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集団的自衛権行使「国会承認」と特定秘密保護法~10/6衆議院予算委員会審議から分かったこと

今晩(2014年10月19日)配信した「メルマガ金原No.1883」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
集団的自衛権行使「国会承認」と特定秘密保護法~10/6衆議院予算委員会から分かったこと

 去る9月29日、第187臨時国会が招集されました。
 集団的自衛権行使容認に関わる法案は、来年招集の時期常会、それも4月の統一地
選挙終了後に一気に上程されるのではとの推測がなされていますが、過去の例から言えば、「出てしまってからでは遅い」ということになる公算大です。
 安倍首相は、野党からの質問に決してまともに答えないでしょう。
 時期が来れば公明党自民党と一緒になって強行採決に加担するでしょう。
 以上の予測はほぼ100%外れないという“悲しい”自信があります。
 
 (集団的自衛権行使関連法案が)「出てしまってからでは遅い」「出させない戦略が必要」としても、「ではどうすれば良いのか?」ということに特効薬など誰も持っておらず、これからも見つかりそうもありません。
 もちろん、閣僚の不祥事を次々と暴き出し、辞任の連鎖に追い込んで政権自体の求心力
を低下させるという戦略も、それなりの有効性はあるでしょう。
 ただ、それはそれとして、国会審議の中で、問題の本質を明らかにする野党議員の活動に
常に注目することを怠らないという「正攻法」も必要です。
 例えば、以下のような質疑に注目すべきでしょう。
 
東京新聞 2014年10月6日 夕刊
集団的自衛権 行使容認の根拠、特定秘密指定も
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014100602000208.html
(引用開始)
 安倍晋三首相は六日午前の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に関連し、
行使に必要となる武力行使の新三要件を満たしたとの判断に至った根拠となる情報が、特定秘密保護法に基づく特定秘密に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるとの考えを示した。
 首相は、新三要件を満たすと判断する根拠となる情報について「そのような事実を含めた
情勢などの情報を、国会や国民に適切に公開し、理解を得ることは極めて重要だ」と答弁。内閣府に設置する予定の特定秘密の監視機関「独立公文書管理監」に対して「十分な検証に必要な権限を付与することを検討している」と述べた。
 一方で、各行政機関が管理監に、こうした情報の提供を拒む可能性に言及した。「提供
を拒む場合は、管理監に理由を疎明しなければならないことを運用基準に明記することを検討している。特定秘密の漏えいがないにもかかわらず、管理監に提供されない場合は極めて限られる」と述べた。
(引用終わり)
 
 これは、民主党階猛(しな・たけし)議員(岩手県第1区選出)が引き出した答弁です。
 
 衆議院インターネット審議中継での視聴方法は以下のとおりです。
 
衆議院インターネット審議中継
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

カレンダー検索から「2014年10月6日」を選択してクリック
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&u_day=20141006

会議名予算委員会をクリック
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44163&media_type=fp
  ↓
説明・質疑者等(発言順)から階猛(民主党無所属クラブ) 」を選択してクリック(開始時
間9時00分、所要時間36分)
 
 なお、10月6日の予算委員会については、既に会議録がインターネットで公開されています。
 
第187回国会 予算委員会 第3号
平成二十六年十月六日(月曜日)

 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/187/0018/main.html

 階議員からの質問中、集団的自衛権行使のため「新3要件」中、「明白な危険」を判断
するための前提とした情報と特定秘密保護法に関連した質問と、それに対する首相及び防衛相の答弁を引用します。
 
(抜粋引用開始)
○階委員 一点目は、安倍政権の情報公開姿勢と秘密保護法の問題点についてというこ
となんですが、まず安倍総理にお伺いしたいと思います。
 先週末の枝野幹事長の質疑の中で、新三要件の一つ目の明白な危険という文言が曖
昧で、歯どめがきかなくなるという指摘がありました。私も同感ですが、この点については、きょうは質問いたしません。
 このパネルの一番右下に明白な危険というのは何かということがありまして、政府が、以下の
全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということです。1から5まで、さまざまな情報が挙げられております。
 この明白な危険の有無ですが、このパネルでは政府が判断するとなっておりますけれども、さ
きの国会での御答弁にもありましたように、総理は国会の事前または事後の承認が必要だということをおっしゃっておられました。この承認は国会が与えるということで間違いないですね。はいかいいえでお答えください。
 
○安倍内閣総理大臣 個別的自衛権につきましても、いわばさまざまな状況を判断した上において防衛出動あるいは武力行使を判断するわけでございますが、その際、国会の事前事後の承認が必要でございます。
 当然、法改正を進めていく上においては、それにかかわる防衛出動あるいはそれにかかわる
武力行使については、国会の事前事後の承認が必要となる、そういう法律になっていくものと思われます。
 
○階委員 ところで、パネルにも書いていますが、政府がまず明白な危険を判断する際、七月十五日の国会答弁で、1から5の全ての情報を総合して客観的、合理的に判断すると言われていますけれども、ここで挙げられている全ての情報というのは、承認権を持つ国会には当然開示されると思います。この点は間違いないでしょうか。
 
安倍内閣総理大臣 そうした状況になったときに、政府としてある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合についてのお尋ねだと思います。
 その際、そもそも憲法上許容される武力の行使を行うために自衛隊に対して防衛出動を命
ずる際には、これまでと同様、原則として事前に国会の承認を求めることとしているということは先ほど申し上げたとおりでございますが、政府としてある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合には、そのような事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民の皆様に適切に公開し、その御理解を得ていくことは極めて重要であると考えております。
 
○階委員 極めて重要だということなんですが、こうした重要な情報を隠蔽するということが絶対にあってはならないと思っております。
 ところで、十二月に特定秘密保護法が施行される予定ですけれども、集団的自衛権行使
の今の国会の承認を得るために、政府にとって不都合な情報が、特定秘密に指定されるなどして国会に開示されない可能性があるのではないかという懸念がありますけれども、こうした事態を防ぐための法制度上の担保は、今、ありますでしょうか。
 総理、お願いします。
 
○安倍内閣総理大臣 まず、運用基準につきましては、既に諮問委員会において運用基準がつくられたところでございます。
 そして、このつくられた運用基準において、内閣府に設置する予定の独立公文書管理監に
行政機関に対して十分な検証、監察を行うために必要な権限を付与することを検討しています。
 各行政機関は、閣議決定である運用基準に従わなければならないことから、独立公文書管
理監による適正確保の機能は十分果たされるものと考えているわけでございます。
 そして、運用基準において、行政機関が特定秘密の提供を拒む場合には独立公文書管理
監にその理由を疎明しなければならないことを明記することを検討しているので、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず独立公文書管理監に特定秘密が提供されない場合は極めて限られると考えております。
 いずれにいたしましても、既に今、防衛秘密とか特別管理秘密、あるいはまた米軍との条約に
基づく秘密等々はあるわけでありますが、一定のルールがない中におきまして、今回はしっかりと一定のルールがつくられたわけであります。
 そして、総理大臣である私等がしっかりとその中身も見ることができるということになるわけであり
ますから、明らかに、基本的には透明性、そして政治レベルにおける把握が進んでいくのは間違いないのだろうと思います。
 さらには、今申し上げましたような仕組み、二重三重の仕組みによって、恣意的な、不正な運
用はできないということになっているわけであります。
 
○階委員 国会が承認を与えるわけですから、国会の方でチェックする仕組みが機能する必要があります。
 民主党は、今の法制度では不十分だと考えておりまして、国会による強制力のある開示請求
や、隠蔽の事実を知った方に内部通報を義務づける規定が必要だと考えています。その必要性を示す具体例を挙げさせていただきます。
 自衛隊の皆さんには、今も災害救助等で御活躍されていらっしゃいますことを本当に感謝して
おりますが、その自衛隊であっても、時として、情報隠蔽をされたということがあります。
 平成十六年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士が外出中に自殺し、その原因は先輩
隊員のいじめだとして、国と先輩隊員を被告として損害賠償請求が提起されています。
 裁判の過程で、原告は、自衛隊が自殺直後に「たちかぜ」の乗員らに実施した艦内生活実
態アンケートの文書提出を求めましたが、自衛隊は、公開した場合には、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛する任務に支障を来す結果を招くことは自明の理であるという、私からすると理不尽な理由で開示しませんでした。その後、勇気ある内部通報をきっかけにこのアンケートが開示され、ことしの四月に原告は勝訴し、証拠隠しについても国の損害賠償義務が認められました。
 この勇気ある内部通報者についても、一時は懲戒処分の手続があったようです。
 こうした事案を見ると、残念ながら、今後も、証拠隠しや内部通報の抑圧によって、さきの明
白な危険を判断する上で必要な情報が開示されないおそれがあるのではないか。現在の法制度では、そういった理由から不十分と考えます。
 過去にこのような不祥事があった組織のトップである防衛大臣に伺います。
 現在の法制度のみで、政府にとって不都合な事実は隠蔽されないと断言できますでしょうか。
 
○江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 「たちかぜ」の案件は大変残念で遺憾なことであると思っておりまして、このようなことが再度な
いようにということで、私の方からも職員全員の方に話をさせていただきましたし、事務次官からも通達等々させていただきました。そのほかに、先月の十七日ですけれども、防衛副大臣を委員長とした、防衛省におけるいじめ等の防止に関する検討委員会を新設させていただいて、検討委員会もスタートさせていただいたというようなところです。
 そこで、先生のお尋ねの件でありますけれども、私自身の立場として、今回の件に関してはき
ちんとした対応でできると思っておりますし、そして、特定秘密に指定されたとしても、できる限り我々としては国会に出せるものは適正な形で提出させていただいて、そして御審議いただけるものというふうに考えているところでございます。
(引用終わり)
 
 以上の審議中継の動画を視聴した上で会議録に目を通した方は、会議録の記載が、一字一句忠実に発言を再現したものではなく、かなり「整理」されていることに気がつかれたこととと思います。
 時間がないとつい文字情報だけを読んですませることになりがちですが、「整理された」文字デ
ータだけでは伝えきれない情報を、映像と音声から入手できることがあるということに気づかされます。
 
 さて、以上の安倍首相答弁中、私がアンダーラインを引いた部分は、首相が官僚の作った答弁用原稿に目を落としながら「読み上げた」部分であり、それ以上の意味はありません。
 ありませんが・・・、この部分は、安倍首相が「ソラで答える」だけの知識の持ち合わせがないと
いうだけではなく、「言い間違えられては官僚が困る」部分である可能性が高いと思われ、それだけ要注目だと思います。
 
 もっとも、上記質疑を理解するためには、その前提として知っておくべきことがいくつかあります。
 
 まず、「新3要件」と「明白な危険」というのは、言うまでもなく、7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」で集団的自衛権の行使が認められるための新たな3要件のことです。該当箇所を以下に抜粋しておきます。
 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf
 
(抜粋引用開始)
我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、(第1要件)我が国と密接な関係にあ
る他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、(第2要件)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、(第3要件)必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。
(引用終わり/3要件の明示は金原による)
 
 また、階議員の質問に「政府がまず明白な危険を判断する際、七月十五日の国会答弁で、1から5の全ての情報を総合して客観的、合理的に判断すると言われていますけれども」とありますが、7月14日(衆議院)、同月15日(参議院)における会期外集中審議の会議録も公開されているものの、2日分だけでも相当な分量になるので、ここでは、内閣官房WEBサイトに掲載されている「一問一答」から、「明白な危険」を判断するための要素として政府が明示しているものをご紹介しておきます。
 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/anzenhoshouhousei.html
 
(抜粋引用開始)
【問21】国会で議論されている「新三要件」に言う「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、
自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」の有無は、どのような基準で判断するのか?
【答】現実に発生した事態の個別・具体的な状況に即して、主に、①攻撃国の意思・能力・
②事態の発生場所、③その規模・態様・推移などの要素を総合的に考えて、④我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、⑤国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから、「新三要件」を満たすか否か客観的、合理的に判断します。
(引用終わり/番号は金原が付与)
 
 それから、10月14日の閣議において、施行令、運用基準とともに、12月10日に施行するということも決まった特定秘密保護法ですが、あらためて、法律、施行令、運用基準を確認しておきましょう。
 
特定秘密の保護に関する法律
 http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO108.html
特定秘密の保護に関する法律 施行令
 http://www.cas.go.jp/jp/tokuteihimitsu/pdf/h261014_siryou2.pdf
特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るた
めの基準
 http://www.cas.go.jp/jp/tokuteihimitsu/pdf/h261014_siryou2.pdf
 
 さて、以上を前提として、再度、10月6日の質疑を読み返してみましょう。最も重要な部分を再度引用します。
 
(抜粋引用開始)
○階委員 ところで、十二月に特定秘密保護法が施行される予定ですけれども、集団的
自衛権行使の今の国会の承認を得るために、政府にとって不都合な情報が、特定秘密に指定されるなどして国会に開示されない可能性があるのではないかという懸念がありますけれども、こうした事態を防ぐための法制度上の担保は、今、ありますでしょうか。
 総理、お願いします。
 
○安倍内閣総理大臣 まず、運用基準につきましては、既に諮問委員会において運用基準がつくられたところでございます。
 そして、このつくられた運用基準において、内閣府に設置する予定の独立公文書管理監
に行政機関に対して十分な検証、監察を行うために必要な権限を付与することを検討しています。
 各行政機関は、閣議決定である運用基準に従わなければならないことから、独立公文書
管理監による適正確保の機能は十分果たされるものと考えているわけでございます。
 そして、運用基準において、行政機関が特定秘密の提供を拒む場合には独立公文書管
理監にその理由を疎明しなければならないことを明記することを検討しているので、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず独立公文書管理監に特定秘密が提供されない場合は極めて限られると考えております。
(引用終わり)
 
 安倍首相が官僚作成の答弁原稿を読み上げた中に出てくる「独立公文書管理監」というのは、前掲「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」で設置することとされている機関ですが、運用基準では以下のように定められています。
 
(抜粋引用開始)
ア 内閣府独立公文書管理監(内閣府独立公文書管理監が指名する内閣府の職員を含
む。以下同じ。)は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理特定秘密保護法及び施行令の規定並びに本運用基準ⅠからⅢまで(以下「特定秘密保護法等」という。)に従って行われているかどうか検証し、監察するものとする。
イ 内閣府独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定
秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をすることができる。
ウ 内閣府独立公文書管理監は、検証又は監察の結果、行政機関の長による特定秘密
の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は当該特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求めるものとする。内閣府独立公文書管理監は、是正を求めたときは、その内容を内閣保全監視委員会へ通知するものとする。
(以下略)
(引用終わり)
 
 階議員からの「集団的自衛権行使の今の国会の承認を得るために、政府にとって不都合な情報が、特定秘密に指定されるなどして国会に開示されない可能性があるのではないかという懸念がありますけれども、こうした事態を防ぐための法制度上の担保は、今、ありますでしょうか」という質問に対し、安倍首相が、というよりも官僚が用意した「担保」は、法令上の機関ではない、単なる閣議決定で決められた運用基準上の機関である「内閣府独立公文書管理監」だけであった事実にこそ注目しなければなりません。
 
 まず第1に、独立公文書管理監に与えられている権限は、「特定秘密保護法等に従って行われているかどうか検証し、監察する」というものであって、あくまでも事後的な是正機能を担うことが期待されている機関です。
 従って、集団的自衛権を行使した防衛出動についての事前または事後の国会承認を求め
るに際し、政府の判断の基礎となった重要な情報が全て国会に開示されるという「担保」などないと宣言したに等しいと解さなければなりません。
 いかに、国会が判断するにあたって重要な情報であっても、特定秘密に指定されることは十
分にあり得るし、国会に承認を求める際には、指定を一時的に解除しなければならないという規定もない以上、結局、国会によるコントロールなど絵に描いた餅となる可能性を拭えないということが明らかになったということです。
 実際、仮に、重要な事実が特定秘密保護法の趣旨に反して指定されていると独立公文
書管理監が判断して行政機関の長に是正措置を求めたところで、その時には、集団的自衛権行使についての国会承認などとっくに終わってしまっていると考えねばならず、実質的な「担保」になどなりません。
 その事後的是正ですら、「運用基準において、行政機関が特定秘密の提供を拒む場合には独立公文書管理監にその理由を疎明しなければならないことを明記することを検討しているので、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず独立公文書管理監に特定秘密が提供されない場合は極めて限られると考えております」というのですから、秘密指定した行政機関の長の判断で、独立公文書管理監に特定秘密を提供しないことがあり得ることまで認めている念の入れようです。
 
 前出の東京新聞が「集団的自衛権の行使容認に関連し、行使に必要となる武力行使新三要件を満たしたとの判断に至った根拠となる情報が、特定秘密保護法に基づく特定秘密に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるとの考えを示した」と報じた内容を詳しく説明すると以上のようになります。
 
 以上、10月6日・衆議院予算委員会における階猛議員の質問とそれに対する答弁を詳しく検討してみました。
 これからも、国会審議の状況にも是非注目していきたいと思います。
 
(付記)
 ところで、官僚の答弁原稿にはおそらく書かれていなかったと思われるのですが(原稿に目を落としていなかった)、「そして、総理大臣である私等がしっかりとその中身も見ることができるということになるわけでありますから、明らかに、基本的には透明性、そして政治レベルにおける把握が進んでいくのは間違いないのだろうと思います」ってどう思います?
 まずこの発言自体、何を言っているのか「理解困難」であることはさておくとしても、階議員は、「制度的担保はあるのか?」と質問しているのであって、「安倍晋三個人がどうするのか?」などと質問しているのでないことは明らかであって、とんちんかんという他ありません。こういう答弁は安倍首相特有のものであって今さら珍しくないのですが、要は、この人には、質問者が何を尋ねているのかをしっかり把握しようという姿勢(「誠意」と言い替えることも可能です)が根本的に欠如しているのだろうと思わざるを得ません。
 さらにもう一言付け加えるとすれば、「この人は一体いつまで総理大臣をやるつもりなんだ?」ということであり、これは私だけではなく、多くの国民の「悲鳴」でしょう。