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憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

メルマガ2000号到達!ありがとうございます~この500日で振り返る日米関係

 今晩(2015年2月13日)配信した「メルマガ金原No.2000」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
メルマガ2000号到達!ありがとうございます~この500日で振り返る日米関係

 今日配信するこの号が、2011年3月28日に配信を開始した「メルマガ金原」の第2000号となります。
 近年は、よほど特別なことがない限り、1日1便(号)に限定していますので、1500号から2000号に到達するまで500日を要したことになります。
 1500号到達に際しては、こういう記事を書きました。
 
 
 その1500号到達を取材して、朝日新聞和歌山総局の宋潤敏(ソン・ユンミン)記者が書いてくれたのが以下のような記事でした。
 
 
 創刊から約2年半で1500号まで来たのでしたが、その後の500日の間に、日本の状況は劇的に変化したという気がします。もちろん、悪い方にです。
 1500号到達記念号で取り上げた話題は、在韓米軍当局者が、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正に関し「地域にとって有益ではない」と疑問を呈した、というニュースでした。
 私は、「冷厳な『アメリカの国益』という尺度から、安倍政権がアメリカにとって有害であるというシグナルは、ニューヨークタイムズワシントンポストなどの主要メディアから再々発信されていました。もしかすると、そのシグナルが政府・軍の高官から発信されるレベルまで進んだということかもしれません」などと書いていたのですが、今から振り返れば、何という暢気な感想だったことかと思わざるを得ません。
 この時期に近接した米国と日本との関係を振り返れば、以下のような印象的な出来事がありました。
 
2013年10月3日
 日米安全保障協議委員会(2+2)のために来日した米国のジョン・ケリー国務長官チャック・ヘーゲル国防長官の2人が連れ立って千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れて献花した。
2013年12月26日
 安倍晋三内閣総理大臣靖国神社を参拝し、在日米国大使館及び米国務省報道官が「失望した」とのコメントを発表した。
 
 「靖国問題」に象徴される安倍首相の「歴史認識」が、米国の国益を損なう限り、絶対に容認しないというメッセージが、米国政府から日本政府に送られたであろうということは、以上の経過を見れば誰でも分かることです。
 私が当時十分に理解していなかったのは、米国の国益を損なわない限り、安倍政権がいかに非民主的、強権的行動を日本国内でほしいままにしようが、米国政府が口をさしはさむことはなく(これ自体は当たり前といえば当たり前ですが)、それを日本政府が「米国政府のお墨付きを得た」と理解することも十分承知した上で、事態を見守るのだということについてです。
 その上で、日本政府が米国の国益を損なうような事態を引き起こしかねないと判断した場合には、米国政府は、再び介入することをためらわないだろうということも容易に推測されます。一例を挙げれば、戦後70年を機に今年8月に出されるとされる「安倍談話」には、米国政府としても重大な関心を持っていることでしょう。
 しかしながら、集団的自衛権行使のための新たな法制の整備や辺野古での工事強行など、米国の目先の利益にこそなれ、不利益ではないと判断した問題については、日本政府の好きなようにやらせるということでしょう。
 このような米国政府の政治姿勢は、これまで、アジアでも中南米でも中東でもアフリカでも、世界中至る所でいやというほど見てきた独裁国家、強権国家に対する米国のスタンスそのものであって、少しも目新しい点などないということに気がつきます。
 要するに、米国が南ベトナムニカラグアや帝政イランに対して過去どうのような政策をとってきたかという歴史を学べば、おそらく現在の日本が置かれた状況を考えるために大いに参考になりそうだというあたりをつけてはいるのですが、なかなかまとまった時間がとれないのが残念です。
  
 2014年、安倍政権の方針が明文改憲から解釈改憲に一転したかに見えたのは、以上のような政治的文脈の中に置けば「必然」であると理解していたのですが、昨年末の衆議院解散と総選挙の後、安倍政権が、にわかに来年の参議院選挙後の憲法改正に意欲を示しだしたことの背景がどうなっているのか、ということはまだにわかに判断がつきかねます。
 明文改憲(とりわけ9条の)を米国政府が「容認」するというサインを受け取ったと安倍政権が理解したのか、あるいは今はまだ「観測気球」を上げて米国政府の意向を測ろうとしている段階なのか、ということなのですが。
 自国政府の行動を検討するために、いちいち米国政府の意向を推測しなければならないというのは考えるだけでもうんざりしますが、それがつまり「戦争に負ける」ということではないのか?と、戦争指導者を「昭和殉難者」と讃える人々に言ってやりたいですね。

何が争点だったかは勝った者が決めるということか?~12/15安倍晋三自民党総裁記者会見を視聴して

 今晩(2014年12月15日)配信した「メルマガ金原No.1940」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
何が争点だったかは勝った者が決めるということか?~12/15安倍晋三自民党総裁記者会見を視聴して(一部文字起こし)

 総選挙公示前の11月25日、自民党が発表した「重点政策集2014」をメルマガ(ブログ)で取り上げた私は、①原発政策、②集団的自衛権、③憲法改正について自民党がどのような公約を掲げているかを検討した上で、以下のように結論付けました。
 
2014年11月26日
「自民党 重点政策集 2014」(選挙公約)の不誠実さを問う
(抜粋引用開始)
 ごちゃごちゃと色々書いているようではありますが、「集団的自衛権」についてはわずか1項目だけ、それも7月1日閣議決定の要約とも言えぬ簡単な項目だけであり、うっかりすると見過ごしてしまいそうです。
 しかし、一応書いていることは書いているので、もしも今度の総選挙で過半数の議席を獲得すれば、「集団的自衛権の行使を容認した閣議決定について国民の支持を得た」と言うに決まっています。
 もちろん、「原発再稼働」など、「集団的自衛権」よりもずっと多い行数(?)を費やしているのですから、いかに議席を減らそうが、過半数を維持する限り、「国民の理解を得られた」と強弁することは火を見るよりも明らかです。
 しかし、日本が戦争をする国になるかどうかという死活的に重要なテーマに費やした分量がわずか5行ですよ。
(略)
 (「憲法改正」についての公約の)後半の選挙権年齢はともかく、前半を読んで、私は9月に和歌山県議会が採択した意見書を思い出さざるを得ませんでした。同意見書は「新たな時代にふさわしい憲法に改めるため、国会は憲法審査会において憲法改正案を早期に作成し、国民が自ら判断する国民投票を実現することを求める」とするのみで、一体どんな内容に憲法を改正すべきかについて全く触れないという奇妙な、というよりも、不誠実かつ無責任極まりないものでしたが、この自民党公約は、まさにその「本家本元」ぶりをいかんなく発揮したものなのです。
(引用終わり)
 
 そして案の定、総選挙の投開票から一夜明けた今日(12月15日)の記者会見において、安倍晋三自民党総裁は、早速以下のように述べたと伝えられています。
 
共同通信 2014年12月15日 17時42分
首相、集団的自衛権を推進 来秋の総裁再選目指す

(引用開始)
 自民党総裁安倍晋三首相は15日、衆院選を受けて党本部で記者会見し、7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制の整備を推進する考えを強調した。法整備に関し「公約でも街頭演説でも来年の通常国会で行うと訴えた。国民の支持を頂いた」と語った。来年9月の党総裁選について「支持を得ることができるよう努力を重ねていきたい」と述べ、再選を目指す意向を表明した。
 衆院選で多数の議席を得たことを踏まえ、24日に第3次安倍内閣を発足させ、安保や経済政策を一層進めていく構えだ。
(引用終わり)
 
 まあ、誰もが予想したとおりの展開に過ぎませんが、「鉄は熱い内に打て」と言いますので、自分の周りで自民党に投票した人を見つけたら、記者会見での安倍首相のこの発言を伝えた上で、「集団的自衛権の行使を容認し、日本が攻撃を受けてもいないのに、自衛隊に海外で戦争をさせる安全保障法制の整備について、『国民の支持を頂いた』と言っているが、あなたも『支持』したのか?」と尋ねてみるべきですね。
 中には「支持した」という人もいるでしょうが、その場合には、それをきっかけとして、集団的自衛権の本質についてどういう風に理解しているのか、議論を展開するきっかけになるかもしれません。
 
 ・・・とお勧めする以上、安倍晋三氏の発言がどういうものであったかを正確に確認しておく必要を感じ、自民党ホームページを閲覧してみました。
 すると、以下のとおり、「冒頭発言」については、原稿とおぼしき文章が掲載されていましたが、質疑応答部分についての文字起こしは掲載されていませんでした。
 
 
 そこで、やむなく記者会見の動画を視聴して確認してみたところ、14分~の部分で幹事社の産経新聞記者から、どう考えても「事前通告」通りの質問がなされ(あるいは「事前協議」済みかも)、これに対して「原稿」通りの回答がなされていました。
 とりあえず、これが投票翌日に表明された自民党総裁の「公式見解」ですから、少々手間ではありますが、以下に文字起こししておきます。
 
衆議院総選挙後】 安倍晋三総裁 記者会見(2014.12.15)
(14分~ 文字起こし)
産経新聞・とよだ記者 平河クラブ幹事社の産経新聞の「とよだ」と申します。今回の選挙戦では、アベノミクスの他に、集団的自衛権の行使容認や憲法改正原発の再稼働も争点になりました。この選挙結果を受けまして、来年の通常国会に提出する安全保障法制の整備に向けた関連法案は、どのように審議を進めていかれるお考えでしょうか。また、憲法改正について、どのような取組をしたいと考えておられるのかということと、最後に原発再稼働についてのお考えもあらためてお聞かせください。
安倍晋三総裁 まず安全保障法制についてでありますが、今回の選挙はアベノミクス解散でもありましたが、7月の1日の閣議決定を踏まえた選挙でもありました。そのことも我々しっかりと公約に明記しています。また、街頭演説においても、あるいは数多くのテレビの討論会においても、その必要性、日本の国土、そして領海を守っていく、国民の命と安全な国民の幸せな暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定を基にした法整備の必要性ですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備、これを来年の通常国会で行っていく、それを訴えてきた訳であります。このことにおいても、ご支持をいただいた訳でございまして、当然約束したことを実行していく、これは当然政党政権(「政権政党」の言い間違い?)としての使命であろうと思います。来年の通常国会、しかるべき時に法案を提出していきたいと、そして成立をはたしていきたいと、こう考えています。
 そしてまた、原発についてはですね、これも様々な討論会等で(聴取不能)議論をさせていただいた訳でございますが、毎日100億円の日本の富が今の状況では海外に流出をしている訳であります。我々は、安定した低廉なエネルギー、これを供給していく責任がある訳でありまして、徹底的な省エネ、再エネの導入によってですね、原発依存度を限りなく低減させていく方針に変わりはありませんが、原子力規制委員会が再稼働に求められる安全性を確認した原発については、地元の理解を得つつ、再稼働を進めていく考えであります。
 憲法改正については、これは自民党結党以来の一貫した主張であります。ただし、国会において3分の2の確保の・・・議員を確保しなければならないいうことと同時にですね、最も重要なことは、国民投票において過半数の国民の支持を貰えなければならない。この観点から、国民的な理解と支持を深め広げていくために、これから例えば自由民主党総裁として、努力をしていきたいと思っております。
(下線は金原による)
 
 さて、この記者会見での発言を視聴されて(あるいは読まれて)どう思われたでしょうか?
 公約集を読んだ時から「こうなることは分かっていた」という内容ではあるのですが、私は、平河クラブの産経記者が言い放った「アベノミクスの他に、集団的自衛権の行使容認や憲法改正原発の再稼働も争点になりました」という質問の前提に、驚きはしませんでしたが、あらためて怒りを覚えましたね。この女性も、新聞記者を志した時には何ほどかの「ジャーナリスト魂の萌芽」のようなものは持っていたのではないかと推測するのですが、産経に入社した時点で、そんなものはどこかに捨ててきたのだろうと思わざるを得ません。
 
 ちなみに、この答弁原稿を誰が書いたのかは知りませんが、最後の部分において、憲法改正について「国民的な理解と支持を深め広げていくために、これから例えば自由民主党総裁として、努力をしていきたいと思っております」とある部分は、憲法上の重要論点に対する先回りした「弁解」です。
 簡単に言えば、憲法99条(公務員の憲法尊重擁護義務)の解釈として、内閣総理大臣が(他の国務大臣でも同じですが)、その立場において「憲法改正」を主張することは憲法99条違反であるという説があるのです。というか、それが通説だろうと思います。
 従って、このとってつけたような部分は、「この発言は憲法違反ではない」というアリバイ作りのために原稿起案者が付け加えたものでしょう。もっとも、この原稿を読み上げた安倍「総裁」が、そのような趣旨を理解していたかどうかについては、何とも判断しかねますが。
 
 とにかく、来年の通常国会に、再び衆議院で3分の2以上の議席を確保した自民・公明連立政権が、集団的自衛権行使容認を具体化するための関連法案を上程してくることは(自民党総裁兼総理大臣が明言しているのですから)間違いありません。
 公明党が歯止めになることを期待する意見も一部にあり、私としても公明党が努力することに難癖をつけるつもりは毛頭ないので、是非頑張っていただきたいとは思いますが、7月1日閣議決定をめぐる公明党の行動を振り返る時、木村草太氏や佐藤優氏のような「期待」を述べる気持ちには到底なれませんので、いずれ公明党は関連法案提出に協力するということを前提とした対策を考えるしかありません。
 
 その1つの具体例として、日本弁護士連合会が取組を始めることになった「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し関連法律の改正等を行わないことを強く求める請願署名」をご紹介します。
 実は、私も今日、日弁連から届いた会員向けのニュースメールを読んで知ったのですが、既に日弁連サイトでも公開されていました。
 
集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し関連法律の改正等を行わないことを強く求める請願署名のお願い
(引用開始)
 
2014年7月1日、政府は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行いました。集団的自衛権の行使は、本来、憲法9条の下では許されないことです。当連合会は、憲法の基本原理に関わるこのような重大な解釈変更を、閣議決定で行うことは、立憲主義に反し、憲法の存在意義を失わせると考えており、法律家団体として、立憲主義を堅持する立場から、この閣議決定を認めることはできません。
 ところが、政府は現在、この閣議決定を実施するための関連法律の改正案等を、2015年の通常国会に提出し、その成立を図ろうとしています。しかし、このような立法も、同様に憲法9条及び立憲主義に違反するものとして許されません。
 そこで、これらに反対し、立法を阻止するための取組の一環として、市民の皆様の声を広く集め、集団的自衛権等に関する立法を行わないことを求める請願署名運動の実施を下記のとおり企画しました。ぜひ、多くの皆様に御協力いただければと存じます。
署名の方法
こちらからPDF署名用紙(PDFファイル;64KB)をダウンロードいただき、氏名・住所を記入の上、必ず郵送でお送りください(FAXでお送りいただいても、無効となります。)。 
送付先
〒100-0013
東京都千代田区霞が関1 丁目1番3号 日本弁護士連合会人権部人権第二課 宛て
 TEL:03-3580-9941
(引用終わり)
 
 署名用紙を見ると、
  集約単位弁護士会 [     ]弁護士会
を記載する欄があり、「和歌山弁護士会」や「千葉県弁護士会」などの地方単位弁護士会が署名集約に取り組むことが想定されていますが、日弁連サイトの記載を読む限り、協力してくれる市民が直接日弁連に郵送していただくことも歓迎のようです。
 私の地元(和歌山県)では、和歌山弁護士会から各団体や個人に署名へのご協力をお願いすることになるかもしれませんので、その節はよろしくお願いします(来年3月末まで任期が残っている同会憲法委員会委員長としてのお願いでした)。
 最後に、この日弁連作成の請願署名用紙の請願本文を引用したいと思います。
 
(引用開始)
       
集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し
             関連法律の改正等を行わないことを強く求めます
 
 
 政府は,2014年7月1日,憲法解釈の変更による集団的自衛権行使の容認,海外での武器使用の拡大等を内容とする閣議決定を行いました。
 集団的自衛権の行使は,日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず,他国に対する武力攻撃に反撃して参戦することを意味し,戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものです。このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更は,憲法9条を実質的に改変するものとして同条に違反するとともに,憲法に拘束されるはずの政府がこれを閣議決定で行うことは背理であり,立憲主義に根本から違反します。したがって,このような閣議決定を実施するための立法もまた,憲法に違反して許されません。
 そこで,内閣に対し,本閣議決定を速やかに撤回し,本閣議決定に基づく自衛隊法の改正等の関連立法を断念することを強く求めるとともに,衆議院及び参議院に対し,上記立法を行わないことを強く求めます。
(引用終わり)

「原発がこわい女たちの会ニュース」第91号が届きました

今晩(2014年10月17日)配信した「メルマガ金原No.1881」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
原発がこわい女たちの会ニュース」第91号が届きました
 
 「原発がこわい女たちの会」の松浦雅代さんから、同会ニュース第91号をお送りいただきましたのでご紹介します。
 今号も、トップニュースの川内原発再稼働問題以下、重要なテーマが目白押しですが、私が個人的に最も嬉しかったのは、松浦さんが今月(10月)4日、和歌山県日高町に鈴木静枝さんをお訪ねしたところ、とてもお元気だったという短い記事でした。
 鈴木さんの『女から女への遺言状』に感動し、映画『シロウオ~原発立地を断念させた町』に登場してコメントする鈴木さんの(撮影は昨年3月)お姿を拝見した私にとって、元気で暮らしておられたという松浦さんからの報告は何よりの知らせでした。
 

原発がこわい女たちの会ニュース NO91号・2014年10月15日発行

事務局〒640-0112和歌山市西庄1024-15 TEL&FAX:073/451/5960松浦雅代方
原発がこわい女たちの会ブログ 
http://blog.zaq.ne.jp/g-kowai-wakayama/

 9月27日に起きた御嶽山の噴火は50人以上の死者を出し、まだ行方不明者の捜
続いています。戦後最大の火山災害になりました。

       川内原発再稼働は止めないといけない!

 
 原発の審査では従来、火山対策は重視されて来ませんでした。新規制基準では半径160キロ圏内の火山の考慮を新たに求めています。川内原発の周辺には50キロ先の桜島、約60キロ先の霧島山等活火山が多くあります。巨大なカルデラをつくり、付近まで火砕流が届くような巨大噴火も過去にはあったそうです。(九電も認めている)
 原子力規制委員会は9月10日に、川内原発1・2号の審査書を決定、設置変更を許可した。規制委員会は多くの専門家が指摘した火山のリスクを無視してきました。
 御嶽山の噴火後、御嶽山のような小さい噴火は予知しにくいが、巨大噴火は予知できると規制委員会の田中委員長がテレビの取材で話していた。
 火山予知連の会長は火山リスクが低く巨大噴火の予知は可能だとする規制委の判断を、「科学的根拠に基づいていない」このままでは「また安全神話を作り出すことになる」ときびしく批判している。
 

女たちの会の拡大世話人会を開催します。
2014年10月25日(土)13:30~15:30まで 
○会場:フォルテ・ワジマ(旧丸正百貨店)6階ボランテア・サロン B会議室
福島原発事故から3年半が過ぎました。随分沢山の課題が残されています。そして私
たちの会も来年結成28年を迎えます。
○無料駐車場は市役所の駐車場を御利用下さい。(歩いて下さい)
○有料の駐車場は近くにあります。 
 

福島原発事故から3年半>
 
 子どもの甲状腺がん
8月24日福島県「県民健康調査検討委員会」で報告
57人が手術を46人が疑い。
座長は原発事故との因果関係は考えにくいと従来通りの見解。
何故と思ってしまうのは私だけではないと思います。が
チェルノブイリの4000人の甲状腺がんもなかなか認めようとしなかった。

 汚染水の対策として凍土方式の遮水壁建設に320億円の国費投入を決めましたがトレンチ「氷の壁」頓挫。福島第一2号のタービン建屋と海側のトレンチの接合部を凍らせて流れを止め、トレンチ内の汚染水を抜く計画は3カ月以上経っても凍らず、7月からの氷やドライアイス投入も効果なし。
 汚染水問題泥沼化の根源は、2011年6月の時点で遮水壁を構築しなかったこと。
 東京電力は対策を具体的に講じた書面を作成していたにもかかわらず、債務超過をおそれこの書面を公表せず、対策を先送りした。この時点で東京電力と国が海の汚染防止の抜本的な措置を講じなかったことは世界的な犯罪ですね。
 薄めて海に流すしか手がないのでしょうね。

 被曝労働、きびしい作業環境の中で高い被ばく状況は続いています。
 事故収束作業に従事する労働者は1日3000人とされてきたそうですが、5月23日東京電力の定例記者会見では、警報機付きポケット線量計APDの貸出し数でのカウントでは5000人~6000人が作業しているという。(下・孫・ひ孫請け社会です)
 厚生省は6月4日に原発事故から2011年12月16日(収束宣言日)までの作業者は原子炉が安定せず極度の緊張を強いられ、一時的に線量限度を250ミリシーベルトに上げざるを得なかった状態で作業に従事したため「長期的健康管理」の対象とした。約2万人の健康状況を、死亡時まで追跡調査すると公表。
 「収束宣言」後の作業者は他の原発労働者と同様に法令に基づき事業者が実施する年2回の特殊健康診断と一般健康診断で健康管理を図る。
 「収束宣言」後もきびしい作業者の被曝が続いています。月ごとの集団線量では2011年12月16日の「収束宣言」後も被曝量は減ってはいない。汚染水処理作業に追われるようになった2013年8月から増加傾向が著しい。
 すべての被曝労働者を疫学調査の対象にして、健康管理の徹底をするべきだ。
 

電力自由化原発にあらたな支援策
 
 東京電力原発事故で安全神話が崩れ、事故の収束も進まない状況下で、安倍政権が2014年4月に閣議決定したエネルギ―基本計画。原発について「可能な限り依存度を低減させる」のを前提としながら「運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もない」と原発を重要なベースロード電源と位置づけています。
 その安倍政権は電力システムの改革の断行をも公約にしていて、2016年から実施されます。(法律が国会を通過している)電力の小売り全面自由化後は一般消費者である私たちがどこの電力会社とも契約できることになります。価格競争が起きて電気代が安くなるのかどうか?原発をどうするのか警戒をしていました。政府は電力自由化のもとでは生き残れない原発に新たな支援制度を検討しています。全面自由化ではなく既存の電力会社を競争から外し、原発の価格保証によって損失が出ないようにする。何のための自由化なのでしょう。経産省は「自由化に伴う激変緩和策」と説明していますが。
 原発が安いと言ってきた皆さんが、原発産業を守るために出してきた怖い話です。
○電力会社が事業に必要なコストを料金に転換できる「総括原価方式」も18年~20年めどに廃止。
○電力各社の発電部門と送電部門を分離するための法案が来年度の通常国会で提出されることになっていて、実施は2020年からの予定。
 

破たんしているのに「核燃料サイクル」政策推進
 
 六ヶ所再処理工場は1993年から着工していますが、トラブル続きでいまだ本格稼働はしていません。完工時期を21回目の延期。16年の春ごろに。再処理工場は原発を持つ電力9社などが出資する日本原燃を中心に運営している。再処理費用は2004年から私たちの電気料金に含まれています。なんと再処理は国策として必要だという意見が「原子力小委員会」では支配的らしい。電力にとっては電力自由化に便乗して、お荷物の再処理工場の破たんリスクを回避できる形となる。と原子力小委員会奮闘記(2)に原子力資料情報室共同代表の伴英幸氏が書いています。
 現在、使用済み燃料は各原子力発電所のプールに保管されています。原発の再稼働が進めば一番早いところでは、3年で容量限界に達するそうです。(経産省試算)
 

             伝える・伝わる
 
 福島原発事故から3年以上経って、運動の退潮がいわれていますが、いっぽうで客観的に事態を見守る余裕、ある種の落ち着き、成熟が生まれているようにも思われます(思いたい)。原発に限らず、抗議型・抵抗型の運動から硬直性を排して、もっと柔軟に、楽しくやろうよ、という論調をあちこちで見かけるからです。
 
 たとえば、作家の池澤夏樹さんは「若い人々よ、動け、闘え、笑わせろ」(朝日新聞9月2日夕刊 終わりと始まり)と言う。外国の例をいくつか挙げて、日本には明らかに過激とユーモアが不足している、と。権力への不服従の意思表示は選挙に限らず様々な手段を使ってよいのだから知恵をしぼって効果的なやりかたを考えようよ、と呼びかけています。
 
 文芸評論家の斉藤美奈子さんは、8.15市民フォーラムで左派・リベラル派の主張への「飽き」~子どもたちを戦場に送るな!のスローガンなどストンと受容する基盤が失われつつあることを自覚する必要があると指摘しています。たとえば集団的自衛権問題の伝わりにくさを克服するためには、わかりやすい言葉で、キャッチコピーを工夫し、風刺を交えた笑いの要素を大切に、と提言します。(社会新報9月3日)
 
 朝日新聞9月13日付け高橋若木さんの「デモと民主主義」は、若い世代からの発信。
 悲壮感漂う弱者の抵抗ではデモから人を遠ざける。旧来的な左翼の運動ではヤッテラレナイ、カッコワルイヨということのようです。
 そこで、運動のスタイル(主張の内容ではなく)を変えていくことが、政治に無関心な人たちを引き付けるのにも大切ではないかと。そのためには、ネットを駆使して、広告的な発想も使って人々の直観的な怒りや不満の感情を大事なものとしてつかまえに行く、怒りは堂々と表明していいということをデモによって示していく、と主張します。
 
 …インターネット依存のインスタントな情報に短絡的に反応するな、キャッチコピーに踊らされるな、もっと本を読め、せめて新聞を、と現状を軽薄短小として批判する「旧ガンコ左派」の声もあがりそうですが。
 
 ここで、漫画「美味しんぼ」騒動のことを思い出しました。福島県庁など地元はもとより、安倍首相、石原環境大臣(当時)、菅官房長官等の政府要人が次々と批判するなど、漫画叩きは尋常ではありませんでした。私もあわてて掲載誌のビッグコミックスピリッツを買いましたが、読んでみて、いささか拍子抜けした感。というのも「鼻血がドバッとでた」などというのは、脱原発系の講演会や雑誌、ネット上で普通に聞いたり読んだりすることだったので。もちろん放射線と鼻血の因果関係を証明することは困難かもしれないが、関係ないことを立証することはもっと困難であるはず。なによりも「鼻血が出たという事実はない」と断言する人(団体)がいることには呆れましたが。
 
 ともかく、
 この問題がこのように物議をかもしたのは何故か?それは、「美味しんぼ」が漫画という文化だから、ではないでしょうか。脱原発系の講演会やネット上で同様の主張が繰り返されても、そこだけの限られた人たちのこと。つまり「脱原発派が騒ぎ立てる」ことに過ぎない。それより、講演会もネットも縁のない「一般の人」が目にする漫画のほうが影響力が大きいと見なされたからこその過剰なバッシングだったという気がします。
 権力側は、そのあたりのことを、とくとご存じのはず。
 
 脱原発派は「ガチガチの反原発」と「原発はいやだけど声を張り上げることなどしたくない」に二分され、後者が多数派なのだと何かで読んだことがあります。
 このようにきっちりとパターン化することなどできるのかなとは思うが、もしそれが現実ならば、ここは冷静にじっくり考えるほうがよい。自分の意思や意見を表明する方法や場はどのようなものか、それをどのように準備し広げていけばいいのか、しなやかな感性をもって知恵を集めることです。
 
 ところで、
 福島原発告訴団では、8月8日東京地検へのアピール行動の後、東電本社前に集合して『汚染水』打ち水抗議アクションを行ったというニュース。
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/
 わぉー、すごいこと思いついたね!
 打ち水は、水まきで地面から気化熱を奪って暑い夏を乗り切るための昔からの知恵。節電アピールのため自治体の音頭で実施したりしているけど、「汚染水」で東電ビル前に打ち水とは!
 でも、福島原発訴訟団のチラシには、次の断り書きが。
 本物の汚染水は使用できません。普通の水で行います(容器に汚染水を示すラベルを貼り代用)。
 オモシロイ!!
 これからの運動には、こういうセンスが不可欠なのだと思う。とくに若い人には。
 
 ついでに、「経産省前テントひろば」でのお笑いごと。
 
http://tentohiroba.tumblr.com/
 テント日誌8/8版よりかいつまんで記すと…丸の内署の警官が数人やってきて「汚染水」と書かれたペットボトルをどけろとすごい剣幕。テントの脇には打ち水などに使うため水道水を詰めたものが置かれている。メンバーの誰かがこれに「汚染水」と張り紙をし、置いておいたのだ。これを見た通行人が110番して、警官が飛んできたらしい。汚染水ということに皆が敏感になっているということでもある…
(直に警察に通報するというのもなぁ、ですが。)
 
 いろいろ感じることの多かった夏でした。
 もうひとつおまけ。夏の終わり9月15日で、日本の原発がすべて止まって丸1年たちました。このことをマスコミはほとんど報道しません。報道されると「原発を動かさなくてもやっていけるんだね」となるのですがね。(sora)
 
(女たちの会ブログ http://blog.zaq.ne.jp/g-kowai-wakayama/ 9月16日に掲載しました)
 

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 10月4日(土)日高町に鈴木静枝さんを訪ね「再稼働反対」の意見広告の載った朝日新聞を持ってお礼に行きました。
 少し前にちょっと気になる手紙を頂いたのです。
 がとても元気でした。安心しました。
 96歳になられたそうです。
(金原注)
 昨年3月、映画『シロウオ~原発立地を断念させた町』のためのインタビューに応じた際の動
画の一部が視聴できます。
 
https://www.youtube.com/watch?v=PEA83PueKDI
 鈴木さんの講演録『女から女への遺言状』全文をご紹介した私のブログ(映画『シロウオ 原発立地を断念させた町』と鈴木静枝さん『女から女への遺言状』)も是非お読みください。
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/39945047.html
 
 私は産湯の駐車場でのクエフェアにも参加。
 クエも食べ餅拾いもして来ました。
 濱さんはクエの解体をしていました。クエの重さ当てクイズがあり、当たれば賞品が貰えます。そのあとはご当地キャラの登場でした。老若男子カメラを持って盛り上がっていました。最後は餅まき、地元のおばさんが陣取っていました。
 

 「再稼働反対」の意見広告にご協力 ありがとうございました。          
 8月23日(土)の朝日新聞に全面広告で掲載させる事が出来ました。
 「ストップ・ザ・もんじゅ」で見れます。
 
www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/
 

 西川一誠福井県知事宛の(来春4月の知事選に向けて)署名のお願いです。
 原発の再稼働を認めないでくださいの署名が始まっています。
 「もう動かすな原発福井県民署名」実行委員会
 ネット署名もできます⇒ 
http://fukui.jpn.org/
署名用紙を同封しています。御近所の人に書いて貰って下さい。
 

本の紹介 
 
集団的自衛権と安全保障(岩波新書820円)
  豊下楢彦・古関彰一著(2014年7月18日発行)
 集団的自衛権の言葉だけで難しそうと思ってしまいがちですが、そんなこと言ってる場合ではなくなってきています。私も読み進めるうちに初めの方が忘れますが、又読み直すことをしています。日本が大きく憲法改悪に舵を切りつつあるのです。
 安倍首相の支離滅裂な議論の裏で何をやろうとしているかが見えてきます。
 まず本当の事を知る為にこの本をお勧めします。
~~~~~~~~~~
 問題は、過去半世紀紀以上にわたり歴代自民党政権によっても憲法違反とされてきた集団的自衛権の行使を、解釈変更によって可能であると国民に広く訴える歴史的な記者会見において、安倍首相が全くの“架空のシナリオ”を持ち出し、しかも……
 “情感”に訴える手法をとった事である。これは「国民に分かりやすく」するためのレトリックどころか、人を欺くトリックそのものであり、これに政界、メディア、世論が翻弄されているならば、安倍首相の罪は限りなく重い。(本書より)
 
☆忘却のしかた、記憶のしかた(岩波書店3000円)
  ジョン・W・ダワ―著(外岡秀俊訳)(2013年8月2日発行)
 ピュリッツァー賞受賞の「敗北を抱きしめて」で有名なジョン・ダワ―氏の本です。
 「歴史」が「記憶」としてどのように操作され、社会にひろまるのかという問題であり、さらには、過去から何かを選びとって記憶することが、他のことを忘れたり、わざと無視したりすることと、いかにわかちがたいのか、というテーマである。(本書 日本の読者へより)
 この本の第八章に 「二つのシステムにおける平和と民主主義」 対外政策と国内対立。の論文があり、サンフランシスコ体制、55年体制など「日本近代史・日米関係史」の専門家としての分析に私の中に残っている記憶をつなぎ合わせながら読みました。操作される中で生きて来たと云うより、そこまで考えずに生活していた。気が付かないのは操作されている証拠でもあるのでは。この延長線上に今があるのですね。
                                            (松浦雅代)
 

お知らせ
○ドキュメンタリー映画「A2-B-C」上映会(製作2013年・71分)
 2014年10月26日(日) あいあいセンター6階(センターみらい)
 
  ★一回目上映は10時30分~ ★2回目上映は14時00分~
  福島の子どもたちに何が起きているか、2011年より取材。
  監督は:イアン・トーマス・アッシュ氏(監督とのディスカッションの時間があります)
  チケット500円
  ○主催:「A2-B-C」上映和歌山実行委員会
共催:にんにこ被災者支援ネットワーク・和歌山
(金原注)
 私のブログ「
映画『A2-B-C』和歌山市上映会(10/26)へのお誘い」もご覧ください。
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/40105132.html

○ドキュメンタリ―映画「シロウオー原発立地を断念させた町」上映会(製作2013年・
110分)
 2014年11月29日(土) あいあいセンター6階(センターみらい)
  ★昼の部 午後2時~3時50分 ★夜の部 午後6時~7時50分
  監督:かさこ 製作・脚本:矢間秀次郎
参加協力券 大人1000円 学生500円 中学生以下無料
○主催:「シロウオ」和歌山市上映会
 和歌山の日高原発と徳島の蒲生田原発。紀伊水道を挟んで人々が呼応し、何故原発を作らせなかったのかを福島原発事故後取材。
 日高町の濱一己さん一家や鈴木静枝さん、原発反対で戦った志賀政憲元日高町長さんが登場します。
 和歌山県は日高原発だけではありませんが、日高町は1967年の阿尾原発、1975年の小浦原発と2か所の候補地がありました。1990年の原発反対町長志賀政憲候補の当選まで20年以上と云う長い間、厳しい闘いがありました。2期目まで対立候補が立候補しました。
(金原注)
 私のブログ「映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』(11/29和歌山市)を観る意義」
もご覧ください。
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/40300738.html

<どちらのチケットも女の会で取り扱っています。>
 

 今年も昆布を販売します。(注文は松浦までお願いします)
下北昆布(大間の昆布)一袋1000円(消費税増加分3%は量を少なくしてもらいました)
とろろ昆布         一袋 400円
乾燥ホタテ貝柱      一袋1700円         
 

<記>集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める」国民安保法制懇の問題点のまとめを同封します。日米防衛指針は米軍支援を世界規模で行うことを明記する方針を固めたと報道された。私の頭の回転は鈍いが、安倍首相たちの動きは早い。安倍なんかに負けたらアカン。私たちも政治に早急に強くなろう。
◎今年度の会費納入まだの方は至急お願いします。ニュースのいらない人もご連絡下さい。
(松浦)
 
(金原注)
国民安保法制懇報告書(2014年9月29日)
集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める」
 HTML版 
http://kokumin-anpo.com/59
 PDF版
http://kokumin-anpo.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/09/2483f0a3dae103ed7caa6dc22909fe364.pdf
 概要版 http://kokumin-anpo.com/67
                    

(付録)
『教訓3』 作詞:不明 
作曲:加川良(原曲『教訓Ⅰ』) 演奏:不明

「原発がこわい女たちの会ニュース」第90号が届きました

今晩(14年8月12日)配信した「メルマガ金原No.1815」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
原発がこわい女たちの会ニュース」第90号が届きました
 
 先週、「原発がこわい女たちの会」の松浦雅代さんから、同会ニュース第90号をお送りしただきながら、台風の余波で(?)という訳でもありませんが、どたばたしていてご紹介が遅くなりました。
 ニュースにも掲載されていますが、前号(第89号)発行以降、5月21日に福井地裁による大飯原発3、4号機運転差止判決が言い渡され、7月31日(議決は23日付)には、東京第五検察審査会が、勝俣恒久元会長ら3人の元東電役員に対し起訴相当の議決を行ったことが公表されるなど、原発をめぐる大きな司法的判断がありました。
 他方、政治の世界では、何事もなかったかのように、たんたんと川内原発鹿児島県)の再稼働が進められようとしています。
 原発にしても、集団的自衛権にしても、沖縄の基地問題にしても、TPPにしても、消費税にしても、民意など「見なければ無いのも同じ」という政権の態度は見事に一貫しています。その意味で言えば、たしかに「ぶれない政治」に違いありません。
 私たちは、このような「ぶれない政治」をどうすれば変えていけるのだろうか?と、ニュース第90号を読みながら、しばし考えに耽りました。
 

原発がこわい女たちの会ニュース NO90号・2014年8月6日発行
事務局 〒640-0112 和歌山市西庄1024-15 Tel・fax073/451/5960 松浦雅代方
原発がこわい女たちの会ブログ 
http://blog.zaq.ne.jp/g-kowai-wakayama/
 
     2014年8月6日ヒロシマに原爆が投下されてから69年
    
            何故再稼働を許せるのか
    
川内原発再稼働へ      
 7月16日、原子力規制委員会は、九州電力鹿児島県川内(せんだい)原発1、2号機について、新規制基準を満たすとの審査書案を出した。
 
 ただし、ここがややこしいところだが、田中俊一委員長は、「安全だということは、私は申しげません」「避難対策は自治体が主体」と記者会見で述べた。新規制基準には適合しているけれど、それで安全が担保されたとは言わない。ゼロリスクではないから。さらに防災避難の策定は委員会の役割ではない、というのだ。
 基準は基準であって、適合しているからといって絶対安全などと言えないことは、まったくもっ
てそのとおり。田中委員長は正直ですね。…オリンピック招致の演説で「フクシマの汚染水はコントロールされている」など大ウソをついた日本の首相よりも。
 さらに、原発が重大事故を起こした場合、周辺住民をどう安全に避難させるのか、審査書
案にはまったく反映されていない。避難先の確保、スクリーニング実施、要援護者の避難等など、防災避難計画の策定は30キロ圏自治体に丸投げされ、実効性ある計画は何も立てられてないのが実状だ。
 規制委員会というところはあくまで、原子炉や原発施設が新規制基準に照らして合格して
いるかどうかをチェックするところだということらしい。
 これに対して、政府は「規制委が基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める」という方
針であり、菅官房長官はこの日の会見で「原発の安全性は規制委に委ねている。個々の再稼働は事業者(電力会社)の判断で決めること」と述べたという。
 政府は原発の安全性は規制委員会で判断するといい、規制委員会は規制基準に適合し
てもリスクはゼロではないから安全とは言わない。電力会社(と立地自治体)は、再稼働のお墨付きを与えられたとして、嬉々として「判断」する。
 これでは安全の責任の所在がさっぱりわからない。というより福島原発事故東京電力は倒
産することもなく、電力会社も国も誰も責任をとっていない。
 
 福島の事故やそれ以上の事故が起こった場合でも、どこも責任を取らなくてもよい仕組みと
して、結局私たち国民が健康のリスクを負い、私たち国民が事故費用の大半を負担するというのが、福島原発事故の実態である。
 責任の追及はあいまいなまま、政府は原発輸出や再稼働を画策する。福島の教訓は生か
されることなく、再び安全神話の復活だ。
 それとも、もう一度大惨事が起こっても「許した私たちみんなが悪かったのよね~」てなことにな
るのだろうか?冗談ではありません。
 
 事故から3年半たった今も、汚染水問題一つ見ても事故の収束とはほど遠く、深刻な作業
員の被ばく、海や大地での環境汚染が続いている。
 膨大な数の福島及び近隣住民は、被ばくに怯えなければならない生活だ。福島を離れ全
国に避難した住民も心身の負担を強いられている。
 福島の現実を置き去りにしたまま、防災避難対策も確立されないまま、再稼働なんてありえ
ない、と思うのだが。
 
*************************************
あなたもパブコメを出しましよう。
 川内原発1、2号機についての原子力規制委員会の審査書案について、意見募集(パブ
リックコメント)がおこなわれています。8月15日締め切り。この後に正式に決定となります。
 わざわざタイトルにまで「科学的・技術的意見の募集」などとあげられているのには、恐れ入
りますが、フツーの市民の感覚で応募しようと思っています。
 
 原子力規制を監視する市民の会からの川内原発審査書案への「パブコメのタネ」と原子力
規制委員会宛の用紙も一緒に同封していますので御利用下さい。FAXで送られる方は裏表を送って下さい。(sora)
 
(参考サイト)
パブコメのタネ」
電子政府パブリックコメント:意見募集中詳細案内」
 

報告6月22日
大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)の講演  
                 主催「脱原発わかやま」―田辺市にて
原発は安い!?~原発のコストはいったいいくらなのか~」
 
 福島県原発事故後、社会の見方が変わって、原発を即時停止の人が35%位。将来的
には無くして行きたい人は50%位。合わせると、85%との圧倒的多数の国民が原発を無くした方が良いとの世論に今はなっている。
 事故が起こってしまったことをふまえてどんなコスト問題があるのか。原発事故は金銭で表せな
いことが圧倒的に大きいとはいえ。
 福島の人たちが今だに3万人仮設に放置されていること。故郷を無くし、家を無くし生活その
ものがなくなり、お金では換算できないものが圧倒的に多い。ぜったい元には戻らない、そこが本質なのですけど、と。できるところだけでも、最低限いくらかと云う事を表すだけでも非常に大切な大きな事ですね、と話された。

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最初にエネルギ―基本計画について
 自民党は2014年4月11日に「エネルギ―基本計画」を閣議決定しましたが、電源構成が示
せないで、原子力の扱いは事故前の2010年と全く同じ。準国産エネルギ―の「準」は、まやかしである。等、原子力の位置づけと現実に問題が多いと大島さんの指摘がありました。
 
原発事故関連費用と負担について、大半が国民負担になっている。
 原子力発電所事故の費用の負担。誰が支払うのか、を明らかにするのに大変時間がかった、
と話されました。水俣の公害は損害賠償額約1000億円。福島の原発事故は損害賠償額5兆円。下表は、大島さん等が作成した「事故費用はいくらか」です。合計金額は11兆円を越えています。
 

         事故費用はいくらか
     項 目             金 額(億円)
損害賠償費用  要賠償額         49,088(東電は出し渋る。値切る。打ち切る。)
            賠償対応費用       777
原状回復費用  除染費用          24,800
           中間貯蔵施設     10,600
事故収束・廃止費用             21,675
行政による事故対応費用(除染を除く)   3878 
  合 計                   110,819
出所:大島・除本(2014)「福島原発事故のコストを誰が負担するのか―再稼働の動きのもと
で進行する責任の曖昧化と東電救済―」『環境と公害』7月号
注:追加的安全対策費用は含まない。

 
東電と国の責任を明確にする必要について
東電の責任>

東京電力は国の資金援助無しには存立しえない状況(一般企業であれば破綻状態)
★原賠法第1条「原子力事業の健全な発達」~国会事故調報告書では、事業者が規制
者を「虜」にしてきた実態が明らかに。
★未曾有の事故を起こしたにもかかわらず、かえって経営が強化されることになっている。(「絶
対に破綻しない会社」化)
★賠償に関する大規模訴訟が複数堤起されているが、「不十分で不誠実な賠償」→モラル
ハザード「健全な発達とは正反対」
★事故発生責任→破綻処理が適当
<国の責任>
1、原発事故を防ぎ得なかった
―規制者が規制される側の「虜」となってきた。(国会事故調報告書)
2、開発一辺倒の原子力政策
 ◎事故を引き起こした「責任」が国にはある。
 ◎このことに対する「真摯な反省」に基づき、賠償と廃炉の双方を行う体制を築く。
 上記のように、大島さんは東電と国の責任の明確さを述べられました。福島原発事故は誰も責任をとっていません。事故の費用は巨額(しかもこれで終わりではない)。その大半が国民負担になっています。
 
 東電を事故発生責任者として、破綻させ、資産処理をし、国民の負担を低減させるべきだと思う。事故を起こす事で絶対に破綻しない会社になるのですから、電力会社は再稼働で事故が起きても責任も取らずに破綻も心配することはない。こんないい話はない。だから東電新潟の柏崎刈羽原発を再稼働させようとしている、と大島さんは言われました。
 電力会社も政府も、反省もせずに再稼働にやっきになっています。そして嫌でも私たち国民
がお金を出して東電を救済し、電気料金から、原発の負担金を徴収させられていることに変わりはありません。
 
今後については
☆エネルギー政策(特に電力システム改革)が具体化する中で、原子力のための新たな補
助制度が構築される可能性がある。と指摘されました。
 頭のいい原子力官僚が原発を温存させるために2016年に向けて電力自由化を進める中
でどんな手を打って来るのか。電力自由化を喜んではいられない。怖いですね。それから、福原発事故で、原発のコストは私たちにとってはとてつもなく高くつくことをあらためて認識しました。  
                                           松浦雅代     
 
(追記)2011年2月27日、大島堅一氏に「原発がこわい女たちの会」で、「ほんとうのこと 知ろう 『原子力のはなし』 原子力発電は本当に安いのか」と題して講演して頂きました。
 その12日後に東京電力福島原発事故が起きました。
 大島堅一著「再生可能エネルギーの政治経済学」定価3800円の高くて難しい本を買っ
て頂きました。この本はその後(環境経済・政策学会奨励賞)を受賞しています。
(金原注:私も松浦さんからこの「高くて難しい本」を買わされました。もちろん、3.11前のことです)

 

 

再生可能エネルギーの政治経済学

再生可能エネルギーの政治経済学

 

 

 

 福島事故後に出された岩波新書の「原発のコスト」は大佛次郎論壇賞を受賞。

 

原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)

原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)

 

 

 読みやすいのは「原発はやっぱり割に合わない」東洋経済新報社1600円がお勧めです。

 

原発はやっぱり割に合わない―国民から見た本当のコスト

原発はやっぱり割に合わない―国民から見た本当のコスト

 

 


 現在は「原発ゼロ社会への道」原子力市民委員会のメンバーとして活動されています。 
 

               二度目の福島へ                  
                                        古田伊公子
 
 「福島へは行ってみたいけど手がかりがないと……」と云う私の昔なじみの2人(2人は初
対面)を誘って7月14、15、16日の日程で、又々昨年お世話になった方々に遠路終日お付き合い願って南相馬へ、浪江町へ、行って来ました。
 田んぼ、請戸港、被災住宅、希望の牧場と何とも欲張りなかけ足ながらもそれぞれに濃
い1日を過ごさせて頂く。
 太平洋沿いの常磐線がいまだに、永久(?)に不通の為、内陸の東北本線で福島に入
る、浜通り南相馬、浪江へは車で移動となる。福島(東北本線、新幹線とも同じ駅構内)から南相馬の原町への定期バスが1日4本位、所要時間2時間というのがあることを知る。帰路はこれを利用した。
 なかなか快適でした。
 2泊とも農業民宿(二本松・南相馬)を紹介して頂き、初体験。アットホームで民宿の御
夫婦も一緒に食卓を囲み同じものを頂き、初対面なのに里帰りして来た家族をむかえるような雰囲気で、つもる(?)話をして下さる。
 村をあげて頑張ってきた有機農業の村(旧東和町)の震災後、悩んだ末やっぱり皆で頑
張ろうと歩み続けている姿や、道の駅やあじさいロード(あじさい寺も)、ハーフマラソンする距離、見事につづくあじさいを夕方遅く案内して下さる。(下の写真)

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 放射線量は一律という訳ではないので、皆さんそれぞれに気にしながら収穫物は全て測
定所に持ち込み測定した上で食べ、分け、販売しているそうです。
 南相馬のお百姓さんも希望の牧場の牧場主さんも、稲が立派に育っても、牛(300頭)
に毎日毎日大量のエサ(牧草ロール一日10ロール)をあげて生命をつないでも、一粒たりとも、一切れたりとも食べることができない状態です。それでもなお、稲作を後世に引き継ぐ為(自分の生きがいだから、やめられないとおっしゃってはいるが)、また生命あるもの政府の
いうように殺処分出来ず、栃木、宮城の汚染された牧草をもらって(運送費だけでもバカにならない)大量に積み上げました。原発から14㎞全部で30町あるという牧場のうちの一番北の端(原発から遠い方)で現在放牧中。牛さんたちの表情のやわらかなこと、目のやさしいこと、とってもいとおしく申し訳ない思いでした。お百姓さんと牧場主さんの固い握手、目に焼き付いています。
                         
 橘柳子さんはお元気でした。今回は橘さんの夫君・毅氏の車で浪江町のお宅まで連れ
て行って頂きました。お家の中は震災当時のまま片付けも出来ず、倒れ散乱した家具や本、書類など3年4カ月も経つとほこりや湿気、毅氏は何かの動物の毛が床に落ちているのを見つけられる。「放射能が入る!」と厳重に戸閉まりされているのですが―。
 お庭の芝生は4.4μシーベルト/h(放射線管理区域で0.6μシーベルト/hが上限な
のに)!
 御夫妻で定年まで勤められて思いを込めて建てられたでしょうお家。お庭の木々も毎年
新緑を、お花を楽しまれていたでしょうに。なんとも酷なこと。かけられる言葉はありません。
 車の中で毅氏は、お父様の従兄弟である鈴木安蔵さんのお話しをして下さり、幼いころ
よく遊んでもらったと聞かされていて、日本国憲法の草案に大きな役割を果たされた従兄弟さんのことを、お父さんは毅氏に、又そのパートナーになられた柳子さんにも語って聞かせておられたそうです。
 社会科の教師となられた毅氏は、生徒たちに誇れる日本国憲法を大切にと教えられて
いたそうです。
 また毅氏は、南相馬のお百姓さんの長男の担任だったとか「あら、まあまあ先生、お久し
ぶりです」と30年振り位の再開に花が咲き、その夜泊めて頂いた民宿では、私と同行者の一人とも旧知である名前が出てきてびっくり仰天。
 
 相変わらず何も変わらずどころか、こわれた原発のガレキ処理が進んで放射能がより一層放出拡散して(7月23日東電も認めニュースになっていましたね)2012年産米は20Bqだったのに2013年産米は100Bqに(南相馬小高)!!
 まだまだ想定外のことが起こってくるのでしょう。廃炉などできるのでしょうか。再稼働など
と、どんな心や頭なら言えるのか庶民にはさっぱりわからないね。
 それでも、とても楽しい旅でした。
 一度会ったらすぐ友達に。二度目会う時は親戚。握手の手を離すことが出来ませんで
した。
 南相馬の試験田の稲刈りに、会津からの私のお米の故郷へ、これからもおこずかい貯
めて行きます。みなさん福島へ御一緒しませんか?

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※古田伊公子さんは大阪豊中から農業をするために有田川町に11年前に引っ越してこ
られた方です。 (上の写真・希望の牧場の牛たち)
 

◎5月21日 福井地裁大飯原発運転差し止判決・司法は生きていた!
 福井地方裁判所において、樋口英明裁判長により大飯原発3、4号機の運転差止を
命じる判決が言い渡されました。歴史的な住民側勝訴判決となりました。
 大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨を同封しています。
 少し時間が経っていますが、今後日本全国の原発裁判で影響があると思います。大阪
地裁、京都地裁でも裁判中です。是非、読みやすいので読んで下さい。本判決が指摘する原発の危険性は、いずれも原発が抱える本質的危険性です。
 
(金原注:同判決要旨は以下のサイトでも読むことができます)
 
 5月9日女たちの会前号に載せた却下された大阪高裁での裁判は関西電力相手の運
転差し止仮処分裁判でした。大阪地裁での国相手の裁判は9月12日に大阪地裁202号法廷で行われます。
 
◎7月31日 福島原発事故の責任を問う告訴
 2012年6月に福島県民1324人の第一次告訴に続いて11月には全国的に約15000人
の告訴団になりました。2013年9月9日福島地検から東京地検に移送され、その日のうち東京地検は不起訴判決。「不起訴処分」と決定したことを不服として2013年11月22日東京地裁に、検察審査会第二次申し立て5737人分を提出。今回は罪名を「業務上過失致死傷」だけに絞り、被告発人を東電原子力担当役員6人に絞り、因果関係の立証が難しい人等を除外し、審査員にわかりやすくしたそうです。
 2014年7月31日「11人の市民」による検察審査会が出した議決は、東電元幹部3人の
「起訴相当」でした。東京地検は再捜査を開始し、原則3カ月以内に起訴か不起訴か改めて判断することになりました。(松浦も第二次申立て人になっています)
 
(記)2014年7月1日安倍内閣は集団的自衛権容認を閣議決定した。
 そもそも、閣議で憲法解釈を決めること自体がおかしい。憲法の根幹を切り落とす介錯
と言った人がいた。わたしもそう思います。安倍総理のシナリオが支離滅裂でもより能弁になってきている。危険だ、まくら言葉は国民の健康と安全を守る。私たちを愚弄している。
 私たちが行動することでやっと自由と民主主義が生かされる。私たちが試されているのだ。
一人一人が、行動しましょう。
 
会員の皆さまへ
 会員の交流会を10月25日(土)又26日(日)(原子力の日)どちらかで開催したいと思
います。会場が決まれば連絡します。ゲストは考えておりませんが、会員の皆さんでこんな話が聞きたいとの声を届けて下さい。
                                         松浦雅
 

(付録)
原発ゼンキハイロ』 はちようび

「原発がこわい女たちの会ニュース」第89号が届きました

 今晩(2014年5月19日)配信した「メルマガ金原No.1731」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
原発がこわい女たちの会ニュース」第89号が届きました

 「原発がこわい女たちの会」の松浦雅代さんから、ニュース第89号をお送りいただきました。
 既に同会ニュースではお馴染みの福島県浪江町から本宮市仮設住宅への避難を余
儀なくされている橘柳子さんの手記は、文章を目で追うのが辛いかもしれませんが、私たちなりに受け容れて読み通す必要があると思います。
 それから、「原発がこわい女たちの会」創設準備の段階で、「原発こんといて女たちの会」という別案が検討されていたということを初めて知りました。
 結果論かもしれませんが、「原発がこわい女たちの会」にして良かったと思います。こちら方が「広がり」が感じられる名称だと思いますから。
 それにしても、同会を「こわい女たちの会」という略称(?)で呼ぶ小出裕章さんや今中哲二さんたちお得意のジョークについては、汐見文隆先生が先鞭をつけていたということも初めて知りました。
 

原発がこわい女たちの会ニュース NO88号・2014年5月15日発行
事務局〒640-0112和歌山市西庄1024-15 ℡・fax073/451/5960松浦雅代方
原発がこわい女たちの会ブログ http://blog.zaq.ne.jp/g-kowai-wakayama/
 
9/15~原発は停止中・再稼働の動き活発!
 
大飯原発3、4号運転差し止仮処分裁判は、大阪地裁で昨年4月16日却下。
4月26日即時抗告しました。今年5月9日、大阪高裁は住民側の申し立てを却下し
した。約1年間の大阪高裁での裁判は、1審とは異なり、昨年7月に国の新規制基準が策定されたもとでの裁判でした。争点は、
①基準値地震動が過小評価であること、津波評価と同様に武村式で評価すれば4.
7倍の地震動となること。
②重大事故対策の不備と、規制委員会が自ら基準を踏みにじっていること。
③敷地内活断層の安全性評価に不備があること。
の3点でした。
 不当判決 原発の安全性判断示さず

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脱原発わかやま」の講演会(13:30~総会があります)
原発は安い!?~原発のコストはいったいいくらなのか~」
 講師:大島堅一氏(立命館大学教授)

○日時:2014年6月22日(日)14:30~
○会場:田辺市民総合センター4階交流ホール
        和歌山県田辺市高雄一丁目23番1号
        http://www.city.tanabe.lg.jp/fukushi/sougoucenter.html      
○参加費:無料  

報告・事故から4年目 本宮市仮設住宅から
 橘 柳子

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 「人間いたるところに青山あり」というけれど、何気ない日常の郷愁にふけることもないままに、いやどこかで遠ざけながら、あわただしく生きてきた年月も4年目に突入。
 浮き世の風は風化の冷たさ。棄民が静かに現実化してきている。避難の経過から現
在も、浪江町の「悲劇」が続いている。私はそう思っているのだ。
 原発事故の連絡が国からも東電からもないままに避難開始。高濃度の放射能あふ
れる道路を避難、その地・津島に3日間。放射能が高いなんて誰も知らされていない中にである。再度の避難場所は、福島県内で、3番目に濃度の高い二本松市へ。そこから町民は再び、現在も県内だけで31か所の仮設住宅と借上げ59市町村に。勿論(?)全県(和歌山県以外)と海外へも避難中である。
 2013年の暮あるいは2014年早々に周りの風景が変わりはじめた。
 今まで約3年間、手付かずだった公園の落葉が集められ、木々の枝は剪定された。さ
らに一部には芝生がはられ土が舞い上がらない配慮かと思ったほどだ。そこまではうれしい状況変化でした。ところが仮設住宅側の道路をはさんだ小だかい山の上がならされ、そこに青い袋が積まれはじめた。平行して市内に行く道路沿いの家々の庭や畑にも青いが並んだ。3月末のある時、近くの運動公園のグランドに散歩に行ったのです。今まであった進入禁止の柵がなかったので公園に入った。何んとびっくり、我が目をうたがう。広大なグランド半分に大きな穴。そこには黒い袋がぎっしりと並んでいました。青も黒も1トン袋です。耐用年数3~5年。青は遮水性、遮光性。黒は遮水性だとのこと。土中に埋めたものが耐用年数をすぎて袋が破れれば、放射能が地下に浸透、地下水脈を汚すことは想定してないのだろうか。
 地上の青袋でも,積まれた時点からは勿論、破れれば当然近隣の空気は汚染される。
数が多い程高濃度になるはずだ。何んと場あたり的対応。自然界を甘くみていると言わざるを得ない。後世に生きる人々に何を大事に遺し、引き継ぐのか微塵も考えていないと思わざるを得ない。国も行政もである。人々の命を軽くみていると共に思慮に欠けている。どうゆうふうにって?金で再び民衆の口をふさごうとしていることだ。この市のとある行政区長が、市の広報誌に放射能除染物と置き場の学習をして「何ら心配ない」と分かったと書いていた。驚きである。こうして、やがて畑・田んぼ・空き地は青や黒の袋でうめつくされるのであろうか。こう考えると行政は深く静かに潜行しているのかもしれない。生きるのに、日々のくらしに忙しい我々は何がどうなっているのかは、しばらくしてから気づくのである。
 2014年3月仮設敷地内のため池の件で2回説明会がもたれた。県北事務所農水
担当者・市役所職員と施行業者の面々で、集まった我々に説明。その会のタイトルがふるっている。「高木大池ため池等汚染拡散防止実証事業」内容説明だ。拡散防止実証事業には、おそれ入る。本宮市内の別のため池の泥は37万ベクレルあったことは2月のA誌で報道されていた。ため池の水は農業用水でしょうに。命の米を作る水なのに、3年間放置していて今だ。それもため池は除染対象外ですと。やはり民衆は実験台です。
  山の松の木一本の補償もされているとも、巷ではささやかれてる。山もちは黙るだろう
なあ―。片や商店は商いの年収と同額の金が口座に振り込まれてるとも…。これで商店経営者も沈黙か。少しずつ、少しずつ「脱原発」は福島でさえ遠のく状況が深く静かに潜行している。
 一方浪江町は2013年4月から区域再編なるものが実施された。誰が、どうゆう過程
で何をベースに判断したのか解りませんが…。①避難指示解除準備区域②居住制限区域③帰還困難区域の3区分。①②は浪江町通行証を持参すれば倹問で提示、通行可能。この通行証も3カ月に一回の更新が6カ月毎になった。さらに一部は放射能高いにもかかわらず国道3本も速やかにの条件で(?)通過できます。(6号、114号、288号)、要するに自己責任で通りたければ通れと云うこと。我が家は①になった。昨年松浦さんと共に訪れた時は庭で4.4μシーベルト。室内は場所により異なるものの1.2μシーベルトでした。2014年4月から除染とのことですが、今だ何の連絡もありません。もっとも私個人は除染は望んでないのですが…。時折帰宅のため庭ぐらいは…とも考えるが。
 この日本の地でやがて逝った時は放射能にあふれた墓地に入らざるを得ないとは…。
死んだら何んでもいいではない。もはや日本には「いたるところに青山あり」とは言いがたい。
 「この世は真暗やみでございます。」の座頭市の台詞の心境の日々。ああもうただた
だいやなのだ。でもいやだだけですまないのが悲しいかな、福島であり、避難者の現実です。
                                    2014年4月5日
 
(この報告は4月20日の女の会結成27年のつどいで参加者に配布しました)
 

報告 4月20日―女の会結成27年のつどい―  ビック愛9階会議室Aにて
今中哲二氏講演「放射能汚染への向き合い方」
 
 「原発がこわい女たちの会」は3月29日で結成27年を迎えました。チェルノブイリ原発
事故の11か月後、1987年のことです。その2週間ほど前に有志が集まって、会の名称や運営方法を話し合いました。古いメモが出てきました。「原発がこわい女たちの会」か、原発こんといて女たちの会」どっちがいいかな~となって、「原発がこわい」は私たちの気持ちを率直に表しているし、インパクトがあってよさそう、とこれに決まりました。同席されていた汐見医師が「こわい女ねえ、ふ、ふ、ふ…」と含み笑いされていたのをおぼえています。鮮明な記憶なのに、あれからもうそんなに時が経ったのかという思いと、それでもまだ続けなければならないのかという思いが交錯します。
 日置川町(1988年)、日高町(1991年)に原発反対町長を選び、原発を拒否しま
した。和歌山に原発こんといて、は一応達成しました。しかし、全国的には事態は好転してないどころか、ますます酷いことになっています(現段階では原発はすべてストップしているけど)。福島原発事故は、その最たるものです。
 

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 結成27年のつどいは、4月20日(日)今中哲二(京大原子炉実験所助教)さんをむかえて講演会を行いました。25年のつどいでもお願いしたので、2年ぶり。今回のテーマは「放射能汚染への向き合い方―福島県飯舘村の初期外部被曝調査を終えて」、古くからのメンバーも駆けつけて今中先生のお話を聴きました。
 
 まず、福島で3年前に起きたこと、として
 地震津波により全電源喪失から炉心冷却不能、燃料棒露出、メルトダウン、メルト
スルーに至る原子炉破損の過程と、水素爆発、放射能放出による環境汚染、という事故直後の数日間をご自身のとらえ方で追い、また格納容器が爆発せずどうにか持ちこたえたこと、使用済み核燃料の入った4号機燃料プールが無事だったことは、まったく不幸中の幸いであったと、チェルノブイリ原発事故との比較をまじえながらの話しに、あの過酷事故をあらためて復習することになりました。
 
 今回のメイン、飯舘村初期被曝評価プロジェクトチームとして行われた村民への聞き取り調査については、配付資料やネット上に詳しく解説されていますので、こちらをご覧いただきたいと思います。
 
 放射能汚染が生じた3月15日から計画的避難区域に指定されて村外に避難する7月末までの、村民1812人(全体の3割)の外部被曝量を見積もったものです。飯舘村は周知のとおり、福島原発から30キロも離れていたが、放射能ブルームが到来し、そこへ降雪によって地表に沈着し著しい放射能汚染を来してしまった地域です。
 
 事故後の放射能汚染や被ばくの問題は、福島や東日本では重大な関心事です。地域差があって他所事でしかない人もいますが、食べ物ひとつ取ってもグローバルな時代には、全国どこにあっても回避しようがない面もあります。自分とは関係ない、では済まされないのです。
 
 「放射能汚染に対してどう対応するのか、それぞれの人が判断し選択して現実にはどこかで折り合いをつけてやっていくほかない、そのための知識と知恵は提供します」
 これが、今中さんの一貫した姿勢といえます。
 普通の人びとは、これまでベクレルシーベルトも知らずに済んだが、福島後のいまは、
被ばくリスクやさまざまな情報を検討して、それぞれの人がどこまで被ばくをガマンするのか、自分で選択しなければならなくなったこと、
 家族の条件、個人の価値観などによってガマンできるところは異なるのだから、一律に
は言えないし自分が納得して判断し選ぶほかない。あなたが決めることで、だれかが替わって決めることはできませんよ、というのです。ただし、
東電の不始末による被ばくは1マイクロシーベルトたりともイヤだという権利はある、
・もしそれが自分(今中)の家族だったらこうするだろう、
という示唆は残されていますが。
 
 その判断材料となるべく話された事を、以下、私なりにピックアップしてみます。
○自然界に存在する自然放射線やかつての核実験の影響、医療による被ばくもある。福島由来による被ばくについては、ガマンの折り合い方を考える目安の一つは年間1ミリ
シ-ベルト。子どもの被ばくはできるだけ少なく!
 
○被ばくによるリスク。ヒロシマチェルノブイリのような急性放射線障害はなかったが、後々になってあらわれるガン・白血病、先天性異常などの晩発的影響が懸念される。現に福島では子どもの甲状腺がん(の疑いを含め)が増加している。
 
○必要な正しい情報は伝わりにくい。事故直後はまったく情報がなく、当局は隠すというより「メルトダウン」状態で、防災システム(人)が機能せず。わからない、判断できない、責任を負いたくない、…なかには山下発言のような情報操作も。
※なぜか急に福島県立医大の副学長になった山下俊一氏が健康アドバイザーとして
放射能はこわくありません、にこにこ笑っている人には放射能は来ない」など福島県で講演。
 
除染は必要か。木を倒し表土を剥いで袋に詰めてそこら辺に保管。除染という名の環境破壊ではなかろうか。たとえば飯舘村人口6000人に除染予算は3000億円計上。帰村政策推進のため?除染はオイシイから?もっと効果的な除染や他に急いでやるべきことがありそうだ。
 
○私たちが暮らすにはどれだけのエネルギーが必要なのか。日本のエネルギー需要は、1960年代の高度成長の始まり期と80年代後半のバブル期に急増している。原発が無かった70年頃でじゅうぶんやっていけたではないか(これ、私も実感します)?ほんとに大事なのは一体何なのか、私たちの暮らしを考えてみたい。
                                           (sora)
 
講演については、小谷英治さんがユーチューブにアップして下さっています。
「今中哲二講演 放射能への向き合い方」 
 https://www.youtube.com/watch?v=pKbrJB2R64I&feature=youtu.be
今中哲二講演録DVDも20部作成していますので希望者はお送りします。
 

小坂洋右著(ルポ)「原発はやめられる」寿郎社発行を読んで
                                     倉田洋子
 
 小坂洋右著(ルポ)「原発はやめられる」を再度読み終えて、再び小出裕章さんの「騙されたあなたにも責任がある」と「原発憲法9条」を読み返しています。今まで私は、感情的とか情緒的にしか問題を捉えていなかったという重大な誤りに気が付いたからです。小坂氏のこのルポはそのことを気付かせてくれました。
 チェルノブイリ事故とフクシマ事故、そしてドイツの2020年には再生可能エネルギ―が
35%に達するという、脱原発の実現化について書かれてあります。私はその使用済み核燃料の無害化の10万年の意味するものについて具体的にイメージしながら想いうかべるということをしてこなかったと思います。感情的、抒情的というのが、あまりに小出さんたちに申し訳なく思っています。
 私達の10万年前といえばネアンデルタール人につきあたると小坂氏はいいます。私のイ
メージの具体化の最初はこのネアンデルタ―ル人でした。そして、著者はJ・スティグリッツDr.の言葉を借りて、これからの金融メルトダウンの誘発と共にリーマンショクの類似を挙げています。倫理的に大いに問題ありというのです。只、今回の場合はもっと悪質なのは、これから更にふくらむ損失、補償処理等の見通しが立たないことと、原子力政策に関わる公的負担がスタート時から電気料金に盛り込み済みのことだとも述べています。福島県内だけで除染費用が廃炉も含めて数十兆円になるのではないかという意見もあります。
 1994年1月ドイツのシェーナウという、わずか2500人の村でエネルギ―選択権革命が10人の親たちの会を起点に起こりました。そしてドイツの大企業のシーメンスも採算を
考慮しても再生可能エネルギーにシフトしたとあります。やっぱり国家としての哲学、というものの大切さを感じます。
 鳥の脳ミソといわれる森元首相やその後を続く安倍首相では話しにならんわなー。でも
あきらめず!
 

―戦後日本の大きな分かれ目―通販生活夏号(カタログハウス)の国民投票
 「自衛隊の海外派兵を可能にする集団的自衛権の行使は国民投票で国民一人一人に是非を聞かなくても、内閣が憲法の解釈を変えるだけで、可能である」この安倍自公内閣の「解釈改憲」について賛成か反対のハガキ投票。石破茂さん、弘兼憲史ん、小林節さん、阪田雅裕さん、内田 樹さん、加藤陽子さん、6人の中から選んで投票です。6人の論を読むのもいいと思います。夏号1冊180円です。
 書店で売っています。
★5月15日安倍首相は集団的自衛権容認を指示し憲法解釈変更に意欲を示した。
NHKテレビを見ていて本質をそらした安倍首相の会見に騙される危機感を感じました。
安倍総理、勝手に憲法の解釈を変えるな、主権者は私たちだ。と言いたい。
                                        (松浦雅代)
 

<お知らせ>
★再稼働反対の意見広告 協力のお願い(松浦雅代も呼びかけ人になっています)
 (チラシ同封・チラシに振り込み用紙が印刷されてあります)
 http://www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/home/2014iken.pdf
 3.11福島原発事故の後始末はとてつもないお金と時間がかかります。被災者の状
況を考えると再稼働なんてとんでもない。その上、日本はいつ大地震が起きても不思議ではありません。原発銀座の若狭では「もんじゅ」をはじめ、14基の原発がひしめいています。あなたも意見広告に名前を出しませんか。
 
★5月31日(日)13:30~(於:和歌山市勤労者総合センター4階大会議室)
 講演会「熊野・新宮の大逆事件
    講師:辻本雄一氏(佐藤春夫記念館館長)
    主催:映画「百年の谺」を観る会  
    参加費:無料
 辻本雄一氏は今年2月に「熊野・新宮の大逆事件前後―大石誠之助の言論とそ
の周辺―」を論創社より出版されました。
 
★6月21日(土)13:15~(於:和歌山ビック愛9階)   
 子どもたちの未来と被ばくを考えるつどい
 14:00~講演「原発事故こども被災者支援法と うのさえこ さんの避難の話」
    講師:うのさえこ さん
    主催:子どもたちの未来と被ばくを考える会 
    参加費:無料
 
<記>
 週刊ビックコミックスピリッツの4月28日発売号に漫画「美味しんぼ」で福島の真実編として掲載された「福島県内では鼻血や疲労感という症状の人が大勢いる」という表現が問題視されていて、新聞やインターネットで報じられています。私はまだ「美味しんぼ」の漫画を読んでいませんので、とやかく言えませんが、広河隆一さんが過去に
チェルノブイリ原発事故のあと支援のために2万に以上の人にアンケートをとっていたのを観ると鼻血や疲労感以外にもいろんな症状があることが分かります。(もっと詳しく知りたい方は「弁護士金原徹雄ブログ」を)
 →http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/38122643.html
 私も過去に3年間チェルノブイリの子どもたちを和歌山で保養してもらった時も、一見元気そうに見えるが調子が悪くなることはしょっちゅうだと言われました。低線量被曝の問題も含めていろんな問題を含んでいます。今後の課題です。
 
 会計報告が遅れていました。この会は会費とカンパで成り立っています。今年度の会費納入をお願いします。(1口1200円)              

                             (松浦雅代)

集団的自衛権についての日本弁護士連合会の最近の取組

 今晩(2014年5月1日)配信した「メルマガ金原No.1713」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
集団的自衛権についての日本弁護士連合会の最近の取組
 
 私も会員の1人である日本弁護士連合会が、「立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することに反対」していることはご存じのことと思います(多分)。

 昨年(2013年)5月31日の日弁連総会における決議をご紹介しておきます。

集団的自衛権の行使容認に反対する決議

 日弁連では、安倍政権の暴走による立憲主義の危機を前に、従来の憲法委員会を憲法問題対策本部に改組することになっており(全国の弁護士会会長が当然委員となります)、弁護士会の総力を挙げて危機克服に立ち向かう姿勢を示しています。

憲法の危機に日弁連はどう立ち向かうのか(一会員からの要望)

 その日弁連集団的自衛権に関する最近の取組を2つご紹介します。

 最初は、去る4月10日に弁護士会館2Fクレオで開催されたシンポジウム「集団的自衛権憲法-『積極的平和主義』を問うー」の映像が公開されたというニュースです。

映像(149分33秒)
チラシ
シンポの概要
1 DVD上映
 「憲法かみしばい」(明日の自由を守る若手弁護士の会作成)
2 基調報告
 堀井 準(日弁連憲法委員会事務局次長)
3 講演
北澤 俊美氏(元防衛大臣参議院議員
4 パネルディスカッション
パネリスト
北澤 俊美氏(元防衛大臣参議院議員
阪田 雅裕氏(元内閣法制局長官、弁護士)
谷口 真由美氏(大阪国際大学准教授、全日本おばちゃん党代表代行)
半田 滋氏(東京新聞論説兼編集委員)
コーディネーター
永尾 廣久(日弁連憲法委員会委員長)
猿田 佐世(日弁連憲法委員会幹事、新外交イニシアティブ事務局長)
 
 そして、もう1つの日弁連の取組は、新しいリーフレットを作成したということです。

リーフレット「集団的自衛権。それは、外国のために戦争をすること。」

 このリーフレットは、「Q&A」方式でわかりやすく集団的自衛権の本質を理解してもらうことを狙ったものですが、「ミソ」は、日弁連と立場を同じくする識者8人に各問への回答者になってもらっていることです。
 登場されているのは以下のおなじみの方々です。

谷口 真由美さん(大阪国際大学准教授(国際人権法)、全日本おばちゃん党代表代行)
青井 未帆さん(学習院大学教授(憲法))
半田 滋さん(東京新聞論説兼編集委員(防衛省担当))
谷山 博史さん(日本国際ボランティアセンターJVC代表理事)
丹羽 宇一郎さん(前中国大使、早稲田大学特命教授)
柳澤 協二さん(前内閣官房副長官補(安全保障担当))
浜 矩子さん(同志社大学大学院教授(経済学))
阪田 雅裕さん(元内閣法制局長官・弁護士)

 このリーフレットは、今後、各地の弁護士会が行うシンポ、集会等で来場者に配布したりして活用することが想定されていると思いますが、それだけではなく、趣旨に賛同する市民団体が要請すれば、日弁連から取り寄せることも可能だと思います(日弁連事務局に確認はしていませんが、当然そうあるべきものですからね)。
 お問い合わせは、
  日本弁護士連合会  人権第二課 TEL:03-3580-9510
までお願いします。
 
 これらの映像やリーフレットを活用して、1人でも多くの国民に私たちの声を届けなければと思います。
 日弁連サイトにこのリーフレットが掲載されたのは4月23日のことだったようですが、気がつくのが遅れたため、明後日の憲法記念日和歌山城西の丸広場で開催する“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wkayama”(主催:憲法9条を守る和歌山弁護士の会、9条ネットわかやま)で配布することができないのは残念です。
 和歌山弁護士会憲法委員会)でも相当量を日弁連から取り寄せて活用することを考えねば。
 

 
集団的自衛権
それは、
外国のために戦争をすること。
 
 
 
集団的自衛権
って聞いたこと、ありますか?
「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、
自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、
実力をもって阻止する権利」というのが政府の説明です。
つまり、これを認めると、日本が攻撃されていなくても、
外国のために戦争ができることになります。
今まで、憲法9条の下では、その行使は許されないとされてきました。
ところが、閣議決定集団的自衛権の行使を認めようとする動きがあります。
でも、そんなに簡単に時の政府の判断だけで認めてしまっていいのでしょうか?
これを認めると日本の平和や安全保障はどう変わるのでしょうか?
各界の方々にうかがいました。

集団的自衛権って、
私たちとなにか関係あるの?
集団的自衛権。この単語、漢字ばかりだし、難しそうだし、
よく意味がわからないけど、自衛隊の話だろうし、
私には関係ないわ、なんて思っていませんか?
これをきっかけに、政府が戦争の準備をはじめるとしたら?
おたくのお子さんが、兄弟姉妹が、恋人が、友が
実際に戦争に行くことになるかもしれないとしたら?
ホラー映画みたいですね。
ひたひたと近づく危機に気づいた時には遅すぎた、
なんてことにならないよう、政府が何をしようとしているのか、
多少難しくても逃げずに、まずはきちんと知ることから始めましょう!
大人の責任として。
 谷口 真由美さん
 大阪国際大学准教授(国際人権法)
 全日本おばちゃん党代表代行

集団的自衛権の行使は
憲法で認められているの?

自衛隊憲法の禁ずる「戦力」ではなく
「自衛のための必要最小限度の実力」
なのだというこれまでの説明からは、
「他国の防衛」のための集団的自衛権は認められません。
日本国憲法は「陸海空軍その他の戦力」を持たないとしています。
それに「自衛隊」という言葉も、憲法のどこにも書いてありません。
憲法をそのまま読めば、「軍事力によらない平和」が
追求されているようにしか読めないのです。
つまり、自衛隊を合憲とする理屈それ自体が「離れ技」でした。
「独立国である以上は当然に日本も自衛権を持っていて、
その自衛権を行使するために必要最小限度の実力は
憲法で否定されていない」という理屈が
合憲性を支える「つっかえ棒」なのです。
そして自衛権を発動する要件の一つに、
「わが国に対する急迫不正な侵害があること」が挙げられてきましたが、
集団的自衛権はこれを満たさないので、認められようがありません。
もしこれを行使できるとなったら、
実は自衛隊の合憲性を支える「つっかえ棒」も外れてしまうはずです。
そのような理屈の問題を意に介さないというのは、
憲法9条から力を奪って、
単なる「理想」を謳う規定にしてしまうに等しいことです。
 青井 未帆さん
 学習院大学教授(憲法

集団的自衛権
使えるようになると、
自衛隊はなにをするようになるの?
自衛隊は、日本が攻撃を受けたときに限って
自衛権を行使する実力組織です。
平和外交や9条に基づく抑制的な専守防衛政策で、
十分、日本の安全は保たれてきました。
米英によるイラク戦争に派遣された陸上自衛隊が、
1発の銃弾も撃たず武力の行使をせずに、
施設復旧や医療指導、給水といった人道復興支援に
徹したのは9条の制約があったからです。
しかし、集団的自衛権の行使は、日本の防衛とは関係なく、
自衛隊が海外で武力行使することです。
集団的自衛権が行使できるとなれば、
アフガニスタン戦争で米軍とともに戦った英軍のように、
自衛隊が米軍と一緒に武力行使できることになります。
自衛官が外国人を殺し、殺されるということです。
集団的自衛権行使容認の狙いは、
海外の戦争に参加できる国に変えることにあります。
海外における武力行使に道を開き、
大国による戦争に日本が加担することになります。
憲法の平和主義と矛盾するものです。
 半田 滋さん
 東京新聞論説兼編集委員
 (防衛省担当)

日本の国際貢献は
やりやすくなるの?
アフガニスタンカンボジアなどで、NGOとして
非軍事的な援助活動にあたった経験からすると、
軍隊を持たず武力行使を否定する憲法9条の存在は、
日本が国際貢献をする場合に、とても貴重なものです。
集団的自衛権行使を認めて日本の自衛隊が海外で
武力を行使できるとしたら、日本は貴重な外交資産を失うことになります。
 谷山 博史さん
 日本国際ボランティアセンターJVC代表理事

日本が集団的自衛権
使えるようになると、平和になるの?
日本は戦後69年間、憲法の三本柱の一つである
恒久平和の希求」を基本にしてきました。
今後も、平和憲法を守る唯一の被爆国という立場で
非核・非戦を世界に訴え、専守防衛に徹するべきです。
今後も集団的自衛権の行使を時々の政権の憲法解釈で認め、
憲法の精神を踏みにじるようなことになれば、
先人達の世界平和のための努力は
水泡に帰すことになりかねません。
今迄培ってきた世界の信頼と尊敬を失いかねません。
多くの国民の努力なくして平和は維持できるものではないのです。
周辺国との関係で必要なものは東アジア/世界の平和の為の
対話の努力が何よりも大切です。
集団的自衛権で、これまでの制約なく
日本が戦争に参加しやすくなるとすれば、
これからのアジア全体の平和にも
大きな影響を与えることになるでしょう。
 丹羽 宇一郎さん
 前中国大使
 早稲田大学特命教授
 
集団的自衛権が使えないと
日本が守れないの?
アメリカから求められているの?
尖閣防衛や北朝鮮のミサイル攻撃は日本有事ですから、
いまの憲法枠内の個別的自衛権で守れます。
「日本防衛のための集団的自衛権」は論理矛盾です。
アメリカも、自国にとって重要な日本を守らないわけにはいきません。
アメリカから集団的自衛権を求められたことはありませんし、
米軍と自衛隊は、
いまある法律で十分に世界有数の連携ができています。
集団的自衛権を声高に言うことは、かえって緊張を高めるだけで、
日本の防衛にプラスにはなりません。
 柳澤 協二さん
 前内閣官房副長官補(安全保障担当)

グローバル時代の
日本の経済のためには
集団的自衛権が使えた方がいいの?
いつの時代でも、いかなる状況の下でも、
戦争がやりやすくなることがいいわけがありません。
そもそも、戦争と平和の問題を、
経済的損得と結びつけて考えてはいけません。
ここが基本です。
この基本を踏まえた上でいえば、グローバル時代だからこそ、
日本経済のために集団的自衛権はご法度です。
なぜなら、グローバル時代は経済的相互依存の時代です。
誰も一人では生きて行けない。
誰もが誰かの力を借りて生きて行く。そういう時代です。
そのような時代になっているというのに、
日本が集団的自衛権を使えるようにすれば、どうなるか。
世界に冠たる平和国家が、どうもスタンスを変えたようだ。
そのように思われれば、対日不信が強まって、
今まで気持ち良く力を貸してくれていた国々から
拒絶されるかもしれません。
集団的自衛権を行使する日本は、グローバル・ジャングルの
「優良住人リスト」からはずされてしまうでしょう。
 浜 矩子さん
 同志社大学大学院教授(経済学)

そもそも、
憲法で認められていないのに、
閣議決定で認めることができるの?
集団的自衛権の行使など、わが国(日本)の海外での武力行使は許されない、
というのが政府の一貫した憲法9条の解釈でしたが、
これを変更した上で自衛隊法やPKO法等を改正しようとする動きがあります。
憲法改正をせずに、時々の政府が恣意的にその解釈を変更することは、
立憲主義に反し、許されません。
集団的自衛権国連憲章で認められているからといって、
これを行使することは加盟国の義務ではありません。
国民の意思によって国に集団的自衛権
行使させるかどうかを決めることができます。
憲法9条は、集団的自衛権を行使させないという
国民の意思を表したものです。
 阪田 雅裕さん
 元内閣法制局長官・弁護士

私たちは、法律家団体として、
立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により
政府解釈を変更し、
集団的自衛権の行使を
容認することに反対します。
憲法前文と第9条が規定している
平和的生存権の保障と恒久平和主義は、憲法の基本原理です。
これまで、政府はこうした基本原理に基づき、
憲法集団的自衛権の行使を禁止していると表明してきました。
これは、国会における長年の審議の中で積み重ねられ、
歴代内閣で確立されてきた政府見解です。
時の政府が、閣議決定でこの見解を変更(解釈改憲)し、
集団的自衛権の行使を容認することは、
政府を憲法による制約の下に置くとする立憲主義に違反し、
許されるものではありません。
私たちは、政府が閣議決定でその見解を変更することによって、
集団的自衛権の行使を容認することに強く反対します。
 村越 進
 日本弁護士連合会会長
 
 JFBA 日本弁護士連合会 http://www.nichibenren.or.jp/ 

 今晩(2014年4月9日)配信した「メルマガ金原No.1691」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「弁護士・金原徹雄のブログ」訪問者数累計5万人突破!(付・伊藤塾「明日の法律家講座」での阪田雅裕さんのお話)

 

 配信した「メルマガ金原」を転載し、より多くの人に読んでいただくためのブログ「弁護士・金原徹雄のブログ」をスタートさせたのが2013年1月24日のこと、第1号の記事は「橋本美香さん『原発憲法・・・理想を現実に』」でした。
 それから14ヵ月半、1日も休まず更新を続け、本日(2014年4月9日)、サイトへの実訪問者数の累計が5万人を突破しました。この訪問者数は、同一アドレスからのアクセスが何回あっても「1日1人」とカウントするもので、正味、サイトを閲覧してくださった方の人数を反映しています。
 現在では、平均して1日に100人~150人ほどの方が訪問してくださっています。
 ブログ更新情報は、Facebooktwitter などでお知らせしていますが、広く知られ情報サイトで紹介されたり、多くのフォロワーを持つ方が twitter で紹介してくださったりすると、一気にアクセスが増加するということがあります。記事別の正確な累計アクセス数のデータはないのですが、おおざっぱな記憶に基づくアクセス数ベスト5の記事をご紹介してみましょう。
 
1位 「主権回復の日」式典と天皇陛下
2位 なぜ総理大臣が靖国神社に参拝してはいけないのか?(基礎的な問題)
3位 赤池誠章氏(自民党)の参議院憲法審査会(2/26)での発言から考える
4位 山本健慈和歌山大学学長の「平成25年度卒業式式辞」
 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/37196244.html
 
 1位の記事は、昨年(2013年)4月28日に政府が開催した「主権回復の日」式典天皇皇后両陛下の出席を求めたことが「天皇政治利用」にあたるかどうかについて、YAHOO!が「クリック・リサーチ」を実施した際、参考サイトの1つとして紹介さたためにアクセスが集中したものです。
 また、2位の記事は、断言はできないものの、著名なフリージャーナリストが twitter で紹介してくださったことがアクセス増加の主因だろうとにらんでいます。
 
 「累計訪問者数5万人」という数字は、有名なブログであれば、あっという間に達成してしまうようなささやかな数字ですが、様々なことがらについて情報を検索し、考えをめぐらせながら積み重ねてきた結果の「5万人」なので、感慨と感謝の念とを禁じ得ません。
 現在、「メルマガ金原」自体は241名の方にお送りしており、メルマガを転載しているブログも、「弁護士・金原徹雄のブログ」(Livedoor)の他に、2012年8月から試験的に運用していた「wakaben6888のブログ」(はてな)もやや手抜きながら更新を続けており、毎日、何百人かの方に読んでいただいていると思えば、やり甲斐もあるというものです。
 今後とも、ご愛読をよろしくお願いします。
 
 ということで終わってしまってはもったいないので、1つだけサイト情報をご紹介します。
 毎週水曜日に更新される「マガジン9」の「伊藤塾・明日の法律家講座レポート」に、元内閣法制局長官の阪田雅裕さんが登場されていました。
 
マガジン9 2014年4月9日up
伊藤塾・明日の法律家講座レポート
内閣法制局憲法 阪田雅裕氏 (2014年2月15日@渋谷校)
 
 阪田さんのお話の要点が要領よくまとめられており、理解したすいと思いますのでご紹介しました。私は、学習会の講師を務める際、阪田先生の説明の仕方を非常に参考にさせていただいています。皆さんも是非ご活用ください。
 
(抜粋引用開始)
■法律とは何か 略
内閣法制局の役割 略
憲法自衛隊の海外派遣
 憲法は国家に対する命令なので、政府は当然それに従わないといけません。一
方で、内閣法制局は政府の機関なので、政府が望む政策が実現するよう努力をします。もし憲法と政府の方針に矛盾が生じた場合は、憲法規範の中でどのように整合性が取れるかを考え、さまざまな論理を積み重ねていきます。「この政策はメです」というのはすごく簡単ですが、それでは責任を果たすことができません。
 例えば自衛隊の海外派遣について考えてみましょう。いつも問題になるのは、「
海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」という9条2項の文言です。自衛隊は「戦力」にはあたらないのか、違憲ではないの
かという議論がありますね。
 憲法には9条だけがあるのではなく、国民の基本的人権を保障した規定がたく
んあります。たとえば13条では、国民の幸福追求権を定めていますが、これは、そのような権利が守られる環境を、国が整えるべきだということなのです。
 もし、外国の軍隊が攻めてきたら国民の生命や財産が危機に瀕します。憲法
条は、そのようなときにも政府は指をくわえて見ていなさいと命じているわけではない。国民の基本的人権を守るために行動することは認められるということです。政府は、自衛隊はそのために必要な最小限度の実力組織であり、だからこそ9条で定める「戦力」にはあたらないのだと主張してきました。このような前提で考えると、日本が外国から攻められたときの自衛以外の戦争は9条によって禁止されていることになるのです。そのため日本が外国の攻撃を受けてもいないのに、自衛隊が外国に出かけて行って戦争をすることはできないと考えられてきました。
 そもそも、現在では国際社会の合意として、侵略戦争や不正な戦争はやってならないと決められています。
 ではやっていい戦争、「正しい」戦争とは何でしょうか?まず、国連憲章規定
ある、国連決議に基づく制裁としての戦争が挙げられます。これは1991年の湾戦争がそうでした。もうひとつが集団的自衛権です。自国と密接な関係のある国が攻撃を受けた場合、それを助けて戦争に加わることです。現在の国際社会においてはどの国も、この集団的自衛権によるものでない限り、戦争をすることは認められないのです。
 ですから、集団的自衛権の行使が可能になるということは、自衛隊が海外に行
って武力を行使することができるということです。だとすると、自衛隊は海外の軍隊と同じ「戦力」になってしまいます。それは結局、憲法9条は特別の「平和主義」
定めていない、つまり9条が法規範として何らの意味をもたないということになるけです。
立憲主義の危機
 憲法に書いてあることが政府にとって都合が悪いからといって、その解釈の仕方
を変えるというのは間違っています。「時代が変わったのだから」という人もいますが、法律は時代に合わせてしょっちゅう改正が行われます。なぜ憲法だけが例外になるのでしょうか。時代に合うように憲法規定も変えていく。そのような努力をするのが政治家の仕事ではないでしょうか。
 私の立場から申し上げると、以前議論になったように、憲法改正に関する手続
きを定めた96条の改正を進める方がはるかにまっとうです。憲法規定はそのままなのに、時の内閣がそれまでとは全く異なる解釈をする、こんなことをやっていて、日本は「法治国家」だとか「立憲主義国家」だというのは、たいへん恥ずかしいことだと思います。
 現在の状況は「立憲主義」の危機といえます。それを守っていけるのは国民の声、
世論だけです。一人一人が「解釈改憲は不当だ」と訴えていくことが必要です。
(引用終わり)

メルマガ配信1500号到達!ありがとうございました(付・米国政府と安倍政権の微妙な関係)

 今晩(2013年10月2日)配信した「メルマガ金原No.1500」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
メルマガ配信1500号到達!ありがとうございました(付・米国政府と安倍政権の微妙な関係)
 
 一昨日(2013年)9月30日(月)の朝、和歌山県内の自宅や職場で朝日新聞を読む便宜のある方は、以下のような記事が掲載されているのに気がついて驚かれたかもしれません。
 
朝日新聞 和歌山版 2013年9月30日(月)
私の声 「原発」「憲法」配信1500号へ
「何が正しいのか」2011年3月28日メルマガ第1号
和歌山の金原弁護士 「後悔二度と」広がる反応
(抜粋引用開始)
 和歌山市の弁護士、金原徹雄さん(58)が東日本大震災を機に、原発や憲法問題を中心にしたメールマガジンを配信し続けてている。メルマガは原則「毎日配信」で、28日現在で1496号。10月初旬にも1500号に達する。
 金原さんが配信を始めたのは2011年3月28日。2週間ほど前にあった東日本大震災で起きた東京電力福島第1原発事故がきっかけだった。テレビの映像では原発が爆発しているのは明らかに見えたが、政府の発表は遅れ、やっと出てきた言葉が「爆発的事象」だった。
 「何が正しいのか」。インターネットでも情報を探すが、そのネットの世界では「デマ」
も飛び交っていた。誰の言っていることが一番信用できるのかを自身で考えながら情報を集め、配信していくことを決めた。
 金原さんは、原発事故が起きる前から「原発は危険で止めた方がいいだろう」と漠
然と思っていた。原発の危険性について考えさせる糸口はいくらでもあった。だが、何一つ行動を起こしてこなかった。そんな「悔恨」の念も金原さんを駆り立てた。できることから始めようと、パソコンに向かった。
(略)
 今、メルマガで取り上げるテーマの中心は憲法問題。昨年4月に自民党が党の憲法改正草案を発表。その後、昨年末の衆院選で政権に返り咲いたことから、憲法改正をめぐる議論が高まってきた。
 「憲法は弁護士としての専門分野。憲法、特に9条を守るためにもメルマガを書き
続けていきたい」と金原さん。「原発問題にしろ、憲法問題にしろ、個人の力はまことに小さいかもしれないが、3・11のような後悔は2度としたくない」と話している。(宋潤敏)
(引用終わり)
 
 朝日新聞和歌山総局の宋潤敏(ソン・ユンミン)記者から事務所で取材を受けのは、掲載の3週間ほど前のことでしたが、これほど目立つ記事になるとは思いまんでした。
 宋さんは、今年の憲法記念日には楠見子連れ9条の会を取材した記事を書かれ、また、7月17日(参議院選挙の前ですね)には、和歌山大学教育学部の越野章史先生を中心とした憲法学習会(併せて憲法9条を守る和歌山弁護士の会が主催した新リレートークにも触れていた)を取り上げた記事を書かれるなど、日頃から私も非常に信頼している方であり、取材の申込みも喜んでお受けしたという次第です。
 
 さて、ここで1500号に至る軌跡を振り返ることが出来れば良かったのですが、とてもそれだけの時間的余裕はありませんので、とりあえず、100号ごとにどんな記事を信したかを記録に留めることで代えたいと思います。創刊号以来の読者には、なつかしい表題(件名)もあるかもしれませんね。
 
2011年3月28日 No.1「再出発のご挨拶」
2011年4月19日 No.100「鎌仲ひとみ監督に聞く(東京新聞)」
2011年5月8日 No.200「5/5古賀茂明氏の発言『東電のために原発事故のツケは国民に・・はおかしい』」
2011年6月1日 No.300「5/24東京新聞『放射能汚染のいまとこれから 京大・今中助教に聞く』」
2011年7月3日 No.400「8/5~7紀南ピースフェスタ2011(in和歌山県田辺市)」
2011年8月16日 No.500「8/13小出裕章氏講演会(in沖縄)他」
2011年10月6日 No.600「和歌山市における向こう1ヶ月以内の勉強会&講演会」
2011年11月23日 No.700「新田育子さんによる『福島の友人の話』」
2012年1月18日 No.800「井戸川克隆双葉町(ふたばまち)町長のメッセージ」
2012年4月8日 No.900「4/14結成総会『子どもたちの未来と被ばくを考える会』と池田こみち氏講演会(in和歌山市)」
2012年6月27日 No.1000「原発と憲法(メモ)」
2012年9月10日 No.1100「『原発ゼロで電気料金2倍』の欺瞞とそれを垂れ流す無責任なメディア(ビデオニュース・ドットコム)」
2012年12月15日 No.1200「12/13&14東京新聞『9条 この1票で』」
2013年3月21日 No.1300「予告3/30映画『東京原発』上映会(原発がこわい女たちの会・結成26年のつどい)」
2013年6月27日 No.1400「東海村議会・相沢一正議員からの訴え『東海村長村上達也さんへ激れい文を』」
 
 このように調べてみると、2011年中のハイペースぶりには我ながら呆れますね。もっとも、今ならFacebookなどで簡単に発信してしまう単発のサイト紹介なども結構あったからこその数字ではあるのですが。
 それと、新聞では、東京新聞の記事を紹介することが(和歌ではネットでしかめないので一層)多かった、ということにあらためて気がつきまた。
 
 昨秋からブログを始め、特に今年に入ってからは、原則としてメルマガで配信した直後に全ての記事をブログに転載する方針をとっていますので、メルマガではなく、直接ブログを読まれる「読者」も徐々に増えつつある状況ですが、あくまでベースはメマガであり、200人を超える読者の方が配信を待っていてくれるという気持ちの張りがなければ、とうに中断していたことは間違いありません。
 本当にありがとうございました。
 皆さんお忙しいでしょうから、全てに目をとおすことは不可能だとは思いますが、せめて1日に5分でも良いので、メルマガ金原を斜め読みするためのお時間を戴き、興味を感じた記事だけでも精読していただければと思います。
 
 なお、今年の3月2日には、私が何故メルマガを始めたのか、それからブログやフェイスブックなどの新たな情報発信ツールとどう付き合っているかについてメルマガで書いていますので(No.1280)、再読いただければ幸いです。
 「メルマガ、ブログ、そして Facebook 再説」前編
 「メルマガ、ブログ、そして Facebook 再説」後編
 
(米国政府と安倍政権の微妙な関係)
 以上が前置きでこれからが本論なのか、メルマガ1500号到達が本論でこれからが付録かは微妙なところですが、今日のニュースで私が一番気になったのは以下の共同電です。
 
2013年10月2日 08時57分
憲法改正「地域に無益」 米軍当局者、異例の言及
(引用開始)
 在韓米軍当局者は1日、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正に関し「地域にとって有益ではない」と疑問を呈した。韓国で記者団の質問に答えた。日本の憲法改正に向けた動きが韓国、中国との関係に悪影響を及ぼすとの懸念を示したもので、米軍側としては異例の言及。
 軍当局者は「この数カ月間、安倍氏の発言を全て読んだ」としたうえで、憲法9条改正の動きが地域の安定に逆効果になるかとの質問に「そう受け取られる恐れがあるのは明白だ」とも述べた。
 この発言を受け、米国防総省のリトル報道官は「米国は日米韓の協力拡大に期待している」とする談話を発表した。(共同)
(引用終わり)
 
 このニュースを、元外交官の天木直人さんが早速ブログで取り上げていました。
 
「ついに安倍首相の憲法9条改憲論は『役にたたない』と言い始めた米国」
(抜粋引用開始)
ところがついに米国は憲法9条を変えることは米国の為にはならないと言い出したのである。これは大きな米国の動きの変化である。(略)しかし安倍首相がこれ以上かたくなな対中、対韓関係を続けるようであれば、それは日米韓同盟体制にひびを入れ、米中関係を損ねることになりかねない。つまり安倍政権は米国の国益を脅かすことになる。そうなれば米国は安部首相を潰しにかかるだろう。そんな米国の意向を先取りして外務官僚は安倍おろしに動くかもしれない。絶頂にあると思える安倍首相の唯一、最大の敵は、米国と外務官僚である・・・
(引用終わり)
 
 と気を持たせたところで、続きは「有料ブログ」で、ということなので、これ以上詳しい天木さんの見解は不明です。
 
 そもそも、オバマ大統領が安倍首相のパーソナリティに嫌悪感を抱いているらしいということは誰の目にも明らかですが、ことはそのような個人的な好悪のレベル話ではありません。
 冷厳な「アメリカの国益」という尺度から、安倍政権がアメリカにとって有害であるというシグナルは、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどの主要メディアから再々発信されていました。
 もしかすると、そのシグナルが政府・軍の高官から発信されるレベルまで進んだということかもしれません(天木説はつまりそういうことなのでしょう)。
 
 憲法を守るためには「猫の手も借りたい」ところではありますが、その最大の「猫の手」が「アメリカ合衆国政府」ということになっては、何と言ったら良いのか・・・。
 そういえば、内田樹(うちだたつる)さんは、かねてから「アメリカが改憲を許さないのではないか」という見通しを述べておられましたね。
 
「改憲のおねがい」
「私の憲法論」
 

 

 ごく短い共同電を読んだだけなので、これが今後始まる「何ごとか」の発端なのかどうか、何とも判断をつけかねるところですが、注意深く推移を見守る必要があるだろうと思います。

「原発がこわい女たちの会ニュース」第86号が届きました

 今晩(2013年10月1日)配信した「メルマガ金原No.1499」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
原発がこわい女たちの会ニュース」第86号が届きました
 
 「原発がこわい女たちの会」の松浦雅代さんから、ニュース第86号をお送りいただきました。
 前号に引き続き、昨年10月に和歌山で講演された橘柳子さん(浪江町から本宮市県内避難)と併せ、南相馬市小高の根本幸子さんからの「たより」も紹介されています(福島県からのたより)。
 是非ご一読ください。
 

(1頁)
 
  原発がこわい女たちの会ニュース NO86号・2013年9月29日発行
事務局〒640-0112和歌山市西庄1024-15 ℡・fax073/451/5960松浦雅代方
原発がこわい女たちの会ブログ http://blog.zaq.ne.jp/g-kowai-wakayama/
 
公開勉強会
 
再稼働と汚染水問題 
 
○講師 小山英之氏(美浜の会代表)
○2013年10月19日(土)13:30~
○和歌山市あいあいセンター5階(センターみらい研修室)
 (和歌山市小人町29番地 ℡073-432-4704)
○誰でも参加できます。参加費200円


 9/27日国会で、汚染水の問題は東電社長も安倍首相の「状況はコントロー
ルされている」を追認した。汚染水漏洩放出ルートは2つ。一つは地下水からの漏洩、2つはタンクからの漏洩。
 地下水は、原子炉建屋地下に山側から海に毎日約800~1000トンの流量が
有るとされている。海に排出する確実な迂回路が確保されないかぎり、放射性物質と接触し放射能汚染水となって海に排出される事態は、事故直後から明らかであった。毎日400トン程度の放射能汚染水が海洋放出されている。高濃度の放射能は湾の中にあり、海洋には少しづつ移動させているのをコントロールされていると云うのか。
 
勉強会チラシ
原発がこわい女たちの会・公式ブログに掲載された講師プロフィール
「小山英之氏 1967 年大阪大学大学院理学研究科博士課程(素粒子論専攻)終了。大阪府立大学工学部数理工学科で脳神経システムの数理科学的研究などを行い、講師として定年退職。スリーマイル島原発事故を契機に、原発新規立地に反対する運動に参加。91年の美浜2号機事故を契機に「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」を結成。同年、高浜2号機の蒸気発生器問題で大阪地裁に提訴。99年、MOXデータ不正事件で大阪地裁に提訴。全国のプルサーマル問題や六ヶ所再処理問題に関与。2000年12月福島第一
原発3号機用MOX 燃料の使用差止め仮処分申請(福島地裁)で証人として法廷に立つ」
 

(2-3頁)
 
   福島第一原発は━壊滅的な危険を孕んだまま━
               汚染水問題
 
 小出裕章氏のインタビュー記事「世界/2013年10月号」(福島第一原発はどうなっているのか)を参考に汚染水の基本的な部分のみ。事故が矮小化されつつある中で、ごまかされないように復習です。
 
 原子炉はウランを核分裂させ、その際に発生する熱を利用して発電しています。
 ウランを核分裂させてしまうと核分裂生成物という放射性物質が出来てきます。
その放射能の強さは、もともとのウランが持っていた放射能の強さに比べると一億倍にも達します。「放射能」とは放射線を出す能力のことを指します。放射線とは物理的に言えばエネルギ―の固まりです。それが一億倍にも増えるということですから、核分裂生成物がだす発熱量も非常に多くなります。
 福島第一原発はウランの核分裂反応そのものは制御棒をいれて停止すること
が出来たと言われています。しかし原子炉の炉心には核分裂生成物がすでに大量に蓄積していますので、それが発熱を続け、その熱を冷却することが出来なければ、炉心は自らの熱で溶けはじめます。その過程で水素が発生して爆発し、原子炉建屋を吹き飛ばしました。
 それ以上炉心が溶けないように、放射性物質が周囲に飛び出してくるのを防ぐ
ために冷却を続けなければいけないのです。
 しかし、冷却のために水を入れれば、核燃料に接触した水自身が汚染してしま
うことは避けられません。圧力容器も底に穴があいて核燃料は落ちてしまっていますし、放射能を閉じ込めるための最後の防壁として設置されていた原子炉格納容器も、おそらくいくつもの穴が開いてしまっている。水をいくら入れても格納容器から漏れ出てしまい、原子炉建屋やタービン建屋の地下に、あるいはトレンチやピット、立抗といった地下のトンネルのようなところにあふれ出てしまっているのです。原子炉建屋などはコンクリートの構造物ですから、もともと水を漏らさないということはできません。事故直後から汚染水はどんどん環境中に漏れていたはずです。一方で、周辺の環境の方からは地下水がどんどん入り込んできます。その地下水が汚染水と渾然一体となって福島第一原発の敷地内に溢れているのです。原発の中の核分裂生成物は約200種類ぐらいありますがすでに事故から2年半経過していますので現時点で非常に重視すべき放射性物質はセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムの3つで、これが現在の汚染水に含まれている主なものだと思われます。
 セシウム137は揮発性が高いため、事故直後から大量に大気中に放出され、東北地方から関東地方にかけて土地を猛烈に汚染しました。
 ストロンチウム90という放射性物質はセシウム137とほぼ同量炉心の中にあっ
たはずですが、セシウム137ほど揮発性が高くなく大気中に出てきた量はセシウム137の1000分の1ほどだった。炉心にそのまま残存していたのですが、水溶性であるため、今汚染水となって流出しているのです。
 トリチウムは別名三重水素というように水素です。環境中にある時は水素ガス
という状態ではほとんど存在せず、水の形で存在しています。炉心にあったトリチウムは、水そのものの形で汚染水に含まれています。
 ゼオライトという粘土鉱物などを用いて、とにかく汚染水の中からセシウム137を
除去することです。しかし、ストロンチウム90はゼオライトではほとんど除去出来ない。これまでの方法では除去出来ずに汚染水の中に残っています。そしてトリチウムは水そのものですから、何をやっても除去できません。汚染水はまだこれから継続して海へ拡散することは避けられません。世界で初めての事が起こっているのです。
 再稼働を進めている人は福島原発事故をどのように理解しているのでしようか。
 
(金原注)
 「美浜の会」サイトに掲載されている汚染漏えい・水流出事故についてのパンフレットを是非ご参照ください。
 

(4-5頁)
 
┼福島県からのたより┼
 
   風化の中で思う   避難の地本宮市から  橘 柳子
 
 大邸宅(仮設の嘲笑的表現)のトタンばりの屋根が抜けるかとおもうほどの大雨をしのいだと思ったら、次は灼熱の暑さ。部屋に居る限り、クーラーを入れずにはいられない。救いは、4.5帖の広さはすぐに涼しくなることだ。8月末になるとようやくすずやかな風と共に、さわやかさを運んでくれる。豪雨と太陽のいかりの熱がすぎ周りの自然も秋へと移っている。ナナカマドが色ずき稲穂も日1日と実りの重さを体現しはじめている。2年半の歳月はあらゆるものに、くまなく影響を与えていると思うのだが、今年は多くの小鳥たちの姿にもさえずりにも出あう。セミも秋の虫の声も聞かれる。たくましい生命力を感じると共に驚きでもある。個々の影響は解らないが学者さんが調べると変化が見られるようだ。
 人々の心にも変化があらわれている。福島を少し離れただけでも、まして遠
くにいけばいくほど、さらに都会では「福島はすでにない」はなやかさと表面的な豊かさがもどっているように思う。そして悲しい事に、福島自体も、さらに避難の者たちにさえもである。
 でも、でもしょうがないことなのかもしれない。苦しみからのがれたいのである。
すっかり忘れたわけではない。多くの悲しみと諸々の思いを心の奥深くたたみこんだだけなのだ。そうしなければ、日々生きていけない心情をかかえている。一日一日を生きなければならないのである。一方で放射能のことばかり考えていると「ストレス」になるから「忘れろ」と言うが、そのこととはちがうと思う。忘れてもらって喜ぶのは国と東電のみ。生きること命を長らえることは「原発事故と放射能」に対する怒りと共になのである。
 国をあずかる者たち、これだけ多くの人々を苦しめ、自然界を破壊し、国土
を汚染しつくし、輪廻をもくるわしたことを決して忘れてはいけないことなのだ。福島原発事故で、すぐ脱原発を掲げたのは、日本ではなくドイツのメルケル相。そしてそれを支持する国民のすばらしさを思い考えさせられている。そこには核の恐怖のない未来を引継ぐことの大事さがみえる。「ああ国よ東電よ民の真の願いと希望を風化に依拠する卑怯なことはしないで」と日々心の中でさけんでいる。人々の風化とは意味がちがうのだ。国民に対する責任というものがある。国土を汚染した責任というものがある。
 責任の意味を問い続けるべきだと考えている。      2013.8.26
 
(金原注)
 2012年10月28日(日)、「原発がこわい女たちの会」主催により、和歌山市で
開催された橘柳子さんの講演会「福島原発事故の今を生きる」を伝えた同会ブ
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      南相馬市小高より        根本幸子                   
 
 長かった梅雨がやっと明け(8月に入って~)猛暑の連日30度を越す暑さに体が付いていきません。首からタオルをさげた毎日です。
 事故から2年半、落ちついたかと思っておりましたら又々汚染水の問題。東電
では事故前にもその程度は排出していたのだとぬけぬけと発表しているのです。私たちはただ々あぜんとしました。
 東電の方々とは物差しが違うようです。南相馬の元住民は農業をする事も出
来ず工場誘致をしたくても原発の廃炉が決まらなくては、又いつ爆発するか解らない所には来ません。結局、若い人の職場が無くては小高には帰って来ません。「見捨てられた民」です。でも政府以外の多くの方に支援を戴き一歩でも前に出なければと、心に言い聞かせております。春に植えた稲はすこぶる元気で、主人は大満足しております。野菜も良く東京のオルガン堂(オルガン堂は福島応援県産品販売所)から注文が多く、検査を受けて送っております。でも手数は掛かります。出来た野菜(胡瓜・南京・じゃが芋・玉葱等々、)全てそのつど検査を受けます。安心と安全はイコールになりませんが…。
 我が家で栽培したお米が食べられるのはいつの事だか先が見えません。残念
です。
 又こちらにお出掛けの節は、きっとお途り下さい。又お会い出来る事を願ってお
ります。

(原注)根本さんは南相馬市小高区のお百姓さんで、双葉郡浪江町の隣村に
なります。緊急時避難準備区域で、今も昼間だけ入村を許可され、許可を取って今年はお米を育てられてます。夜は相馬市の借り家に帰られます。毎日1時間ばかりかけて通っておられます。
 今年の4月に福島県の本宮市の仮設住宅にお住まいの橘さんを訪ねた時、
根本さん御夫妻に浪江町や港を案内して頂いた有田川町の古田伊公子さん宛の江本さんからの手紙の一部です。ご本人の許可を頂いて載せさせていただきました。
 

(6頁)
 
           鈴木静枝さんからのたより
 
 私たちの大先輩、鈴木静枝さんからおたよりをいただきました。個人宛の私信でしたが、ご本人のお許しを得てここにご紹介したいと思います。
 鈴木さんは、これまでブログにも書きましたが、日高町で長年和歌山の反原発
運動を担ってこられた方で、「女から女への遺言状」が『原発を拒み続けた和歌山の記録』(寿郎社)にも収録されています。現在、町内のケアハウスでお暮しです。
 おたよりは、この夏、日高町「波満の家(はまのや)」さんでの浦磯合宿からの帰
路にお訪ねし、後日、合宿のレポートをお送りしたことへの返信文です。鈴木さんのすごいなと思うところは、運動の功績もさりながら、95歳になられる今も、社会や自然に対して真っ当な関心を持ち続けられていることです。個室の机には新聞がひろげられ、絵筆が立てかけられています。訪ねた日も、「アメリカはシリアに爆弾を落とすんかいのう」と緊迫のシリア情勢を心配しておられました。明晰な思考と穏やかな話しぶり。こんな風に齢を重ねることはなかなかできるものではありません。
 
(鈴木さんからの手紙)
 
 先日はわざわざお訪ね下さいまして、ありがとうございました。こんな所にいますと、お客様が何よりの楽しみです。写真いい思い出になります。
 合宿でのコピー、ていねいに読ませて頂きました。
 はまのやで、いっしょに先生方のお話をうかがっているような気がしました。アベさ
んたら、事故はコントロールされているなんて世界の人々の前で公言して、あとで恥をかかなければいいのですが。
 
 私の若い頃読んだ小松左京さんのSFを思い出しました。
 日本の活火山、休火山、いっせいに火を吹き、地震で島々が海の中へ沈んで
いく、故郷を捨てて命からがら、知らぬ他国へのがれていく人々。
 原発も放射能も文中に出現しなかったような気がします。五十年前だから、こ
こまでひどいことになるとは、想像出来なかったのかも知れません。
 他国へのがれた人々は、こっそりと、心細く、小さくなって生きてゆかねばなりませ
ん。何だか五十年後の日本を暗示しているような気がします。
 オリンピックで浮かれているより、まず、汚染水のしまつですね。やはり声をあげて
それを言わなければ、ほんとうに意識から忘れ去られるかもしれません。
 
 今日もきれいに晴れて、白い舟がいくつも見えます。
 一ヶ所に止まっているのは貝をとっているのか、海藻をきっているのか。台風18
号が近づいているそうですが、まだそのけはいは見えません。
 ようやく秋のけはいが感じられて、やれやれです。
 ご活躍を期待しています。
 またこちらへいらしたら来てくださいね。
 ご健康をお祈りしています。
 
              九月十三日             静枝
 
(金原注)
 鈴木静枝さんが1993年に講演された記録「女から女への遺言状」は、昨年刊行された『原発を拒み続けた和歌山の記録』に収録された他、ご本人の了解を得て、以下のサイトにも掲載されています。
 
PDF(「原発いらない和歌山の女たち」ブログに掲載)
HTML(「梅の里自然農園便り」ブログに掲載)
 

(7頁)
 
     映画「ひろしま」を観ておもったこと─戦後68年─
 
 今年の8月6日に映画「ひろしま」のDVDを観賞する機会がありました。
 私の忘れ行く記憶の中で、小学校低学年の時、講堂(旧木造の講堂)の前列に座り込んで観た原爆の映画がありました。その映像で2~3日、夜、うなされて眠れなかった事だけは覚えています。私の家が小学校の近くだったので、一人で行ったのか、誰かと一緒だったかは覚えていませんが、今回の「ひろしま」を観て9歳の私がうなされたのはこの映画ではなかったような気がしました。
 原作は「原爆の子 広島の少年少女の訴え」(長田新さん編・1951年岩波
書店刊)です。
 同じ原作で1年はやく1952年5月、新藤兼人監督による映画「原爆の子」
が上映されています。私が観たのはこの映画だったかもしれません。
 今回観た1953年作の関川秀雄監督(1908~1977)の映画「ひろしま」は、製作費は全国の日本教職員組合の先生たち他50万人が一人50円ずつ出
資して2500万円を元に製作され、広島市民約9万人がエキストラで出演。1953年5月20日~7月末まで、広島市内にロケ班が入り撮影された映画だそうです。広島市の人々のこの映画にかけるエネルギ―が映画を観ていると伝わって来ます。勿論白黒です。岡田英次さん、月丘夢路さん、山田五十鈴さん、加藤嘉さん、子役に松山英太郎さん、河原崎健三さんなど。(若い人は知ってるかな)
 この映画は1955年ベルリン国際映画祭長編映画賞を受賞されていますが、
全国で広く上映されることなく 「幻の映画」と言われ、長い間眠っていたそうです。私も知りませんでした。
  映画を観ると「幻の映画」になぜなったのかわかるような気がします。
1945年広島・長崎へ原爆投下され、日本は(ポツダム宣言を受諾)敗戦。1950年朝鮮戦争勃発・警察予備隊設立。1951年にサンフランシスコ講和条
約を結んで日本は独立国になるわけですが、1952年日米行政協定、日米安保発効により、対米従属的な国家体制の枠の中へ。
 映画「ひろしま」は被爆による白血病死、朝鮮戦争などの主張がアメリカに
とって不都合な真実だったのでは、と思います。私が興味があったのは、映画「ひろしま」の上映と同年に、1953年8月米アイゼンハワー大統領、国連で「平和のための原子力」演説をしています。
 その翌年、1954年3月1日アメリカ、ビキニ環礁で水爆実験。第五福竜
丸被災、3月14日に第五福竜丸焼津港に帰港。マグロが放射能汚染されていたので大きなニュースになりました。この時の新聞記事も私は覚えています。54年9月に久保山愛吉さんが亡くなりました。
 大きなニュースになり、その後、反核運動は大きく広がりをみせました。
 しかしビキニ環礁で第5福竜丸が被災した日の翌日に、1954年3月2日
曽根康弘氏が原子力予算2億3千5百万円を国会に提出しています。
 1955年に原子力基本法公布。2011年福島事故後、日本に原子力導入
時の「毒には毒をもって制す」話など、私たちの知らない過去の歴史がボロボロと出てきました。ボロボロ出て来たものを次に伝えなければと思います。この映画も伝えたい一つです。                  (松浦雅代) 
 
 
(金原注)映画「ひろしま」予告編(修正版)
 

(8頁)
 
福島原発事故の責任を問う告訴(女の会83号・2013年1月30日発行に記載)
 2012年6月に福島県民1324人の第一次告訴に続いて11月には全国にびかけ13000人を超える告訴告発を行いました。和歌山県内では40人参加していました。
 何故なのかわかりませんが、9月9日福島地検から東京地検に移送され、そ
の日のうちに東京地検は不起訴を決定。
 他の団体から東京地検に訴えられていた菅元首相も不起訴になり「当たり
前だよ」とテレビに映し出されていましたが、福島原発告訴団が菅さんを訴えたように取られるマスコミ報道でした。
 菅さんや民主党の政治家を告訴した団体の名前がマスコミ報道されないと
云う不思議さでした。
 不起訴処分に対して「私たちは挫けない!原発被害者は生きるために正
義を求める!」と検察審査会への審査の申し立てを行うことになりました。
 
福島第一原発汚染水漏洩・流出事故についての緊急国際
署名が始まっています。〆切り10月10日
 署名用紙同封しています。(松浦まで)ネット署名もしています。
 署名フォーム→ https://fs223.formasp.jp/d576/form1/
 
★『原発を拒み続けた和歌山の記録』が地方出版文化功労
賞・奨励賞を受賞しました。
 「ブックイン鳥取2012年」に出品展示された全国の地方出版物650点の
中から選ばれました。これは、1987年鳥取県で開かれた「日本の出版文化展」の催しを機に<ブックインとっとり・地方出版文化功労賞>を制定、以来、当地で毎年開催されているものです。今年の6月22日の最終審査で「原発を拒み続けた和歌山の記録」が第26回奨励賞を受賞しました。
 本をまだ読まれていなくて購入希望者は松浦まで。

★記 みなさんお元気でしょうか? 今年の夏は暑くて大変でした。
 セミの喧しい鳴き声が少なかったように思いました。温度差が大きくなり公
園でツクツクボーシの疲れたような、か細い声を聞いて、私は同情してしまいました。
 あぜ道に季節の彼岸花が真っ赤に咲いています。10/19久しぶりの勉強
会是非参加して下さい。
 
 福島原発事故炉は4つもあることを。その現場で被ばくしながら遥かなる収束に向けて働いている人たちの事を。15万人を超す人たちが故郷を追われ家族と地域が分断されている事を。年間20ミリシーベルト以下の地域には住民を帰還させようと云う国の方針の中で、財物賠償も進まず、避難生活を送る住民は疲弊と困難を極めている事を。忘れないで。(松浦)

後藤政志さんが解説する「新規制基準」と「再稼働申請」

 今晩(2013年7月23日)配信した「メルマガ金原No.1427」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
後藤政志さんが解説する「新規制基準」と「再稼働申請」
 
 後藤政志さんがご自身のUSTRAMチャンネル「GTSTREAM」から定期的に情報発信をされていることは、メルマガ金原No.1389「後藤政志さんの技術の解説“GTSTREAM”に注目しよう」でご紹介したところですが、その後も順調に、週に1回のペースで発信を続けておられます。
 
 とりわけ、この7月には、いわゆる「新規性基準」が施行され、あいついで各地の運転休止中の原発が再稼働を申請するに至っており、これらの原発の再稼働阻止が、私たちの運動の焦眉の急となっています。
 
 そこで、今月(7月)これまでに発信された情報の内、「新規制基準の意味と問題」などを論じた7月6日の回、それから、「川内原発1,2号、泊原発1~3号、伊原発3号、高浜原発3,4号、大飯原発3,4号の新規制規準審査申請、泊原発の安全性」などをテーマに話された7月20日の回をご紹介しようと思います。
 
2013年7月6日(土)配信(34分50秒)
 
【解説項目(予定)】
1.新規制基準の意味と問題
2.無謀な原発再稼働
3.欠陥原発の輸出
 
7月20日(土)配信(37分01秒)
 
【解説項目(予定)】
1.川内原発1,2号機、泊原発1~3号機、伊方原発3号機、高浜3,4号機、大飯原発3,4号機の新規制規準審査申請について
※7月16日(水)9時半~15時半に行なわれた、原子力規制委の4電力10原発
の新規制規準適合性に関する審査会合を傍聴した後藤さんがその内容を報告
されます。
2.泊原発の安全性について 
※7月7日付の北海道新聞の記事に掲載された「北海道大学・奈良林直教授vsAPAST理事長・後藤政志さんのインタビュー記事が紹介されています。
 
 ところで、「週刊通販生活Web版」の「今週の原発」コーナーに、後藤さんのインタビュー記事新規制基準の施行は拙速。徹底した事故原因の究明無くして原発の再稼働なんてありえません」が掲載されました。
 分かりやすく「新規性基準の問題点」が説明されていますので、是非お読みください。
 
 それから、上記インタビューの末尾に以下の説明が添えられていました。
 
「後藤さんが胸に着けている『あかつぶ缶バッジは、放射能を気にしている事をアイコン化し、孤立しがちな親たちをゆるやかに結ぶバッジです。1個200円。こちらから購入できます