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テレビ報道番組のあり方を考える~例えば「BSフジLIVE プライムニュース」とそのテキストアーカイブ

 今晩(2015年4月8日)配信した「メルマガ金原No.2054」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
テレビ報道番組のあり方を考える~例えば「BSフジLIVE プライムニュース」とそのテキストアーカイ

 古賀茂明氏騒動、チーフプロデューサー外し(配置転換)などで揺れる報道ステーションテレビ朝日)では、新年度早々の4月3日、「夜桜をバックにした女性のバイオリン生演奏。しかも、そこから「Moon River」「上を向いて歩こう」と、2曲を延々6分間」も放送するという不可解な編成をし、「岸信介の代からの有力後援者、末延氏の姪を、このタイミングで、しかも異例の扱いで出演させるというのは、末延=安倍首相ラインへの恭順の意を示す意味合いがあったとしか思えないだろう。」と揶揄される始末です(LITERA/2015年4月5日/「『報ステ』転向?「安倍首相とテレ朝のパイプ役」の姪のバイオリン演奏を延々放映」)。
 
 もともと、自宅のテレビ受像器は、ほとんど、録画したDVD(多くは放送大学の講義)を視聴するためのモニターとしてしか使っていない私としては、「転向前」の報道ステーションも「転向後」の報道ステーションも視たことがなく、「転向の真偽」について判断することは不可能です。
 もはや地上波TVは、一部例外的に良質なドキュメンタリー番組の放映を続けている枠が少しは残っているとはいえ、ほぼ視聴する意欲自体を失っているという人も少なくないでしょう。
 
 私なども、この3月から4月の番組改変期に、「報道ステー―ション」と並んでもう1つ話題となったNHK「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスター降板問題について、「大越氏は単にニュースを垂れ流すだけの報道では満足しない「モノ言うキャスター」だった。」「実際、大越氏は特定秘密保護法原発再稼働について番組内で意見を述べることもあった。とりわけ、安全保障や外交面では安倍政権に対して批判的な立場だ。」「官邸にとってみれば、そんなデリケートな時期に、大越氏のような人材は目障り以外の何物でもない。」(週刊現代2015年4月4日号「左遷!さらば、NHK『ニュースウオッチ9』大越キャスター エースはなぜ飛ばされたのか」)と大越氏を持ち上げる記事を読むと、「いつからそういうことになっていたのか・・・」と不審をいだくばかりです。
 何しろ、「ニュースウォッチ9」の大越キャスターといえば、リベラル派からの批判の対象だったという記憶しかありませんから。私ですらブログでこんな批判を書いていました(2012年7月31日「NHKという組織と“ジャーナリズムの精神”」/2012年11月2日「大越健介キャスターの変わらぬ姿勢「オスプレイ訓練を全国で」」)。
 もっとも、今でこそ護憲派からもてはやされている野中広務氏や古賀誠氏にしても、自民党の要職にあった当時は批判の対象としか考えていなかった人が多いでしょうから(私自身多分そうだったでしょうね)、時代があまりに「右」に暴走し過ぎてしまったため、大越氏を、ニュートラル、あるいはリベラル!(「週刊現代」)と見ることが不自然でない状況になってしまったのかもしれません(そう言えば、私が大越キャスター批判の文章を書いたのは第二次安倍政権誕生前であり、その後は「ニュースウォッチ9」を視たという記憶自体がありません)。
 だとすると、それはそれで恐るべき事態と言わねばなりません。
 籾井勝人氏のような人物がNHKの会長に選ばれ、その資質がいくら露わになっても地位を追われる気配もないという異様な状況なのですから、大越氏の「左遷」も起こるべくして起こったことかもしれません。
 
 以上のような事態を数え上げていけば、ただでさえ、テレビとの縁が切れかかった生活を送っている私など、テレビ視聴の意欲を完全に喪失し、絶縁状態まで突き進みかねません(少なくとも全国放送の地上波は)。
 まあ、私個人のことだけであればそれでもいいのですが、今なお世論形成にそれなりに大きな力を持っている(と思われる)テレビのあり方についての関心を失い、権力者の好き放題にさせることが正しい態度だとも思えません。
 ではどうするのか?と考えてみても、特に効果的な方策など思いつきませんが、評価するに足る番組を見つけたら出来るだけ賞揚し、少しでも良質な番組が増えることを期待する位のことはやるべきだと思っています。
 もっともそのためには、放映前に「この番組は視るに値するのではないか」という当たりをつけ(情報収集が重要)、その上で(録画するなりして)視聴するということが最低限必要になる訳で、「そんな時間がどこにある?」と我と我が身に問いかけてみれば、苦笑するしかなく、せいぜい、個人ではなく、TVウォッチのためのグループを作るのはどうだろう?ということ位しか思いつきません。
 
 というような雑談続きで今日はおしまい、のつもりであったのですが、最後にこのWEBサイトをご紹介しておきます。
 BSフジが毎週月曜日から金曜日までの夜8時から9時55分まで生放送している「BSフジLIVE プライムニュース」という報道番組の中の「テキストアーカイブ」のページです。
 「BSフジLIVE プライムニュース」という番組は、2009年から放送が始まり、反町理氏(そりまちおさむ/フジテレビ報道局政治部編集委員)が一貫してメインキャスターを務めている番組です。
番組自体の傾向、そして反町氏個人の政治的見解は、フジサンケイグループの(BSにおける)看板番組にふさわしいもののようですが、それにもかかわらず、私がこの番組のテキストアーカイブをご紹介しようと考えた理由は以下のようなことです。
 まず、この2時間近い番組で、ゲストは1人もしくは少数であり、じっくりと時間をかけて、反町氏が話を引き出すというスタイルをとっているため、視聴する者にとっても、ゲストの意見に賛成か反対かはともかくとして(今日4月8日のゲストの1人は石原慎太郎氏、明日9日のゲストの1人は櫻井よし子氏ですからね)、その主張を正確に理解しやすいという点が優れています。この点において、「朝まで生テレビ」のような「ショー」とは根本的に異なるのは当然として、NHKの「日曜討論」のような、ぶつぎりの一言コメントの連なりのような討論番組とも違います。
 さらに特筆すべきは、2014年10月以降、放送済みの番組の内容がテキスト化されて公開されていることです。各放送局ともオンデマンド放送に力を入れていますが、基本的に120分の番組を視るためには120分が必要ですから、既に放送された番組を振り返ろうとする時、テキストデータの無償配信は非常に価値が高いものです。
 テーマやゲストの選択については、番組の編集長を兼ねるキャスターの反町理氏の意向が強く働いているのだろうと思いますし、その取り上げ方の傾向に必ずしも賛同はできないのですが、自分とは意見が違うはずのゲストに対しても、反町氏の態度は出しゃばりすぎず、フェアだと思います。
 政治・経済等をテーマとするトーク番組として、一つのスタイルを作り上げた「プライムニュース」は、このテキストアーカイブの掲載によってさらに価値を高めたと思います。
 ・・・と、フジサンケイグループの報道番組をなぜ私が褒めなければならないのか、我ながら不思議ですが、良いものは良いと言うべきですからね。
 
 最後に、「プライムニュース」テキストアーカイブの中から、これは絶対に読む価値があると太鼓判を押せるものを1つご紹介します。
 
 
 いちいち引用はしませんが、是非通読することをお勧めします。
 我々ネット人種(?)は、小林節さんの主張にはお馴染みになってきましたが、学界では少数派である政権を支持する憲法学者百地章氏)の意見が読めますし、また、市民運動などにはこれまでほとんど関わってこなかった石川教授の意見をまとまって知ることのできる実に貴重な資料になっており、昨晩(4月7日)開かれた日弁連主催の「日本はどこに向かうのか~集団的自衛権の行使容認に反対する全国キャラバン東京集会~」での石川教授の講演をテレビ会議方式の中継で視聴した私としては、このテキストデータは、石川教授の見解を理解する大きな助けとなりました。
 
 「プライムニュース」テキストアーカイブの中には、探せば他にもこのような貴重なものがあるのではないかと思います。
 報道番組の1つのあり方として、ご紹介しました。