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いよいよ4月26日「安保法制違憲訴訟」を東京地裁に提起~4/20決起集会から

 今晩(2016年4月21日)配信した「メルマガ金原No.2433」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
いよいよ4月26日「安保法制違憲訴訟」を東京地裁に提起~4/20決起集会から

 いよいよ、と言うべきでしょう。昨日(4月20日)午後6時から、参議院議員会館1階講堂において、「安保法制違憲訴訟の会」主催による提訴に向けた決起集会が開かれ、来る4月26日(火)午後2時、東京地方裁判所に2つの訴訟を提起する予定であることが公表されました(※決起集会チラシ)。
 
 ところで、最近、同会のホームページが引っ越しましたので、新しいURLを是非皆さまの「お気に入り」、「ブックマーク」に登録してください。
 
 
 昨日の決起集会の模様は、いくつかの市民メディアが中継したようですが、今のところ気がついた動画を2本ご紹介しておきます。
 併せて、公式ホームページに掲載された寺井一弘共同代表による「ご挨拶」、伊藤真共同代表による「なぜ 今 違憲訴訟か」、そして「集会宣言」を全文転載します。著作権は?まあ、大丈夫でしょう。私も一応弁護団員だし、全文引用する趣旨は「安保法制違憲訴訟」についての理解を広く社会に求めるため
だし。
 
 違憲訴訟については、弁護士の中にも様々な意見があることは承知していますが、伊藤真共同代表が言われるように、「この前代未聞の事態(法的には一種のクーデタ)に対しては、これまでとは全く異なる、前例のない手段で対処しなければなりません。」
 それだけの意気込みをもって提訴に踏み切る「安保法制違憲訴訟」に是非注目し続けてください。
 
 
2016年4月20日「4.20安保法制違憲訴訟決起集会」(森薫)(1時間57分)

冒頭~ 司会 杉浦ひとみ氏(共同代表)
1分~ 寺井一弘氏(共同代表)「ご挨拶」
「本日は大変お忙しいところ、「安保法制違憲訴訟提起に向けての決起集会」に全国各地から大勢の方々
がお集まりくださり、大変有難うございました。
 私からは最初に、本日の決起集会の趣旨と訴訟提起に関するご報告を簡潔に申し上げたいと思っており
ます。
 改めてご説明するまでもなく、安倍政権は昨年9月19日にわが国の歴史上に大きな汚点を残す採決の強行により集団的自衛権の行使を容認する安保法制を国会で成立させ、先月の29日にこれを施行いたしました。そして安倍首相は憲法改正に着手することを明言し、7月の参議院選挙ではそのために必要な3分の2の議席獲得を目指すに至っています。一方、最近の世論調査では、国民の半数近くが「安保法制は必要であると回答した」との報道もなされています。わが国の平和憲法と民主主義を守り抜いていくにあ
たって、今日の事態はきわめて深刻であると言わなければなりません。
 私達はこのような危険な状況を察知して昨年9月に「安保法制違憲訴訟の会」を結成してこれまで全国の憲法問題に強い関心を持つ弁護士仲間と平和を愛する市民の皆様に対して、共に違憲訴訟の戦いに立ち上がるよう呼びかけて参りました。その結果、本日までに全国すべての地域から630名を超える弁護士が訴訟の代理人となることに賛同するという声が寄せられ、市民の方々からは今回の訴訟の原告となるとの意思が次々と表明され、その数は短期間ながら2000名を大きく超えるまでになり、委任状も現在まで600名近く集まっております。この勢いは今後もさらに広がっていき、全国的に怒涛のような流れに
なっていくことは間違いありません。
 そこで、私達は立憲主義を堅持し、わが国を二度と再び戦争をしない国にしていくという国民市民の強い願いと期待にこたえてこの度「安保法制が憲法違反であることの判断を求める訴訟」、すなわち、「防衛出動命令等の差し止めを求める行政訴訟」と「安保法制の成立により受けた精神的苦痛の回復を求めて
国家賠償請求訴訟」の第一次提訴をすることといたしました。
 具体的な訴訟提起の期日ですが、来週の火曜日の26日午後2時を予定しております。東京地方裁判所に対して差し止め訴訟については原告が50名以上、代理人600名以上、国家賠償訴訟については原告
500名以上、代理人600名以上になると思っています。
 なお、東京地裁以外では、原発を間近に抱える福島地裁いわき支部でも、近々の提訴が予定され、その後、北から、札幌、仙台、埼玉、横浜、長野、名古屋、大阪、京都、岡山、広島、高知、愛媛、福岡、長崎などでの提訴が準備されております。その動きは時を追って急速に全国に拡大されていくものと考えて
います。
 私達は圧倒的多くの憲法学者、そして最高裁長官や内閣法制局長官を歴任された有識者の方々が安保法制を憲法違反と断じてされている中で、裁判所が沈黙することは、基本的人権を保障することを使命とする司法、そして憲法の基本的な目的に背馳し、それらの存在意義を根底から危うくすると判断した次第で
す。これは平和国家のあり方を基本的に変えることに他ならないからです。
 安倍政権はこの安保法制問題について国民が「忘却」することをひたすら期待しています。私達は、こうした策動に屈することなく、「2015年の夏」を忘却することなく闘い続けることができるかどうか
に、これからのわが国の将来がかかっていると思っております。
 私達は「歴史と知性に背を向けて開き直る安倍政権を絶対に許してはならない」との立場を堅持し、裁判を通じて社会にインパクトを与えながら世論を形成し、国民市民の皆様と共に必ずや安保法制を廃棄に
追い込むことを最終目標にして、前例のない違憲訴訟に挑んで参りたいと決意しております。
 皆様方の限りないご支援とご協力をお願いして、冒頭の挨拶とさせていただきます。」
11分~ 伊藤真氏(共同代表)「なぜ 今 違憲訴訟か」
「現在、この国では前代未聞の事態が進行しています。
 安保法制はまさに、日本を戦争する国に変えるものです。このように国柄を変えることは本来、それによって加害者にも被害者にもなる主権者国民の意思でなければできないことのはずです。最高裁が「違憲状態」と断じた正当性のない選挙で過半数の議席を得ただけの政権、しかも、先の衆議院選挙自民党公明党を合わせた得票率が有権者のわずか24%に過ぎないような政権が、憲法を無視して日本の国柄を変えてしまうことは、まさに国民の憲法制定権、すなわち主権の侵害であり、法的には一種のクーデタに他なりません。
 この前代未聞の事態に対しては、これまでとは全く異なる、前例のない手段で対処しなければなりません。党派を超えた総掛かり行動や2000万人署名、そして選挙において共産党を含む野党で統一候補を擁立して闘うことも、前例のない画期的なことであります。ならば、法律家としても、前例のない規模と質の
訴訟を提起しなければなりません。
 私たちは、安保法制が違憲であり、違憲の法律の存在を認めることなどできないという怒りとともに、
憲法を無視する態度、法を何とも思わない態度を、許すことができません。この国は法の支配の国であり、立憲民主主義国家であったはずです。単なる数の力で何でも自分の思うとおりに押し通そうとする政治が、なんの歯止めもなく、このまま放置されてしまうことは、企業も社会も家庭もあらゆる場面で、法を無視することがまかり通ることにつながります。これはあってはならないことです。
 司法を通じて、この異常事態から脱却し、政権与党による憲法破壊のクーデタを阻止し、日本の憲法価値を守り、立憲主義と民主主義を取り戻すために、法律家は、その職責を果たさなければならないと考え
ます。
 今なぜ、安保法制違憲訴訟を提起するのか。その理由は2つあります。第1に、弁護士としての職責を果たし、司法の役割を問うため、第2に、何よりも、安保法制廃止に向けての国民運動の一環として必要と考
えるからです。
 まず、私達は今この時点において、多くの市民の皆さんの声を受けて、弁護士の使命として、違憲訴訟
という手段で安保法制廃止への行動を起こすことが必要だと考えました。
 第一に、今現在、実際に、この無謀極まる安保法制の閣議決定や国会での採決強行によって、すでに平和的生存権などの基本的人権を侵害されて、現実に苦しんでいる方が多数いらっしゃるということです。さらに、これから予定されているこの安保法制に基づく南スーダンへのPKO派遣、中東への自衛隊派遣、集団的自衛権行使などの政府の行為によって、より一層の被害が拡大しようとしています。具体的な被害が生じている場合に、それを救済することは、司法の第一の重要な役割であることは言うまでもありま
せん。
 また、法律が施行され、いつでも違憲違法な自衛隊の出動が可能となった今、これを事前に差し止めなければ、命に関わる重大な被害が市民に生じてしまいます。戦争という最大の人権侵害が起きてからでは手遅れなのです。この緊急事態に臨んで,誰かが犠牲になる事件が起きるまで傍観することなど、法律家
として決してできません。
 私達の違憲訴訟提起に対しては、様々な考えがあることかと思います。しかし、具体的に苦しんでいる方が目の前にいるのに、また具体的な危険が迫っているのに、これを単なる間接民主制の下における政治的敗者の個人的な憤慨、不快感、挫折感または単なる不安感にすぎない、などといって放置していいもの
であるはずがありません。
 また、裁判官の中にも、憲法尊重擁護義務を負う法律家として、このような違憲の安保法制が放置される事態は、立憲主義、法の支配の観点から看過できないとの、強い思いを持っている方もいるはずです。
そのような裁判官に判断の場を提供することも、弁護士の使命の一つであると考えます。
 第二に、私達はこの訴訟を通じて、司法の役割を問うことも必要であると考えています。裁判所には違憲立法審査権の行使を通じて、政治部門によって壊された憲法秩序を回復し、立憲主義を取り戻す職責があります。これを「憲法保障機能」と呼びますが、裁判所には憲法秩序の維持という職責から、憲法判断
を示さなければならない場合があるはずです。私たちは、今回がまさにその場合にあたると考えます。
 もちろん、大変に困難な厳しい訴訟になることは十分に理解しています。
 ですが、そもそも課題やリスクのない憲法訴訟などありません。ましてや初めから結果が保障されてい
る裁判などありえません。結果がわかならないからこそ、私たちは市民の皆様とともに全力でこれにぶつかり、突破口を開いていかなければならないと考えています。
 私達は、最高裁違憲判断を勝ち取ることをめざします。しかし、たとえ下級審であっても何らかの実質的な違憲判断が出ることによって、すべての公権力が合憲と判断しているのではないことは明らかになります。これは極めて意味のあることだと考えています。公権的な合憲判断のみ存する状態を放置してこ
れが徐々に既成事実化され、国民の関心が薄れていってしまうことは絶対に避けなければなりません。
 最後に、私たちは、この裁判の目的が、単に違憲判決を得ることに尽きるものではないことを明確にしておきたいと思います。すなわち、国民運動の一環として、裁判を通じて、違憲の安保法制を許さないという世論を、より強く、大きいものとし、選挙を中心とする多様な政治過程を通じて、原告の皆さんと共
に、この違憲の安保法制を廃止させることこそ、最大の目的であることを再度確認いたします。
 2000人を超える市民の皆さんの熱い思いに後押しされて、最初の1歩としての東京第1次訴訟を提起します。この訴訟提起後も事態の推移に合わせて、各地で市民による怒りの訴訟が続きます。多くの市民の皆さんと連帯して、この安保法制の廃止に向かって、最後まで絶対に諦めずに闘い続ける決意と覚悟をお伝
えして、私の報告を終えたいと思います。」
20分~ 福田護氏(共同代表)「差止訴訟についての説明」
27分~ 田村洋三氏(共同代表)「国家賠償請求訴訟についての説明」
※元裁判官の田邑弁護士からは、600名以上の弁護団の中に元裁判官が30名以上いること、また元検
事も含まれていることが紹介されました。
34分~ 原告からの発言
1時間25分~ 国会議員からの発言(民進党共産党社民党
1時間46分~ 鎌田慧氏(安保法制違憲訴訟を支える会)
1時間56分~ 「集会宣言(2016年4月20日決起集会にて)」
(時間の都合で読み上げは省略されました)
「私たち原告約500名は、600名を超える弁護士、そして全都道府県にわたる多くの支援者の方々に支えられつつ、来る4月26日を期して国を被告とする安保法制違憲訴訟を提起いたします。
 先の大戦で日本は、アジア諸国民を始め2000万人を超える人々の命と生活を奪い、300万人を超える同朋
の犠牲者を出すとともに、すべての市民が政府による圧政のもとに苦しみました。
 こうした加害・被害の歴史を踏まえ、「敗北を抱きしめて」、政府の行為によって再び戦争の惨禍をもたらさないとの固い決意を持って制定された日本国憲法は、国際情勢が複雑化し、多くの地域で愚かな戦
闘行為が行われ、人間が殺し殺されあっている現時点においてこそますますその輝きを増しています。
 このような時、現政権は愚かにも過去の教訓を忘れ、沖縄の米軍基地の強化・恒常化を進めようとし、とうてい民主国家とは思えぬ強引な手法を用い、立憲主義までかなぐり捨てて、世界のどこでも戦争がで
きる戦争法制を作り上げたのです。
 私たちは、民主主義と立憲主義を取り戻すために、それぞれが全国各地で様々な運動を実践しています
が、その運動の一環として今こそ司法を通じて声を上げるべきと考えました。
 今も広がり続ける市民の怒りと行動に深く連帯しつつ、三権の一翼を担う裁判所に政権の暴走を抑制するその役割を正当に果たすことを期待し、 ここに、安保法制による戦争参加を差止め、さらに、将来はもとより現に受けている深刻な精神的苦痛という損害の賠償を求めるための訴訟を提起するものであります

 市民の皆さまの熱いご支持をお願いするとともに、私たちも全力を尽くして闘いぬく決意であることを
表明し、このことを本日の集会の名において宣言します。
  2016年4月20日」