今晩(2016年5月15日)配信した「メルマガ金原No.2457」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
回を重ねて10回目という節目を迎えた立憲デモクラシー講座(主催:立憲デモクラシーの会)、今回の担当講師は、「立憲デモクラシーの会」の当初からの呼びかけ人の1人である西谷修氏(立教大学特任教授・哲学)であり、テーマは「戦争化する世界と日本のゆくえ」というものでした。
不勉強な私は、哲学に特段の関心を持って学んだこともなければ、西谷教授の論考を読んだ記憶もなく、わずかに、同教授が監修した『自発的隷従論』(エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ著、山上浩嗣訳/ちくま学芸文庫)を一読したことがあるだけなのです。
ただし、少し調べてみると、呼びかけ人の中で、立憲デモクラシー講座で「戦争」を担当するに足るだけの業績をあげている研究者ということで言えば、まず西谷教授に指を折るのが当然であったようなのですね。以下のような単著が公刊されていました。
回を重ねて10回目という節目を迎えた立憲デモクラシー講座(主催:立憲デモクラシーの会)、今回の担当講師は、「立憲デモクラシーの会」の当初からの呼びかけ人の1人である西谷修氏(立教大学特任教授・哲学)であり、テーマは「戦争化する世界と日本のゆくえ」というものでした。
不勉強な私は、哲学に特段の関心を持って学んだこともなければ、西谷教授の論考を読んだ記憶もなく、わずかに、同教授が監修した『自発的隷従論』(エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ著、山上浩嗣訳/ちくま学芸文庫)を一読したことがあるだけなのです。
ただし、少し調べてみると、呼びかけ人の中で、立憲デモクラシー講座で「戦争」を担当するに足るだけの業績をあげている研究者ということで言えば、まず西谷教授に指を折るのが当然であったようなのですね。以下のような単著が公刊されていました。
『「テロとの戦争」とは何か―9.11以後の世界』(以文社2002年→『〈テロル〉との戦争―9.11以後の世界』増補新版2006年)
20160513 UPLAN 西谷修「戦争化する世界と日本のゆくえ」(2時間04分)
ただし、今回のUPLANによる動画は音声レベルが非常に低いため、内容を理解するのに困難がともなうと思います。
もう1つ、IWJによる中継も行われてアーカイブが公開されていますが(音声は非常にクリアに聴き取れます)、全編視聴するためには会員登録が必要です。
立憲デモクラシー講座 第10回 西谷修・立教大学特任教授(哲学)「戦争化する世界と日本のゆくえ」2016/05/13(※会員登録)
正直、UPLANでは声が非常に聴きずらかったため、私はIWJチャンネル4で西谷教授の講義を聴講したのですが、特に興味深かったのは、1時間12分~(UPLANでは39分~)で語られるフランス革命時の義勇兵から始まった近代国民国家における徴兵制の性格についての説明でした。これは、最も基礎的な「常識」に属することだと思いますが、まだまだ一般の「常識」にはなっていないように思われます。
私がこの部分に特に注目したのは、昨日、和歌山市で行われた小林節さんの講演会終了後、会場のロビーで行われたサイン会のために購入した小林さんと樋口陽一先生の対談本『「憲法改正」の真実』(集英社新書)をぱらぱらと流し読みしていて、以下のような樋口先生の発言に気がついたことにもよります。
私がこの部分に特に注目したのは、昨日、和歌山市で行われた小林節さんの講演会終了後、会場のロビーで行われたサイン会のために購入した小林さんと樋口陽一先生の対談本『「憲法改正」の真実』(集英社新書)をぱらぱらと流し読みしていて、以下のような樋口先生の発言に気がついたことにもよります。
(引用開始)
樋口陽一「行き着くところではなくて、『専守防衛のための国防軍をもつというならば、徴兵制であるべきだ』と、私が考えるのです。」
「九条改憲を説く政治家は、しばしば『徴兵制にしないから安心しろ』と言いますね。これは非常に不見識だと思う。(略)これはまったく本質を見失っています。
もし日本国民が正規の軍隊を憲法で承認することが必要だと判断するならば、そのときには全国民が、女性も含めて、短期間ずつでもその軍に関与していく必要があると思う。」
(略)
「徴兵制の起源はフランス革命にあります。王制を廃して、人民の国をつくるからには、人民の軍隊が必要である。戦闘のプロが権力者と結びついた、王のための傭兵集団ではいけない。それが徴兵制による国民の軍隊のはじまりだったわけです。」
(略)
「国民のための軍隊だと言うなら、貧しい若者だけに負担を押しつけ、血を流させるという方法は公正だとは思えない。」
(引用終わり)
樋口陽一「行き着くところではなくて、『専守防衛のための国防軍をもつというならば、徴兵制であるべきだ』と、私が考えるのです。」
「九条改憲を説く政治家は、しばしば『徴兵制にしないから安心しろ』と言いますね。これは非常に不見識だと思う。(略)これはまったく本質を見失っています。
もし日本国民が正規の軍隊を憲法で承認することが必要だと判断するならば、そのときには全国民が、女性も含めて、短期間ずつでもその軍に関与していく必要があると思う。」
(略)
「徴兵制の起源はフランス革命にあります。王制を廃して、人民の国をつくるからには、人民の軍隊が必要である。戦闘のプロが権力者と結びついた、王のための傭兵集団ではいけない。それが徴兵制による国民の軍隊のはじまりだったわけです。」
(略)
「国民のための軍隊だと言うなら、貧しい若者だけに負担を押しつけ、血を流させるという方法は公正だとは思えない。」
(引用終わり)
もちろん、樋口先生は9条を改正して国防軍を持つということ自体には反対なのですが、もしも「専守防衛」に限定してであれ、国民が軍隊を持つという決断をするのであれば、その軍は「徴兵制」であるべきだというご意見なのであり、私も基本的には賛成なのです(参考・「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと/2015年9月12日)。
そして、西谷修教授による講義では、このような義勇兵という前史を持たなかった日本の戦前の軍隊の性格を、靖国神社の位置付けとも関連付けながら論じており、非常に興味深かった次第です。
これも「常識」に属することかもしれないのですが、日本の伝統的な神社の多くが、朝廷の「敵」を祀り、祟りをなさぬように鎮めることを目的としているのに対し、靖国神社はその真逆であり、「朝敵と闘って倒れた者」を英霊として賞揚するという、まことに非伝統的な存在であるということに言及された箇所なども新鮮でした。
これも「常識」に属することかもしれないのですが、日本の伝統的な神社の多くが、朝廷の「敵」を祀り、祟りをなさぬように鎮めることを目的としているのに対し、靖国神社はその真逆であり、「朝敵と闘って倒れた者」を英霊として賞揚するという、まことに非伝統的な存在であるということに言及された箇所なども新鮮でした。
18歳のためのレッスン4 西谷修さんと学生 ほんとうの戦争の話をしようか v.2(59分)
(引用開始)
好評を頂いております立憲デモクラシー講座ですが、このたび第11回・第12回の開催が決まりました。
なお、会場は第9回・第10回と同じく立教大学池袋キャンパス8号館ですが、8201教室(定員300名)に教室が変更されますので、ご注意ください。
会場:立教大学池袋キャンパス8号館8201教室
時間:18:30~20:00 (開場:18:00)
共催:立教大学大学院比較文明学専攻
第11回
6月3日(金)18:30~20:00
講師:石田英敬(東京大学教授・ 記号論、メディア論 )
「現代のメディアと政治」
第12回
6月10日(金)18:30~20:00
講師:岡野八代 (同志社大学大学院教授・政治学)
「女性と政治と憲法と」
(引用終わり)
好評を頂いております立憲デモクラシー講座ですが、このたび第11回・第12回の開催が決まりました。
なお、会場は第9回・第10回と同じく立教大学池袋キャンパス8号館ですが、8201教室(定員300名)に教室が変更されますので、ご注意ください。
会場:立教大学池袋キャンパス8号館8201教室
時間:18:30~20:00 (開場:18:00)
共催:立教大学大学院比較文明学専攻
第11回
6月3日(金)18:30~20:00
講師:石田英敬(東京大学教授・ 記号論、メディア論 )
「現代のメディアと政治」
第12回
6月10日(金)18:30~20:00
講師:岡野八代 (同志社大学大学院教授・政治学)
「女性と政治と憲法と」
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログ)
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