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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

シンポ「今こそ辺野古に代わる選択を」&アミタフ・アチャリア氏講演「今、東アジアの安全保障を考える」~NDの2つの企画を視聴する

 今晩(2017年5月27日)配信した「メルマガ金原No.2825」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
シンポ「今こそ辺野古に代わる選択を」&アミタフ・アチャリア氏講演「今、東アジアの安全保障を考える」~NDの2つの企画を視聴する

 今日は、今週、東京で立て続けに行われた新外交イニシアティブ(ND)の2つの企画を、UPLAN配信の動画でご紹介します。
 それにしても、23日(火)にシンポジウム「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」を、そのわずか3日後の26日(金)にアミタフ・アチャリア氏(アメリカン大学名誉教授/元国際関係学会会長)講演会「今、東アジアの安全保障を考える-「力の外交」に対峙するには-」を開催するというのですから、事務局長の猿田佐世さんをはじめとするスタッフのバイタリティは凄い!と感嘆しきりです。くれぐれも健康には留意されますように。

 なお、23日のシンポについては、このメルマガ(ブログ)で予告記事(「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」と同東京シンポジウム(5/23)のご紹介/2017年5月18日)を書いており、「提言」そのものや沖縄シンポの動画もご紹介していますので、是非ご参照ください。

(予告文書から引用開始)
 
沖縄の強い反対にもかかわらず,辺野古の基地建設が強行されようとしています。
 日本政府は「辺野古が唯一の普天間移設の選択肢」と主張し続けていますが、これは、軍事・防衛の観点から見て正しいのでしょうか。
 NDでは過去3年間、海兵隊の展開について、米側の資料やアメリカの専門家の意見も踏まえた検討を行ってきました。本年2月、その成果をまとめた研究報告書を完成。今回は、沖縄の最新情勢に触れながら、報告書に基づき「辺野古が唯一の選択肢」という政府見解を検証します。提言については、ワシントンでの発表も近く予定しています。
 提言はこちらからお読みいただけます。
●パネルディスカッション登壇者:
・柳澤 協二(ND評議員/元内閣官房副長官補)
・屋良 朝博(ND評議員/元沖縄タイムス論説委員
・半田 滋(東京新聞論説兼編集委員
〇コーディネーター
・猿田 佐世(ND事務局長/弁護士)
(引用終わり)
 
動画 20170523 UPLAN 今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~(1時間42分) 
 
冒頭~ 猿田佐世氏
8分~ 屋良朝博氏
49分~ 柳澤協二氏
58分~ 半田滋氏
1時間06分~ パネルディスカッション
 
2017年5月26日(金)18:00~(衆議院第一議員会館 国際会議室)
アミタフ・アチャリア氏(アメリカン大学名誉教授/元国際関係学会会長)講演会(東京)「今、東アジアの安全保障を考える-「力の外交」に対峙するには-」


(予告文書から引用開始)
 
近年、米国のリバランス政策、および、中国の一帯一路政策などによりアジアにおける米中の主導権争いが進みつつある。また、トランプ政権発足後「力による外交」の風潮がより強まり、これまで以上にアジア地域における緊張が高まっていると報じられている。
このようなアジア情勢に対し、アミタフ・アチャリア氏は、国際秩序を単に「パワーバランス」とみなすのではなく、「セキュリティ・エコシステム(Security Ecosystem / 安全保障の生態機構)」という概念により、地域の安定を図るべきと提唱する。「エコシステム」においては、構成要素が相互に支え合って存在しており、重要な要素を一つでも失うと全体の安定を害することになる。
 現在の東アジア情勢に平和をもたらすための鍵は何か、東アジアの地域統合ASEAN東南アジア諸国連合)を専門とするアチャリア氏の見解を伺う。トランプ政権下の米国の軍事戦略や日本の果たすべき役割等についてもワシントンの現状を踏まえながらお話しいただく予定である。
■登壇者プロフィール:
・アミタフ・アチャリア氏(アメリカン大学名誉教授/元国際関係学会会長)
 アメリカン大学国際関係学部の名誉教授であり、現在清華大学(中国)の国際関係学部でも教鞭をとる。過去に英・オックスフォード大学のクリステンセン・フェローとして任命され、南アフリカのロードス大学で”ネルソン・マンデラ客員教授として勤めたことがある。また、最も国際関係の分野で評価され、影響力のある国際関係学会(International Studies Association, ISA)で、非西欧人として初めて会長を務めた。
 主著に、”The End of American World Order” (アメリカ世界秩序の終焉)、”Constructing a Security Community in Southeast Asia” (東南アジアの安全保障コミュニティー) などがあり、東南アジアの地域統合に関する著作を多数執筆している。
コーディネーター
・猿田 佐世(ND事務局長/弁護士)
(引用終わり)
 
動画 20170526 UPLAN アミタフ・アチャリア「今、東アジアの安全保障を考える-「力の外交」に対峙するには-」(1時間53分)

冒頭~ 猿田佐世氏
6分~ アミタフ・アチャリア氏講演

木戸季市氏(日本被団協事務局次長)講演(7/8プラザホープ)とヒバクシャ国際署名~核戦争防止和歌山県医師の会2017年平和講演会

 今晩(2017年5月26日)配信した「メルマガ金原No.2824」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
木戸季市氏(日本被団協事務局次長)講演(7/8プラザホープ)とヒバクシャ国際署名~核戦争防止和歌山県医師の会2017年平和講演会

 核戦争防止和歌山県医師の会は、毎年の総会開催時に、一般市民に公開された平和講演会を同時に開催
する例となっており、私も、毎年とはいきませんが、かなり参加させていただいています。
 私がメルマガ(ブログ)を書き始めて以降に限定しても、
 
2011年7月9日 
アーサー・ビナードさん(詩人)講演
2013年7月6日
馬場朝子(ばばともこ)さん(元NHKディレクター)講演
2016年6月11日
映画『放射線を浴びたX年後』二部作上映と伊東英朗監督(南海放送ディレクター)講演

 
などに参加しています(もっとも、昨年は同日実施されたサウンドデモに参加するため、映画の2本目は
見ていない~中抜け~でしたけど)。

 今年も、平和講演会の季節がめぐってきて、核戦争防止和歌山県医師の会からご案内をいただきました
ので、チラシ記載情報をお伝えします。

チラシ文字情報から引用開始)
2017年 平和講演会
被爆者の願い、人類の望み 
核兵器のない世界を

原爆の被害とは、「72年間1 日も絶えることなく、いまもつづいている被害」なのです。2020年の
NPT再検討会議に向けて、被爆者の皆さんが初めて核兵器廃絶署名(ヒバクシャ国際署名)を呼びかけ
ました。
木戸さんに被爆者の皆さんの思いを語って頂きます。
 
と き 2017年7月8日(土)午後3時~5時
会場 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ2F多目的室

        和歌山市北出島1丁目5-47
        TEL073-425-3336(ビッグホエール北西隣り)
参加費無料
 
講師 木戸季市 日本被団協事務局次長)
プロフィール

1940年、長崎に生まれる。1945年8月9日、長崎市旭町(爆心から2km)の路上で被爆
1991年、岐阜県原爆被爆者の会結成に参加し、現在まで事務局長。
2008年から日本被団協事務局次長。
2010年NPT再検討会議ニューヨーク行動では、日本被団協代表団の事務局長をつとめ、代表団帰国後も
5月末まで 一人ニューヨークに残って活動した。
2015年NPT再検討会議ニューヨーク行動でも、事務局長をつとめた。
2016年に被爆者が呼びかけた「ヒロシマナガサキ被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」では、同署名
推進連絡会の事務局メンバーとして活動している。
岐阜聖徳学園大学短期大学部名誉教授。
 
主催/核戦争防止和歌山県医師の会
連絡先/和歌山市八番丁11番地 日本生命和歌山八番丁ビル8階 和歌山県保険医協会内  TEL.073-
436-3766
(引用終わり)
 
 講師のお名前をどう読むのか、気になって調べてみたところ、以下の朝日新聞の記事に読み方が掲載されていました。下のお名前は「すえいち」とお読みするようです。
 
朝日新聞デジタル 2016年03月30日
「世界を核廃絶へ向ける」 日本被団協

(抜粋引用開始)
 「あなたの署名が国際政治を動かし、命輝く青い地球を未来に残す」。日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)が4月から核兵器廃絶条約の制定を求める署名を世界に呼びかける。同様の署名活動を進め
る国内外の団体に一本化を働きかけ、2020年までに数億人分の署名をめざす。
 日本被団協が23日、東京都内で開いた会見。代表委員の岩佐幹三(みき・そう)さん(87)は被爆から70年たち「風化と闘わないといけない時期にある。世界の世論を核廃絶に向けたい」と語った。事務局次長の木戸季市(すえ・いち)さん(76)は「被爆者は、生きている間に核兵器をなくしたいと思
っている。人生の総仕上げとして取り組みたい」と決意を述べた。
 呼びかけ文では、核兵器を「地球を死の星にする悪魔の兵器」と指摘。今も後障害にさいなまれ、子孫への影響を不安に感じながら生きてきた被爆者として、後世の人々が再び、生き地獄を体験することがな
いよう核兵器廃絶の条約を結ぶ必要があるとする。
(略)
 近く、国内外の消費者団体や宗教団体、法曹団体などと連絡会(仮称)を結成し、運動を進める方針。
若者や海外在住者も参加しやすいよう、インターネットを通じた署名も検討するという。
 核兵器廃絶を目指す国内外の首長でつくる平和首長会議なども、核兵器禁止条約の早期実現を求める署名活動を展開している。日本被団協事務局長の田中熙巳(てる・み)さん(83)は「日本被団協の訴え
に一本化して賛同してもらい、大きな運動に広げていきたい」と話した。(岡本玄)
(引用終わり)
 
 「ヒバクシャ国際署名」の公式WEBサイトはこちらです。
 WEBからも署名できますが、「注:署名は2020年までに一人一回 WEBか紙どちらかのみ、です。」と
なっていますのでご注意ください。
 最後に、ヒバクシャ国際署名の署名用紙の内容を引用します。
 
ヒバクシャ国際署名
(引用開始)
被 爆 者 は
核 兵 器 廃 絶 を
心 か ら 求 め ま す
 
 人類は今、破壊への道を進むのか、命輝く青い地球を目指すのか岐路に立たされています。1945年8月6日と9日、米軍が投下した2発の原子爆弾は、一瞬に広島・長崎を壊滅させ、数十万の人びとを無差別に殺傷しました。真っ黒に焦げ炭になった屍、ずるむけのからだ、無言で歩きつづける人びとの列。生き地獄そのものでした。生きのびた人も、次から次と倒れていきました。70年が過ぎた今も後障害に
さいなまれ、子や孫への不安のなか、私たちは生きぬいてきました。もうこんなことは、たくさんです。
 沈黙を強いられていた被爆者が、被爆から11年後の1956年8月に長崎に集まり、日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)を結成しました。そこで「自らを救い、私たちの体験を通して人類の危機を救おう」と誓い、世界に向けて「ふたたび被爆者をつくるな」と訴えつづけてきました。被爆者の心から
の叫びです。
 しかし、地球上では今なお戦乱や紛争が絶えず、罪のない人びとが命を奪われています。核兵器を脅迫に使ったり、新たな核兵器を開発する動きもあります。現存する1万数千発の核兵器の破壊力は、広島・長崎の2発の原爆の数万倍にもおよびます。核兵器は、人類はもとより地球上に存在するす
べての生命を断ち切り、環境を破壊し、地球を死の星にする悪魔の兵器です。
 人類は、生物兵器化学兵器について、使用・開発・生産・保有を条約、議定書などで禁じてきました。それらをはるかに上回る破壊力をもつ核兵器を禁じることに何のためらいが必要でしょうか。被爆者は
核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます。
 平均年齢80歳を超えた被爆者は、後世の人びとが生き地獄を体験しないように、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと切望 しています。あなたとあなたの家族、すべての人びとを絶対に被爆者にしてはなりません。あなたの署名が、核兵器廃絶を求める何億という世界の世論となって、国
際政治を動かし、命輝く青い地球を未来に残すと確信します。あなたの署名を心から訴えます。
                    2016年4月
呼びかけ被爆者代表
坪井直、谷口稜曄、岩佐幹三【以上、日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)・代表委員】
田中熙巳【日本被団協・事務局長】
郭貴勲【韓国原爆被害者協会・名誉会長】
向井司【北米原爆被害者の会・会長】
森田隆【ブラジル被爆者平和協会・会長】
サーロー・セツコ【カナダ在住】
山下泰昭【メキシコ在住】

<この署名は、国連に提出します>
 
ヒロシマナガサキ被爆者が訴える
核兵器廃絶国際署名
 
被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、
核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、
すべての国に求めます。
 
私は被爆者の訴えに賛同して署名します
(以下略)
(引用終わり)

反核医師の会2017年平和講演会チラシ 

武藤類子さんが和歌山に来られます~原発がこわい女たちの会 結成30年のつどい@和歌山ビッグ愛(5/28)

 今晩(2017年5月25日)配信した「メルマガ金原No.2823」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
武藤類子さんが和歌山に来られます~原発がこわい女たちの会 結成30年のつどい@和歌山ビッグ愛(5/28)

 既に一度ご案内していますし、もう開催まで3日しかない間際でもありますが、やはり一度は正式に告
知すべき重みのある企画だと思いますので、あらためてご紹介します。
 それは、来る5月28日(日)午後2時から、和歌山ビッグ愛9階会議室Cで開催される「原発がこわい女たちの会 結成30年のつどい」に、ゲストとして福島県三春町(みはるまち)から武藤類子(むとう
・るいこ)さんが招かれているということです。
 私は、武藤さんが和歌山に来られるということを、同会代表の松浦雅代さんから「原発がこわい女たちの会ニュース」の第101号をお送りいただいて初めて知りました(
「原発がこわい女たちの会ニュース」第101号が届きました~祝結成30年!/2017年4月15日)。
 
 上記ニュース第101号やニュースからスピンオフさせた後掲チラシにも書かれているとおり、現在、福島原発告訴団団長、ひだんれん共同代表などの重責を担われている武藤類子(むとう・るいこ)さんの存在を私が初めて知ったのは、多くの国民にとってもそうであったと思いますが、2011年9月19日
に東京の明治公園で開かれた「さようなら原発5万人集会」(実際には6万人が集まったとか)での武藤さんの衝撃的なスピーチがYouTubeにアップされ、それを視聴した時でした。
 感動のあまり、スピーチ全文を文字起こしした人が何人もおり、実は、私もその1人でした。といって
も、私の場合は、「みんな楽しくHappy?がいい♪」に掲載された文字起こしをベースにして、これを厳密に校正しただけですが。「(必読!)スピーチ書き起こし9/19「さようなら原発5万人(6万人)集会」」としてメルマガ金原に掲載し、後にブログに転載しました。
 今回も、末尾に、私が書き起こしたスピーチ全文を貼り付けておきます。

 また、その後も武藤さんは様々な集会でスピーチを依頼されることが多く、その内、原稿が公開されているもの2点をメルマガ(ブログ)でご紹介したこともありました(末尾のリンク参照)。

 それでは、以下、チラシ文字情報を転記します。是非、多くの方に武藤さんのお話に直接耳を傾けてい
ただきたいと思います。
 
チラシから引用開始)
原発がこわい女たちの会結成30年のつどい
福島原発事故 7年目の今
ゲスト・武藤類子さん
◯日時:2017年5月28日(日)14:00~16:30
◯会場:和歌山ビック愛9階 会議室C
        和歌山市手平2丁目1?2
◯会費:無料 だれでも参加できます。

 武藤類子さんは現在福島県の三春町(みはるまち)にお住まいです。
 2011年9月19日「さようなら原発集会」(明治公園)における武藤類子さんのスピーチは感動さ
せるものでした。女の会76号に全文載せました。(私たちは静かに怒りを燃やす東北の鬼です)という言葉が入っています。
101号武藤類子 福島原発の責任を正す告訴運動⇒東電の責任を追及する運動にかかわってこられ、現在福島原発告訴団
長として活躍されています。
 この6年間大変なご苦労をされてきたと思います。和歌山で初めて講演していただきます。福島県で何
が起きているのかを、お聞きしたいと思います。是非参加下さい。
 なお、写真は、2014年10月24日和歌山県日高町阿尾(元原発予定地)に立つ武藤類子さんです

 大阪の女たちが武藤類子さんを少し骨休みさせようと、関西での講演の前に日高町方杭の「波満乃家(
はまのや)」に招待した時の写真です(撮影・松浦)。
 
主催:原発がこわい女たちの会 連絡先・松浦 TEL 073/451/5960
(引用終わり)
 
 なお、武藤さんと直接の関係はありませんが、武藤さんがお住まいの三春町(みはるまち)と聞いて、
どうしても私が思い出すのは、同町が、40歳未満の住民に対して安定ヨウ素剤の組織的配布を行った唯一の自治体であったということです。
 この件については、月刊誌「DAYS JAPAN」が福島県内の自治体に行ったアンケート結果や、2012年
9月にNHK総合TVで放送された「福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間」という番組を紹介するという形で、メルマガ(ブログ)を書いたものです。
 
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断) 前編
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断) 後編
 
 以上の記事をメルマガに書いたのは2013年1月6日のことでしたが、その年の8月31日、大阪弁
護士会館で開かれたシンポジウム「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか―低線量被曝被害による分断の構造―」に参加した際、会場で入手した小冊子『20年後のあなたへ-東日本大震災難ママ体験手記集-』を読んで、私は大きな衝撃を受けました(『20年後のあなたへ-東日本大震災避難ママ体験手記集-』を読んで/2013年8月31日)。
 その日の夜に書いたメルマガ(ブログ)から一部引用します。
 
(引用開始)
 一々内容をご紹介する訳にもいきませんが、一つだけどうしても書いておきたいエピソードがあります

 それは、福島県から避難された方の手記の中に書かれていたことです。
 Aさんは、福島第一原発から65㎞ほどのところにあった自宅が地震で損壊して住めなくなり、原発から
約40㎞にあった自分の実家に1歳の息子を連れて避難していたのですが、実家のある町で40歳未満の全町民に安定ヨウ素剤が配布されることになったものの、自分と息子は既にその町の住民ではないため、配布対象とはならず、せめて息子の分だけでも何とか配布して欲しいとお願いし、いろいろなところに電
話で要請したりしたもののどうしても息子のために入手してあげることができなかったというのです。
 Aさんは手記に書いています。
  「幼い息子が被曝するかもしれないという状況の中で薬をもらえないのは、親としては本当に辛かった、としか言いようがありません。被曝していく息子を目の前に、何もしてやれない悔しさ・・悲しさ・・憤り。今でもその時の光景が鮮明によみがえってきて、夜中にうなされたり寝付けなかったりすることがあります。私は親なのに我が子を守ってやることができなかった、という不甲斐なさが今でも頭から離れません」
  本来、万一原発事故が起こった際の対処基準を作るというのであれば、このAさんのような思いを全ての母親に二度とさせてはならない、ということが教訓になっていなければならないはずですが、実際にはどうなのでしょうか?
(引用終わり)
 
 この最後の感想については、後日、菅谷昭(すげのや・あきら)さんが市長を務める長野県松本市が制
定した「松本市災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編」で、以上の教訓が十分に取り入れられていることを紹介しました(
「松本市災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編」の安定ヨウ素剤についての記述を読んで欲しい/2016年10月2日)
 
 ちなみに、上記の手記を書かれたAさんと後日お会いする機会があり、「実家のある町」がやはり三春町であったことを確認しています。
 
 ところで、5月28日(日)午後、和歌山市では、この武藤類子さんの講演とほぼ同時間帯に、
「第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート」(於:ライブハウス OLDTIME/13:00~)が開催されることになっており、このライブの出演予定者を含め、多くの人が「身体が二つ欲しい!」と悲鳴を上げていま
す。
 私自身、何とかこの2つの企画をかけ持ちする方法はないものか?と思案をめぐらしているところです。
 
【「さようなら原発5万人(6万人)集会」での武藤類子さんスピーチ全文書き起こし】
 福島のみなさん、どうぞ一緒に立ちあがって下さい。
 みなさんこんにちは。福島からまいりました。今日は福島県内から、それから、避難先から、何台もバ
スを連ねて沢山の仲間たちとやってまいりました。初めて集会やデモに参加する人も沢山います。それでも、「福島原発で起きた悲しみを伝えよう」「私たちこそが原発いらないの声を上げよう」と声を掛け合い、誘いあってやって来ました。
 初めに申し上げたいことがあります。
 3.11からの大変な毎日を、命を守るためにあらゆることに取り組んできたみなさんひとりひとりを
深く尊敬いたします。
 それから、福島県民に温かい手を差し伸べ、つながり、様々な支援をして下さった方々にお礼を申し上
げます。
 ありがとうございます。
 そして、この事故によって、大きな荷物を背負わせることになってしまった子どもたち、若い人々に、
このような現実を作ってしまった世代として、心から謝りたいと思います。
 ほんとうにごめんなさい。
 
 さて、皆さん、福島はとても美しいところです。東に紺碧の太平洋を望む浜通り。桃、梨、リンゴと果
物の宝庫の中通り猪苗代湖磐梯山の周りに黄金色の稲穂が垂れる会津平野。その向こうを深い山々が
縁取っています。山は青く、水は清らかな、私達のふる里です。
 3.11原発事故を境に、その風景に目には見えない放射能が降り注ぎ、私達は被ばく者となりました
。大混乱の中で、私達には様々なことが起こりました。素早く張り巡らされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と人とのつながり。地域で、職場で学校で、家庭の中で、どれだけの人が
悩み悲しんだことでしょう。
 毎日毎日否応なく迫られる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。子どもにマスクをさせる、さ
せない。洗濯物を外に干す、干さない。畑を耕す、耕さない。何かに物申す、黙る。さまざまな苦渋の選
択がありました。
 そして今、半年という月日の中で次第に鮮明になってきたことは、
  「事実は隠されるのだ」
  「国は国民を守らないのだ」
  「事故はいまだに終わらないのだ」
  「福島県民は核の実験材料にされるのだ」
  「莫大な放射能のゴミは残るのだ」
  「大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ」
  「私達は捨てられたのだ」
 私達は疲れとやりきれない悲しみに深いため息をつきます。でも、口をついて出てくる言葉は、
  「私達をバカにするな」
  「私達の命を奪うな」
です。
 福島県民は今、怒りと悲しみの中から静かに立ち上がっています。「子どもたちを守ろう」と、母親が、
父親が、おじいちゃんが、おばあちゃんが、「自分たちの未来を奪われまい」と若い世代が、大量の被ばくにさらされながら事故処理に携わる原発従事者を助けようと労働者たちが、土地を汚された絶望の中から農民が、放射能による新たな差別と分断を生むまいと障害を持った人々が、一人ひとりの市民が、国と
東電の責任を問い続けています。
 そして、「原発はもういらない」と、声を上げています。
 私達は静かに怒りを燃やす東北の鬼です。私たち福島県民は、故郷を離れる者も、福島の地に留まり生
きる者も、苦悩と責任と希望を分かち合い、支え合って生きていこうと思っています。
 私達と繋がって下さい。
 私達が起こしているアクションに注目して下さい。
 政府交渉、疎開裁判、避難、雇用、除染、測定、原発放射能についての学び、そして、どこにでも出
かけ、福島を語ります。
 今日は遠くニューヨークでスピーチをしている仲間もいます。
 思いつく限りのあらゆることに取り組んでいます。
 私達を助けて下さい。
 どうか、福島を忘れないでください。

 もうひとつ、お話ししたい事があります。
 それは私達自身の生き方、暮らし方です。私達は何気なく差し込むコンセントの向こう側を想像しなけ
ればなりません。便利さや発展が差別と犠牲の上に成り立っていることに思いをはせなければなりません
原発はその向こうにあるのです。
 人類は地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物が、他にいるで
しょうか?私はこの地球という美しい星と調和した、まっとうな生き物として生きたいです。ささやかで
も、エネルギーを大事に使い、工夫に満ちた豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。
 どうしたら、原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか、誰にも明確な答えは分かりません。出
来ることは、誰かが決めたことに従うのではなく、一人ひとりが、本当に、本当に、本気で自分の頭で考
え、確かに目を見開き、自分が出来ることを決断し、行動することだと思うのです。
 一人ひとりにその力がある事を思い出しましょう。私達は誰でも変わる勇気を持っています。奪われて
きた自信を取り戻しましょう。
 原発をなお進めようとする力が垂直にそびえる壁ならば、限りなく横に広がり繋がり続けていくことが
私達の力です。
 たった今、隣にいる人と、そっと手をつないでみて下さい。見つめ合い、お互いの辛さを聞き合いまし
ょう。涙と怒りを許しあいましょう。今つないでいるその手のぬくもりを日本中に世界中に広げていきま
しょう。
 私たち一人一人の背負っていかなければならない荷物が途方もなく重く、道のりがどんなに苛酷であっ
ても、目をそらさずに支え合い、軽やかに、朗らかに生き延びていきましょう。
 ありがとうございました。
 
(動画)9・19「さようなら原発集会」~6万人が参加(46分)

※武藤類子さんのスピーチは36分~46分です。

(弁護士・金原徹雄のブログから/武藤類子さん関係)
2011年9月21日(2013年2月16日に再配信)
(必読!)スピーチ書き起こし9/19「さようなら原発5万人(6万人)集会」
2012年7月19日(2013年2月17日に再配信)
7/16武藤類子さんスピーチ原稿(さようなら原発10万人集会)
2013年5月30日
武藤類子さんが語る福島の“今”(第12回 女たちの『一票一揆』院内集会)
2015年9月24日
「9.23 さようなら原発 さようなら戦争 全国集会」(代々木公園)での武藤類子さんのスピーチ

2015年12月3日
武藤類子さんの講演(11/23)を聴き、まんが「なすびのギモン」(環境省)を読んで考えた

 

立憲デモクラシーの会「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」を読む

 今晩(2017年5月24日)配信した「メルマガ金原No.2822」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
立憲デモクラシーの会「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」を読む

 一昨日(5月22日)午後3時から、衆議院第二議員会館において、立憲デモクラシーの会が、「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」を発表するための緊急記者会見を行いました。
 記者会見には、山口二郎氏(立憲デモクラシーの会共同代表、法政大学教授・政治学)の他、長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)、石川健治氏(東京大学教授・憲法学)、青井未帆氏(学習院大学教授・憲法学)、西谷修氏(立教大学特任教授・哲学)の各氏が出席しました。
 会見の動画を探しているのですが、見つけられていないので、以下には朝日新聞デジタルの記事を引用しておきます(動画は見つけ次第、ブログ版に追加で紹介します)。
 
朝日新聞デジタル 2017年5月22日22時43分
首相改憲発言は「憲法を軽んじる言辞」 学者らが批判

(抜粋引用開始)
 5月3日の安倍晋三首相の改憲メッセージをめぐり、法学などの専門家でつくる「立憲デモクラシーの会」は22日、東京都内で記者会見し、「改憲自体が目的であるかのように、憲法を軽んじる言辞を繰り返すことは、責任ある政治家のとるべき態度ではない」と批判する見解を発表した。
 安倍首相はメッセージで、憲法9条1項と2項を残し、自衛隊の存在を明記すると主張した。これに対し見解では、「自衛隊はすでに国民に広く受け入れられた存在で、憲法への明記に意味はない」と指摘。首相が改憲の理由に「自衛隊違憲」とする学者らの見方を挙げていることについて、「憲法学者を黙らせることが目的であれば憲法の私物化」と批判した。
(略)
 見解では、高等教育の無償化についても「高等教育を受ける権利を実質的に均等化するために必要なことは、憲法改正を経た無償化ではなく、給付型奨学金の充実などの具体的な政策」として、憲法改正の必要はないと主張している。(編集委員・豊秀一)
(引用終わり)
 
 立憲デモクラシーの会の「見解」をご紹介する前に、安倍晋三首相の「改憲メッセージ」とはどういうものだったか、簡単におさらいしておきましょう。
 「メッセージ」という以上は、まずはこのビデオメッセージを想起すべきでしょう。
 今年の5月3日に東京の砂防会館で開かれた「第19回 公開憲法フォーラム」(主催:民間憲法臨調、美しい日本の憲法をつくる国民の会)に安倍氏が寄せたビデオメッセージです。全部で9分ある、結構長いものです。
 
 
 文字起こしについては、以下の朝日新聞デジタルの記事をお読みください(一部引用します)。
 
朝日新聞デジタル 2017年5月3日15時09分
憲法改正「2020年に施行したい」 首相がメッセージ

(メッセージ全文から抜粋引用開始)
 ご来場の皆様、こんにちは。「自由民主党」総裁の安倍晋三です。
 憲法施行70年の節目の年に、「第19回公開憲法フォーラム」が盛大に開催されましたことに、まずもって、お慶(よろこ)びを申し上げます。憲法改正の早期実現に向けて、それぞれのお立場で、精力的に活動されている皆様に、心から敬意を表します。
(略)
 憲法は、国の未来、理想の姿を語るものです。私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための、「具体的な議論」を始めなければならない、その時期に来ていると思います。
(略)
 例えば、憲法9条です。今日、災害救助を含め、命懸けで、24時間、365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊違憲とする議論が、今なお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも、私たちの世代の内に、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、「自衛隊違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます。
 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと、堅持していかなければなりません。そこで、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは、国民的な議論に値するのだろう、と思います。
 教育の問題。子どもたちこそ、我が国の未来であり、憲法において、国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだと思います。誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる「一億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。
 世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、経済状況にかかわらず、子どもたちが、それぞれの夢に向かって頑張ることができる、そうした日本でありたいと思っています。
 70年前、現行憲法の下で制度化された、小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに、戦後の発展の大きな原動力となりました。
 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても、全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは、個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会、経済の発展に、確実につながっていくものであります。
 これらの議論の他にも、この国の未来を見据えて議論していくべき課題は多々あるでしょう。
 私は、かねがね、半世紀ぶりに、夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は、大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。
 2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい、と強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓(ひら)いていきたいと考えています。
(略)
 憲法改正に向けて、ともに頑張りましょう。
(引用終わり)
 
 もう一つ、衆議院予算委員会(5月8日)において、民進党長妻昭氏から憲法改正についての考えを質され、「自民党総裁としての考え方は詳しく読売新聞に書いているので、熟読していただければいい」と答えたことで一躍注目を浴びることになった、5月3日付・読売新聞掲載の「首相インタビュー」(と読売の紙面には書いてあります)です。読売に掲載されたインタビュー(収録は4月26日)そのものは、ビデオメッセージの内容とほぼ同一内容です。私の手許にある読売新聞大阪本社発行の「13S」では、4面1ページを使ってインタビュー全文が掲載されています。それを長々と書き写す気にもならないので、1面に読売自体が「安倍首相インタビューのポイント」を囲みでまとめていますので、それを引用しておきます。
 
2017年5月3日 読売新聞(朝刊)
安倍首相インタビューのポイント
(引用開始)
憲法改正を実現し、東京五輪パラリンピックが開かれる2020年の施行を目指す
自民党の改正案を衆参両院の憲法審査会に速やかに提案できるよう、党内の検討を急がせたい
▽9条の1項、2項を残したまま、新たに自衛隊の存在を明記するよう議論を求める。
憲法において教育は極めて重要なテーマで、(教育無償化に関する)日本維新の会の提案を歓迎する。
(引用終わり) 
 
 それでは、立憲デモクラシーの会による「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」の全文をご紹介します。
 「憲法自衛隊」については様々な立場がありますから、安倍首相メッセージに反論するにしても、どういう立脚点からそれを行うかということについて、立憲デモクラシーの会の内部でも色々議論があったのではないかと推測します。そのようなことも想像しながら、お読みいただければと思います。
(引用開始)
 5月3日、安倍首相は憲法改正の具体的提案を行った。9条の1項2項を残したまま、自衛隊の存在を新たに憲法に明記し、さらに高等教育を無償化する提案で、2020年の施行を目指すとのことである。
 
 自衛隊はすでに国民に広く受け入れられた存在で、それを憲法に明記すること自体に意味はない。不必要な改正である。自衛隊違憲だと主張する憲法学者を黙らせることが目的だとすると、自分の腹の虫をおさめるための改憲であって、憲法の私物化に他ならない。
 他方、現状を追認するだけだから問題はないとも言えない。長年、歴代の政府が違憲だと言い続けてきた集団的自衛権の行使に、9条の条文を変えないまま解釈変更によって踏み込んだ安倍首相である。自衛隊の存在を憲法に明記すれば、今度は何が可能だと言い始めるか、予測は困難である。
 安倍首相は北朝鮮情勢の「緊迫」を奇貨として9条の「改正」を提案したのであろうが、たとえ日本が9条を廃止して平和主義をかなぐり捨てようとも、体制の維持そのものを目的とする北朝鮮核兵器やミサイルの開発を放棄することは期待できない。憲法による拘束を緩めれば、軍拡競争を推し進め、情勢をさらに悪化させるおそれさえある。国民の6割が手をつけることに反対している9条を変更する案としては、理由も必要性も不透明なお粗末な提案と言わざるを得ない。
 
 高等教育の無償化の提案も必要性が不明である。憲法の条文に高等教育は無償だと書いただけでは、無償化は実現しない。そのための財政措置が必要である。他方、財政措置が整いさえすれば、憲法を改正する必要はない。
 高等教育を受ける権利を実質的に均等化するために必要なことは、憲法改正を経た無償化ではなく、給付型奨学金の充実などの具体的な政策であることは、明らかである。
 
 何より問題なのは、理由も必要性も不透明な生焼けの改憲を提案し、批判を受けると「代案を示せ」と言い募る安倍首相の憲法に対する不真面目さである。改憲自体が目的であれば代案を出せということにもなろうが、改憲が自己目的であるはずがない。不要不急の改憲をしなければよいだけのことである。憲法の役割は、党派を超え世代を超えて守るべき政治の基本的な枠組みを示すことにある。簡単に変えられなくなっているのは、浅はかな考えで政治や社会の基本原則に手を付けるべきではないからであり、山積する喫緊の日常的政治課題に力を注ぐよう促すためである。日本政治の現状を見れば、最高権力者は、国家を「私物化」し、説明責任を放棄し、法の支配を蔑ろにしていると言わなければならない。そもそも憲法は権力者による恣意的な権力の行使を防ぐためにあるという立憲主義の原理をここで再確認する必要がある。このような状況で改憲自体が目的であるかのように、憲法を軽んじる言辞を繰り返すことは、責任ある政治家のとるべき態度ではない。
 
2017年5月22日
立憲デモクラシーの会
(引用終わり)
 

山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する

 今晩(2017年5月23日)配信した「メルマガ金原No.2821」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する

(旧国歌大観番号 318)
田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
(たごのうらゆ うちいでてみれば ましろにぞ ふじのたかねに ゆきはふりける)

 今日は、万葉集の中でも名高い、山部赤人(やまべのあかひと)による短歌を鑑賞しようと思います。さらに絞って言えば、この歌は、「どこから」富士山を眺めて詠んだ歌なのかについての解釈を書いてみます。
 
 私としても、いつもいつも、共謀罪などの政治問題ばかり考えている訳ではなく、文学に思いを馳せることもあるのです。とはいえ、赤人の有名や歌の解釈など書いてみる気になったについては、れっきとした理由があります。
 私が現役の放送大学学生であることは、何度もこのメルマガ(ブログ)に書いてきたことですが、先週の土日(5月13日・14日)の両日、和歌山学習センターで行われた面接授業「中世の紀行文学を鑑賞する」(講師:下西忠高野山大学教授)を受講してきました。私が下西先生の面接授業を受講するのはこれが2度目で、前回はたしか中世説話文学についての講義であったと思います。今回は、2日かけて、鎌倉時代前期に書かれた「東関紀行」(作者不詳)を読むという興味深い内容にひかれて受講を申し込みました。
 赤人が富士を詠んだ短歌の解釈が問題となったのは、「東関紀行」の駿河のくだりに、次のような文章があるからです。
 
国文大観第七編 日記草子部『東關紀行』(尾上八郎解題、植松安校訂(群書類従に依拠)校註日本文學大系 3(國民圖書株式會社 1925.7.23)による)
(抜粋引用開始/〔 〕内の注は略した)
 田子の浦に打ち出でて、富士の高嶺を見れば、時わかぬ雪なれども、なべて未だ白妙にはあらず。青うして天(そら)によれる姿、繪の山よりもこよなう見ゆ。貞觀十七年冬の頃、白衣(びゃくえ)の美女二人ありて、山の頂に竝び舞ふと、都良香が富士山の記に書きたり。如何なる故にかと覺束なし。
  富士の嶺の風にたゞよふ白雲を天つ少女の袖かとぞ見る
(引用終わり)
 
 「東関紀行」に限りませんが、古典文学においては、先行文学(中国及び本朝の)を踏まえた記述や引用が頻出します。特に、紀行文学においては、通過する名所(歌枕など)を取り上げた有名な作品があれば、先行作品に言及するのは当然ということになります。「東関紀行」の作者が、「田子の浦に打ち出でて、富士の高嶺を見れば」と書いたのは、上記の山部赤人の有名な歌を踏まえたものであることは言うまでもありません。
 もっとも、この作者の念頭に浮かんでいた歌が、万葉集に収録された歌(長歌反歌として書かれた)そのものではなく、8番目の勅撰集「新古今和歌集」(1205年)に収録されるに際して改作された以下のヴァージョン(後に「小倉百人一首」にもこの形で収録)であることは明らかです。
 
(新編国歌大観番号 675)
田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
(たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ)  

 原典版万葉集)と改作版(新古今)との比較が本題ではないので、ここでは、末尾の「降りける」が「降りつつ」に変化している(現に今でも降っている、と改作された)ことに注意を喚起するにとどめます。
 
 さて、本題に戻って、今日のテーマ、万葉集の原歌において、詠み手は「どこから」富士山を眺めてこの歌を詠んだかを考えてみます。
 実は、放送大学の面接授業では、受講した学生から二つの説が提示されました。そのうちの一説は私が述べた意見で、「船の上から詠んだ」というものです。そして、別の受講者から、「こちらの方が通説のようだが」ということで紹介されたのが、「田子の浦を通って、より視界の良い所へ行って詠んだ」という説でした。
 そこで早速、持参していた『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』で調べてみたところ、さすがは「全訳」と名乗るだけあり、万葉集のこの歌についても、以下のような現代語訳(及び解説)が掲載されていました。
 
(引用開始)
たごのうらゆ・・・
田子の浦を通って(視界の開けた所へ)出て(眺めて)見ると、真っ白に、富士山の高い嶺に雪は降り積もっていたのだった。
〇「ゆ」は上代の格助詞で、「・・・を通って」の意味。
(発展)「新古今和歌集」中の歌(→たごのうらに・・・)の原歌。荘厳な情景と、それを発見した瞬間の感動を写実的に描く。
(引用終わり)
 
 実は、この『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』は、今回の面接授業を受講する準備として(AMAZONマーケットプレイスで)購入したのですが、私が高校時代に使っていた収録語数だけはやたらと多かった古語辞典と比べ、実に行き届いていて使いやすい!と感動しました。あまりに行き届き過ぎているのではないか?と思うほどです。どの古語辞典を購入するかネットで調べた際、おしなべてベネッセ全訳の評判が良かったのも当然と思われました。

 それでは、上記のベネッセの解釈(どうやらこれが「通説」らしいのですが)に納得したかというと、それはまた別の話であって、私は、やはり、歌の詠み手は「田子の浦に漕ぎ出した(帆船かもしれませんが)船の上から富士を眺めている」という解釈(下西忠先生もこちらの解釈をとっておられました)の方が正しい・・・かどうかは分かりませんが、少なくとも「優れている」と思います。
 面接授業の際にも、自分の意見は一応言いましたが、結論を述べただけで、何故そのように解釈すべきと考えたのかという肝心の理由はほとんど説明できず、それが心残りだったので、その後、自宅にあった文献なども参照しながら考えたことをメルマガ(ブログ)に書いてみようと思い立った次第です。

 私の解釈を述べる前に、もう一つ引用しておきたい文章があります。それは、万葉集研究の大家であった伊藤博氏(1925~2003)による『萬葉集釋注』の文庫版(集英社文庫・全10冊)がたまたま自宅にありましたので、伊藤氏の解釈を知りたいと思って読んでみたのですが、その結果は、以下のとおりでした。

 
伊藤博 『萬葉集 釋注二』(集英社文庫) 140頁
(引用開始) 
 新古今の富士は、田子の浦に船を乗り出して見ている。対して、万葉の富士は、田子の浦べりの陸路を歩いて見ている。蒲原・由比・倉沢の海岸が、万葉時代の「田子の浦」であったらしいが、そのあたりは道近くの山に隠れて、富士山の見えにくい所がある。それで、右に述べた道を通って視界の開けた所に出て眺めえたことをうたったのが、「田子の浦ゆうち出でてみれば」であるという(澤潟久孝『万葉古径』一)。陸路を歩いての富士と船中に座しての富士と、これも古代と中世のほほえましい相違と見るべきか。
(引用終わり)
 
 『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』だけではなく、多分他にも多くの類書が、「田子の浦を通って(視界の開けた所へ)出て(眺めて)見る」と解釈している大本が、どうやら、伊藤博氏の師匠で万葉訓詁学の権威であった澤潟久孝氏の解釈にあるらしいということが分かりました。伊藤博氏も、あえて師の解釈に異を唱えることをせず、淡々と「これも古代と中世のほほえましい相違と見るべきか。」などと述べているだけです。
 
 これから、万葉集の「田子の浦ゆ うち出でて見れば・・・」は、船の上から詠んだ歌だと考える理由を書いてみますが、全くの素人が、澤潟久孝、伊藤博という万葉学の権威による解釈に異を唱えることになりますので、まかり間違って、高校生や大学受験生がこのブログを読むことがあっても、とりあえずは、通説と思われる「田子の浦を通って(視界の開けた所へ)出て」と解釈しておいた方が無難であると、老婆心ながら付け加えておきます。
 
 以上が長い前置きであり、これからが本論ですが、お断りしておかなければならないことがあります。私は、日本文学専攻の学部生でも院生でもありませんので、手持ちの文献や辞典にざっと目を通しただけです。赤人の「田子の浦ゆ・・・」(万葉集318)の解釈についての先行研究の調査という、論文というほど大層なものでなく、ゼミでの発表レベルであっても必須の作業は全くやっていませんし、やる時間もありません。
 従って、今日の記事で記憶にとどめる価値があるのは、
万葉集318「田子の浦ゆ・・・」を読む。
〇新古今675「田子の浦に・・・」を読む。
万葉集318「田子の浦ゆ うち出でて」を「田子の浦を通って(視界の開けた所へ)出て」と解釈するのが通説であることを知る。
までであり(受験生はここまで)、さらに、
〇いかに大家の学説や一般的な古語辞典に掲載された解釈であっても、全て鵜呑みにするのではなく、自分自身であれこれ考えてみることが文学を味わう醍醐味である。
というところまでいけば(少なくとも放送大学の学生ならこの辺のレベルまで来て欲しい)上出来というものです。
 
 それでは、長過ぎる「前置き」はこれ位にして、肝心の「論拠」を書いておきます(先行研究の調査は全くやっていませんが、おそらく多くの先人が同じことを主張していることでしょう)。
 
【論証する命題】
万葉集318「田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」(山部赤人)は、田子の浦の海岸から船で(少なくとも)湾内まで出て、船上から富士山を眺めて(少なくとも、そのような設定で)詠んだ歌である。
 
 【論拠】
1 新古今の時代には廃れてしまっていたとおぼしい上代の格助詞「ゆ」について、手持ちの『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』には、次のような基本的意味を掲載しています。
①(動作の時間的・空間的起点を表し)・・・から。・・・より。
②(動作の経過する地点を表し)・・・を。・・・を通って。(「田子の浦ゆ・・・」を用例として引用)
③以下略
 「田子の浦ゆ」という第一句を解釈するためには、以上の格助詞「ゆ」だけではなく、その前の「田子の浦」の「浦」とは何を指すのかを考えなければなりません。
 ここでも、『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』の「浦」を読んでみます。
①海・湖などが曲がって陸地に入り込んだ所。入り江。湾。
②海岸。海辺。
 おおざっぱに言えば、①は「海」、②は海に接した「陸地」ということでしょうか。もっとも、①にしても②にしても、海と陸地を一体として「浦」と言うのであって、そのどちらに重点を置くかが用例によって異なるということなのかもしれませんが。
 伊藤博氏が引用する澤潟久孝説は、第一句の「田子の浦」を「田子の浦べりの陸路」と解するようですが、私が考える「船の上から詠んだ」説では、「田子の浦」は、海辺のどこか、船を調達した地点ととらえ、「田子の浦ゆ(から、より)うち出でて」とは、田子の浦べりのどこかから船を仕立てて湾内に漕ぎ出したと考えるのです。私のイメージでは、帆掛け船ではなく、手漕ぎ船なのですが、根拠は・・・ありません。
 
2 以下に、私が、海上の「船の上」(私は沖まで出たとは考えていませんが、沖でも矛盾しません)から詠んだと解する論拠を列挙したいと思います。
(1)「田子の浦ゆ」を「田子の浦を通って」と解する説によると、実際に富士を眺めた地点は、「田子の浦」なのでしょうか?それとも「田子の浦」以外のどこか別の地点なのでしょうか?ベネッセの古語辞典を読んだだけでは、どちらの解釈もあり得るようですが(どちらかというと後者の方?)、仮に後者だとすると、わざわざ歌の第一句に「田子の浦」という地名を持ち出す意味がほとんどありません。駿河の国を旅する人が通るほどの道であれば、富士の見えるところなどいくらでもあるでしょう。もちろん、山陰になって見えない箇所もあれば、はっきりと見える箇所もあるでしょう。しかし、問題は、「どこを通ってきたか」ではなく、「どこから」眺めたかでしょう。田子の浦では眺めが良くなかったので、もっと見晴らしの良いどこか別の場所に移動して富士を眺めたと解釈すると、第一句の「田子の浦」は、それまでに作者が歩いてきた他の地名にいくらでも代替が可能ということになってしまいます。
 これに対して、伊藤博氏が引用する澤潟久孝説では(原典にあたっていないので確言はできませんが)、「万葉の富士は、田子の浦べりの陸路を歩いて見ている。」というのですから、田子の浦の「どこか」から見ていると解しているようであり、これであれば、「田子の浦」でなければならず、先の批判はあたりません。

(2)しかし、「田子の浦べりの陸路」のどこか「視界の開けた所に出て眺めえたことをうたった」のだという澤潟説に、どうも釈然としないのは、第一句「田子の浦ゆ」に引き続く「うち出でて見れば」という第二句から受ける印象と、どうもぴったりこないからでしょう。
 ここでも、『ベネッセ全訳古語辞典(改訂版)』を引いてみます。
[うちいづ](動詞)
①(広い所などに)出る。(姿が)現れる。(用例は「田子の浦ゆ・・・」)
②(軍勢などが)出発する。出陣する。
 また、接頭語「うち」も調べてみました。
[うち](接頭語)(動詞の上について)
①ことばの調子を整えたり、意味を強めたりする。
②ちょっと、ほんの少し、という意味を表す。
 万葉集の「うち出でて」の「うち」は、明らかに①の強調でしょう。
 同じ「田子の浦べりの陸路」を歩いている途中、見晴らしの良くないところから見晴らしの良いところに出ることを「うち出でて」と表現するでしょうか。
 「うち出づ」という言葉からは、もっと決然とした、と言っては言い過ぎかもしれませんが、あらたまった気持ちをもってどこかに「出る」という語感があるような気がするのですが。
 私が、田子の浦のどこかで漁師の漁船でも調達し、湾に出て行って富士を見たのではないかと考えるのは、「うち出でて見れば」という第二句から素直に受けた印象をそのまま述べたものなのです。

(3)もう一つ、私が「船の上」説をとる根拠は、新古今の編者による改作です。上二句は、万葉集の「田子の浦ゆ うち出でて見れば」を、新古今の編者は、「田子の浦に うち出でて見れば」と改作しています。
 これについて、通説は、「新古今の富士は、田子の浦に船を乗り出して見ている。対して、万葉の富士は、田子の浦べりの陸路を歩いて見ている。」と解釈しているようなのです。
 私の書庫にあった『新古今和歌集 上』(久保田淳訳注・角川ソフィア文庫)299頁でも、この改作は「田子の浦に出て眺めると、真白な富士の高嶺に雪は降っているよ」と訳されていました。

 これは、場所を示す助詞「に」とあることから、田子の浦べりのどこかで船に乗りこみ、海(田子の浦)に出た、と解釈するしかないということでしょう。
 この新古今版の解釈に全く異論はないのですが、問題は万葉集原典版の方です。私は、結論として、万葉集も新古今と同じように解釈すべきだと思っています。
 もちろん、語釈としては、万葉集(田子の浦ゆ うち出でて見れば)は、「田子の浦(海岸)を通って」(あるいは「田子の浦(海岸)から」)(田子の浦の湾に船で)出て、「見てみると」と解釈することになりますので、新古今の「田子の浦に うち出でて」と全く同じとはいきませんが、実質的には同じ光景を詠っていると解釈します。
 新古今は、万葉集の第五句「雪は降りける」を「雪は降りつつ」と、今現に雪が降っているという情景に「改作」しており、これは何らかの作歌上の意図をもっての改作と見るべきでしょうが、第1句末尾の「ゆ」を「に」に改めるについて、澤潟久孝説の言うような、実質的な改編を加える意図があったとはどうも思えないのです。
 ただ単に、「ゆ」という格助詞が全く使われなくなっていることから、同じ情景を詠うための代替語として「に」に変更しただけではないのか、というのが私の推測です。
 それに、同じ雪の富士を詠んだ情景歌にしても、雪が降って白く積もっているという末尾を、降り続けていると書き改めた上に、どこから詠んでいるのかという点まで改作したのだとしたら、もはや赤人の作と表示する必要もない位ではないでしょうか。
 先にも書いたとおり、「浦」には、入り江、湾など、「海」の要素に重点を置いて使われる場合と、海岸、海辺など、「陸」の要素に重点を置いて使われる場合の双方があり、万葉集の「ゆ」と新古今の「に」の違いは、そのどちらの意味に重きを置くかの違いに過ぎず、実際の情景は同じだと解釈すべきではないかというのが私の意見です。

(4)以上の二説(「田子の浦ではないどこか別の場所」で詠んだという説は論外としておきます)では、作者がどのような情景を眺めながら第三句以降(真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける)を詠んだのかという前提が変わってきます。
 まず、「田子の浦べりの陸路」のどこか「視界の開けた所に出て眺めえたことをうたった」という説に立つと、作者が眺めているのは富士山だけです。作者の周囲には山も木もあったでしょうが、それは作歌の要素には全くなっていません。
 これに対し、田子の浦べりのどこかから船を仕立てて湾内に漕ぎ出したと考えると、そこから北方を振り返った作者の目に飛び込んでくるのは、遠景の白く雪が降り積もった富士山と、その前面に開ける近景としての田子の浦の風景です。
 「田子の浦べりの陸路」をいくら歩いても、田子の浦の全景を一望のもとに見渡すことはできません。仮に、相当に見晴らしの良い地点に出たとしても、富士山は良く見えるかもしれませんが、田子の浦は、その一部を見られるだけでしょう。仮に、田子の浦の相当部分を見渡せる場所があったとしても、田子の浦と富士山を同時に眺めることは不可能です(方角が全く違います)。
 「田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」という一首の歌を読んだ者は、白い富士の情景だけを思い浮かべるのでしょうか。その前景に広がる田子の浦をも一望のもとに眺めながら詠んだものと解釈することによって、初めてこの歌の雄大さが理解できるのではないかと思います。
 ちなみに、このような情景を読み込んだものと解釈すべきだというのは、面接授業の講師、下西忠先生からご教示いただいたことです。

(5)私が「船の上」説をとる論拠は、概ね以上で述べたところに尽きます。以下に述べることは、もしかしたら論拠になるかもしれないという生煮えの素材です。
 先にも少し触れましたが、山部赤人のこの作(万葉集318)は、長歌万葉集317)への反歌として作られたものです。
 その長歌を引用しておきます。
 
(旧国歌大観番号 317)
天地(あめつち)の 分かれし時ゆ 神さびて 高く貴き
駿河なる 富士の高嶺を 天の原 振り放(さ)け見れば
渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず
白雲も い行(ゆ)きはばかり 時じくぞ 雪は降りける
語り告げ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
 
伊藤博氏による現代語訳)
天と地の分かれた神代の昔から、神々しく高く貴い駿河の富士の高嶺を、大空はるかに振り仰いで見ると、空を渡る日も隠れ、照る月の光も見えず、白雲も行き滞り、時となくいつも雪は降り積もっている。ああ、まだ見たことのない人に語り聞かせのちのちまでも言い継いでゆこう、この神々しい富士の高嶺のことを。 
伊藤博萬葉集 釋注二』(集英社文庫)138頁

 上記長歌に添えられた反歌が「田子の浦ゆ・・・」なのであり、どう考えても、「船の上」説をとった方が、勇壮な長歌との釣り合いがとれていると思うのですが。
 
3 最後に、本当の蛇足かもしれませんが、私の手許に、江戸時代後期の学者・尾崎雅嘉があらわした小倉百人一首の注釈書『百人一首一夕話(ひとよがたり)』全2冊(岩波文庫黄版)がありましたので、江戸時代の人はどのように解釈していたのか(新古今版の赤人の歌が小倉百人一首にも採られていますので)知るために、該当箇所を引用してみます。
 


「・・・しかればまづ万葉の歌にて解くべし。
 田子の浦ゆとは田子の浦よりといふ事にて、駿河国庵原郡の田籠の浦から向こうへ出て見れば、真白に富士の高き嶺に雪の降りたるが見ゆるといふ事なり。しかるに直して入れられたる今の歌(注:新古今及び百人一首)にて解けば、田子の浦へふと出でて見れば真白なる富士の高き嶺に、また雪が降りつ降りつするといふ心になるなり。」
岩波文庫百人一首一夕話』(上)67頁)
 

 言葉が短か過ぎて判然としないところがありますが、尾崎雅嘉は、万葉原歌を、私が「論外」とした「田子の浦ではないどこか別の場所」で詠んだと解釈しているように読めます。まことに古文の解釈は多様で奥が深いということでしょうか。

越野章史さん(和歌山大学教育学部)スピーチ全文「教育勅語と共謀罪がもたらす社会」~5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」から

 今晩(2017年5月22日)配信した「メルマガ金原No.2820」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
越野章史さん(和歌山大学教育学部)スピーチ全文「教育勅語共謀罪がもたらす社会」~5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」から

 一昨日(5月20日)、和歌山市で行われた「安倍政権に反対する和歌山デモ(ABE NO! DEMONSTRATION)」に、私は所用のために途中からの参加となったのですが、集合場所の大新公園では、出発前の集会に、政党関係者の挨拶やメッセージの披露などがあったようですね。友人・知人のFacebookに掲載された写真、レポート、メッセージなどによると、岸本周平衆議院議員民進党)や原矢寸久さん(日本共産党和歌山県委員会)による挨拶があり、自由党からはメッセージが届けられたようです。
 
 また、サウンドデモ恒例のスピーチも勿論行われましたが、私が合流したのは、和歌山大学教育学部の越野章史先生によるスピーチが佳境に入ったところでした。どうやら、教育勅語の学校現場での使用を容認する一方で、共謀罪を強引に成立させようという安倍政権の政策が何をもたらすかについての警告であると思われました。「最初から全部聴きたかったな」と残念に思っていたところ、WAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)ホームページに掲載されていることを、「九条の会・わかやま」の柏原卓先生から教えていただきました。
 そこで、早速一読したところ、サウンドデモでの先導車からのスピーチという制約の中で、いかに分かりやすく問題の本質を伝えるかということについての配慮が行き届いたスピーチ原稿であり、非常に感銘を受けました。
 これは、是非皆さんにもお読みいただきたいと思い、越野先生に本メルマガ(ブログ)への全文転載についてのご許可をお願いしたところ、ご快諾いただくことができました。
 なお、越野先生が昨年刊行された著書『市民のための道徳教育―民主主義を支える道徳の探求―』をご紹介した私のブログも是非併せてご参照いただければと思います。


 本稿は、今年の2月6日から私のメルマガ(ブログ)でスタートした共謀罪シリーズの第27回でもあります。
 

WAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)ホームページより
(引用開始)
 2017年5月20日に和歌山市内で行われた「安倍政権に反対する和歌山デモ ABE NO! DEMONSTRATION」でのスピーチから、和歌山大学の越野章史先生のスピーチ全文をご本人から提供された原稿で紹介します。安倍政権が戦前回帰の改憲をめざして暴走する中、「教育勅語共謀罪」というタイムリーで核心的な内容を、専門の教育史を踏まえて分かりやすく語られたものです。
 
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皆さん、こんにちは。
 私は、教育の歴史を研究しています。
 今日は、森友学園問題によって急に話題になるようになった「教育勅語」というもの、森友系列の幼稚園で子どもたちが暗唱させられていたものですが、それがどういうものなのかを話してほしいと言われて、この場に立っています。その話だけしようと思っていたのですが、昨日になって、国会で審議されている、いわゆる「テロ等準備罪法案」、以下では「共謀罪法案」と呼びますが、それが衆議院の委員会を通過してしまいました。これはとても重大で危険なことだと思い、急遽、この二つを合わせて話をさせてもらいたいと思います。
 「教育勅語」と「共謀罪」、この二つには関係がないんじゃないか、と思う人も多いかもしれませんが、私は、この二つがあわさった時、日本の社会がどうなるのかを想像してほしいと思うんです。それを具体的に想像するために、今からおよそ80年と少し前、1930年代の日本社会がどのような社会だったのかを、少し話させてください。
 1930年代の日本と言えば、教育勅語がつくられてからすでに40年以上が経過しています。学校教育を通じて子どもたちはそれを繰り返し暗唱させられ、意味はわからなくても、それが大事なものだということだけは徹底的に教え込まれています。当時の小学校高学年の道徳の教科書には、勅語の意味を解説した教材も収められていますが、そこで言われていることは大きく2点です。
 一つは、日本という国が他の国とは違う、特別なすばらしい国だということです。なぜすばらしいかと言えば、日本には遙か昔からずっと続いてきた天皇家という統治者がおり、その統治者はやはり遙か昔に道徳を樹立し、この道徳を国民全員が受け入れ、実践し、受け継いできたのだ、というのです。つまり他の国とは違い、日本という国は、ありがたい天皇家と国民全員が、ひとつの道徳を共有し、道徳によって結びついた国だ、そういう意味で他の国とは違う、「美しい国」だ、ということが述べられています。そして、こういう国のあり方、成り立ち方を指して、「国体」という言葉が使われています。また、この、天皇家が樹立したとされる「道徳」こそが日本人を結び付けているものなのだから、それを次の世代にも教えていくこと、それが教育の目的なんだ、ということも言われています。
 もう一つは、そこで言う「道徳」の中味です。「教育勅語」にはそれも書かれています。はじめは親孝行とか友だちは信じ合えといった、国民にも分かりやすい、受け入れやすいことから書かれていますが、そういう日本人の「道徳」をだんだんと範囲の広いものに拡げていくことで、最後に行き着くのは「戦争になったら天皇家を助けて勇ましく戦いなさい」ということです。これこそが、「日本人」であるために実践しなければならない「道徳」だ、ということが学校を通じて徹底的に教え込まれていたわけです。そういう教育を、すでに40年以上にわたって続けていたのが、1930年代の日本社会の一つの側面です。
DSCN1539 もう一つ、その時代の日本社会についてお話ししたいのが、その頃はまだ比較的「できたばかり」だった、「治安維持法」という法律です。1925年に、普通選挙の実施と同時につくられた法律ですね。この法律は、先ほど出てきた「国体」というもの、これを変えることを目的とした団体をつくったり、それに加入したりした人は罰する、という法律です。最高刑ははじめは懲役10年ですが、第2条で、そういう団体をつくろうという話し合いをしただけでも、懲役7年を最高とする罰則が設けられています。
 つまり、天皇(実態としてはその周囲にいる政治支配者)の考えを、国民が一体となって共有し実践する、そういう国のあり方を変更しようと企む団体を、それをつくろうとする話し合いの段階から、警察が取締り、罰しようというものです。「教育勅語」がうたいあげた国のあり方を、刑事罰でもって国民に強制しようというのが「治安維持法」だったわけです。治安維持法はその後数回の改正を経て、1940年には、問題となる団体の役員・指導者には死刑、ただ協議をしただけでも懲役10年という、非常に苛酷な罰を伴った法律になります。さらに、「国体の変革」など目的としていない団体・個人であっても、政府の方針に逆らった言動が明らかになれば、治安維持法が適用されて逮捕されるようになっていきます。一つだけ例を挙げますが、1939年、キリスト教宗派の一つである「灯台社」の信者が陸軍に召集された後に「兵器は殺人の道具である」として、宗教上の理由から銃の使用を拒否し返納するという事件が起きたのですが、この信者の態度を支持した灯台社の指導者達が治安維持法違反で一斉に130名検挙されています。灯台社は結社禁止とされます。つまり、宗教上の理由から戦争への反対を言っただけで逮捕される、下手をすれば死刑、そのために使われる法律になっていくわけです。
 教育勅語に基づいた教育と治安維持法によって、政府に反する言論や活動を一切封じられた社会。それが1930年代の日本です。そして言うまでもなく、1931年には満州事変、37年に日中戦争、41年の太平洋戦争と、この時代こそが、あの戦争へと突入していく時代です。勅語治安維持法は、日本が戦争へと突入していく際に、国民から批判的思考を奪い、市民社会の異論を力で封じ込めるための、二つの大きな装置、車の両輪であったと言っていいでしょう。
 現在の政府は、森友騒動を受けて、教育勅語を教材として使うことまでは否定しないという見解をわざわざ明らかにしました。それは、歴史を学ぶ題材として教育勅語を批判的に扱おうということを奨励したものではないと思います。塚本幼稚園のような教育に共感する人が総理大臣を務めているわけですから、まだ意味などわかりようもない幼い子どもに、それを暗唱させるような教育を「アリ」だと言っているわけです。
 そして昨日成立に向けて一歩進んでしまった共謀罪法案。たとえば何かの政策に反対するために座り込みを計画したら、たとえ後からそれが法に触れると判断して中止したとしても、「共謀」罪は成立してしまいます。テロとは何の関係もないような犯罪も含めて、非常に多くの犯罪が、「共謀」の段階から罪に問われることになっています。国会ではキノコ採りが話題になりましたが、一般の窃盗罪も、著作権法違反も、威力業務妨害罪も、すべて「共謀」で逮捕・処罰可能になります。普通の市民のする普通の行為や会話が、ものすごく広い範囲で捜査と取締りの対象になりうる。これは政府に批判的な市民運動などにとって、強烈な萎縮効果をもつでしょう。
 教育と刑罰、この二つをセットにして、政権が目論んでいるのは、1930年代のような、政府の行うことに国民が一切異論を唱えることのできない社会の再来ではないでしょうか。戦前への回帰、戦前のような社会をふたたびつくること、それがねらわれているように思えてなりません。そして、それは戦争へのブレーキを失わせる道です。
 かつてこの国がおかした過ちを、同じような形でふたたび繰り返させるわけにはいきません。できることをしましょう。情報を集め、学習し、周りの人と話しましょう。Noと言える今のうちに、精いっぱい、Noをつきつけましょう。
 2017年5月20日、私は、戦前社会の再来を拒否し、それを推進する者に断固としてNoと言います。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/越野先生関係)
2013年3月29日
4/7楠見子連れ9条の会・学習会のお知らせ(in和歌山市)
2016年8月14日
越野章史著『市民のための道徳教育―民主主義を支える道徳の探求―』を読む
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/共謀罪シリーズ)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

2017年5月9日
「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

2017年5月17日
「共謀罪」をめぐる5月16日の動きを動画で振り返る~衆議院法務委員会参考人質疑、日比谷野音大集会、立憲デモクラシーの会シンポ

2017年5月20日
闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」

安倍ノーデモ裏安倍ノーデモ裏 

6人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏)

 今晩(2017年5月21日)配信した「メルマガ金原No.2819」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
6人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏)

 紀の川は、大台ヶ原に源を発し、奈良県から和歌山県に入ると、それまでの吉野川から名前を変え、中央構造線の南側に沿って西流し、和歌山市紀伊水道に注いで終点を迎えます。
 その名に紀の川を冠した9条の会「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、平成の大合併により、紀の川沿いの5町が合併し、2005年(平成17年)11月7日に「紀の川市」が誕生したため、県外の人からは「紀の川市」の9条の会という誤解を受けやすいのですが、同会が、和歌山市河北コミュニティセンターで結成総会を開いたのが、同じ年の1月24日であったことからも分かるとおり、「紀の川市」とは関係のない、「憲法第9条を守りたいという志を持つ紀の川の北側に住む和歌山市民の集まり」(結成後約2年で更新が途絶えた同会ホームページより)です。

 私自身、「守ろう9条 紀の川 市民の会」がエリアとする紀の川北岸に居住する和歌山市民であったこともあり、結成以来、同会の運営委員に名前を連ねており、このメルマガ(ブログ)でも、たびたび同会の企画をご紹介してきました。それを読まれている方は、近年、同会が多くの県外の憲法研究者の皆さんをお招きして、春の総会、あるいは秋の憲法フェスタにおいて講演していただいていることもご存知のことかと思います。
 そして、その講演内容については、同会運営委員でもある「九条の会・わかやま」事務局の南本勲(みなもと・いさお)さんが、要旨ではありますが相当に詳しい講演録を作成し、会紙「九条の会・わかやま」(基本的に旬刊)に、通常3回程度に分けて連載され、ただちに「九条の会・わかやま」ホームページにもアップされています。
 今日は、過去、「守ろう9条 紀の川 市民の会」で講演された6人の憲法研究者の皆さんの講演録を、「九条の会・わかやま」ホームページにリンクしてご紹介します。
 その内、直近の植松健一立命館大学教授の講演録についてのみ、全文転載させていただきました。

 ちなみに、「守ろう9条 紀の川 市民の会」では、はじめのうちは、同会の運営委員を務める地元の弁護士が主に講師を務めていました。更新されていないホームページを見ると、2006年1月23日に開かれた第2回総会では、「最近の改憲をめぐる動向について」と題して私が記念講演をしていました。中身は全然憶えてないですけどね。
 身内の運営委員をかねる弁護士はすぐに人材が枯渇してしまい、その後は、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」会員の中から、大長老・月山桂先生をはじめ、由良登信、石津剛彦両護士などに講師を依頼し、さらに、大阪の梅田章二弁護士や兵庫の羽柴修弁護士にも来ていただくなど、講師選定の幅を広げた末に、「ダメモトで、憲法研究者にお願いしてみよう」ということになり、吉田栄司関西大学教授や森英樹名古屋大学名誉教授にお願いしたところ、いずれも快くお引き受けいただいたのに味を占め、現在に至る路線が引かれることになったという次第です。

 思い返せば、初期には、「有権者過半数を動かした岩国の運動」と題し、「艦載機受け入れ反対に○をする会」会長の吉岡光則さんに記念講演をお願いしたこともありますし(第3回憲法フェスタ)、その後は、フリージャーナリストの西谷文和さんをお招きしたり(第7回憲法フェスタ)、昨年の第13回憲法フェスタなど、メイン企画は小林康二さんの憲法漫談でしたものね。いつもいつも憲法研究者による講演というわけではありませんが、「憲法を学ぶ」ということを基本に据えて企画を考えていることは間違いありません。
 「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、憲法研究者以外にも、岩本智之先生(元京都大学原子炉実験所/環境学/第8回憲法フェスタ)や二宮厚美先生(神戸大学名誉教授/経済学/第9回総会)に講演をお願いしていますが、今日のところは憲法研究者に限定して講演録をご紹介することとします。
 掲載順は、新しいものから古いものに遡ることとし、南本勲さんがまとめられた講演録(「九条の会・わかやま」ホームページ掲載版)にリンクをはっておきますので、(植松健一先生以外の講演録も)是非リンク先でお読みください。
 なお、ついでと言っては何ですが、それぞれの講演の模様をレポートした私のメルマガ(ブログ)があるものについては、そちらにもリンクしておきます。なお、会場はいずれも和歌山市河北コミュニティセンター(2階多目的ホール)でした。

 
戦前、治安維持法で逮捕・投獄され、獄死した戸坂潤という唯物論哲学者がいた。治安維持法自由主義的な学説までが取り締まられるようになった象徴的な事件である「天皇機関説事件」が起った1935年、戸坂は「憲法学に就いての一定の学的立場と学的解釈方法とをば、一個の行政府に過ぎない政府が公的に決定して之を施行するのだから、言論の自由と信教の自由とが全く制約される」と言い、法律の客観的解釈をしている作業を行政機関にすぎない政府が、突然誤っていたと言い始めるのは明らかに言論・思想・文化への統制だと批判した。同時に戸坂は言論・思想の「統制政策はいつも、国民のこうした一種の無関心による支持を見出し得る場合に限って容易に成功するのであり、或いはそういう無関心な支持を期待出来そうな場合だけを選んで、最も容易に発動するのである」とも言っている。世論がもっと怒ってもよいはずなのに、大きな批判にならないのを見て、国家権力が文化・思想・芸術などを統制してくるのは、国民の多くが自分は関係ないと無関心でいる時こそ、狙っていると言っている。これは、政府が長らく否定してきた集団的自衛権を、一内閣が突然閣議決定して肯定する現在の情勢に似ている。政府が権力批判をさせないという意味での統制が次第に世の中に蔓延する今の時代状況も気になるところだ。戸坂は、合わせて当時の映画、演劇などに対して、時の内務省、文部省が統制し始めており、しかも検閲とか弾圧とかでなく、各業界の中に自主的な組織、例えば、帝国美術院、文芸懇話会、活動写真連盟などをつくり、それが自主的に規制する動きが強まっていると言っている。文芸懇話会は1934年に内務省警保局長・松本学が文化統制を目的に一流の作家を巻き込んで創立した官民合同の文学団体で、戦争遂行の後押しを文芸の立場から行った。同じようなことが、2015年6月、自民党が芸術家を講師に招いて意見交換する勉強会「文化芸術懇話会」を作り、芸術家との意見交換を通じ「心を打つ『政策芸術』を立案し、実行する知恵と力を習得すること」を目的として行われている。「政策芸術」なるものは、ナチススターリン時代の国家が、国の政策遂行に芸術を利用するために、自分たちに近い芸術には資金を惜しみなく投下し、それに反する芸術は弾圧するということだが、知ってか知らずか、同じことを言っており、第1回の講師・百田尚樹が「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」などと発言し、問題となったものだ。
CIMG6998 共謀罪の問題も政府はテロ対策だとか言っているが、これも怪しい情報操作があり、もとの条約は国際的なマフィアなどのマネーロンダリングなどを国際的にコントロールできるように各国がやろうというものだ。日本は既に厳しくやっているし、いくつかの犯罪には予備罪も設定されている。殺人その他の犯罪は共謀共同正犯として共犯扱いされるケースもある。従って、共謀罪をやらなくても現行法で十分やれる。現にある法案整備だけで対応している国がたくさんある。英・仏・独でもテロ対策用の法律を作って監視していても、テロを防げていない。共謀罪は通信傍受やメールの監視をしなければ捜査は出来ないので、テロ対策よりもむしろ市民の監視の方が狙いだと見られている。警察や公安に監視されていることに私たちは不安を感じ、自分の行動が萎縮してしまう社会になっていく可能性がある。大分県の隠しカメラ事件のようなことが大手を振って行われるようになるのが共謀罪だ。相変わらず政府はそんなことには使われないと言っているが、戸坂が命を落とした治安維持法も導入された時の政府は、これはあくまで共産主義を狙いにしたもので、一般市民には直接関係のない法律だと議会で答弁している。だが次第に罰則も強化され、最高刑は死刑になり、適用対象もだんだん拡大し、やがて反戦思想、自由主義思想、宗教団体も弾圧されるようになった。まさに治安維持法は最初は危険でないと導入されたが、拡大していった歴史が今回の共謀罪に起こらないとはいえない。
 1934年に陸軍省新聞班が出した『国防の本義と其強化の提唱』には、今後の戦争は総力戦でないと勝てないという危機意識から、「科学的研究機関を統制し、合理化し、その能率を向上」「発明を奨励し、資金供給、研究機関の利用の道などを開拓し、特許制度の改善を行う」「民族特有の文化を顕揚し、ヨーロッパの文物の無批判な吸収を防止する」「智育偏重の教育を改め、訓育を重視し、かつ実際的教育を主とする」と述べている。これも現在の反知性に繋がってくるし、人文系ではなく実用性重視にも繋がってくる。2013年12月17日に安倍政権のもとで閣議決定された「国家安全保障戦略」の「防衛生産・技術基盤の維持・強化」「情報発信の強化」「社会的基盤の強化」「知的基盤の強化」は70年前にやろうとしていたこととほとんど同じだ。
 レジュメには「すでに『憲法』を変えてしまった安倍政権」と書いているが、日本国憲法は今のところ幸いにして条文自体は変えられていない。「憲法」を英語で「constitution」という言い方をした時は、条文だけをイメージするのではなく、この国の制度とか法律とかいろんなものを含めてこの国の形を作っているもの全体を指す。明治期には「国憲」と呼んでいた時代がある。正確に言えば「国憲に関る法(constitutional law)」が今我々がイメージする憲法だ。そのように考えると、特に安倍政権になってから、少なくとも戦後の「constitution」が大きく揺らいで、捻じ曲げられている。それまでは、いくら首相に人事権があるといっても、やってはいけないことがあるということが権力担当者に共有されていたが、どんどん潰されてきた。一定の独立性を保ち、専門的な立場から政権が暴走しないようにコントロールする立場にある、例えば日本銀行、NHK、内閣法制局などのトップを替えることによって政権の意向に近い政策を遂行させてきた。最近では最高裁判官人事も危なくなっている。
 自民党憲法改正案を出しており、今後どうなるかを考える際には、そもそも安倍政権とはどういう政権なのか、或いは誰がそれを期待し歓迎しているのか見ておく必要がある。安倍政権を支える勢力は大きく分けると3つある。1つはアメリカだ。トランプで少しややこしくなったが、従来のブッシュ政権であろうが、オバマ政権であろうが、基本的には日本に軍事的なより一層の協力を求めてきた経緯がある。トランプは大統領になる前に駐留はやめるみたいなことを言って、安倍首相が飛んで行きご機嫌を取って、尖閣は安保の適用範囲だと言ったら、一部のマスコミは、安倍政権は頑張ったみたいなことを言っているが、ブッシュ政権オバマ政権も尖閣を守ると言っており、ゼロ回答に過ぎない。その結果として、思いやり予算の減額とか、普天間基地は必要なのかなどの議論は、とても言えない状況を作ってしまった。外務省筋、自衛隊の制服組などが米軍と共同訓練をやる中で、米軍と発想が一緒になっている幹部層がこれを支持している。2つ目は、グローバル企業を守っていくために様々な成長戦略をやらねばならない勢力がいる。これは経産省とともに防衛省内の防衛装備庁がその代表だ。最後の3つ目は、安倍晋三という人格に期待している勢力日本会議などの復古的な人たちということになる。そして、これらの人たちがイメージする憲法像があり、それらが今の改憲論考で共同し合い、時には矛盾を起こしながらやっているような感じがする。
 アメリカの利益を何とかしようということになると、日本はもっとアメリカの助けになるような軍事大国にならなければいけないということになり、これを憲法改正でやろうとすると、今の解釈改憲での限定的な集団的自衛権の行使では不十分で、普通の軍隊にしたい、制約のない集団的自衛権になると、9条を破棄するような完全な国防軍化、それに付随する軍事裁判所とか緊急事態条項を作っていくのが大事な課題になるし、それを国民精神の中で支えるためには愛国心条項も必要となる。ただこれを、政府解釈の変更でやってしまったので、緊急の必要性は後退しているのではないか。
 グローバル企業を支えていくのは新自由主義型の改憲論ということになる。例えば、財政規律をもっとしっかりして赤字を作らない健全財政条項、経済戦略特区や道州制などを実施するための地方自治規定の改正、二院制だとなかなか迅速な決定ができないということで参議院の廃止または権限縮小、社会権規定の削除なども考えられている。ただこれを進めると人々の心は荒み、社会は分断化されるので、この矛盾を隠すために愛国心条項・家族条項がここでも活躍することがある。ただ、これらも憲法レベルでやらなくても法律レベルでやれることも多い。
 右翼的な復古的な改憲は、昔からある話だが、押し付け憲法破棄という発想や、天皇元首化、愛国心・家族条項、政教分離規定の緩和、個人の尊重規定の改廃、「公益」による人権制限などがある。ただ、森友問題などを見ると、安倍政権は「日本会議ど真ん中」みたいな部分とはちょっと距離を置いている可能性がある。安倍首相は最近露骨なことを言わなくなっている。政権維持のためだろう。
 私は、安倍政権はそんなにも憲法を変えることに頑張らないのではないかと思うが、安心かというとそうではない。
CIMG7001 それでもなぜ改憲なのか。「お試し」でやって国民を慣れさせようという「おためし改憲」とか、「とりあえずまずやってみよう」という「とりま改憲」とかが狙われている。私なりにまとめると、①「私らしさ改憲」、即ち、日本国憲法の破棄、或いは徹底的な改廃はアイデンティティーで、個人的な思い入れもあるだろう。右翼であるためには日本国憲法を徹底的に嫌わなければならないというところがあるのかもしれない。旗を降ろしてしまうと、日本会議もいろんな勢力があるので、まとまらなくなってしまうから、旗は降ろせない。②「どさくさ改憲」は、この間の災害対策というところから緊急事態条項を入れ込もう、ここを改憲の突破口にしようというものだ。とにかくどさくさにまぎれて国会議員の任期延長なども狙われている。③「偽の優しさ改憲」は、高校無償化とか、同性婚を認めるとかをやるためには憲法改正が必要だという優しさのふりの話になっている。しかし、高校無償化は法律でできる。やる気もないのに憲法改正のダシに使っているに過ぎない。13条の個人の尊重を重視すれば、同性婚も圧倒的な憲法学者は解釈で可能だと言っている。④「あわよくば改憲」は、安倍首相は安保法制などでやれると思っているが、もし、国民意識がミサイル問題などで憲法を改正してもよいとなれば、そこは一気に押し込もうと狙っている。チャンスがあれば自衛隊の完全な国軍化も目指している。
 トランプが出てきて、ヨーロッパでは右翼勢力が台頭し、日本でもヘイトスピーチが行われるなど、簡単に言えば排外主義とか差別主義が世界で勢いづいてきたのは事実だと思う。憲法13条には2つの重要な要請がある。ひとつは、「全て国民は、個人として尊重される」で、もうひとつは「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、国政の上で、最大の尊重を必要とする」という規定である。幸福追求の権利と、その前提として個人として尊重される権利の2つが保障されていることが日本国憲法のすばらしいところだし、まさに近代立憲主義の核心である。この間、安保法制の集団的自衛権の行使を容認するために、政府は13条を使い、「生命、自由及び幸福追求に対する権利に重大な影響を与える時」には集団的自衛権も行使できるとした。13条の都合のいい引用で飛躍だが、前半の「個人として尊重される」という部分を無視して集団的自衛権を正当化している。「個人」とはいろんな価値観の人がいるが、どんな人であっても価値は同じだということで、この発想からすれば、自衛隊員や他国の人が犠牲になっても自分たちの生命が守られればよいという話とは違う。「個人として尊重される」ことの大事さを知る人びとは、他人もまた「個人として尊重」しなければいけないということを考えることができるはずだ。個人を大切にする立憲主義を維持するために重要なのは、他者の気持ち、考えに「共感する力」が必要だ。そう考えれば、排除や差別はなくなっていくはずだし、なくしていかねばならない。
 沖縄もひどいことになっている。こと沖縄に関して国がやってきたことは、反対派を排除し、刑事訴訟法に反する長期拘束をしたり、知事に個人的に数百億円も請求するなど、合法の仮面をかぶった暴力だ。政府や官僚がそういうことをするから、沖縄に対する差別的なことを言ったり、無関心だったりする人が出てくることになる。
 今、政治的中立が問題になり、いろんな活動を萎縮させようとする動きがある。自治体の公民館などが政治的中立に反するから「憲法を守ろう」とかいうタイトルだけで貸さないなどの動きがある。これは勘ぐる政治で、忖度で記録にも残らない。そうした時、憲法12条に「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」とある。「濫用してはならない」とあるので権利を制約する条文ではないかと見える。しかし、もともと立憲主義の「主義」とは、「本当はそうではなくてもいいけれど、自分はそういう体制を支持するというスタンスだ。権力者は権力を持っているのでやりたいようにやれるが、権力者も憲法の下での制約を破ることはできないという政治をやろうというのが立憲主義だ。放っておけば権力者は守らないが、守らせなければならないという価値選択だ。全体主義より立憲主義の方がよいということを選択したのだ」ということだ。そうなると「国民は日常的な不断の努力をしよう。自分たちの自由や権利を行使して立憲主義を維持させよう」ということになるだろう。表現の自由とかいろんな自由・権利が13条以下に保障されている。それを自分のために使うことは保障されているが、それだけではなく、時に政治家が立憲主義を破ろうとしたり、守らなかった時には、立憲主義を守るために私たちに保障されている自由・権利を行使する責任を負っている。これが12条が言っていることではないかと思う。そうなると私たちが集会やデモに参加するのは、自分の幸せのためというより、立憲主義を守ろうという12条が求める責任を果たしていることではないかと思う。
 「不断の努力」は同時に「普段の努力」でもある。この12条に基づく基本的人権の行使は「人権の立憲主義回復的な行使」と呼ぶべきもので、まさに「普段の」抵抗をバック・アップするものと理解できるのである。(おわり)

2016年4月2日(土) 第12回 総会
石埼 学氏(龍谷大学法科大学院教授)
戦争法は廃止、憲法9条が輝く日本を取り戻そう~今、私たちにできること~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」296号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」297号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」298号
金原ブログ① 「石埼学龍谷大学法科大学院教授の講演をレジュメから振り返る~4/2「守ろう9条 紀の川 市民の会」第12回総会から」
金原ブログ② 「石埼学龍谷大学法科大学院教授の【設問】に答える~「安保法制」講師養成講座2」
 
2015年11月3日(火・祝) 第12回 憲法フェスタ
高作正博氏(関西大学教授)
「戦争法制」で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗すべきか~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」285号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」286号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」287号
講演録④ 会紙「九条の会・わかやま」288号
金原ブログ 「「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ」
 
2014年11月8日(土) 第11回 憲法フェスタ
清水雅彦氏(日本体育大学教授)
ちょっと待った!集団的自衛権~日本を戦争する国にさせない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」260号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」261号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」262号
金原ブログ 「『脱走兵』が日本の現実とならないように~11/8守ろう9条紀の川市民の会「第11回 憲法フェスタ」」
 
2014年3月30日(日) 第10回 総会
森英樹氏(名古屋大学名誉教授)
「国家安全保障基本法」は戦争体制を作りあげるもの
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」243号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」244号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」245号
金原ブログ 「森英樹氏講演会を開催しました(守ろう9条 紀の川 市民の会・第10回総会)」
 
2012年11月3日(土・祝) 第9回 憲法フェスタ
吉田栄司氏(関西大学教授)
改憲派憲法を変えて日本をどんな国にしようとしているのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」205号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」206号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」207号

闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」

 今晩(2017年5月20日)配信した「メルマガ金原No.2818」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」

 昨日(5月19日)、衆議院法務委員会での共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)の強行採決を承けて、今国会(常会)の会期延長(国会法によって延長は1回限りとされています)をにらみながら、参議院での審議未了廃案を目指す闘いをどう構築していくかが当面の課題となります。
 
 今日は、そのような視点から、2つの話題をお届けします。
 1つは、和歌山市ではほぼ1年ぶりの開催となったサウンドデモの報告です。「安倍政権に反対する和歌山デモ(ABE NO! DEMONSTRATION)」と名づけられたこのデモ、WAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)の院生や学生など、多くの若者が企画・準備・実施に取り組んでくれて開催にこぎ着けました。
 私自身は、所用のために、集会やスタートに間に合わず、デモの途中からの参加となりましたが、Facebookに簡単な写真レポートを掲載しましたので、以下にその記事を転載します。写真についてはリンク先でご覧になってください。
 私は、いつものように、デモの写真を撮ったり、人数をカウントしたりしながら、沿道の人の反応に注意していました。そもそも、土曜日の午後とはいえ、あまり人通りのないところもコースに含まれており、いわゆる繁華街(であるはずのところ)でも、それほどの人出ではありませんでしたが、元気なコールに驚きの表情を浮かべている人が目につきました。その内、どれだけ驚きから共感に変わってくれるかは分かりませんが、気付きのきっかけを自分たちで作り出すことから始めなければという、企画者の意図は達成されたのではないかと思います。
 今日のデモは、共謀罪に特化したものではありませんが(終盤には、大学学費値下げ要求もありましたし、原発反対のコールも行われました)、昨日の委員会採決を怒りをもって受け止め、アピールの力に出来たものと思います。
 以下に、Facebookに書いた文章を転載します。

「5/20安倍政権に反対する和歌山デモ」写真レポート(金原徹雄Facebook)
(引用開始)
安倍政権に反対する和歌山デモ 今日(5月20日・土曜日)晴天の下、和歌山市でのほぼ1年ぶりのサウンドデモが、大新公園をスタートし、けやき大通り⇒JR和歌山駅前左折⇒北大通り⇒中之島ロータリー通過⇒北大通り⇒北新橋西詰左折⇒築地通り南進(ドン・キホーテ前通過)⇒堀詰橋南詰プロムナードにゴール・解散という、約1時間15分の行程で行われました。私は、どうしても外せない親戚の法事に出席した後、大急ぎで着替え、中之島ロータリーを通過した直後のデモ隊と合流しました。聞くところによると、大新公園での集会だけに参加した人もあり、また、デモに出発したけれど、途中で帰られた人もいるということで、私がカウントした後半の実人数にそれらを加味すると、「100人参加」と呼称しても、別にさばをよんだ数字ではなく、実数と言って差し支えないと思います。私が聴いたスピーチは3人だけでしたが、最後に話した服部涼平さんは、これからも(警察への申請などの煩わしさもいとわず)デモを企画するという決意を述べてくれていました。服部さんをはじめ、このデモを中心となって企画してくださった方に心から感謝します。
 ところで、ゴール地点では、和歌山大空襲から50年目の1995年に作られた「天啓の宙(そら)」(湯浅町在住の彫刻家・橋本和明さんの作)が、デモ隊のゴールを見守ってくれていました。この像には、以下のようなレリーフが添えられています。
 「降りてくる魂と 舞い上がる魂は 天と地の間で語り合うのです」
 近くにいた知人何人かにはこの像のいわれを説明しましたが、気がつかずに帰って行った人が多かったのはやや残念でした。堀詰橋南詰がゴール地点とされたのは、デモ全行程の所用時間や解散するための広めの場所があるということで選ばれたのだと思いますが、デモに結集した人の志にぴったりのゴール地点であったと思います。
 是非、次回にはもっと多くの人を誘って参加できるように頑張りましょう。
(引用終わり)

 共謀罪をめぐる集会は各地で枚挙に暇なく開催されていますが、衆議院委員会採決がなされた当日(直後)に開催された「安倍政治を終わらせよう」5.19院内集会(立憲フォーラム、戦争をさせない1000人委員会共催)をご紹介しておきます。まさに、国会審議の先頭に立つ、立憲野党の衆参両院法務委員会所属議員からの発言が聞けますので、今後の見通しを得るためにも大いに参考になると思います。
 撮影者である三輪祐児さん(UPLAN)のコメントと併せて動画をご紹介します。
 
三輪祐児さんFacebookタイムラインから
共謀罪強行採決された直後に開催された院内集会のテーマは「共謀罪、9条改憲NO!」。秘密保護法や集団的自衛権の時と全く同様の過程を辿って同じように強行採決、あとから議事録書き換えという段階に来ている。このあとの本会議そして参議院と、同じ経過を辿らないために何をすべきかを考える必要があるだろう。安倍が逃げ隠れまわっている加計学園問題などはいい材料になるが、有効に使えるかどうか野党の力量が問われる。
伊藤真氏の講演は憲法が戦力、自衛権、交戦権そして自衛隊の存在をどのように考えてきたか、そして9条と自衛隊の関係をどのように考えるべきかの基礎的な知識を与えてくれる。後半は映画上映のため撮影せず。」
 
20170519 UPLAN 伊藤真・吉原毅「安倍政治を終わらせよう」5.19院内集会(2時間01分)

冒頭~ 衆議院インターネット審議中継をモニターで中継
8分~ 近藤昭一衆議院議員(立憲フォーラム代表、民進党
13分~ 福山哲郎参議院議員民進党
15分~ 森ゆうこ参議院議員自由党
20分~ 又市制治参議院議員社民党
27分~ 糸数慶子参議院議員沖縄の風
32分~ 小川敏夫参議院議員民進党
34分~ 枝野幸男衆議院議員民進党
55分~ 真山勇一参議院議員民進党
1時間04分~ 米倉洋子弁護士
1時間13分~ 伊藤真弁護士 ミニ講演「安倍2020年施行改憲の問題点」
1時間44分~ 辻元清美衆議院議員民進党
1時間47分~ 福山真劫氏(戦争をさせない1000人委員会)
1時間52分~ 吉原毅氏 映画『日本と再生』について
 
 なお、今日は、共謀罪シリーズの第26回でもあります。

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

2017年5月9日
「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

2017年5月17日
「共謀罪」をめぐる5月16日の動きを動画で振り返る~衆議院法務委員会参考人質疑、日比谷野音大集会、立憲デモクラシーの会シンポ

安田浩一さん講演「沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか」(たんぽぽ舎)を視聴する

 今晩(2017年5月19日)配信した「メルマガ金原No.2817」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安田浩一さん講演「沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか」(たんぽぽ舎)を視聴する

 5月8日(月)に「たんぽぽ舎」が主催して開いた学習会での安田浩一さんによる講演の模様を、いつ
もお世話になっている三輪祐児さん主宰のUPLANのYouTubeチャンネルの動画でご紹介します。
 安田さんは、『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(2012年・講談社)によって日本ジャーナリスト会議賞、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞している他、外国人労働者問題などでも
鋭い切り込みのルポルタージュを発表されている気鋭のジャーナリストです。
 その安田さんが、昨年6月に『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)という本を出しておられたということを、私はうかつにも、この動画を見て初めて知りました。
 
 沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか


 講演を撮影した三輪祐児さんがFacebookに掲載した感想と併せて、動画をご紹介します。是非視聴して
ください。
 
三輪祐児さんFacebookタイムラインから
安田浩一氏の語る沖縄問題、いやその問題提起は実は私たち自身のありように向けられている。私たち本土の人間の沖縄に対する態度、その醜悪さ。心が震え続けた。昔の自民党はまだ古賀誠山中貞則梶山静六といった「まともに沖縄と向き合う」政治家がいた。いまはどうなってしまったのだろう。まともに沖縄と向き合うというのは一体どういうことなのか、私たちはなぜそれができなくなってしまったのかをもう一度よく振り返ってみたい。」
 
20170508 UPLAN 安田浩一「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」-「基地あるゆえの苦しみ」を訴える沖縄に対するバッシング-沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか(1時間53分)
  

「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」と同東京シンポジウム(5/23)のご紹介

 今晩(2017年5月18日)配信した「メルマガ金原No.2816」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」と同東京シンポジウム(5/23)のご紹介

 来週の火曜日(5月23日)、新外交イニシアティブ(ND)が、シンポジウム「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」を開催するということは、情報に接して気がついており、いずれ中継動画がアップされたらメルマガ(ブログ)でご紹介しようと考えていました。
 けれども、ND事務局長の猿田佐世弁護士から、私も登録している某メーリングリストに、拡散希望・広報協力依頼の投稿がなされていることに気がつきましたので、東京方面の読者がどれだけいるか、その中で1人でも参加してくださる方がいるかは分かりませんが、(転送歓迎)とされたシンポの告知だけではなく、猿田さんの投稿も含め、まるごと転載してご紹介することにしました。

 併せて、本年2月にNDが発表した「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」の一部(目次、政策提言、概要、結論)を末尾に引用しておきます。是非、リンク先で全文をお読みください。
 ちなみに、この提言の執筆者は、
・柳澤協二氏(ND評議員/元内閣官房副長官補)
・屋良朝博氏(ND評議員/元沖縄タイムス論説委員
・半田滋氏(東京新聞論説兼編集委員
・佐道明広氏(中京大学総合政策学部教授)
の4人の方々です。
 
 また、2月27日(月)に沖縄県那覇市沖縄県市町村自治会館で開かれた「NDシンポジウム 今こそ辺野古に代わる選択を ~NDからの提言~」がIWJ沖縄によって中継され、全編のアーカイブが視聴できますのでご紹介しました。5月23日のシンポジウムに行けない方は、その動画が公開されるまでの間は、2月27日の沖縄シンポの動画で是非「NDからの提言」への理解を深めましょう。

(猿田佐世弁護士の投稿を引用開始)
みなさま(重複失礼します)
お世話になっております。新外交イニシアティブ事務局長の弁護士猿田佐世です。
本土では報道されなくなっていますが、先月末に辺野古にて埋め立てが開始されて以降、その後も工事は続けられています。沖縄では怒りと悲しみが広がり、沖縄県による法的手段も検討されていると報道じられています。
普天間移設問題について、NDでは、先日、日米政府の「辺野古が唯一の選択肢」との主張について安保・軍事の観点から詳細に検証し、辺野古移設以外の案を提案する提言書を発表しました。
この報告書「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」は、沖縄基地問題に関心を持つ方に安保の視点からの見解をお伝えしたく作成されたものであり、米国の国防総省や軍事専門家との議論にも使えるように作成されています。
5月23日にこの報告書の発表シンポジウムを東京にて開催いたしますので、是非多くの方にご参集頂ければと思います。
辺野古の基地なくして、中国や北朝鮮の脅威にどうやって対抗するつもり?」という議論に冷静な反論をされたい人には必聴です!
また、東京都周辺にお住まいの友人・知人の方がいらっしゃいましたら、下記の告知文を転送してください。
NDのHP、FacebookTwitterにもシンポジウムの詳細をアップしましたので、シェアやリツイートもよろしくお願いいたします。
 
(転送歓迎)
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
            新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム(東京)
          「今こそ辺野古に代わる選択を ~NDからの提言~」
 
            2017年5月23日(火) 18:00開演(17:30開場)
               衆議院第一議員会館 大会議室
             
http://www.nd-initiative.org/event/3615/
 
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
 沖縄の強い反対にもかかわらず,辺野古の基地建設が強行されようとしています。
日本政府は「辺野古が唯一の普天間移設の選択肢」と主張し続けていますが、これは、軍事・防衛の観点から見て正しいのでしょうか。
 
NDでは過去3年間、海兵隊の展開について、米側の資料やアメリカの専門家の意見も踏まえた検討を行ってきました。本年2月、その成果をまとめた研究報告書を完成。今回は、沖縄の最新情勢に触れながら、報告書に基づき「辺野古が唯一の選択肢」という政府見解を検証します。提言については、ワシントンでの発表も近く予定しています。
 
提言はこちらからお読みいただけます。
 
http://www.nd-initiative.org/topics/3372/
 
●パネルディスカッション登壇者:
・柳澤協二(ND評議員/元内閣官房副長官補)
・屋良朝博(ND評議員/元沖縄タイムス論説委員
・半田滋(東京新聞論説兼編集委員
〇コーディネーター
・猿田佐世(ND事務局長/弁護士)
 
●日時:2017年5月23日(火)18:00-19:45(17:30開場)
●会場:衆議院第一議員会館 大会議室
     住所:東京都千代田区永田町2-2-1
     (国会側 正門からお入りください)
    地図
http://bb-building.net/tokyo/deta/459.html
    最寄駅:国会議事堂前駅丸ノ内線・千代田線)
    永田町駅東京メトロ有楽町線半蔵門線南北線
●資料代:1000円(ND会員・学生は無料)
●定員:300名
●お申込み:
下記ページの申し込みフォームをご利用ください。

 
http://www.nd-initiative.org/event/3615/
当日参加も受け付けますが、できる限り事前申込みをお願いいたします。
●主催:新外交イニシアティブ(ND)

※なお、今年2月のND提言の発表にあわせて沖縄にてシンポジウムを行い、沖縄2紙の社説でも評価をいただきました。社説はこちらからお読みいただけます。
沖縄タイムス(2/28)
http://www.nd-initiative.org/contents/3403/
琉球新報(3/6)http://www.nd-initiative.org/contents/3445/
 
新外交イニシアティブ(ND・New Diplomacy Initiative)事務局 松岡美里
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
WEB:
www.nd-initiative.org/
住所:東京都新宿区新宿 1-15-9 さわだビル 5F
TEL:03-3948-7255 / FAX:03-3355-0445
E-mail
mmatsuoka@nd-initiative.org
Facebookwww.facebook.com/NewDiplomacyInitiative
Twitterhttps://twitter.com/nd_initiative
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(引用終わり)

「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」
■目次
政策提言
概要
本文
はじめに
 沖縄は基地を受け入れない
 安全保障環境は変化した
 辺野古固執すれば同盟の危機となる
第1部 辺野古に代わる選択肢
 沖縄は日米政府の「不正義」に怒っている
 基地の歴史と現状
 辺野古が最善の選択肢という論理は破たんしている
 米国の戦略上の利益のためには海兵隊が沖縄にいるべきではない
 海兵隊の位置づけ
 抑止のメッセージ
 本格的武力紛争への対応
 東アジアの公共財としての海兵隊
第2部 海兵隊新ローテーション方式の提案
 米海兵隊の現状 
 31MEUと普天間飛行場
 提案:海兵隊新ローテーション方式
1. 運用――ランデブーポイントと高速輸送船
 海兵隊配備のカギはランデブーポイント
 海兵隊の予算難を救うカギは高速輸送船
2. 財政負担の転換――ホスト・リージョナル・サポート
3. 同盟深化――日米Joint MEU for HA/DR
 自衛隊にはすでに実績がある
 HA/DRの実例
 アジアの安全保障とHA/DR
まとめ
結論
海兵隊の歴史
執筆者紹介

■政策提言
 米海兵隊普天間飛行場普天間基地)の名護市辺野古移転計画は沖縄県民に受け入れられない。日米両政府が海兵隊の航空基地を維持するため辺野古埋め立てを強行すれば、空軍嘉手納基地の安定維持を犠牲にする可能性さえある。本提案は、海兵隊の運用自体を見直すことにより沖縄県内はもとより日本国内への新しい基地の建設なしに、普天間基地の返還を可能とするものである。即ち、沖縄県名護市辺野古への新基地の建設の必要もない。
 それは具体的に下記の方法により可能となる。
1. 現行の米軍再編計画を見直し、第31海兵遠征隊(31MEU)の拠点を沖縄以外に移転する。
2. 日米JOINT MEU for HA/DRを常設する。
3. 日米JOINT MEU for HA/DRの運用などを支援するため、日本が高速輸送船を提供する。米軍駐留経費の施設整備費を移転先で現行のまま日本政府が負担する。
4. HA/DRへの対応、その共同訓練などアジア各国の連絡調整センターを沖縄に置き、アジア安全保障の中心地とする。
説明
1. 米軍再編を再検討し、現在行われているローテーションをさらに拡大し、ハワイを含む米本国からMEUをアジアへ展開させる新たなローテーション方策を検討すべきである。
2. フィリピンやタイで実施されるHA/DR (Humanitarian Assistance/Disaster Relief /人道支援・災害救援活動)の訓練に米軍、自衛隊はもとより中国軍も部隊を派遣している。こうした軍事外交、協調関係を良好に維持するため、沖縄に連絡調整センターを設置し、海兵隊司令部が各国代表と共同訓練の連絡調整をする。中国を含むアジア諸国が安全保障について議論する場所として沖縄を活用し、東シナ海南シナ海の緊張緩和を含めアジア安保について議論する。軍事的に競い合う時代を過去のものとし、ソフトパワーを軸としたアジア安保の輪を沖縄からアジア全域へ広げていく。戦中戦後にわたり、多大な犠牲を払ってきた沖縄の21世紀にふさわしい姿であると考える。
3. 31MEUがHA/DRなど平時任務で活用できる高速輸送船を日本政府が提供する。アジア各国で実施している多様な訓練ニーズに対応し、輸送所要にかかる高速輸送船提供コストを日本政府が恒常的に負担する。海兵隊にとっては経費の軽減が可能となり、日本にとっては日米同盟の目的であるアジアの平和と安全に貢献できる。
4. 日本政府が在沖海兵隊基地に提供している施設整備費を31MEUが拠点とする先で使える仕組みを創設する。
5. 沖縄配備の31MEUは1年の半分以上の期間をアジアへ展開し、同盟・友好諸国と共同訓練などを実施している。特に東南アジア諸国はHA/DRの需要が高く、この分野で日米同盟が新たな役割を確立することはアジア地域の安全保障にとって大きな意義を持つ。

■概要
日本政府の政策は日米安保の根幹を揺るがす
 現在の政治的状況の下で辺野古新基地建設を強行すれば、沖縄県民の米軍基地への反発は、海兵隊のみならず、米空軍の拠点である嘉手納など他の基地への反対にも拡大し、米軍の駐留を不安定化させるとともに、日米同盟の基盤を揺るがす恐れがある。
 日米両政府は、沖縄県宜野湾市普天間基地を同県北部の名護市辺野古に移設することで合意している。しかし、日本政府が普天間基地辺野古移設に着手して以降の沖縄県における各種選挙の結果をみれば、辺野古への新基地建設に対する沖縄県民の反対の意志は不変である。基地建設予定地辺野古を抱える名護市の市長選はじめ、市議会議員選、沖縄県知事選、沖縄県議会議員選、そして、衆議院議員選挙・参議院議員選挙のいずれにおいても、辺野古基地建設に反対する候補者が勝利してきた。
 その背景には、沖縄県民12万人が犠牲となった1945年の沖縄戦に続く米軍の占領統治、さらには、日本への復帰後も続く基地の集中と米軍による度重なる事故と犯罪によって、沖縄県民の生活が脅かされているという県民共通の認識がある。近年、それは沖縄差別という強い言葉となって県民に広く共有されている。
 日米両政府は、沖縄県民の歴史的経験に基づく米軍支配に対する不満と失望を直視し、沖縄県内移設以外での解決策を早急に実行に移すべきである。
 「工事を強行して既成事実を作れば沖縄はあきらめる。彼らは金が欲しいだけ」といった妄想は捨てなければならない。まして「辺野古基地建設に反対すれば世界一危険な普天間を固定化する」といった脅しは、沖縄県民の怒りをさらに高め、怨念を生み出すだけである。怨念のマグマの上に作られる基地は、脆弱といわなければならない。
 
人道支援・災害救援(HA/DR)に特化した海兵隊の平時の所在は沖縄でなくてもいい

 日米両政府の計画によれば、海兵隊の主力である第4海兵連隊のグアム移転、第12海兵連隊の海外移転の後に沖縄に残留する主な部隊は、第3海兵遠征軍(3MEF)などの司令部機能と普天間の航空部隊を含む第31海兵遠征隊(31MEU)のみである。31MEUは、米本土から6か月の期間で交代配備され、沖縄から約430マイル(約700km)離れた長崎県佐世保に所在する海軍の揚陸艦に乗って東南アジア諸国を巡回し、HA/DRの共同訓練を主任務としている。31MEUが沖縄に滞在するのは、訓練と休養のためであり、平均して1年の3分の1に満たない期間となっている。
 HA/DR活動は、東アジア地域の安全保障環境の改善に役立つものであるが、その実体を見れば、沖縄が提供しているのは、休養と練度維持のための訓練の施設である。そうだとすれば、31MEUの駐留先は沖縄でなくてもいい。必要なものは、佐世保に所在する揚陸艦との合流における利便性であり、それは、31MEUが米本土やハワイ、グアム、あるいはオーストラリアにいても、適切な輸送手段の選択により解決可能な問題である。
 日本政府は、辺野古への新基地建設のための巨額な財政負担を確約している。これを、31MEUの兵員や物資を輸送する高速船などの提供費用に転用すれば、大規模な海面埋め立てを伴う新基地建設よりもはるかに少ない費用で実現できるはずである。
 日米両政府は「移設先がどこか」という発想を切り替え、技術と運用による現実的な解決を見出すべきである。
 
日米JOINT MEU for HA/DRによる同盟深化
 31MEUの平時任務であるHA/DRに関しては、自衛隊も高度な能力を有している。東アジアのHA/DRについて自衛隊の能力を活用することは、地域の各国軍隊との連携を高め、安全保障環境の改善に寄与する。
 日米両政府は、現在31MEUが行っているHA/DRに自衛隊が参加するような制度を検討すべきである。
 沖縄に残留する3MEF司令部は、域内諸国が参加する東アジアHA/DRの共同センターの役割を果たすことが期待される。こうした地域共同の作業は、同じく地震や台風、干ばつや水害の被害に直面する内陸やASEAN諸国にも開放されるべきである。
 31MEUの沖縄県外・国外への移転にあわせてこうした構想を推進すれば、3MEFなどが残ることにより、海兵隊の「旗」を沖縄に維持するとともに、31MEUが単独で行うHA/DRを通じた地域の信頼醸成を、日米同盟を基軸に一層発展させることが可能となる。

海兵隊の有事来援基盤・・・事態拡大への実効的な抑止

 「海兵隊が沖縄から撤退すれば、中国に誤ったメッセージを与えるのではないか」という懸念が日米の安保関係者から聞かれる。だが、南シナ海の島々をめぐる領有権争いについては、外交手段を優先する柔軟な選択肢を維持することが米国の基本的国益である。
 この観点から言えば、海兵隊の抑止機能を過度に強調することは、中国のみならず域内の同盟国・友好国に「米国が第三国の領土紛争に海兵隊を必ず投入する」という誤ったメッセージを与え、緊張を高めるとともに、米国の手を縛るおそれがある。
 それでもなお、将来、武力をもって同盟国の領域が直接攻撃される事態に至る場合に備えて、米国は、海兵隊を含む来援の基盤を保持しなければならない。必要となる兵力は、2,000人規模の31MEUをはるかに上回る兵力が必要となる。米海兵隊の抑止力とは、島嶼をめぐる限定的な紛争に備えるものではなく、事態が拡大して本格的な侵略に至るような事態に備えるためのものである。
 したがって、重要なことは、31MEUが沖縄に駐留し続けることではなく「大規模な増援部隊が戦闘に参加する用意があること」である。それは、これまで米海兵隊が行ってきた装備の事前集積と、今回本報告書が提案する輸送手段の改善など、有事の来援基盤を目に見える形で維持することによって米国の意志を示すことである。日米両政府は、海兵隊実動部隊が国外に移転した後、引き続き沖縄を含む西日本の米軍・自衛隊基地を使用した
自衛隊との共同訓練を定期的に実施することにより、有事に備えた日米連携要領を確認するとともに、実効的な抑止を追求すべきである。

■本文
 (省略)

■結論
 31MEUを沖縄から県外・国外へ移転させるという本報告書の提案は「沖縄の負担軽減」を大幅に進めることを目的としている。その意味では、日米両政府が合意した基地の整理・統合・縮小を基調としている。あくまでも態勢変更であり、日米安保体制と矛盾を生じさせるものではないことを強調しておきたい。戦後71年もの間、日米安保の重い負担をひとり負わされてきた沖縄にとって、31MEUを移転させる「態勢」の再調整はささやかな要求と言えよう。
 31MEUが撤退しても、極東最大規模といわれる米空軍嘉手納基地が残り、隣接する嘉手納弾薬庫と合わせた施設面積は、本土にある主要6基地(青森県三沢基地、東京都横田基地、神奈川県横須賀基地厚木基地山口県岩国基地長崎県佐世保基地)の合計を上回る。嘉手納基地群ひとつみても沖縄の負担はなお重いうえに、陸軍基地、海軍基地の負担もある。2016年4月に起きた元海兵隊員で軍属による女性強姦・殺害事件を受け、沖縄県議会は「海兵隊全面撤退」を求め決議した。沖縄の声に真摯に向き合わないかぎり、日米安保体制の安定さえ損なう恐れがある。
 長年の日米両政府間の合意形成の積み重ねは、国家間の約束事であり、一方の政府の要求によってこれを変更することが容易でないことも理解できる。しかし、両政府間で約束した計画の実行が不可能になりつつある現実を認識し、海兵隊の任務・役割をいかに保証するかという原点に立ち返れば、様々な選択肢がみえてくる。
 現在の計画に固執して沖縄との永遠の対立という救いようのない道を選ぶのか、沖縄と日米両政府、そして海兵隊がいずれも納得できるall-winの道を選ぶのかが問われている。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
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急告・1/10 シンポ@名護市「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」(新外交イニシアティブ)
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映像のご紹介・NDシンポジウム「今なぜ、集団的自衛権なのか-安全保障の最前線から考察する-」(4/22)
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ND(新外交イニシアティブ)シンポ・講演会動画で学ぶ「原発と核」「沖縄と基地」「外交のしくみ」~2015年11月から2016年1月まで
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予告7/29猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長)講演会@大阪市中央公会堂
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新外交イニシアティブ(ND)猿田佐世事務局長出版記念シンポジウム(2016/11/26)~白井聡氏、中島京子氏とともに~を視聴する