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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

4/28政府主催「主権回復記念式典」は何を祝うというのか

政治 憲法
 今晩(2013年3月13日)配信した「メルマガ金原No.1292」を転載します。
 
4/28政府主催「主権回復記念式典」は何を祝うというのか
 
 昨日(3月12日)午前中の閣議において、政府は、来る4月28日、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を政府主催で開催する旨閣議決定し、ただちに菅義偉(すがよしひで)官房長官によって記者発表されました。
 
 官房長官の説明を引用します。
(引用開始)
 本日の閣議において、主権回復・国際社会復帰を記念する式典を政府主催より、来る4月28日(日)、憲政記念館において、天皇皇后両陛下の御臨席の下、各界代表の参列を得て実施することが決定をされました。この式典は、平和条約の発効による我が国の完全な主権回復、及び国際社会復帰60年の節目を記念をし、我が国による国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認するとともに、これまでの経験と教訓をいかし、我が国の未来を切り拓いていく決意を確固としたものにするため、挙行するものであります。これに関して、本日閣議において、総理から、この式典に当たっては、奄美、小笠原、沖縄が、戦後の一定期間、我が国の施政権の外に置かれたという苦難の歴史を忘れてはならない、苦難を耐え抜かれた先人の心情に思いをいたし、沖縄の方々の抱える基地負担の軽減に取り組むとともに、奄美、小笠原、沖縄を含めた我が国の未来を切り拓いていく決意を新たにすることが重要であるとの発言がありました。また、本沖縄・北方担当大臣から関連発言がありました。なお、本日付けで、内閣府大臣官房に主権回復・国際社会復帰を記念する式典準備室を設置することといたしました。式典の詳細については準備室にお問い合わせをいただきたいと思います。
(引用終わり) 
 
 これは、1952年4月28日、前年9月8日にサンフランシスコで署名された対日平条約が発効したことを記念してということですが、この日はまた(旧)日米安保条及び日米地位協定発効の日でもあります。
 そして、何よりこの平和条約第3条は次のように定められていました。
 
(引用開始)
第三条 日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島含む。)、孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。
(引用終わり)
 
 この決定に対して沖縄を中心に反発が広がっていることは言うまでもありません。
 一例として、沖縄弁護士会が閣議決定当日に発表した会長声明「政府によ『主権回復の日』式典開催に反対する声明」をご紹介しておきます。
 
(抜粋引用開始)
 このような不当な条項(注・平和条約3条のこと)により、沖縄は、1972年に至まで日本復帰を果たせなかったのである。このため沖縄においては、4月28日「屈辱の日」とも呼ばれている。
 講和条約により米軍の施政下におかれた20年間、沖縄では、日本国憲法
適用されず、このため、一片の布告布令により土地を奪われて米軍基地に収用されたり、渡航の自由を制限されるなどの人権侵害が繰り返され、あるいは、琉球政府の司法の独立が侵害されるサンマ事件等が発生するなど、国民主権損なわれ、基本的人権も奪われてきたのであった。
 沖縄の日本復帰後も、講和条約による米軍占領中に拡張された米軍基地
の整理縮小は実現に至ってなく、米軍による事件事故の被害の救済も不十分であり、真の「主権の回復」にはほど遠い。
(引用終わり)
 
 もともと、この式典開催は自民党の選挙公約に掲げられていたらしいのですが、は気がついていませんでした。何しろ、安全保障政策を中心として、批判すべきところ満載の公約であっため、そこまで目が届かなかったというのが正直なところです。
 また、実際、自民党に投票した人にしたところで、そんな公約があるということって投票した人がどれだけいたでしょう。
 
 あらためて式典開催についての官房長官発表と沖縄弁護士会の批判を読みべてみた上で感じることは、この政権には、人の痛みを自らのことと受け止める感覚そもそも存在していないのだろうということです。
 それが権力というものの通有性なのか、安倍政権の特徴なのかについては意が別れるかもしれませんが。
 
 もちろん、安倍政権には、この式典を開催することにより、日本国憲法が「主回復」前に制定されたものであることを強調し、改憲に向けた地ならしにしようという底意があることは言うまでもありません。
 
 最後に、沖縄地元紙に掲載された社説及びコメントをご紹介しますので、是お読みください。
 
琉球新報 2013年3月13日 社説
「主権回復」式典 過重負担押し付け祝宴か
 
沖縄タイムス 2013年3月13日
孫崎氏、主権回復式典は政治意識欠落
 
 明日(3月14日)午後6時半から、和歌山市(プラザホープ4F)において、琉球新報政治部長兼論説委員の松元剛(まつもとつよし)さんによる講演会「沖縄から民主主義の熟度問う-憲法・普天間オスプレイ-」が開かれます。
 上掲社説を松元さんが書かれたのかどうかは未確認ですが、必ずやこの式典題についても語っていただけるものと思います。
 
 また、沖縄タイムスに適切なコメントを寄せられた孫崎享(まごさきうける)さんも、以下のとおり、4月と5月に和歌山市で講演をされる予定です。
○4月26日(金)午後6時~ 和歌山県民文化会館小ホール
  青年法律家協会和歌山支部主催
  「戦後日本外交の歴史と展望~自主と追随の戦い~」
○5月11日(土) プラザホープ4Fホール
  憲法九条を守るわかやま県民の会主催
 
 ご都合のつく方は、是非上記講演会に足をお運びいただければと思います。
 
(付記)
 時あたかも、ガバン・マコーマック、乗松聡子共著『沖縄の〈怒〉―日米への抵抗』(法律文化社)日本語版の来月(4月)刊行が予告されていました。これをしも「絶妙のタイミング」と言うべきでしょうか。