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週刊文春「沖縄のタブー」と公安情報~あなどってはいけない

 今晩(2015年4月18日)配信した「メルマガ金原No.2064」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
週刊文春「沖縄のタブー」と公安情報~あなどってはいけない

 一昨日(4月16日)の昼休み、いつものように事務所で昼食をとりながら、朝日新聞の朝刊(大阪本社13版)を読んでいたのですが、木曜日には必ず掲載される週刊新潮週刊文春という、今やネトウヨ路線まっしぐらの両誌の広告に見るともなく目を落としたところ、左側の週刊文春(4月23日号)の広告の見出しに驚きました。

新聞・テレビが目を背ける 
沖縄のタブー 総力特集第1弾!
翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士
琉球独立を煽る中国共産党は翁長と河野洋平を熱烈歓迎
辺野古沖「抗議カヌー」に革マル派が乗船していた!
▽「米でも反基地運動を」翁長訪米で暗躍する美人弁護士
鳩山由紀夫・孫崎亨に講演依頼する中国シンクタンク
▽稲嶺名護市長は「基地は返還しないでくれ」と陳情
▽読者1000人アンケートでは辺野古移設賛成67%


 驚いたというのは、週刊文春がこのような記事を書くことに驚いたのではなく、翌17日には、翁長氏の知事就任後初の安倍首相との会談が予定されており、今月下旬の首相訪米までの間、沖縄県の理解を求めているというポーズをとにかくとっておくべきという官邸の意向から見て、このタイミングはないだろう?と思ったのです。
 もっとも、書かれている内容自体は、その見出しを一読しただけでも、中身のないスカスカの記事だろうということは容易に推測できるものでした。
 見出しに実名こそ書いていないものの、「暗躍する美人弁護士」が、新外交イニシアティブ(ND)事務局長の猿田佐世さんであることは明白で、どうせ在沖米海兵隊・政務外交部次長であったロバート・エルドリッジ氏(キャンプシュワブ・ゲート前の映像を不適切に流出させたとして解任された模様)がジャパン・タイムスに行った投稿あたりがネタ元と思われ、おおよそ記事の信憑性の程度も知れようというものでした。
 それよりも、「暗躍する美人弁護士」とは、ほとんどスパイ映画の主人公に祭り上げられたような表現で、猿田さんもあながち悪い気がしないのでは?などと一瞬考えてしまいました(猿田さん、ご免なさい)。
 
 ということで、このばかげた記事を読むために週刊文春(4月23日号)を買うのも業腹だと思い、スルーしかけていたのですが、以下のネット配信の記事を読むにつけても、週刊文春の背後にある権力の影を無視すべきではないと思い、今日(18日)、近所のコンビニに行って400円で問題の週刊文春を購入してきました。
 まずは、この週刊文春の記事を理解するために有益と思われる2本の記事をご紹介しておきます。
 
 
 
 さて、週刊文春(4月23日号)を実際に読んでみて、見出しを読んだだけの段階で想像した記事の内容に修正を加える必要は全然感じませんでした。
 一々記事に論駁を加えるのもわずらわしいので、以下には広告の小見出し6項目に対応する記事について、そのネタ元が何かを抜き出してみましょう。順番は、週刊誌本文の記載の順序によります。
 
▽読者1000人アンケートでは辺野古移設賛成67%
 
「小誌メルマガで読者にアンケートを実施したところ、979人から回答を得ることができた」
 週刊文春のメルマガ読者って、つまりこういう募集に応じた人たちということです。 
 67%?それがどうしたの、というものですよね。週刊文春メルマガの読者の質はよく分かったというだけではないですか。
 
琉球独立を煽る中国共産党は翁長と河野洋平を熱烈歓迎
 発言を引用したネタ元は、「公安関係者」「県庁関係者」「沖縄国際大学・友知政樹教授」「中国特派員」
 
▽「米でも反基地運動を」翁長訪米で暗躍する美人弁護士
 ネタ元「地元記者」「県庁関係者」「公安関係者」
 なお、予想通りロバート・エルドリッジ氏のジャパン・タイムスへの投稿を孫引きしていましたが、ビデオ流出問題による処分については頬被りしています。
  
鳩山由紀夫・孫崎亨に講演依頼する中国シンクタンク
 ネタ元「地元記者」
 
 
▽稲嶺名護市長は「基地は返還しないでくれ」と陳情
 ネタ元「防衛省関係者」「名護市議」
 
 まあ、ざっとこういったところであり、琉球独立論を語る沖縄国際大学教授を除き、実名でコメントが紹介されているのは手登根安則氏だけです。
 同氏がどういう活動をしてきた人か知りたい人は、「海鳴りの島から」の中の「沖縄のネット右翼」というカテゴリーの記事を閲覧するとよいでしょう。
 
 わざわざ400円を出して購入するだけの「資料的価値」があったかどうかですが、6ページにわたる記事の「決めどころ」に「公安関係者」の発言が引用されていることが確認できたのは収穫でした。
 「公安関係者」が、話したくない、話してはならない情報を漏らすはずがなく、これらは全て公安情報の「リーク」であることを週刊文春が自認しているということに他なりません。
  上にご紹介したLITERAの記事が、相当程度信頼できるという証拠を週刊文春自身が提供してくれているのです。
 もちろん、公安情報「リーク」の背後に官邸の意向が働いていないはずはないでしょう。
 
 さて、4月23日号の記事は「第1弾」であり、これからも続々と、あることないこと書き連ねるつもりでしょう。
 「知事抹殺」(佐藤栄佐久福島県知事)という先例もあります。政権によるメディアを利用した攻撃をあなどってはいけません。
 しかし、それにしても、嫌韓嫌中の総本山の地位を週刊新潮と毎週争う週刊文春に慣れ切ってしまい、惰性で同誌を読んできた人も(そんな人もいるでしょう)、さすがにこの沖縄攻撃の記事には「怒り」を向けなければうそだと思うのですが。