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日本弁護士連合会「安全保障法制改定法案に対する意見書」のご紹介(付・「憲法違反の「安保法制」に反対する7・12 和歌山大集会&パレード」のお知らせ)

 今晩(2015年6月19日)配信した「メルマガ金原No.2126」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本弁護士連合会「安全保障法制改定法案に対する意見書」のご紹介(付・「憲法違反の「安保法制」に反対する7・12 和歌山大集会&パレード」のお知らせ)

 先日(6月12日)、和歌山弁護士会主催(日弁連共催)の市民集会「安全保障法制の内容と問題点―日本のこれからの平和について考える―」の講師を務めてくださった井上正信弁護士(広島弁護士会)と、集会終了後の懇親会で同席させていただいた際にも話題となっていた日本弁護士連合会の「安全保障法制改定法案に対する意見書」が、昨日(6月18日)公表
されました。
 弁護士ドットコムNEWSに掲載された日弁連による記者会見の模様を一部ご紹介します。
 
弁護士ドットコムNEWS 2015年06月18日 20時34分
安保法制「全会一致で反対だ」日弁連が意見書を発表、問題点を詳細に分析

(抜粋引用開始)
 日本弁護士連合会は6月18日、東京・霞が関弁護士会館で緊急記者会見を開き、安全保障法制改正案に反対する意見書を発表した。29ページにわたる詳細な意見書では、集団的自衛権の行使を可能にする改正
案は、立憲主義の基本理念や恒久平和主義、国民主権といった憲法の基本原理に反すると批判している。
 また、政府が集団的自衛権の行使容認の根拠とする1959年の砂川事件最高裁判決についても、日米安保条約が高度の政治性を有するため、その違憲性の判断が司法審査になじまないことを示しただけであることを指摘。集団的自衛権を認めるかどうかについては、判断の対象になっていないとして、「根拠にな
らない」と切り捨てた。
 日弁連憲法問題対策本部本部長代行の山岸良太弁護士は、「法律家として、細かく分析、検討して、法案は違憲だと判断した。憲法学者では、合憲とする人もいるようだが、(日弁連の)理事会は全会一致
で反対だ」と語気を強めた。
(略)
(引用終わり)
 
 山岸本部長代行の「理事会は全会一致で反対だ」はそのとおりでしょう。しかし、会員の中の安保法制合憲論者が、必ずしも自民党公明党で議員バッジを付けている者だけという訳ではないことを知る者としては、「そこまで胸を張らなくても」という気がしないこともありません。
 
 それはともかく、私もまだ熟読は出来ていませんが、井上正信さんを含む日弁連憲法問題対策本部の精鋭が起案にあたった意見書であり、多くの国民に、戦争法案廃案に向けた理論上の武器を提供できるだけ
の実質をともなっているものと信じます。
 もちろん、多くの人の意見を反映しとようとするあまり、かえって訴求力が不足するというのはよくある現象で、実際、井上正信さんも先日、「ある者は長過ぎると言い、ある者は短か過ぎると言う。どうしろと言うのか?」とぼやいておられましたが(酒席の冗談ですよ)、最終的に29頁にまとめられた本意
見書は、十分使えるものになっているのではないかと思います。
 従って、先日、憲法学習会の講師を頼まれている者が参照すべき資料として、自由法曹団が6月3日に公表した「逐条検討・戦争法制 安全保障一括法案を斬る!」を推奨しましたが(憲法学習会レジュメを書くための座右の資料「逐条検討・戦争法制 安全保障一括法案を斬る!」(6/3自由法曹団)のご紹介/2015年6月14日)、この日弁連意見書も、当然それと並んで講師予定者が机上に置いて常に参照す
べきでしょう。
 もちろん、一般市民の方にも是非お読みいただきたいと思います。
 以下には、「目次」「意見の趣旨」「第7 安保法制改定法案の国及び国民への影響について」「第8 結論」を引用しますが、是非リンク先で全文をお読みください。
 
 
(目次)
意見の趣旨
意見の理由
第1 安保法制改定法案の基本的な性格と問題点
1 本法案の提出とその経緯
2 本法案の概要と主な問題点
3 小括
第2 本法案は日本国憲法に違反すること
恒久平和主義に違反すること
立憲主義の基本理念に違反すること
国民主権の基本原理に違反すること
集団的自衛権行使の違憲性について
第3 「存立危機事態」と集団的自衛権の行使について
集団的自衛権行使のための安保法制改定法案
2 「存立危機事態」と集団的自衛権行使の具体的問題点
第4 他国軍隊の支援活動及び国際平和協力活動について
1 「国際社会の平和と安定」のための積極的平和主義の危険性
周辺事態法から重要影響事態法へ
3 国際平和支援法の新規立法
国連平和維持活動協力法の業務の拡大
5 在外邦人救出規定(自衛隊法改正案)とその問題点
第5 武器使用の拡大その他の問題点について
1 武器使用の拡大と武力行使の危険性
2 国会による民主的統制の不十分さ
国連との関係-国際法上の正当性
第6 武力攻撃に至らない侵害への対処その他の法改正について
1 他国軍隊の武器等防護規定(自衛隊法改正案)とその問題点
2 米軍に対する物品・役務の提供の拡大(自衛隊法改正案)とその問題点
自衛隊法上の罰則規定の改正(国外犯処罰規定の新設)
第7 安保法制改定法案の国及び国民への影響について
1 日本の国の在り方を根本的に変えてしまうこと
2 国民の生命・生活が危険にさらされること
第8 結論
(別紙)本意見書における法律名の略称
(別表)海外活動3法の活動要件・内容・武器使用等の整理
 
意見の趣旨
 2015年5月15日に内閣が国会に提出した平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案は,以下の1から3等において,日本国憲法立憲主義の基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義と平和的生存
権の保障及び国民主権の基本原理に違反して違憲であるから,これらの法律の制定に強く反対する。
1 我が国に対する武力攻撃がないにもかかわらず,「存立危機事態」において集団的自衛権に基づいて
他国とともに武力を行使しようとするものであること
2 「重要影響事態」及び「国際平和共同対処事態」において,武力の行使を行う外国軍隊への支援活動等を,戦闘行為の現場以外の場所ならば行えるものとすること等は,海外での武力の行使に至る危険性の
高いものであること
3 国際平和協力業務における安全確保業務やいわゆる駆け付け警護,さらには在外邦人の救出活動において,任務遂行のための武器使用を可能なものとすること等は,海外での武力の行使に至る危険性の高いものであること
 
第7 安保法制改定法案の国及び国民への影響について
1 日本の国の在り方を根本的に変えてしまうこと
 憲法は,前文において,平和的生存権を保障するとともに,第9条において,一切の戦争と武力の行使・武力による威嚇を放棄し,他国に先駆けて戦力の不保持,交戦権の否認を規定した。これらの規定は現実政治との間で深刻な緊張関係を強いられながらも,自衛隊の組織・装備・活動等に対し大きな制約を及ぼし,海外における武力行使及び集団的自衛権行使を禁止するなど,憲法規範として有効に機能してきた。以上の諸点は,第51回人権擁護大会「平和的生存権および日本国憲法第9条の今日的意義を確認する
宣言」(2008年10月3日)において確認されている。
 ところが,本法案の要点は,一言でいえば,自衛隊についてその任務や行動を拡大し,武力行使を行う実質的な軍隊へと転換を図ることにある。言い換えれば,憲法が予定する安全保障の指針とは正反対に,
武力を行使する国,戦争をする国へと国の在り方を根本的に変えてしまうものである。
 また,その結果,「全世界の国民」の平和的生存権を日本が自ら侵害することになりかねない。
 憲法は,個人の尊厳と恒久の平和を実現する崇高な目標を掲げ,世界に先駆けてあらゆる戦争を排した先駆的意義をもつ。そして日本は,現に戦後一度も戦争をせずに今日に至っている。武力行使と戦争を可能にするために自衛隊の任務と役割を拡大することは,このような従来までの国の在り方を根本的に変え
てしまうことにほかならない。
2 国民の生命・生活が危険にさらされること
 自衛隊の任務と役割を拡大し,武力行使を行うことを可能にする本法案は,国の在り方のみならず,以
下のように,国民の生命・生活を危険にさらすものでもある。
 まず,自衛隊員に死傷者が出ることが,現実の問題となる。集団的自衛権の行使等により直接武力の行使をする場合はもちろん,「現に戦闘行為が行われている現場」付近での他国軍隊への支援・兵站活動や,妨害勢力を排除するための任務遂行のための武器使用などの現場で,自衛隊員は,自ら殺傷し,殺傷さ
れる現実の危険にさらされる。
 さらに,海外でNGO活動を行っている日本人等が攻撃の対象となるおそれも指摘されている。
 グレーゾーン事態に対応すべく,領土紛争に自衛隊を出動させれば,他国との間で本格的な武力紛争になるおそれがある。また,他国の紛争に自衛隊が出向いて後方支援を行えば,日本国内で報復テロが行われる可能性も高まり,その脅威が日本でも現実のものとなりかねない。そして,海外において日本が武力行使をしたり外国の武力行使に関与したりすれば,日本の国土もまた直接の武力攻撃の対象にされることは避けられない(波及的有事)のである。
 
第8 結論
 以上のとおり,現在国会で審議が進められている安保法制改定法案は,憲法第9条及び前文の恒久平和主義と平和的生存権の保障の基本原理に違反して,我が国の集団的自衛権の行使を容認し,又は海外で武力の行使を行い,若しくは武力の行使に道を開く危険性の高い自衛隊の活動等を推し進めようとするものであり,かつ,憲法の改正手続によらずに法律によって実質的に憲法を改変してしまうものとして,立憲
主義の基本理念及び国民主権の基本原理に違反するものである。
 よって,当連合会は,国民に対し見解を明らかにするとともに,国会及び内閣に対し,意見の趣旨記載のとおり意見を述べるものである。
 
(付記)
 和歌山弁護士会憲法委員会副委員長の芝野友樹弁護士から、某MLに本日、以下のような投稿がありま
した。和歌山の皆さん、是非日程をご予定ください。
 とはいえ、この日は和歌山県第九の会が主催する夏の合唱があり(和歌山県民文化会館大ホールで午後3時から)、和歌山市あいあいセンターでは、和歌山市子ども劇場・子どもNPO連絡会が主催する映画「対馬丸―さようなら沖縄―」上映会が午後2時からあり、おまけに私自身も何ヶ月も前から決まっていて変更不可の所用がありという有様で、はなはだ困ったことです。本年度は憲法委員会から外してもらったので、事前の相談などなかったから仕方がありませんが。自分も会員なので「盛会をお祈りします」な
どと言っている場合ではないのですが。

―以下、芝野友樹弁護士からのお知らせです―

芝野です。
弁護士会主催イベントのお知らせです。
来る7/12(日)午後3時より,下記のとおり,
憲法違反の「安保法制」に反対する7・12 和歌山大集会&パレードを
開催します。
大阪では4000人集会だったそうです。
和歌山でもできるだけ大規模でしたいと思っていますので,
(一部イベントが重複しているところはあるようですが)
一人でも多くの方の参加をお待ちしています。
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憲法違反の「安保法制」に反対する7・12 和歌山大集会&パレード
開催日時 2015年7月12日(日)
        午後3時~ 集会
        午後4時~ アピール行進
        雨天決行
会場 和歌山城西ノ丸広場
内容 参加者からのリレートークなど
 皆さんの創意工夫により,集会・パレードの趣旨に合致する幟,横断幕,ボード等をご持参ください。
主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士会連合会(予定)
お問い合わせ先 和歌山弁護士会 073-422-4580