今晩(2014年4月21日)配信した「メルマガ金原No.1703」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
今中哲二さんの最近の“仕事”について
昨日(2014年4月20日)午後1時30分から、和歌山ビッグ愛9階A会議室において、「原発がこわい女たちの会 結成27年のつどい」が開かれ、参加してきました。
今中さんを代表者とする飯舘村初期被曝評価プロジェクトチームが、平成24年度・25年度、環境省からの委託研究として実施してきた「飯舘村の初期被曝量評価プロジェクト」が終了し、おそらく現在、最終報告書のとりまとめをされているところではないかと思います。
2013年12月4日 平成25年度「放射線の健康影響に係わる研究調査事業」研究調査発表会(於:原安協会議室)パワーポイント資料
今中哲二 「福島第1原発事故による飯舘村住民の初期被曝放射線量評価に関する研究」
今中哲二 「福島第1原発事故による飯舘村住民の初期被曝放射線量評価に関する研究」
最後の「科学」3月号掲載論文は、調査を振り返った概要の報告となっていますので、時間のない方は、これだけ目を通されてもよいかと思います。
昨日の今中さんの講演は、タイトル「放射能汚染への向き合い方」にある通り、科学者として、福島第1原発事故以後の「放射能汚染」の実態を出来るだけ正確に伝えることにより、日本に住む1人1人の人間が、どのような生き方を選択すべきかを考える上での参考にして欲しいというものであり、これは、3.11以降、終始一貫した今中先生の基本的立場
であると思われます。
なお、昨日使われたパワーポイント資料は、最近の同趣旨の講演会で使われているものを微修正したものと思いますが、その基本となるパワポ資料が、原子力安全研究グループWEBサイトに掲載されていましたので、是非ご覧いただければと思います。昨日の講演を聴けなかった方にも、その概略は想像いただけるものと思います。
最後に、上でご紹介した「科学」2014年3月号の論考から「“リスコミ”と“スリコミ”」という小見出しが付された末尾近くの文章の一部を引用します。常日頃、政府の使う「リスクコミュニケーション(リスコミ)」という用語にいかがわしさを感じていた私にとって、正に「我が意を得たり」でしたので。
(引用開始)
これを(金原注:「リスコミ」の一般的な定義)読んで気がついたのは、リスコミの妨げになるどころか、この3年間、飯舘村や福島で放射能汚染の調査をしながら私がやってきたことは、リスコミそのものではないかということでした。放射能汚染調査の結果とその意味を地元の人に説明し、『まずベクレルやシーベルトの意味を理解し、数字になじんで下さい。そして被曝の影響について勉強し、どこまでの被曝をガマンするか、つまり受け入れるのか自分で判断できるようになって下さい。専門家の一人としてみなみなさんに替わって判断することはできません』と私は言い続けてきました。
リスコミと称して行政がやっていることは、『年間20ミリシーベルト以下なら安心して生活できます』。『被曝より野菜不足の食生活の方が心配です』といったことの押しつけのようで、さまざまな立場からのフランクな意思交換が邪魔になるということなら、“リスコミ”というより“スリコミ”といっていいでしょう。
(引用終わり)
(参考記事)
今中哲二氏『チェルノブイリ事故と福島事故』(共同研究報告書より)