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小出裕章さんインタビュー(岩上安身さんによる)で語られた核兵器技術と原発(全文文字起こしで読む)

 今晩(2014年2月7日)配信した「メルマガ金原No.1630」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
小出裕章さんインタビュー(岩上安身さんによる)で語られた核兵器技術と原発(全文文字起こしで読む)
 
 京大原子炉実験所の小出裕章さんが、ラジオフォーラムのイベントで、「戦争と原はつながっている」という講演をされたのは、この前の日曜日(2014年2月2日)のことでしたが(於:エル・おおさか)、その翌3日、勤務先の京大原子炉実験所(大阪府泉南熊取町)の研究室において、IWJの岩上安身さんによるインタビューが行われました。ただし、インタビューの映像は「会員限定」配信となっています。
 
2014/02/03 米国からのプルトニウム返還要求「明らかな政治的メッセージ」
~岩上安身による京都大学原子炉実験所助教小出裕章氏インタビュー
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 インタビューの冒頭約14分だけYouTubeで公開されており、無料で視聴できます。
 
 さらにありがたことに、このインタビューの内容が完全文字起こしされて公開されました(誰でも無料で読めます)。
 
【IWJブログ】東京都知事選 「脱原発」という争点を巡って
原発核兵器技術の保有はコインの裏表~岩上安身による京都大学原子炉
実験所助教小出裕章氏インタビュー 全文掲載
 
 タイミング良くというか何というか、前日に行った講演ともろにかぶるテーマについて、じくりとインタビューがなされていますが、このインタビューが行われるきっかけとなった共同通信の記事をまずご紹介しておきます。
 
共同通信 2014年1月27日10時43分
【米、プルトニウム返還を要求】オバマ政権が日本に 300キロ、核兵器50発
/背景に核テロ阻止戦略
(抜粋引用開始)
 核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」を重視するオバマ米政が日本政府に対し、冷戦時代に米国などが研究用として日本に提供した核物質プルトニウムの返還を求めていることが26日、分かった。複数の日米両政府関係者が明らかにした。
 このプルトニウム茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用
の約300キロ。高濃度で軍事利用に適した「兵器級プルトニウム」が大半を占め、単純計算で核兵器40~50発分程度に相当する。
 日本側ではこれまで「高速炉の研究に必要」と返還に反対する声も強かったが、米
国の度重なる要求に折れて昨年から日米間で返還の可能性を探る協議が 本格化している。 米側は3月にオランダで開かれる「第3回核安全保障サミット」を機に返還合意をまとめたい考えだ。
 オバマ政権は核テロ阻止の観点から、兵器転用可能な核物質量の「最少化」を提
唱。2010年に初の核安保サミットを主宰した前後から、東海村にある日本原子力研究開発機構の FCA 用のプルトニウム331キロ(うち核分裂性は293キロ)を問題視し、日本に返還を求めてきた。
(略)
 東京電力福島第1原発事故後、日本のプルトニウム消費の見通しが立たず、米政府は日本側に懸念を伝達していた。
(引用終わり)
 
 このニュースは、私も何となく読み流していたのですが、岩上さんによる小出裕章さんインタビューを一部視聴するとともに、全文文字起こしを読んで、非常に重要な米国による「メッセージ」であるらしいということが分かりました。
 
 原発=核抑止力論者がなぜ核燃料サイクルに固執するのかという基本的な問題から始まり、日本と核との切り離せない結びつきから生じる様々な事象について、非常に分かりやすく、小出先生から岩上さんが話を引き出してくれています。
 都知事選がらみの話題を岩上さんが何度もふるのが気に入らない人もいるでしょうが、そういう人はその部分だけ飛ばして読めばよいと思います。
 私の受けた印象では、小出さんの都知事選に対するスタンスはしごくまっとうなものだと思いましたけれど。
 それはさておき、「核と原発」について関心のある方は、是非とも(相当長いですが)このインタビューの全文文字起こしを通読されることをお勧めしたいと思います。
 
 最後に、インタビューのごく一部(始めの方)ですが、思わずにやっとしてしまった小出さんの発言を引用します(私がどの部分でにやっとしたかはご想像にお任せします)。
 
(引用開始)
 ですから、日本は核燃サイクルを実現して、原子力を意味のあるエネルギー源にするというようなことを言ってきているわけですけれども、実はそれはもう原爆を作るための技術を持ちたいという、そのことで来ているわけです。
 日本だけがその三技術(金原注:原爆を製造するために必要な、①ウラン濃縮技
術、プルトニウムを生み出すための原子炉技術、③プルトニウムを取り出すための再処理技術のことを持つことができたわけですけれども、それも日本が米国の属国であるから、米国がかろうじて、ウンと言ったという、そういう状態なのです。
 でも、今のように安倍さんのような、私から見ると『この人、病気だな』と思うような人
出てきてしまって、世界情勢を見ることもできないわけですね。そうなると、米国からみても、やはり不安になるでしょうし、これまでは属国として許してやってきたけれども、このまま野放しにするのは危ないかなと思い始めるということはありそうだし、むしろ当たり前と言ったほうがいいかもしれません。
 これまでのような形で日本にフリーハンドを与えないで締め付けを厳しくするということ
は、たぶん世界の政治のレベルでは、ありうるだろうなと、私は思います。
(引用終わり)
 
(参考サイト)
日米原子力協定(原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定
遠藤哲也『日米原子力協定(1988年)の成立経緯と今後の問題点』(pdf)
日本記者クラブ 2012年10月4日 記者会見映像
「日米原子力協定」 遠藤哲也一橋大学客員教授
  

 (付録)
『百年後の歌』 QU-E(クエ) 作詞:TOMY 作曲:SASAGU