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日本地震学会モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」(2015年3月)のご紹介

 今晩(2015年12月6日)配信した「メルマガ金原No.2296」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本地震学会モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」(2015年3月)のご紹介

 このメルマガ(ブログ)では、
  これから開催される行事
  これから放送されるTV番組
などをご紹介するだけではなく、既に刊行・公開されている、
  これから読むつもりの本・論文
  これから観るつもりの映画
  これから視聴するつもりの動画
をご紹介したりもしています。
 本来なら、本(論文)を読み、映画を鑑賞し、動画を視聴した上で、その感想や評価を書けば良いのは重々承知
しているのですが、そうしようとすれば、一体いつご紹介できるか見当もつきません。
 そこで、我ながら無責任のそしりは免れないと思いつつ、1人でも2人でも、私が提供した情報を活用
してくださる方がいるかもしれないということで、まだ、読んでいない本・論文、観ていない映画、視聴していない動画のご紹介を続けているのです。
 
 前置き(というか言い訳)が長くなりましたが、そういうことで今日ご紹介するのは、ネット上で既に公開されているが、私はまだ読んでいない(「はじめに」だけは読みましたが)モノグラフ(この場合は論文集という意味でしょうか)です。
 今年の3月、公益社団法人日本地震学会がモノグラフ「日本の原子力発電と地球科学(Nuclear Power
Plants in Japan and Earth Science)」を公開していました。
 私が登録しているあるMLで紹介されているのを読み、初めてその存在を知りました。目次を読むと、巻頭論文「地震列島・日本の原子力発電所地震科学」を石橋克彦氏(神戸大学名誉教授
)が執筆されており、「これは読まなければ」と思った次第です。
 豊富な図表を含む本文102ページの論文集を本当に読み通せるのか?にわかに確言はできないものの、まだこのモノグラフの存在を知らないけれど、知ったならば、大いに関心を寄せられる方もきっとおら
れるに違いないと思いますので、以下には、「はじがき」と各論文冒頭に掲げられた短い要約をご紹介するこ
とにします。
 これにより、まずどの論文を読むべきかを判断するための参考になればと思います。
 
 
はじめに(1頁)
 2011 年東北地方太平洋沖地震による地震動と津波により, 福島第一原子力発電所において炉心溶融事故が発生し,このため甚大な放射能被害が生じた.地震多発国日本における原子力発電所の設置については,地球科学に密接な関連を持つのにもかかわらず, 一部の地震・地質研究者が耐震安全性の観点から関わってきたのを除いて, 多くの研究者は一種のタブーとしてあえて無関心な態度をとり続けてきたように思える. 私たち本モノグラフの編集者も例外ではない.福島第一原子力発電所の大事故と今も続く被害, またこれまでの発電で蓄積された多量の放射性廃棄物への対応を迫られていることは,我々が地球科学と原子力
発電所の深い関係から逃げるわけにいかないことを痛感させる.
 私たちは, 地球科学界の中で,日本における原子力発電所の在り方について地球科学的見地からの議論を行う場をオープンにかつ継続的に設けることは, 地球科学と社会とのかかわりを考える上で第一に必要な作業であると考える. そこで2013年5月におこなわれた日本地球惑星科学連合大会のユニオンセッションU-06「地球科学者の社会的責任」の第2 部として, 「原子力発電所に関わる科学アセスメントと地球科学的知見」を企画開催した. このセッションでは地球科学の知見が立地調査や審査にどのように使われてきたかに関して, これまで立地審査に関わってこられた地球科学研究者の方々からの経験に基づくご意見を共有することができた. 今後もフォーカスを変えながら, 日本の原子力発電に関係するテーマのセッション
を開催していきたいと考えている.
 本モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」は, このユニオンセッションの第2部での講演とともに,
第1部「東日本大震災からのメッセージ」での講演も含めた日本の原子力発電に関連する発表, そして2014 年6-8月に日本地震学会会員を対象に実施した論文公募への投稿を中心に編まれている. この公募は,「日本の原子力発電に対し, 立地審査や安全審査において地球科学研究がこれまでどのように関わり, 今後どのように関わるべきかについての論文を募ります.また,福島第一原発事故や核廃棄物処分に関する地
球科学的視点からの論文も受け付けます」という趣旨説明の下で行われた.
 ユニオンセッションで日本の原子力発電に関係する講演をされた方々全員に本モノグラフへの寄稿をお願いした。最初の4 論文は、それに応じて寄稿してくださった石橋克彦,池田安隆、渡辺満久、佐藤努の各氏の論文である。石橋氏は地震学的な見地から, 池田, 渡辺両氏は変動地形学的見地から日本における原子力発電が抱える問題を提起されており, 佐藤氏には今も続く福島第一原発の汚染水や廃棄物の処理についての貴重な報告をしていただいた. また編集者の一人(橋本)が, 日本海溝地震活動長期評価に関する国と電力事業者との情報交換の経緯について報告する. 掲載した公募論文は, 投稿論文のうち公募趣旨に合致した植竹富一, 香川敬生, 野津 厚, 藤原 了・是永眞理子, 東井 怜の各氏による5 論文である. 原子力発電に関わる強震動評価や, 津波評価に関する批判と改善への意見を含む多様な意見論文が寄せられた. そのほか, 小嶋 稔, 加藤照之, 浜田信生の各氏には, それぞれ岩波「図書」, 岩波「科学」, 日本地震学会ニュースレターに掲載された論文を, 著者の方々と各編集部の許可を得て転載させていただいた.小嶋氏の転載論文は, オクロ自然原子炉についてのユニオンセッションでの講演に沿った内容の論文である. 加藤氏には核廃棄物地層処分に関する日本地震学会の対応についての報告を転載させていただいた.浜田氏の転載論文はユニオンセッションでの基準地震動設定に関する氏の質問内容を敷衍したものである.日本地震学会ニュースレターでは浜田論文掲載後も他の会員との間で基準地震動に関する議論が続けられ,それらは日本地震学会ホームページから閲覧することができる. このような議論がニュースレターでオープンに展開されることは, 私たちがまさに期待していたことである.本モノグラフでは議論の発端となった浜田氏の論文のみを掲載している。巻末には日本地球惑星科学連合の許可を得て、2013年大会予稿集から、本モノグラフ企画の元となったユニオンセッション「地球科学者の社会的責任」のプログラムと第2部「原
子力発電所に関わる科学アセスメントと地球科学的知見」の講演要旨を転載させていただいた.
 言うまでもなく, 本モノグラフは日本地震学会の意見を代表する論文を掲載するという目的で編まれた
ものではない.むしろ会員が持つ意見の多様性が反映されたモノグラフとなっている.本モノグラフの出版により, 原子力発電に関する地球科学的検討が各学会やシンポジウム, 出版物等によって開かれた形で
おこなわれるようになればと願っている.
日本地震学会モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」編集委員会
末次大輔, 川勝 均, 橋本 学, 金嶋 聡,香川敬生
 
1.招待論文
地震列島・日本の原子力発電所地震科学 
神戸大学名誉教授 石橋 克彦(3頁)
「狭小で人口稠密な地震列島・日本は,技術が未完成で莫大な放射能を内蔵する原子力発電所の建設には適さない.ところが,地震学が古めかしくて地震活動が静穏だった1950~60 年代に,地震地震動・津波を甘くみた原発が計画され,増殖してしまった.現代地震学が60 年代後半に誕生したが,事態は改善されなかった.かくして,2011 年東北地方太平洋沖地震による福島原発事故が,起こるべくして起こった.原発震災をまねいてしまった今こそ,地震列島の原発の耐震安全性を抜本的に高めるべきだが,原子力規制委員会の新規制基準はきわめて不十分である.原発震災を二度とくり返さないために,地震学は,地震現象についての最新知見を(未知の点を含めて)社会に説明し続ける責任がある.」
 
変動帯に立地する原子力関連施設の耐震安全性評価に関わる地質学的問題
東京大学大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻 池田 安隆(12頁)
原子力関連施設の耐震安全性審査の最大の問題は,地震動のリスクに関する科学的知見と工学的・経済的・社会的要請とが完全に分離されず,審査の過程において過度な妥協やつじつま合わせが行われてしまうことにある.同様な問題は,多くの地震学者が参画した地震防災プロジェクトにおいても起こった.本報告では,こうした様々な要請を一旦忘れ,純粋に科学的見地から変動帯に立地する原子力関連施設の地震災害リスクを検討する.また理学者としての筆者の立場から,自然災害と原子力災害との本質的な違いについて議論し,理学が自然災害の軽減に対してどの様な貢献をすべきかについて私見を述べる.」
 
活断層研究と地震被害軽減
東洋大学社会学部 渡辺 満久(20頁)
「海底活断層の位置形状は,陸上と同じ変動地形学的手法によって精密に知ることができるようになった地震発生領域や津波波源域を具体的に想定して被害予想を行うためには,海底活断層の重要性をよく知ることが必要である.また,原子力施設の安全を確保するためにも,活断層の位置・形状を知り,想定すべきことを正しく想定する必要がある.地震被害軽減のためには活断層研究を進めてゆくことが必須であり,変動地形学的に活断層の位置・形状を精査することが望まれる.」
 
福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性廃棄物の処理・処分に内在する課題
北海道大学大学院工学研究院 佐藤 努(26頁)
東京電力福島第一原子力発電所の事故により,オンサイトやオフサイトに大量の放射性廃棄物を持つこととなってしまった.これらの中には,人類にとって処理・処分の実績がなく,とても取扱いが困難な廃棄物も含まれる.これらは全て後世に負の遺産として残してしまうことになるので,事故を起こした東京電力はもちろんのこと,エネルギーを享受した現代に生きる我々も英知を結集して後世の負担を限りなく少なくする責務を有している.本モノグラフでは,異なる分野の様々なバックグラウンドを有している方
々を対象として,オフサイト・オンサイトの汚染と発生している放射性廃棄物の現状や放射性物質を除去・回収・処理・廃棄するための技術と課題について紹介する.」
 
2011 年3 月3 日の地震調査研究推進本部事務局と電力事業者による日本海溝の長期評価に関する情報交換会の経緯と問題点
京都大学防災研究所 橋本 学
東京大学 島崎 邦彦
名古屋大学減災連携研究センター 鷺谷 威(34頁)
「2011年2月,地震調査委員会長期評価部会は「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)」(案)をとりまとめ,公表を待つ段階にあった。しかし,3月11 日の東日本大震災の発生により,この評価案は公表されることはなかった。ところが,その後の政府と国会の両福島原発事故調査委員会により,この評価に関して事務局が電力事業者に対して事前説明を行い,電力事業者側より修文の要請を受けて修正していたことが明らかにされた。本論では,行政文書開示請求で取得した文書を示し,その問題点について議論する.」
 
2.一般募集論文
原子力発電所地震動評価研究:私の履歴書
東京電力株式会社 植竹 富一(45頁)
地震学と原子力発電の関係を考える資料となると考え,自らが電力会社で係わった地震動研究を振り返ってみた.電力会社は,原子力発電所地震動評価に生かすべく,長年にわたり地震観測や地震動研究を実施し,知見拡充に努めてきた.震源,地下構造のモデル化や地盤特性評価に新たな考え方が導入されれば,それに対応すべく検討を実施し,新しい観測事実が確認された場合は,その解明のための検討を実施してきた.地震動研究の進展は,原子力発電所の耐震安全性の向上のために活用されている.」
 
日本地震工学会の研究ロードマップとその補遺について
鳥取大学大学院工学研究科 香川 敬生(50頁)
「日本地震工学会に設置された「原子力発電所地震安全問題に関する調査委員会」は,「原子力発電所地震安全に関する地震工学分野の研究ロードマップ」を学会として策定すべく、2008年10月から当初2011年3月までの活動期間で検討を実施した.報告書とりまとめの最終段階で2011年東北地方太平洋沖地震が発生し,福島第1原子力発電所における全電源喪失から炉心溶融に至る過酷事故に至った.これを受け,それまで準備してきた「研究ロードマップの検討結果」はそのままの形で第Ⅰ部とし、第Ⅱ部として「東日本大震災をふまえた補遺」を2011年10月までにとりまとめ,今後20年程度の課題を報告書として上梓した.筆者もこの委員会に参加し,強震動に関する分野を共同執筆した.原子力発電所地震安全問題は地震学の範疇にとどまらず,土木・建築構造物および機械系の機器や配管の耐震安全性まで広い範囲を扱っている.この調査報告書の一端を紹介することで,原子力発電所地震安全研究における地球科学(特に地震学)の役割について,情報共有ができることを願う.」
 
2011 年東北地方太平洋沖地震による福島第一・第二原子力発電所周辺の津波シミュレーション解析から示唆される津波波源モデルの違いによる津波被害想定の不確定性について
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 原子力・エンジニアリング部 藤原了・是永眞理子(56頁)

「筆者達は過去の学会報告や論文投稿(日本地球惑星科学連合2013 年大会:藤原・ほか, 2013a, 日本地震学会2013 年度秋季大会:藤原・ほか, 2013b , The 11th SEGJ International Synposium:Fujihara et al.,2013c, 日本原子力学会和文論文誌:藤原・ほか, 2014a)において, 2011 年東北地方太平洋沖地震(以後, 東北沖地震)の5 つの既往津波波源モデルを用いて福島第一原子力発電所(以後, 1F)・福島第二原子力発電所(以後, 2F)・福島県相馬市相馬港周辺域の広域津波シミュレーション解析を実施し,津波波源モデル間の性質の差異が, 陸域に作用する津波波圧値に有意な差異を生じさせることを示した.本稿では,上記の学会報告や論文などから, 1F・2F における津波波圧評価の内容について再掲し,東北沖地震津波波源モデル間の性質の差異が, 1F・2F に到来する津波による被害想定に及ぼす不確定性を示す. また, 防災の視点から, 地震津波関連の知見やデータ活用および運用と地球科学研究がどのように関連すべきかについての私見を述べる.」
 
福島第一原子力発電所周辺の強震動とSPGA の関係
独立行政法人港湾空港技術研究所 野津 厚(64頁)
福島第一原子力発電所周辺の強震動とSPGA(強震動パルス生成域)との関係を検討した.東北地方太平洋沖地震の9つのSPGAの中で最も強い地震波を励起した宮城県沖のSPGA4 は対象地域から遠かったためさほど強い地震動をもたらさなかった.福島県沖の3 つのSPGA はSPGA4 ほど強いものでは無かったが,距離が小さかったため比較的強い地震動をもたらした.原子力発電所のように,一旦事故が起これば国民生活全般を脅かしかねない重要施設の耐震性の検討においては,東北地方太平洋沖地震のSPGA4 に相当するような強いSPGA の破壊が陸域の近傍で生じるような条件を考慮することが必要である.」
 
地震原発の不都合な関係~強震動予測を巡って~
東井 怜(70頁)
「国内で初めて震源直近の地震記録が多数観測された 1995 年兵庫県南部地震,そのころから始まる「大地震活動期」にあって,各地の原子力発電所も例外なく,建設時想定しなかったような強震動を経験し始め,設計用地震動を超えるケースも出てきた.原子力規制行政はその都度要因分析を電力会社に課し,それをもとに学識者による検証作業を重ねてきた.だが,そうした検討は時として非常に歪められてきた.「原発震災」という惨禍を経験し,規制のシステムが改められてもなお,その欠陥が克服されるという期待感がもてない.東日本大震災前に原発で観測された強震動事例に沿って,規制行政や電力会社の対応を振り返り,原発の基準地震動の策定方法を見直すべき機会が多々見逃されてきたことを述べ,その理由を探りたい.」
 
3.転載論文
天然原子炉と福島原発事故 地球化学者黒田和夫の遺したもの
小嶋 稔(83頁)
(本稿は岩波書店『図書』2013 年7 月号初出論文の転載である)
 
放射性廃棄物地層処分技術ワーキンググループ設立をめぐって―日本地震学会からの回答と考え方
日本地震学会会長 加藤 照之(86頁)
(本稿は岩波書店『科学』2014 年2 月号初出論文に加筆修正を行ったものである)
 
原発の基準地震動と超過確率
浜田 信生(92頁)
(本稿は日本地震学会ニュースレターVo.25, No. 3「会員の声」投稿文の転載である)
地震学の知見や研究成果は,防災や教育など社会の様々なところで利用されている.学会の目的の一つに「地震学の進歩・普及を図り,もってわが国の学術の発展に寄与する」とあることからも学会の活動が社会に貢献しているとすれば,それは結構なことである.その活用は,学会員が直接関与している場合もあれば,まったく関係なく勝手に利用されている場合もあり,その全貌を把握することは一概には困難である.従ってその利用の仕方に適切でない場合や間違っていることがあっても,学会がそれを直ちに認識し更正を求めることは難しい.また注意義務も責任も学会にはない.しかし,原発問題のように社会に重大な影響を与える問題で,地震学の知見や研究成果が正しく活用されているか疑問があるような場合には,地震という自然現象を学問の対象とした人の集団である学会が,どのような姿勢で臨むかは議論が必要であろう.学会及び学会員が関与していないから,或いは責任がないからといって,傍観していて良いかどうかは,地球科学者の社会的責任という観点からは検討の余地がある.その事例として原発の基準地震動とその超過確率に関する問題を取り上げる.」
 
4.関連資料
日本惑星科学連合 JpGU Meeting 2013 ユニオンセッションU-06
「地球科学者の社会的責任」プログラムおよび第2 部「原子力発電所に関わる科学アセスメントと地球科
学的知見」講演予稿(96頁)
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり) 
 

(付録)
『ラブソング・フォー・ユー(LOVESONG FOR YOU)』
作詞・作曲:ヒポポ大王 演奏:ヒポポフォークゲリラ