(少し遅れたご紹介)この集団的自衛権についての公開討論会は必見です
今晩(2013年10月28日)配信した「メルマガ金原No.1526」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
(少し遅れたご紹介)この集団的自衛権についての公開討論会は必見です
このメルマガ&ブログで元内閣法制局長官の阪田雅裕さんを取り上げたのは(2013年)9月19日のことでした。
ところで、その際にご紹介した経歴はまことにきらびやかなもので、そういう方があえて、政府が進めようとしている集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈の変更を厳しく批判されていることに対し、私は思わず次のように書いたものでした。
なかなか壮観というべき経歴ですね。
逆に言うと、世間的には「功成り名遂げた」と思われている阪田氏にとって、あえて現政権に異を唱えることによるメリットなど何もないはずだということです。
退官後に就任された上場企業の監査役を今でも勤めておられるのか、既に退任されたのかまでは調べていませんが、仮に、既に全て退任されているとしても、政権批判を行うには、「黙ってはいられない」という、それなりの決意があってのことに違いありません。
私の推測通り、阪田さんは完全に腹をくくっておられるようで、その後も、積極的に公開の場での発言を行っておられます。
IWJが10月5日に中継した以下の映像は、知人から教えられて最近知ったのですが、阪田さんを含め、よくこれだけの論客を集めたな、と感心する「公開討論会」です。
公開討論会 「〈解釈の見直し〉による集団的自衛権の行使容認問題を考える」
登壇者
司会 内田 誠氏(デモクラTV)
主催:[国民投票/住民投票]情報室
後援:デモクラTV(インターネット放送)
後援:デモクラTV(インターネット放送)
既に公開から3週間以上が経過していますがまだ無料視聴できます。この公開討論会はデモクラTVでも中継したらしいので、その関係かどうかは分かりませんが。
いずれにせよ、これほど興味深い討論会はめったに見られないことは間違いありません。2時間近い長丁場ですが、視聴できる間に是非急いでご覧になることをお勧めします(その上でIWJに会員登録していただけるとなお嬉しく思います)。
全編視聴されたら、「船田さんがサンドバッグ状態で可愛そう」と思われる方もいるかもしれませんが。
討論会の内容要約のごく一部をご紹介します。
(抜粋引用開始)
◆現在の9条解釈「簡潔明瞭で常識的」
平和主義を規定した憲法9条と自衛隊のかね合いについて、歴代の日本政府は「自衛隊は合憲だが海外での武力行使はできない」という解釈を示してきた。この点について阪田氏は「簡潔明瞭で常識的。法論理の基盤がしっかりしている」と語り、憲法の解釈を変えるためには「現行の解釈が論理的に間違っていると国民に示さなければならない」と説明した。
これに対して船田氏は「最近の緊迫した世界情勢に照らせば、個別自衛権だけで日本を守れるのかという心配がある。集団的自衛権に踏み込まざるを得ないのではないか」と述べ、政府・自民党が進める集団的自衛権の行使容認に理解を求めた。
◆民主党・枝野氏「立憲主義が確保されないなら亡命」
この日の討論会では、「立憲主義」の理解を巡り、自民党の船田氏と民主党の枝野氏の間で激しい論戦が展開する一幕があった。船田氏が「立憲主義でガチガチに憲法に縛りをかけて、日本が滅んでしまってはもとも子もない」と、政府の判断による解釈改憲の必要性に言及すると、枝野氏は「この日本という国家で立憲主義が確保さ
れないなら亡命する」と応戦。小林氏も「国民が国の主であることをやめて自民党という世襲貴族集団に国を委ねてしまうなら、日本人をやめます」と枝野氏に同調した。
(引用終わり)
なお、時間の都合で阪田雅裕さんの発言だけまずは視聴したいという方のために、目安時間を書いておきます(漏れている部分もあるかもしれません)。
14分~
50分~
59分~
1時間15分~
1時間33分~
1時間53分~
最後に、1時間53分からの阪田さんのまとめの発言に感銘を受けましたので文字起こししてご紹介しておきます。是非、出身地である和歌山で、阪田さんのお話を伺う機会があるといいなと思いますね。
「冒頭に申し上げましたように、9条(の下で)は集団的自衛権の行使ができない、と言うしか、今、ないです。自衛隊はずっと合憲なんですからね。ですから、これが出来るということは、もう9条が蝉の抜け殻になっちゃうということなんで、改憲を目指している人たちもびっくりするんじゃないかと思うんですね。改憲しようと思ったら、何も中身が無いという、そんなことがあっていいのか、というのが私の思いなんです。ただ、時代が変わったから、世の中、安全保障環境が厳しいのだからという一言みたいなことで。なかなか、これは、いまの立憲主義もそうなのですけれども、やっぱり、9条、多少の説明がいるもんですから、なかなかきちんと説明をですね、させていただける機会が無い。そういう意味では、今日は大変、意はつくせたと思いますし、こういう機会を、皆さんたくさんまた造るように考えていただければ、私は、いつでもどこでも参ります、という風に申し上げているので、乏しい発信力なのですが、努力をしていきたいと思っています。よろしくお願いします」