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柳澤協二さんの「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見 徹底批」(5/19)

 今晩(2014年5月22日)「メルマガ金原No.1734」として作成した記事を配信します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
柳澤協二さんの「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見 徹底批」(5/19)

 去る5月17日(土)に和歌山市で講演された柳澤協二さん(元内閣官房副長官補)ですが、その翌々日(5月19日)には、「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」主催の第9回勉強会に招かれ、「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見徹底批判」と題した勉強会の講師を務められました(於:衆議院議員会館)。
 
 その模様を中継した映像を2つご紹介しておきます。
 
20140519 UPLAN 柳澤協二「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見 徹底判」
 
2014/05/19 「米艦警護が最も集団的自衛権を必要としないケース」元内閣官房副長官補・柳澤氏が安倍総理会見を批判(視聴のためには会員登録を)
 
 柳澤さんは、最初の1時間程度(質疑応答を含む)お話をされ、その後は、日弁連をはじめとする様々な団体からのアピールであったようです(実は柳澤さんの話しかまだ聴いていない)。
 
 柳澤さんの発言は(そんなに長いものではないので)是非上記の映像で視聴してください。2日前の和歌山での集会が盛り上がったという紹介もありましたよ。
 安倍首相記者会見のレトリックに対する「徹底批判」の内容については、IWJの記事を引用しておきます。
 
(引用開始)
「米艦警護が一番、集団的自衛権がいらないケースだ」
 「集団的自衛権が行使できなければ国民を守れないというなら、それは憲法の怠慢でなく、政府の怠慢だ」――。
 「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」が第9回目となる勉強会「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見徹底批判」を開催した。発言者として招かれた元防衛官僚の柳澤協二氏は、政府の想定する集団的自衛権の行使例が非現実的なものであることを指摘した。
 安倍総理は15日、安保法制懇の報告書を受け取った直後に記者会見し、集団的自衛権を行使すべき事例を挙げた。あるパネルには、不安げな表情を浮かべ、紛争国から米国艦で逃れようとする母子の絵が書かれていた。
 これを用いた安倍総理は、「お父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない。彼らが乗っている米国の船をいま、私たちは守ることができない」と述べ、集団的自衛権の行使の必要性を訴えた。
 「やられたな、と思った。国民の情に訴える絵を使った」「イメージ操作をし、国民世論を誘導していくというポピュリズム政治だ」「感情に訴えられると、打ち消していくのが難しい」
 この日、メインの発言者として招かれた柳澤氏は、理論をよそに、国民感情に訴える安倍総理の手法を批判。その上で、「ふと考えると、これが一番、集団的自衛権がいらないケースだと気付いた」と柳澤氏は述べ、「もし朝鮮半島で有事があって、日本人などの民間人をどのように避難させるかは、官邸にいる時も考え、悩んだ」と、内閣官房副長官補時代の経験をもとに、次のように分析した。
 「前提として、軍事専門家の99%は北朝鮮がそんな戦争をやる能力がないという認識だが、仮にあったとして、北朝鮮の軍隊が動いたら、燃料を集め、弾薬を補給して、準備をする。こうした動きがあれば、こちらにも必ずわかる。
 そうなれば、外務省から『不要不急の渡航は控えてくれ』といった勧告が出て、そして退避勧告が出る。民間のエアラインが飛んでいる間に引き上げるのが普通。戦争になれば、民間人が邪魔にもなる。軍事的観点からも引き上げさせるだろう。大使館員や領事館員などは最後まで残るが、その数は極めて限定される」
 また、柳澤氏は「本当に米輸送艦を防護し、邦人を守らなければいけない状況であれば、無理矢理運ばず、まずは安全なところに避難していただき、ある程度落ち着いてから運ぶのが鉄則。何がなんでも自衛隊が守らなければいけない状態になれば、それは官邸の大失態だ」と続ける。
 さらに、「戦争が始まったときの軍艦に、民間人を載せるスペースさえない」と述べ、現実的な視点から、安倍総理の想定する事態が非現実的であることを批判。「集団的自衛権が行使できなければ国民を守れないというなら、それは憲法の怠慢でなく、政府の怠慢だ」と非難した。
安倍政権が作り出す「1984」の世界
 この日の勉強会でスピーチした新聞労連委員長の日比野敏陽氏も、「あの絵は気持ち悪くてしょうがない」と、安倍総理が用いたパネルに言及した。
 安倍総理の会見をみた日比野氏は、ジョージ・オーウェルの小説『1984』で、独裁者「ビッグ・ブラザー」が掲げた党のスローガン「自由は屈従だ」「無知は力である」「戦争は平和である」を思い出した、と感想を口にし、「まさに安倍政権の作り出しているカルチャーは、この3つに当てはまる」と話す。
 ある世論調査では、40%近くが集団的自衛権の行使に賛成している。日比野氏はこうした社会の空気に危機感を覚えるとし、「その片棒を担いでいるのはメディア。責任を痛感している。新聞労連の原点は、『戦争のために二度とペンを取らない、写真機をとらない、輪転機を回さない』ということ。原点に照らして恥ずかしくないのか、ということを常に問うていかなければならない」と主張した。(IWJ・原佑介)
(引用終わり)
 
 なお、IWJ記者の原佑介さんが印象深く書き留めている新聞労連委員長・日比野敏陽さんの発言は、UPLANでもIWJでも、1時間18分~頃から始まります。
 
 柳澤協二さんは、明後日24日(土)には日弁連及び東京三弁護士会が共催するシンポジウム「集団的自衛権は日本にとって必要か」に登壇され、集団的自衛権肯定派の川上高司氏(拓殖大学海外事情研究所長・教授)と議論されることになっているなど、まさに東奔西走状態ですが、来月7日(土)に発足記者会見とシンポジウムが予定されている「自衛隊を活かす-21世紀の憲法と防衛を考える会」には要注目だと思います(柳澤さんの他に、伊勢﨑賢治東京外国語大学教授、加藤朗桜美林大学教授が呼びかけ人)。
 いよいよ公式サイトが本格的に立ち上がっており、6月7日(土)のシンポには、東京新聞の半田滋さんや自衛隊PKO活動を指揮した元幹部自衛官も登壇されるようで、おそらくネット中継があるでしょうから、是非視聴したいと今から非常に期待しています。
 
※「21世紀の憲法と防衛を考える会」シンポのチラシ