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初めて「在沖米海兵隊の撤退」を求めた沖縄県議会決議(2016/5/26)

 今晩(2016年5月27日)配信した「メルマガ金原No.2469」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
初めて「在沖米海兵隊の撤退」を求めた沖縄県議会決議(2016/5/26)

 今日(5月27日)は、北海道の旭川市で開催された日本弁護士連合会第67回定期総会で重要な2つ
の宣言が採択されましたので、当初はそれをご紹介しようと思っていました。
 しかし、昨日沖縄県議会で採択された決議及び意見書を読むに及び、ただちに紹介すべきはこちらの方
だと思いましたので、予定を変更することにします。
 日弁連の宣言については、リンクだけしておきますので、関心のある方は是非リンク先でお読みいただければと思います。
 
 
 
 まず、沖縄県議会の動きを伝えた地元メディアの報道を引用します。
 
琉球朝日放送 報道制作部 2016年5月26日 11時57分
県議会臨時議会で意見書・抗議決議を可決

(引用開始)
 県議会は、26日臨時議会を開き、元海兵隊員による女性死体遺棄事件に対し、意見書と抗議決議を全会
一致で可決しました。
 臨時議会には、与党・中立会派と野党自民党からそれぞれ文案が提出されました。
 県民ネット新垣清涼県議「元海兵隊員の米軍属によるこのような蛮行は、県民の生命をないがしろにするものであり、断じて許されるものではない」
 与党案では、普天間基地の閉鎖・撤去に加え、県内移設断念、在沖海兵隊の撤退などを求めています。
 採決では、中立会派の公明党が双方の案に賛成。自民党などが退席した上で、与党案が全会一致で可決
されました。 ※動画あり(自民党議員らが退席する様子が見られます)
(引用終わり)
 
琉球新報電子版 2016年5月26日 11:26
県議会、在沖米海兵隊撤退を要求 米軍属女性遺棄で抗議決議 与党、公明、維新は可決、自民は退席

(引用開始)
 県議会(喜納昌春議長)は26日午前10時から臨時会を開き、米軍属女性死体遺棄事件に対し抗議するとともに、在沖米海兵隊の撤退や日米地位協定の改定などを求める決議と意見書を全会一致で可決した。県議会が在沖米海兵隊の撤退を求めるのは、1972年の日本復帰以来初めて。決議と意見書は県政与党と中立会派が共同で提出した。自民会派のほか嶺井光(無所属)、呉屋宏氏(同)両氏は退席した。午
後、在沖米四軍調整官事務所、在沖米総領事館、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に抗議した。
 可決した抗議決議と意見書は、被害者への謝罪と完全な補償、日米首脳で沖縄の基地問題と事件・事故対策を話し合う、米軍普天間飛行場の県内移設断念、在沖米海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理縮小、日米地位協定の抜本改定、米軍人・軍属などの凶悪事件発生時に、訓練と民間地域への立ち入りと米軍車
両の進入の禁止措置―などを求めている。
 意見書は首相、外相、防衛相、沖縄担当相。決議は駐日米大使、在日米軍司令官、四軍調整官、在沖米
総領事宛て。
 一方、自民会派と嶺井氏は普天間飛行場辺野古移設断念を「閉鎖・返還」とし、在沖海兵隊の撤退を「大幅な削減および米軍基地の速やかな整理・縮小」を図ることをそれぞれ求めた上で、事件の根絶や謝
罪、補償などを日米両政府に求める修正案を提出したが、賛成少数で否決された。
 公明は与党・中立、自民の両案に賛成した。
(引用終わり)
 
 沖縄県議会が採択した意見書と決議はほぼ同文ですので、以下には決議のみ引用します。そして、昨日の決議の中でも「ことし3月22日には那覇市で発生した米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議を可決し厳重に訴えたばかりである。」として触れられている決議も参考のために併せて引用します。
 読んでいただくのは、時系列順に3月22日の決議からの方が良いでしょう。
 
米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議
(引用開始)
 去る3月13日、沖縄県警は同日未明に那覇市内のホテルで発生した女性暴行事件について、キャンプ・シュワブ所属の米海軍1等水兵を準強姦罪の容疑で緊急逮捕した。女性に対するこのような行為は、肉体
的、精神的苦痛を与えるだけではなく、人間としての尊厳をじゅうりんする極めて悪質な犯罪である。
 本県における復帰後の米軍構成員等による犯罪件数は、平成27年12月末時点で5896件にも上り、本県議会は、事件・事故が発生するたびに、綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に強く抗議してきたところである。それにもかかわらず、今回、またもやこのような事件が発生したことは、米軍における再発防止への取り組みや軍人への教育のあり方が機能していないと言わざるを得ず、激し
い憤りを禁じ得ない。
 よって、本県議会は、県民の人権・生命・財産を守る立場から、今回の事件に対し厳重に抗議するとと
もに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。
                    記
1 被害者及び家族への謝罪並びに完全な補償を行うこと。
2 米軍人・軍属等の綱紀粛正、人権に関する実効性のある教育及び休暇時等の行動実態調査等を行い、
その内容や実施状況等を県民に公表すること。
3 日米両政府は、米軍人・軍属等による事件・事故を防止するため、沖縄県の提言を受け実効性のある
教育・規制のあり方を協議し、実施する仕組みを構築すること。
4 日米地位協定の抜本的な見直しを行うとともに、米軍基地を整理・縮小すること。
上記のとおり決議する。
 平成28年3月22日
   沖縄県議会
(宛先)
駐日米国大使
在日米軍司令官
在日米軍沖縄地域調整官
第3海兵遠征軍司令官
キャンプ・コートニー基地司令官
キャンプ・フォスター基地司令官
MCAS普天間基地司令官
キャンプ・ハンセン基地司令官
キャンプ・キンザー基地司令官
キャンプ・シュワブ基地司令官
第1 0地域支援群司令
在沖米海軍艦隊活動司令部司令官
第1 8航空団司令官
在沖米国総領事
(引用終わり)
 
元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する抗議決議
(引用開始)
 4月下旬から行方不明となっていたうるま市の女性が遺体で発見され、元海兵隊員の米軍属が去る5月
19日に死体遺棄容疑で逮捕されるという凶悪事件が発生し、県民に恐怖と衝撃を与えた。
 元海兵隊員の米軍属によるこのような蛮行は、県民の生命をないがしろにするものであり、断じて許さ
れるものではない。遺族の悔しさや悲しみははかり知れず、県民からは激しい怒りの声が噴出している。
 本県議会は、米軍人・軍属等による事件・事故が発生するたびに綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に強く申し入れてきたところであり、ことし3月22日には那覇市で発生した米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議を可決し厳重に訴えたばかりである。それにもかかわらず、またもやこのような事件が続発したことは極めて遺憾であり、米軍における再発防止への取り組みや軍人・
軍属等に対する教育等の実効性に疑問を抱かざるを得ない。
 よって、本県議会は、県民の人権・生命・財産を守る立場から、今回の事件に対し厳重に抗議するとと
もに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。
                    記
1 日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと。
2 日米首脳において沖縄の基地問題、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するための対応を協議すること。
3 普天間飛行場を閉鎖・撤去するとともに県内移設を断念すること。
4 在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小を図ること。
5 米軍人等を特権的に扱う身柄引き渡し条項を含む日米地位協定の抜本改定を行うこと。
6 米軍人・軍属等による凶悪事件発生時には、訓練と民間地域への立ち入り及び米軍車両の進入につい
て一定期間禁止する措置を講じること。
上記のとおり決議する。
 平成28年5月26日
  沖縄県議会
(引用終わり)
 
 過去、沖縄県議会において、米軍関係者による性犯罪に抗議する決議が何度採択されたのか知りませんが、翁長知事与党だけではなく、公明党も含めた全会一致で(自民党議員らは反対はせず退席したので)「在沖米海兵隊の撤退」を沖縄県議会が決議したことの意味を低く見積もるべきではありません。
 もちろん、沖縄の民意など一顧だにしない政治勢力が政権の座にある間は、このような決議が何らかの
目に見える効果を発揮するということはないでしょう。
 けれども、民主主義のあるべき姿を、建前なりとも尊重する「普通の」政権が誕生したあかつきには、「沖縄は海兵隊の撤退を求めた」という決議の存在が、重みをもって政策判断に影響を与えることができ
るはずですし、そのような政治状況を作り出すことが私たちの責務でしょう。
 そのためにも、5月26日の沖縄県議会決議を1人でも多くの人に知ってもらい、支持してもらう必要があると思い、ご紹介することとしました。