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集団的自衛権についての日本弁護士連合会の最近の取組

 今晩(2014年5月1日)配信した「メルマガ金原No.1713」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
集団的自衛権についての日本弁護士連合会の最近の取組
 
 私も会員の1人である日本弁護士連合会が、「立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することに反対」していることはご存じのことと思います(多分)。

 昨年(2013年)5月31日の日弁連総会における決議をご紹介しておきます。

集団的自衛権の行使容認に反対する決議

 日弁連では、安倍政権の暴走による立憲主義の危機を前に、従来の憲法委員会を憲法問題対策本部に改組することになっており(全国の弁護士会会長が当然委員となります)、弁護士会の総力を挙げて危機克服に立ち向かう姿勢を示しています。

憲法の危機に日弁連はどう立ち向かうのか(一会員からの要望)

 その日弁連集団的自衛権に関する最近の取組を2つご紹介します。

 最初は、去る4月10日に弁護士会館2Fクレオで開催されたシンポジウム「集団的自衛権憲法-『積極的平和主義』を問うー」の映像が公開されたというニュースです。

映像(149分33秒)
チラシ
シンポの概要
1 DVD上映
 「憲法かみしばい」(明日の自由を守る若手弁護士の会作成)
2 基調報告
 堀井 準(日弁連憲法委員会事務局次長)
3 講演
北澤 俊美氏(元防衛大臣参議院議員
4 パネルディスカッション
パネリスト
北澤 俊美氏(元防衛大臣参議院議員
阪田 雅裕氏(元内閣法制局長官、弁護士)
谷口 真由美氏(大阪国際大学准教授、全日本おばちゃん党代表代行)
半田 滋氏(東京新聞論説兼編集委員)
コーディネーター
永尾 廣久(日弁連憲法委員会委員長)
猿田 佐世(日弁連憲法委員会幹事、新外交イニシアティブ事務局長)
 
 そして、もう1つの日弁連の取組は、新しいリーフレットを作成したということです。

リーフレット「集団的自衛権。それは、外国のために戦争をすること。」

 このリーフレットは、「Q&A」方式でわかりやすく集団的自衛権の本質を理解してもらうことを狙ったものですが、「ミソ」は、日弁連と立場を同じくする識者8人に各問への回答者になってもらっていることです。
 登場されているのは以下のおなじみの方々です。

谷口 真由美さん(大阪国際大学准教授(国際人権法)、全日本おばちゃん党代表代行)
青井 未帆さん(学習院大学教授(憲法))
半田 滋さん(東京新聞論説兼編集委員(防衛省担当))
谷山 博史さん(日本国際ボランティアセンターJVC代表理事)
丹羽 宇一郎さん(前中国大使、早稲田大学特命教授)
柳澤 協二さん(前内閣官房副長官補(安全保障担当))
浜 矩子さん(同志社大学大学院教授(経済学))
阪田 雅裕さん(元内閣法制局長官・弁護士)

 このリーフレットは、今後、各地の弁護士会が行うシンポ、集会等で来場者に配布したりして活用することが想定されていると思いますが、それだけではなく、趣旨に賛同する市民団体が要請すれば、日弁連から取り寄せることも可能だと思います(日弁連事務局に確認はしていませんが、当然そうあるべきものですからね)。
 お問い合わせは、
  日本弁護士連合会  人権第二課 TEL:03-3580-9510
までお願いします。
 
 これらの映像やリーフレットを活用して、1人でも多くの国民に私たちの声を届けなければと思います。
 日弁連サイトにこのリーフレットが掲載されたのは4月23日のことだったようですが、気がつくのが遅れたため、明後日の憲法記念日和歌山城西の丸広場で開催する“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wkayama”(主催:憲法9条を守る和歌山弁護士の会、9条ネットわかやま)で配布することができないのは残念です。
 和歌山弁護士会憲法委員会)でも相当量を日弁連から取り寄せて活用することを考えねば。
 

 
集団的自衛権
それは、
外国のために戦争をすること。
 
 
 
集団的自衛権
って聞いたこと、ありますか?
「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、
自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、
実力をもって阻止する権利」というのが政府の説明です。
つまり、これを認めると、日本が攻撃されていなくても、
外国のために戦争ができることになります。
今まで、憲法9条の下では、その行使は許されないとされてきました。
ところが、閣議決定集団的自衛権の行使を認めようとする動きがあります。
でも、そんなに簡単に時の政府の判断だけで認めてしまっていいのでしょうか?
これを認めると日本の平和や安全保障はどう変わるのでしょうか?
各界の方々にうかがいました。

集団的自衛権って、
私たちとなにか関係あるの?
集団的自衛権。この単語、漢字ばかりだし、難しそうだし、
よく意味がわからないけど、自衛隊の話だろうし、
私には関係ないわ、なんて思っていませんか?
これをきっかけに、政府が戦争の準備をはじめるとしたら?
おたくのお子さんが、兄弟姉妹が、恋人が、友が
実際に戦争に行くことになるかもしれないとしたら?
ホラー映画みたいですね。
ひたひたと近づく危機に気づいた時には遅すぎた、
なんてことにならないよう、政府が何をしようとしているのか、
多少難しくても逃げずに、まずはきちんと知ることから始めましょう!
大人の責任として。
 谷口 真由美さん
 大阪国際大学准教授(国際人権法)
 全日本おばちゃん党代表代行

集団的自衛権の行使は
憲法で認められているの?

自衛隊憲法の禁ずる「戦力」ではなく
「自衛のための必要最小限度の実力」
なのだというこれまでの説明からは、
「他国の防衛」のための集団的自衛権は認められません。
日本国憲法は「陸海空軍その他の戦力」を持たないとしています。
それに「自衛隊」という言葉も、憲法のどこにも書いてありません。
憲法をそのまま読めば、「軍事力によらない平和」が
追求されているようにしか読めないのです。
つまり、自衛隊を合憲とする理屈それ自体が「離れ技」でした。
「独立国である以上は当然に日本も自衛権を持っていて、
その自衛権を行使するために必要最小限度の実力は
憲法で否定されていない」という理屈が
合憲性を支える「つっかえ棒」なのです。
そして自衛権を発動する要件の一つに、
「わが国に対する急迫不正な侵害があること」が挙げられてきましたが、
集団的自衛権はこれを満たさないので、認められようがありません。
もしこれを行使できるとなったら、
実は自衛隊の合憲性を支える「つっかえ棒」も外れてしまうはずです。
そのような理屈の問題を意に介さないというのは、
憲法9条から力を奪って、
単なる「理想」を謳う規定にしてしまうに等しいことです。
 青井 未帆さん
 学習院大学教授(憲法

集団的自衛権
使えるようになると、
自衛隊はなにをするようになるの?
自衛隊は、日本が攻撃を受けたときに限って
自衛権を行使する実力組織です。
平和外交や9条に基づく抑制的な専守防衛政策で、
十分、日本の安全は保たれてきました。
米英によるイラク戦争に派遣された陸上自衛隊が、
1発の銃弾も撃たず武力の行使をせずに、
施設復旧や医療指導、給水といった人道復興支援に
徹したのは9条の制約があったからです。
しかし、集団的自衛権の行使は、日本の防衛とは関係なく、
自衛隊が海外で武力行使することです。
集団的自衛権が行使できるとなれば、
アフガニスタン戦争で米軍とともに戦った英軍のように、
自衛隊が米軍と一緒に武力行使できることになります。
自衛官が外国人を殺し、殺されるということです。
集団的自衛権行使容認の狙いは、
海外の戦争に参加できる国に変えることにあります。
海外における武力行使に道を開き、
大国による戦争に日本が加担することになります。
憲法の平和主義と矛盾するものです。
 半田 滋さん
 東京新聞論説兼編集委員
 (防衛省担当)

日本の国際貢献は
やりやすくなるの?
アフガニスタンカンボジアなどで、NGOとして
非軍事的な援助活動にあたった経験からすると、
軍隊を持たず武力行使を否定する憲法9条の存在は、
日本が国際貢献をする場合に、とても貴重なものです。
集団的自衛権行使を認めて日本の自衛隊が海外で
武力を行使できるとしたら、日本は貴重な外交資産を失うことになります。
 谷山 博史さん
 日本国際ボランティアセンターJVC代表理事

日本が集団的自衛権
使えるようになると、平和になるの?
日本は戦後69年間、憲法の三本柱の一つである
恒久平和の希求」を基本にしてきました。
今後も、平和憲法を守る唯一の被爆国という立場で
非核・非戦を世界に訴え、専守防衛に徹するべきです。
今後も集団的自衛権の行使を時々の政権の憲法解釈で認め、
憲法の精神を踏みにじるようなことになれば、
先人達の世界平和のための努力は
水泡に帰すことになりかねません。
今迄培ってきた世界の信頼と尊敬を失いかねません。
多くの国民の努力なくして平和は維持できるものではないのです。
周辺国との関係で必要なものは東アジア/世界の平和の為の
対話の努力が何よりも大切です。
集団的自衛権で、これまでの制約なく
日本が戦争に参加しやすくなるとすれば、
これからのアジア全体の平和にも
大きな影響を与えることになるでしょう。
 丹羽 宇一郎さん
 前中国大使
 早稲田大学特命教授
 
集団的自衛権が使えないと
日本が守れないの?
アメリカから求められているの?
尖閣防衛や北朝鮮のミサイル攻撃は日本有事ですから、
いまの憲法枠内の個別的自衛権で守れます。
「日本防衛のための集団的自衛権」は論理矛盾です。
アメリカも、自国にとって重要な日本を守らないわけにはいきません。
アメリカから集団的自衛権を求められたことはありませんし、
米軍と自衛隊は、
いまある法律で十分に世界有数の連携ができています。
集団的自衛権を声高に言うことは、かえって緊張を高めるだけで、
日本の防衛にプラスにはなりません。
 柳澤 協二さん
 前内閣官房副長官補(安全保障担当)

グローバル時代の
日本の経済のためには
集団的自衛権が使えた方がいいの?
いつの時代でも、いかなる状況の下でも、
戦争がやりやすくなることがいいわけがありません。
そもそも、戦争と平和の問題を、
経済的損得と結びつけて考えてはいけません。
ここが基本です。
この基本を踏まえた上でいえば、グローバル時代だからこそ、
日本経済のために集団的自衛権はご法度です。
なぜなら、グローバル時代は経済的相互依存の時代です。
誰も一人では生きて行けない。
誰もが誰かの力を借りて生きて行く。そういう時代です。
そのような時代になっているというのに、
日本が集団的自衛権を使えるようにすれば、どうなるか。
世界に冠たる平和国家が、どうもスタンスを変えたようだ。
そのように思われれば、対日不信が強まって、
今まで気持ち良く力を貸してくれていた国々から
拒絶されるかもしれません。
集団的自衛権を行使する日本は、グローバル・ジャングルの
「優良住人リスト」からはずされてしまうでしょう。
 浜 矩子さん
 同志社大学大学院教授(経済学)

そもそも、
憲法で認められていないのに、
閣議決定で認めることができるの?
集団的自衛権の行使など、わが国(日本)の海外での武力行使は許されない、
というのが政府の一貫した憲法9条の解釈でしたが、
これを変更した上で自衛隊法やPKO法等を改正しようとする動きがあります。
憲法改正をせずに、時々の政府が恣意的にその解釈を変更することは、
立憲主義に反し、許されません。
集団的自衛権国連憲章で認められているからといって、
これを行使することは加盟国の義務ではありません。
国民の意思によって国に集団的自衛権
行使させるかどうかを決めることができます。
憲法9条は、集団的自衛権を行使させないという
国民の意思を表したものです。
 阪田 雅裕さん
 元内閣法制局長官・弁護士

私たちは、法律家団体として、
立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により
政府解釈を変更し、
集団的自衛権の行使を
容認することに反対します。
憲法前文と第9条が規定している
平和的生存権の保障と恒久平和主義は、憲法の基本原理です。
これまで、政府はこうした基本原理に基づき、
憲法集団的自衛権の行使を禁止していると表明してきました。
これは、国会における長年の審議の中で積み重ねられ、
歴代内閣で確立されてきた政府見解です。
時の政府が、閣議決定でこの見解を変更(解釈改憲)し、
集団的自衛権の行使を容認することは、
政府を憲法による制約の下に置くとする立憲主義に違反し、
許されるものではありません。
私たちは、政府が閣議決定でその見解を変更することによって、
集団的自衛権の行使を容認することに強く反対します。
 村越 進
 日本弁護士連合会会長
 
 JFBA 日本弁護士連合会 http://www.nichibenren.or.jp/