wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

大阪弁護士会シンポジウム「カジノ実施法の制定阻止に向けて」(9/16)への参加を呼びかけます

 2017年9月4日配信(予定)のメルマガ金原.No.2925を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
大阪弁護士会シンポジウム「カジノ実施法の制定阻止に向けて」(9/16)への参加を呼びかけます
 
 昨日(9月3日)、和歌山県民文化会館で開かれた「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」2日目の分科会のうち、私が「カジノ・ギャンブル分科会」に参加したことは、昨日のブログ(「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」に参加して)でご報告したとおりです。
 
 その分科会の受付で貰った各種団体による企画告知チラシの中に、来る9月16日(土)に大阪弁護士会が主催するシンポジウム「カジノ実施法の制定阻止に向けて」への参加を呼びかけるチラシ(のモノクロコピー)が含まれていました。
 幸いこの日程であれば、私も参加できそうです。
 是非多くの方に参加していただきたく、大阪弁護士会ホームページチラシから、開催概要を引用したいと思います。
 
(引用開始)
イベントのお知らせ
シンポジウム「カジノ実施法の制定阻止に向けて」を開催します
 
 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立を受け、現在、政府において特定複合観光施設区域整備推進本部を立ち上げ、カジノ設置に向けた実施法の策定が議論され、本年7月31日に取りまとめがなされ、意見募集がなされました。
 そして、秋の臨時国会に実施法法案の提出が予定されています。
 カジノ解禁は、①暴力団などの関与、②犯罪の発生、③風俗環境の悪化、④青少年への悪影響、⑤ギャンブル依存症患者の増加、⑥経済的効果を上回る社会的コストの存在、⑦多重債務問題再燃の危険性などの問題を含んでいることに加えて、わが国では近代法制定以前から厳禁され、刑罰の対象とされてきた賭博行為を、特定の場所、特定の者に限定して非犯罪化するものであって、史上初めて民間賭博を公認するという、わが国の刑事司法政策に極めて重大な変更をもたらすものとなります。
 しかし、取りまとめにおいても、これらの課題を克服するための具体的な基準は示されていません。
 また、特に大阪府大阪市はカジノ誘致に積極的であり、2025年の万博誘致によるインフラ整備とセットしてカジノを誘致しようとしています。
 本シンポジウムでは、取りまとめの問題点、大阪へのカジノ誘致がされた場合の問題点について考えていこうと思っていますので、奮ってご参加ください。
 
プログラム
IR型カジノの内容と問題点
 報告者 吉田 哲也 氏
       (日弁連カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ委員
         兵庫県弁護士会所属弁護士)
政府によるとりまとめ状況の報告
 報告者 消費者保護委員会委員
大阪でのカジノの誘致に関する問題点
 報告者 桜田 照雄 氏(阪南大学流通学部教授)
 
日時 2017年(平成29年)9月16日(土)午後1時30分~4時
   (開場:午後1時)
会場 大阪弁護士会館会館 2階201・202会議室(大阪市北区西天満1-12-5)
    ※アクセス 
参加費    無料
 
申込方法   
・必要事項を入力して「確認」ボタンを押していただくと、申込が完了します。
・申込完了のメールを希望される方は、メールアドレスの項目にメールアドレスを入力してください(申込完了のメールを希望されない方は、メールアドレスの入力はされなくても結構です。)。
問い合わせ先 大阪弁護士会委員会部人権課 TEL:06-6364-1227
(引用終わり)
 
 昨日の「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」分科会でも、吉田哲也弁護士が基調報告をされていましたし、桜田照雄先生も、参加者として発言しておられました。けれども、何を言うにも限られた時間の中でのことでしたので、16日の桜田先生の報告には期待しています。
 私自身はまだ未入手ですが、桜田先生には、『カジノで地方経済再生の幻想—アメリカ・カジノ運営業者の経営実態を見る』(自治体研究社/2015年1月刊)という単著もあります。
 ちなみに、2016年12月18日(日)14時より、大阪都構想反対運動などに取り組んできた若者グループSADL(サドル、民主主義と生活を守る有志)が桜田照雄先生を講師に招いて開催した大阪経済学習会「万博・カジノは必要か?」の模様がIWJの中継動画で視聴できます。ただし、全編動画は会員限定ですが、非会員の方でも5分弱のハイライト動画はご覧いただけます(IWJ会員登録)。
 
ハイライト動画
 

 「カジノ実施法制定阻止」が絶対に必要と考えておられる関西圏の皆さま、特に地元知事がカジノ誘致を強力に推進している大阪府和歌山県の皆さま、今後の反対運動をどう進めるかについての有益なヒントを得られる貴重な機会だと思いますので、大阪弁護士会に事前申込みをした上で、是非ご参加ください。
 
 なお、申込みは、大阪弁護士会ホームページから入れる上記参加申込フォームから申し込むのが簡便だと思いますが、ネット環境のないお知り合いには、チラシ裏面の参加申込書に所定事項を書き込み、大阪弁護士会人権課宛FAX(06-6364-7477)で申し込むこともできます。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日
2017年8月30日
2017年9月1日
2017年9月3日

「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」に参加して

 2017年9月3日配信(予定)のメルマガ金原.No.2924を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」に参加して
 
 昨日(9月2日)・今日(3日)の2日間、和歌山県民文化会館を会場として開催された、「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」に参加してきました。今年のテーマは、「「忖度」の闇に光を!!権力のえこひいきをただす」という、まことに時宜に適ったものでした(写真は、開会挨拶を行う現地実行委員会委員長の阪本康文弁護士です)。
DSCN1855 私は、時間の都合で、昨日の1日目は前半のみの参加で、各地からの報告を聞けなかったのは残念でしたが、「政務活動費情報公開度ランキング」の発表はぎりぎり聞くことができました。なお、大会前日の9月1日(金)午後2時から、全国市民オンブズマン連絡会議が県民文化会館で記者会見を開き、「2017年度 政務活動費 情報公開度ランキング アンケート調査結果について」発表を行ったようで、大会の取材記事は見当たらないものの、和歌山県和歌山市が著しく低位にあるこのランキングだけを報じたメディアもありました。
 以下に、大会を取材して記事を掲載してくれた和歌山放送ニュースを引用し、ランキングの内容を報じた新聞記事2つにリンクしておきます。
 
(抜粋引用開始)
 政務活動費の使い道の透明化を求めて活動している市民オンブズマンの全国大会が、きょう(2日)和歌山市で開かれました。
 きょう午後1時から、和歌山市の県民文化会館で開かれた全国大会には、全国の市民オンブズマンのメンバーらおよそ200人が参加し、はじめに、実行委員会の阪本康文(さかもと・やすふみ)実行委員長が「私たちは、情報公開の前提となる公文書の保存や管理について厳しく追及していかなければならない。ことし話題の『忖度』をテーマに、2日間、実りある議論をしましょう」と挨拶しました。
 大会では、全国各地の市民オンブズマンの担当者がそれぞれの活動や情報公開の調査結果を報告したほか、森友学園加計学園の問題を表した寸劇が行われました。また、新海聡(しんかい・さとし)事務局長は和歌山県の「口利き記録制度」の有無を紹介し、「和歌山県は制度を持っているが、不当なもののみ記録するのでゼロ件となっている。すぐに要件を外さないと忖度がまかり通ってしまう」と指摘しました。この大会は、あす(3日)も開かれます。
 ところで、全国市民オンブズマン連絡協議会は全国の主な議会を対象に、領収書や活動報告書をインターネットで公開しているかや、支出の基準を示したマニュアルを作成しているかなどの基準で、政務活動費の情報がどれだけ公開されているかを調査し、きのう(1日)結果を公開しました。
 それによりますと、和歌山県議会は会計帳簿の提出や活動報告書の作成を義務付けていないことや、インターネットでの情報公開が進んでいないことなどから47都道府県中42位にとどまりました。また、和歌山市議会は、人口20万人以上の48の中核市のなかで、下から2番目の47位でした。
(引用終わり)
 
 
 
 なお、9月1日の記者会見を予告した全国市民オンブズマン連絡協議会のホームページから、 
を読むことができます。
 その中から、都道府県・政令市・中核市ごとの上位・下位の自治体を抽出した部分を引用します。
 
(抜粋引用開始)
3 調査結果
(1)最下位の自治体とトップの自治体
(ア)都道府県
  最下位 埼玉県 11点
  43位 群馬県山口県佐賀県、宮崎県 12点
  42位 和歌山県 15点
  1位 兵庫県 97点
  2位 富山県大阪府 92点
  4位 青森県高知県 74点
(イ)政令
  最下位 名古屋市 12点
  19位 横浜市 14点
  18位 岡山市 15点
  1位 堺市 94点
  2位 静岡市 66点
  3位 京都市 64点
(ウ)中核市
  最下位 越谷市 7点
  47位 和歌山市 9点
  45位 船橋市福山市 15点
  1位 函館市 100点
  2位 郡山市 95点
  3位 高崎市 80点
 政務活動費(調査費)の公開は、ほとんどの自治体において、主として領収証や会計帳簿の公開の有無を課題として、議会内で議論されてきた。しかし、政務活動費の公開度の進展は、私たちがかつて行った、情報公開度ランキング(1997年〜2008年)調査での、首長部局の改善の速度と比較して、はるかに遅い。その理由は、議会内での政務活動費の開示に向けた議論が、市民目線に立っていないことに尽きる。こうしたことは、それまでも、一応の制度の改善に取り組んできた富山市において、昨年、組織的とも言える政務活動費の不正支出が明らかになったことが象徴している。つまり、政務活動情報の開示に向けた議会内での議論は、常に、「どこまで情報を公開してなくても良いのか」という後ろ向きの視点をもとにされてきた。だからこそ、「公開しなくても良い部分」あるいは「制度の裏」での不正が繰り返される、という悪循環を産むのだ。こうした悪循環は、
都道府県で最下位となった埼玉県議会で、政務活動費の不正が現在取りざたされていることからも裏付けられよう。
 トップと最下位との素点の差は、今となってはかなり大きくなっている。だからといって、トップがすぐれている、ということにはならない。私たちの今回の調査は、政務活動費が有効に使われているかを私たちが判断するためのカナメというべき「政務活動費を支出してどのような調査研究活動をし、成果を挙げたかが公開されているか」に関する情報としては、活動報告書と視察報告書だけを採りあげたに過ぎず、しかも、その内容を一切評価していないからである。従って、視察報告書や調査報告書がA4一枚であろうとも、さらに、昨年、幾つかの自治体で指摘されたように、数人の視察報告書や調査報告書がほとんど丸写しのものであったとしても、それらをネットで公開していれば、10点の素点を配点する結果となっている。今回は政務活動費の支出の説明のための器の調査に過ぎないのである。
 立派な器に何を盛るかは議員にかかっている。現在のところ、上位の自治体であっても、そこに盛られる料理は、政務活動費という料理の代金にとても見合うものではない、というのが実情ではないだろうか。
(2)83議会(72%)が 50点以下
 かなりゆるい今回の調査項目と素点ですら、50点も採れない自治体が83も存在する。50点は、領収証を原本で提出し、閲覧ができ、会計帳簿を提出、活動報告書、視察報告書の作成、公表、マニュアルをネット公開していれば、ネット公開を全くしない場合でも獲得できる点数だ。50点も取れない、ということは、基本的な情報の作成すら義務付けていない、ということを意味する。
 政務活動費の不正がこれだけ多くの自治体で問題となり、市民の関心が高いにもかかわらず、私たちの調査に対して50点もとれない自治体は、落第というほかない。制度の改善にこれほど不熱心であるということは、所属議員がよほど世論に鈍感か、あるいは政務活動費が公費であることが理解できないか、または政務活動費の透明性を訴える市民を「こんな人たち」などと敵視しているかのいずれかでなければ、これほどの怠慢を説明することはできないだろう。
(引用終わり)
 
 上記説明にあるとおり、「今回は政務活動費の支出の説明のための器の調査に過ぎない」とはいうものの、「50点も取れない」どころか、15点(和歌山県)と9点(和歌山市)ですからね。
 
 そして、2日目の今日の午前中に開かれた4つの分科会の内、私は「カジノ・ギャンブル分科会」に出席しました。
 9時30分から休憩もとらずに2時間びっしりと、基調報告と会場発言が続き、大いに勉強になりました。
 以下には、基調報告をされた5人の方のお名前と報告のテーマをご紹介します。
 
1 吉田哲也氏(弁護士)「カジノ解禁の問題点」
2 宅田潤司氏「和歌山でのカジノ誘致をさせない運動ととりくみについて」
3 竹崎博一氏「りんくうタウン駅ビルと場外馬券場売場」
4 大川隆司氏(弁護士)「横浜市カジノ差止監査請求と反対運動」
5 井上善雄氏(弁護士)「「大阪カジノ万博」恥ずかしくなる貧相さ」
 
 カジノ実施法(次の臨時国会に上程されると言われている)が成立してしまえば、次は自治体(都道府県)からの申請、国による審査と認可という手順で、当面、全国で2~3箇所のカジノが誕生するのではという見通しのようです。
 私たちは、地元へのカジノ誘致に反対するとともに、全国どこにもカジノを作らせなない運動を展開する必要がある訳です。現実問題として、大阪の「夢洲(ゆめしま)」と和歌山の「マリーナシティ」の両方が認可される可能性はほぼゼロでしょうけど、和歌山の住民にとっても、「夢洲ならまあいいか」ということでは全然ないですからね。
 
 横浜では、近々、カジノ反対の住民監査請求が行なわれるようですし(山下ふ頭の約70%は横浜市の所有地なので)、大阪でも、具体的な動きはまだないにせよ、いずれは法廷闘争も視野に入れた展望がなされているようです。
 本来なら、首長選挙や議会選挙において、カジノ反対派が勝利を収めることが第一のはずですが、先の横浜市長選挙を見ても、これがなかなか容易なことではない。大阪にしてもそうでしょうし、和歌山などなおさらです。
 多くの自治体で、住民が自ら立ちあがらなければどうにもならないという状況が厳然として存在しているのですよね。
 私のブログの「カジノ」シリーズも、どうやらどんどん回を重ねていきそうです。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日
2017年8月30日
2017年9月1日

シュージョプライム(週刊女性PRIME)で振り返る特集「いま沖縄から戦争を考える」(週刊女性2017年8月15日号)

 2017年9月2日配信(予定)のメルマガ金原.No.2923を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
シュージョプライム(週刊女性PRIME)で振り返る特集「いま沖縄から戦争を考える」(週刊女性2017年8月15日号)
 
 調べてみると、私のブログで、少なくとも過去に4回(実質的には3回)「週刊女性」を取り上げています(巻末のリンク一覧をご覧ください)。
 皇室ネタ、ジャニーズネタなどの合間に、時として、安保法制、原発問題、改憲問題などの「硬派」の話題について、おおむね10頁を費やす総力特集を企画してくれる「週刊女性」。他の女性週刊誌2誌も頑張っていますが、「週刊女性」の腰の据わり方は、中でも群を抜いているように思います。
 
 さて、その「週刊女性」が、この夏、沖縄問題を取り上げた10頁の特集「いま沖縄から戦争を考える」を8月15日号に掲載したということを知り、急いでコンビニに立ち寄ったものの、既に店頭在庫なしでした。一体どんな内容の特集だったのかと気になりますよね。幸い、同誌に掲載された主要な記事の多くはインターネットサイト「シュージョプライム(週刊女性PRIME)」に掲載されることが多いので、調べてみました。
 これで全部かどうかは分かりませんが、以下の3本の記事が見つかりましたのでリンクしておきます。是非リンク先で全文をお読みいただきたいと思います。
 
 (抜粋引用開始)
 支持率は危険水域まで低下、一強支配に陰りが見える中、それでも改憲への道をひた走る安倍政権。戦後日本が掲げてきた平和主義が曲がり角に立つ一方で、72年前の地上戦から27年に及ぶアメリカ統治時代、辺野古への米軍新基地建設で揺れる現在まで、沖縄には、犠牲と負担を集中的に強いられてきた歴史がある。特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の先にある戦争は決して沖縄だけの問題じゃない。「殺し、殺されない国」が迎えた岐路と行方を徹底取材。いま、沖縄から「戦争」を考える──。
  ◇   ◇   ◇  
(略)
 那覇市内の大学に通う渡具知武龍さん(20)も“託されたバトン”をつなぐ。
 毎週土曜日、夜6時半。シュワブ前の国道329号沿いを柔らかな明かりが照らす。ペットボトルにろうそくを入れたキャンドルを手に持ち、渡具知さんはゲート近くに立つ。そして、両親や2人の妹とともに、往来する車や米軍関係者に笑顔でこう呼びかける。
 「ジュゴンの海を守りましょう!辺野古に基地はいりません!」
 この『ピース・キャンドル』は、2004年11月、辺野古で海底ボーリング調査が始まった年に「誰でもできる抗議をしよう」と地元住民である渡具知さんの両親が始めた。小学1年生から家族で沿道に立ち続け、大学2年生となった今も、渡具知さんは週末に実家へ戻り活動を続けている。
 辺野古への新基地建設を問う『名護市民投票』のあった1997年生まれ。そのため、「辺野古問題と一緒に生きてきた」と話す。
 「目の前で美しい自然が壊され基地が作られる。自分たちも被害を受けるかもしれない。20年前に住民投票でノーと結果を出しているのに、握りつぶされて、そこから納得いきません。やっぱり闘っていかないと」
(略)
 瀬長さんは’62年に普天間基地に就職。貧困にあえぐ中、人々は反戦の思いを抱えつつも、基地で働かざるをえない状況にあった。
 「当時は公務員や教員も、1、2度は軍作業員になった。生活できないから基地に流れていったんです」
 ’66年ごろから、米軍基地労働者の組合『全沖縄軍労働組合連合会』(全軍労)の結成に関わり始める。
 「若い女性労働者が米軍のマネージャーから夜に誘われ、断ったら、翌日には解雇。そんなことが普通でした」
 米軍占領下で日本国憲法が適用されなかった時代。当時は《白人専用トイレ》があり、沖縄の人々は入れなかった。
 「おなかを壊した仲間が使ったら、見つかって犬や猫のように放り出されてね。基地の中での差別、無権利状態が続いていたんです」
(略)
 ’96年、『沖縄に関する特別行動委員会』(SACO)で、普天間基地をはじめ11の施設、区域の返還が発表された。どう返還させ、労働者を救済するか。全駐労と県は雇用対策委員会を作り、基地労働者ひとりひとりの救済シミュレーションを作って返還に備えた。基地が減るのに伴い、労働者の採用は当然、絞らなくてはならない。だが、「安保遵守・雇用拡大」を唱える『沖縄駐留軍労働組合』は「1万人、雇用を増やせ」と主張、大論争になった。
 「理想で飯は食えないが捨てたら何にもならない。県民に反することはするな、人間の心を忘れるな、と」
 そう当時を振り返る。
 沖縄県の本土復帰から45年を迎えたが、「人権の回復」はまだ実現できていない。瀬長さんは辺野古新基地建設に反対している。
(略)
 「東京で30年育ちましたが、その平穏な生活は、基地負担のうえに成り立ってきたことを沖縄であらためて感じています」
 そう話すのは小口幸人弁護士(39)だ。昨年、沖縄県南部に事務所を構えた。
 「沖縄の反対運動がなぜ盛んか、本土では理解されないかもしれないが、沖縄には日本とアメリカに虐げられた歴史と、基地のない島にしたいという世代を超えた願いがある。辺野古に作る基地の耐用年数は200年。子や孫に基地を残せないという思いがあるんです」
 沖縄にいると、憲法が実態と離れている部分を肌で感じる、と小口弁護士。
 「沖縄は、現実(基地)と憲法9条の矛盾を押しつけられ、それでもなお、子や孫に託したい希望を憲法9条の理念に見ている。
 安易に憲法を現実に合わせるのではなく、沖縄の先人たちのように、今の国民も、現実を憲法に近づける努力を続けるべきだと思います」
取材・文/吉田千亜と本誌「戦争」取材班
(引用終わり)
※注 引用は省略しましたが、7月24日に沖縄県が国を被告として工事の差止めを求めて訴訟と仮処分を提起したことについては、私のブログ(沖縄県が国を相手取り岩礁破砕等の差止を求めて訴訟を提起し仮処分を申し立てました/2017年7月24日)をご参照ください。
※注 一面識もない小口幸人弁護士について紹介した1年前の私のブログ(災害支援でも高江でも~小口幸人弁護士の活躍/2016年7月22日)もご参照ください。
 
(抜粋引用開始)
 住宅や学校が近接し、「世界でいちばん危険な基地」と呼ばれる普天間飛行場沖縄県宜野湾市)。これを返還して負担軽減をするには、日本とアメリカは、新基地建設は「辺野古が唯一の解決策」と繰り返し強調してきた。こうした「基地神話」を唱えるのは政府ばかりではない。ネット上には「抑止力」「地政学」的に沖縄に基地が必要だとする主張があふれかえり、それに中国・北朝鮮への脅威論が拍車をかける。
 だが、それらの神話を覆し、普天間問題を解決する画期的な政策提言を民間シンクタンクが発表、注目を集めている。軍事・安全保障の専門家がメンバーの『新外交イニシアティブ』(以下、ND)がそれだ。
 7月中旬にはアメリカを訪れ、首都・ワシントンでシンポジウムを開催、米政府関係者へのロビー活動も行っている。
 辺野古への新基地建設に代わる解決策─、NDが提言するのは「海兵隊の運用の見直し」だ。訪米に先駆けて5月23日、都内で開かれたシンポジウムでは、2月にまとめた報告書をもとに、その具体的内容が明らかにされた。
 猿田佐世事務局長が言う。
 「アメリカでロビー活動を行っていると、辺野古に基地を作らないとなればどうするのか、具体的な代替案を求められることが少なくない。防衛、軍事、安全保障の観点からみて、辺野古でなければいけないのかということについて3年間、アメリカの軍事戦略や軍隊の運用にまで踏み込んで研究を重ねてきた」
 日本にある米軍基地の7割が沖縄に集中していることはよく知られている。だが、その7割を海兵隊が占めていることはご存知だろうか。しかも、そこに駐留する第31海兵遠征部隊(以下、31MEU)が担う主なミッションは、意外にも「人道支援、災害支援」だ。
 ND評議員でフリージャーナリストの屋良朝博さんが解説する。
「狭い沖縄で基地の施設をAからBへ移すのは難しい。ですから施設を動かすのではなく、海兵隊の運用を変える。この31MEUを沖縄県外、あるいは国外に移して、普天間飛行場の移設計画をやめさせるのです」
(略)
 抑止力の点でどうかという声が聞こえてきそうだ。これには民主党政権防衛大臣を務めた森本敏氏の発言で説明できる。NHKの番組出演時に、「日本の西南、九州か、四国のどこかに1万人の海兵隊が常時いて、地上、ヘリコプター、後方支援の機能を包含できればいい」と話し、さらに防衛相の辞任会見でも「軍事的には沖縄でなくても良い」と述べている。
 犠牲を強いてきた沖縄に本土はどう応えるか。その意味でも注目したい提言だ。
(引用終わり)
※注 NDの提言について紹介した私のブログもご参照ください(「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」と同東京シンポジウム(5/23)のご紹介/2017年5月18日)。
 
 (抜粋引用開始)
(略)
 1952年、在日米軍基地面積が沖縄に占める割合は約10%にすぎなかった。だが’57年、岐阜県静岡県、神奈川県、静岡県滋賀県奈良県大阪府の米軍海兵隊が沖縄に移駐し、’72年までには福岡県の空軍基地なども移駐、’76年には、山口県の第一海兵航空団が移駐。これには、沖縄県議会や県内政党が「犠牲を県民に押しつけるのか!」と一斉に反発した。
 移設理由のひとつに「本土」の反基地運動が反米運動へ転嫁していくのを日米両政府が懸念した、との研究報告もある。
 今、在日米軍基地面積が沖縄に占める割合は約70%。まぎれもなく政治が「押しつけてきた」結果だ。
 同時に、共同通信の『戦後70年世論調査』によると、日米安保の支持率は約9割。つまり米軍駐留を認めている。だが、その負担を自分の街では決して受け入れない。結果として、国民の多くも沖縄に基地を無自覚に押しつけているのだ。
(略)
 基地撤去を訴えても、自分たちが「押しつけている」との社会的立場に目をつぶっているのは差別だ。そう思った松本さんは、「差別者」として沖縄に基地を押しつける「本土」こそ負担を引き受けるべきで、他人事から自分事として基地問題の世論を高めたいと考えた。そして’14年夏、大阪行動の会議で「米軍基地を大阪に引き取る運動をやりたい」と明言する。
 「日米安保を永続させてしまう」「基地被害への責任を取れるのか」などの異論が噴出しながらも4、5人が賛同し、’15年3月、「引き取る・大阪」が設立する。
(略)
 引き取る運動には常に2つの疑問が寄せられる。
 まず、「米兵犯罪に責任を取るのか」との疑問だ。特に女性への性的被害は議論を避けて通れない。
 佐々木さんはこう答える。
 「犯罪はもう沖縄で起きています。では、尋ねたい。それに対し、今まで何もしなかったのは誰?日米安保という米軍基地駐留を認めているのは誰?と。これは市民団体だけではなく、全住民で考える問題です」
 もうひとつの疑問は、「どこに引き取るか」だ。
 「引き取る会福岡」や「引き取る・東京」は「それは私たちではなく、政治が決めること。私たちの目的は、それを政治課題にもっていくこと」と考えている。
(略)
取材・文/樫田秀樹
ジャーナリスト。'89年より執筆活動を開始。国内外の社会問題についての取材を精力的に続けている。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)が第58回日本ジャーナリスト会議賞を受賞
(引用終わり)
 
 いずれも、力のこもった素晴らしい記事だと思います。調べてみると、「週刊女性」は沖縄問題を継続的に取り上げてきているようです。今後も注目し、出来るだけ「買いそびれ」のないようにしたいと思います。
 
(付記)
 上記特集とは別に、「週刊女性」2017年8月22・29日号に掲載された鎌田慧さんによるルポルタージュ「高江・辺野古伊江島で、沖縄女性たちの「命こそ宝」の闘い」という記事が「シュウジョプライム」にアップされていました。これも是非お読みください。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「週刊女性」関連)
2015年8月26日
2016年10月14日
2016年10月17日
2017年2月1日

和歌山弁護士会が「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ」に関するパブコメに送った意見書を読む

 2017年9月1日配信(予定)のメルマガ金原.No.2922を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
和歌山弁護士会が「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ」に関するパブコメに送った意見書を読む
 
 昨日で締め切られた「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」に対する意見募集(パブリックコメント)に意見を送っていただけたでしょうか?
 私が所属する和歌山弁護士会も、会としての意見を、持ち回り常議員会の議を経た上で提出しました。8月30日にレターパックで郵送したと聞いていましたが、郵便事故ということもあり得ると思い、昨日のブログでご紹介するのは控えた上で、弁護士会事務局に問い合わせました。その結果、「追跡確認したところ、昨日(31日午前10時40分)到着しておりました。(略)マスコミ発表はさきほど書面にて行いました。」という回答を得ましたので、安心して(?)ご紹介します。
 以下が、和歌山弁護士会が特定複合観光施設区域整備推進本部事務局宛に送った意見の全文です。
 
(引用開始)
                                       平成29年8月30日
 
特定複合観光施設区域整備推進本部事務局 御中
 
                                     和歌山弁護士会       
                                      会長 畑   純 一     
 
          「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ
         ~『観光先進国』の実現に向けて~」に対する意見書
 
第1 意見の趣旨   
 当会は、「特定複合観光施設区域整備推進」にかかるカジノ賭博解禁に反対する。
 
第2 意見の理由
1 ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題及び青少年への悪影響
 我が国ではもともとギャンブル依存者の割合が高く(2013年の厚生労働省調査によれば、成人男性で約8.8%、同女性で約1.8%)、カジノの解禁はこれに拍車をかけるとともに、多重債務の新たな要因となる可能性がある。
 また、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の施行によって、観光地にカジノが存在することとなると、ギャンブルに対する青少年の抵抗感が薄れ、健全な育成を阻害するおそれがある。
2 暴力団の関与及びマネー・ロンダリングの問題
 暴力団が新たな資金源としてカジノへの関与を企図することは、容易に想定されるところである。また、カジノがマネー・ロンダリングの道具として利用されるおそれも否定できない。
3 市民に対するアンケート調査結果
 各紙報道によれば、和歌山県は、カジノを含むIRを積極的に誘致する姿勢を示している。
 しかし、建設候補地とされる和歌山市の市民に対し同市が実施したアンケート調査(平成29年1月実施、対象者571名、回答率約76%)によれば、「和歌山市にIRを誘致することになればどう思うか」との質問に対して、「反対」「どちらかといえば反対」は合わせて47.8%となっており、「賛成」「どちらかといえば賛成」の41.6%を上回った(なお、同市が昨年おこなったアンケート結果からは、反対意見は2.9ポイント増加し、賛成意見は2.7ポイント減少した)。
 建設候補地の自治体の住民がこのような意思を示したことは、カジノ設置に対する国民の不安のあらわれであるといえる。
4 よって、当会は、「特定複合観光施設区域整備推進」にかかるカジノ賭博解禁に反対する。
(引用終わり)
 
 簡潔な内容になっているのは、もっぱら時間の都合によるものでしょうし、常議員の賛成を得やすいように、過去、和歌山弁護士会が発出した会長声明の範囲内に留める方針で起案されたのかもしれません。
 和歌山弁護士会は、過去3回、カジノ問題について会長声明を出しています。
 
2014年10月10日
 
2017年2月27日
 
2017年6月16日
 
 同じことを言っていると言えば、まあそうですし、分かりきったことだと言われても否定はしませんが、分かりきった同じことを言い続けなければならないこともあるということでしょう。
 
 さて、いかに反対の世論が強かろうと、あの政権のことですから、IR整備推進法案(とでも略称するのでしょう)を臨時国会に閣法(内閣提出法案)として提出するのでしょう。そして、昨年12月のカジノ解禁推進法案(これは議員立法だった)採決に際して自主投票とした公明党も、今度の実施法案では(閣法ですから)党として賛成するのでしょうね。昨年の自主投票は何だったんだ?
 
(付記)
 明日(9月2日)、明後日(3日)の両日、和歌山県民文化会館(全体集会は小ホール)を会場として、「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」が開かれます。
 私も、ブログで紹介した手前、また、現地実行委員長の阪本康文弁護士から、「是非参加を」と言われていることもあり、全日程参加は時間的に無理ですが、何とか両日とも参加できればと思っています。予約していなくても(私もしていません)、当日受付(小ホールで受付)OKだそうです(参加費1,000円がそこで徴収されるのでしょう)。
 以下に、チラシに掲載されている大会スケジュールをご紹介しておきますが、現地実行委員会の畑中正好事務局長のFacebookを読むと、細かな変更があるような(特に1日目)。
 なお、3日(日)の9:30~11:20に行われる分科会の1つで「カジノ・ギャンブル」が取り上げられることになっており、私はこれに参加するつもりです。
大会スケジュール
9月2日(土)
12:00 開場(和歌山県民文化会館 小ホール)
13:00  開会+実行委員会挨拶
13:05~13:15 基調報告
13:15~13:40 森友学園加計学園問題情報公開結果
13:40~14:05 口利き記録制度調査結果
14:05~14:15 文書件名簿発表
14:15~14:35 政務活動費ランキング発表
14:35~14:55 休憩
14:55~15:15 寸劇
15:15~17:00 各地報告
17:00~17:20 落札率調査、電力購入・売却調査
17:20~17:40 包括外部監査の通信簿表彰 スピーチ
17:40~18:00 分科会宣伝、事務連絡
18:30~20:00 懇親会(アバローム紀の国)
9月3日(日)
9:30~11:20 分科会・終了後移動
①「えこひいき監視」
②「政務活動費」
③「カジノ・ギャンブル」
④「自治会」
11:30~12:00 大会宣言、決議(和歌山県民文化会館 小ホール)
12:00 閉会
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日
2017年8月30日

放送予告9/9ETV特集『アフガニスタン 山の学校の記録 写真家長倉洋海とマスードの夢』

 2017年8月31日配信(予定)のメルマガ金原.No.2921を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告9/9ETV特集アフガニスタン 山の学校の記録 写真家長倉洋海マスードの夢』
 
 3日前に、9月2日(土)に放送されるETV特集をご紹介したばかりですが(放送予告9/2ETV特集『青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言』&大林監督から若き映画人への28分のメッセージ(6/11)/2017年8月28日)、今日は、その1週間後、9月9日(土)に放送されるETV特集のご紹介です。
 
 (番組案内から引用開始)
自由と独立のため戦ったマスードと、写真家・長倉洋海の出会いから生まれた小さな学校。長く戦乱が続くアフガニスタンで、未来を見つめる子供たちの瞳に希望の光が輝く。
ヒンズークシ山脈パンシール峡谷に小さな山の学校がある。男女共学の学校は、祖国の独立を夢見た戦士マスードと写真家・長倉洋海の出会いから生まれた。マスード亡き後、長倉は学校を支援し子どもたちの成長を撮りつづけた。戦乱が続くアフガニスタンにもいつか平和が来る。その鍵は教育だとマスードは考え、長倉はその願いを受け止めた。子どもの瞳には学ぶ喜びがあふれる。30年を超える記録映像を生かす希望のドキュメンタリー。
(引用終わり)
 
 アフガニスタンの軍人というか、政治家というか、「スマード」(本名:アフマド・シャー、2001年9月9日自爆テロ攻撃により暗殺される、享年48)という人物については、名前を聞いたことはあるような・・・程度の人が多いと思います。正直、私もWikipediaに載っている以上のことは知りません。
 その記述によると、多民族国家アフガニスタンの少数派タジク人として生まれ(大学教育が受けられるほどの経済力のある家で育ったようです)、1979年からのソ連軍侵攻に対してはゲリラの指揮官として抵抗し、ソ連軍が撤退し、共産政権が崩壊した後に成立した政権で一時国防相に就任するも、内戦激化によって同政権が倒れた後は、全土を掌握しようとするパシュトゥーン人主体のターリバーン政権に対抗する北部同盟軍の中心人物として闘ったが、9.11のわずか2日前に非業の最期を遂げた・・・というのがあらましの経歴のようです。
 おそらく、ターリバーンが「悪」で北部同盟が「善」というような単純な話ではないはずですが、少なくとも、スマード個人は、多くの人々から敬愛される立派な人物であったようです。
 日本人写真家・長倉洋海(ながくら・ひろみ)氏とスマード、そして「山の学校」とがどのように結びついていったのか、長倉氏の著書も既に刊行されているようですが、豊富な映像を交えたドキュメンタリー番組として結実したということでしょう。
 是非視聴したいと思います。
 
(参考サイト)

あと1日!(8/31まで)「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」パブコメ募集にカジノ反対の意見を送ろう

 2017年8月30日配信(予定)のメルマガ金原.No.2920を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
あと1日!(8/31まで)「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」パブコメ募集にカジノ反対の意見を送ろう
 
 8月19日のブログでパブコメへの応募を呼びかけた「「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」に対する意見募集」ですが、もう意見を送っていただけたでしょうか?
 
2017年8月19日
 
 パブコメの締切がいよいよ明日(8月31日)に迫ってきました。まだ間に合います。このブログが読めるということは、ネット環境があるということですから、
から応募するのが一番簡便です。ただし、こちらは8月31日(木)17時00分までに送信しなければなりません。
 
 上記ブログにも、パブコメ用参考文例や、役に立ちそうな資料も紹介していますので、是非それらも活用し、カジノ反対の市民の声を届けていただきたいと思います。
 詳細な意見は、しかるべき団体が送っているはずなので、市民からのパブコメは、短くても、自分の率直な気持ちを正直に書けば良いのです。
 私自身、時間もなかったことから、以下の意見を応募フォームから送りました(参考までに全文掲載します)。短いでしょう?しかも、刑法の賭博罪や読売新聞社説の引用がかなりの部分を占めていますので、自分で書いた文章はさらに短い。
 8月31日の午後5時までにこのブログを読んでいただけたカジノ反対の市民の皆さまには、是非とも上記応募フォームから反対の意見を送って欲しいと思います。よろしくお願いします。
 
[私が特定複合観光施設区域整備推進本部事務局に応募フォームから送信した意見]
■意見の趣旨
 私は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」第5条に基づいて法制上の措置をとり、いわゆるカジノを合法化し、解禁すること自体に強く反対します。
■意見の理由
1 IR推進会議取りまとめ概要によれば、様々な弊害防止対策を講じるとしていますが、何故そのような多くの弊害が想定されるカジノを解禁しなければならないのか、合理的な説明ができません。
 従来の公営ギャンブルにも色々と問題があったかとは思いますが、今回のカジノは民間事業者が設置運営するものであり、刑法186条2項「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」との規定を存置したままカジノを合法化することなど許されないと考えます。
 取りまとめ概要が想定するような「弊害」を防遏するということも、刑法の賭博開帳図利罪及び賭博罪の立法目的の重要な一部であったはずです。
 取りまとめ概要が提案する内容のカジノ実施法と刑法とは根本的に相容れません。
2 カジノを推進する人々はその経済効果を強調しますが、その根拠が甚だ薄弱であることもさることながら、それらの主張は、読売新聞2016年12月2日付社説(カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか)による「そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。」という、至極真っ当な批判に対し、何の反論もなし得ていません(取りまとめ概要もそうです)。「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」及び現在準備中の実施法案は、はじめから倫理的な敗者にほかなりません。
 私は、法的にも倫理的にも容認し難いカジノ解禁に絶対反対です
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日

米国「ジュゴン訴訟」に新たな展開~原告敗訴の一審判決が破棄差戻しとなった

 2017年8月29日配信(予定)のメルマガ金原.No.2919を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
米国「ジュゴン訴訟」に新たな展開~原告敗訴の一審判決が破棄差戻しとなった
 
 しばらく前のことになりますが、このようなニュースが流れたことをご記憶でしょうか?
 
 (引用開始)
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設は米文化財保護法(NHPA)に違反するとして、日米の自然保護団体などが米国防総省に同法を順守するまでの工事停止を求めた「沖縄ジュゴン訴訟」の控訴審判決が21日(現地時間)、米サンフランシスコ第9巡回区控訴裁判所であった。同裁判所は「原告には訴訟を起こす資格(原告適格)があり、請求は政治的ではない」と指摘。原告の訴えを退けた一審の同連邦地裁の判決を覆し、審理を地裁に差し戻す判断を下した。
 米サンフランシスコ連邦地裁は2015年2月、日米両政府の合意に基づいた基地建設行為について「裁判所は差し止めたり、介入したりする権限を欠いている」として、原告側の請求を却下した。原告は判決を不服として控訴していた。
(引用終わり)
 
 なお、8月23日付の沖縄タイムス社説([ジュゴン訴訟差し戻し]米世論をかき立てたい)もお読みください。
 
 いわゆる「ジュゴン訴訟」という訴えがアメリカの裁判所に係属しているということ自体は何となく漏れ聞こえていましたが、恥ずかしながら、その具体的な中身までは知りませんでした。
 そういう状態のところに、上記のニュースに接した上に、私が所属する全国的な弁護士・法律家団体のMLに、愛知県弁護士会の籠橋隆明弁護士から上記判決についての報告が投稿され、そこで、
「本件ではJFLF(日本環境法律家連盟)も原告となっています。基地建設差し止めは、実際には基地建設のための立入許可の停止を求めるものです。建設予定地は日米地域協定に基づき、米国政府の許可なしでは立入できません。
 地裁は米国政府は違法状態にあると宣言したものの、途中裁判官が変わった結果、政治問題の法理(統治行為論のようなもの)を理由に原告適格を否定しました。そこで、米国巡回裁判所に控訴しましたが、このたび、控訴審が適格を認め原審に差し戻す判決を出しました。この判決は基地建設差し止めの道を切り開く大きな前進と言えます。もちろん、差し止め自体が尚、難しい問題を含んでいますが、少なくとも原審で違法確認されることにはかなり意味があります。」
と要領良くポイントがまとめられていたため、不勉強な私にも、ようやくぼんやりとながら、全体像をつかむとっかかりが出来ました。
 
 そこで、JFLF(日本環境法律家連盟)のホームページを閲覧してみたところ、既に上記判決についての「声明」が発表されていました。早速、読んでみましょう。
 
(引用開始)
                                 声     明     文
 
                            2017年8月28日
                            日本環境法律家連盟(JELF)
                            理事長 池田 直樹
 
1.2017年8月21日、米国第9巡回高等裁判所は、辺野古基地建設に関し、原告らが、米国政府を相手として、NHPA違反の違法確認と建設関与の差止を求めていた裁判につき、原告適格等を否定した地裁判決を破棄し、審理を差し戻すとの判決を下した。

2.2003年、日本環境法律家連盟(JELF)は、米国環境保護団体(Center for Biological Diversity/ CBD)と共同してNational Historical Preservation Act(NHPA/国家歴史的財産保全法)に基づく訴訟をサンフランシスコ連邦地方裁判所に提訴した。NHPAは、世界遺産条約の執行法でもあることから、米国政府は、自国のみならず他国の文化財も保護する義務を負う。ジュゴンは日本の文化財保護法に基づく国の天然記念物であるから、米国政府は、辺野古基地建設に際し、NHPAに基づき適切なジュゴン保護手続きを行わなければならない。そこで私たちは、本訴訟を通じて、米国政府が、NHPAを遵守し、沖縄ジュゴン及び辺野古新基地周辺の自然的、文化的環境を保護することを求めてきた。 

3.2008年、サンフランシスコ連邦地方裁判所は、米国政府が辺野古基地建設に当たり行ってきたジュゴン保護手続きは違法であるとする画期的な中間判決を下した。しかし2015年の同地裁判決は、米国政府による同時点でのジュゴン保護手続きの違法確認請求につき原告らの原告適格を否定し、また適切なジュゴン保護手続きを履行するまでは基地建設を差止ることを求めた原告らの請求に対しては、司法による政治介入を避ける政治問題の法理を理由に訴訟要件を否定し、いずれの請求についても却下したため、原告らは直ちに連邦第9巡回高等裁判所控訴した。
 このたび、同高等裁判所は、原告適格を認めた上で政治問題の法理は本件に適用されないとして、いずれの請求についても訴訟要件を認め、原審を破棄し原審への差し戻しを命じた。私たちは、法の正義を貫き実体審理への途を開いた今回の判決を歓迎する。
 今後、地方裁判所で審理が再開されることになるが、米国政府によるジュゴン保護手続きが違法であったことは過去にも認められているところであり、差戻審においても、この点は揺るがないと考える。私たちは、米国政府のNHPA違反を根拠に、今後、差戻審において、米国政府にNHPAの遵守を求め、ジュゴン保護手続きが終了するまでの間、ジュゴンに直接影響有る行為を禁じること、すなわち、日本国政府のキャンプシュワブに立ち入りに許可を与え、基地建設行為に加担することを中止するよう、強く求めていく。

4.辺野古沿岸部及び大浦湾は沖縄県内でもたぐいまれな自然度の高い地域であり、そのことはジュゴンの生息やアオサンゴの巨大な群落が存在することにも象徴されている。日本環境法律家連盟(JELF)はかねてより、沖縄の豊かな自然的、文化的環境の保全を求めて辺野古基地建設の中止を求めてきた。
 沖縄には日本全体のアメリカ軍専用施設の約70%が集中し、沖縄本島の18%を占めており、沖縄県は過重な負担を強いられている。更に新たな基地建設によって、環境破壊が進むことは、環境的正義に反するものであり、私たちはこれに断固反対する。

5.私たちは、米国第9巡回高等裁判所の判決を受けて、沖縄における環境的正義を守り抜く決意を新たにするとともに、日米両国政府が、違法な辺野古基地開発を直ちに中止し、沖縄の自然的、文化的環境を守るための最善策をもとめて沖縄県、名護市、地域住民、環境保護団体、研究者など広範な意見を求めて真摯に対応することを求めるものである。
以上
(引用終わり)
 
 なお、これまでの「ジュゴン訴訟」関連の資料は、以下のページに集積されています。
 
 
 訴訟資料は全部英語で書かれており(当たり前ですが)、英語が苦手な私には正直お手上げですが、それだけに、JFLF(日本環境法律家連盟)の皆さんの長年の奮闘に心から敬意を表したいと思います。
 これからも、「ジュゴン訴訟」の行方には注目していきたいと思います。

放送予告9/2ETV特集『青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言』&大林監督から若き映画人への28分のメッセージ(6/11)

 2017年8月28日配信(予定)のメルマガ金原.No.2918を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告9/2ETV特集『青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言』&大林監督から若き映画人への28分のメッセージ(6/11)
 
 今年の8月、NHKスペシャルやETV特集を中心として、瞠目すべきドキュメンタリー番組の秀作を次々と放送したNHKの姿勢に、(半信半疑ながら?)賞賛の声が集まっています。
 実は、上記NHKによる番組放送予定を網羅したNPJのイベント情報「平和と戦争を考えるテレビ・ラジオ番組 2017年夏」をブログで紹介していたところ、私のブログにしては珍しく、ずっとアクセスが続き、リストの最後に載っていた8月19日のETV特集『描き続けた“くらし” 戦争中の庶民の記録』の放送が終わった後も、ぼちぼちとアクセスが続いているくらいです(「平和と戦争を考えるテレビ・ラジオ番組 2017年夏」(NPJイベント情報)~NHKのテレビ・ラジオ放送予定/2017年7月7日)。
 
 さて、民放を含め、「平和と戦争を考える」番組はそろそろ一段落したかと思い、今週のETV特集の予定を調べてみると、『青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言』の放送が予告されていました。これは見ざるを得ません。
 もっとも、以下の番組案内に挙げられている『転校生』、『時をかける少女』はしっかりと記憶に焼き付いていますが、私は、その後の大林監督のフィルモグラフィーの良き伴走者では決してありませんでした。ウィキペディアに掲載されている44本の劇場用映画の内、私が劇場で観たのは、第13作『彼のオートバイ 彼女の島』(1986年)が最後だったのですから。
 それは、『彼のオートバイ 彼女の島』にがっかりしたからでは決してありません。それどころか、私が角川春樹プロデュースによる初期「角川映画」からベスト3を選ぶとすれば、『彼のオートバイ 彼女の島』は絶対にそのうちの1本に入ります。残る2本は、その時の気分によって、『セーラー服と機関銃』(1981年)、『蒲田行進曲』(1982年)、『時をかける少女』(1983年)、『麻雀放浪記』(1984年)などを揺れ動きますけど。
 1986年は、司法試験受験浪人の身でありながら、読書三昧、映画三昧の生活を続けていた私のモラトリアムの時代が終わろうとしていた年でした。この年合格しなければ司法試験を断念するしかないなと考えながら、新宿武蔵野館(多分)で『彼のオートバイ 彼女の島』を観たのが4月。そして、その年の秋、ようやく司法試験に合格し、私の「映画の時代」は「司法試験受験の時代」とともに終わりを告げたということです。
 
 個人的な感慨はこれくらいにして、ETV特集の番組案内をご紹介しましょう。
 
 (番組案内から引用開始)
「転校生」や「時をかける少女」などで知られる映画作家大林宣彦。末期ガンを宣告された今、「戦争」をテーマにした新作に挑戦している。完成までの日々を追う魂の記録。
末期ガンを宣告された映画作家大林宣彦、79歳。43作目に選んだテーマは“戦争”。華麗でポップな映像世界で知られた大林監督が、なぜ今、戦争を描くのか。そこには軍国少年だった頃の記憶、そして青春を戦場で過ごした父の姿があった。新作「花筐(はながたみ)」のシナリオには、太平洋戦争へ向かう青年たちの葛藤が書き込まれた。「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」。映画人生の集大成に挑む大林監督の1年を追う。
(引用終わり)
 
 映画『花筐』に関する参考サイトは末尾にリンクしておきますので、興味のある方はそちらをご参照願います。
 ここでは、今年の6月11日、第19回「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」の授賞式に審査員として出席した大林監督が行った28分間のスピーチ動画をご紹介したいと思います。
 私は、今日のブログを書くため、色々とネット検索をしていて、ふと以下の記事が目にとまりました。
 
(引用開始)
 昨年8月にステージ4の肺がんの宣告を受けた大林宣彦監督(79)が11日、都内で行われた国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」の授賞式に公式審査員として出席した。5月にがんが報じられて以降、初の公の場で、後輩の映画製作者たちに向けてメッセージを贈った。
 魂の「遺言」だった。つえをつき、やせた頬で登壇した大林監督は小倉智昭キャスター(70)、俳優の三上博史(年齢非公表)ら他4人の審査員が1分程度の講評を述べた後、マイクを握った。「余命3か月の宣告を受け、本当はここにはいないはずでしたが、まだ生きてます。生きているならば、ただ一人、胸に温めていた黒澤明監督の遺言を伝えようと命懸けでここに立っております」
 親交の深かった世界の巨匠から告げられたという非戦の思い、アマチュアイズムの信念などを28分間にわたって力強く語った。最後に「映画とは風化せぬジャーナリズムである。自分自身を確立する手段であるという意識を持って生きていってほしい。黒澤監督が言った『俺の続きをやってよね』という言葉を、若い人たち皆さんに贈ります」と言い残して、舞台袖に消えた。会場に大きな拍手がこだました。
 映画「時をかける少女」「転校生」などで知られる大林監督は昨年8月、監督人生の集大成と位置づける作品「花筐(はなかたみ)」のクランクイン前日にがん宣告を受けた。窪塚俊介(35)や満島真之介(28)らが出演し、日米開戦前夜の若者たちの青春群像を描いた作品を、治療と並行して撮影。既に完成し、12月に公開を予定している。
 終了後、取材に対し「がんはまだありますけど、現代の医療はすごくてね。もう少し生きるつもりでいます」と柔和な笑顔を見せていた。
(引用終わり)
 
 大林宣彦監督が癌を公表されたことは漏れ聞いていましたが、6月11日の28分間のスピーチは知りませんでした。
 急いで探してみたところ、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」の公式YouTubeチャンネルに以下の動画がありました。感動しました。是非ご覧ください。そして、9月2日のETV特集も絶対に観ましょう。
 
大林宣彦監督が伝えた巨匠・黒澤明の"遺言" / Nobuyuki Obayashi conveys the great filmmaker Akira Kurosawa’s last message.
 

(参考サイト/
映画『花筐』関連)
映画『花筐(はながたみ)』公式サイト
 
公式サイトから「大林宣彦監督からのメッセージ」
(引用開始)
 映画『花筐』の源となる脚本の初稿は、いまを去る40数年の昔、僕、大林宣彦の劇場用映画第一作『HOUSE/ハウス』(77)を撮るよりも前に、第一作を『花かたみ』として製作する予定で書き上げておいたものである。
 三島由紀夫がこの一冊を読んで小説家を志したという、檀一雄最初の短篇集に収められた鮮烈な純文学『花筐』が原作である。文豪佐藤春夫による一頭の蝶の絵の装幀に、僚友・太宰治が帯文を寄せた箱入り愛蔵本を手に、これを映画化するのは僕の終生の夢であった。檀一雄さんの生前にお逢いして映画化の許可は戴いており、この空想的で美的な言語世界を映画にするには何処が宜しかろうかと伺ってみたところ、「唐津へ行ってご覧なさい」、と微笑みながら一言。檀さんはその頃既に重い病に臥しておられたのでありました。
 それから日が経ち、檀一雄さんの訃報が御子息の檀太郎君から告げられた。僕の青春のひとつがそこで終わり、映画『花かたみ』の脚本は書棚の奥深くに仕舞われて、永い眠りの時の中に入って了った。それから更に歳月が流れ、僕は独り、遠い青春の記憶を弄っていた。映画が誕生するにも、「旬」があります。40年前には見えなかったものが、いままざまざと見えてくる、ということも。
 昭和11年(1936年)文芸誌に『花筐』が発表されたその翌年、処女短篇集『花筐』の出版記念予告日に檀一雄召集令状を受け取り、戦地へ赴いている。そして多くの尊い命が、戦場の露と消えた。一見、放蕩無頼にも見ゆる本作の若き登場人物たちの精神や行動も、まことは切実なる生きる意志、――我が命は、魂は、我が信じるままに自由であらせよ、と願う、その純血の現れであったか、と。僕はこの物語を、いま新たに昭和16年(1941年)、あの太平洋戦争勃発の年に置き換えて語ってみようと思う。それはいまを生きる僕らに、より切実な、戦争の記憶であるから。
 「これは、いま必要な映画ですね」。唐津の里の里人のこの一言に励まされながら・・・。
(引用終わり)

映画『花筐(はながたみ)』予告編
 

「共謀罪は廃止できる!9・15大集会」(日比谷野外音楽堂)に結集を!

 2017年8月27日配信(予定)のメルマガ金原.No.2917を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪は廃止できる!9・15大集会」(日比谷野外音楽堂)に結集を!
 
 「悪法」成立阻止の闘いは、成功することもあれば失敗することもあります。そして、失敗した場合には、直ちに「悪法」廃止の闘いに引き継がなければなりません。
 ・・・それはそうなのですが、2013年12月の特定秘密保護法、 2015年9月の安保法制、そして今年(2017年)6月の共謀罪と、こう次々と「廃止の闘い」の対象が増え続けると、正直どこから手を付ければ良いのやら状態になっても不思議はありません。
 例えば共謀罪です。巻末のリンク一覧表のとおり、今年の2月6日に私のブログでスタートした共謀罪シリーズは、6月15日の参議院採決までに32本、採決後に3本の計35本の記事を配信しましたが、6月26日、和歌山弁護士会主催による髙山佳奈子京大教授講演会の告知記事を書いたのを最後に、ここ2ヶ月というもの、ぱったり途絶えてしまっていました。その間もブログの更新は毎日続けていたのにです。秘密保護法や安保法制については言うまでもありません。
 
 そんな状況の中、私も登録している某メーリングリストに、海渡雄一弁護士から、9月15日(金)18時30分から、日比谷野外音楽堂で開催される「共謀罪は廃止できる!9・15大集会」の拡散協力要請の投稿がなされました。海渡さんの文章を引用します。
 
(引用開始)
秘密保護法と共謀罪に反対の皆さんへ
9.15共謀罪廃止野音集会のチラシと告知文です。
臨時国会に廃止法を提出させるため、この集会を成功させたいと思っています。
法案が係属していない問題で、野音を埋めるのは容易なことではありません。
一人ずつでも、各地からご参加をいただきたく、また、団体のMLやフェイスブックツイッターでの拡散をお願いします。
海渡 雄一
(引用終わり)
 
 係属中の法案反対集会のために日比谷野音を埋めるのも容易ではないでしょうが、ましてや成立後の集会においておや、ということですね。
 ということで、微力ながら、拡散に協力すべく本日のブログで取り上げることにしました。
 以下に、チラシ記載情報を転記しようと思いますが、「共謀罪NO!実行委員会」ホームページ掲載情報が新しくて詳しいようなので、それによって補充しています。
 なお、本稿は、私のブログにおける共謀罪シリーズ第36回でもあります。
 
(引用開始)
共謀罪は廃止できる!9・15大集会
 
と き 2017年9月15日(金) 18時30分~ (開場18時) 
     *プレ企画 18時10分~ 制服向上委員会
★集会後、銀座デモ
 
■司会 未来のための公共
■主催者挨拶 
 山口 薫さん(アムネスティ・インターナショナル日本)
■アピール「共謀罪は廃止しなくてはならない」
 海渡雄一さん(弁護士  共謀罪NO!実行委員会) 
国会議員挨拶
■ゲストスピーチ    
■発言
自由人権協会
三澤麻衣子さん(共謀罪対策弁護団
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 
共謀罪対策弁護団  ほか
 
主催 共謀罪廃止のための連絡会
参加団体 
日本消費者連盟(Te l 03-5155-4765)
ピースボート(Tel 03-3363-7561)
日本マスコミ文化情報労組会議( mic-un@union-net.or.jp )
共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 (日本民主法律家協会 Tel 03-5367-5430)
未来のための公共( public4f@gmail.com
女性と人権全国ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
自由人権協会
共謀罪NO!実行委員会(盗聴法廃止ネットワークTel 080-9408-0962)
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(Tel 03-3221-4668)
 
私たちは、悪法・共謀罪の廃止のため「連絡会」を結成しました。
共謀罪はあらゆる点で問題があります。
1、国会の手続きを無視し、参議院法務委員会の採決を省略し、参議院本会議で強行採決したことです。
2、「話し合うことが罪になる」共謀罪憲法が保障する思想・言論・表現の自由を侵害します。
3、国連自由権規約という国連が各国に求める市民の人権保障を無視してつくられました。
 国会法を無視し、憲法を侵害し、国連からも批判された法律はいままでありません。共謀罪は稀代の悪法です。
 共謀罪は、NGO、市民団体、消費者団体、労働組合などの自由な活動と両立しません。共謀罪は廃止しなくてはなりません。
共謀罪は廃止できる!9・15大集会」にご参加ください。
(引用終わり)
 
(参考/緊急統一書名)
「共謀罪法」の廃止を求める緊急統一署名が行われています。ご協力をよろしくお願いします。
●呼びかけ 
 共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
●期間 2017年7月~
●第一次集約 2017年8月31日
●第二次集約 2017年9月30日 
 
(参考動画/「共謀罪は廃止しなければならない!7・11集会」)

 
(弁護士・金原徹雄のブログから/共謀罪シリーズ)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

2017年5月9日
「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

2017年5月17日
「共謀罪」をめぐる5月16日の動きを動画で振り返る~衆議院法務委員会参考人質疑、日比谷野音大集会、立憲デモクラシーの会シンポ

2017年5月20日
闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」
2017年5月22日
「共謀罪」法案の衆議院における修正案(可決)を読む
2017年6月6日
予告・「共謀罪」って何?こんなにある問題点!(講師:金原徹雄弁護士)@新宮市(6/11)と真宗大谷派による共謀罪法案反対声明(5/18)
2017年6月7日
国際ペン会長声明「共謀罪は日本の表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」&加藤健次弁護士による現状分析
2017年6月10日
2017年6月11日 
2017年6月15日
「共謀罪」法案の参議院採決は違法だ(付・日弁連、市民連合、日本ペンクラブなどによる抗議声明)

2017年6月19日
「学者の会」呼びかけ人一同が発表した「共謀罪法案の強行採決に対する抗議声明」(6/18)を読む
2017年6月26日

市民連合が前原誠司、枝野幸男両氏に提出した「民進党代表選挙に関する要望」(8/25)を読む

 2017年8月26日配信(予定)のメルマガ金原.No.2916を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
市民連合が前原誠司枝野幸男両氏に提出した「民進党代表選挙に関する要望」(8/25)を読む
 
  8月21日に代表選挙が公示され、9月1日(金)の臨時党大会で新しい代表が決まる民進党ですが、前原誠司枝野幸男両候補のいずれが当選するにしても、選挙の後に一荒れも二荒れもありそうですね。
 民進党の党員でもサポーターでもない私にとっても、無関心ではいられない代表選挙ですが、ただ、マスコミによる、野党共闘へのスタンスの相違をことさら強調する報道姿勢には相当の違和感を感じており、両候補の主張については、それぞれの出馬表明記者会見を主な拠り所として判断しています。
 
[2017年8月7日 前原誠司氏 出馬表明]
 

[2017年8月8日 枝野幸男氏 出馬表明]
 

 2人の候補者の討論会は、民進党主催で各地で行われており、その動画は同党のホームページで見ることができますが、
ここでは、公示の翌日に日本記者クラブで開かれた討論会の動画のみご紹介しておきます。 
 

 それらを見た上での私の感想は・・・書くほどのものではありませんが、「枝野さんの主張する政策を前原さんが実行するというのが民進党にとって一番良いのでは?」というものです。それが出来れば民進党は浮上するかもしれない。まあ、不可能でしょうけど。
 
 さて、民進党代表選挙の行方を横目で見ながら、立憲野党の共闘しか選択肢はない、と考える市民は、全国各地で自分たちにできることを地道にやっている訳ですが、これまで野党共闘を働きかけて成果をあげてきた市民連合は、やはりここでひとこと言っておかなければと考えたようで、昨日(8月25日)、「民進党代表選挙に関する要望」を、前原・枝野両氏に提出しました。
 ここで、その全文を読んでおきましょう。
 
(引用開始)
民進党代表選挙に関する要望
 
 
 この度の民進党代表選挙に当たり、党の再建と日本の民主政治の回復のために立候補されたことについて、深い敬意を表します。安保法制の廃止と立憲主義の回復を実現し、個人の尊厳を擁護する政治を求める全国各地の市民とともに、参議院選挙、さらに次の衆議院総選挙に向けて戦ってきた私たち市民連合としても、この代表選挙が野党第一党民進党のリーダーシップと政策を再構築するための有意義な機会となるよう念願しています。代表選挙の候補者のお二人に、市民連合として二点要望を申し上げたいと存じます。
 
1 市民連合と立憲4野党が確認した共有政策を発展させる
 安倍政権に代わる国民本位の新政権を樹立するためには、野党第一党たる民進党が中心とならざるを得ません。5年になろうとする安倍政権の失敗と罪を厳しく総括し、安倍自民党との明確な対抗軸を構築することがこの代表選挙の課題です。
 何より重要なのは、安倍政権による憲法破壊を止め、日本を立憲主義、民主主義の国に戻すことです。安保法制、特定秘密保護法共謀罪法の廃止は、民進党の国民に対する責務だと考えます。また、国民生活不在のアベノミクスに終止符を打ち、生活者・働く者本位の経済・社会政策に転換することも急務です。
 これらの課題について、今年4月に市民連合と立憲4野党が合意した政策の基本枠組みを踏まえて、さらに発展させることを要望します。
 
2 立憲4野党と市民の協力を前進させる
 広範な市民と立憲4野党の結集と協力なくして、安倍政治を終わらせ、「国民とともに進む政治」に転換することはできません。安保法制反対運動以来、立憲4野党は国会の内外で協力を重ね、民主政治の危機を憂える市民の期待に応えてきました。蓮舫代表のもとで次の総選挙に向けて4野党が協力することも合意されています。公党間の合意は新執行部でも尊重されなければなりません。そうした手続き論の次元だけではなく、市民の期待に応えるためにも、民進党が野党協力の先頭に立つことが必要です。
 次の総選挙が近づく中、今の民進党に何より必要なことは、日本の立憲主義と民主主義を取り戻すための基本的な理念と方向性の確認です。2年余りの経験と実績を持つ立憲4野党と市民の結集を強固にすることが、安倍自民党に対する対抗勢力の構築に不可欠です。
 
 民進党が新体制の下で結束を強化し、政治刷新の先頭に立つよう強く願っています。また、私たち市民連合も、新代表とともに総選挙に向けて市民と立憲4野党の共闘を深化させていきたいと念願しています。
 
2017年8月25日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
(引用終わり) 
 
 上記の「今年4月に市民連合と立憲4野党が合意した政策の基本枠組み」というのは、4月5日付「『市民連合が実現を目指す政策』に関する四党の考え方」のことです。
 また、「蓮舫代表のもとで次の総選挙に向けて4野党が協力することも合意されています」というのは、6月8日に行われた4党党首会談における合意のことで、今でも民進党のホームページで、次のように説明されています。
 
(引用開始)
 民進、共産、自由、社民の野党4党の党首らが8日午前、国会内で会談した。
 会談後、記者団の取材に応じた蓮舫代表は、(1)当面の課題(2)次期総選挙における野党4党の協力――について提案し確認を求めたと述べた。
当面の課題について
1.この間の党首会談の合意を尊重し、実行するために引き続き努力をする
2.安倍政権のもとでの憲法9条の改悪に反対をする
3.共謀罪廃案を目指し院の内外で共同して闘う
4.加計学園森友学園疑惑の徹底究明のため全力を尽くす
 以上の点について、「4野党党首共に異論はなく、賛成をいただき確認をした」と述べた。
次期総選挙における野党4党の協力について
•次期総選挙は新しい区割りのもとで行われることになる
•安倍政権の打倒を目指して全力を挙げること
民進党日本共産党自由党社民党の野党4党は次期総選挙で出来る限りの協力を行うとの去年9月の合意に基づき、協議を加速させ、4野党が協力して候補者調整を行い、一致したところを順次発表する
 以上の点について、「他の3党の党首からも力強い賛同をいただいた」と述べた。
 また、「あと1週間あまりで会期末ということなので、内閣不信任決議案の提出も視野に、適時適切に国対委員長会談、幹事長書記局長会談、また4野党の党首会談も丁寧に行っていくことを確認した」と述べた。
                                  民進党広報局
(引用終わり)
 
 誰が考えても、市民連合の上記「要望」は、主として前原さんに対して「ちゃぶ台返しはしてくれるな」と言っているように読めますけどね。効果あるかな?
 
 なお、「要望」提出の前日(8月24日)、山口二郎さんが「安倍内閣打倒にむけて、私たちの役割」というテーマで講演されています。市民連合の主催なんだろうか?市民連合のホームページを見ても何も書いてませんけど。
 まあ、主催者はともかく、今最もトピカルなテーマについての講演で、関心を持って聴いていただけるのではないかと思い、ご紹介します。
 
市民連合 山口二郎氏講演会「政治危機と私達の選択 憲法と民主主義を守る大結集を」2017年8月24日(1時間17分)