読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

政治家としての力量が試される時~翁長雄志沖縄県知事による辺野古沖埋立承認取消し手続開始

政治 社会
 今晩(2015年9月15日)配信した「メルマガ金原No.2214」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
政治家としての力量が試される時~翁長雄志沖縄県知事による辺野古沖埋立承認取消し手続開始

 沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が、昨日(9月14日)、名護市辺野古沖の埋立承認を取り消す手続に入ったことを、記者会見を開いて明らかにしました。
 これを、本土メディアがどの程度の重みをもって伝えたのか、私にはよくわかりません。私の事務所に今朝届いた朝日新聞大阪本社版は1面トップ記事でしたが、扱いの大小は各紙によって様々だったようで
す。琉球新報WEB版は、「辺野古承認取り消し 全国紙はどう報道したのか」という記事を掲載しましたが、朝日・東京・毎日・読売については書いてありますが、日経と産経は紹介もしていません。
 
 翁長知事の辺野古新基地建設問題(当面は埋立承認取消し問題)についてのスタンスをどう評価するかについて、私は、今年に入ってから2度ばかり書く機会がありました。今回の埋立承認取消し声明を聞いても、その考えに変更を加える必要は感じていませんので、少し振り返っておきます。
 
2015年3月23日
翁長雄志沖縄県知事から沖縄防衛局に対する「指示」~3/23臨時記者会見を見て考えた
(抜粋引用開始)
 もちろん、スタッフ、ブレーンからの進言を基に「決断」するのが知事の最大の責務であることは言うまでもありませんが、これまで、那覇市議、沖縄県議、那覇市長として積み重ねてきた経歴からも分かるとおり、翁長知事は根っからの「政治家」だろうと思います。
 上京のたびに首相や官房長官に面会を求めては拒絶される翁長知事の姿を見て、皆さんはどう思われたでしょうか?私は、「面会を求めて拒否されること自体、知事にとっては、れっきとした政治的布石だろう」と考えていました(今でもそう思っています)。
 大浦湾に巨大ブロックが投下され、貴重な自然環境が破壊されていく様を目の当たりにして、県民の怒りが煮えたぎることもまた、知事にとっては重要な政治的資源となります。
 もちろん、このような政治的布石や政治的資源を活用し、県民の支持を背景として国と対決するのか、それともポーズだけでうやむやになってしまうのかによって、翁長雄志という人物の政治家としての後世の評価が決定することは言うまでもありません。
 翁長知事自身、そのようなことは百も承知で知事選に出馬したのだと思います。
(引用終わり)
 
2015年8月5日
辺野古工事1ヶ月中断の間にやるべきこと~少なくとも検証結果報告書は読んでおこう
(抜粋引用開始)
 それはさておき、ものごとは、どちらの方向から光を当てるかによって、それこそ180度異なった解釈も可能であり、そうであればこそ、「複眼的思考と常識による判断」が必要になるのですが、翁長知事の行動についても、本気で辺野古の工事を止めるつもりなどなく、ポーズをとっているだけだと、「自分だけは知っている」と言わんばかりのしたり顔で論評する人が世の中には結構いて、またそれをSNSで拡散する人もいたりします。
 まあ、どういう解釈をしようと勝手ではありますが、結果として沖縄の人々の足を引っ張ることだけはやめて欲しいと思わずにはいられません。
 私自身、翁長知事の「真意」など知り得るはずがありませんが、何度も上京のたびに首相や官房長へ
の面会を申し入れては断られることを繰り返したこと、「成果がなかった」という本土大手メディアによるキャンペーンに包まれる中で訪米を敢行したこと、第三者委員会による検証結果報告が出るまで埋立免許取消しに具体的に言及しなかったことなど、私は老練な保守政治家としての着実な手を積み上げていると見ますけどね。
 それに、仮に翁長知事への評価が誤っていたとしても、今翁長批判をすることで誰を利しているかを考えれば、自ずからとるべき態度は明らかだと思うのですが。 
(引用終わり)
 
 以上に紹介した沖縄防衛局に対する海上作業の停止指示、第三者委員会による検証結果報告書の受領、それに1ヶ月間の「休戦期間中」の集中協議と政府による工事再開を踏まえ、翁長知事が当然打つべき次の手が埋め立て承認の取り消しであって、おそらく意外感をもってこのニュースを受け止めた沖縄県民はいないと思います。

 以下に、記者会見の動画と知事冒頭発言(文字起こし)を紹介します。なお、沖縄地元2紙に知事発言の全文が掲載されているだろうと思って探したのですが、探しきれませんでした。仕方がないので、私自身で文字起こししました。短く、論理的な文章で、翁長知事の発音も明晰ですから、作業自体は簡単でした。なお、冒頭発言の後の質疑も是非お聴きください。
 
沖縄県公式チャンネル 翁長知事臨時記者会見(平成27年9月14日)

 
翁長雄志知事冒頭発言
「本日、辺野古新基地建設にかかる公有水面埋立承認の取り消しに向けて、事業者への意見聴取の手続を
開始しました。県は、去る7月16日、埋立承認の法律的な瑕疵(かし)を検証する第三者委員会の検証結果報告を受け、関係部局において、内容等を精査してきたところであります。その結果、承認には、取り消し得べき瑕疵があるものと認められました。国に対する承認の取消しについては、行政手続法は適用されないと解されますが、今回の不利益処分については、行政手続法の趣旨に鑑み、意見聴取を行うことが適当と判断しました。そのため本日付で、沖縄防衛局長に、意見聴取にかかる通知書を発出したところであります。なお、意見聴取日は、平成27年9月28日としております。私は、今後もあらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地は作らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。」
 
 記者会見の模様を伝える地元紙の報道を1つだけご紹介しておきます。
 
琉球新報(WEB版) 2015年9月15日 12:33
辺野古取り消し表明 知事「承認に瑕疵」 新基地阻止へ第一歩

(引用開始)
 翁長雄志知事は14日午前10時、県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設について、前知事の埋め立て承認を取り消すことを表明した。同日手続きを始め、沖縄防衛局に意見聴取を行う通知を届けた。意見聴取は28日に開き、内容を精査して10月中旬ごろに取り消す予定。翁長知事は会見で「承認には取り消しうべき瑕疵(かし)があると認められた」と説明した。その上
で「あらゆる手段で辺野古に基地を造らせない。その第一歩だ」と強調した。
 翁長知事は取り消し理由となる瑕疵について(1)普天間代替施設を辺野古に建設しなければならない根拠が乏しく、埋め立ての必要性がない(2)埋め立て対象地は自然環境的観点から極めて貴重な価値があり、基地建設で住民の生活や健康に大きな被害を与える可能性がある(3)在日米軍基地の73・8%
を抱える沖縄と本土の格差や過重負担の固定化につながる―などを挙げた。
 中谷元・防衛相は14日、記者団に「手続きに瑕疵はない」と述べ、建設を進める考えを表明した。県からの意見聴取には「どのように対応すべきか慎重に判断したい」とした。県は防衛局が意見聴取に応じ
ない場合は、そのまま承認を取り消す方針。
 政府は辺野古新基地建設に関して、2013年12月に仲井真弘多前知事から承認を得たことを理由に作業をしており、取り消しでその法的根拠が失われる。政府は県が承認を取り消した場合、国交相への不服審査請求や高等裁判所に対する代執行訴訟の提起など法的な対抗措置を検討しており、県と政府が法廷闘争に入る可能性が高くなってきた。政府は裁判所などが工事の差し止めを命じない限り、係争中も工事
を進めることが可能だ。
 翁長知事が1月に設置し、法律や環境の専門家で構成する第三者委員会が7月16日、前知事の埋め立て承認に「瑕疵があった」とする報告書を提出していた。その後、県と政府は8月10日からの1カ月を期限に、新基地建設作業を停止した上で問題を話し合う集中協議の場を5回設けた。しかし協議は決裂し
、翁長知事が取り消しを決めた。
(引用終わり)
 
 記者会見の質疑の中でも知事自身が指摘しているとおり、埋立承認取消しは、「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地は作らせないという公約」実現のための本格的な手段としての(あくまでも)第1歩に過ぎません。
 間近に控えたジュネーブで開かれる国連人権理事会での翁長知事自身の演説も、「あらゆる手法」の1つである訳です。
沖縄県ホームページ 知事の日程
 いよいよ全国民、それに心ある世界市民の注視の下、安倍晋三菅義偉ラインと翁長雄志知事のいずれが政治家としての「力量」において勝っているかが明らかにされようとしているのだと思います。
※政治家としての「見識」については既に決着がついているでしょう。