが)。特に、自警団による虐殺については、
 本庄事件判決(浦和地方裁判所1923年11月26日判決)
 神保原事件判決(浦和地方裁判所1923年11月26日判決)
 寄居事件判決(浦和地方裁判所1923年11月26日判決)
 熊谷事件判決(浦和地方裁判所1923年11月26日判決)
 片柳事件判決(浦和地方裁判所1923年11月26日判決)
 藤岡事件判決(前橋地方裁判所1923年11月14日判決)
などの裁判記録が資料として駆使されたようで、判決文の「罪トナルヘキ事実」の一部が報告書に引用されています。一例をあげれば、
「当時極度に昂奮せる群衆は同署(注:本庄警察署)構内に殺到し来りて約三千人に達し同夜中(注:9月4日夜)より翌五日午前中に亘り右鮮人に対して暴行を加え騒擾中
一、被告Aは同日四日同署構内に於て殺意の下に仕込杖(証拠略)を使用し他の群衆と相協力して犯意継続の上鮮人三名を殺害し
一、被告Bは同日殺意の下に同署構内にて鮮人を殺して了えと絶叫し長槍(証拠略)を使用し他の群衆と協力して犯意を継続の上鮮人四五名を殺害し
一、被告Cは同月五目同所に於て殺意の下に金熊手を使用し他の群衆と相協力して鮮人一名を殺害し
一、被告Dは同月四日同演武場に於て殺意の下に木刀を使用し他の群衆と相協力して犯意を継続の上鮮人三名を殺害し尚同署事務所に居りたる鮮人一名を引出し群衆中に放出して殺害せしめ (以下略)」(本庄事件)
などという事実が生々しく描写されています。しかも、これは証拠に基づいて裁判所が認定した事実です。
 
 このような歴史に背を向けた「未来志向」などあり得ないということを、多くの日本人の共通認識にしなければと切に思います。

沖縄県東村高江での機動隊による取材妨害に対する地元2紙の見解を読む

報道 人権
 今晩(2016年8月24日)配信した「メルマガ金原No.2548」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
沖縄県東村高江での機動隊による取材妨害に対する地元2紙の見解を読む

 去る2016年8月20日(土)、沖縄県東村高江での米軍ヘリパッド建設に抗議する市民を取材していた地元2紙(沖縄タイムス琉球新報)の記者が、市民と共に機動隊車両の間に閉じ込められ、一定時間、現場の取材ができないという「事件」が発生しました。 高江では、連日様々な事件が生じていますが、権力が、むき出しの暴力を報道機関にまで及ぼしてきたという事態は、1つの階梯を上がってしまった徴表として、記録にとどめる必要があるだろうと思い、やや遅ればせながらではありますが、沖縄地元2紙の報道・声明・社説などを引用したいと思います。
 本来、メディアのまとまった記事や社説を引用する場合、全文を転載することは遠慮すべきなのでしょうが、本件については、事案の性質上、沖縄タイムス琉球新報の両社から、著作権に基づく削除要請がなされることはないだろうと判断し、「事件」を報じた記事と社説、並びに抗議声明の全文を紹介させていただくことにしました。
 もちろん、両社から削除要請があれば、直ちに応じるつもりです。
 
 まずは、「事件」を報じた両社の記事を引用します。
 
琉球新報 2016年8月21日 05:04
機動隊が記者排除し閉じ込め 東村高江 弁護士「報道の自由侵害」

(引用開始)
 【ヘリパッド取材班】東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設をめぐり、東村高江で抗議活動をする人たちを県道上で取材していた本紙記者が20日午前、機動隊に強制排除され、約15分間、隊員による人垣と車両の間に閉じ込められた。この間、工事車両の資材搬入などの現場に近づくことができず、取材機会が奪われた。沖縄タイムスの記者も同様に排除され、一時閉じ込められた。弁護士らは報道の自由の侵害と問題視している。
 朝から抗議行動をしていた市民ら約50人は、東村高江のN1地区ゲート前から南下し、工事車両の搬入を止めようと県道70号の高江橋の上に座り込んだ。午前10時25分、南側から約30人の機動隊員が近づき、座り込む人たちの腕や体をつかんで強制的に排除した。
 排除される際、本紙記者は機動隊員に腕章を示した上で「琉球新報だ」と訴えたが、解放されず、その後、閉じ込められた。現場にいた小口幸人弁護士は「記者排除は大問題だ。国家権力が、強制力を持って市民を排除する場から記者を排除して、報道させないのは、報道の自由の根幹部分の侵害だ。絶対に許してはいけない行為だ」とした。
 座り込みを排除した後、砂利を積んだ工事車両10台が警察車両に守られながら、ゲート内へ入っていった。
強く抗議する
 普久原均琉球新報編集局長の話 本紙記者は琉球新報の腕章を身に着け、住民の抗議行動を記録するための正当な取材をしていた。現場には県民に伝えるべきことがあった。警察の妨害によって、その手段が奪われたことは大問題だ。警察官が記者を強制的に排除し、行動を制限した行為は報道の自由を侵害するもので、強く抗議する。
(引用終わり)
 
 琉球新報は、同紙記者が強制排除される模様を撮影した動画も公開しています。
 
機動隊が記者排除し閉じ込め 東村高江(1分09秒)
 

沖縄タイムス+プラス 2016年8月21日 14:28
沖縄タイムス記者も拘束 高江で取材中、機動隊聞き入れず

(引用開始)
 20日、沖縄県東村の高江橋で機動隊が市民らを排除する様子を取材していた本紙記者ら報道関係者も拘束され、バスとバスの間に押し込められた。「記者である」ことを訴えたが最終的に聞き入れられず、取材活動を制限された。
 本紙記者は午前10時26分すぎ、排除の様子を取材していたところ、機動隊4人に囲まれた。背中を強く押されながらバスとバスの間に連れて行かれ、すでに拘束されていた市民ら15人と一緒に押し込められた。
 県警に「取材中である」ことを訴えると、一度は解放された。だが午前10時41分すぎ、別の機動隊に再び拘束され、バスとバスの間で身動きが取れず、取材活動を制限された。他社の記者も同じく拘束された。
 小口幸人弁護士は、記者の拘束について「主権者が知るべきことを報道する権利を侵害する行為で許されない」と話した。交通を妨げるなど、排除される理由がなかった中での拘束に「法律に基づいた行動だとは思えない」と述べた。
 沖縄平和運動センターの山城博治議長は「マスコミを萎縮させることにつながりかねない行為で、あり得ない」と語気を強めた。
 県警警備2課は、バスとバスの間に市民や記者を拘束したことについて「危険防止や安全確保のため。取材を規制する目的ではない」と答えた。
(引用終わり)
 
 なお、沖縄タイムスも、正式な抗議声明を発表しています。
 
沖縄タイムス+プラス 2016年8月23日 20:31
記者排除は「報道の自由を侵害」 沖縄タイムス社が抗議声明

(引用開始)
 
沖縄県東村高江周辺のヘリパッド建設に反対する市民らを取材中の沖縄タイムス琉球新報の記者が20日、機動隊に強制排除されたことを受け、沖縄タイムス社は23日、石川達也編集局長名で「報道の自由を侵害するものであり、断じて許すことはできない」とする声明を発表した。声明は次の通り。
 沖縄タイムスの社員証を見せ、記者であることを訴えたにもかかわらず、2度にわたって拘束状態に置かれ、計30分程度取材活動が制限された事に強く抗議する。本紙記者は市民らの抗議活動を通常通りに取材し、県民の知る権利に応えようとしていたもので、こうした警察権力による妨害は、憲法で保障された報道の自由を侵害するものであり、断じて許すことはできない。
(引用終わり)
 
 最後に、両紙の社説をご紹介します。
 
琉球新報 2016年8月22日 06:02
<社説>高江で記者排除 報道の自由侵害を許さない

(引用開始)
 思想・信条の自由に基づいた市民の抗議行動を国家権力が容赦なく組み敷く。今、そんな現場は国内で沖縄の名護市辺野古と東村高江をおいて、ほかにない。
 この国の民主主義の成熟度が鋭く問われる現場を歴史に刻むことは報道機関の責務だが、機動隊を投入した強権的な警備は、取材中の記者の排除、拘束に行き着いた。
 民主主義の根幹を支える報道の自由を侵害する行為であり、強く抗議する。
 米軍北部訓練場の新ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設に抗議する市民を取材していた県内2紙の記者が、市民と共に機動隊車両の間に閉じ込められた。
 機動隊は20日午前、資材を搬入する工事車両を止めようと、県道70号の高江橋の上に座り込んだ市民約50人の排除を始めた。
 排除の模様を撮影していた本紙記者は機動隊員に2度も両腕をつかまれ、背中を押されて約40メートルも移動させられた。2度目は車両の間に押し込められた。約15分間の不当な拘束により、記者は市民排除の様子を取材できなかった。
 県警は「安全確保のため。記者とは明確に分からなかった」と釈明しているが、琉球新報の腕章をして記者と名乗り続け、あらがう記者が力ずくで排除された事実は動かない。明確な意図に基づく取材妨害があったことは間違いない。
 新基地建設現場の辺野古でも、市民と、機動隊や海保とのせめぎ合いが続く。大浦湾の海域で2015年1月に起きた「馬乗り」問題は、報道によって過剰な警備の真相が照らし出された例だ。
 海上保安官が船上で撮影中の女性映画監督に馬乗りになった。本紙が連続写真を掲載して検証したことで、「馬乗り」を否定していた海上保安庁は「体全体を使って(女性が)転落しないようにした」と説明を一転させた。報じられなければ、海保は「知らぬ存ぜぬ」を貫いていただろう。
 国連は4月に日本の表現の自由に関する暫定調査結果を出し、安倍政権が新基地建設に抵抗する市民に対して「過度な権力を行使している」と警鐘を鳴らした。国際基準に照らせば、過剰な警備は明らかに人権を侵害しているのである。
 行き過ぎた権力行使に歯止めをかけるには、現場に身を置いた取材が不可欠だ。記者の拘束は、民主主義と人権を危機に陥れる。二重、三重の意味で許し難い行為だ。
(引用終わり)
 
沖縄タイムス+プラス 2016年8月22日 07:00
社説[取材妨害・住民排除]工事止め協議の場作れ

(引用開始)
 
この工事は一体全体、誰のための、何を目的にした工事なのか。
 違法性の疑いのある検問が現場の県道で実施され、事前協議もなしに勝手に立木が伐採された。機動隊による力ずくの警備によって住民は強制排除され、長時間の道路封鎖によって地元住民の日常生活にも支障が生じた。
 20日には、記者も抗議行動中の市民とともに一時的に拘束状態に置かれ、取材活動を妨げられた。
 米軍北部訓練場でのヘリパッド建設工事が進む東村高江。ヘリパッド建設に反対する住民ら約30人はこの日朝、工事車両の搬入を止めようと県道70号にかかる高江橋の上に座り込んだ。
 機動隊は、座り込む市民らを抱え上げ、強制的に場所を移動させた。その上で、抗議する市民を機動隊の車両と車両の間に押し込め、隊員が人垣を作って身動きの取れない状態にした。市民らはおよそ30分にわたって道路脇に閉じ込められた。
 度を越した拘束であり、市民の権利をないがしろにする警備と言うほかない。
 沖縄タイムスの記者は、県警の腕章をつけた隊員に社員証を提示し、取材中なので出してもらいたい、と申し入れた。いったん拘束を解かれたものの、しばらくして別の機動隊員が近寄ってきて別の場所に押し込められたと言う。
 琉球新報の記者も腕章を示して取材記者だということをアピールしたが、正当な取材活動を妨害され、工事車両の資材搬入の現場に近づくことができなかった。
■    ■
 この状況は1950年代の島ぐるみ闘争を思い出させる。米軍の強制的な土地接収と、軍用地料の一括払いや新規土地接収に反対して行政・議会・地主・住民が立ち上がった、あの島ぐるみの闘いである。
 北部訓練場やキャンプ・シュワブは、本土に駐留していた海兵隊を沖縄に移駐させるため、あのとき建設されたものだ。本土の負担軽減が進んだ半面、沖縄は「基地の島」として過大な基地負担を背負わされることになった。
 日米特別行動委員会(SACO)は基地の整理・統合・縮小計画に合意した。だが、ほとんどが県内移設で、北部訓練場の過半約3987ヘクタールの返還は、SACOの返還合意面積を大きく見せるための措置だった。
 米軍は不要な部分を返還する見返りに、6カ所のヘリパッドの移設と、海への出入りを確保するための土地と水域の追加提供を勝ち取った。
■    ■
 半世紀以上も前に建設された沖縄最大の基地の不要部分を返還し、日本の予算によって新たな機能を備えた訓練基地としてリニューアルし、恒久使用する。それが米軍の狙いだ。
 一方、ヘリパッドが高江の集落を取り囲むように移設され、オスプレイの訓練に使用されることは、高江の住民にとっては生活破壊を伴う大きな負担増となる。
 政府が過半返還を強調するのは高江の暮らしや豊かな自然環境への破壊的影響を無視した一方的な主張である。
(引用終わり)

開催予告9/29憲法学習会(講師:俵義文氏)「日本会議のすべて~安倍政権を支える草の根「改憲」のうごき~」

憲法 講演
 今晩(2016年8月23日)配信した「メルマガ金原No.2547」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
開催予告9/29憲法学習会(講師:俵義文氏)「日本会議のすべて~安倍政権を支える草の根「改憲」のうごき~」

 「和歌山憲法会議」(憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議)と「県民の会」(憲法九条を守るわかやま県民の会)共催の憲法学習会を主催者からお知らせいただきましたので、本メルマガ(ブログ)でもご案内することにします。
 まずは、チラシ記載情報を転記します。

(引用開始)
憲法学習会
日本会議のすべて(仮題)
~安倍政権を支える草の根「改憲」のうごき~

講師 俵 義文 氏(子どもと教科書全国ネット21 事務局長)

と き 2016年9月29日(木)18:00~19:20
ところ 和歌山勤労福祉会館プラザホープ2F多目的室

     (当初、会場を高校会館とご案内しましたが、変更致しました)
主催 
 憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議
  (高校会館内)073-432-6355
 憲法九条を守るわかやま県民の会
  (県地評内)073-436-3520
*当日は、19:30から憲法会議2016年度総会を同じ会場で開催いたします。
(引用終わり)
 
 ご存知のとおり、出版界には、ちょっとした「日本会議」関連本出版ブームが到来しており、どれを読むべきか、正直判断に迷います。
 今年の5月から7月にかけて発売されたものをざっと挙げてみましょう(版元の内容紹介文を引用しま
した)。
 
2016年5月6日発売
『日本会議の研究』(扶桑社新書) 菅野 完 著
日本会議の研究 (扶桑社新書)
菅野 完
扶桑社
2016-04-30

「安倍政権の背後にいるとされる保守系団体、「日本会議」の真実
安倍政権における閣僚のほとんどが所属している「日本会議」。「日本会議」は誰のために何をなそうと
しているのか?日本改憲勢力の真実の姿とは?」
 
2016年5月18日発売
『日本会議とは何か 「憲法改正」に突き進むカルト集団』(合同ブックレット) 上杉 聰 著

「本書は、安倍政権が頼りにする日本会議との関係を実態に即して紹介する。「憲法改正」を切り口に、
彼らがめざす社会とはいったいどんな社会なのか、その論理、手法、政権との関係はいったいどうなっているのか、彼らの計画を可視化する。」
 
2016年6月17日発売
『日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態』(花伝社) 俵 義文 著

「安倍政権を支える極右組織
彼らは何者なのか
何をやってきたのか
何を目指しているのか──
かねてより警鐘を打ち鳴らしてきた
日本会議研究の第一人者による詳細な報告
日本会議系議員名簿、
役員名簿、活動年表も掲載!」
 
2016年6月28日発売
『日本会議と神社本庁』(金曜日) 『週刊金曜日』成澤宗男 編著

ナショナリズムと宗教が結びつき「壊憲」を目指す右派組織
 1997年に設立された日本会議は、神社本庁といくつかの宗教団体が中核をなす、現在最も行動的な
右派団体だ。
 また関連組織の日本会議国会議員懇談会には、安倍首相をはじめ約280人の国会議員が加わっており
、閣僚の大半が名を連ねる。
 本書は日本会議神社本庁の活動を歴史的に追い、徹底「解剖」を目指した。両団体の素顔を暴くことが、この国の民主主義や立憲主義を守るための喫緊の課題と考えたからである。資料として日本会議国会議員リスト(日本会議国会議員懇談会名簿)を掲載。」
 
2016年7月8日発売
『日本会議の正体』(平凡社新書) 青木 理 著

「安倍政権とも密接な関係をもち、憲法改正などを掲げて政治運動を展開する、日本最大の草の根右派組
織「日本会議」。虚実入り混じって伝えられる、その正体とは。関係者の証言を軸に、その成り立ちと足跡、活動の現状、今後の行方を余すことなく描く。 反骨のジャーナリストがその実像を炙り出す、決定版ルポルタージュ。」
 
2016年7月15日発売
『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社新書) 山崎雅弘 著

「安倍政権と日本会議は、なぜ「日本国憲法」を憎むのか。
 欧米メディアが「日本最大の右翼組織」と報じる日本会議。安倍政権の閣僚の半数以上が日本会議と直
接的に?がる議員団体に属するなか、日本の大手新聞・テレビは両者の関連性をほぼ報じてこなかった。
 本書では日本会議の“肉体”(人脈・組織)と“精神”(戦前戦中を手本とする価値観)、教育や靖国をめぐるその“運動”を詳説し、日本会議と安倍政権が改憲へと傾倒する動機が、かつて日本を戦争に導いた国家神道を拠り所とする戦前回帰への道筋にあることを指摘。気鋭の歴史研究家が日本会議を近視眼的な“点”ではなく、史実をふまえた“線”としての文脈から読み解く、同組織の核心に触れるための必読書である。」
 
 著者や出版社が示し合わせた訳でもないでしょうに、気を揃えて同じ時期に刊行されたため、非常に目立つことになりました。
 ただ、その中でも、9月29日に和歌山で講演される俵義文氏は、版元の紹介文によれば、「かねてよ
り警鐘を打ち鳴らしてきた日本会議研究の第一人者」ということです。
 講演会のサブタイトルを「安倍政権を支える草の根「改憲」のうごき」とした主催者の問題意識に共感
される方は、是非足をお運びいただければと思います。
 
 なお、以下は、本講演会の開催を知ったことを契機として連想した私自身の独り言と、それに関連する私が過去に書いたブログの紹介です。
 
◎「日本会議」の読み方ですが、「ニホンカイギ」と「ニッポンカイギ」のどちらが正しいか知っていますか?正解は「ニッポンカイギ」です・・・だと思います。
根拠1 昨年の9月12日に和歌山県田辺市で開催された「安保法案だよ全員集合!」というイベントに、私は、前田佳世さんとともに、安保法案に反対する立場で出演したのですが、その際、賛成派として登壇されたお2人が「日本会議紀南支部」の役員(支部長と事務局次長)であり、そのお2人とも「ニッポンカイギ」と発音されていました。
 そのイベントの模様は、『祝福(いのり)の海』の東条雅之監督が撮影してYouTubeにアップしてくださ
っていますので、是非ご覧ください。
安保法案だよ全員集合 2015.9.12(2時間02分)

 また、そこで私が「話すつもりだったこと」をブログに掲載しています。
2015年9月12日
「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと

※余談ながら、日本会議の方といっても、別に鬼でもなければ蛇でもなく、支部役員を務めるほどの方はちゃんと礼節を弁えておられました。その主張にはとても同意できませんでしたけどね。
根拠2 「日本会議」の公式WEBサイトのURLが「
http://www.nipponkaigi.org/ 」です。 

◎2014年9月26日、和歌山県議会は、日本会議和歌山(角荘三会長)からの請願を自民党などの賛成多数で採択の上、「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」を議決しました。その間の一連の動きを報じた私のブログは以下のとおりです。特に、日本会議による地方から改憲の声をあげる国民運動について触れた9月27日の記事は是非お読みいただきたいと思います。
2014年9月18日
日本会議→自民党→県議会→「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」議決?(和歌山県議会の動き
2014年9月24日 
法律家等4団体が和歌山県議会議長・各会派に共同申入書を送付(憲法改正促進意見書採択を阻止するために)
2014年9月25日 
日本会議&自民党による改憲促進「意見書」運動を取り上げた朝日新聞のすぐれた調査報道(8/1)に遅ればせながら注目した
2014年9月26日
馬場潔子さんのレポートで読む和歌山県議会が県政史に汚点を残した1日 
2014年9月27日
地方議会の「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」は憲法尊重擁護義務に違反する

 
◎地方での「草の根「改憲」のうごき」は、必ずしも「日本会議」を名乗ってやってくるとは限りません。近くは、今年の5月29日に和歌山市で開催された「日本の未来を語ろう!憲法講演会」など、実態は、「日本会議和歌山」でも「日本会議和歌山女性の会」でも良かったと思いますが、形式的には「憲法おしゃべりカフェ実行委員会」の主催となっていました。ただ、実行委員会の住所が「和歌山県神社庁内」となっていましたので、見る者が見れば正体は明らかですけれど。この講演会について書いた私のブログは以下のとおりですが、特に、私の知人Aさんがわざわざ聴講して書いてくださった「参加記」(後者に収録)が貴重です。
「日本会議のすべて(俵義文氏)」チラシ 

日本弁護士連合会「原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書」(2016年8月18日)を読む

原発 声明
 今晩(2016年8月22日)配信した「メルマガ金原No.2546」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本弁護士連合会「原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書」(2016年8月18日)を読む

 去る2016年8月18日、日本弁護士連合会は、「原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書」を取りまとめ、翌8月19日に内閣総理大臣経済産業大臣文部科学大臣原子力委員会委員長、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会長に提出しました。
 PDFファイルで全7ページなので、以下にその全文を引用することとします。
 「原子力損害の賠償に関する法律」の条文については、日弁連意見書で言及されている条項のみ引用し、その他の法令については、総務省法令データベースへのリンクにとどめます。
 また、原子力損害賠償制度の見直しを議論している原子力委員会・原子力損害賠償制度専門部会の議事録及び会議資料については、同委員会ホームページの該当箇所にリンクしておきましたのでご参照ください。
 
(関連法令等)
原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年六月十七日法律第百四十七号)
(目的)
第一条
 この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。
(無過失責任、責任の集中等)
第三条
 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に書面による特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
第四条 前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。
2 前条第一項の場合において、第七条の二第二項に規定する損害賠償措置を講じて本邦の水域に外国原子力船を立ち入らせる原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額は、同項に規定する額までとする。
3 原子炉の運転等により生じた原子力損害については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第七百九十八条第一項 、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)及び製造物責任法(平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。
(損害賠償措置を講ずべき義務)
第六条
 原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。
(損害賠償措置の内容)
第七条
 損害賠償措置は、次条の規定の適用がある場合を除き、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり若しくは一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして文部科学大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて文部科学大臣の承認を受けたものとする。
2 文部科学大臣は、原子力事業者が第三条の規定により原子力損害を賠償したことにより原子力損害の賠償に充てるべき金額が賠償措置額未満となつた場合において、原子力損害の賠償の履行を確保するため必要があると認めるときは、当該原子力事業者に対し、期限を指定し、これを賠償措置額にすることを命ずることができる。
3 前項に規定する場合においては、同項の規定による命令がなされるまでの間(同項の規定による命令がなされた場合においては、当該命令により指定された期限までの間)は、前条の規定は、適用しない。
(国の措置)
第十六条
 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2 前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
第十七条 政府は、第三条第一項ただし書の場合又は第七条の二第二項の原子力損害で同項に規定する額をこえると認められるものが生じた場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。
 
 
 
 
 
 

(引用開始)
          原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書
 
                         2016年(平成28年)8月18日
                                日本弁護士連合会
 
第1 意見の趣旨
1 原子力損害の賠償に関する法律の第1条(目的)から「原子力事業の健全な発達に資すること」を削除すべきである。
2 原子力事業者の無過失無限賠償責任はこれを維持し,有限責任に変更すべきではない。また,原子炉等の製造業者に対する製造物責任法の適用を除外した第4条第3項は廃止すべきである。
3 原子力事業者による損害賠償の実施に困難がある場合においては,原子力損害の賠償に関する法律第16条(国の措置)において,国は,原子力事故の収束,被害者に対する損害賠償の立替払等,緊急の対応を行うことができること,及びこれらにかかる費用を原子力事業者に求償することができることを明記すべきである。
4 原子力事故による損害賠償額が原子力事業者の支払い能力を超える場合において,原子力損害賠償・廃炉等支援機構法を活用するほか,原子力事業者の法的整理を必要とする場合に備えて,原子力事故被害者の損害の完全・優先弁済,原子力事故の収束・廃炉にかかる作業の確保等を含む新たな制度を整備すべきである。
 
第2 意見の理由
1 原子力損害賠償制度見直し議論の経緯と基本的な考え方
(1)福島第一原発事故によって広範な地域が膨大な放射性物質に汚染され,被害は現在も拡大し続け,被害額は既に13兆円を超え,健康被害の発生・拡大も懸念されている。ひとたび事故が発生した場合,その損害が莫大なものになること,被害者には予防可能性がないことが,原発事故の本質である。
 1961年に制定された原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)は,原子力事業者の無過失・無限責任(第3条第1項本文),原子力事業者への責任集中原則(第4条第1項),保険契約の締結義務(第6条以下,ただし1200億円にとどまる。),政府の援助(第16条第1項)及び異常に巨大な天災による場合の原子力事業者の免責と政府の措置(第17条)の4点を特色としている。福島第一原発事故の損害賠償は,原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下「支援機構法」という。)が制定され,東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が無過失・無限責任を負い,政府が東京電力に融資を行うという枠組みで実施されている。
(2)支援機構法に定められた附則第6条に基づき,原子力損害賠償制度の見直しに関して,2015年5月21日,原子力委員会に原子力損害賠償制度専門部会(以下「専門部会」という。)が設置され,これまで合計11回の会合が重ねられている。
 これまでの審議において,原子力損害賠償制度の基本的枠組について,被害者に対する適切な賠償と国民負担の最小化の観点から,原子力事業者の無過失責任が維持されるべきであること,迅速かつ適切な被害者救済をはかるために,福島第一原発事故による損害賠償の経験を踏まえて,ADR手続や仮払いなどを制度化することなどが示されている。当連合会も,「基本的人権の擁護」の観点から,こうした被害者に対する迅速かつ適切な賠償とそれを実現するための制度の拡充をはかることには賛成である。
 他方,原賠法第1条の目的規定における「原子力事業の健全な発達」の維持及び,原子力事業者の責任を一定限度に制限し,それを超える損害については国が負担すべきであるとする,いわゆる原子力事業者の有限責任論が,一部の委員から主張され,争点となっている。原子力メーカー等の製造物責任を排除する責任集中原則(第4条)の見直しを企図した議論はみられない。
 有限責任の論拠に,原子力事業の維持継続が国策であることが挙げられているが,国は原子力事業者に危険を発生することまで容認して事業の維持継続を推奨しているわけではない。また,2014年に閣議決定されたエネルギー基本計画で原子力を重要なベースロード電源と位置付けたものの,電源構成における原発依存度については,政策の方向性として「可能な限り低減させる」とされており,国民世論も多数が原子力からの脱却を求め,再稼働にも反対している。原発の利用を止めていく方向であれば,原子力損害賠償制度の在り方の議論は根本的に異なってくる。当連合会は,かねてより,できる限り速やかに,全ての原発を廃止することを求めてきたところであるが,原子力損害賠償制度の見直しの議論を通じて,あらためて原発を維持することについても見直すべきであると考える。
 その上で,これまでの専門部会での議論における主要な論点について,以下に当連合会の考え方を述べる。
 
2 原賠法の目的から「原子力事業の健全な発達」を削除し,「被害者の保護」のみとすべきである。
 原賠法には目的として,「被害者の保護」とあわせて,「原子力事業の健全な発達」が掲げられている。1961年(昭和36年)の法制定時においては,日本の原子力発電事業はまだ立ち上げの黎明期にあり,原子力発電事業を保護・育成して推進するとの当時の政策が反映されたものである。
 しかしながら,制定から半世紀余りを経て,20の原子力発電事業所に計54基の発電用原子力炉が建設され,世界に輸出が企画されている今日にあっては,原子力発電事業は成熟産業というべきである。そもそも,原賠法は原子力事故による損害の賠償に関する法律である。事業の「健全な発達」は事業活動に普遍的課題であり,損害の完全賠償がその前提である。
 しかるに,専門部会における議論の中では,原賠法の目的に,「被害者の保護」と並んで「原子力事業の健全な発達」が掲げられていることが有限責任論の論拠の一つとされている。原賠法の適用場面において「被害者の保護」に欠けることのないよう,「原子力事業者の健全な発達」を削除し,法の目的を,もっぱら「被害者の保護」とすべきである。
 
3 原子力事業者の無過失・無限責任を維持し,原子力機器の製造業者は製造物責任を負うとすべきである。
(1)原子力事故は,一旦,発生すれば,広範な地域に,極めて長期にわたって甚大な被害をもたらすものである。原子力事業者は事故による損害賠償責任を第一義的に負う者であるが,被害者救済を事業者の故意過失の存否にかからしめることは救済を困難にするものであるから,現行原賠法において原子力事業者が無過失責任を負うとされてきたものである。専門部会におけるこれまでの議論においても,原子力事業者の無過失責任を維持することには異論はない。
 他方,原子力事業者の無限賠償責任については,一部の委員から,これを有限責任に変更すべきとする意見が強く出されている。
 しかしながら,そもそも不法行為法制においては賠償責任には限定はない。また,損害賠償制度は被害回復と共に,事故の再発防止の機能をも有している。甚大な損害をもたらした福島第一原発事故を経験した我が国において,これらの観点から,原子力事業者の無限責任を改定すべき事情は全くない。
 原子力事業は事業者の自主的な判断によって行われ,利益を得ているものであり,損失も当該事業者に帰属するのは当然である。原子力事故を起こさないために,原子力事業者が安全の確保に万全を期し,事故防止のための投資を怠らないことが,原子力事業を継続するために必須の要件である。しかし,原子力事業者らが求める賠償責任の有限化とは,過酷事故を招来しても破綻を回避できるよう,賠償責任限度をあらかじめ限定しておくというものである。かかる制度は,事業者の厳格なリスク評価と必要な安全対策への投資を怠らせ,原子力事業者のモラル・ハザードを招くおそれが懸念される。
 この点で,原子力規制委員会による安全規制が行われていることを挙げて,事業者のモラル・ハザードの懸念はないとの指摘もなされているが,原子力規制委員会の現行の安全規制は不十分である上,安全規制の存否・内容が事業者の賠償責任の制限を根拠付けるものではない。一部の委員は,原子力には十分な安全規制をもってしても排除できない「残余のリスク」があるとして,賠償責任を制限すべきであるとも主張する。しかし,仮にそのようなリスクが残存するのであれば,それは賠償責任の制限の要否の問題ではなく,原子力の利用の可否の問題と言わざるを得ない。
 有限責任化を求める主張においても,原子力事業者に故意又は過失がある場合には有限責任制度は適用されないとするものであるが,被害救済を事業者の故意過失に係らしめることは,被害者救済を困難にするものであって,原賠法制定当時から,原子力事故の賠償においてとりえないとされてきたことは既に指摘したところである。
 ところで,一部の委員は,電力自由化の進展によって原子力事業も競争条件下におかれているとして,現行の支援機構法による原子力事業者の一般負担金制度は不合理であると主張する一方で,発災事業者については有限責任化が必要であると主張し,電力自由化の例外として原子力事業者の競争環境から保護を求めている。これは,原子力事業と他の産業との均衡を著しく損なうものであり,原子力事業に対する国民感情とも相いれない。
 また,一部の委員は,長期エネルギー需給見通しにおいて,電源構成における原子力比率を20~22%とするとされたとして,その達成が国際公約であるとさえ述べている。ここにいう長期エネルギー需給
見通しとは,経済産業省の2030年時点についての見通しに過ぎず,国として,原子力をこの水準で長期にわたって維持することが確定しているものでもない。当連合会がかねて指摘してきたように,かかる
原子力比率をこそ見直すべきであり,その維持のために原子力事業者の賠償責任を限定するのは,本末転倒と言わねばならない。
 さらに,専門部会では,原子力事業者の責任限度を超える損害の全てを国に賠償させるとし,いわば国に無限責任を負わせることとすることで,地域住民,国民の信頼感,安心感が増すといった意見も出されている。しかし,これは,被害者への適切な賠償を,国即ち国民の税による負担に委ね,原子力事業者は専ら,事業の維持,輸出を行えるようにするものであって,事業者の責任を国及び国民に転嫁するものに他ならない。
 原子力発電はエネルギー基本計画において重要なベースロード電源として位置付けられたとして,その運営や事業資金の担い手を確保し,原子力事業者の損害賠償額の予見可能性を高め,適正な安全対策投資やリプレース投資によって原子力発電比率を維持し,更に世界に原子力事業を拡大していくために,有限責任化が必要との主張は,まさに,原子力事業の維持継続のためにその原子力事故被害者への賠償責任を制限することが必要と主張するものに他ならない。かかる有限責任論は,原子力事業に対する国民の不信を高めるだけである。
(2)現行法は,責任集中と称して,原子力事業者のみに責任を負わせ,原子力機器の製造業者との間での契約では当該機器の欠陥による製造物責任法の適用を除外している。
 責任集中の制度は,被害者が請求の相手方を容易に知り得ることと,機器の製造業者が安定的に資材を提供できることを目的としたものとされる。しかしながら,機器の欠陥による事故に関する損害の賠償原資として,原子力事業者のみで十分ではなく,機器の欠陥による事故においてもその製造業者は経営破綻リスクを負わないとすることで,その事業者のモラル・ハザードを招く懸念がある。よって,機器の製造業者についても製造物責任法を適用すべきであり,原子力事業者への責任集中を定め,製造物責任法の適用を除外した原賠法第4条第1項及び同第3項の規定を改め,原賠法においても責任を負うとすべきである。
 
4 国の責任
(1)国家賠償法第1条による過失責任
 国は,発電用原子炉施設の設置を許可し(原子炉等規制法第43条の3の6第1項第4号),原子力規制委員会は,同委員会規則で基準を定め,原子炉施設が設置許可基準や技術所
(金原注:「技術上」の誤りか?)
の基準に適合しないと認めるときは,発電用原子炉設置者に対し,当該発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる(同法第43条の3の23)。
 原賠法第3条第1項の責任集中は被害者保護のために認められたものであり,国がこの規制権限を適切に行使しなかったために原子力損害が発生した場合に,国の国家賠償法上の責任を排除するものではないことは言うまでもない。
 国の国家賠償法上の責任と原子力事業者の責任とは競合し,不真正連帯債務関係となる(最判平成16・10・15民集58巻7号1802頁等)。
(2)賠償措置額を超えた場合の原賠法第16条に基づく国の措置について
 原子力事業者は原子力発電事業を行う義務を有しているものではなく,2014年の電気事業法の改正によって,発電事業者も経済産業大臣への届出によって事業を廃止・解散することができることとなった(第27条の29)。かかる事業について,国に規制権限が存することが,その権限不行使による国家賠償法の責任の他に,国が事業者に代わって無過失無限の損害賠償責任を負うことにはなり得ない。
 原子力損害は甚大であり,当該発災原子力事業者の資力では被害弁償を全うできない場合に備えて,事業者に損害賠償措置を講じさせるとともに,損害が措置額を超え,原子力事業者の負担能力を超えると認められる場合には,国は,原賠法第16条において,国家賠償法上の責任が認められない場合であっても,必要な援助を行うものとすると定めている。
 無限責任を負う原子力事業者による損害賠償責任の履行に支障が生じたとき,被害者の損害賠償に欠けることがないよう,これまで少額に過ぎた賠償措置額を十分な措置額に引き上げるべきである。また,法第16条に定める援助の具体化として,国が発災原子力事業者に賠償原資を融資し,東京電力が損害賠償を行う仕組みとして制定された支援機構法の活用に加えて,緊急対応時に,国において被害者保護のために,損害の立替払いを行うことや,事故収束に直接的に関与することができ,原子力事業者にその費用を求償する仕組みを盛り込んでおく必要がある。
 
5 原子力事業者の法的整理について
 大規模な原子力事故が発生した場合,その損害賠償額は莫大になり原子力業者が損害賠償の原資を確保できなくなる事態も生じうる。福島第一原発事故においては,支援機構法によるスキームによって損害賠償が行われているが,同スキームは今後の事故についても概ね妥当する。
 しかしながら,法的整理の適用が排除されるものではなく,その場合の被害者の保護が優先され,原子力事故の収束等の作業に支障が生じないよう,原子力事故を伴う法的手続を整備検討しておく必要がある
(金原注:この一文はさらに修文の必要がある)。
その場合,被害者救済のために原子力事故による損害賠償債権を優先させることが不可欠であり,社債権者等の主要なステークホールダーの債権放棄も必要である。
 また,被害者の早期救済に欠けることがないよう,国による賠償金の仮払い等の救済と事後的な国からの求償の仕組み,事故の収束,除染等の作業を適切に遂行するために必要な対応措置等を盛り込んだ制度とすべきである。
 再建型清算手続においても,原子力事故をもたらし膨大な債務を抱えた事業者を再建するための資金提供者を得ることは困難であるため,国の関与,すなわち税金を用いた資金投入(国の援助)が必要とならざるを得ないが,従来の株主を不当に利しないようにするとともに,国から当該事業者に対する求償権を確保した制度としておくことが必要である。
(引用終わり)
 
 
 一読したところ、私としては、この意見書の大枠には賛同できると思いました。ただ、最後の「5 原子力事業者の法的整理について」は、もっと突っ込めなかったのか?という不満は正直言ってあります。
 支援機構法によるスキームが「今後の事故についても概ね妥当する」と述べる一方で、「法的整理の適用が排除されるものではなく」としており、その相互関係がはなはだ曖昧で、さらに法的整理の中身についても、ようやく「社債権者等の主要なステークホールダーの債権放棄も必要である」という表現は出てくるものの、何だか、おそるおそる(?)という印象です。
 それだけ、原子力委員会・原子力損害賠償制度専門部会での検討状況には厳しいものがあるという日弁連の情勢判断なのでしょうか。
 

(付録)
飯舘村民歌『夢大らかに』 作詞:小林金次郎 作曲:石河清 演奏:河合弘之
 
 
(参考)歌詞・楽譜

響け!歌声 自由のために 歌と映画と憲法と~予告8/28志田陽子教授(武蔵野美術大学・憲法学)がおくる歌と講演(平和を育てる大泉9条の会)

憲法 音楽
 今晩(2016年8月21日)配信した「メルマガ金原No.2545」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
響け!歌声 自由のために 歌と映画と憲法と~予告8/28志田陽子教授(武蔵野美術大学憲法学)がおくる歌と講演(平和を育てる大泉9条の会)

 私のメルマガ(ブログ)では、憲法問題や原発問題を中心として、たびたび講演会などの企画をご案内しますが、多くは私の地元である和歌山県、県外でもせいぜいお隣の大阪までであることが大半です。
 従って、私自身参加もできず、また主催者から広報への協力を依頼された訳でも何でもない、というか、講師や出演者、主催者などの関係者で面識のある人は誰もいない東京でのイベントをご紹介する気になるというのは異例中の異例なのですが・・・と前置きばかり長くなりそうなので、主催者である「平和を育てる大泉9条の会」(東京都練馬区大泉地区にある地域9条の会)のFacebookイベントページとフライヤーから開催概要を引用します。

(引用開始)
★平和を育てる大泉9条の会
響け!歌声 自由のために 
・・・歌と映画と憲法と・・・
 
2016年8月28日(日)
14:00~16:30(13:30開場)
 
歌とお話:志田陽子さん(武蔵野美術大学教授・憲法学)
ピアノ:沼舘千佳子さん
 
会場:練馬区大泉勤労福祉会館集会室
西武池袋線大泉学園駅南口徒歩3分)
資料代:500円
 
 自分の命も、人の命も大切にして、暮らしをつむいでいけることを保障するのが、世界の宝と言われる私たちの憲法です。
 その憲法のエッセンスを、「アメイジング・グレイス」や、「ダニー・ボーイ」といった歌や、映画のお話をまじえながら武蔵野美術大学教授の志田陽子さんに語っていただきます。
 歌にこめられている、「憲法」を編み出してきた人々の知恵と、あきらめずに前を向いてたたかっていく力を今こそ私たちのものにしましょう。
 
★1歳以上未就学児の託児あります!ご希望の方はフライヤー記載の連絡先まで。定員5名。
就学年齢のお子さんは会場後方にスペースを設けます。
 
志田陽子さん
武蔵野美術大学教授、専攻は憲法。博士(法学・早稲田大学)。安保法制違憲訴訟原告。著書に『表現者のための憲法入門』など、編著書に『映画で学ぶ憲法』。
沼舘千佳子さん
国立音楽大学卒業。声楽・器楽・合唱等の伴奏ピアニストとして活躍。クラシックのほかにジャズ・ポピュラー等でもステージに立つ。社会問題をテーマにしたイベントにも企画・運営メンバーとして参加。
 
★連絡先:町田(03-3923-0915)
(引用終わり)
 
 このフライヤーの記載から判断するに、主催者からの挨拶や報告はあるかもしれませんが、それ以外は、ほぼ志田陽子先生1人によるピアノ伴奏就き歌唱(7曲演奏するとご自身のFacebookに書かれていました)と映画を素材とした話題提供と憲法に関する講演が行われるらしいのです。
 「映画と憲法」については、志田先生が第一人者だろうということは、発表された論考などから想像していましたが、その上「歌う憲法学者」でもあったとは!初めて知りました。
 実は、この企画については、憲法学者の中で私の唯一のFacebook「友達」である石埼学先生(龍谷大学法科大学院教授)がタイムラインで志田先生の投稿をシェアされていたので気がついたのですが、石埼先生も「志田陽子先生の「憲法ライブ」。類似の企画っていまだかつて無いのではないでしょうか。」と書かれていましたので、やはり、憲法学者による「歌(ピアノ伴奏付)と映画と憲法のお話」が「本邦初」の試みであることは間違いないでしょう。
 ということで、志田先生とは一面識もない私ですが、私のブログのモットー(憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します。)の趣旨にこれほどぴったりの企画を見逃す訳にはいかないということでご紹介しました。
 【公開投稿】とされた志田先生のFacebookには、「ピアノと歌唱を7曲と、憲法のエッセンス(立憲主義、自由や平等の意味)の話をします。西武池袋線沿線の方でお時間のあるかた、よろしかったら冷やかしに来てやってください。」とありましたが、「西武池袋沿線」に限らず、このブログが目に止まって「是非行きたい!」と思ってくださる方が1人でもいてくださればいいなと思います。
 
 もっとも、私は、たしかに志田陽子先生とは一面識もありませんが、これまで全くご縁がなかった訳でもありません。
 上記フライヤーの紹介文にも記載されていますが、志田先生は、去る4月26日に東京地裁に提訴された2件の安保法制違憲訴訟のうちの、差止請求訴訟の原告のお1人(というかほとんど原告代表のような立場でしょうか)であり、私も名前だけですが、一応弁護団の一員です。
 以下のブログで、訴状の「請求の趣旨」及び「請求の原因」の目次をご紹介するとともに、「安保法制違憲訴訟の会」ホームページに掲載された志田先生による「原告の声」の一部をご紹介しています。また、提訴に先立つ4月20日に行われた総決起集会の動画も同ブログの中でご紹介していますが、その動画の34分~で志田先生のスピーチが視聴できます。
2016年4月27日
安保法制違憲訴訟(4/26東京地裁に提訴)の訴状を読んでみませんか?
 
 また、今年の3月7日、「国立大学の入学式・卒業式等での国旗掲揚・国歌斉唱に関する文部科学大臣の発言の撤回を求める憲法研究者声明」と同月14日に行われた記者会見の模様もブログでご紹介していますが、志田先生は、この声明に名前を連ねるとともに、記者会見にも出席して発言されています(動画の19分~)。
2016年3月15日
「日章旗」「君が代」強制と国立大学~17年前の国会審議と馳浩文部科学大臣に対する憲法研究者の抗議声明
 
 今後、「歌う憲法研究者」という冠が一種のレッテルとして付いて回ってもご迷惑でしょうから、この程度にしておきますが(このブログ自体、レッテル貼りに一役買いそうで申し訳ありませんが)、志田先生の本来の憲法研究者としての業績について、インターネット環境で容易に読めるものも少なくありません。その中から、以下にいくつかご紹介しておきます。
 
(志田陽子教授についての参考サイト)
志田陽子(武蔵野美術大学 専任教員プロフィール集より)
(抜粋引用開始)
研究テーマ:
文化的衝突をめぐる憲法問題。言論および芸術をめぐる憲法問題。
憲法と芸術関連法にまたがる問題として、文化的衝突をめぐる憲法問題、とくに「表現の自由」と多文化社会の問題を扱っている。'00年から'06年までは、アメリカの「文化戦争」と呼ばれる現象に関連する憲法問題を取りあげて理論研究を行った。'07年以後は、「多文化主義」の課題を含めて、多文化社会や差別的文化と憲法理論との関係を研究対象としている。'12年以後は、芸術に関連する憲法問題として、冷戦期の芸術統制の問題と、著作権法憲法の理論的関係を研究対象としている。

(引用終わり)
 
志田陽子(SYNODOSより)
荻上チキ氏責任編集になる電子マガジン「シノドス」にも、何本かの論考を発表しておられます。
 
法学館憲法研究所サイト「今週の一言」より
憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること――『映画で学ぶ憲法』
※同サイトの中の「シネマ・DE・憲法」コーナーでは、志田先生も何本か執筆されています。武蔵野美大専任教員プロフィールに掲載されている執筆リストを眺めていて、私も劇場で観ている映画が1本だけありました。司法修習生時代に友人の修習生に誘われて東京で観た『ミシシッピ・バーニング』です。
 とても持ち重りのする映画だったという印象が残っているのですが、私の記憶違いでなければ(28年も前のことなので相当あやしいですが)、今度の日曜日に志田先生が歌われるという『アメイジング・グレイス』が劇中で歌われるシーンがあったような・・・。
 
 
 

西谷修氏講演「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」を視聴する(「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19.院内集会)

軍事 講演
 今晩(2016年8月20日)配信した「メルマガ金原No.2544」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
西谷修氏講演「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」を視聴する(「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19.院内集会)

 昨日(8月19日)お送りした「トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる」の続編です。
 8月17日に神田神保町東京堂ホールでトークした3人の著者の内、西谷修さん(立教大学特任教授)が、戦争をさせない1000人委員会と立憲フォーラムの招きにより、「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19院内集会に講師として招かれ、「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」と題して講演されました。
 
 UPLANから動画がアップされていますのでご紹介します。西谷修さんの講演は6分~1時間00分の54分間です。
 
20160819 UPLAN 西谷修「戦争とは何だろうか2016年夏に考える」(1時間07分)
 

 時期が時期ですから、西谷さんが先月、ちくまプリマ-新書から出された『戦争とは何だろうか』(私は未読ですが)の内容に沿ったお話であったようです。
 ということで、昨日紹介したばかりですが、この近著の内容を、あらためて出版社のホームページからご紹介しておきます。
 
『戦争とは何だろうか』(筑摩書房)
(引用開始)
この本の内容
軍事力で平和は守られるのか?敵は誰なのか?宗教戦争からテロリストとの戦争まで、戦争の歴史を辿る。日本の戦後が終わり、世界が戦争状態に入ろうとしている今、改めて戦争とは何なのかを考える。
この本の目次
第1章 戦争って何?
第2章 国家間秩序
第3章 国民と国民の戦争
第4章 世界大戦への道
第5章 世界戦争とその顛末
第6章 冷戦後の世界から9.11に至るまで
著者について
西谷 修 ニシタニ オサム
1950年愛知県生まれ。東京大学法学部、東京都立大学大学院、パリ第8大学などで学ぶ。フランス思想、とくにバタイユブランショレヴィナスルジャンドルらを研究。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授等を経て現在立教大学大学院特任教授。著書に『不死のワンダーランド』(増補新版、青土社)、『戦争論』(講談社学術文庫)、『世界史の臨界』(岩波書店)、『理性の探求』(同)など、訳書にブランショ『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫)、レヴィナス『実存から実存者へ』(同)、バタイユ『非‐知』(平凡社ライブラリー)などがある。
(引用終わり)
 
 出版社(筑摩書房)が、この本の「はじめに」の部分を「ためし読み」できるようにしています。その冒頭の部分をご紹介しましょう。
 
ちくまプリマー新書 ためし読み
戦争とは何だろうか? 西谷 修

(抜粋引用開始)
はじめに
戦争の輪郭
 戦争について考える、というのがここでのテーマですが、後に述べるような理由から、今では「戦争」や「平和」という言葉の輪郭がほとんど崩れてしまっています。そこで、まずは戦争というのがどういうことなのかを輪郭づけることから始めましょう。実際に「戦争」という言葉はどう使われているでしょう?あるいは、戦争という言葉でひとは何をイメージしているのでしょう。
 空襲とか、銃撃戦とか、陣取りゲームとか、召集の赤紙とか、いろいろあるでしょう。でも、それは基本的には国と国とが軍隊を動員して戦い合うということですね。要するに、私たちがふつう「戦争」という言葉で思い浮かべるのは、国家間戦争だということです。とはいっても、戦争がいつも国家間戦争だったわけではありません。むしろ、それはいわゆる近代の世界にできた武力抗争の枠組みです。それはどういうもので、いつ頃にできて、どのように展開されて、今はどうなっているかということについては、順次見てゆきましょう。
 ともかく、戦争では、国と国との間に武力衝突が起こって、そのために国民同士が敵味方に別れて戦うことになります。それが通常のかたちですが、グローバル化以降、状況が変わってきています。グローバルな大きな権力(超大国ですが)が軸になって、それがグローバル秩序を守る、あるいは、グローバルな「文明」秩序を押し付けるというかたちで、国家の軍事力が行使されるようになりました。それは国家同士の戦争ではありません。国家が犯罪者とみなした武装集団を相手に戦うもので、これが「テロとの戦争」と呼ばれ、「非対称的」だと特徴づけられています。これは、今までの国家間戦争とは全く違っていて、世界の秩序を変質させるようなものです。
 そこで戦争はどんなふうになったかというと、文字通り軍事力による人間の純然たる殺戮、殲滅行為になりました。「テロリスト」と呼ばれる敵は、敵としての資格もないし、人間として向き合う必要もない、極悪非道で抹消すべき対象でしかないとされます。何か事件が起きたとき、それを「テロ」と決めつけると、もはや問答無用で理由などは問われません。「テロ」は許しがたい、そんなことをする凶暴な輩は、人間の風上にも置けないから、どんな手段を用いてもやっつける。そのために国家が武力を行使するのは「正義の執行だ」というのです。そうして国家がいわば私人を相手に「戦争」をするようになりました。この種の戦争では、「何人殺したか」ということが「戦果」として発表されますが、その意味では戦争は剝き出しの殺戮になったのです。その雛形はすでにイスラエル国家とパレスチナ人との抗争にありました。じつは植民地独立をめぐる戦争も同じ構造をもっていましたが、詳しい説明は後でするとして、現在起こっている戦争というのは大体そういうかたちです。だから、わたしたちがこれから直面するのも、主としてそういう戦争なのです。

核兵器という限界(略)
日本の「戦後」が終わる?(略)
(引用終わり)
 
 どうでしょう。西谷さんの講演を聴き、「はじめに」の冒頭を読んだだけでも、是非この新刊を購入したいと思いませんか?
 

(付録)
『これがボクらの道なのか』『時代は変わる』『遠い世界に』『花をください』『Hard Times Come Again No More』『血まみれの鳩』(「第3回東日本大震災復興支援チャリティコンサート&物産展古都の風にのせてin Zest 御池」より)(30分)
演奏:長野たかし&森川あやこ
 
※来る2016年8月28日(日)午後3時30分~、和歌山市ぶらくり丁の「レモネード・カフェ」に長野たかしさん、森川あやこさんが登場されます(ちょうさんとベースパーティvol.4)。私も行くつもりです。是非ご来場ください。多分、ニューCD『希求』もサイン入りで購入できると思いますよ。

トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる

軍事 平和
 2016年8月19日に配信した「メルマガ金原No.2543」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる

 子どもの頃から本好きであった私は、弁護士になってからもその嗜好は変わらず持ち続けてきたものの、若い頃に比べると、読む時間が圧倒的に少なくなってしまっています。もちろん、時間というのは自分
で「作る」ものですから、努力が足りないということでしょうが。
 ところで、このメルマガ(ブログ)でも時々は本を取り上げますが、その取り上げ方は色々です。
 
【第1パターン 熟読・書評型】
 じっくりとその本を読み込んだ上で、その感想を(書評というのは大げさですが)書くというもので、最近では、以下のような記事がこれに当たります。 
 
【第2パターン とりあえず買ってきた型】
 面白い本、価値のある本だという当たりをつけて、とりあえず買ってきたことをご報告するという、何の役に立つのかやや不分明な記事ですが、もしかすると、これを読んで「自分も買ってみよう」という人がいるかもしれないと思って書いているのですがね。最近ではこういう記事がありました。 
 
【第3パターン できればこれから買おう型】
 とにかく、上記の第2パターンであれば、本を入手はしているので、読もうと思えばいつでも読める訳ですが、この第3パターンは、そもそもまだ入手してもいないのに、メルマガ(ブログ)で紹介しようというのですから、私個人の「欲しいものリスト」を世間に公開するようなもので、いささか「どうかなあ」と思わないではないのですが、言ってみれば、私がよく書くテレビのドキュメンタリー番組の「放送予告」と同じことで、読んで(見て)いないので、中身の保証は出来ないけれど、おそらく「読む(見る)価値があるのではないか」という私の直感をお伝えし、私の感性を少しでも信頼してくれる人に、有益(かもしれない)情報をお届けしようというものです。
 
 前置きが長くなりました。今日ご紹介するのはこの第3パターンであり、最近出版されながら、全然気がついていなかった新書3冊の著者が、東京堂という本屋さんの神田神保町店にある東京堂ホールで開催されたトークショーに出演されたのを機に、その3冊をご紹介というか何というか、出版情報をお伝えしようというものです。
 
 そのトークイベントの概要を、東京堂のホームページから引用します。
 なお、著者紹介については東京堂ホームページから引用しましたが、著書の内容紹介については、各出版社のホームページから引用しました。
 
(引用開始)
いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る
 
 あの夏から七十余年を経たこの夏、奇しくも各出版社から、戦争や武器をテーマにした書が刊行されました。現代を生きる私たちにとって、それは遠い昔、遠い国の話だと感じますが、実際はどうなのでしょうか。著者三人が一堂に会する貴重な機会。ぜひお運びください。
 
日時 8月17日(水)19時開始(開場18時30分)
場所 東京堂ホール 東京堂神田神保町店6階
参加費 500円(要予約)
 
『科学者と戦争』(岩波書店)

 
天文学者 池内 了(いけうち・さとる)氏
 1944年兵庫県生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専攻は、宇宙論・銀河物理
学、科学・技術・社会論。著書に、『疑似科学入門』岩波新書、『科学の考え方・学び方』岩波ジュニア新書、『科学のこれまで、科学のこれから』岩波ブックレット、『大学と科学の岐路──大学の変容、原発事故、軍学共同をめぐって』リーダーズノート出版、『科学・技術と現代社会』みすず書房、『物理学
池内了×宗教学者島薗進 科学・技術の危機 再生のための対話』合同出版、などがある。
(内容紹介)
 本書は、いま日本において急進展しつつある軍(防衛省自衛隊)と学(大学・研究機関)との間の共
同研究(=軍学共同)の実態を描き、今後予想される展開に対して警告を発するために書いたものである。軍学共同と表現すれば、あたかも軍と学が対等な関係のように見えるが、現実に進行しているのは大学等学術機関にある研究者が、軍から支給される研究費欲しさのため軍事研究に手を染めていこうとするものであり、結局のところ学が軍に従属し戦争のための研究に堕していくことは明らかである。(本書「お
わりに」より)
 
『武器輸出と日本企業』(角川書店)

 
東京新聞記者 望月衣塑子(もちづき・いそこ)氏
 1975年東京都生まれ。東京新聞社会部記者。慶応義塾大学法学部卒業後、東京新聞に入社。千葉、神奈
川、埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の報道をスクープし、自民党と医療業界の利権構造の闇を暴く。また09年には足利事件の再審開始決定をスクープする。東京地裁・高裁での裁判担当、経済部記者などを経て、現在は社会部遊軍記者
防衛省の武器輸出政策、軍学共同などをメインに取材している。二児の母。趣味は子どもと遊ぶこと。
(内容紹介)
 「武器輸出三原則」が見直された。防衛省は法令を検討するなど前のめりだが、防衛企業は足踏みのと
ころも多い。技術流出のリスク、見えない敵への恐れ、ビジネスとしての旨み……知られざる現状をレポートする。
 
 哲学者 西谷  修(にしたに・おさむ)氏
 1950年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学フランス文学科修士課程修了。哲学者。現在
立教大学大学院文学研究科特任教授。戦争論、世界史論、クレオール文化などを広く論じている。著書に『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(ちくま学芸文庫)、監修に『自発的隷従論』(ちくま学芸文庫
)ほか。
(内容紹介)
 軍事力で平和は守られるのか?敵は誰なのか?宗教戦争からテロリストとの戦争まで、戦争の歴史を辿る。日本の戦後が終わり、世界が戦争状態に入ろうとしている今、改めて戦争とは何なのかを考える。
 
司会・企画協力 香山リカ
(引用終わり)
 
 このトークイベントの模様はIWJにアーカイブがアップされており、5分のダイジェストがYouTubeで視聴できます。
 
 
 池内了さんと西谷修さんについては、以下にご紹介した私のブログで、それぞれ今回刊行された新著に関連する講演をご紹介していますので、時間があればご覧いただければと思います。
 いずれも廉価な新書なので、全部購入して読みたいという意欲にかられます。皆さんはいかがですか?
 
(付記)
 このトークイベントに参加した方のブログを1つご紹介しておきます。
本屋は燃えているか ブックストアの定点観測 2016-08-18
 
 

(付録)
『これがボクらの道なのか』『時代は変わる』『遠い世界に』『花をください』『Hard Times Come Again No More』『血まみれの鳩』(「第3回東日本大震災復興支援チャリティコンサート&物産展古都の風にのせてin Zest 御池」より)(30分)
演奏:長野たかし&森川あやこ
 
※来る2016年8月28日(日)午後3時30分~、和歌山市ぶらくり丁の「レモネード・カフェ」に長野たかしさん、森川あやこさんが登場されます(ちょうさんとベースパーティvol.4)。私も行くつもりです。是非ご来場ください。多分、ニューCD『希求』もサイン入りで購入できると思いますよ。

クラウドファンディング「福島の子どもたちを沖縄・久米島の保養プロジェクトに招待したい」のご紹介

原発 社会
 今晩(2016年8月18日)配信した「メルマガ金原No.2542」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
クラウドファンディング「福島の子どもたちを沖縄・久米島の保養プロジェクトに招待したい」のご紹

 久しぶりにマコさん、ケンさんの「おしどりポータルサイト」をのぞいてみたところ、トップに大きく掲載されていた記事は、「クラウドファンデング・プロジェクトのお知らせ「球美の里クラウドファンデ
ィング・プロジェクト」7/29開始」というものでした。
 沖縄県久米島に、フォト・ジャーナリストの広河隆一さん(当時は月刊「DAYS JAPAN」編集長で現発行人)が中心となって設立した福島の子どもたちのための保養施設が「球美(くみ)の里」ですが、そういえばマコさんは、「DAYS JAPAN編集委員であるばかりか、「認定NPO法人 沖縄・球美の里」の理事でも
あるのでした。
 
 「認定NPO法人 沖縄・球美の里」では、恒常的に「募金」をお願いしていますが、それとは別に行う「クラウドファンディング・プロジェクト」ということですね。
 目的は、第66次保養(実施時期:2016年11月16日~11月29日)に参加予定の未就学児か
ら小学2年生までの福島の子ども27名とその母親たち15名の交通費、プログラム参加費、食費などを支援することであり、第一目標金額1,000,000円は達成し、現在はネクストゴール2,000,
000円を目指して引き続き募集中です(2016年9月27日まで)。
 クラウドファンディング「福島の子どもたちを沖縄・久米島の保養プロジェクトに招待したい」から、その概要をご紹介しようと思います。1人でも多くの方が協力していただければと思います。
 
(抜粋引用開始)
原発事故で外遊びが制限されている福島の子どもたちを久米島に招待したい!
 こんにちは。福島の子どもの保養施設「沖縄・球美の里」の理事長・向井雪子です。「チェルノブイリ
ども基金」「未来の福島こども基金」でも活動しています。
 「沖縄・球美の里」では、福島の子どもたちに沖縄県久米島で保養してもらう活動を2012年からずっ
と毎月続けてきました。今まで60回、2052人の子どもたちが参加してくれました。一人でも多く参加してもらうため、子どもの交通費や参加費はすべて無料としています。保養運営費はすべて国内外からの善意の募金でまかなっていますが、この先も継続的に子どもたちを受け入れ続けていくことは資金的な困難が
予想されます。そこで、11月の保養運営資金を募るプロジェクトに挑戦することに決めました。
 参加予定の子どもたち27人を無料招待するには、福島から久米島の航空券やバス代だけでおよそ160万円もの費用がかかってしまいます。福島の子どもたちに久米島で思いっきり遊んでもらうため、お力添えいただけないでしょうか?ご支援よろしくお願いいたします!
 
「沖縄・球美の里」について
 2011年3月の福島第一原発事故により被曝したか、現在も汚染された地域に住む子どもたちがいます。そんな子どもたちのために、フォトジャーナリストで月刊誌「DAYS JAPAN」の編集長だった広河隆一(現DAYS JAPAN発行人、沖縄・球美の里名誉理事長)が中心となり、福島の子どもたちの健康維持のために通
年で利用できる保養施設「沖縄・球美の里」をつくりました。
 沖縄・球美の里では、2012年から現在まで毎月、50人前後を、約10日間の保養に招待しています。小中学校が休みの期間は小中学生を、学校がある期間は未就学児と付添いのお母さんを招待します。放射能汚染の心配が無い食べもの、水、空気、土。全国から集まるボランティアや久米島の皆さんの温かいサポート。そんな環境で海水浴、自然観察、海洋深層水プール、芸術鑑賞など、わくわくするようなプログラム
をたくさん用意しています。
 10日間の久米島での生活が終わったあと子どもたちは、すっかり顔色がよくなり、より活発になって福
島へ戻っていきます。このような「保養」を繰り返すことで、心身ともに健康になって病気になりにくい体をつくってもらう。それが私たちの目的です。一定期間保養することにより、まず体の中と外からの被曝による健康被害のリスクは下がり、免疫力が上がり、精神的なストレスは軽減されます。保養中は、希望者に対して甲状腺検診と医療相談会も行なっています。
 
「病気になりにくい体をつくる!」保養の効果について
 1986年に原発事故を経験したチェルノブイリでは、事故発生から5年後には子どもたちを保養させる法律が制定され、30年後の現在まで、ベラルーシでは国策で保養が継続的に行なわれています。保養を繰り返すことにより、内部被曝外部被曝の量を減らし、健康被害のリスクを下げることは保養者の9割以上に「
明らかな効果」をもたらす、とのベラルーシ政府の科学的な調査結果もあります。
 実際に「沖縄・球美の里」の保養参加後の母親へのアンケートで、子どもの変化について、よくみられ
る回答として次のようなものがあります。
<身体的変化>
・風邪を引きにくくなった
・のどの痛みがなくなった
・鼻水が出なくなった
・よく眠れるようになった
・食欲旺盛になった
アトピーが出にくくなった
<精神的変化>
・活発になり明るくなった
・社交性と積極性が身に付いた
・自立心が芽生え手伝いを自発的にするようになった
・たくましくなった
・落ち着きが出てきた
 子どもたちは、汚染されていない土地で、のびのびと遊ぶことでストレスから解放され、汚染されてい
ない物を食べることで、体内被曝の進行から解放され、抵抗力、免疫力をつけることが可能です。
 効果を実感してリピーターとして何度も来てくれる子どもやお母さんもいるので、今後も出来る限り長く保養活動を続けていきたいです。
 
子どもたちの未来のため、応援よろしくお願いします!
 保養者たちは、保養に参加して、久米島の美しい自然の中で思いっきり遊び、走りまわり、同じ境遇の者同士で情報交換をして交流を深め、ボランティアさんや久米島の皆さんと一緒に温かく見守られながら
過ごすことで、精神的なストレスを軽減する絶好の機会も持つことができます。
 国が行わない保養に加え、甲状腺検診と医師との医療相談会への参加機会を希望者には常に提供していること。また、検診結果はすべて受診者へ開示し、その結果によっては病院の紹介も行っていること。そ
のような医療的なサポートも私たちの大きな役割です。
 一人でも多くの子どもたちを沖縄・久米島での保養に招待するため、この先も継続して活動を続けてい
きたいです。
 どうか応援よろしくお願いいたします!
 
今回の実施内容
実施時期:2016年11月16日~11月29日
参加人数:未就学児?小学2年生までの福島の子ども27名とその母親たち15名、合わせて42名(予定)
 多種多様な保養プログラムに加え、「甲状腺検診」、検診とあわせて開催される「医師と母親の医療相
談会」を予定しています。

ネクストゴール200万円の使途内訳
・子どもたちが保養に参加するための交通費
・食費
・プログラム参加費(ハテノ浜へ行くボート代、海洋深層水プールなど)
・光熱費(保養中にかかる電気、水道、ガス、ボイラーなど)
・手数料
(引用終わり)
 
 資金協力は、何種類かの中から選べるようになっています。
 
◎¥3,000のリターン
 サンクスメール+ポストカード2枚セット
◎¥10,000のリターン
 サンクスメール+ポストカード2枚セット+Tシャツ1枚(宮崎駿さんオリジナルデザインの沖縄・球美
の里ロゴ入り)
◎¥10,000(全額活動資金に提供)
 サンクスメール
◎¥30,000のリターン
 サンクスメール+ポストカード2枚セット+Tシャツ1枚+参加した子どもからのお礼の手紙
◎¥30,000(全額活動資金に提供)
 サンクスメール
◎100,000円のリターン
 サンクスメール+ポストカード2枚セット+Tシャツ1枚+参加した子どもからのお礼の手紙+沖縄のお
菓子詰め合わせ
 
 なお、以上のクラウドファンディングとは別に、「認定NPO法人 沖縄・球美の里」では、常時「募金」をお願いしています。
 
 「沖縄・球美の里」のホームページは非常に充実しています。
 トップページを訪れると、まず宮崎駿さんが描いた「球美の里の近未来図」が出迎えてくれます。
 各ページの一々はこれ以上引用しませんが、是非折に触れてご覧いただければと思います。
 
 最後に、DAYSJAPANnet(「DAYS JAPAN」のYouTubeチャンネル)から、「沖縄・球美の里」関連の動画を年代順にご紹介します。これを見ていけば、「沖縄・球美の里」の成り立ちから現在まで、あらまし理解できると思います。
 
2012年4月26日
沖縄・球美(くみ)の里 ご協力お願いいたします(5分23秒)

 
2013年1月17日
NPO法人沖縄・球美の里(9分22秒)

 
2013年8月27日
沖縄・球美の里 メッセージボード in 赤レンガ倉庫(2分20秒)

 
2014年12月17日
球美の里にメンソーレ(8分32秒)
 


(参考)
2014年12月18日
ベラルーシ子ども保養センター「ナデジダ(希望)」(11分31秒)

 

(付録)
『Hard Times Come Again No More』 
作詞・作曲:スティーブン・フォスター 訳詞:長野たかし 演奏:長野たかし&森川あやこ
 
※来る2016年8月28日(日)午後3時30分~、和歌山市ぶらくり丁の「レモネード・カフェ」に長野たかしさん、森川あやこさんご夫婦が登場されます(ちょうさんとベースパーティvol.4)。私も行くつもりです。是非ご来場ください。多分、ニューCD『希求』もサイン入りで購入できると思いますよ。

放送予告8/21『18歳・・・生徒手帳と私の一票』(NNNドキュメント)~高校生の政治活動と事前届出制

報道 政治
 今晩(2016年8月17日)配信した「メルマガ金原No.2541」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告8/21『18歳・・・生徒手帳と私の一票』(NNNドキュメント)~高校生の政治活動と事前届出制

 南海放送という地方局があります。四国に住んでいない人に「何県にある放送局だと思いますか?」と尋ねたら、一番多い答えは多分「高知県」ではないでしょうかね。実際、私自身がそう思っていましたから。
 私がその間違いに気付いたのは、南海放送が制作した映画『放射線を浴びたX年後』第1作、第2作と監督による講演を一気に行うという企画が和歌山市で開催されることを知り、その予告記事をメルマガ(ブログ)に書いた時でした(予告6/11映画『放射線を浴びたX年後』2部作一挙上映と伊東英朗監督講演会へのお誘い(核戦争防止和歌山県医師の会)/2016年4月26日)。
 そう、南海放送が「愛媛県」を放送エリアとする地方局であることを、この時初めて知ったのです。
 「南海」=「南の海」という連想で、瀬戸内海に面した香川県愛媛県は頭に浮かばなかったのでしょうね。しかし、そもそも「南海放送」の「南海」は、五畿七道の1つである「南海道」から来ているのでしょうし、行政区画としての「南海道」は、
 紀伊国(現在の和歌山県三重県南部)
 淡路国(現在の兵庫県淡路島、沼島)
 阿波国(現在の徳島県
 讃岐国(現在の香川県
 伊予国(現在の愛媛県
 土佐国(現在の高知県
という6つの「国」から成るのであり(そういえば私の住む「紀伊国」も「南海道」だった!)、当然「伊予国愛媛県)」に「南海放送」があっても少しも不思議ではなかった訳です。やはり、基礎的教養というのは重要ですね。
 
 以上は全くの余談ですが、その南海放送が制作するドキュメンタリー番組は、全国放送される場合には、NNNドキュメント枠での放送となります。最近では、伊東英朗ディレクターによる『放射線を浴びたX年後』シリーズの最新作が放映されました(放送予告6/26『汚名~放射線を浴びたX年後4~(仮)』(NNNドキュメント)/2016年6月11日)。
 
 そして、今日ご紹介する次週放送予定のNNNドキュメントが、やはり南海放送制作によるものです。以下に番組案内をご紹介します。
 なお、NNNドキュメントは、各地の放送局から同じ時間に放送されるようで、東京圏は日本放送、関西圏は読売テレビからの放送となります。
 
2016年8月22日(月)午前1時05分~(日曜25時05分~)
NNNドキュメント『18歳・・・生徒手帳と私の一票』

(引用開始)
18歳から選挙で投票できるようになった今年、愛媛のすべての県立学校が「選挙運動」や「政治活動」の届出を校則で義務化し生徒手帳などに記された。学者らは憲法違反と猛反発し教育現場も混乱。そこには60年前から県教育委員会に「モノ言えぬ」学校現場の体質が脈々と続いていることが取材から分かってきた。そんな中、届出制という"縛り"の中で動き出した高校生たち。愛媛独自の届出制から18歳の権利について考える。
ナレーター / 向井地美音 制作 / 南海放送 放送枠 / 30分
再放送
8月28日(日)11:00~ BS日テレ
8月28日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24
(引用終わり)
 
 「高校生の政治活動と事前届出制」については様々な報道がなされましたが、一例として毎日新聞の記事を引用しておきます。
 
毎日新聞 2016年5月17日 07時00分(最終更新 5月17日 07時00分)
高校生の政治活動 事前届け出、都道府県で対応分かれる

(抜粋引用開始)
 高校生の校外での政治活動について、学校への事前届け出を認めた文部科学省の対応が「思想、信条に関する個人情報」の収集を禁じた個人情報保護条例に抵触する可能性が浮上している。専門家は「集会に出る生徒の氏名を聞くだけで条例が禁じる個人情報の収集になる」と指摘している。福岡県教委は届け出が個人情報保護条例の趣旨に反するとして、届け出を不要と判断している。
 届け出制を巡っては愛媛県立高の全59校が採用。愛媛県教委は「生徒の所在確認など安全管理に必要」などと説明した。徳島県でも3月中旬の県教委の調査で県立高15校が届け出制を導入する方針を示した。
 愛媛、徳島両県の個人情報保護条例はいずれも、思想、信条に関する個人情報の収集を禁じている。愛媛県教委は「行き先まで問わなければ条例が定める個人情報には該当しない」として、学校側に政治的信条を問わないよう要請した。多くの学校が口頭での届け出で、県教委はこれまでの実績は把握していないという。徳島県教委も「政治的信条を問うのが目的ではない」と話し、条例に違反しないとの姿勢だ。
 愛媛県松山東高校松山市)は(1)参加日(2)満年齢(3)場所が県内か県外か??を生徒が担任に口頭で伝える。北須賀逸雄校長は「18歳未満が選挙運動に参加すると公職選挙法違反になる。違反に巻き込まれないように生徒自身に確認させ、注意喚起するのが目的」と説明。条例との関係について「専門家でないので分からないが、文科省から認められた範囲内で対応している」と話した。
 文科省児童生徒課は「教育に必要な個人情報を学校が収集することは一般論として可能。条例内容は各都道府県で違うので届け出制が条例違反かどうかは判断できない」としたうえで「愛媛県は政治的信条を問うような届け出ではなく、条例違反にならないと考える」としている。
 これに対し、新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「行き先を問わなくても政治活動に参加することを届け出るのだから明らかに条例が禁じる情報収集に該当する」と指摘。その上で「行き先を問わないのであれば『安全を守る』という大義名分も成り立たないのではないか」と話した。
 内閣府情報公開・個人情報保護審査会の委員を務めた森田明弁護士は「政治活動の参加自体が政治的信条の一定の傾向を示すわけだから、届け出を求めること自体が問題ではないか。少なくとも(届け出の是非を)個人情報保護審査会などの第三者機関に諮るべきだ」と指摘している。
 毎日新聞が4月下旬、47都道府県と20政令市の教委に取材したところ、15府県と8政令市の教委が届け出を不要と判断。福岡県教委は「『何かあった時のため』という理由で届け出させることは必要のない個人情報を集めることになり、県条例の趣旨に反する」としている。
(引用終わり)
 
 上記記事の冒頭にある「高校生の校外での政治活動について、学校への事前届け出を認めた文部科学省の対応」については、文科省が作成した「Q&A」を参照願います。
 
「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」に関するQ&A(生徒指導関係)
(抜粋引用開始)
Q9.放課後、休日等に学校の構外で行われる政治的活動等について、届出制とすることはできますか。
A.
放課後、休日等に学校の構外で行われる、高等学校等の生徒による政治的活動等は、家庭の理解の下、当該生徒が判断し行うものですが、このような活動も、高等学校の教育目的の達成等の観点から必要かつ合理的な範囲内で制約を受けるものと解されます。
 したがって、高校生の政治的活動等に係る指導の在り方については、このような観点からの必要かつ合理的な範囲内の制約となるよう、各学校等において適切に判断することが必要であり、例えば、届出をした者の個人的な政治的信条の是非を問うようなものにならないようにすることなどの適切な配慮が必要になります。
(引用終わり)
 
 18歳以上に選挙権年齢が引き下げられた後初めての国政選挙(第24回参院選)が終わったばかりですが、これは、民主主義の「将来の担い手」が「実際の担い手」となる境目が20歳から18歳に変更されたということであり、これから長い目で見た場合、日本の将来に大きな影響を与える可能性のある改革であったはずです。
 その出鼻を挫くように、と私には受け取れた「高校生の政治活動の事前届出制」ですが、その実体がどのようなものであったのか、全国的な注目を浴びた愛媛県からの報告です。大いに関心をもって視聴したいと思います。
 

(付録)
『君こそは友』 作詞:藤村直樹 補作:長野たかし 演奏:長野たかし&森川あやこ