wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

日本経団連の武器輸出に関する「提言」(9/10)を読んだ人いますか?

 今晩(2015年9月14日)配信した「メルマガ金原No.2213」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本経団連の武器輸出に関する「提言」(9/10)を読んだ人いますか?

 非常に気になる報道に接した時、皆さんならどうされるでしょうか?いきなりFacebooktwitterで「拡散」しますか?正直言って、これはあまりお勧めできません。やはり、まずは自分なりに「裏付」をとる必要があるでしょう。
 ところが、その「裏付」が、インターネット環境で容易にとれれば良いのですが、そうはいかないとなると、非常に手間暇がかかることになります。
 以下は、最近私が一番気になっているニュースの1つです。
 
産経ニュース 2015.9.10 15:59
次期主力戦闘機「F35」の部品輸出を 米国で完成品→第三国供与を想定 経団連が提言

(引用開始)
 
日本経済団体連合会は10日まとめた「防衛産業政策の実行に向けた提言」の中で、国内防衛各社が航空自衛隊の次期主力戦闘機F35を国内生産するのに合わせ、海外向けにもF35関連のコンポーネントを輸出できる体制を構築すべきだとして、政府に支援を求めた。主に米国向けなどにコンポーネントを輸出し、完成したF35を第三国に供与する仕組みを想定している。
 提言は10月1日に防衛装備庁が発足するのを前に、国内防衛産業の要望としてまとめた。日本はF35の共同開発には参加していないが、開発の中心となった米国の配慮で自衛隊向けの生産や、アジア太平洋地域で自衛隊や米軍などのF35の修理などを担当するリージョナル・デポの役割を担っている。
 国内向けは国内の関連メーカーがエンジンや電子機器などのコンポーネントを製造し、三菱重工業の生産ラインで最終組立を行うことになってるが、産業界はこれに合わせ海外向けラインを増設したい考えだ。ライン新設のための金融支援を政府に要望する。
 安倍政権は昨春、「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」を制定し、防衛装備の輸出規制を緩和したものの、完成した戦闘機の海外移転は新三原則でも認めていない。ただ、第三国向け移転で一定の管理体制を敷いている米国などとの共同開発プロジェクトは規制の対象外となっている。経団連は米国などにF35のコンポーネントを輸出し、米国などで最終組立をして第三国に提供することを想定している。
 一方、防衛産業の国際化を推進している政府部内では、海外向け装備品の製造を支援するための枠組みとして財政投融資を活用する案などが浮上している。
(引用終わり)
 
朝日新聞デジタル 2015年9月10日19時50分
武器輸出「国家戦略として推進すべき」 経団連が提言

(引用開始)
 
経団連は10日、武器など防衛装備品の輸出を「国家戦略として推進すべきだ」とする提言を公表した。10月に発足する防衛装備庁に対し、戦闘機などの生産拡大に向けた協力を求めている。
 提言では、審議中の安全保障関連法案が成立すれば、自衛隊の国際的な役割が拡大するとし、「防衛産業の役割は一層高まり、その基盤の維持・強化には中長期的な展望が必要」と指摘。防衛装備庁に対し、「適正な予算確保」や人員充実のほか、装備品の調達や生産、輸出の促進を求めた。具体的には、自衛隊向けに製造する戦闘機F35について「他国向けの製造への参画を目指すべきだ」とし、豪州が発注する潜水艦も、受注に向けて「官民の連携」を求めた。産業界としても、国際競争力を強め、各社が連携して装備品の販売戦略を展開していくという。(小林豪
(引用終わり)
 
 
 これまでに、私の目に付いた主なニュースは以上の3件(実質は2件)です。最初に報じたのは産経ニュースだったようですが、私がFacebookでの「拡散」に気がついたのは朝日新聞デジタルの方が先でした。
 私は、この「大胆な『提言』」発表のニュースが非常に気になり、すぐに「裏付」をとることにしました。と言っても何も難しいことはなく、「提言」そのものを読んでみようと考えたというだけのことです。これって、当たり前ですよね。
 何しろ、朝日新聞デジタルの記事には、「経団連は10日~提言を公表した。」と書いてある上に、提言から引用したとおぼしいかぎ括弧付きの文章まで載っているのですから、当然、日本経団連公式サイトに「提言」そのものが掲載されていると思うでしょう?
 ということで、日本経団連の公式サイトを閲覧してみました。
 
 ところが、トップページにある「新着情報」の内、9月10日以降の記事は、「新たな気候変動枠組みの構築に向けた提言-京都からパリ、そして次世代の地球へ-(2015年9月11日)」だけでした。
 「政策提言/調査報告」のページを開けてみましたが、やはり見当たりません。
 このホームページのサイト内検索機能を使い、産経ニュースにあった「防衛産業政策の実行に向けた提言」という標題を入力して検索を実行してみましたが、ヒットしませんでした。
 ということで、実は、朝日新聞デジタルの記事に気がついた9月11日以降、ずっと探しているのですが、いまだにネット環境で「提言」を見つけることができていません。
 
 実は、この間、この朝日や産経の記事が出た後、その報道内容を踏まえて書かれたブログ記事も複数読んでみたのですが、「提言」そのものを読んだ上で書かれたようには思われませんでした。
 
 日本経団連がこの「提言」を公式サイトに未掲載であると仮定しての話なのですが(私が探し損なっているだけである可能性ももちろんあります)、もしそうだとすると、一般国民に広く読まれては困るような「提言」であることを自認しているのか?などという皮肉の一言も言いたくなるというものです。
 朝日と産経という複数のメディアが報じたのですから、よもや「ガセネタ」であるはずはないですし(仮にそうなら日本経団連の「声明」が直ちにアップされるはずです)。
 それに、これは結構重大な問題だと思うのですが、少なくとも、インターネットで検索できる範囲では、産経と朝日以外のメディアでこの問題を大きく取り上げたところはなさそうだということも、いささか不思議と言えば不思議です。
 
 ということで、今日のところは、「裏付未了」につき、「出来ればいずれこの問題を取り上げたい」という予告編だけで終わりです。
 本当に「提言」を読もうとすれば、直接、日本経団連に電話して、「提言を読みたいのですが、送っていただくことは可能ですか?」と聞いてみるしかなさそうですね。さて、そこまでやるかどうか。