今晩(12月20日)配信した「メルマガ金原No.1206」を転載します。
「9条の会」活動の蓄積を活用しよう!(例えば「商社九条の会・東京」)
昨日お送りした「今だからこそ『9条の会』!」はお読みいただけたでしょうか?
おそらく、全国各地の「9条の会」の皆さんが、どうしたらこの危機的状況の中で、「9条の会」の活動を活性化し、今まで届かなかった層にまでアピールできるのだろうか?ということに頭をめぐらしていることと思います。
私自身、これという具体的なアイデアがある訳ではありませんが、少なくとも、これまで全国各地で取り組まれてきた「9条の会」による運動の成果が無駄になる訳では決してありません。
手前味噌で申し訳ありませんが、私が所属する「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」は、結成後わずか1年にして、創立1周年記念誌『平和のうちに生きるために』というA4版140頁という堂々たる(?)冊子を2006年に発行(大胆にも1500冊も印刷してしまったためいまだに相当の在庫が残っている)したのですが、読み返してみると、決して古びていないと感じます。
さすがに、2005年12月に開催した「リレートーク 自民党改憲案の検証」(4人の会員が自民党「新憲法草案」を分担して徹底批判し、これを完全文字起こししたもの)は、2012年4月に自民党「日本国憲法改正草案」が発表された今となっては、理論的な部分は古びていないにしても、もう一度「リレートーク」をやり直ししたい気持ちになりますが。
余談ながら、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」では、来年の参議院選挙までに実施する企画の具体的検討を始めていますので、「新版 リレートーク『自民党改憲案の検証』」の開催を提案してみようかな。
もしもやるとすれば、2005年の「リレートーク」には参加していなかった新たな層に、どうすれば関心を持ってもらえるか、工夫を要するところですね。
以上は一例に過ぎませんが、「9条の会」の活動を活性化すると言っても、何もいままでにない全く新しいことをしなければならないということではないと思います(実際、やろうと思っても難しいでしょう)。
今まで声を届けられなかった層への浸透という目標は常に念頭に置く必要はあるものの、まずはこれまでの「活動の蓄積」を振り返り、そこを拠り所として新たな展望を切り開いていくというのが正道でしょう。
その作業は、各「9条の会」ごとに取り組むことになる訳ですが、優れた「活動の蓄積」を公開してくれている所もあります。
ここでは、その一例として、「商社九条の会・東京」ホームページをご紹介します。
東京という地の利もあり、もしかするとそれなりの資金力もあるのかもしれませんが、非常に充実した講演会や学習会を継続して開催しており、しかも、事後に講演録を文字化して、WEBサイト上に無料で公開してくれています。
最新の第13回講演会(2012年7月7日)は小出裕章さん、最新学習会(第12回)は小倉士郎さん(2012年2月26日)という具合に、今年は原発関連の講師を招いているようですが、昨年の8月27日には、ペシャワール会現地代表の中村哲医師を招いた「アフガニスタンに生命の水を」という講演会(第12回)を開催しています。
この他、高遠菜穂子さん、伊勢﨑賢治さん、澤地久枝さん、品川正治さんなど、和歌山にも講演に来ていただいた方々の講演録が掲載されていますし、まだ未読ですが、保阪正康さん、天木直人さんの講演録なども是非読んでみたいと思います。
もっとも、「活動の蓄積」というのは、何も以上のような講演録のようなものだけをイメージしている訳ではありません。結成以来培ってきた「人と人との繋がり」や、活動を広めていくための「工夫、ノウハウ」のような無形のものこそ、最も貴重な「蓄積」かもしれません。
各「9条の会」に今求められているのは、これまでの活動を振り返り、その蓄積を確認するとともに、運動を再構築していくための新たなスタートをまずは切ることでしょう。
もちろん、これは私自身に課せられらた課題でもあるのです。