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野村保子さんによる『原発を拒み続けた和歌山の記録』評と大間原発止める道

 今晩配信した「メルマガ金原No.1151」を転載します。

 

野村保子さんによる『原発を拒み続けた和歌山の記録』評と大間原発止める道

 

 メルマガNo.1145で、寺井拓也さん(和歌山県田辺市)の『10/12経産省前テントひろば訪問と首相官邸前デモ報告記』をご紹介したところですが、その手記の中の「突然の出会い」に登場するお1人である野村保子さんが、北海道新聞に書かれた『原発を拒み続けた和歌山の記録』評をご紹介いただきましたので、寺井さんとの出会いについての野村さんの文章と合わせてお読みいただきたいと思います。

※寺井さんの手記

  http://kimbara.hatenablog.com/entry/2012/10/22/224657

※たんぽぽ舎メールマガジン1612号に、野村さんが書かれた「北海道から、官邸前デモに参加して(10/12の報告)」という文章が掲載されています。

  http://blogs.yahoo.co.jp/okerastage/archive/2012/10/15

 

 野村さんは、ご自身が書かれているとおり、3.11以後、初めて建設工事が再開されることとなった大間原発を止めるために力を尽くされている方ですが、「大間原発訴訟の会」からのお知らせは、以下のブログなどに随時掲載されています。

  http://ameblo.jp/ooma/

 

 3.11を経験しながら、この期に及んで「原発建設阻止闘争」をしなければならないという事態は情けない限りですが、「渦中にいる」のは、青森や北海道の方々だけではなく、この国に住む者すべてが「渦中にいる」ことの自覚が求められているのでしょう。野村さんの文章を読みながら、そのような思いが去来しました。

 

 なお、野村さんは、今年の3月には、落合恵子さんが主宰するクレヨンハウスから、『原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし』という本を出されています。

   http://terran108.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-8292.html

※私の家にある小出さんの『原発はいらない(幻冬舎ルネッサンス新書)』(2011年7月刊)の「あとがき」にも、「北海道在住の編集者野村保子さんも修正の手助けをしてくれました」とありました。 

 


 

 
原発を拒み続けた和歌山

 

野村保子さん(大間原発訴訟の会・北海道在住)

 

官邸前デモの前に経産省テント村に寄る

そこで寺井さんに会った

原発を拒み続けた和歌山の記録」の執筆と編集を担当した寺井拓也さん

すばらしい本なのです

紀伊半島には原発が一つもない

和歌山は5カ所の原発建設計画を拒み続けた

その闘いの記録です

 

今年の春わたしは縁あって「原発を拒み続けた和歌山の記録」の書評をさせていただいた

読みながら,激しい攻防の渦中にいるような気分になり

現地の人たちの気持ちの揺れを感じながら

そして、今も残る原発に翻弄された土地の持つ哀しさが胸にせまってきた

 

いま、大間原発に反対するわたしもまた、その渦中にいる

 

そのすばらしい本を書いた寺井さんと会えて、とてもうれしかった

すぐにはなしかけたら、寺井さんも編集者から書評のことを聞いていたという

 

現地で闘い続ける人たちのために、この本をぜひおすすめしたい

 

 

北海道新聞 2012年7月15日 「ほん」掲載

 http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/20120715/1.html

 

原発を拒み続けた和歌山の記録』

 (汐見文隆監修、「脱原発わかやま」編集委員会編 寿郎社 1575円)

                   評・野村保子(ライター)

 

 日本の原発54基は海岸線にそって日本列島を囲んでいる。しかし紀伊半島には原発がない。「原発のない県」がどのように作られたのか、本書に出てくる日高町原発を撃退した頃から知りたいと思っていた。 

 

 本書はかつて和歌山県の4町5カ所に起きた原発建設計画を止めた経緯を、絡み合った糸を丁寧に梳(と)くように読ませる。国の政策の上に胡坐(あぐら)をかき、地域経済や個人の暮らしまでも支配してきた電力会社。強大な資本と国の後押し、そして個人や組織に向けて膨大なお金の攻勢。日本中の原発立地県で行われてきた手法に、原発に反対する個人個人がどのように立ち向かったのか。日本中の原発のある町で、一人また一人と反対する人が切り崩され、声を上げなくなっていったことは肌身にしみている。なぜ和歌山では執拗(しつよう)な電力会社との20年を超える激しい攻防に立ち向かえたのか。 

 

 しかしここに書かれているのは特別の方法でもなければ奇想天外な手段でもない。愚直なまでの原発を止めたい思い、そのものがここにあった。 

 

 原発建設には原子炉の冷却水として海水を必要とするため漁業組合の認証が不可欠である。漁業組合の総会が原発の可否を決めている、ともいえる。その総会で身体を張って反対を貫いた漁師。総会会場前で座り込みを続けた女性たち。その姿は、今この時も経産省前で原発を止めようと運動を続けるテント村の女性たちの姿に重なる。 

 

 市井の学者宇治田一也さんの理論的裏づけ。医師の立場から公害問題に取り組み、勉強会を続けた人たち。一人一人の個性を生かした必死の思いが胸に迫る。さまざまな立場からの反対が、電力会社の圧力を分散しながら受け止めている。 

 

 私は大間原発建設に反対して二十数年になる。福島原発事故以来、大間を止めるために何ができるか自問する時にこの本と出合った。電力会社の真実を知るための貴重な本であり、電力会社と政治家への対処を学ぶ1冊でもある。

 

原発を拒み続けた和歌山の記録