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放送予告(3/27深夜)MBS映像'16「“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化」

 今晩(2016年3月24日)配信した「メルマガ金原No.2405」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告(3/27深夜)MBS映像'16「“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化」

 2年前の2014年3月、大阪の毎日放送MBS)から、優れたドキュメンタリー番組を月1本のペースで送り出す「映像」枠の1本として、「“自主避難”~原発事故から3年・家族の苦悩」という番組が放送されました。
 夫を福島に残して郡山市から大阪市に母子避難した森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団代表、東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream代表)一家、そして、妻子を新潟市に避難させ、自分は福島市にとどまって仕事を続ける荒木田岳さん(福島大学准教授)一家という、自主避難(母子避難)という選択をせざるを得なかった2つの家族に密着し、それぞれが置かれた状況と苦悩を描いた優れた番組でした。
 
 それから2年。「映像'14」は「映像'16」となりましたが、森松さん一家と荒木田さん一家の「その後」を追った番組「“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化」が放送されることになりました。
 以下に、番組公式ホームページから、予告記事を引用します。
 
2016年3月28日(月)午前0時50分~1時50分(日曜深夜)
毎日放送 MBSドキュメント 映像’16
“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化

(番組案内より引用開始)
 福島第一原発事故から、まる5年。放射能に汚染された被災地をはじめ、国内では記憶の風化が進んでいるが、2月1日現在で県外へ避難している人たちの数は、4万3千人に上る。
 郡山市から大阪市に避難した森松明希子さんは、夫を福島に残し、8歳の長男と5歳の長女との3人暮らしを続けている。国と東京電力に賠償を求める裁判を起こし、「風化を感じるからこそ、声を上げ続ける」と、裁判所に通う。
 福島市で働く荒木田岳さんは、妻と11歳の長男、8歳の長女を新潟市に避難させている。週末に車で3時間以上かけて新潟の家族のもとへ帰るが、「新しい生活を始めようにも、今以上の待遇の仕事が見つけるのは難しい」と語る。
 ともに強制避難区域外からの“自主避難”のため、東京電力からの賠償金で生活を賄えない。ごく普通の家族をこうした袋小路に追い込んだ国や東京電力は、責任を十分に取っているのだろうか。二つの家族をとおして、原発事故5年目の真実と風化を問う。
 
取材ディレクターより
 2年前の3月の映像'14「“自主避難”~原発事故から3年・家族の苦悩」放送後、主人公の森松さん、荒木田さんに「原発事故で人々が苦しむ状況が終わらない限り、取材を続けます」と約束した。それから2年、自主避難中の二家族の取材を続ける中で、状況に終わりはなく、ますます厳しいものになっていると感じる。
 「命綱」である住宅の無償提供が、一年ごとにしか延長されず、いつ打ち切られるか分からない不安な期間が続いた後、2016年度末でとうとう打ち切られることになった。これにより、元住んでいた場所への望まない帰還を迫られる人も出てくるだろう。
 福島県では、原発事故直後と比べると空間放射線量の数値は下がっているとはいえ、家々の軒先には除染で出た放射性廃棄物が持って行き場のないまま、シートに覆われて置かれている。特に子供がまだ小さい場合、安心して育てられるかどうかは疑問だ。
 また、事故から5年の地元ではこうした疑問や不安を、口にすることができない状況になっているのも大きな問題だ。放射能汚染から目をそむけたいという人間心理に、原発事故の影響を小さく見せたい国や県の思惑が一致し、猛烈な勢いで「事故はもう終わった」ことにされかかっている。自主避難者への支援打ち切り措置も、間違いなくこの流れの中にある。
 ごく普通に子育てをしていた家族が、離散の憂き目に遭い、避難先で歯を食いしばって生きることにさえだが差し伸べられない、この国の「平和」や「安全」とは一体何なのだろうか、と率直に思う。6年後、7年後とこれから時間が経過していく中で、二家族の生活は大きく変わっていくのかもしれない。しかし、そこから目をそむけず、目撃し続ける。そのことこそ、あの震災と原発事故を経験した私たち国民に、最低限求められることなのではないだろうか。
(引用終わり)
 
 ホームページには「取材ディレクター」の名前が表記されていませんでしたので、2年前に放送された「“自主避難”~原発事故から3年・家族の苦悩」の録画を再視聴して確認してみました。ついでと言ってはなんですが、優れたドキュメンタリー番組を送り出してくれたスタッフ全員に敬意を表する意味も込めて、前作のスタッフとして番組の最後にクレジットされていた方々を全員ご紹介します。
 
映像'14「“自主避難”~原発事故から3年・家族の苦悩」スタッフ
ナレーター 斉藤とも子/撮影 河野仙志/助手 野田倫太郎/編集 濱岸祥隆/選曲 佐藤公彦/録音 田中徳朗/タイトル 秋山美里/VTR 佐藤雅哉/宣伝 渡辺優子/ディレクター 津村健夫 斉加尚代/プロデューサー 大牟田
 
 ということで、今回の「“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化」の「取材ディレクターより」を書かれたのは、津村健夫さんか斉加尚代さんのどちらかだと思うのですが、それ以上は分かりませんでした。
 ちなみに、斉加尚代さんは、昨年11月6日、和歌山弁護士会が主催したシンポジウム「今、報道の自由を考える~国民の知る権利の観点から~」にパネリストの1人として登壇され、終演後、同じくパネリストとして出演された宇野朗子さんとともに、美味しいパスタとピザをご一緒したのが思い出されますが、和歌山弁護士会が斉加さんをお招きしたのは、「“自主避難”~原発事故から3年・家族の苦悩」というよりも、映像'15「なぜペンをとるのか~沖縄の新聞記者たち」のディレクターとしてであったと思います(「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ/2015年11月8日)。
 
 『映像』の公式Facebookページに、今日(3月24日)番組を案内する記事がアップされましたので、これもご紹介しておきます。
 
『映像’16”自主避難”~原発事故から5年・真実と風化』
□放送日時:3月27日(日)24時50分ー25時50分
□番組内容
 東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年がたちました。
 放射性物質の汚染は広範囲に及び、福島県ではなお強制的に避難させられている住民が少なくありません。一方で汚染の程度が比較的「低い」とされた福島市郡山市などでは”日常”のくらしが戻ったようにみえます。しかし・・・
 放射性物質の中でもヨウ素は成長期にある子どもの甲状腺に溜まりやすく、子育て中の親にとっては深刻な問題です。それを心配するなどして県外に逃れている人たちは「自主避難」とよばれて東電の賠償にも大きな差がつけられています。事故後、人口が減少している福島県はいま「福島に戻って」と帰還を促し、住宅支援の打ち切りが決まるなど、自主避難者たちは大きな岐路に立たされています。
 番組は、自主避難している2つの家族の5年をみつめました。
 郡山市に夫を残して遠く大阪市に避難している森松明希子さんは、2人の子どもを懸命に育てています。「福島はもう大丈夫なんでしょう?なぜ帰らないの」といわれると、原発事故の風化を感じざるをえないといいます。「5年前、あの原発建屋の爆発を多くの国民が目撃したはずなのに」。 
 このままでは、避難者は孤立してしまう。あの事故さえ忘れられてしまう。そんな思いもあり、関西に住む自主避難者は国と東電を相手に「避難する権利」を認めさせる裁判をおこしました。
 森松さん母子は夏休みに郡山に”帰省”。久しぶりに父と会ってはしゃぐ子どもたち。しかし大阪に戻る日。つかのまの家族団らんが終わると、長女は涙をこらえきれません。つらい場面です。
 番組ではこのほか、妻と子ども2人を新潟市に避難させて、福島市に残って仕事を続ける荒木田岳さん一家の5年も追いました。
 「福島ではもう、原発事故のことを語る空気ではない。被爆から目を背けたいんだ。復興を急ぐ行政にとっては都合いいんじゃないか」と語る。そして「原発事故の収拾には今後何十年とかかる。その中の5年はまだまだ序の口だが、わたしたちの人生の5年は長い。失われた時間は大きすぎる」。荒木田さんのことばには、被災者ならではの重みが感じられました。
 福島の人々の「声」も多く取材しています。
 深夜の放送ですがどうぞよろしくお願いいたします。
(引用終わり) 
 
 先に引用した「取材ディレクターより」を読んで、前作の放送後、森松さん、荒木田さんに「原発事故で人々が苦しむ状況が終わらない限り、取材を続けます」と約束したことを知り、深い感銘を受けました。
 原発賠償関西訴訟の口頭弁論に出廷するため、和歌山から大阪地裁に出向いた際などに、毎日放送が森松さんへの密着取材を続けていることには気がついていましたが、番組ディレクターが、そこまでの覚悟をもって取材を続けていたとは知りませんでした。
 その覚悟があればこそ、「目をそむけず、目撃し続ける。そのことこそ、あの震災と原発事故を経験した私たち国民に、最低限求められることなのではないだろうか。」と言い切れるのだと思います。
 多くの方が、「“自主避難”~原発事故から5年・真実と風化」を「目撃」しなければならないと考えていただけることを祈っています。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年9月1日
8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大阪弁護士会)に参加して
2013年12月21日
森松明希子さんが語る原発避難者の思い(12/19大阪市立大学にて)
2014年2月8日
母子避難者の思いを通して考える「いのち」(「母と女性教職員の会」に参加して)
2014年2月26日
放送予告3/16『“自主避難”~原発事故3年・家族の苦悩(毎日放送 映像’14)』を是非視聴しましょう
2014年9月12日
原発賠償関西訴訟と森松明希子さん『母子避難、福島から大阪へ』
2014年9月16日
9/18原発賠償関西訴訟第1回口頭弁論に注目を!~原告団代表・森松明希子さん語る

2014年11月29日
東日本大震災避難者の会「Thanks & Dream」(略称「サンドリ」)の活動に期待します
2015年4月11日
原発賠償関西訴訟(第1回、第2回)を模擬法廷・報告会の動画で振り返る(付・森松明希子原告団代表が陳述した意見)
2015年10月30日
「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立されました
2015年12月1日
11/23世界核被害者フォーラム「広島宣言」&「世界核被害者の権利憲章要綱草案」(付・森松明希子さんの会場発言「避難の権利と平和的生存権」)
2015年12月14日
避難者の声を届けたい~森松明希子さんのお話@12/13東京都文京区(放射線被ばくを学習する会)
2016年12月25日
「避難の権利」を考えるための視点~医師、看護師を目指す学生の皆さんに語ったこと

2016年1月11日
「避難者あるある五七五」東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ)の挑戦~五七五だから語れる避難者の思い
 
 

(付録)
『あなたへ』 
作詞:村嶋由紀子 作曲:檀美知生 ピアノ編曲:早川奈穂子 合唱:奇跡の街合唱団