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その後の“WEB第三文明で集団的自衛権を考える”~公明党は何が言いたいのか?

 

 今晩(2014年7月24日)配信した「メルマガ金原No.1796」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
その後の“WEB第三文明で集団的自衛権を考える”~公明党は何が言いたいのか?
 
 去る6月29日、創価学会系の月刊誌「第三文明」に掲載された注目すべき論考がWEB第三文明というサイトに時期が来れば転載されること、特に最近は集団的自衛権について、多くの著名な識者の論考が掲載されていることをご紹介しました。
 
2014年6月19日 
WEB第三文明で集団的自衛権を考える さて“その後”は?
 
 そこで、阪田雅裕氏、伊勢﨑賢治氏、伊藤真氏、川崎哲氏、中島岳志氏らの論客の、例外なく、、公明党に対する痛切な期待感が吐露された論考をご紹介しつつ、私はこう書きました。
 
 とりあえずの「破局」までのカウントダウンもあと「2日」。場合によっては1日前倒しで「明日」う可能性もあるんだろうか?
 その日をどういう風に迎えるのか?その事態に対してどう責任をとるの?
 これは公明党党員や創価学会会員だけの問題でないことは明らかであり、私たち自身の問題なのです。
 もちろん、6月号で「集団的自衛権を考える」という特集を組んだ月刊「第三文明」編集部にも、実際に迎えた「その日」についての総括をする責任があることは当然であり、注目を続けていこうと思います。 
 
 それからの怒濤の4週間を、月刊「第三文明」編集部はどのように過ごしたのでしょうか。その成果は、間もなく発売される9月号で明らかになるのだと思いますが、おそらく「第三文明」編集部の方針に沿ったと思われるコラム記事がWEB第三文明に掲載されましたのでご紹介します。 
 
WEB第三文明 2014年7月24日掲載 
【コラム】集団的自衛権公明党を問う(1) 「閣議決定」での勝者は誰か?
ライター 青山樹人
 
 このコラム記事自体は、佐藤優氏、木村草太氏(ここまでは一昨日配信した「『閣議決定』についての木村草太氏の見解に耳を傾ける(ビデオニュース・ドットコム)」で紹介済み)の他に、小林節氏、阪田雅裕氏、森田実氏らによる、実質的には、集団的自衛権についての従来の政府解釈は守られた、という見解を紹介し、公明党の立場を擁護するという内容です。
 
 そういえばこのライターは、「結党50年。綿密な取材が描き出す、その素顔――書評『公明党の深層』」というコラム記事において、「仮に公明党が連立を離脱すれば、「維新」や「みんな」といったナショナリズムの強い政党勢力が自民党と連立することは目に見えている」という俗論を書いていたことを思い出しました。
 
 このような周辺からの意見・評価ではなく、公明党の見解は公明党自身が語るところから批評したいとは思うのですが、これが結構手間のかかる作業なのですね。
 公明党公式サイトのトップページに「集団的自衛権について」というバナーが設けられています。
 そこをクリックすると、以下のページがあらわれます。
 
 本日(7月24日)現在、以下のような文章が掲載されています。
 
2014年7月19日
首相、法制局長官答弁で明確になった新しい安全保障政策
他国防衛の集団的自衛権は認めず/首相「新3要件は相当高いハードル」
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140719_14508

2014年7月15日
解釈改憲」の批判は誤り
首相、防衛相、内閣法制局が明言/他国防衛は目的とせず/平和国家の歩みは変わ
らぬ/参院予算委
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140716_14483

2014年7月14日
9条下で他国防衛認めず
平和主義、専守防衛も堅持/「海外派兵はできない」と断言/北側副代表の質問に
相、内閣法制局が答弁
2014年7月5日
Q&A 安全保障のここが聞きたい<下>
 
2014年7月4日
Q&A 安全保障のここが聞きたい<上>
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140704_14387

2014年7月2日
平和国家の道筋 今後も貫く
日本取り巻く安保環境が変化/山口代表のあいさつから
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140703_14379

2014年7月2日
“隙間”ない安保法制へ
与党協議会座長代理 北側一雄副代表に聞く/憲法の枠内で「新3要件」 専
衛を堅持
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140703_14373

2014年7月1日
閣議決定 国民守る安保法制へ
自国防衛の新3要件/従来の憲法解釈と整合性保つ
 
2014年7月1日
安全保障法制の整備について 閣議決定全文
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140702_14366

2014年7月1日
平和主義の柱を堅持
専守防衛 今後も変わらず/国際平和実現へ外交力強化/山口代表が強調
 
山口代表記者会見 2014年7月1日
公明党山口那津男代表は1日、新しい安全保障法制整備に関する閣議決定受け、国会内にて記者会見を行いました。
 
安保法制閣議決定――識者の評価

2014年7月23日付公明新聞
新3要件の確実な実行を
公明 曖昧運用許さぬ歯止め役に/安保法制の整備 識者の評価/拓殖大
外事情研究所長・教授 川上 高司氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140723_14528

2014年7月12日付公明新聞
安保法制閣議決定~その意義と今後の展望~
熊本県立大学理事長 神戸大学名誉教授 五百旗頭 真氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140712_14457

2014年7月11日付公明新聞
“戦争できる国”にはならず
個別法整備で 公明は緻密な議論リードを/安保法制の整備 識者の評価
志社大学教授 村田 晃嗣氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140711_14442

2014年7月9日付公明新聞
憲法解釈維持し、穏健な決断
他国で戦争、徴兵制など不可能/拓殖大学教授(国際学部・海外事情研
所) 佐藤 丙午氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140709_14418

2014年7月8日付公明新聞
平和主義を具現化した中身
今後の法整備で 新3要件の厳格な歯止め貫け/閣議決定どう見るか/三
中京学名誉教授(憲法・防衛法) 浜谷 英博氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140708_14407

2014年7月6日付公明新聞
“戦争への懸念”取り除く
虚心坦懐に全文を読めば明らか/閣議決定どう見るか/作家・元外務省主任
分析官 佐藤 優氏
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140706_14404

2014年7月5日付公明新聞
「平和の党」の存在感発揮
個別的自衛権を補完、拡充/「解釈改憲」は当たらず/閣議決定どう見るか/
劇作家・評論家 山崎正和
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140705_14394

2014年7月4日付公明新聞
安保環境に即した選択
説明責任尽くせば理解得られる/閣議決定 どう見るか/明治学院大学 川上和
久教
 https://www.komei.or.jp/news/detail/20140704_14382

2014年7月3日付公明新聞
「平和の党」の役割果たした
「蟻の一穴」論は杞憂にすぎぬ/静岡県立大学グローバル地域センター 小川和
久特任教授
 
 何でもかんでもたくさん掲載すれば良いというものではなく、元来の公明党支持者ならともかく、そうでない普通の国民が、「とにかく公明党の主張も検討してみよう」と思ってこのサイトにたどりついたとしても、いったいどれから読んだらよいのか目移りがして、結局、「公明党の言い分を理解しよう」という意欲自体が失われてしまう可能性があると思いました。
 やはり、「公明党の主張」を過不足なく、かつ分かりやすくまとめた文章が必要でしょう。
 7月4日に公表された「Q&A 安全保障のここが聞きたい<上>」のQ3などが「キモ」の部分だと思うのですが、まさにそうであるがゆえに、「ごまかし」と言って悪ければ、「言葉の細工」が目立ち過ぎ、とてもまともに受け止められないという印象が拭えません。
 
(引用開始) 
Q3集団的自衛権の行使を認めたのか?
A3外国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない。個別的自衛権の行使は、自国が武力攻撃を受けたことが条件ですが、今回、その前であっても限定的に実力の行使がめられました。この場合、国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合があります。
しかし、このような場合であっても、あくまでも国民の命と平和な暮らしを守るための「自衛の措置」でなければならず、外国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていません。
(引用終わり) 
 
 一昨日ご紹介した木村草太首都大学東京准教授の説が、まことにすっきりと分かりやすくて、思わず「その通り」と言ってしまいそうになるものの、しかし、閣議決定そのものは、決して「すっきり」などしておらず、また、公明党自身の説明も実にもって回った言い方であるということとの関係をどう評価するのかということとのかねあいで、木村説への賛否は留保せざるを得ないというのが正直なところです。
 
 いずれにせよ、果たしてあの「閣議決定」が、自民党と公明・内閣法制局連合軍の同床異夢なのかどうか、即断することなく、もう少し慎重に考えてみたいと思います。
 

(付録)
『月の庭』 作詞:佐々木由紀 作曲:アイリッシュ・トラッド 演奏:よしだよしこ