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UPLAN【原発事故被害者インタビュー(3)】吉田千亜さん(フリーライター)~『ルポ 母子避難―消されゆく原発事故被害者』著者~のご紹介

 今晩(2016年10月13日)配信した「メルマガ金原No.2598」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
UPLAN【原発事故被害者インタビュー(3)】吉田千亜さん(フリーライター)~『ルポ 母子避難―消されゆく原発事故被害者』著者~のご紹介

 いつもの午後2時からではなく、午後1時半から始まった原発賠償関西訴訟(大阪地方裁判所)の第11回口頭弁論、パワーポイントを使用した原告訴訟代理人による弁論も1本だけ、20分くらいで終わってしまい、傍聴された方にとってやや物足りなかったかもしれませんが、弁護団の一員として和歌山から大阪地裁まで出かけた私にとって、弁論が終わった後、午後2時過ぎから場所を移して行われた進行協議こそ、今日のメイン企画(?)でした。3人の裁判官に対し、原告、被告国、被告東京電力の三当事者が、それぞれこれまでの主張(一部これからの予定を含む)のポイントを(原告と国はパワーポイントまで用意して)プレゼンするというもので、終わったら5時を回っていました。私は、ただ聞いているだけの立場ですが、疲れました。非公開で行われた進行協議なので、その内容を勝手に書く訳にもいきませんが、「いっそ、このプレゼンを公開の法廷でやったら?」とは思いましたけどね。
 
 さて、難波から電車に1時間揺られて和歌山に帰り、ほぼ1日留守にしていた事務所に寄ってから「今日のメルマガ(ブログ)どうしよう?」「とても時間がかかる素材は取り上げられないし」と頭をひねっていると、さすがに5年半のキャリアは伊達ではなく(かな?)、今日1日を締めくくるに相応しい素材をすぐに見つけました。
 三輪祐児さんが主宰するUPLANが始めた【原発事故被害者インタビュー】シリーズの第3回がアップされていたのです。
 第1回の松本徳子さん、第2回の森松明希子さんのインタビュー動画については、まとめてメルマガ(ブログ)でご紹介していました。
 
 
 第3回となる今回は、ご自身が避難者という訳ではなく、避難者に寄り添い、交流し、取材した結果を発表して、避難者への理解を訴えているフリーライターの吉田千亜(よしだ・ちあ)さんがゲストです。
 
20161011 UPLAN【原発事故被害者インタビュー(3)】吉田千亜氏(フリーライター)に聞く(56分)
 

 吉田さんは、ライターとして週刊女性などの週刊誌にも寄稿しており、今発売中の同誌10月25日号にも書いておられるそうなのですが、未読ながら、同誌の表紙には、「10P大特集 原発は今、どうなっているのか!なかったことにされていく「被害」の現状」とありますので、この大特集の一部として、住宅支援打ち切りなどで追いつめられている避難者の現状をレポートしておられるのではないかと思います(想像ですけど)。
 
 また、このメルマガ(ブログ)を書くために調べていて気がついたのですが、吉田さんは、今年の2月、岩波新書から『ルポ 母子避難―消されゆく原発事故被害者』を刊行されているのでした。これも是非読まねば。岩波書店ホームページに掲載された情報を引用します。

(引用開始)
『ルポ 母子避難―消されゆく原発事故被害者』

この事実をまず知ってほしい

 原発事故による難をのがれ、県外へ自主的に避難した人たちのほとんどが、母と子だけの避難者であるといわれます。本書は、その母子避難者たちが強いられてきた苦しい生活の実態を初めて伝えるルポです。子の健康と成長を気遣う、母であればごく自然な思いが、ただ「避難指示区域外だから」ということだけで、冷たい無理解にさらされてしまう。本書が突きつけているのは、他者の境遇にたいする私たち自身の想像力の欠如と無関心です。原発事故のもたらした見過ごせない事実が、ここにもあります。本書を読
んで、なによりもまず知っていただきたいです。
(本書編集担当)
■著者紹介
吉田千亜(よしだ・ちあ)立教大学文学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライター東日本大震災後、
放射能汚染と向き合う母親たちの取材を続けている。原発事故と母親を取材した季刊誌『ママレボ』、埼
玉県に避難している人たちへの情報誌『福玉便り』などの編集・執筆に携わる。
著書に『原発避難白書』人文書院(編集幹事、分担執筆)がある。
季刊誌『ママレボ』公式サイト
情報誌『福玉便り』公式サイト
■目次
はじめに

第1章 地震直後―迫られた選択
3・11/爆発/さらに遠くへ/親戚宅で/埼玉へ
[コラム]事故直後の被曝
第2章 避難生活―劣悪な環境
築40年の団地で/住み替え問題/「帰れ!」/郊外の公営住宅で/孤独な子育て/生活保護
[コラム]福島第一原発事故における甲状腺がん
第3章 夫― 一人残されたとき
転々と/東京へ/残された夫
[コラム]放射能汚染の測定
第4章 作られていくしくみ―被害の矮小化のはじまり
賠償指針/賠償を元手に/子ども・被災者支援法/「住民票」という問題/閉ざされた新たな自主避難
[コラム]分離世帯
第5章 なぜ避難者支援が不十分なのか
法律の基本方針/避難者とは誰か/原発ADR
[コラム]残った夫たち
第6章 帰還か、避難継続か
葛藤/帰還/強いられる選択/2014年になって初めて/広がる不安
[コラム]北海道と沖縄
第7章 消されゆく母子避難者
住宅提供の打ち切り報道/「避難する状況にない」/帰還に向けて/市長との対話/泣きながら待つより

おわりに
(引用終わり)
 
 『ルポ 母子避難』刊行時に受けたインタビューの中から、週刊通販生活にリンクしておきます。
 
週刊通販生活 今週の読み物
『ルポ 母子避難』著者 吉田千亜さんインタビュー
「来年3月に迫った借り上げ住宅の無償提供打ち切りを、なんとかして食い止めたい」

(抜粋引用開始)
──副題の「消されゆく原発事故被害者」はまさに、被害者にとって苦しい現状を言い表しています
吉田 何年後かには、原発事故の被害は住民の帰還が叶わない一部の地域だけにしかなかったことにされ
てしまうかもしれません。
 でも、母子避難者がどれだけ大変な思いで避難してきたかを側で見てきた私は、彼女たちの5年間を消したくないし、今後も子どもを被ばくから守りたいという意思を否定したくない。この本を通じて、現状
に一石を投じたいですね。
──『ルポ 母子避難』を読んだ方からは、どんな反応が寄せられましたか。
吉田 あるお母さんが「ここには、私のことが書いてあると思った」という感想を寄せてくださって。その方は、避難者ではないのですが、もし同じ状況になったら、自分も子どもを連れて避難するかも、と。
一番伝えたいことが伝わったのかな、と思えました。
(略)
 結局、私が一番伝えたいのは「自主避難している人たち、間違ってないよね」ということなんです。「
もし同じ状況に立たされたら、あなたも同じ選択をしない?」と問いかけたかった。
 住宅提供打ち切りは、自主避難の正当性を真っ向から否定する決定です。だからこそ、「子どもを守りたい」と思う人なら、母子避難者の思いが通じるはずだ、通じないかな、頼む、通じて!という、ギリギリの願いを『ルポ 母子避難』に託しました。母子避難者の現状を「明日の私の話」と捉え、打開策を一
緒に考えてくれる人が増えるようにと、願っています。
(引用終わり)
 
 UPLANによるインタビュー動画の紹介だけのつもりが、吉田千亜さんの著書や活動のご紹介にまで及びました。これを機に、『ルポ 母子避難―消されゆく原発事故被害者』は絶対に読もうと決意しました。皆さんも是非!

 最後に、いつものことながら、このような貴重な動画を無償配信してくださるUPLANに心から感謝したいと思います。と、お礼を言いながら書くのも気が引けますが、吉田さんインタビューの音声レベルが低く
て聴き取りにくいのです。これは私のパソコンだけの問題なのでしょうか?