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自民党はいつから「保守政党」ではなくなったのか~河野洋平氏インタビューを読んで

 今晩(12月16日)配信した「メルマガ金原No.1202」を転載します。

自民党はいつから「保守政党」ではなくなったのか~河野洋平氏インタビュを読んで
 
 「自民党単独過半数確実、自公合わせて2/3以上をうかがう勢い」という開票速報を聞きながら、このメルマガを書いています。和歌山県第九の会による記念すべき40回目のベートーヴェン第九交響曲演奏会が行われた晩(おそらくベートーヴェン誕生日でもある12月16日)に聞くニュースとしては最悪ですが、絶望などしているいとまはありません。
 目を見開き、事態の本質を理解して行動できる仲間を少しでも増やしていく努力をするしかありません。
 そこで、今晩は自民党の「変貌」について取り上げます。
 
 核武装のオプションを保持するために原発を止めるべきではないというのは石原慎郎・日本維新の会代表のかねてからの持論ですが、今や極右政党に変貌した自党の主張も似たようなものです(「核武装」ではなく「核抑止力」という表現になりまかね―例えば石破茂幹事長など)。
 
 ネットの世界ですっかり有名になった画像があります。
 2012年に行われた自民党総裁選挙に立候補した5人が、「最終的に『原発ゼロ』目指す?」という質問に全員が「×」を出しているシーンです。
 
 5人全員が、と言えば、5人とも集団的自衛権行使を容認すべき、つまり、「日本憲法下では集団的自衛権の行使はできない」という数十年間(その大半は自民党が政権与党だった)続いてきた政府の公権解釈を捨て去ろうという主張の持ち主でした。
 
 いつから自民党が「保守政党」から「極右政党」に変貌したのか、明確な時期を画するのは難しいでしょうが、小選挙区制の導入によって種が蒔かれ、小泉構造改革線によってその方向性が明確になり、2012年の総裁選挙に及んで誰の目にも明らかになったというところでしょう。
 
 かつては自民党にも「ハト派」と言われる議員が一定数存在し、「ハト派」とは思ていなくても、極端な右寄り路線に突き進むことにはブレーキをかける有力者が存在し、これによってバランスを保ちながら長期政権を維持してきたのですが、今や、威のいい声を上げる者だけが表舞台に残り、非常に懐の浅い、うすっぺらで危険きわまりない政党になってしまっています。
 
 この点についての危機感を、元衆議院議長であり、かつ元自民党総裁でもある河平氏が、朝日新聞のインタビューに応えて語っていました(12月12日付)。
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 部分的に抜粋してご紹介します。
(抜粋引用開始)
(前略)
「自民党は立党精神に『自主憲法』を掲げながらも非常に抑制的だった。保守の定はあいまいだが、穏健で歴史を大事にして問題解決するのが保守の手法。戦後の日本を全部否定するのは、保守ではない。内向きで、安っぽい民族主義を駆り立てる発言が国際的に通用するのか、大変心配している」
(中略)
「小選挙区制度にも原因がある。かつては自民党議員の3割くらいはハト派だった。民党内で3割で、国会全体では社会党や公明党を足せば約5割がハト派。それが日本政治のバランスをとってきた。だが、3割では小選挙区で自民党の候補にもなりにくく、他の革新政党も伸び悩む」
(中略)
「このまま右へ右へと行けばリベラル勢力が絶滅しかねない。崖から落ちれば有権者気づくかもしれないが、その時は引き返せなくなるという危惧があり、右傾化への歯止めが必要だ」
(後略)
(引用終わり)
 
 自民党右傾化の原因として小選挙区制を挙げた上で、「あの時の選挙制度改革が正しかったかどうかは疑問だ」と述懐する河野氏ですが、小選挙区制を導入した「あの時」(1994年・細川護煕政権時)、野党第一党の自民党総裁として法案成立に協力した当の本人から「疑問だ」と言われてもなあ・・・というのが正直な感想です。
 
 自民党を信任しない有権者による投票のどれだけが死票になったのか、発表される統計数字に注目してください。この選挙制度を何とかしなければ、正しく民意が国政に反映されることはないと断言せざるを得ません。
 極右勢力が目指す現行憲法96条(改正規定)改悪(改憲発議要件を両院それぞれ2/3以上から過半数への引き下げ)と、小選挙区制廃止とのどちらが早いかということが、今後の日本の針路をかけた闘いの主戦場の一つではないかと考えています。
 

(付録)
『一台のリヤカーが立ち向かう』 中川五郎
 作詞作曲:中川五郎
 
※こんな晩に聴く曲としてはこれしか思い浮かびませんでした。なお、歌詞については、以下をご参照ください。